JP2006222798A - アンテナ装置 - Google Patents

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康平 森
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Abstract

【課題】 外乱物体の影響による特性変化を検出して最適値化が自動的に行われるようにする。
【解決手段】 アンテナ素子5と、入力インピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路部7と、外乱物体の影響による電流変化や磁界変化によって生じる電流変化を検出して検出信号を出力する検出器8と、この検出器から出力される検出信号を検波して所定電圧レベルの検波信号を出力する検波器9と、この検波器9から出力される検波信号の電圧レベルを検出して初期値との差異判定に基づいてインピーダンス整合回路部7に対して入力インピーダンスを所定値に補正する動作を指示する補正制御信号を出力する制御回路部10とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、携帯電話機等の各種携帯型通信機器に用いて好適なアンテナ装置に関する。
アンテナ装置は、各種の通信機器に備えられて所定周波数帯域の電波を送受信する機能を奏する。アンテナ装置は、普及率が極めて高い携帯電話機や携帯テレビジョン受像機等の携帯型通信機器に備えられる場合に、筐体を把持する手や頭部或いは身体等の人体或いは周囲に存在する物等の外的要因により送受信特性が低下するといった問題がある。
携帯電話機等には、一般に、モノポールアンテナ(ホイップアンテナ)素子101とグランド導体102とを接続した図9に示すモノポール型アンテナ装置100が用いられている。モノポール型アンテナ装置100は、アンテナ素子101とともにグランド導体102の面積や形状を最適化し、グランド導体102に同図点線で示すイメージ電流がはっきりと出現する状態において最も効率がよい送受信利得を得る。
モノポール型アンテナ装置100は、携帯電話機が筐体を把持されたり設置された場所の周囲に存在する金属体等の外乱物体が存在する場合に、これらの外乱物体により図10に点線で示すようにグランド102上に電流が拡散して分布する状態となる。モノポール型アンテナ装置100は、かかる拡散電流の出現によってアンテナ素子101の入力インピーダンスに周波数ズレを生じさせ、送受信利得が低下するといった問題があった。
図11に示した1/2波長中央給電型のダイポールアンテナ装置110も、各種の携帯型通信機器に用いられている。ダイポールアンテナ装置110においては、同図に示すようにアンテナ素子111、111上における電流分布が、中央給電部位112をピークとしてそれぞれ対称形状をなす略双曲線を呈する状態において、最も効率がよい送受信利得を得る。
かかるダイポールアンテナ装置110においては、近くに存在する外乱物体に電界が吸収されたり空中やアンテナ素子111以外への放射が生じることによって、図12に示すように電界により生じるアンテナ素子111上における電流分布に乱れが生じた状態となる。ダイポールアンテナ装置110においても、このためにアンテナ素子111の入力インピーダンスに周波数ズレが生じて、送受信利得が低下するといった問題があった。
図13に示したループアンテナ装置120は、AMラジオやポケット・ベル等に用いられ、1波長分の長さを有するアンテナ素子121を円形或いは多角形のループ状として構成する。ループアンテナ装置120は、上述した電波を電界としてとらえて電流変換する共振型のモノポール型アンテナ装置100やダイポールアンテナ装置110に対して、電波を磁界としてとらえて電流変換する。ループアンテナ装置120においては、アンテナ素子121上における電流分布が同図に示す状態において最も効率がよい送受信利得を得る。
かかるループアンテナ装置120においても、近くに存在する外乱物体に磁界が吸収されたり空中やアンテナ素子121以外への放射が生じることによって、図14に示すように磁界により生じるアンテナ素子121上における電流分布に乱れが生じた状態となる。ループアンテナ装置120は、アンテナ素子121の入力インピーダンスに周波数ズレが生じて、送受信利得が低下するといった問題があった。
