JP2006223872A - 流体移送制御式関節運動機構を有する外科用器械 - Google Patents

Abstract

【課題】内視鏡下用途に特に適した外科用器械を提供する。
【解決手段】内視鏡用途に特に適した外科用器械（１０）は、近位側へ制御される流体移送式関節運動機構（１４）を備えることにより、エンドエフェクタ（２０）を関節運動させる。近位部分に取り付けられている流体制御装置（１８）が、細長いシャフト（１６）を通って流体を第１の流体通路経由で第１の流体アクチュエータ（８０）に移送し、それに反応してこのアクチュエータは、関節運動継手を関節運動させる。２つの対向した流体アクチュエータが、差動的流体移送に反応して関節運動を行わせるようにもできる。それにより、細長いシャフトの狭い範囲を通って関節運動を行わせるのに十分な機械的運動を伝達するという設計上の制約を無くすことによって設計上の融通性が達成される。
【選択図】図１

Description

開示の内容

〔発明の分野〕
本発明は一般に、内視鏡下でエンドエフェクタ（例えば、体内カッタ、把持器、カッタ、ステープラ、クリップ留め具、接近用器具、薬物／遺伝子治療送達器具および超音波、ＲＦ、レーザ等を利用したエネルギー器具）を手術部位に挿入するのに適した外科用器械、特に、関節運動シャフトを備えたかかる外科用器械に関する。

〔発明の背景〕
内視鏡下外科用器械は、切開部が小さいほうが術後回復期間および合併症を減少させる傾向があるので、伝統的な開放式外科用器具よりも好ましい場合が多い。したがって、トロカールのカニューレを通って遠位エンドエフェクタを所望の手術部位に正確に配置するのに適した内視鏡下外科用器械類の大々的な開発が行われた。これら遠位エンドエフェクタは、診断効果または治療効果を達成するのに多くの仕方で組織に係合する。（例えば、体内カッタ、把持器、カッタ、ステープラ、クリップ留め具、接近用器具、薬物／遺伝子治療送達器具および超音波、ＲＦ、レーザ等を利用したエネルギー器具）

エンドエフェクタの位置決めは、トロカールにより制限を受ける。一般に、これら内視鏡下外科用器械は、エンドエフェクタと外科医により操作される取っ手部分との間に長いシャフトを有する。この長いシャフトにより、所望の深さへの挿入およびシャフトの長手方向軸線回りの回転が可能になり、それによりエンドエフェクタの或る程度の位置決めが可能になる。トロカールの適切な配置および例えば別のトロカールを介する把持器の適切な使用を行うと、その程度の位置決めで十分である場合が多い。例えば米国特許第５，４６５，８９５号明細書に記載されている外科用ステープル留め兼用切断器械は、エンドエフェクタを挿入および回転によって首尾よく位置決めする内視鏡下外科用器械の一例である。

最近、２００３年５月２０日に出願されたシェルトン・フォース（Shelton IV）等名義の米国特許出願第１０／４４３，６１７号明細書（発明の名称：SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING AN E-BEAM FIRING MECHANISM）は、組織を切断し、ステープルを作動させる改良型「Ｅ−ビーム」発火バーを記載しており、かかる米国特許出願を参照により、その記載内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに組み込む。追加の利点のうちの或る１つとして、クランプした組織が僅かに多過ぎまたは少な過ぎたとしても、エンドエフェクタ、特にステープル留め組立体のジョーを確実に間隔保持して最適なステープル配列状態を得ることにある。さらに、Ｅ−ビーム発火バーは、幾つかの有利なロックアウトを組み込むことができるような仕方でエンドエフェクタおよびステープルカートリッジに係合する。

手術の性質に応じて、内視鏡下外科用器械のエンドエフェクタの位置決めを一段と調整することが望ましい場合がある。特に、エンドエフェクタを外科用器械のシャフトの長手方向軸線に対して横方向の軸線に差し向けることが望ましい場合が多い。外科用器械のシャフトに対するエンドエフェクタの横方向運動は従来、「関節運動」と呼ばれている。これは典型的には、ステープル留め組立体のすぐ近位側のシャフト延長部内に設けられた旋回（または関節）継手によって達成される。これにより、外科医は、ステープルラインの良好な外科的配置および容易な組織操作および配向のためにステープル留め組立体をいずれかの側に遠隔的に関節運動させることができる。この関節式の位置決めにより、臨床医は、或る場合には例えば臓器の後ろで組織を一層容易に扱うことができる。加うるに、関節式位置決めにより有利に、内視鏡を器械シャフトにより妨げられないで、エンドエフェクタの後ろに位置決めすることができる。

外科用ステープル留め兼用切断器械を関節運動させる手段は、関節運動の制御をエンドエフェクタの閉鎖の制御と共に組み込んで組織をクランプしてエンドエフェクタ（即ち、ステープル留めおよび切断）を内視鏡下器械の小径境界内で発火させるので複雑化の傾向がある。一般に、これら３つの制御運動は全て、長手方向並進運動としてシャフトを介して伝達される。例えば、米国特許第５，６７３，８４０号明細書は、器械シャフトを通って２本の連結ロッドのうちの一方を選択的に引き戻すことにより関節運動するアコーディオン型関節運動機構（「フレックス−ネック」）を開示しており、各ロッドは、それぞれシャフト中心線の互いに反対の側でずれている。連結ロッドは、一連の別々の位置にわたりラチェット運動する。

関節運動機構の長手方向制御装置の別の例が、米国特許第５，８６５，３６１号明細書に記載されており、この長手方向制御装置は、関節運動リンクを有し、この関節運動リンクは、その押しまたは引き長手方向並進が各側への関節運動を行わせるようにカム駆動ピボットからずれている。これと同様に、米国特許第５，７９７，５３７号明細書は、関節運動を行わせるためにシャフトを貫通した同様なロッドを開示している。

フレデリック・イー・シェルトン・フォース（Frederick E. Shelton IV）等名義の共通譲受人の同時係属米国特許出願第１０／６１５，９７３号明細書（発明の名称：SURGICAL INSTRUMENT INCORPORATING AN ARTICULATION MECHANISM HAVING ROTATION ABOUT THE LONGITUDINAL AXIS）では、長手方向運動の代替手段として関節運動を伝達させるために回転運動が用いられており、かかる米国特許出願を参照により、その開示内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに組み込む。

これら機械的に伝達関係にある関節運動は首尾よく内視鏡下外科用ステープル留め兼用切断器械が関節運動できるようにしたが、開発動向は、市場に出すには数多くの問題および障害を提起している。互いに競合する設計上の目的は、外科用開口部の寸法を減少させるためにできるだけ小径のものであって、しかも幾つかの運動（例えば、閉鎖運動、発火運動、関節運動、回転運動等）を行うのに十分な強度を備えたシャフトを含む。加うるに、つかえて動かなくなるという問題および摩擦に関する問題を生じさせないで十分に大きな力を伝達することにより、望ましい特徴および信頼性を制限する設計上の制約が生じる。

したがって、発火運動および閉鎖運動を邪魔しないで、狭い範囲内に組み込むことができる関節運動力を採用した関節運動機構を有する関節運動型外科用器械が大いに要望されている。

〔発明の概要〕
本発明は、取っ手と、関節運動を行わせるために流体圧力を用いたエンドエフェクタとの間に取り付けられている関節運動シャフトを備えた外科用器械を提供することにより先行技術の上述の問題および他の問題を解決する。

本発明の一特徴では、外科用器械は、取付け状態の細長いシャフトとエンドエフェクタを患者の体内の所望の手術部位に位置決めするよう患者の体外で操作される近位部分を有する。関節運動継手が、所望の角度で組織に到達する際における臨床上の融通性を一段と与えるためにエンドエフェクタを細長いシャフトに取り付けている。近位部分に取り付けられている流体制御装置は、流体を、前記細長いシャフトを通り第１の流体通路を通って第１の流体アクチュエータに移送し、この第１の流体アクチュエータは、関節運動継手を関節運動させることによって反応する。それにより、関節運動を行わせるのに十分な機械的運動を細長いシャフトの狭い範囲を通って移送する設計上の制約を回避することによって設計上の融通性が達成される。

本発明の別の特徴では、外科用器械は、細長いシャフト内に設けられていて、関節運動継手を関節運動させるよう互いに協働する互いに反対側の流体アクチュエータと各々連通した２つの流体通路を通って流体を差動的に移送する流体制御装置を有する。それにより、流体圧力の増加に効率的に且つ正確に応答して働くアクチュエータが、関節運動継手を一方向に関節運動させるために使用でき、他方の流体アクチュエータはそれにより圧縮されたままである。

本発明の上述の目的および利点並びに他の目的および利点は、添付の図面およびその説明から明らかにされるはずである。

本願に組み込まれてその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示しており、上述の本発明の概要説明および後述の実施形態の詳細な説明と一緒になって、本発明の原理を説明するのに役立つ。

〔発明の詳細な説明〕
関節運動シャフトの概要
図面を参照すると（幾つかの図にわたり、同一の符号は同一の部品を示している）、図１は、外科用器械を示しており、この外科用器械は、図示の形態では、本発明の独特の利点をもたらすことができる特に外科用ステープル留め兼用切断器械１０である。特に、外科用ステープル留め兼用切断器械１０は、外科手技を実施するために図１に示すような非関節運動状態でトロカールカニューレ通路を通って患者（図示せず）の体内の手術部位まで挿入可能に寸法決めされている。作業部分１２をいったんカニューレ通路中へ挿入すると、作業部分１２の細長いシャフト１６の遠位部分内に組み込まれた関節運動機構１４を図２に示すように関節運動制御装置１８によって遠隔的に関節運動させることができる。図示の形態では、ステープル留め組立体２０として示されたエンドエフェクタが、関節運動機構１４の遠位側に取り付けられている。かくして、関節運動機構１４を遠隔的に関節運動させることにより、ステープル留め組立体２０は、細長いシャフト１６の長手方向軸線から関節運動する。かかる傾斜位置は、切断およびステープル留めのために所望の角度から組織に接近し、或いは他の臓器および組織により遮られた組織に接近すると共に（或いは）配置状態を確認するために内視鏡をステープル留め組立体２０の後ろに位置決めしてこれと整列させることができるという点において有利な場合がある。

取っ手
外科用ステープル留め兼用切断器械１０は、作業部分１２の近位側に連結されていて、位置決め運動、関節運動、閉鎖運動および発火運動をこの作業部分にもたらす取っ手部分２２を有している。取っ手部分２２は、ピストル型握り２４を有し、ステープル留め組立体２０のクランプまたは閉鎖を生じさせるよう臨床医によってクロージャトリガ２６をこの握り２４に向かって軸を中心に回転し、且つ近位側へ引き寄せられる。発火トリガ２８が、クロージャトリガ２６の一段と外側に位置し、この発火トリガは、ステープル留め組立体２０内にクランプされたクランプ状態の組織のステープル留めおよび切断を生じさせるよう臨床医によって軸を中心に回転するように引かれる。しかる後、クロージャ解除ボタン３０を押してクランプ状態のクロージャトリガ２６を解除し、かくしてクランプされた状態の組織の切断およびステープル留め端部を解除する。取っ手部分２２は回転ノブ３２をさらに有し、この回転ノブ３２は、細長いシャフト１６と一緒に運動できるよう結合されて、シャフト１６およびステープル留め組立体２０をシャフト１６の長手方向軸線回りに回転させる。取っ手部分２２は、もし万が一つかえが生じた場合発火機構（図１または図２には図示せず）を引き戻すのを助け、ステープル留め組立体２０の開放がその後に生じることができるようにする発火引き戻し取っ手３４を更に有する。

本明細書では、「近位」および「遠位」という用語は、器械の取っ手を掴む臨床医に関して用いられていることは理解されよう。かくして、外科用ステープル留め組立体２０は、近位取っ手部分２２に関して遠位側に位置する。便宜上および分かりやすくするために、本明細書で用いる「垂直」および「水平」という用語は、図面に関して用いられていることは更に理解されよう。しかしながら、外科用器械は、多くの向きおよび位置で使用され、これら用語は、限定的ではなく絶対的なものでもない。

図１および図２の外科用ステープル留め兼用切断器械１０のための例示のマルチストローク型取っ手部分２２は、スウェーズ（Swayze）およびシェルトン・フォース（Shelton IV）名義の共通譲受人の同時係属米国特許出願第１０／３７４，０２６号明細書（発明の名称：SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A MULTISTROKE FIRING POSITION INDICATOR AND RETRACTION MECHANISM）に詳細に記載されており、かかる取っ手部分は、本明細書において説明するような追加の特徴および変形部分を有し、かかる米国特許出願を参照により、その開示内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに組み込む。マルチストローク型取っ手部分２２は有利に長い距離にわたって大きな発火力を備えた用途をサポートするが、本発明と一致した用途は、例えばフレデリック・イー・シェルトン・フォース（Frederick E. Shelton IV）、マイケル・イー・セットサー（Michael E. Setser）およびブライアン・ジェイ・へメルガーン（Brian J. Hemmelgarn）名義の共通譲受人の同時係属米国特許出願第１０／４４１，６３２号明細書（発明の名称：SURGICAL STAPLING INSTRUMENT HAVING SEPARATE DISTINCT CLOSING AND FIRING SYSTEMS）に記載されているシングル発火ストロークを有するのがよく、かかる米国特許出願を参照により、その開示内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに組み込む。

