以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す内視鏡洗滌消毒装置の斜視図、図2は、図1のトップカバーが開成され、洗滌消毒槽に内視鏡が収容自在な状態を示す内視鏡洗滌消毒装置の斜視図である。
同図に示すように、内視鏡洗滌消毒装置1は、使用済みの内視鏡100を洗滌、消毒するための装置であり、洗滌装置本体2と、その上部に、例えば図示しない蝶番を介して開閉自在に接続された蓋体であるトップカバー3とにより、主要部が構成されている。
図1に示すように、トップカバー3が、装置本体2の上部に閉成されている状態では、装置本体2とトップカバー3とは、装置本体2及びトップカバー3の互いに対向する位置に配設された、例えばラッチ8により施錠される構成となっている。
装置本体2の操作者が近接する図中前面(以下、前面と称す)であって、例えば左半部の上部に、洗剤/アルコールトレー11が、装置本体2の前方へ引き出し自在に配設されている。
洗剤/アルコールトレー11には、内視鏡100を洗滌するに際し用いる液体である洗剤が注入されたタンク11a、及び洗滌消毒後の内視鏡100を乾燥する際に用いられる液体であるアルコールが注入されたタンク11bが収納されており、洗剤/アルコールトレー11が、引き出し自在なことにより、各タンク11a,11bに、所定に液体が補充できるようになっている。
尚、洗剤/アルコールトレー11には、窓部11mが設けられており、該窓部11mにより、各タンク11a,11bに注入されている洗剤及びアルコールの残量が操作者によって確認できるようになっている。この洗剤は、給水フィルタにより滅菌処理がされた水道水により所定の濃度に希釈される濃縮洗剤である。本実施の形態では、以下の説明において、前記洗剤と前記水道水との混合液を洗滌液という。
また、装置本体2の前面であって、例えば右半部の上部に、カセットトレー12が、装置本体2の前方へ引き出し自在に配設されている。カセットトレー12には、内視鏡100を消毒する際に用いる、液体である、例えば過酢酸等の消毒液が注入されたボトル12aが収納されており、カセットトレー12が、引き出し自在なことにより、ボトル12aに、所定に液体が補充できるようになっている。
さらに、装置本体2の前面であって、カセットトレー12の上部に、洗滌消毒時間の表示や、消毒液を加温するための指示釦等が配設されたサブ操作パネル13が配設されている。また、装置本体2の図中前面の下部に、装置本体2の上部に閉成されたトップカバー3を、操作者の踏み込み操作により、図2に示すように、装置本体2の上方に開成するためのペダルスイッチ14が配設されている。
また、図2に示すように、装置本体2の上面の、例えば操作者が近接する前面側の図中右端寄りに、装置本体2の洗滌,消毒動作スタートスイッチ、及び洗滌,消毒モード選択スイッチ等の設定スイッチ類が配設されたメイン操作パネル25が設けられている。
また、装置本体2の上面であって、操作者が近接する前面に対向する側に、装置本体2に水道水を供給するための、水道栓に接続されたホースが接続される給水ホース接続口31が配設されている。尚、給水ホース接続口31には、水道水を濾過するメッシュフィルタが配設されていてもよい。
さらに、装置本体2の上面の略中央部に、上方に開口する内視鏡収容口をトップカバー3によって開閉される、内視鏡100が収容自在な洗滌消毒槽4が設けられている。洗滌消毒槽4は、槽本体50と該槽本体50の内視鏡収容口の外周縁に連続して周設されたテラス部51とにより構成されている。
槽本体50は、使用後の内視鏡100が洗滌消毒される際、該内視鏡100が収容自在であり、槽本体50の槽内の面である底面50tには、槽本体50に供給された流体である、洗滌液,水,消毒液等を槽本体50から排水するための排水口55が設けられている。
また、槽本体50の槽内の面である周状の側面50sの任意の位置に、槽本体50に供給された洗滌液,水,消毒液等を、槽本体50から、後述する手段を介して内視鏡100の内部に配設された各管路に供給する、またはフィルタ等を介し、後述する給水循環ノズル24から槽本体50に再度上記液体を供給するための循環口56が設けられている。尚、循環口には、洗滌液,水,消毒液等を濾過するフィルタが設けられていても良い。
また、この循環口56は、槽本体50の底面50tに設けられていてもよい。循環口56が槽本体50の底面50tに設けられていれば、より早く水没するため、内視鏡100の各管路、または再度槽本体50への、洗滌液,水,消毒液等の供給タイミングを早めることができる。さらに、使用者が循環口56に設けられたフィルタ等を交換するに際し、底面に設けられていると、操作者がアプローチしやすくなるといった利点がある。
また、洗滌消毒槽4の槽本体50の底面50tの略中央には、内視鏡洗滌消毒装置1の図示しない内部の給水管に消毒液を供給し、この給水管を消毒する管路消毒用ポート7が配設されている。