ところで、携帯電話機等においては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されるように、筐体自体をアンテナ素子として利用してダイポール型アンテナを構成することにより小型化や周波数帯域の広域化を図ることも提案されている。かかる携帯電話機等においては、使用者によって把持される筐体をアンテナ素子とすることによって、上述したアンテナ特性の低下がより顕著に発生する。
特許文献3には、逆Fアンテナ素子に周囲物体が接近した場合でも、受信周波数帯域において所期の利得を確保するアンテナ装置が開示されている。アンテナ装置は、給電部を有する放射導体板に異なる複数の共振周波数に対応して複数の短絡部を有する逆Fアンテナ素子と、共振周波数が低下した状態を検出する検出手段と、複数の短絡部から1つの短絡部を選択する切換手段とを備える。アンテナ装置は、逆Fアンテナ素子に接近した人体等の影響によって共振周波数が低下した場合に、検出手段から切換手段に対して切換信号が出力されて所定の短絡部が選択されるようにして共振周波数が上昇するようにして利得の低下が防止されるようにする。
特開2004−166191号公報 特開2004−208219号公報 特開2000−278024号公報
アンテナ装置は、上述したようにいずれの方式であっても周囲の環境条件の影響を受けることによってアンテナ感度や入力特性等のアンテナ特性が低下する。特に、携帯電話機等のような携帯型通信機器においては、筐体を把持して用いたり胸ポケットに入れて用いることから、人体によるアンテナ装置への影響が極めて大きくその対応が極めて重要な課題となっている。
アンテナ装置は、上述したダイポールアンテナやループアンテナ或いはその他の基本構造のアンテナ及びこれらを基本とした平衡給電アンテナ等が選択されて、今後多様化する様々な携帯型通信機器に必須に備えられる。アンテナ装置は、いかなる環境下においてもアンテナエレメント上において最も受信効率の高い電流分布の状態に保持されることで良好なアンテナ特性を奏することが必要である。
上述した逆Fアンテナ素子を有する先願アンテナ装置は、短絡部を切り換えて共振周波数を上昇させるようにして特性低下を防止することで、良好なアンテナ特性が保持されるようにする。しかしながら、かかる先願アンテナ装置においても、入力インピーダンスの制御が短絡片の個数に応じた範囲においてのみ可能であり、調整範囲が狭いといった問題がある。
また、先願アンテナ装置においては、検波器に発信回路を伴ったアクティブ素子を用いることから、ノイズの対応が必要となる。さらに、先願アンテナ装置においては、電子式スイッチを用いてインピーダンス切換を行うことから、制御時の応答性や追従性の問題があるとともにスイッチ切換時のノイズ等による誤動作の発生等の問題がある。先願アンテナ装置においては、デジタル的な2回路の切換動作によって調整を行うために、検波器からの出力に対する閾値の設定の困難性やその追従性の対応が必要となるといった種々の課題を解決する必要がある。
したがって、本発明は、人体等の外乱物体の影響による特性変化を検出して最適値化が自動的に行われるようにすることで、常に良好なアンテナ特性が奏されるようにする構造簡易なアンテナ装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明にかかるアンテナ装置は、アンテナ素子と、このアンテナ素子の入力インピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路部と、外乱物体の影響によりアンテナ素子に生じる正規電流分布からの変化を検出して検出信号を出力する検出手段と、この検出手段から出力される検出信号を検波して所定電圧レベルの検波信号を出力する検波手段と、この検波手段から出力される検波信号の電圧レベルを検出して初期値との差異判定に基づいてインピーダンス整合回路部に対して入力インピーダンスを所定値に補正する動作を指示する補正制御信号を出力する制御部とを備える。