作業部分（関節運動する細長いシャフトおよびステープル留め組立体）
図３〜図５では、作業部分１２は有利に、内視鏡下および腹腔鏡下手技に適した小径内で長手方向運動、回転運動、関節運動、閉鎖運動および発火運動の多数の作動運動を含む。ステープル留め組立体２０（「エンドエフェクタ」）は、軸を中心に回転可能に取り付けられたアンビル４２（図１、図２、図４および図５）を備えた細長いチャネル４０として示されている軸を中心に回転可能に取り付けられた対向した一対のジョーを有する。アンビル４２を閉鎖して細長いチャネル４０にクランプすることは、フレーム組立体４４（図３）が取っ手部分２２に回転自在に取り付けられた状態で細長いチャネル４０を長手方向に支持することによって達成され、二重旋回クロージャスリーブ組立体４６は、このフレーム組立体４４上で、長手方向に動いて、ステープル留め組立体２０が図２に示すように関節運動していても、それぞれ遠位および近位運動のための閉鎖および開放作用をアンビル４２に与える。

特に図３を参照すると、フレーム組立体４４は、単一のピボットフレームグラウンド４８を有し、このフレームグラウンドの近位端部は、回転ノブ３２に係合し、その右側のシェル半部５０は、図３に示されている。特に真っ直ぐなクロージャ管５２のクロージャスリーブ組立体４６の近位端部は、フレームグラウンド４８の近位端部を包囲し、クロージャスリーブ組立体４６を長手方向に並進させるクロージャ部品（図示せず）に係合するよう取っ手部分２２まで更に内側に延びていることは理解されるべきである。真っ直ぐなクロージャ管５２の近位端部のところの円形リップ５４は、かかる部品への回転係合部となる。回転ノブ３２の係合部品は、フレームグラウンド４８上に近位側に設けられた孔５８と嵌合するよう真っ直ぐなクロージャ管５２の近位部分に設けられた長手方向スロット５６を通過している。長手方向スロット５６は、クロージャスリーブ組立体４６およびフレームグラウンド４８に合わせて回転ノブ３２によって設定された種々の回転角度でのクロージャスリーブ組立体４６の閉鎖長手方向並進を可能にするのに十分な長さのものである。

細長いシャフト１６は、取っ手部分２２の発火部品（図示せず）に回転自在に係合する発火ロッド６０を受け入れることにより発火運動をサポートする。発火ロッド６０は、フレームグラウンド４８の長手方向中心線に沿って近位開口部６２に入る。フレームグラウンド４８の遠位部分は、その底部に沿って発火バースロット６４を有し、この発火バースロットは、近位開口部６２に通じている。発火バー６６が、発火バースロット６４内で長手方向に並進し、この発火バーは、発火ロッド６０の遠位端７０に係合する上方に突き出た近位ピン６８を有している。

細長いシャフト１６は、矩形リザーバキャビティ７２を有することにより関節運動をサポートし、一側方部分が、回転ノブ３２の遠位部分に示されている。矩形リザーバキャビティ７２内に位置する底部コンパートメント７４が、側方に互いに間隔を置いて位置する左バッフル７６と右バッフル７８を有している。関節運動アクチュエータ８０が、底部コンパートメント７４の頂部上を側方に摺動し、バッフル７６，７８の外側に位置する関節運動アクチュエータの下方側方に間隔を置いて位置する左フランジ８２と右フランジ８４が各々、左および右押しボタン８６，８８に側方に連絡しており、これら押しボタンは、回転ノブ３２のそれぞれのシェル半部から外方に延びている。関節運動アクチュエータ８０の側方運動により、左フランジ８２が左バッフル７６の近くに引き寄せられると共に右フランジ８４が右バッフル７８の遠くに引かれ、流体関節運動システム９４の左リザーバブラダ９０および右リザーバブラダ９２に作用し、各ブラダ９０，９２はそれぞれ、左および右流体導管または通路９６，９８に遠位側に連絡し、これら通路９６，９８はそれぞれ、左作動ブラダ１００および右作動ブラダ１０２に通じている。これら作動ブラダは、関節運動機構１４のＴ−バー１０４に対向し、これを側方に旋回させる。

フレーム組立体４４は、流体通路９６，９８および作動ブラダ１００，１０２が設けられたフレームグラウンド４８の頂部且つ遠位側の凹みテーブル１０６を有することにより、これら流体作動を束縛する。Ｔ−バー１０４はまた、作動ブラダ１００，１０２相互間で凹みテーブル１０６上に摺動自在に位置する。Ｔ−バー１０４の近位側で隆起したバリヤリブ１０８がこれに整列し、流体通路９６，９８の内方拡張を阻止するのに役立つ。フレーム組立体４４は、丸形の頂部フレームカバー（スペーサ）１１０を有し、このフレームカバーは、フレームグラウンド４８の頂部上を摺動し、流体通路９６，９８および作動ブラダ１００，１０２の垂直方向拡張を阻止すると共にＴ−バー１０４の垂直運動を束縛する。特に、フレームカバー１１０は、これが関節運動ロック機構１１３の一部として以下に詳細に説明する関節運動ロック部材１１１を提供することができるようにする特徴を備えている。

Ｔ−バー１０４の遠位端（「ラック」）１１２が、関節運動機構１４の関節遠位フレーム部材１１４の近位側に差し向けられた歯車セグメント１１５を軸を中心に回転させるよう係合する。関節クロージャ管１１６が、関節フレーム部材１４を包囲し、この関節クロージャ管は、アンビル４２に係合する蹄鉄形孔１１８を有している。真っ直ぐなクロージャ管５２と関節運動機構１４上の関節運動クロージャリング１１６との間に二重旋回取付け部が形成され、これにより、関節運動機構１４を関節運動させたときでも長手方向閉鎖運動が可能になる。特に、真っ直ぐなクロージャ管５２に設けられていて、ピン穴１２２，１２４をそれぞれ備えた頂部および底部の遠位側へ突き出たピボットタブ１１８，１２０が、関節運動クロージャリング１１６に設けられていて、ピン穴１３０，１３２をそれぞれ備えた対応の頂部および底部の近位側に突き出たピボットタブ１２６，１２８から長手方向に間隔を置いて位置している。上側二重ピボットリンク１３４が、ピン穴１２２，１３０にそれぞれ係合する長手方向に間隔を置いて上方に差し向けられた遠位ピン１３６および後部ピン１３８を有し、下側二重ピボットリンク１４０が、ピン穴１２４，１３２にそれぞれ係合する長手方向に間隔を置いた下方に突き出ている遠位ピン１４２および後部ピン１４４を有している。

特に図４を参照すると、近位側に突き出たピボットタブ１２６，１２８を有する関節運動取付けカラー１４８に取り付けられた短い管１４６を有するよう製造性を高めるための関節運動クロージャリング１１６が示されている。これと同様に、真っ直ぐなクロージャ管５２は、遠位側に突き出たピボットタブ１１８，１２０を有する後部取付けカラー１５２に取り付けられた長いクロージャ管１５０から組み立てられる。短いクロージャ管１４６の蹄鉄形孔１１８は、細長いチャネル４０の内部のピボット凹部１５８に係合する側方ピボットピン１５６に対して僅かに近位側で上方に突き出たアンビル特徴部１５４に係合する。

図４の図示の形態は、ドッグボーン形リンク１６０を有し、このドッグボーン形リンクの近位ピン１５７は、フレーム穴１６１内でフレームグラウンド４８に軸を中心に回転可能に取り付けられ、このドッグボーン形リンクの近位ピン１５９は、関節運動フレーム部材１１４の近位下面１６２にしっかりと取り付けられ、それによりこれらの間に旋回支持体を構成している。ドッグボーン形リンク１６０に設けられた底部長手方向ナイフスロット１６３が、発火バー６６の関節運動部分を誘導する。関節運動フレーム部材１１４は、発火バー６６の遠位部分を誘導する底部長手方向スロット１６４を更に有している。

ステープル留め装置（エンドエフェクタ）
図４および図５を参照すると、発火バー６６は、Ｅ−ビーム１６５の遠位側で終端しており、このＥ−ビームは、アンビル４２に設けられたアンビルスロット１６８に入ってアンビル４２を確認してこれをステープル配列および切断中、閉鎖状態に維持するのを助ける上側案内ピン１６６を有している。細長いチャネル４０とアンビル４２との間の間隔は、中間ピン１７０を細長いチャネル４０の頂面に沿って摺動させる一方で、底部足部１７２が細長いチャネル４０に設けられた長手方向開口部１７４によって案内された状態で細長いチャネル４０の下面に沿ってこれに対向して摺動することによりＥ−ビーム１６４によって更に維持される。上側案内ピン１６６と中間ピン１７０との間に位置するＥ−ビーム１６４の遠位側に設けられた切断面１７６は、クランプされた状態の組織を切断し、他方、Ｅ−ビームは、くさび形そり１８０を遠位側に移動させ、それによりステープルドライバ１８２が、上方に駆動するステープル１８４をカム駆動してこれをステープルカートリッジ本体１８８に設けられている上方に開口したステープル穴１８６から出してアンビル４２のステープル配列下面１９０に押し付けて配列することにより交換可能なステープルカートリッジ１７８を作動させる。ステープルカートリッジトレイ１９２が、ステープルカートリッジ１７８の他の部品を底部から包囲してこれらを定位置に保持する。ステープルカートリッジトレイ１９２は、細長いチャネル４０の長手方向開口部１７４の上に位置する後方に開口したスロット１９４を有し、かくして、中間ピン１７０が、ステープルカートリッジトレイ１９２の内部を通る。

ステープル留め組立体２０は、２００４年９月３０日にフレデリック・イー・シェルトン・フォース（Frederick E. Shelton IV）等により出願された共通譲受人の同時係属米国特許出願第１０／９５５，０４２号明細書（発明の名称：ARTICULATING SURGICAL STAPLING INSTRUMENT INCORPORATING A TWO-PIECE E-BEAM FIRING MECHANISM）に詳細に記載されており、かかる米国特許出願を参照により、その開示内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに組み込む。

関節運動ロック機構
図３、図４および図６〜図８では、関節運動ロック機構２００が、有利に、ステープル留め組立体２０を所望の関節角度に維持するよう構成されている。関節運動ロック機構２００は、左側作動ブラダ１００および右側作動ブラダ１０２に加わる荷重を減少させる。特に、圧縮ばね２０２（図３）が、関節運動ロック部材１１１の近位端２０４と取っ手部分２２との間に近位側に位置決めされていて、関節運動ロック部材１１１を遠位側に付勢している。特に図４を参照すると、関節運動ロック部材１１１の遠位端２１０のところに設けられた２つの平行なスロット２０６，２０８が、フレームグラウンド４８に設けられた上方に突き出ている案内リブ２１２，２１４をそれぞれ受け入れる。案内リブ２１２，２１４は、平行なスロット２０６，２０８よりも長手方向に短く、或る範囲の相対的な長手方向移動を可能にしている。それにより、特に図８を参照すると、関節運動ロック部材１１１から遠位側に突き出た歯付き凹部２１６として示されている遠位摩擦面の選択的な当接係合は、関節運動フレーム部材１１４の頂部近位凹部２２０内に受け入れられたブレーキ板２１８に設けられている対応のロック歯車セグメント２１７に連係している。ブレーキ板２１８に設けられた遠位穴２２１および近位穴２２２は、頂部近位凹部２２０から上方に突き出た遠位ピン２２３および近位ピン２２４を受け入れる。