槽本体50の側面50sの任意の位置に、槽本体50に供給された洗滌液、水、消毒液等の水位を検出するカバー付き水位センサ32が設けられている。
洗滌消毒槽4のテラス部51は、斜め上方に指向する傾斜面、具体的には、槽本体50の、例えば底面50tに対して、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜した周状の面(以下、テラス面と称す)51tを有して形成されている。尚、テラス部51の傾きは、底面50tに限らず、側面50sを基準にしても良い。
また、テラス面51tは、傾斜面に限らず、後述する図6に示すように、斜め上方に指向する曲面、具体的には、接線が、槽本体50の底面50tに対し、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜する曲面であっても良い。
テラス部51のテラス面51t以外の面、即ち槽本体50の底面50tと平行な面に、槽本体50に対し、洗剤タンク11aから、図示しないポンプにより、洗滌液を供給するための洗剤ノズル22及び、図示しない消毒液タンクから、図示しないポンプにより、消毒液を供給するための消毒液ノズル23が配設されている。
さらに、テラス部51の槽本体50の底面50tと平行な面に、槽本体50に対し、洗滌、あるいはすすぎに使用する水を供給する、または槽本体50の循環口56から吸引した洗滌液,水,消毒液等を、再度槽本体50に供給するための給水循環ノズル24が配設されている。
尚、洗剤ノズル22、消毒液ノズル23及び給水循環ノズル24は、テラス面51tに配設されていても良い。
また、テラス部51のテラス面51tの操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに、内視鏡100の内部に設けられた後述する管路に、洗滌液,水,アルコール,消毒液、またはエア等の流体を供給するための送気送水/鉗子口用ポート33と、副送水/副送水/鉗子起上用ポート34と、漏水検知用ポート35とが配設されている。
詳しくは、図3に、図2のテラス部51に、内視鏡100の内部の管路へ洗滌液,水,アルコール,消毒液等を供給するためのポート33を設けた構成を示す部分拡大断面図を示すが、同図に示すように、斜め上方に指向する傾斜面、具体的には、槽本体50の底面50tに対し、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜するよう形成されたテラス面51tの操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに、送気送水/鉗子口用ポート33が2つ配設されている。
言い換えれば、送気送水/鉗子口用ポート33は、テラス部51の操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに、斜め上方に指向する状態で、具体的には、槽本体の底面50tに対して、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θを有して傾斜して配設されている。その結果、ポート33は、操作者200に対向するように配設されている。尚、送気送水/鉗子口用ポート33の傾きの基準は、底面50tに限定されず、側面50sを基準としてもよい。
また、送気送水/鉗子口用ポート33は、2つに限定されない。さらに、図3では図示しないが、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35も、テラス面51tの操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに、斜め上方に指向する状態で、操作者200に対向するよう、副送水/鉗子起上用ポート34は1つ、漏水検知用ポート35は2つ配設されている。尚、副送水/鉗子起上用ポート34は1つ、漏水検知用ポート35は2つに限定されないことも勿論である。
送気送水/鉗子口用ポート33は、槽本体50に設けられた循環口56と、図示しないポンプ等を介して接続されている。また、送気送水/鉗子口用ポート33は、装置本体2に配設された図示しないコンプレッサとも接続されている。
使用済みの内視鏡100が、洗滌消毒槽4に収容された際、2つの送気送水/鉗子口用ポート33には、一端が、内視鏡100の内部に配設された送気送水/吸引用管路の外表面の管路接続口(以下、単に開口と称す)37,38、または処置具挿通用管路の外表面の開口40(いずれも図2参照)に接続された、接続手段であるチューブ(以下、単にチューブと称す)150の他端のコネクタ151がそれぞれ接続されるようになっている。尚、チューブ150は、例えばシリコンにより形成されている。