アンテナ装置においては、アンテナ素子を設けた筐体等を把持する手等が外乱物体となってアンテナ素子やグランド導体に生じる電界や磁界を吸収することで、インピーダンス整合回路部により最適利得を得る入力インピーダンスに設定した状態での電流分布に乱れが生じる。アンテナ装置においては、検出手段がこの電流分布の乱れ状態の発生を検出して検波手段に対して検出信号を出力する。アンテナ装置においては、検波手段が検出手段からの検出信号に基づく所定電圧レベルの検波信号に変換して制御部へと出力する。アンテナ装置においては、制御部が検波手段からの検波信号の電圧レベルと初期値との差異を判定し、差異有りの判断結果に基づいてインピーダンス整合回路部に対して補正制御信号を出力する。アンテナ装置においては、補正制御信号に基づいてインピーダンス整合回路部において入力インピーダンスの再マッチング動作が行われるとことで、最適利得を得るフィードバック制御が行われる。
本発明かかるアンテナ装置によれば、電流分布の乱れを検出手段によって検出し、アンテナ素子の入力インピーダンスを最適値に整合するインピーダンス整合回路部を検出手段と検波手段と制御部とによる簡易な構成によりフィードバック制御するように構成したことから、外乱物体の影響によって生じるアンテナ特性の劣化を防止して良好な状態で送受信を行うことが可能となる。アンテナ装置によれば、様々なアンテナ素子に対して適用することが可能であり、多様化する各種の携帯型通信機器に採用される。
以下、本発明の実施の形態として図面に示したアンテナ装置1について、詳細に説明する。図1に示したアンテナ装置1は、例えば携帯電話機2に備えられ、通話等に際して筐体3から引き出される。アンテナ装置1は、使用者が筐体3を把持したりポケット等に入れて持ち運んだりすることによるアンテナ特性への影響が、後述する構成により常に最適な状態にフィードバック制御が行われるようにして通信電波の放射及び吸収が行われるようにする。なお、アンテナ装置1は、携帯電話機2ばかりでなく、例えば携帯テレビやラジオ或いは携帯型情報端末装置等の各種移動体通信機器に用いられることは勿論である。
携帯電話機2は、図示を省略するダイヤルキーや各種の機能キー或いは液晶表示器等を設けた筐体3の内部に、図示を省略する無線送受信回路モジュールやダイヤル発信回路モジュール或いは液晶駆動モジュールや電源回路等を構成するLSIやIC或いは各種の電子部品や半導体メモリ素子等を搭載した配線基板4が組み込まれる。携帯電話機2は、筐体3或いは配線基板4にスピーカやマイクロホンを搭載する。
携帯電話機2は、筐体3の上端部に形成した詳細を省略するアンテナケース内に、アンテナ装置1を構成するアンテナ素子5を伸縮自在に収納する。なお、携帯電話機2は、筐体3の内部に配線基板4に搭載したチップアンテナや板金アンテナ或いはパッチアンテナ等からなる内蔵アンテナを備える。携帯電話機2は、内蔵アンテナによって、もっぱら着信信号の電波を受信する。
アンテナ装置1は、アンテナ素子4が、1/2波長ダイポールを基本とする先端給電型アンテナであるモノポールアンテナ(ホイップアンテナ)からなり、筐体3の上端部に形成した詳細を省略するアンテナケース内に伸縮自在に組み付けられる。なお、アンテナ素子4は、1/2波長に限定されず、1/4波長或いは5/8波長の素子であってもよく、ミアンダ型やヘリカル型形状による短縮化が図られているものであってもよいことは勿論である。
アンテナ装置1は、グランド導体6がアンテナ素子4と共同して1/2波長ダイポールアンテナを構成する。アンテナ装置1は、グランド導体6が、例えば配線基板4の主面に形成したグランドパターン或いは筐体3に組み合わせた金属製シャーシ等によって構成される。グランド導体6は、適用周波数帯域に応じた所定の面積を有している。アンテナ装置1は、所定長のアンテナ素子4と所定面積のグランド導体6とが適用周波数帯域において最も効率の良い利得を得るように、入力インピーダンスを電圧制御により調整するインピーダンス整合回路部7を備える。
アンテナ装置1は、使用者が筐体3を把持することによってグランド導体と使用者の手との間で容量結合が生じて電流分布に乱れが生じることから、これを検出する複数個の検出器8を備える。アンテナ装置1は、検出器8から出力される検出信号を検波する検波器9と、この検波器9からの出力された高周波信号の電圧レベル値を判定してインピーダンス整合回路部7を制御する制御回路部10とを備える。アンテナ装置1は、制御回路部10からインピーダンス整合回路部7に出力する制御信号の初期電圧値を最適に設定するための微調整用可変抵抗器11を備える。
インピーダンス整合回路部7は、アンテナ素子4の一端部と相対するグランド導体6の一端部との間を接続して配線基板4に設けられる。インピーダンス整合回路部7は、図2に代表例を示すが、アンテナ素子4を接続した高周波信号線路12に接続され、後述するように制御回路部10を介して供給される電圧に基づいて所定のインピーダンスを保持するように動作する電圧制御型回路である。