特に図６を参照すると、細長いシャフト１６は、クロージャスリーブ組立体４６がフレーム組立体４４の周りから取り外され、細長いチャネル４０およびアンビル４２の無い関節運動位置で示されている。関節運動アクチュエータ８０は、左側に側方に動かされて右近位リザーバブラダ９０を圧縮し、遠位右側作動ブラダ１００を拡張させてＴ−バー１０４を図示の位置に移動させた状態で示されている。かくして、関節運動アクチュエータ８０の側方運動は、遠位フレーム１１４を図示のように単一のピボットフレームグラウンド４８を中心として時計回りに関節運動させる。また、関節運動アクチュエータ８０は有利に、関節運動ロック機構２００を自動的に稼働させたりこれを解除したりする。特に、関節運動アクチュエータ８０の近位頂面に沿って設けられた歯付き戻り止め面２２５が、関節運動ロック部材１１１の近位端２０４から、上方に突き出たロックピン２２６を受け入れる。ロックピン２２６と歯付き戻り止め面２２５の根元部との嵌合により、ロック歯車セグメント２１７をブレーキ板２１８内にロック係合させるのに十分な関節運動ロック部材１１１の遠位側運動が得られる。オペレータによる圧縮部材２７２の側方運動により、ロックピン２２６が近位側に押圧され、かくして関節運動ロック部材１１１がブレーキ板２１８から外れる。オペレータが関節運動アクチュエータ８０を解除すると、ロックピン２２６は、圧縮ばね２０２によって戻り止め面２２５の隣接の戻り止め内に押圧されてロック機構２００およびかくしてステープル留め組立体２０がロックされ、近位左および右リザーバブラダ９０，９２の膨張した形状を束縛すると共に拡張させることにより関節運動機構１４が所望の関節位置に拘束される。

関節運動ロック機構２００の幾つかの部分は、１９９６年３月１０日にデール・アール・シュルツ（Dele R. Schulze）およびケネース・エス・ウェールズ（Kenneth S. Wales）等に付与された共通譲受人の米国特許第５，６７３，８４１号明細書（発明の名称：A SURGICAL INSTRUMENT）に詳細に記載されており、この米国特許を参照により、その開示内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに組み込む。

変形例としてまたは追加例として、互いに平行な流体ブラダ２３６，２３８内にオリフィスを設けて近位作動ブラダ１００，１０２と遠位リザーバブラダ９０，９２との間の流量を制御するのがよい。図１６および図１８では、流体通路２５８，２６４は、オリフィスとして役立つ関節角の変更に抵抗するよう寸法決めされまたは流体流量制限構造を有するよう構成されたものであるのがよい。

図１０では、外科用器械２００４の関節運動機構２００２の別のロック機構
は、常態ではロック解除されており、後方加重（back loading）に起因して側方運動Ｔ−バー２００６を起動することにより作動される。Ｔ−バー２００６から下方に延びるリブ２０１２を受け入れてこれを案内するスロット２００８が、フレームグラウンド２０１０に設けられている。リブ２０１２に直角に取り付けられた細長い長手方向部分２０１４が、エンドエフェクタ２０１６に後方加重した場合には撓む。例えば、エンドエフェクタ２０１６を矢印２０１８で示すように右側に押しやると、例えば、その近位歯車セグメント２０２０が、Ｔ−バー２００６のラック２０２２に作用して矢印２０２４で示すように非直交後方駆動力を与える。かくして、細長い長手方向部分２０１４は、長手スロット２００８内のリブ２０１２を起動する。この起動により、矢印２０２６，２０２８で示すように互いに逆向きの拘束力が生じ、これら拘束力は、Ｔ−バー２００６をロックし、それ以上の関節運動を阻止する。ロック解除は、関節運動ブラダの作動により側方に運動するＴ−バー２００６の起動が解除されたときに生じる。しかる後、リブ２０１６は、Ｔ−バー２００６を案内するのを助けることができる。

図１１では、外科用器械２１０２用の更に別の関節運動ロック機構２１００が示されており、この関節運動ロック機構は常態では、ロック解除されており、エンドエフェクタ２１０６の歯車の歯２１０４およびＴ−バー２１１０のラックの歯２１０８から見て２０°の圧力角からの近位側への力ベクトルによって作動される。エンドエフェクタ２１０６に後方加重すると、非直交矢印２１１２によって示されているように、矢印２１１４として示された圧力角の長手方向ベクトルが、Ｔ−バー２１１０を近位側へ動かす。この長手方向力ベクトルは、Ｔ−バー２１１０のラック２１２０の後ろに設けられた剛性ばね２１１８に加えられる。Ｔ−バー２１１０が近位側へ動いたときにばね２１１８が撓むと、ラック２１２０から近位側へ突き出たロック歯２１２６は、ロック要素２１２２に係合し、遠位側へ突き出てフレームグラウンド２１２４，２１２０上で側方に整列する。ロック歯２１２６とロック要素２１２２は、エンドエフェクタ２１０６の後方加重を除き、Ｔ−バー２１１０がばね２１１８からの押圧下で遠位側へ動くことができるようにすることにより近位側への力ベクトルを減少させまたは無くすと、離脱する。

二重ピボットクロージャスリーブおよび単一ピボットフレームグラウンドの組合せ
図３、図４および図７を参照すると、作業部分１２は有利に、単一ピボットフレームグラウンド４８上に長手方向に並進してこれを包囲する二重ピボットクロージャスリーブ組立体４６を有する。これら機構およびこれらの作用について以下に詳細に説明する。特に図７を参照すると、関節運動機構１４は、クロージャスリーブ組立体４６がアンビル開放状態に向かって近位側に引っ込められた状態の関節運動状態で示されている。アンビル４２が開放した状態で、関節運動制御装置１８を作動させると、関節クロージャリング１１６が、上側および下側二重ピボットクロージャリンク１３４，１４０のそれぞれの上方に差し向けられた遠位ピン１３６および下方に差し向けられた遠位ピン１４２回りに旋回する。フレームグラウンド４８は、フレームグラウンド４８を遠位フレーム部材１１４に接合する近位ピン１５７として示された単一のピン回りに旋回する。アンビル４２が開放した状態では、フレームグラウンド４８の近位ピン１４７は、クロージャスリーブ組立体４６の上側および下側二重ピボットリンク１３４，１４０の最も遠位側の位置と整列する。この位置決めにより、アンビル４２が開いた状態で、ステープル留め組立体２０の容易な旋回および回転が可能である。クロージャスリーブ組立体４６を遠位側へ移動させてアンビル４２を軸を中心に回転させてこれを閉鎖すると、真っ直ぐなクロージャ管５２は、フレームグラウンド４８回りに遠位側に動き、関節クロージャリング１１６は、ピボットリンク１３４，１４０により押圧されると、関節遠位フレーム部材１１４の軸線に沿って遠位側へ動く。リンク１３４，１４０のそれぞれの二重旋回ピン１３６，１３８および１４２，１４４は、器具を関節運動させたときに（図示せず）これらが遠位閉鎖位置に向かって押圧されると、真っ直ぐなクロージャ管５２および関節クロージャリング１１６との係合を容易にする。遠位閉鎖位置では、フレームグラウンドピボットピン（「近位ピン」）１４７は、完全関節運動時に近位ピボットピン１３８，１４４と垂直方向に整列しまたは効果的に働いている状態で遠位ピン１３６，１４２と近位ピン１３８，１４４との間の任意の箇所に位置することができる。

中実発火バー支持体
図８では、図７の関節運動機構１４は、部分的に分解され、下から見た状態で示され、従来型可撓性支持板と比べて利点をもたらす中実壁発火バー支持体設計（ドッグボーン形リンク１６０）を示している。支持板は、隙間を橋渡しし、発火バー６６を単一フレームグラウンドピボット関節運動継手１８０１中を支持した状態で案内するために用いられる。可撓性発火バーは、公知であるが、例えば図４、図８および図９に示す中実壁発火バーを設けると、独特な利点が得られる。次に図８を参照すると、フレームグラウンド４８は、フレームグランド４８の底部に沿って延びるフレームナイフスロット１８０２を有し、遠位ナイフスロット１６４が、発火バー６６（図示せず）を摺動自在に受け入れるために関節運動遠位フレーム部材１１４の底部に沿って延びている。上述したフレームグラウンド４８は、遠位フレーム部材１１４との直接的な単一旋回連結部１５７を有する。ピンの近位端１５７に回転自在に連結され、ピンの遠位端１５９に可動的に連結された固定壁ドッグボーン形リンク１６０は、左側方ガイド１８１８および右側方ガイド１８２０を有し、これらガイド相互間には、発火バー６６（図４）の摺動通過用の案内スロット１８２２が形成されている。

かくして、フレームグラウンド４８と遠位フレーム部材１１４との間の隙間を橋渡しするため、固定壁旋回ドッグボーン形リンク１６０は、フレームグラウンド４８に軸を中心に回転可能に取り付けられると共にフレーム部材１１４に摺動自在に取り付けられている。旋回ドッグボーン形リンク１６０の近位ピン１５７は、フレームグラウンド４８に設けられたボア１８２４内に軸を中心に回転可能に受け入れられ、それにより旋回ドッグボーン形リンク１６０がポケット１８２４回りに旋回することができる。遠位ピン１５９が、旋回ドッグボーン形リンク１６０から上方に延び、この遠位ピンは、遠位フレーム１１４に設けられたスロット１８２６内に摺動自在に受け入れられている。ステープル留め組立体２０を長手方向軸線から例えば４５°の角度まで関節運動させると、旋回ドッグボーン形リンク１６０がボア１８２４内でその近位ピン１５７のところで軸を中心に回転し、遠位ピン１５７は、スロット１８２６内でその遠位端１８１４のところで摺動して発火バー６６を２つの互いに間隔を置いた角度に曲げ、これら角度は、ステープル留め組立体２０の角度の半分である。発火バー６６を４５°の角度に曲げる上述の可撓性支持板とは異なり、固定壁旋回ドッグボーン形リンク１６０は、発火バー６６をそれぞれ例えば２２．５°の２つの互いに間隔を置いた角度に曲げる。１つまたは複数の可撓性発火バー６６を曲げて角度を半分にすることにより、発火バー６６中の曲げ応力が従来型関節運動支持体で見受けられる曲げ応力の半分まで減少する。発火バー６６中の曲げ応力を減少させることにより、発火バーを永続的に曲げまたは発火バー中に残留歪を生じさせる恐れが低くなり、発火のつかえの恐れが低くなり、下方発火バー引っ込み力が確保されると共に発火システムのスムーズな動作が得られる。

図９では、外科用器械１９００が、二重クロージャピボットを有している。単一フレームピボット関節運動継手１９０２は、下側二重ピボットリンク１４０およびドッグボーン形リンク１８１２に取って代わる別の中実壁支持板機構１９０４を示している。左発火バー支持体１９０６および右発火バー支持体１９０８が、クロージャスリーブ組立体１９１２の下側二重ピボットリンク１９１０から上方に延びている。クロージャスリーブ組立体１９１２が遠位側へ動いてアンビル４２（図９には図示せず）を閉鎖し、近位側へ動いてアンビル４２を開放するとき、発火バー支持体１９０６，１９０８が移動するようにするための隙間１９１４が、フレームグラウンド１９１６に設けられている。上述の旋回ドッグボーン形リンク１８１２と同様、この別の下側二重旋回リンク１９１０もまた、発火バー６６（図９には図示せず）を支持した状態でこれを曲げて最高でステープル留め組立体２０の曲げ角度の半分である２つの互いに間隔を置いた曲げ角度を有するようにする。

側方部材案内機構
さらに図９を参照すると、フレームグラウンド１９１６に設けられた左および右上向きフランジ１９１８，１９２０が、Ｔ−バー１９２６に設けられた穴を側方に通過して関節運動機構１９２８のつかえを最小限に抑えるのを助ける遠位および近位側方ピンガイド１９２２，１９２４を有している。別の例として、図７において、Ｔ−バー１０４は有利に、鳩尾型側方ガイド１９３０を有し、この側方ガイドは、Ｔ−バーに形成された鳩尾型チャネル１９３２内で側方に摺動する。さらに別の例として、図１２において、フレームグラウンド１９３６に設けられた隆起リブ１９３４が、Ｔ−バー１９４０に形成された矩形スロット１９３８内に受け入れられている。つかえを生じない側方並進を一段と容易にするため、遠位および近位側方支承軌道は各々、それぞれ複数の玉軸受１９４６，１９４８を有している。さらに別の例として、図１３において、複数個のフレーム側方溝１９５０〜１９５４が、フレームグラウンド１９５６に形成され、これに対応したＴ−バー側方溝１９５８〜１９６２がＴ−バー１９６４に設けられている。摺動ローラ１９６６〜１９７０が、それぞれ対をなす側方溝１９５０／１９５８，１９５２／１９６０，１９５４／１９６２内に捕捉された状態で位置している。これらは、Ｔ−バー１９４０の望ましくない起動または回転を阻止する側方案内部材の全てではない。

二重旋回フレームグラウンドと単一旋回クロージャの組合せ
図１４および図１５では、別のフレームグラウンドおよび閉鎖機構２２００が、二重旋回フレーム組立体２２０４を有する外科用器械２２０２を有している。特に、フレームグラウンド２２０６は、二重旋回フレームドッグボーン２２１０により遠位フレーム部材２２０８に連結され、この二重旋回フレームドッグボーンは、フレームグラウンド２２０６に設けられた近位ボア２２１４に軸を中心に回転可能に係合する近位ピボットピン２２１２および遠位フレーム部材２２０８の遠位ボア２２１８に係合する遠位ピボットピン２２１６を有する。発火バー６６（図１４および図１５には図示せず）を収納状態で案内する案内スロット２２２０が、ドッグボーン２２１０の下面に設けられている。ナイフスロット２２２２が、遠位フレーム部材２２０８に設けられている。図示のように、クロージャリング２２３０を４５°の角度まで関節運動させることにより、遠位フレーム部材２２０８が４５°の角度まで関節運動すると共にフレームドッグボーン２２１０がその角度の半分まで関節運動する。その結果、発火バー６６は、互いに間隔を置いた２つの浅い半分の曲げを受け、上述した利点の全てを有する。