即ち、2つの送気送水/鉗子口用ポート33は、チューブ150を介して、内視鏡100の内部に配設された送気送水/吸引用管路の外表面の開口37,38、または処置具挿通用管路の外表面の開口40と接続される。尚、この際、2つのポート33と、開口37,38、または開口40とは、分岐チューブを用いるなどして、1対1で接続しなくても良い。
このような接続により、送気送水/鉗子口用ポート33は、槽本体50から循環口56より吸引した洗滌液,水,消毒液等、または装置本体2のコンプレッサから送気されたエアを、コネクタ151、チューブ150、開口37,38,40を介して、内視鏡100の送気送水/吸引用管路及び処置具挿通用管路に送気送水する。その結果、内視鏡100の各管路内は、洗滌、消毒、すすぎ、乾燥等がなされる。
また、副送水/鉗子起上用ポート34は、槽本体50に設けられた循環口56と、図示しないポンプ等を介して接続されている。また、副送水/鉗子起上用ポート34は、装置本体2に配設された図示しないコンプレッサとも接続されている。
使用済みの内視鏡100が、洗滌消毒槽4に収容された際、副送水/鉗子起上用ポート34にも、一端が、内視鏡100の内部に配設された副送水/鉗子起上用管路の外表面の開口48(図2参照)に接続された、チューブ150の他端のコネクタ151が接続されるようになっている。
即ち、副送水/鉗子起上用ポート34は、チューブ150を介して、内視鏡100の内部に配設された副送水/鉗子起上用管路の外表面の開口48と接続される。尚、このチューブ151及びコネクタ151は、ポート33と開口37,38または40とを接続するチューブ151及びコネクタ151とは、別体のものである。
このことにより、副送水/鉗子起上用ポート34は、槽本体50から循環口56より吸引した洗滌液,水,消毒液等、または装置本体2のコンプレッサから送気されたエアを、コネクタ151、チューブ150、開口48を介して、内視鏡100の副送水/鉗子起上用管路に送気送水する。その結果、内視鏡100の副送水/鉗子起上用管路内は、洗滌、消毒、すすぎ、乾燥等がなされる。
さらに、漏水検知用ポート35は、装置本体2に配設された、図示しない漏水検知ポンプと接続されている。使用済みの内視鏡100が、洗滌消毒槽4に収容された際、漏水検知用ポート35にも、一端が、内視鏡100の内部にエアを送りこむための検知口金39(図2参照)に単独で接続された、接続手段であるチューブ150の他端のコネクタ151が接続されるようになっている。
即ち、漏水検知用ポート35は、チューブ150を介して、内視鏡100の内部にエアを送りこむための検知口金39と接続される。尚、このチューブ150及びコネクタ151も、ポート33と開口37,38または40とを接続するチューブ150及びコネクタ151や、ポート34と開口48とを接続するチューブ150及びコネクタ151とは、別体のものである。
このことにより、漏水検知用ポート35は、内視鏡100の内部に漏水検知ポンプから自動的にエアを供給することにより、内視鏡100の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かの検知を行う。
尚、内視鏡100には、色々な形状を有するものがあるため、チューブ150を用いた上述した2つの送気送水/鉗子口用ポート33と送気送水/吸引用管路の外表面の開口37,38との接続や、副送水/鉗子起上用ポート34と副送水/鉗子起上用管路の外表面の開口48との接続や、漏水検知用ポート35と検知口金39との接続は、代表的な例の一つであり、このような接続態様で限定されないことは勿論である。
また、その他の内視鏡洗滌消毒装置1の詳しい構成は、従来のものと同様であるため、その説明は省略する。
次に、このように構成された内視鏡洗滌消毒装置1の作用について説明する。図4は、図3のポートが、槽本体の側面に水平方向に起立するよう設けられている従来の内視鏡洗滌槽の構成を示す部分拡大断面図、図5は、図3のポートが、槽本体の底面と平行なテラス部の面に垂直方向に起立するよう設けられている従来の内視鏡洗滌槽の構成を示す部分拡大断面図である。
尚、内視鏡洗滌消毒装置1の作用は、内視鏡100の各管路内を洗滌消毒するにあたり、チューブ150を、各ポート33,34,35に接続する際の作用以外は、周知であるため、その詳細な説明は省略する。
また、ここでは、2つの送気送水/鉗子口用ポート33と送気送水/吸引用管路の外表面の開口37,38、または処置具挿通用管路の外表面の開口40をチューブ150を用いて接続する場合、副送水/鉗子起上用ポート34と副送水/鉗子起上用管路の外表面の開口48とをチューブ150を用いて接続する場合、漏水検知用ポート35と検知口金39とをチューブ150を用いて接続する場合を、例に挙げて説明する。