インピーダンス整合回路部7は、一端を高周波信号線路12に接続されるとともに他端をグランド導体6と接続されたコイル13を有する。インピーダンス整合回路部7は、一端を高周波信号線路12に接続された所定容量のコンデンサ14と、一端をこのコンデンサ14と接続されるとともに他端をグランド導体6と接続されたバリキャップダイオード15とを有する。インピーダンス整合回路部7には、コンデンサ14とバリキャップダイオード15との間に、図示しない入力抵抗を介して制御回路部10から所定レベルの電圧値を有する補正制御信号が印加されることにより、高周波信号線路12が所定の入力インピーダンスに保持されるようにする。なお、インピーダンス整合回路部7には、図示しないが入力端に抵抗成分が設けられている。
アンテナ装置1は、上述したようにインピーダンス整合回路部7によって適用周波数帯域において最も効率の良い利得を得るように入力インピーダンスが調整されることで、グランド導体6のアンテナ素子5と同軸上に対向する正規電流分布発生領域6aに電流分布が発生している状態にある。アンテナ装置1は、各検出器8がグランド導体6に対して、図1に示すように最適化状態において正規電流分布発生領域6aと対向する正規電流分布非発生領域6bに沿ってそれぞれ配置される。
アンテナ装置1は、外乱物体の影響が無い状態では、各検出器8が非動作状態にある。アンテナ装置1は、例えば使用者が携帯電話機2の筐体3を把持して通話を行うと、グランド導体6が把持した手によって包み込まれた状態となる。アンテナ装置1は、この手とグランド導体6との間に生じる容量結合によって分布電流の一部が吸収されて拡散し、グランド導体6の正規電流分布非発生領域6bにも高周波微弱電流が生じた状態となる。アンテナ装置1は、使用者による筐体3の把持方法が多様であり、微弱電流がグランド導体6の正規電流分布非発生領域6bに様々に発生するとともに容量結合の大きさによってレベルも変わる。アンテナ装置1は、この微弱電流が各検出器8によって検出される。
アンテナ装置1は、例えば2個の検出器8A、8Bを備える場合に、正規電流分布非発生領域6bに対してこれら検出器8A、8Bによって微弱電流が効率的に検出されるようにそれぞれ位置や角度を変えて配置する。アンテナ装置1は、例えば図3(A)に示すように検出器8A、8Bを、正規電流分布発生領域6aに対してそれぞれ45°に傾けて正規電流分布非発生領域6bに配置する。アンテナ装置1は、検出器8A、8Bをこのように配置することによってグランド導体6の長さ方向と幅方向とに発生する微弱電流の検出が可能となる。
また、アンテナ装置1は、同図(B)に示すように検出器8A、8Bを、正規電流分布発生領域6aに対して直交するようにして正規電流分布非発生領域6bに配置するようにしてもよい。さらに、アンテナ装置1は、同図(C)に示すように検出器8A、8Bを、正規電流分布発生領域6aに対して平行状態にして正規電流分布非発生領域6bに配置するようにしてもよい。また、アンテナ装置1は、同図(D)に示すように第1検出器8Aを正規電流分布発生領域6aに対して直交状態とし、第2検出器8Bを正規電流分布発生領域6aに対して平行状態にして正規電流分布非発生領域6bに配置するようにしてもよい。なお、アンテナ装置1は、図1に示すように3個の検出器8を備える場合に、さらに多様の形態で配置することが可能である。
検出器8は、上述したようにグランド導体6の正規電流分布非発生領域6bに発生した高周波微弱電流を検出する。検出器8には、例えば図4に示した、導線を螺旋状に巻回した誘導コイル16が用いられる。誘導コイル16は、中心空間部内を通る磁界の変化によってコイルに誘導起電力が発生する特性を利用して、グランド導体6に発生した微弱電流を検出する。誘導コイル16には、低損失金属のCu、Ag、Au等の導線が用いられ、アンテナ装置1の特性に応じて適宜の巻数によって形成される。誘導コイル16は、上述したようにコイルの向きを適宜設定して正規電流分布非発生領域6bに配置する。