最も外側のクロージャスリーブ組立体２２２４は、フレーム組立体２２０４の二重旋回設計の唯一の旋回軸線がその長手方向閉鎖運動に対応する点において異なっている。図示のように、クロージャ管シャフト２２２６は、遠位端にクレビス（Ｕ字形リンク）を有している。クレビス２２２８は、クロージャリング２２３０に軸を中心に回転可能に係合している。クロージャリング２２３０は、遠位端のところに形成された近位歯車２２３２を有し、ピン２２３４が、クレビス２２２８の上方タング（突起部）２２３６に軸を中心に回転可能に係合し、下側アーム２２３８が、クレビス２２２８の下側タング２２４０に係合している。クレビス２２２８に設けられた穴２２４２が、側方案内ピン２２４３を受け入れ、内部のＴ−バー２２４４に摺動自在に取り付けられてクロージャリング２２３０の近位歯車２２３２に係合している。かくして、この変形例としての機構２２００は、上述した機構とは逆の別の技術的思想としての単一／二重ピボットを用いている。即ち、単一旋回フレームグラウンドを備えた上述の二重旋回クロージャ機構とは異なり、この変形例としての閉鎖機構は、単一のピボットを有し、変形例としてのフレームグラウンドは、二重ピボットを有している。

側方運動関節運動機構
図１６〜図１９では、側方運動が用いられてエンドエフェクタ２３２の関節運動を行わせている状態を示すよう側方運動関節運動機構２３０が概略的に示されている。側方運動は、外科用器具２３４の長手方向軸線に向かうまたはこれから遠ざかる少なくとも１つの要素の運動である。この運動は一般に、機構２３０を２等分する水平線である長手方向軸線に対して直角であり、回転運動または長手方向運動を含まない。側方運動関節運動機構は、図１６〜図１９に示すように流体の作用で作動されるものであってもよく、或いは、図２０〜図２３に示すように機械的に作動されるものであってもよい。

側方運動流体関節運動機構
側方運動関節運動機構２３０は、図１６〜図１９に概略的に示されており、この関節運動機構は、流体制御システム２３５を有し、この流体制御システムは、この中で長手方向に延びる流体で満たされた互いに平行な左流体ブラダ２３６および右流体ブラダ２３８を有し、これら流体ブラダは、流体２４２の運動により側方部材またはＴ−バー２４０を側方に移動させる。全ての方向は、長手方向軸線を基準としている。図１６および図１７の非関節運動図を参照すると、遠位側に設けられたエンドエフェクタ２３２は、ピン２４４を中心として旋回し、このエンドエフェクタは、近位端に歯車セグメント２４６を有している。ピボットピン２４４が、フレーム（図示せず）に取り付けられている。Ｔ−バー２４０の遠位端のところに設けられたラック２４８が、歯車セグメント２４６に作動可能に係合する。Ｔ−バー２４０およびラック２４８は、軸線Ａ−Ａに沿って側方に動くことができる。長い左および右流体ブラダ２３６，２３８の遠位部分は、側方に動くことができるＴ−バー２４０の側方に位置し、この遠位部分は、クロージャスリーブ２５０内に側方に拘束されると共にフレーム２５２によって垂直方向下方に拘束され、またスペーサ２５４によって垂直方向上方に拘束される。左側作動流体ブラダ２３６は、流体２４２で満たされていて、この流体ブラダは、左側遠位作動ブラダ２５６、左側流体通路２５８および左側近位リザーバブラダ２６０を有している。右側流体ブラダ２３８は、流体２４２を収容しており、この右側流体ブラダは、右側遠位作動ブラダ２６２、右側流体通路２６４および右側近位リザーバブラダ２６８を有している。固定仕切り２７０がフレーム２５２から延出し、ブラダ２６０，２６８と流体通路２５８，２６４を分離している。固定仕切り２７０およびクロージャスリーブ２５０は、流体通路２５８，２６４を拘束し、ブラダ２３６，２３８の流体通路部分２５８，２６４の拡張を阻止する。近位リザーバブラダ２６０，２６８のうちの一方の圧縮およびエンドエフェクタ２３２の関節運動のための側方に動くことができる“Ｃ”字形圧縮部材２７２が、関節運動制御機構２３０に設けられている。加うるに、他の部品、例えばフレーム２５２に設けられた発火バースロット２７６を貫通した発火バー２７４を設けるのがよい（図１７および図１９）。

図２、図１８および図１９に示すように、Ｃ字形圧縮部材２７２を左側に側方運動させると、右側近位リザーバブラダ２６０が圧縮されて、流体が右側流体通路２５８および右側遠位作動ブラダ２５６内に送り込まれる。右側遠位作動ブラダ２５６がＴ−バー２４０を左側に側方に移動させると、左側遠位作動ブラダ２６２が圧縮され、エンドエフェクタ２３２が右側に関節運動される（図示のように上から見て時計回り）。左側遠位作動ブラダ２６２の圧縮により、流体は、左側固定流体通路２６４を通って近位側に流れて左側近位リザーバブラダ２６６内に流入する。特に、Ｃ字形圧縮部材２７２の取付け状態の右側壁２８０は、左側に動き、それにより右側近位リザーバブラダ２６０を圧縮させる。Ｃ字形圧縮部材２７２の取付け状態の左側壁２７８の対応した左側への運動により、流体が拡張中の左側近位リザーバブラダ２６６内に流入すると、圧縮状態の左側リザーバブラダ２６２からの流体のための空間が生じる。

関節運動機構２３０のためのこの流体制御システム２３５は、少なくとも幾つかの利点をもたらす。第１に、関節運動継手または機構２３０に対して近位側への作動ブラダ２５６，２６２の配向により、器械２３４内で長いブラダ２３６，２３８および長いＴ−バー２４０を用いることができる。流体駆動式システムとして、流体制御システム２３５の出力としての力の増大は、２つの方法で達成できる。第１に、Ｔ−バー２４０上の流体面積が一定であるとすると、この一定面積に加わる流体圧力を増大させるのがよい。第２に、流体圧力が一定であるとすると、Ｔ−バー２４０上の流体接触面積を増大させるのがよい。第１の方法の結果として、コンパクトな設計およびより高い系統圧力が得られる。第２の方法の結果として、より大きな設計およびより低い系統圧力が得られる。コストを減少させ、設計を単純化し、系統応力を減少させ、ブラダの破裂の恐れを減少させるため、図示の形態は、長い遠位作動ブラダ２５６，２６２を器械の細長いシャフト内の関節運動機構２３０に対して近位側の有利な位置で示している。ブラダ２５６，２６２を長くすることができると共に関節運動出力を入力圧力が低い場合に高くすることができるのは、ブラダ２５６，２６２のこの配設状態である。

かくして、Ｔ−バー２４０上の遠位バルーン２５６，２６２の圧力接触面積を単に増大させることにより、関節運動機構２３０の出力としての力を増大させることができる（入力圧力が同一の場合）。圧力接触面積の増大は、高さおよび長さに制限される。従来型内視鏡下外科用器械の直径は通気ポートを通過するよう或る特定の直径に固定されているので、これにより、高さの変化が制限される。圧力接触領域の長さの変更は、最も大きな効果をもたらし、これにより、器具の側方出力を、システムが必要とするどのような出力であっても、これに適合するよう（長さを変化させることにより）有利に調整することができる。

側方運動器具内で用いられる流体は、圧縮性であってもよく、非圧縮性であってもよい。本明細書で用いる「流体」という用語は、液体、気体、ゲル、微粒子および圧力勾配相互間で流動することができる任意他の材料を含む。任意の流体を用いることができるが、滅菌溶液、例えば塩水、鉱物油またはシリコーンが特に好ましい。

側方運動機械式関節運動機構
側方運動および関節運動を生じさせる流体機構を上述したが、機械的機構は、流体ブラダ２０６，２０８により得られるのとほぼ同じ側方運動を達成することができる。図２０および図２１では、変形例としての側方運動関節運動機構３００が、外科用器械３０１のための側方運動および関節運動を生じさせる機械的制御システム、特に長手方向に運動する部材を用いている。図示の形態では、特に図２０を参照すると、側方運動スライドバー３０２が、細長い長手方向シャフト３０８の互いに反対側の側部でこのスライドバーから側方に延びる少なくとも１対の傾斜した左側カム面３０４と右側カム面３０６を有している。図示の形態では、別の１対の近位左側および右側傾斜カム面３１０，３１２もまた設けられている。右側長手方向運動リンク３１４は、これに対応した内方に差し向けられている遠位および近位傾斜カウンタ面３１６，３１８を有し、これらカウンタ面は、遠位および近位右側カム面３０６，３１２と位置が合ってこれに摺動自在に係合して、運動リンク３１４の遠位側への長手方向運動がスライドバー３０２の左向き側方運動を引き起こすようになっている。理解されるべきこととして、この傾斜接触状態を逆にして遠位側への運動が右向きの運動を引き起こすようにしてもよい。

スライドバー３０２を右に押圧してこれを右側長手方向運動リンク３１４に係合させて右側長手方向運動リンク３１４の逆の近位側への運動がスライドバー３０２の左向き運動を引き起こすように、ばね付勢手段（図示せず）をスライドバー３０２に設けるのがよいことは理解されるべきである。変形例として、図示の形態では、左側長手方向運動リンク３２０が、これに対応した内方に差し向けられている遠位および近位傾斜カウンタ面３２２，３２４を有し、これらカウンタ面は、遠位および近位右側カム面３０４，３１０と位置が合ってこれに摺動自在に係合して、左側長手方向運動リンク３２０の遠位側への長手方向運動がスライドバー３０２の右向き側方運動を引き起こすようになっている。理解されるべきこととして、この傾斜接触状態を逆にして近位側への運動が左向きの運動を引き起こすようにしてもよい。理解されるべきこととして、右側および左側長手方向運動リンク３１４，３２０および摺動バー３０２が、細長いシャフト３２６内に支持され、この細長いシャフトが、リンク３１４，３２０の長手方向運動および摺動バーの側方運動を可能にする。

ソケットボール３２８として示されているスライドバー３０２の遠位端部は、エンドエフェクタ３３４のピボットピン３３２の近位側に整列したＶ字形カム溝３３０内に受け入れられている。かくして、図２１において、右側長手方向運動リンク３１４の近位側への運動および左側長手方向運動リンク３２０の遠位側への運動は、摺動バー３０２の右向きの運動を引き起こし、これに対応してソケットボール３２８の右向きの運動が生じる。かくして、Ｖ字形カム溝３３０は、右向きに駆動され、その最も遠位側の端部３３６が左側に旋回する。変形例として、スライドバー３０２の側方運動を図１６〜図１９を参照して上述したラックと歯車の係合によりエンドエフェクタ３３４の関節運動に変換できる。かくして、長手方向運動を利用する機械的システムを用いると、外科用器械３０１に側方関節運動を与えることができる。

回転可能なリンク
図２２および図２３において、更に変形例としての関節運動機構４００が、外科用器械４０６の関節運動を生じさせるよう側方運動スライドバー４０４として示された側方部材を移動させる回転可能なリンク４０２を用いている。側方運動スライドバー４０４は、エンドエフェクタ（図示せず）の近位端のところで図１６および図２０に関して上述した回転歯車またはカム作用溝と作動可能に係合することができる。回転可能なリンク４０２を少なくとも一方のアーム４０８が長手方向軸線に対して回転自在に横方向にこのリンクから延びてスライドバー内のソケット４１０に嵌まり込んだ状態でスライドバー４０４の下に配置するのがよい。スライドバー４０４は、頂部スペーサ４１２と底部フレーム４１４との間で垂直方向に拘束され、底部フレームは、回転可能なリンク４０２を受け入れてアーム４０８の回転を許容する長手方向トラフ４１６を有している。スペーサ４１２およびフレーム４１４は、管状スリーブ４１８によって包囲されている。回転リンク４０２を回転させることにより、アーム４０８は、弧を描いて動き、それにより、スライドバー４０４が回転方向に動いて側方に移動する。