内視鏡検査を終了した使用済みの内視鏡100を洗滌消毒するに際しては、先ず、装置本体2のペダルスイッチ14の操作者の踏み込み操作により、トップカバー3を、装置本体2の上方に開成した後、1本または2本の内視鏡100を洗滌消毒槽4の槽本体50に収容する。
その後、内視鏡100の内部に配設された送気送水/吸引用管路及び処置具挿通用管路を洗滌消毒するため、送気送水/鉗子口用ポート33に、一端が、送気送水/吸引用管路の外表面の開口37,38、または処置具挿通用管路の外表面の開口40(いずれも図2参照)に接続されたチューブ150の他端のコネクタ151を接続する。
また、その後、内視鏡100の内部に配設された副送水/鉗子起上用管路を洗滌消毒するため、副送水/鉗子起上用ポート34に、一端が、内視鏡100の内部に配設された副送水/鉗子起上用管路の外表面の開口48(図2参照)に単独で接続された、チューブ150の他端のコネクタ151を接続する。
さらに、その後、内視鏡100の外表面に小さな孔、亀裂等が開いているか否かの検知を行うため、漏水検知用ポート35に、一端が、内視鏡100の内部にエアを送りこむための検知口金39(図2参照)に単独で接続された、チューブ150の他端のコネクタ151を接続する。
ここで、本実施の形態においては、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、斜め上方に指向する傾斜面、具体的には、槽本体50の底面50tに対し、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜するよう形成されたテラス面51tの操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに設けられている。
このことから、内視鏡100の各開口37,38,40,48と、各ポート33,34,35とは十分離間するため、チューブ150を折り曲げるような力が作用しない。よって、図4に示すように、各ポート33,34,35が、洗滌消毒槽4の槽本体50の側面50sに水平方向に起立するよう設けられている、即ち槽本体50の底面50tに対し、略90°傾斜するよう設けられたときのように、各開口37,38,40,48と、各ポート33,34,35とが近接し、チューブ150が途中で座屈してしまうことがない。
また、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、操作者200に対向するよう設けられている。よって、チューブ150のコネクタ151を、各ポート33,34,35に接続するに際し、各ポート33,34,35が、テラス面51tの操作者用操作位置4kの対向側の面51fに設けられていたとしても、図4に示す、槽本体50の底面50tに対し、略90°傾斜するよう設けられたとき、及び図5に示す、槽本体50の底面50tに対し、略0°(180°)傾斜するよう設けられたときと比して、トップカバー3の位置に関わらず、各ポート33,34,35に、コネクタ151を容易に接続できる。
尚、各ポート33,34,35へのコネクタ151接続後の、内視鏡100の外表面及び内視鏡100の内部に配設された各管路内の洗滌消毒処理動作は、周知であるため、その説明は省略する。
内視鏡100の外表面及び内部の各管路内の洗滌消毒、乾燥が終了した後、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34からチューブ150のコネクタ151を抜去する。
該抜去に際し、各ポート33,34が、図5に示すように、槽本体50の水平な底面50tに対し、略0°(180°)傾斜するよう設けられていると、言い換えれば、槽本体50の底面50tと略平行な、操作者用操作位置4kの対向側の面51fに、垂直方向上方に起立するよう設けられていると、洗滌消毒工程終了後の残水やコネクタ151抜去の際等に、液垂れした液130が、面51f及び各ポート33,34の上面に残留してしまい好ましくない。
しかしながら、本実施の形態では、送気送水/鉗子口用ポート33及び副送水/鉗子起上用ポート34は、槽本体50の底面50tに対し、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜するよう形成されたテラス面51tに設けられているため、洗滌消毒終了後はこのテラス上面に残水はなく、コネクタ151抜去の際、液垂れが発生したとしても、該液130は、槽本体50に流れて排水しやすいようになっている。
尚、その後の処理は、周知であるため、その詳しい説明は省略する。
このように、本発明の一実施の形態を示す内視鏡洗滌消毒装置1においては、内視鏡100の内部に配設された各管路を洗滌消毒するに際し、チューブ150のコネクタ151が接続される、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、槽本体50の底面50tに対し、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜するよう形成されたテラス面51tの、操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに設けられていると示した。