検出器8は、例えば図5に示すように配線基板4に直接形成したプリントコイル17によって構成してもよい。プリントコイル17は、配線基板4の表裏主面に互いに適宜の間隔を以って多数本の平行パターン17a、17bを形成するとともに、表裏の相対する各パターンの端部をビア17cを介して接続して構成する。プリントコイル17も、配線基板4に形成したグランド導体6に生じる磁界変化によって微弱電流を検出する。なお、検出器8については、かかるコイルばかりでなく、例えば一般に提供されているMRセンサ(磁気抵抗型センサ)等を用いてもよい。
アンテナ装置1は、検波器9において、各検出器8によって検出した高周波微弱電流を積分して直流電圧レベルの高周波検波信号に変換し、この高周波検波信号を制御回路部10へと出力する処理が行われる。検波器9については、例えばエンベロープ検波器等に代表されるようにダイオードやトランジスタ等を組み合わせて高周波電流を整流して出力を得る機能を有しており、従来の電子機器や通信機器等において一般に用いられていることから具体的な回路構成の説明を省略する。
アンテナ装置1は、上述したように制御回路部10において、検波器9から出力された高周波検波信号の電圧レベルが最適値か否かを判定してインピーダンス整合回路部7へ制御信号を出力する処理が行われる。制御回路部10としては、従来の電子機器や通信機器等においてもレベル判定回路として一般に用いられているものを採用することが可能である。制御回路部10は、例えば図6に示すようにそれぞれ安定化用抵抗19a〜19cを組み合わせた複数個のオペアンプ反転増幅器18a〜18cを設け、入力電圧を各オペアンプ反転増幅器18によって多段に制御することにより一定電圧の制御信号を出力する。アンテナ装置1は、制御回路部10から出力された制御信号が、微調整用可変抵抗器11を介してインピーダンス整合回路部7に入力される。
微調整用可変抵抗器11は、制御回路部10の出力部とインピーダンス整合回路部7の入力部との間に設けられる。微調整用可変抵抗器11は、アンテナ装置1の特性に応じてインピーダンス整合回路部7により最も効率の良い利得を得る入力インピーダンスに設定されるように、このインピーダンス整合回路部7に対して制御回路部10から出力する初期電圧の最適値を任意に設定できるようにする。
以上のように構成したアンテナ装置1は、制御回路部10から出力された初期電圧値に基づいてインピーダンス整合回路部7によって適用周波数帯域において最も効率の良い利得を得るように入力インピーダンスが設定されている。アンテナ装置1は、この状態ではグランド導体6の正規電流分布発生領域6aにのみ電流分布が生じているために、検出器8による微弱電流の検出が行われない。アンテナ装置1は、使用者によって筐体3が把持されることでグランド導体6上の電流分布に乱れが生じ、入力インピーダンスがズレて利得が低下する。
アンテナ装置1は、電流分布に乱れにより正規電流分布非発生領域6bに生じた微弱電流を各検出器8によって検出する。アンテナ装置1は、各検出器8によって検出した高周波微弱電流の検出信号が検波器9によって検波され、この検波器9から検出した微弱電流に応じた電圧レベルの高周波検波信号が制御回路部10へと出力される。アンテナ装置1は、制御回路部10において高周波検波信号の電圧レベルが最適値であるか否かの判断が行われ、制御信号を出力してインピーダンス整合回路部7を駆動させて最適化されるようにする。
アンテナ装置1は、使用者の手等の外乱物体の影響によって生じるアンテナ特性の低下を、グランド導体6に生じる高周波微弱電流を検出することで補正動作が行われるように構成される。したがって、アンテナ装置1は、外乱物体に影響されることなく常に最適な状態へのフィードバック制御を行って通信電波の放射及び吸収が安定した状態で行われるようにする。
アンテナ装置1は、例えば制御回路部10に多数個のオペアンプ反転増幅器18を備えることによって、広範囲に亘る調整を行うことが可能である。アンテナ装置1は、発信回路やスイッチング素子を有しないことによって送受信回路部等へのノイズの影響もなく、例えば筐体3を持ち替えたり姿勢を変えたりする都度、速やかなフィードバック制御が行われるようになる。
アンテナ装置1は、上述したように外乱物体の影響によって生じる電流分布の乱れを検出器8によって検出し、入力インピーダンスを最適値に整合するインピーダンス整合回路部7を検出手段8と検波器9と制御回路部10のフィードバック系によって制御するように構成する。本発明は、かかる先端給電型のモノポールアンテナ素子5を備えたアンテナ装置1に限定されず、様々なアンテナ素子を備えるアンテナ装置に適用される。