互いに反対側に位置する座屈可撓性部材を備えた関節運動機構
図２４において、外科用器械５００は、細長いシャフト５０４の長手方向軸線に沿って整列したスライド部材５０２を有し、この外科用器械は、左側座屈部材５０６と右側座屈部材５０８との間の側方運動を可能にし、フレームおよびスペーサ（図示せず）によって垂直方向に拘束されている。各座屈部材５０６，５０８は、それぞれの固定遠位取付け部５１０，５１２および長手方向に並進可能な近位リンク５１４，５１６を有している。それぞれの左側および右側可撓性部材５１８，５２０は、スライドバー５０２に対向して、これらのそれぞれの近位リンク５１４，５１６の遠位側への長手方向運動に関して側方侵入量で、内方に弓形に曲がる。図２４に示す非関節運動状態では、近位リンク５１４，５１６は、差動的には位置決めされておらず、かくして、スライド部材５０２の遠位側に突き出た先端部５２２は、エンドエフェクタ５２８のピボットピン５２６に対して近位側に開口したＶ字形カム溝５２４内に心出しされる。図２５では、左側近位リンク５１４は、遠位側に送り進められており、右側近位リンクは、近位側へ引っ込められており、スライドバー５０２は、右側に側方に並進し、それにより、遠位側に突き出た先端部５２２をカム駆動させてこれをＶ字形カム溝５２４の右側部分に押し付け、その結果、ピボットピン５２６回りのエンドエフェクタ５２８の左向き関節運動が生じる。

電磁式側方関節運動制御機構
図２６において、外科用器械６００は、遠位側に連結されたエンドエフェクタ６０２を有し、このエンドエフェクタは、スライドバー６０８の側方運動により細長いシャフト６０６に対してそのピボットピン６０４回りに弧を描いて選択的に関節運動する。特に、スライドバー６０８の遠位ソケット６１０は、ピボットピン６０４の遠位側で開口したＶ字形カム溝６１２に係合する。スライドバー６０８は、フレームおよびスペーサ（図示せず）により細長いシャフト６０６内で垂直方向に拘束される。スライドバー６０８の互いに反対側の側方側部上で内方に差し向けられた左側および右側圧縮ばね６１４，６１６は、細長いシャフト６０６の遠位端部６１８の近位側に位置する。これらばね６１４，６１６は、スライドバー６０８およびかくしてエンドエフェクタ６０２に心出し付勢力をもたらす。スライドバー６０８の互いに反対側の側部に設けられた左側および右側電磁石６２０，６２２は、スライドバー６０８と一体のまたはこれに取り付けられた鉄製標的６２４を引き付け、それにより選択的に図２７に示すようにスライドバー６０８を側方に変位させ、エンドエフェクタ６０２の関節運動を生じさせるよう選択的に作動される。単純化のため、長手方向に整列したコイルが示されている。ただし、１つ以上の電磁石を整列させてスライドバー６０８に垂直な磁界を生じさせてもよいことは理解されるべきであり、例えば、複数個のコイル（図示せず）をスライドバー６０８の長手方向長さ方向に沿って整列させ、各コイルは、スライドバー６０８の側方運動軸線と整列したその長手方向軸線を有する。

圧力源を備えた関節運動制御機構
図２８では、外科用器械７００は、左側および右側の細長いピストン支持体７０４，７０６を利用した関節運動制御機構７０２を有し、これらピストン支持体は、エンドエフェクタ７１０のピボットピン７０８の各側に側方に取り付けられている。スプール弁７１２が、外科用器械７００の近位部分（例えば、取っ手）７１４に設けられた弁フレーム７１５のボア７１３内に摺動自在に設けられていて、圧力源（例えば、アキュムレータ、ポンプ、定置または携帯可能な圧力源に通じるオリフィス）７１６を選択的に連通させる。スプール弁７１２の側方運動により、流体は、加圧媒体７１８からピストン支持体７０４，７０６のうち一方の中に流入することができる。圧力源７１６からの加圧媒体７１８が、流体または空気圧であるのがよい。例えば、スプール弁７１２は、病院用真空源を細長いピストン支持体７０４，７０６のうちの一方に選択的に連通させることができ、選択された側部を他方の側が大気圧にさらされたときに拡張しまたは違ったやり方で拡張すると、引き戻す。理解されるべきこととして、非圧縮性または圧縮性流体を用いることができる。さらに、細長いピストン支持体７０４，７０６の各々の中の並進物質は、圧力源７１６により作用を受ける近位動的スプールシールを更に有するのがよい。図２９に示すように、細長いピストン支持体７０４，７０６の長手方向長さのそれぞれの増減は、細長い管内で摺動するピストンに起因するのがよく、または変形例として、円周方向に可撓性の物質の伸長に起因していてもよい。

流体ブラダ
図３０では、ブラダ８００は、流体通路または導管８０４を介してリザーバブラダ８０６と流体連通状態にある作動ブラダ８０２を有するよう示されている。この図示の形態では、圧縮ばね８０８が、作動ブラダ８０２を側方に付勢してこれを膨張状態にしている。圧縮ばね８０８を設けた場合の有利な特徴としては、ブラダ８０２を膨張させまたはエンドエフェクタ（図示せず）を心出しする復元力が得られることにあると共に他の利点が得られる。所望ならば、ばねを両方のブラダ８０２，８０６のうちいずれか一方または両方のブラダ８０２，８０６内に設けてもよい。

かかるブラダ８００は、材料の種々の組合せから種々の仕方で作ることができる。これらブラダ８００は、上述した一体部品として示されているが、これらブラダ８００は、多数の部品から組み立てられたものであってもよくまたは単一の一体形流体ブラダ８００として作られたものであってもよい。多数の部品から成る構造の場合、ブラダのうち少なくとも１つを他の要素のうちのいずれかに取り付けるのがよい。組立てのために多くの漏れ止め取付け法、例えば溶接、糊付け、圧力嵌め、熱かしめ加工、圧着取付け、クランプ取付け、接合等が利用できる。２つの基本的な形式の流体ブラダ８００を作ってもよい。一方は、剛性材料またはエラストマー材料で作った高圧非弾性剛性ブラダであり、他方は、低圧エラストマーバルーンである。

医療分野においては剛性バルーン材料が知られており、かかる剛性バルーン材料は、拡張術または血管形成術、或いは血管壁内でのステントの拡張に使用されている。剛性バルーンは、高圧負荷下においてこれらの設計寸法形状を保持する非応従性または低応従性材料で作られている。代表的には、これらバルーンは、薄肉のものであって、伸び率の小さな高張力材料で作られている。これらバルーンの典型的な材料は、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、架橋ポリエチレン、ポリエステル（ＰＥＴ：ポリエチレンテレフタレート）、ナイロン等である。血管形成術用バルーンの場合、ＰＥＴ管の薄肉部分をバルーン形状に吹き込み成型するのがよい。左側および右側流体ブラダは各々、薄肉管の連続一体物から作られたものであるのがよく、近位ブラダと遠位ブラダの両方は、薄肉管の局所部分を拡張させることにより形成される。次に近位および遠位ブラダ領域の拡張は、管を局所的に加熱してブラダ形状物をこの管に吹き込み成型することにより達成できる。成形された流体ブラダの開口端のうちの一方を密封するのがよく、ブラダの他方の開口端は、流体のための充填ポートとしての役目を果たすのがよい。充填後、開口充填ポートを密封する。変形例として、流体ブラダを単一品ではなく多数の部品から組み立ててもよい。流体ブラダ８００の非ブラダ部分、例えば流体通路８０４を剛性または半剛性管または他の材料から作るのがよい。

変形例として、流体ブラダ８００を構成するのにエラストマーバルーンも使用できる。これらエラストマー材料を第１の形状に成形し、圧力を加えると、これらはより大きな形状に拡張することができる。エラストマー材料は、ゴム状弾性を劣化させないで、多数回にわたり拡張したり元の形状に戻ったりできる。剛性材料ほど高い圧力を取り扱うことはできないが、エラストマーブラダは、関節運動するよう使用できる。エラストマー流体ブラダ８００を壁または拘束部相互間に閉じ込めまたは拘束することにより、望ましくない領域中へのブラダ材料の膨れが阻止され、加えることができる力が増大する。図１６〜図１９では、遠位作動ブラダ２５６は、クロージャスリーブ３２とスペーサ２０３とＴ−バー２３０とフレーム３４との間に良好に拘束されている。エラストマーブラダ２１０，２２０を浸漬成形を含む種々の方法により作ることができ、或いは、静注袋のように、２枚のシートを互いに溶接しまたは糊付けすることにより形成してもよい。エラストマーブラダ２１０，２２０をラテックス、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン（登録商標）または多くの弾性または半弾性工業材料のうちのいずれか１つから作ることができる。

加うるに、従来型吹き込み成形法を用いてブラダ８００を形成することができる。血管形成術用バルーンに用いられる薄肉ＰＥＴ収縮管とは異なり、従来型吹き込み成形法では、中空管または成形中空予備成形物を加熱して注入ステーションに運び、ここで、典型的には低圧空気を用いてロッドまたは予備成形物を最初にインフレートさせる。次に、高圧ガスのバーストを用いて拡張状態の高温管または予備成形物をモールドの壁に接触させて吹き込み成形材料を正味の形状に冷却する。薄い壁を作ることができるが、予備成形物吹き込み成形法により得られる薄い壁は、４ミル未満の血管形成術用バルーンよりも非常に厚い。この方法は、ソーダ瓶、剛性管および拡張ブラダを備えた使い捨てピペットおよび容器のような多くの現行の製品を形成する。ブラダ８００の形成に関し、先ず最初に予備成形物を拡張可能ブラダ領域のところに適当な材料厚さをもたせて射出成形して、ブラダを吹き込み成形法で拡張させたときに所望の肉厚が得られるようにする。ブラダをいったん正味の形状に吹き込み成形すると、これらブラダを流体で満たして密封するのがよい。適当な吹き込み成形材料としては、ナイロン、ポリエステル（ＰＥＴ）、ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）および多くの公知の吹き込み成形材料のうちのどれか１つが挙げられる。

剛性およびエラストマーブラダに加えて、ブラダの構造は、弾力があってもよく、たるんだ状態であってもよい。即ち、近位ブラダのうちの少なくとも１つまたは遠位ブラダのうち少なくとも１つは、圧縮して放した後は元の形状に戻る傾向があるばね材料で作られたものであるのがよい。変形例として、近位ブラダのうち少なくとも１つまたは遠位ブラダのうち少なくとも１つは、小さなばね定数の全体としてたるんだ材料、または拡張して元のあらかじめ変形した形状には戻ろうとしない柔軟な非剛性材料で作られたものであってもよい。たるんだブラダまたは弾力のあるブラダ、例えばブラダ８００は、ブラダ８００の壁を外方に押しやる内部圧縮ばね８０８を有するのがよい。内部圧縮ばね８０８は、金属ばね、プラスチックばね、フォーム、押し潰し可能なエラストマー等を含む種々の材料で作られたものであるのがよい。全体がたるんだブラダと部分的に充填されたばねブラダ（通路上）の密封組立ての結果として、ばねブラダが拡張して流体をたるんだブラダから吸い込む。１対の部分圧縮ばねブラダ（ばね定数が等しい壁を有し且つ同一寸法のもの）の組立ての結果として、両方のばねブラダは、部分圧縮状態になる。部分充填ばねブラダのうち一方の圧縮の結果として、非圧縮状態のばねブラダが完全に拡張し、圧縮状態のばねブラダが収縮する。圧縮状態のばねブラダの開放により、圧縮状態のばねブラダが拡張して流体を圧縮状態のばねブラダ中へ吸い戻すことができる。このプロセスは、ばね定数制御方式であり、両方のブラダが同一のばね定数を有している場合、流体は、両方のばねブラダが等しく充填されるまで開放された圧縮状態のばねブラダ内に吸い戻される。所望ならば、ばねブラダについて不釣合いなばね定数を用いると、流体を所望に応じてブラダのうちの一方の中に引き込んで蓄えることができる。

近位リザーバブラダ８０６および遠位作動ブラダ８０２が丸みを帯びた矩形の形状で示されているが、ブラダの実際の断面形状を任意の形状に変更することができる。例えば、遠位および（または）近位ブラダ８０２，８０６をひだ付きベローとして構成すると有利な場合がある。例えば、図３１に示すような外科用器械８１２の管状シャフト８１０は、フレーム８１６から間隔を置いて位置するスペーサ８１４を有する。発火バー８１８が、フレーム８１６の底面に設けられた発火バースロット８２０内を長手方向に並進する。左側作動ブラダ８０２および右側作動ブラダ８２４は両方共、矩形のひだ付き設計のものである。右側作動ブラダ８２４は、圧縮状態で示され、左側作動ブラダ８０２は、管状シャフト８１０とスライドバー８３０との間に画定されたそれぞれの左側または右側側方キャビティ８２６，８２８内で拡張状態で示されている。ひだ付き右側作動ベロー８２４は、容易に潰れて図示のように右側側方キャビティ８２６の制限領域内に入り込む。これと同様に、ひだ付き左側作動ベロー８０２は容易に拡張して、左側側方キャビティ８２８の領域を満たす。図示されていないが、ひだ付きブラダは、図１６〜図１９の近位リザーバブラダ２６０，２６６にも使用できる。作動ブラダおよび遠位ブラダを他の断面形状、例えば丸形、正方形、三角形、六角形、八角形または機構の要望に合う任意他の形状に容易に形成することができる。