このことにより、内視鏡100を洗滌消毒槽4の槽本体50に収容し、内視鏡100の各開口37,38,40,48と、各ポート33,34,35とを、それぞれチューブで接続した際、内視鏡100を2本収容したとしても、洗滌消毒槽4を大型化することなく内視鏡100の各開口37,38,40,48と、各ポート33,34,35とは十分離間するため、チューブ150を折り曲げるような力が作用しない。
よって、チューブが途中で座屈しまうことに起因して、各内視鏡管路に十分な洗滌液、または消毒液等が供給できなくなってしまうこと、及び洗滌消毒中、チューブのコネクタがポートから不意に外れてしまうことを、洗滌消毒槽4を大型化することなく防ぐことができる。
このことから、内視鏡を洗滌消毒槽4に1本のみならず、2本収容したとしても、1本収容を想定した洗滌消毒槽4を大型化することなく洗滌消毒の信頼性を高めることができる。
また、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、操作者200に対向するよう設けられている。よって、チューブ150のコネクタ151を、各ポート33,34,35に接続するに際し、各ポート33,34,35が、テラス面51tの、操作者用操作位置4kの対向側の面51fに設けられていたとしても、各ポート33,34,35にアプローチがしやすい。よって、コネクタ151を各ポート33,34,35に接続する力を逃がすことなく、容易に、コネクタ151を接続することができる。
さらには、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34は、槽本体50の底面50tに対し、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜するよう形成されたテラス面51tに設けられているため、コネクタ151抜去の際、液垂れが発生したとしても、該液130は、槽本体50に流れる。
よって、液130が、テラス部51及び各ポート33,34の上面に残留してしまうことがないことから、水切り性が良く衛生的な洗滌消毒槽4を実現することができる。
以下、本実施の形態の変形例を示す。図6は、図3のポートを洗滌消毒槽の他の面に配設した変形例を示す部分拡大断面図、図7は、図3のポートを槽本体の底面と平行なテラス部の面に配設した後、テラス部と槽本体との間に水はけ手段を設けた変形例を示す部分拡大断面図である。
本実施の形態においては、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、槽本体50の底面50tに対し、略0°,180°及び90°以外の規定の角度θ傾斜するよう形成されたテラス面51tの、操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに設けられていると示した。
これに限らず、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、テラス部51の操作者用操作位置4kに対向する側の面51fであって、槽本体の底面50tに対して、0°,180°及び90°以外の規定の角度θを有して傾斜して配設されるのであれば、図6に示すように、接線が規定の角度θ傾斜する曲面を有するテラス面51tに配設しても良い。
また、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、槽本体の底面50tに対して、0°,180°及び90°以外の規定の角度θを有して傾斜して配設されるのであれば、洗滌消毒槽4の水切り性のみを考慮し、コネクタ151の接続性の向上を無視すれば、テラス部51の操作者用操作位置4kに対向する側の面51fに限定されず、テラス面51tのどの面に設けても良い。
さらに、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35は、斜め上方に指向する状態で、具体的には、槽本体の底面50tに対して、0°,180°及び90°以外の規定の角度θを有して傾斜して配設されるのであれば、コネクタ151の接続性のみを考慮し、洗滌消毒槽4の水切り性を無視すれば、規定の角度θ傾斜したテラス面51tに限らず、図6に示すように、操作者用操作位置4kに対向する側のテラス面51t以外のテラス部51に配設してもよく、さらには、テラス部51に限定されず、槽本体50の側面50sに配設しても良い。