第2の実施の形態として図7に示したアンテナ装置20は、中央給電型の1/2波長ダイポールアンテナであり、周知のようにグランド導体6を有していない。アンテナ装置20は、グランド導体6に生じる高周波微弱電流を検出する誘導コイルからなる検出器8に代えて、第1アンテナ素子21Aと第2アンテナ素子21Bに生じる電流分布の乱れを検出する電界センサからなる第1検出器22Aと第2検出器22Bが設けられる。なお、第1検出器22Aと第2検出器22Bは、検出器8と同様に、誘導コイルやMRセンサを用いてもよいことは勿論である。アンテナ装置20は、その他の構成をアンテナ装置1と同様とすることから、それぞれに対応する部位に同一符号を付すことによって説明を省略する。
アンテナ装置20は、図7に示すように互いに対向して配置された第1アンテナ素子21Aと第2アンテナ素子21Bの中央部が給電部とされ、インピーダンス整合回路部7が設けられる。アンテナ装置20は、この給電部位をピークとしてこれら第1アンテナ素子21Aと第2アンテナ素子21Bとに高周波電流が対称の電流分布を生じる状態で、最も効率の良い利得を得る。アンテナ装置20には、第1アンテナ素子21Aと第2アンテナ素子21Bとに沿って第1検出器22Aと第2検出器22Bとが配置される。なお、アンテナ装置20は、第1アンテナ素子21Aと第2アンテナ素子21Bとに対して、位置や姿勢を異にした複数個の第1検出器22Aと第2検出器22Bをそれぞれ配置するようにしてもよい。
アンテナ装置20においては、筐体3を把持する手等の外乱物体の影響によって、第1アンテナ素子21Aと第2アンテナ素子21Bとに対称に生じていた電流分布に乱れが生じて第1アンテナ素子21Aと第2アンテナ素子21Bとの近傍部位において電界変化が生じる。アンテナ装置20は、この電流分布の乱れを第1検出器22Aと第2検出器22Bとによって検出する。アンテナ装置20は、電流分布の乱れによる電界変化を検出した第1検出器22Aと第2検出器22Bとから、検波器9に対して検出信号が出力される。アンテナ装置20は、これらの検出信号を検波器9によって検波し、制御回路部10に対して検出信号に応じた電圧レベルの検波信号を出力する。アンテナ装置20は、制御回路部10において、この検出信号の電圧レベルを判定してインピーダンス整合回路部7に対して制御信号を出力する。アンテナ装置20は、インピーダンス整合回路部7が、制御信号に基づいて入力インピーダンスの初期化動作を行うことで、最適化が図られるようになる。
第3の実施の形態として図8に示したアンテナ装置30は、ループ状のアンテナ素子31を有して電波を磁界としてとらえて電流変換するループアンテナである。アンテナ装置30も、周知のようにグランド導体6を有しておらず、グランド導体6に生じる高周波微弱電流を検出する誘導コイルからなる検出器8に代えて、アンテナ素子31の外周部に沿って磁界センサからなる検出器32が設けられる。なお、検出器32は、検出器8と同様に、誘導コイルやMRセンサを用いてもよいことは勿論である。アンテナ装置30は、その他の構成をアンテナ装置1と同様とすることから、それぞれに対応する部位に同一符号を付すことによって説明を省略する。
アンテナ装置30は、ループ状のアンテナ素子31の両端部が給電部位とされて、それぞれインピーダンス整合回路部7と接続される。アンテナ装置30においても、給電部位をピークとしてその両側に対称な電流分布が生じる状態で、最も効率の良い利得を得る。アンテナ装置30には、アンテナ素子31に近接して検出器32が配置される。なお、アンテナ装置30は、アンテナ素子31に対して、位置や姿勢を異にして複数個の検出器32を配置するようにしてもよい。
アンテナ装置30においては、筐体3を把持する手等の外乱物体の影響によって、アンテナ素子31に給電部位を中心として両側に対称に生じていた電流分布に乱れが生じてアンテナ素子31の近傍部位において磁界変化が生じる。アンテナ装置30は、アンテナ素子31の外周部の磁界変化を検出器32によって検出する。アンテナ装置30は、磁界変化を検出した検出器32から、検波器9に対して検出信号が出力される。アンテナ装置30は、検出信号を検波器9によって検波し、制御回路部10に対して検出信号に応じた電圧レベルの検波信号を出力する。アンテナ装置30は、制御回路部10において、この検出信号の電圧レベルを判定してインピーダンス整合回路部7に対して制御信号を出力する。アンテナ装置30は、インピーダンス整合回路部7が、制御信号に基づいて入力インピーダンスの初期化動作を行うことで、最適化が図られるようになる。