流体移送関節運動
上述の側方流体機構は、関節運動を生じさせるのにブラダおよび側方運動を用いているが、次に、他の流体移送機構について説明する。これら流体移送機構は、流体を或る１つの場所から別の場所に移送して関節運動を行わせる本発明の多くの変形例としての機構を示している。

図３２では、外科用器械９００は、流体２４２を、エンドエフェクタ９０６に設けられていて、Ｔ−バー９１０に設けられたラック９０８に係合する近位側に差し向けられた状態の歯車セグメント９０４との間に収容する関節運動機構９０２を有し、このＴ−バー９１０は、左側遠位ブラダ９１４および右側遠位ブラダ９１６の拡張と圧縮の差に応答して細長いシャフト９１２内で側方に並進する。かかる圧縮および拡張は、左側制御ピストン９１８および右側制御ピストン９２０により遠隔制御され、これら制御ピストンは、図示の形態では、それぞれの左側シリンダ９２２および右側シリンダ９２４内で側方運動可能に差し向けられている。それぞれの左側および右側動的シール９２６，９２８は、制御ピストン９１８，９２０とこれらのそれぞれのシリンダ９２２，９２４との間に可動流体密シールを構成する。

このように形成された流体移送関節運動システム９３０は、関節運動機構９０２を右側または左側に選択的に移動させる。図３３では、右側制御ピストン９２０は、右側遠位ブラダ９１６を拡張させるよう作動されており、それにより左側遠位ブラダ９１４は、左側制御ピストン９１８を圧縮してこれを伸長させる。これに対応したＴ−バー９１０の左向き運動により、ラック９０８は、歯車セグメント９０４を時計回りに回転させ、エンドエフェクタ９０６を右側に旋回させる。これと同様に理解されるべきこととして、左側制御ピストン９１８を引っ張ることができ、それにより流体が左側遠位ブラダ９１４から吸い込まれ、または、両方の制御ピストン９１８，９２０が機械的に結合されて一緒に差動的に動く。

図３４では、外科用器械１０００は、エンドエフェクタ１００６の近位側に差し向けられた歯車セグメント１００４を含む関節運動機構１００２を有し、この歯車セグメントは、Ｔ−バー１０１０のラック１００８に係合し、このＴ−バーは、流体移送関節運動システム１０１４に応答して細長いシャフト１０１２内で側方に並進する。より詳しくは、左側および右側連続ブラダ１０２０，１０２２のそれぞれの左側および右側遠位側方作動部分１０１６，１０１８は、細長いシャフト１０１２のクロージャスリーブ１０２４内でＴ−バー１０１０のそれぞれの側部に設けられている。左側および右側近位ブラダ部分１０２６，１０２８は、側方制御機構１０３０の一部である。側方に運動する制御バー１０３２が、左側および右側ピンチローラ１０３４，１０３６を移動させ、これらピンチローラは、左側および右側近位ブラダ部分１０２６，１０２８をそれぞれ押し潰してこれらを左側および右側ピンチ面１０３８，１０４０に押し付け、かかるピンチ面は、硬い表面であってもよく、或いは、ローラとの接触により撓む弾性面であってもよい。

図３５に示す側方に運動する制御バー１０３２の左向きの側方運動により、流体が右側近位ブラダ部分１０２８から絞り出されて右側遠位側方作動部分１０１８内に入る。この側方作動部分の拡張により、Ｔ−バー１０１０の左向き側方運動が生じ、かくして、エンドエフェクタ１００６の右向き関節運動が生じる。この運動と協働して、左側ピンチローラ１０３４を左向きに運動させて左側近位ブラダ部分１０２６に押し付けることにより、流体が左側連続ブラダ１０２０の圧縮中の左側遠位側方作動部分１０１６から流入する空間が生じる。１つ以上のばね１０４２が、側方運動制御バー１０３２およびかくしてピンチローラ１０３４，１０３６をこれらのそれぞれのピンチ面１０３８，１０４０に向かって押圧する。

図２６および図２７では、外科用器械１１００は、エンドエフェクタ１１０６の近位側に差し向けられた歯車セグメント１１０４を含む関節運動機構１１０２を有し、かかる歯車セグメントは、Ｔ−バー１１１０のラック１１０８に係合し、このＴ−バーは、流体移送関節運動システム１１１４に応答して細長いシャフト１１１２内で側方に並進する。特に、Ｕ字形ブラダ１１２０の左側遠位側方作動部分１１１６および右側遠位側方作動部分１１１８が、ピンチ面１１２４（例えば、ピンチローラに対向した平らな表面）に作用する中間ピンチローラ１１２２の間に画定され、それによりＵ字形ブラダ１１２０を２つの部分に効果的に分離している。流体を左側および右側遠位側方作動部分１１１６，１１１８のうちの選択された一方から差動的に押し出すことにより、圧縮力が流体を他方の作動部分内に移送させることができる。図３８および図３９では、ピンチローラ１１２２は、右側に移動しており、右側遠位側方作動部分１１１８を拡張させてＴ−バー１１１０の左向き運動を生じさせ、かくしてエンドエフェクタ１１０６の右向き関節運動を生じさせている。

理解されるべきこととして、Ｕ字形ブラダ１１２０は、中間ピンチローラ１１２２が横断したブラダ中間部分１１２６を有するものとして示されており、このブラダ中間部分は、左側および右側連絡ブラダ部分１１２８，１１３０を介してそれぞれ左側および右側遠位側方作動部分１１１６，１１１８に通じており、これら左側および右側遠位側方作動部分は、剛性導管から成っていてもよくまたは細長いシャフト１１１２の他の構造部分中に形成された流体通路から成っていてもよい。

図４０では、外科用器械１２００は、エンドエフェクタ１２０６の近位側に差し向けられた歯車セグメント１２０４を含む関節運動機構１２０２を有し、かかる歯車セグメントは、Ｔ−バー１２１０のラック１２０８に係合し、このＴ−バーは、流体移送関節運動システム１２１４に応答して細長いシャフト１２１２内で側方に並進する。特に、左側および右側連続ブラダ１２２０，１２２２のそれぞれの左側および右側遠位側方作動部分１２１６，１２１８が、細長いシャフト１２１２のクロージャスリーブ１２２４内でＴ−バー１２１０のそれぞれの側部に設けられている。左側および右側近位ブラダ部分１２２６，１２２８は、側方制御機構１２３０の一部である。特に、左側および右側ベロー圧縮部材１２３２，１２３４は、左側および右側近位ブラダ部分１２２６，１２２８を圧縮し、それぞれ流体を左側および右側遠位側方作動部分１２１６，１２１８内に送り込む。図４１では、右側ベロー圧縮部材１２３４が内方に作動され、右側近位ブラダ部分１２２８を圧縮し、それにより右側遠位側方作動部分１２１８を拡張させている。それにより、Ｔ−バー１２１０は、左側に側方に動かされ、エンドエフェクタ１２０６を右側に関節運動させている。加うるに、左側遠位側方作動部分１２１６が圧縮され、左側近位ブラダ部分１２２６を拡張すると共に左側ベロー圧縮部材１２３２を外方に移動させている。左側への関節運動では、逆の操作が必要である。

図４２では、外科用器械１３００は、エンドエフェクタ１３０６の近位側に差し向けられた歯車セグメント１３０４を含む関節運動機構１３０２を有し、かかる歯車セグメントは、Ｔ−バー１３１０のラック１３０８に係合し、このＴ−バーは、流体移送関節運動システム１３１４に応答して細長いシャフト１３１２内で側方に並進する。特に、Ｔ−バー１３１０の近位部分は、側方スプールボア１３１８内に形成されたスプール弁（「遠位ピストン」）１３１６であり、この側方スプールボアは、細長いシャフト１３１２内に形成された左側流体通路１３２０と右側流体通路１３２２との間に延びてこれらを連通させ、かかる流体通路は、左側および右側近位ボア１３２４，１３２６に通じている。左側および右側近位ピストン１３２８，１３３０は、それぞれの左側および右側近位ボア１３２４，１３２６内で摺動する。流体の損失を阻止するため、近位シール１３３２，１３３４が、それぞれ、近位ピストン１３２８，１３３０の各々に設けられ、左側および右側遠位シール１３３６，１３３８が、それぞれ、スプール弁１３１６の左側および右側端部に設けられている。図４３に示すように、右側近位ピストン１３３０の側方運動（左側への運動）により、遠位ピストン１３１６と左側近位ピストン１３２８の両方の側方運動（左側への運動）が生じ、エンドエフェクタ１３０６が右側に関節運動する。

図４４では、外科用器械１４００は、エンドエフェクタ１４０６と細長いシャフト１４０８との旋回連結部１４０４を含む関節運動機構１４０２を有し、この細長いシャフト１４０８は、流体移送関節運動システム１４１０によって制御される。特に、左側および右側流体ボア１４１２，１４１４は、細長いシャフト１４０８の近位端部１４１６と遠位端部１４１８を流体連通させている。左側流体ボア１４１２は、それぞれ、左側近位シリンダ１４２０および左側遠位シリンダ１４２２で終端している。右側流体ボア１４１４は、それぞれ、右側近位シリンダ１４２４および右側遠位シリンダ１４２６で終端している。理解されるべきこととして、流体ボア１４１２，１４１４は、一体の円筒形管または他の組立て状態の流体部品から成っているのがよい。左側遠位ピストンシール１４３０により密封された左側遠位ピストン１４２８は、長手方向に並進して左側遠位シリンダ１４２２から遠位側に出て旋回連結部１４０４の左側でエンドエフェクタ１４０６に当接する。右側遠位ピストンシール１４３４によって密封された右側遠位ピストン１４３２は、長手方向に並進して右側遠位シリンダ１４２４から遠位側に出て旋回連結部１４０４の右側でエンドエフェクタ１４０６に当接する。左側遠位ピストンシール１４３８によって密封された左側遠位ピストン１４３６は、長手方向に並進して左側近位シリンダ１４２０から近位側に出て、回転関節運動制御アクチュエータ１４４２への左側取付け部１４４０に結合されている。右側近位ピストンシール１４４６により密封された右側近位ピストン１４４４は、長手方向に並進して右側近位シリンダ１４２２から近位側に出て、回転関節運動制御アクチュエータ１４４２への右側取付け部１４４８に結合されている。左側流体ボア１４１２内に取り込まれた左側流体１４５０は、左側近位ピストン１４３６の運動を左側遠位ピストン１４２２に流体の作用で伝達する。右側流体ボア１４１４内に取り込まれた右側流体１４５２は、右側近位ピストン１４４４の運動を右側遠位ピストン１４３２に流体の作用で伝達する。かくして、例えば図４５のように、上から見て回転関節運動制御アクチュエータ１４４２の反時計回りの回転により、右側近位ピストン１４４４、右側流体１４５２およびかくして右側遠位ピストン１４３２が遠位側に送り進められ、他方、左側近位ピストン１４３６、左側流体１４５０およびかくして左側遠位ピストン１４２２が近位側に引っ込められる。エンドエフェクタ１４０６に対する遠位ピストン１４２２，１４３２の差動的当接により、左向きの関節運動が生じる。回転関節運動制御アクチュエータ１４４２の回転を逆にすると、その結果、右向きの関節運動が得られる。

図４６では、外科用器械１５００は、エンドエフェクタ１５０６の近位側に差し向けられた歯車セグメント１５０４を含む関節運動機構１５０２を有し、かかる歯車セグメントは、Ｔ−バー１５１０のラック１５０８に係合し、かかるＴ−バーは、流体移送関節運動システム１５１４に応答して細長いシャフト１５１２内で側方に並進する。特に、左側遠位側方作動部分１５１６および右側遠位側方作動部分１５１８は、音叉の形をしたブラダ１５２０の一部である。回転ポンプ１５２２が、音叉の形をしたブラダ１５２０の円形中間部分１５２２に作用し、ブラダ１５２０を２つの差動的に調節可能な部分に効果的に分離し、流体を左側および右側遠位側方作動部分１５１６，１５１８のうちの選択された一方に送り込み、他方、圧縮力を他方の遠位側方作動部分に伝達して流体をこの他方の遠位側方作動部分から送り出すことができる。図４７では、回転ポンプ１５２２は、上から見て反時計回りに回転しており、それにより右側遠位側方作動部分１５１８を拡張させてＴ−バー１５１０の左向き運動を生じさせ、かくしてエンドエフェクタ１５０６の右向きの関節運動を生じさせている。