また、図7に示すように、送気送水/鉗子口用ポート33、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35を、規定の角度θ傾斜したテラス面51tに設けない場合、即ち槽本体の底面50tに対して、0°,180°の角度を有するテラス部51の面に設けた場合、テラス部51の操作者用操作位置4kに対向する側の面51fと、槽本体50の側面との間に、規定の角度θ傾斜した水抜き溝等の水はけ手段140を設ければ、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
図8は、送気送水/鉗子口用ポートと、チューブのコネクタとの接続前の状態を示す分解斜視図、図9は、送気送水/鉗子口用ポートと、チューブのコネクタとの接続後の状態を示す断面図である。
ところで、図8、図9に示すように、例えば送気送水/鉗子口用ポート33は、略円筒形状に形成されている。また、送気送水/鉗子口用ポート33の基端部側の外周には、円盤状の外向フランジ33fが形成されており、さらに、コネクタ151が接続される先端側の外周には、接続後のポート33と、コネクタ151とを水密に保つOリング33gが嵌合されている。
さらに、送気送水/鉗子口用ポート33の内部は、図9に示すように、肉厚に形成されており、該内部に、Oリング33pを介して供給弁33bが配設されている。尚、図9では、Oリング33pが、送気送水/鉗子口用ポート33の内部から離間した状態を示している。また、供給弁33bの底部と、送気送水/鉗子口用ポート33の内部に形成された底面との間には、バネ233が配設されている。
よって、供給弁33bは、送気送水/鉗子口用ポート33の内部の底面に、バネ233を介して支持されることから、送気送水/鉗子口用ポート33の内部の内壁を、先端側と基端側を結ぶ方向に摺動自在となるよう配設されている。また、供給弁33bの先端部と、送気送水/鉗子口用ポート33の先端面との間には、供給弁33bの先端部が外方に露出するよう、孔部33hが形成されている。尚、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35も同様の構成を有している。
このように構成された送気送水/鉗子口用ポート33に、チューブ150のコネクタ151を接続すると、図8、図9に示すように、コネクタ151の下部に形成されたハット状の溝部の内周が、ポート33の外周に形成されたOリング33gを介して、ポート33の外周に水密的に嵌合される。
また、この際、コネクタ151の図8中の溝部内の中心に下方に延出するよう形成された押しピン151fが、ポート33の流路を構成する孔部33hに嵌入して、バネ233によって、ポート33の内部の底面に支持された供給弁33bを押圧した結果、Oリング33pは、ポート33の内部から離間し、孔部33hと供給弁33bとの間に間隙が生じる。
このことにより、ポート33から、チューブ150のコネクタ151を介して内視鏡100の各管路に、洗滌液,水,アルコール,消毒液、またはエア等が供給されるようになっている。尚、副送水/鉗子起上用ポート34に、洗滌液,水,アルコール,消毒液、またはエア等を供給する場合、及び漏水検知用ポート35にエアを供給する場合も同様の構成となっている。
このように、内視鏡100の各管路に、洗滌液,水,アルコール,消毒液、またはエア等を供給するに際し、チューブ150のコネクタ151を各ポート33,34,35にそれぞれ接続する場合、洗滌消毒の信頼性を高めるため、洗滌消毒中は、コネクタ151が、各ポート33,34,35から不意に外れることがないよう、各コネクタ151を、各ポート33,34,35に、それぞれ固定する必要がある。
そこで、従来は、ポートへの装着、脱却性の容易性を考慮して、コネクタ151の外周に爪部を1つ設け、該爪部を、例えば送気送水/鉗子口用ポート33の場合は、外向フランジ33fに係止させることにより、洗滌消毒中、コネクタ151が、各ポート33,34,35から不意に外れることがないようにした技術が提案されており、このような1つの爪部を有するコネクタ151は、実用化されている。
しかしながら、このように、1つの爪で各ポート33,34,35にそれぞれコネクタ151を接続すると、例えばポート33の場合では、コネクタ151の1つの爪部のみで、ポート33の外向フランジ33fに係止された結果、係止のバランスが悪くなり、Oリング33gによるシール性が低下するばかりか、洗滌消毒中に、何らかの要因でコネクタ151に脱却方向の力が作用すると、該係止された1つの爪部を支点とし、コネクタ151がポート33から不意に外れてしまう可能性があった。その結果、内視鏡100の各管路の洗滌消毒性の信頼性が低下してしまうといった問題があった。
また、コネクタ151を、例えばポート33から脱却するに際し、従来は、操作者は、コネクタ151の胴体を握りながら、1つの爪部の摘み部を摘んでポート33から脱却していたが、爪部が1つであるため、摘み難く、脱却し難いといった問題があった。