なお、本発明は、例えば配線基板上にアンテナ素子をマイクロストリップパターンにより構成したアンテナ装置にも適用可能である。本発明は、携帯型通信機器ばかりでなく、据え置き型通信機器等にも適用可能である。
実施の形態として示すモノポールアンテナ素子を備えた携帯電話機の要部透視斜視図である。 インピーダンス整合回路部の構成図である。 検出器の配置例の説明図である。 誘導コイルの斜視図である。 プリントコイルの要部斜視図である。 制御回路部の構成図である。 第2の実施の形態として示すダイポールアンテナ装置の構成図である。 第3の実施の形態として示すループアンテナ装置の構成図である。 モノポールアンテナ素子を備えた携帯電話機の説明図である。 アンテナ特性の劣化発生の原理を説明する図である。 ダイポールアンテナ装置における電流分布の説明図である。 ダイポールアンテナ装置におけるアンテナ特性の劣化発生の原理を説明する図である。 ループアンテナ装置における電流分布の説明図である。 ループアンテナ装置におけるアンテナ特性の劣化発生の原理を説明する図である。
符号の説明
1 アンテナ装置、2 携帯電話機、3 筐体、4 配線基板、5 アンテナ素子、6 グランド導体、7 インピーダンス整合回路部、8 検出器、9 検波器、10 制御回路部、11 微調整用可変抵抗器、12 高周波信号線路、13 コイル、14 コンデンサ、15 バリキャップダイオード、16 誘導コイル、17 プリントコイル、18 オペアンプ反転増幅器、19 安定化抵抗、20 アンテナ装置、21 アンテナ素子、22 検出器、30 アンテナ装置、31 アンテナ素子、32 検出器

Claims (6)

  1. アンテナ素子と、
    上記アンテナ素子の入力インピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路部と、
    外乱物体の影響によって上記アンテナ素子に生じる正規電流分布からの変化を検出して検出信号を出力する検出手段と、
    上記検出手段から出力される上記検出信号を検波して所定電圧レベルの検波信号に変換して出力する検波手段と、
    上記検波器から出力された検波信号の電圧レベルを検出して、初期値との差異判定に基づいて上記インピーダンス整合回路部に対して入力インピーダンスを所定値に補正させる動作を指示する補正制御信号を出力する制御部とを備え、
    上記外乱物体の影響によって生じる電流分布の変化を検出して、上記インピーダンス整合回路部において上記アンテナ素子の入力インピーダンスを初期値に補正させる補正動作が行われるようにすることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 上記検出手段が、上記アンテナ素子と接続されたグランド導体に配置され、上記外乱物体の影響によって上記グランド導体に生じる拡散電流を検出する電流センサによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 上記検出手段が、上記アンテナ素子に近接して配置され、上記外乱物体の影響によって上記アンテナ素子の周囲に生じる電流分布の変化を検出する電流センサによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  4. 上記検出手段が、電磁界型アンテナ素子に近接して配置され、上記外乱物体の影響によって上記アンテナ素子の周囲に生じる磁界変化を検出する磁界センサによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  5. 上記検出手段が、上記アンテナ素子やこのアンテナ素子に接続されたグランド導体に対して、互いに位置や角度を異にして配置された複数個のセンサによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  6. 上記インピーダンス整合回路部と上記制御部との間に、上記インピーダンス整合回路部の初期電圧値を適宜に設定するインピーダンス可変設定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
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