図４８では、外科用器械１６００は、近位シリンダキャビティ１６０４を含む流体移送関節運動システム１６０２を有し、この近位円筒形キャビティは、回転制御アクチュエータ１６０６により側方に２等分され且つ静止密封バリヤ１６０８により長手方向に２等分され、それにより、左側および右側近位リザーバ１６１０，１６１２が形成され、これら近位リザーバは、このように構成された４つのうちの２つの遠位コンパートメントである。小さな遠位円筒形キャビティ１６１４はまた、４つの四分円の状態に、側方フォロアアクチュエータ１６１６により同様に２等分され且つ静止密封バリヤ１６１８により長手方向に２等分されており、近位側の２つは、左側および右側遠位コンパートメント１６２０，１６２２である。左側流体導管１６２４が、左側近位リザーバ１６１０と左側遠位コンパートメント１６２０を連通させ、右側流体導管１６２６が、右側近位リザーバ１６１２と右側遠位コンパートメント１６２２を連通させている。かくして、図４９に示すように、回転制御アクチュエータ１６０６の反時計回りの回転により、右側近位リザーバ１６１２の寸法が減少し、他方、左側近位リザーバ１６１０が拡張し、これに対応した反応が、右側および左側遠位コンパートメント１６２２，１６２０のところに生じる。かくして、側方フォロアアクチュエータ１６１６に軸を中心に回転可能に結合されたエンドエフェクタ（図示せず）は、これに応答して関節運動する。

図５０では、外科用器械１７００は、側方に反対側に位置する左側ピストン１７０４と右側ピストン１７０６を含む側方運動制御機構１７０２を有し、これらピストンは、一緒に動いて回転流体流れがこれらピストン相互間を通じさせている円形流体通路１７０８内で生じるようにする。特に、左側ピストンシール１７１０および右側ピストンシール１７１２をそれぞれ備えた各ピストン１７０４，１７０６は、それぞれ左側シリンダボア１７１４および右側シリンダボア１７１６内に受け入れられ、これらシリンダボアは、円形流体通路１７０８により互いに連通状態にあり、この円形流体通路の一部は、長手方向流体通路（図示せず）を含むのがよい。湾曲回転部材１７１８は、この流体流れの差によって外科用器械１７００の細長いシャフト１７２０の長手方向軸線回りに回転する。図５１では、ピストン１７０４，１７０６の右向き側方運動により、回転部材１７１８が６時の位置から８時の位置まで時計回りに動く。理解されるべきこととして、回転部材１７１８は、回転駆動機構（図示せず）、例えば、２００３年７月９日にウェールズ（Wales）等名義で出願された共通譲受人の同時継続米国特許出願第１０／６１５，９７３号明細書（発明の名称：SURGICAL INSTRUMENT INCORPORATING AN ARTICULATION MECHANISM HAVING ROTATION ABOUT THE LONGITUDINAL AXIS）に記載された歯車駆動装置に差動的に結合されており、かかる米国特許出願を参照により、その記載内容全体を本明細書の一部を形成するものとしてここに組み込む。

チラー関節運動
図５２では、外科用器械２４００は、エンドエフェクタ２４０６の近位側に差し向けられたチラー（tiller）２４０４を含むチラー関節運動機構２４０２を有し、かかるチラーは、チラーアーム２４１０を備えた垂直ピボットピン２４０８のところで細長いシャフト２４１２に旋回自在に係合し、このチラーアームは、流体移送関節運動システム２４１４に応答して細長いシャフト２４１２の内部で軸を中心に回転する。特に、左側および右側連続ブラダ２４２０，２４２２のそれぞれの左側および右側遠位側方作動部分２４１６，２４１８は、細長いシャフト２４１２のクロージャスリーブ２４２４内でチラーアーム２４１０のそれぞれの側に設けられている。左側および右側近位ブラダ部分２４２６，２４２８は、側方制御機構２４３０の一部である。特に、左側および右側圧縮部材２４３２，２４３４は、左側および右側近位ブラダ部分２４２６，２４２８を圧縮し、それぞれ流体を左側および右側遠位側方作動部分２４１６，２４１８に送り込む。図５３では、右側圧縮部材２４３４は、内方に作動され、右側近位ブラダ部分２４２８を圧縮し、それにより右側遠位側方作動部分２４１８を拡張させている。それにより、チラーアーム２４１０は、側方に旋回して右側に動かされ、それによりエンドエフェクタ２４０６を右側に関節運動させている。加うるに、左側遠位側方作動部分２４１６が圧縮され、それにより左側近位ブラダ部分２４２６を圧縮させると共に左側圧縮部材２４３２を外方に動かしている。左側への関節運動は、これと逆の操作が必要である。

本発明を幾つかの実施形態の説明により例示し、図示の実施形態をかなり詳細に説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲をかかる細部に制限しまたはいかなる点においても限定することは、本出願人の意図ではない。追加の利点および改造は、当業者には明らかである。

例えば、単一流体移送方式を組み込んでもよく、この場合、単一流体アクチュエータが恐らくは取っ手に対して流体連通状態にはなくまたは空気圧連通状態にはない弾性対向部材により支援された状態で関節運動を起こすために拡張させたり圧縮させたりする。かかる設計と一致した用途としては、例えばＴ−バーに取り付けられたちょうど１つのブラダが挙げられ、流体の抜き取りにより圧縮されると、このブラダがＴ−バーをこれと共に引っ張るようになっている。

本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
（１）外科用器械において、
患者の外部での操作が可能なように構成された近位部分と、
前記近位部分に取り付けられた細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを前記細長いシャフトに取り付ける関節運動継手と、
前記近位部分に取り付けられていて、流体を、前記細長いシャフトを通り第１の流体通路を通って移送するよう動作可能に構成された流体制御装置と、
前記第１の流体通路と流体連通状態にあり、前記流体制御装置により移送された前記流体に反応して前記関節運動継手を作動させることができる第１の流体アクチュエータと、を有する、外科用器械。
（２）実施態様（１）記載の外科用器械において、
前記流体制御装置は、流体を、第２の流体通路を通って逆方向に移送するよう更に構成されており、前記外科用器械は、前記第２の流体通路と流体連通状態にあり、前記流体制御装置により移送された流体に反応して前記第１の流体アクチュエータを助けて前記関節運動継手を作動させる第２の流体アクチュエータを更に有する、外科用器械。
（３）実施態様（２）記載の外科用器械において、
前記細長いシャフト内で側方運動可能に拘束されたスライドバーと、
前記関節運動継手内に位置決めされた前記スライドバーの遠位端部と、
関節運動部材の遠位端部に係合し、前記スライドバーの側方運動を前記エンドエフェクタの旋回運動に変換する前記エンドエフェクタの近位表面と、を更に有し、
前記第１の流体アクチュエータは、前記細長いシャフト内の作動部材の第１の横方向側部に位置決めされた第１のブラダを有し、前記第２の流体アクチュエータは、前記細長いシャフト内の前記作動部材の反対側の第２の横方向側部に位置決めされた第２のブラダを有する、外科用器械。
（４）実施態様（３）記載の外科用器械において、
前記関節運動部材は、前記第１の流体通路および前記第２の流体通路とそれぞれ連通する第１の遠位シリンダおよび第２の遠位シリンダ内で側方に動く互いに反対側に突き出た第１の遠位ピストンと第２の遠位ピストンを含む近位部分を有する、外科用器械。
（５）実施態様（３）記載の外科用器械において、
前記流体制御装置は、
前記第１の流体通路と連通状態にある第１の流体リザーバと、
前記第２の流体通路と連通状態にある第２の流体リザーバと、
前記第１および第２の流体リザーバのうちの選択された一方を圧縮させ、かつ、前記第１および第２の流体リザーバのうちの選択されなかった他方を前記第２のブラダに加わる圧縮力に反応して拡張させることができるよう動作可能に構成された側方アクチュエータと、を有する、外科用器械。
（６）実施態様（５）記載の外科用器械において、
前記第１および第２の流体リザーバは、それぞれのピストンシリンダを有し、前記関節運動制御装置は、前記第１および第２のピストンシリンダ内に運動可能にそれぞれ受け入れられた第１および第２のピストンを有する、外科用器械。
（７）実施態様（５）記載の外科用器械において、
前記関節運動制御装置は、前記第１および第２の流体リザーバを差動的に圧縮する手段を有する、外科用器械。
（８）実施態様（３）記載の外科用器械において、
前記流体制御装置は、
前記第１の流体通路および前記第２の流体通路と連通状態にある流体リザーバと、
前記流体リザーバを第１のリザーバ部分および第２のリザーバ部分に分離する可動密封面と、
前記可動密封面を移動させて前記第１および第２のリザーバ部分の各々について流体容積を差動的に調節するよう動作可能に構成された側方アクチュエータと、を有する、外科用器械。
（９）実施態様（８）記載の外科用器械において、
前記側方アクチュエータは、前記第１および第２のリザーバ部分の各々について流体容積を差動的に調節する手段を有する、外科用器械。
（１０）実施態様（３）記載の外科用器械において、
前記エンドエフェクタの前記近位表面は、歯車セグメントを有し、前記スライドバーの前記遠位端部は、歯車ラックを有する、外科用器械。

（１１）実施態様（１０）記載の外科用器械において、
前記細長いシャフト内に設けられていて、選択的に遠位側に長手方向に並進して前記エンドエフェクタの前記歯車セグメントに係合して関節運動継手をロックするロック部材を更に有する、実施態様（１０）記載の外科用器械。
（１２）実施態様（１１）記載の外科用器械において、
前記ロック部材は、遠位側に付勢され、前記ロック部材は、近位ピンを有し、前記関節運動制御装置は、歯付き表面を有し、前記歯付き表面は、作動中、前記近位ピンを近位側にカム駆動し、前記関節運動制御装置が停止すると、前記近位ピンが前記歯付き表面の対応の歯根元部内に遠位側へ動くことができるようにする、外科用器械。
（１３）実施態様（２）記載の外科用器械において、
前記第１および第２の流体アクチュエータはそれぞれ、第１および第２の遠位ピストンを有し、該遠位ピストンは各々、前記遠位ピストンの旋回軸線周りに間隔を置いて位置する前記エンドエフェクタの互いに反対側の側部に係合する、外科用器械。
（１４）実施態様（１３）記載の外科用器械において、
前記関節運動制御装置は、前記第１および第２の流体通路のうちの選択された一方を加圧流体源に結合し、圧力を前記第１および第２の流体通路のうちの選択されなかった他方に逃がすよう動作可能に構成されたセレクター弁を有する、外科用器械。
（１５）実施態様（１３）記載の外科用器械において、
前記第１および第２の流体リザーバは、それぞれの近位ピストンシリンダを有し、前記関節運動制御装置は、前記第１および第２のピストンシリンダ内で運動自在に受け入れられたそれぞれの第１および第２の近位ピストン、および前記第１および第２の近位ピストンを差動的に動かすよう位置決めされた回転制御アクチュエータを有する、外科用器械。
（１６）実施態様（２）記載の外科用器械において、
前記関節運動継手は、チラーアームを提供するよう前記エンドエフェクタから近位側へ突き出ていて、前記細長いシャフト内に軸を中心に回転可能に受け入れられ、前記細長いシャフト内を延びるチラーを有し、前記第１の流体アクチュエータは、前記細長いシャフト内のチラーアームの第１の横方向側部に位置決めされた第１のブラダを有し、前記第２の流体アクチュエータは、前記細長いシャフト内の前記チラーアームの反対側の第２の横方向側部に位置決めされた第２のブラダを有する、外科用器械。

（１７）外科用器械において、
患者の外部での操作が可能なように構成された近位部分と、
前記近位部分に取り付けられた細長いシャフトであって、当該細長いシャフトの近位部分を貫通して第１および第２の流体通路が設けられたシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを前記細長いシャフトに取り付ける関節運動継手と、
前記近位部分に取り付けられていて、流体を、前記第１および第２の流体通路を通り前記細長いシャフトを通って差動的に移送させるよう動作可能に構成された流体制御装置と、
前記第１の流体通路と流体連通状態にある第１の流体アクチュエータと、
前記第２の流体通路と流体連通状態にある第２の流体アクチュエータと、を有し、
前記第１の流体アクチュエータと前記第２の流体アクチュエータは協働して、流体の前記差動的移送に反応して前記関節運動継手を作動させる、外科用器械。
（１８）実施態様（１７）記載の外科用器械において、
前記流体は、非圧縮性である、外科用器械。
（１９）実施態様（１７）記載の外科用器械において、
前記流体は、圧縮性である、外科用器械。

（２０）外科用器械において、
患者の外部で操作可能に構成された近位部分と、
前記近位部分に取り付けられた細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを前記細長いシャフトに取り付ける関節運動継手と、
流体を、二方向で前記細長いシャフトを通して移送する流体制御手段と、
前記細長いシャフトからの前記移送流体に反応して前記関節運動継手を関節運動させる流体作動手段と、を有する、外科用器械。