そこで、上述した問題に鑑み、本実施の形態においては、コネクタ151の外周の各々が対向する位置に、図8、図9に示すように、爪部151tを2つ設けた。このことにより、コネクタ151を、例えば送気送水/鉗子口用ポート33に接続した場合、コネクタ151の2つの爪部151tは、図9に示すように、ポート33の外向フランジ33fに2点で係止される。
よって、コネクタ151のポート33に対する係止のバランスが均等となるため、コネクタ151とポート33との間のOリング33gによるシール性が向上するばかりか、洗滌消毒中に、何らかの要因でコネクタ151に脱却方向の力が作用したとしても、コネクタ151がポート33から不意に脱却し難くなることから、内視鏡100の管路の洗滌消毒性の信頼性の低下を防止することができる。即ち向上する。
また、コネクタ151を、ポート33から脱却するに際し、操作者は、互いに対向する2つの爪部151tの2つの摘み部151thを摘むのみで、ワンタッチで抜去することができることから、コネクタ151のポート33からの脱却性が向上する。
尚、以上のことは、副送水/鉗子起上用ポート34及び漏水検知用ポート35に適用する場合でも同様である。
また、図8、図9においては、爪部151tは、2つであると示したが、これに限らず、2つ以上であれば、いくつコネクタ151の外周に設けても良い。さらには、爪部をコネクタ151の外周に、接続後、ポートの外向フランジを周状に係止するよう、周状に設けてもよい。
図10は、内視鏡洗滌装置から側壁を脱却した状態を示す分解斜視図、図11は、図10の側壁を内視鏡洗滌消毒装置に装着した際の、内視鏡洗滌消毒装置上部における部分拡大断面図、図12は、図10の側壁を内視鏡洗滌消毒装置に装着した際の、側壁に設けられた係止部材付近の部分拡大断面図である。
ところで、図10に示すように、内視鏡洗滌消毒装置1の、箱状の装置本体2は、例えば4本の装置本体2の高さ方向に延出する支柱(以下、縦支柱と称す)と、該4本の縦支柱を連結する8本の支柱(以下、横支柱と称す)に、装置本体2の前面または後面側となる位置に、上述したように、洗剤/アルコールトレー11、カセットトレー12等を引き出し自在に取り付け、装置本体2の互いに対向する左右の側面側の位置に、2枚の側壁を、縦支柱及び横支柱に、例えばネジで取り付けることにより形成するのが一般的である。
ここで、例えば装置本体2の、図10中右側に配設された2本の縦支柱と、該2本の縦支柱を連結する上下に配設された2本の横支柱に、右側壁を取り付ける際は、従来、作業者は、先ず、右側壁を把持し、次いで、図11に示すように、右側壁301の上部301jを、上側の横支柱に形成された溝1mに嵌入させて、4本の支柱に対し右側壁301の位置合わせをする。
次いで4本の支柱に形成された複数のネジ孔と、右側壁301に形成された複数のネジ孔との位置を、右側壁301を作業者の手や足で押さえた状態で一致させ、最後に、一致させたネジ孔に、ネジを螺合することにより、右側壁301を4本の支柱に取り付けていた。
尚、このことは、装置本体2の、図10中左側に配設された2本の縦支柱と、該2本の縦支柱を連結する上下に配設された2本の横支柱に、右側壁に対向する左側壁を取り付ける場合であっても同様である。
しかしながら、従来の取り付け方では、作業者は、右側壁301の脱落を防ぐため、側壁301を作業者の手や足で押さえた状態でネジ止めを行っていたため、組み立て性及び修理性が悪いといった問題があった。
また、修理等の際、ネジを装置本体2から全て外してしまうと、側壁301が4本の支柱から脱落してしまい、作業がし難いといった問題の他、右側壁のネジ孔に残存するネジが、右側壁301の脱落により飛散し、紛失してしまう場合もあった。尚、これらのことは、左側壁を取り外す際も同様である。
このような問題に鑑み、図10に示す内視鏡洗滌消毒装置1では、装置本体2の右側の2本の縦支柱の、例えば高さ方向中央の下寄りに、2本の縦支柱を連結する1本の横支柱101を接続した。尚、横支柱101は、高さ方向中央下寄りに限定されない。また、横支柱101の各縦支柱よりには、装置本体2を把持するためのにぎり棒が挿通する孔101nが2つ形成されている。
また、右側壁301の取り付け面301fに、取り付け後、横支柱101の上部101jに下面310kが戴置される高さ方向の位置に、2つのL字状の係止部材310を設けた。
尚、右側壁301の2つのL字状の係止部材310の下方には、取り付け後、横支柱101に形成された孔101nに一致する、装置本体2を把持するためのにぎり棒が挿通する孔301nが2つ形成されている。
次に、このような構成を有する内視鏡洗滌消毒装置の作用について説明する。