開放したエンドエフェクタまたはステープル留め組立体を備え、ステープルカートリッジが取り出された状態で示された外科用ステープル留め兼用切断器械の前且つ上から見た斜視図である。 関節運動機構が流体作動制御装置によって制御された図１の外科用ステープル留め兼用切断器械の前且つ上から見た斜視図である。 図１の外科用ステープル留め兼用切断器械の細長いシャフトおよび関節運動機構の分解斜視図である。 ステープル留め組立体および関節運動機構を含む図１の外科用ステープル留め兼用切断器械の作業部分の遠位部分の分解斜視図である。 発火運動により駆動された部品を露出させるようステープルカートリッジの横半分が取り除かれた状態の図１および図４のステープル留め組立体の上から見た斜視図である。 流体関節運動機構により関節運動させられた単一のピボットフレームグラウンドを露出させるよう二重ピボットクロージャスリーブ組立体とエンドエフェクタが取り除かれた状態の図１の外科用器械の作業部分の前から見た斜視図である。 単一ピボットフレームグラウンドを備えた二重旋回クロージャスリーブ組立体を近位位置で示す図１の外科用器械の別の関節運動継手の詳細斜視図である。 二重旋回固定壁ドッグボーン形リンクおよび側方運動部材（Ｔ−バー）のためのレールガイドを組み込んだフレームグラウンドを有する図７の別の関節運動継手の右下から見た分解組立て斜視図である。 発火バーを支持するよう下側二重ピボットリンク内に組み込まれた別の中実壁支持板機構およびレール案内式側方運動部材（Ｔ−バー）を有する図１の外科用器械用の更に別の関節運動継手の左上から見た分解組立て斜視図である。 自動関節運動ロック係合および解除のための後方加重離脱式Ｔ−バーを露出させるようクロージャスリーブ組立体が取り除かれた図１の外科用器械用の別の関節運動ロック機構の概略平面図である。 図１の外科用器械用の更に別の関節運動機構の概略平面図であり、ばねが、エンドエフェクタからの後方加重に起因して係合するロック特徴部を備えたＴ−バーのラックを付勢している状態を示す図である。 図１の外科用器械用の側方誘導装置を組み込んだ別のＴ−バーおよびフレームグラウンドを示す図である。 図１の外科用器械用の側方誘導装置を組み込んだ更に別のＴ−バーおよびフレームグラウンドを示す図である。 図１の外科用器械用の二重旋回フレーム組立体および単一旋回クロージャスリーブ組立体を有する別の関節運動機構の左上から見た分解斜視図である。 図１４の別の関節運動機構の左下から見た斜視図である。 ラックおよび歯車セグメントの軸を中心とした回転が非関節運動状態で示された側方動作式流体関節運動機構の略図である。 図１６の流体関節運動機構の１７−１７線断面正面図である。 ラックおよび歯車セグメントの軸を中心とした回転が関節運動状態で示された側方動作式流体関節運動機構の略図である。 図１８の流体関節運動機構の１９−１９線断面正面図である。 スライドバーを側方にカム駆動し、それによりエンドエフェクタを関節運動させる少なくとも１つの長手方向に運動する部材によって関節運動された外科用器械の概略平面図である。 関節運動状態にある図２０の外科用器械の概略平面図である。 Ｔ−バーまたはスライドバーをそれぞれ側方に並進させる図１６または図２０の外科用器械用の別の回転リンク機械式制御システムを非関節運動状態で示した断面正面図である。 関節運動状態にある図２２の別の回転リンク機械式制御システムの断面正面図である。 エンドエフェクタを関節運動させるよう各々が長手方向に調節可能な近位エンドポイントを備えた１対の座屈部材によって側方に位置決めされたスライドバーを有する外科用器械の概略平面図である。 関節運動状態で示された図２４の外科用器械の概略平面図である。 電磁側方関節運動制御機構を有する外科用器械の概略平面図である。 関節運動状態にある図２６の外科用器械の概略平面図である。 加圧流体源および関節運動制御機構を有する外科用器械の概略平面図である。 関節運動状態にある図２８の外科用器械の概略平面図である。 側方圧縮ばねを備えたブラダの略図である。 ブラダ用の１対の押し潰し可能なベローを有する外科用器械の管用シャフトの断面正面図であり、関節運動位置にあるＴ−バー、拡張状態の一方のベローおよび押し潰し状態の一方のベローを示す図である。 Ｔ−バーに設けられていて、関節運動機構を軸を中心に回転させる互いに反対側のピストン駆動ブラダの流体移送関節運動が可能な外科用器械の概略平面図である。 関節運動状態にある図３２の外科用器械の概略平面図である。 関節運動機構を軸を中心に回転させるＴ−バーに設けられていて、側方運動ピンチローラにより作動される互いに反対側のブラダの流体移送関節運動が可能な外科用器械の概略平面図である。 関節運動状態にある図３５の外科用器械の概略平面図である。 中間部分ピンチローラにより差動的に作動された単一ブラダの互いに反対側の遠位部分の流体移送関節運動が可能な外科用器械の概略平面図である。 図３６の外科用器械の３７−３７線に沿って見た中間部分ピンチローラの断面図である。 関節運動状態にある図３６の外科用器械の概略平面図である。 図３８の外科用器械の３９−３９線に沿って見た中間部分ピンチローラの断面図である。 ベロー圧縮部材を差動的に作動させる単一ブラダの互いに反対側の遠位部分の流体移送関節運動が可能な外科用器械の概略平面図である。 右側に関節運動した図４０の外科用器械の概略平面図である。 ピストンによって押し退けられた流体運動により並進運動した側方スプール弁の近位側に結合されたＴ−バーの流体移送関節運動が可能な外科用器械の概略平面図である。 関節運動状態にある図４２の外科用器械の概略平面図である。 エンドエフェクタを細長いシャフトへのその旋回取付け部周りに差動的に作動させるよう流体の作用で並進した遠位ピストンを遠位側へ突出させる左上右流体ボアを有する外科用器械の概略平面図である。 近位ピストンをそれぞれの流体ボア内に差動的且つ近位側へ並進させる関節運動制御装置の回転に応答した左側関節運動状態にある図４４の外科用器械の概略平面図である。 遠位端部が中間部分回転ポンプによる流体押し退けに応答して関節運動機構を側方に並進させる音叉の形をしたブラダを有する外科用器械の概略平面図である。 回転ポンプがエンドエフェクタの右方関節運動を生じさせるよう上から見て反時計回りに作動された図４６の外科用器械の概略平面図である。 近位２ベーン型制御装置に差動的且つ流体的に結合された２ベーン遠位タービンを備えた流体移送関節運動機構を有する外科用器械の概略平面図である。 近位２ベーン制御装置がエンドエフェクタの左方回転を生じさせるよう上から見て反時計回りに回転した状態の図４９の外科用器械の概略平面図である。 細長いシャフト内の円形流体通路回りの回転運動を生じさせるよう互いに反対側のピストンを用いた流体移送関節運動機構を備えた外科用器械の概略背面図である。 回転部材が右方側方制御入力に起因して時計回りに動いた状態の図５０の外科用器械の概略背面図である。 流体移送により位置決めされたチラー関節運動機構の外科用器械の概略平面図である。 右側に関節運動した図５２の外科用器械の概略平面図である。

符号の説明

１０ 外科用ステープル留め兼用切断器械
１２ 作業部分
１４，２３０，３００，４００，２００２ 関節運動機構
１６ 細長いシャフト
１８ 関節運動制御装置
２０ ステープル留め組立体またはエンドエフェクタ
２２ 取っ手部分
２４ ピストル型握り
２６ クロージャトリガ
２８ 発火トリガ
３０ クロージャ解除ボタン
４６ クロージャスリーブ組立体
４４ フレーム組立体
８０ 関節運動アクチュエータ
９４ 流体関節運動システム
１１６ 関節クロージャ管
１７８ 交換可能なステープルカートリッジ
２００，２０００ 関節運動ロック機構
５００，６００，７００，９００，１０００，１１００，１２００，１３００，１４００，１５００，１６００，１７００，１９００，２００４ 外科用器械
１８０１ 関節運動継手

Claims (11)

1. 外科用器械において、
   患者の外部での操作が可能なように構成された近位部分と、
   前記近位部分に取り付けられた細長いシャフトと、
   エンドエフェクタと、
   前記エンドエフェクタを前記細長いシャフトに取り付ける関節運動継手と、
   前記近位部分に取り付けられていて、流体を、前記細長いシャフトを通り第１の流体通路を通って移送するよう動作可能に構成された流体制御装置と、
   前記第１の流体通路と流体連通状態にあり、前記流体制御装置により移送された前記流体に反応して前記関節運動継手を作動させることができる第１の流体アクチュエータと、
   を有する、外科用器械。
2. 請求項１記載の外科用器械において、
   前記流体制御装置は、流体を、第２の流体通路を通って逆方向に移送するよう更に構成されており、
   前記外科用器械は、前記第２の流体通路と流体連通状態にあり、前記流体制御装置により移送された流体に反応して前記第１の流体アクチュエータを助けて前記関節運動継手を作動させる第２の流体アクチュエータを更に有する、外科用器械。
3. 請求項２記載の外科用器械において、
   前記細長いシャフト内で側方運動可能に拘束されたスライドバーと、
   前記関節運動継手内に位置決めされた前記スライドバーの遠位端部と、
   関節運動部材の遠位端部に係合し、前記スライドバーの側方運動を前記エンドエフェクタの旋回運動に変換する前記エンドエフェクタの近位表面と、を更に有し、
   前記第１の流体アクチュエータは、前記細長いシャフト内の作動部材の第１の横方向側部に位置決めされた第１のブラダを有し、前記第２の流体アクチュエータは、前記細長いシャフト内の前記作動部材の反対側の第２の横方向側部に位置決めされた第２のブラダを有する、外科用器械。
4. 請求項３記載の外科用器械において、
   前記関節運動部材は、前記第１の流体通路および前記第２の流体通路とそれぞれ連通する第１の遠位シリンダおよび第２の遠位シリンダ内で側方に動く互いに反対側に突き出た第１の遠位ピストンと第２の遠位ピストンを含む近位部分を有する、外科用器械。
5. 請求項３記載の外科用器械において、
   前記流体制御装置は、
   前記第１の流体通路と連通状態にある第１の流体リザーバと、
   前記第２の流体通路と連通状態にある第２の流体リザーバと、
   前記第１および第２の流体リザーバのうちの選択された一方を圧縮させ、かつ、前記第１および第２の流体リザーバのうちの選択されなかった他方を前記第２のブラダに加わる圧縮力に反応して拡張させることができるよう動作可能に構成された側方アクチュエータと、を有する、外科用器械。
6. 請求項５記載の外科用器械において、
   前記第１および第２の流体リザーバは、それぞれのピストンシリンダを有し、前記関節運動制御装置は、前記第１および第２のピストンシリンダ内に運動可能にそれぞれ受け入れられた第１および第２のピストンを有する、外科用器械。
7. 請求項５記載の外科用器械において、
   前記関節運動制御装置は、前記第１および第２の流体リザーバを差動的に圧縮する手段を有する、外科用器械。
8. 請求項３記載の外科用器械において、
   前記流体制御装置は、
   前記第１の流体通路および前記第２の流体通路と連通状態にある流体リザーバと、
   前記流体リザーバを第１のリザーバ部分および第２のリザーバ部分に分離する可動密封面と、
   前記可動密封面を移動させて前記第１および第２のリザーバ部分の各々について流体容積を差動的に調節するよう動作可能に構成された側方アクチュエータと、を有する、外科用器械。
9. 請求項８記載の外科用器械において、
   前記側方アクチュエータは、前記第１および第２のリザーバ部分の各々について流体容積を差動的に調節する手段を有する、外科用器械。
10. 請求項３記載の外科用器械において、
    前記エンドエフェクタの前記近位表面は、歯車セグメントを有し、前記スライドバーの前記遠位端部は、歯車ラックを有する、外科用器械。
11. 外科用器械において、
    患者の外部での操作が可能なように構成された近位部分と、
    前記近位部分に取り付けられた細長いシャフトであって、当該細長いシャフトの近位部分を貫通して第１および第２の流体通路が設けられたシャフトと、
    エンドエフェクタと、
    前記エンドエフェクタを前記細長いシャフトに取り付ける関節運動継手と、
    前記近位部分に取り付けられていて、流体を、前記第１および第２の流体通路を通り前記細長いシャフトを通って差動的に移送させるよう動作可能に構成された流体制御装置と、
    前記第１の流体通路と流体連通状態にある第１の流体アクチュエータと、
    前記第２の流体通路と流体連通状態にある第２の流体アクチュエータと、を有し、
    前記第１の流体アクチュエータと前記第２の流体アクチュエータは協働して、流体の前記差動的移送に反応して前記関節運動継手を作動させる、外科用器械。
    

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