装置本体2の右側に配設された2本の縦支柱と、該2本の縦支柱を連結する上下に配設された2本の横支柱に、1枚の右側壁を取り付ける際は、作業者は、先ず、右側壁301を把持し、次いで、従来と同じように、図11に示すように、右側壁301の上部301jを、上側の横支柱に形成された溝1mに嵌入させて、4本の支柱に対し右側壁301の位置合わせをする。
この際、右側壁301の取り付け面301fに配設された2つの係止部材310の下面310kは、図12に示すように、装置本体2の2本の縦支柱を連結する横支柱101の上部101jに戴置される。また、この状態では、4本の支柱に形成された複数のネジ孔1hと、右側壁301に形成された複数のネジ孔301hとの位置が略一致している。
最後に、一致させたネジ孔1h,301hにネジを螺合することにより、右側壁301を4本の支柱に取り付ける。
このような構成によれば、右側壁301の上部301jを、上側の横支柱に形成された溝1mに嵌入させた時点で、作業者が右側壁301から手を離しても、右側壁301の取り付け面301fに配設された2つの係止部材310により、右側壁301が装置本体2から脱落することがないため、組み立て性及び修理性が向上する。
また、修理等の際、ネジ孔1h,301hから全てネジを外したとしても、2つの係止部材310により、右側壁301が脱落しないため、作業性が向上する。また、右側壁301が脱落しないので、右側壁301のネジ孔301hに残存するネジが、飛散することがないことから、ネジの紛失を防止することができる。
尚、このことは、装置本体2の、図10中左側に配設された2本の縦支柱と、該2本の縦支柱を連結する上下に配設された2本の横支柱に、右側壁301に対向する左側壁を取り付ける、または取り外す場合であっても同様である。
また、側壁が装置本体2から脱落しないための係止部材310は、L字型に限定されず、さらには、係止部材310を戴置する手段は、横支柱101に限定されない。即ち、装置本体から側壁の脱落が防止できるようなものであれば、どのようなものを、側壁の取り付け面及び装置本体に設けても良い。
図13は、洗滌消毒槽の下面に、ヒータ及び断熱材を配設した例を示す断面図、図14は、図13のヒータ及び断熱材を抽出して示した分解斜視図である。
ところで、洗滌消毒槽4に、消毒液ノズル23(図2参照)から供給された消毒液は、一般に、消毒液が過酢酸の場合、20℃〜25℃の液温で使用するのが望ましいとされる。このことから、洗滌消毒槽4の底面には、消毒液を加温するヒータが配設されるのが一般的である。
よって、例えば寒冷地等で内視鏡洗滌消毒装置1を使用する際は、洗滌消毒槽4に、過酢酸(以下、単に消毒液と称す)を供給した後は、上述したサブ操作パネル13(図1参照)を操作することによって、ヒータを加熱させ、洗滌消毒槽4に供給された消毒液の温度を20℃〜25℃にしてから、内視鏡100の消毒を行っているのが実情である。
しかしながら、従来の構成では、ヒータが発熱した際、ヒータの洗滌消毒槽の底面に固定される加温面とは反対側の面から、ヒータの熱が放熱してしまうため、効率良く消毒液を加温出来ず、加温に要する時間が長くなってしまうといった欠点があった。
このような問題に鑑み、図13に示す内視鏡洗滌消毒装置1では、先ず、洗滌消毒槽4の底面に、ヒータ410の加温面410kが、熱伝導率が高い接着効果を有する薬剤、例えばコンパウンド450を介して、密着して貼着されている。尚、接着に用いる薬剤は、熱伝導率が高いもので、接着効果があるものであれば、コンパウンドに限定されない。
また、図14に示すように、ヒータ410の加温面410kと反対側の面410rに、例えばシリコン系のゴムにより構成された断熱材420の貼着面420kが、熱伝導率が高いコンパウンド450を介して、密着して貼着されている。
このように密着されたヒータ410及び断熱材420は、下方から固定板407によって、洗滌消毒槽4の底面から下方に突出した2本のスタッドボルト405及びナット408を介して、洗滌消毒槽4との間に挟持されている。
このような構成によれば、ヒータ410の加温面410kと反対側の面410rは、断熱材420により覆われているため、ヒータ410が発熱した際、反対側の面410rからヒータの熱が放熱してしまうことが少ない。
よって、ヒータ410の熱を洗滌消毒槽4の消毒液430に効率良く伝達することができるため、効率良く消毒液430を加温でき、さらには、加温に要する時間を短くすることができる。
また、洗滌消毒槽4の底面と、ヒータ410の加温面410k、及びヒータ410の加温面410kと反対側の面410rと、断熱材420の貼着面420kとは、熱伝導率が高いコンパウンド450を介して、密着して貼着されているため、ヒータ410の熱を洗滌消毒槽4の消毒液430に効率良く伝達することができる。その結果、効率良く消毒液430を加温でき、加温に要する時間を短くすることができる。
さらには、ヒータ410の反対側の面410rから、ヒータの熱の放熱を防止できるため、ヒータ410の周囲の部材に熱的な悪影響を与えることがない。