JP2006222163A - 金属パターン形成方法、金属パターン及びそれを用いたプリント配線板並びにtft配線回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーのパターンを設ける工程、(b)該パターンに無電解メッキ触媒またはその前駆体を吸着付与させる工程、及び、(c−1)該ポリマー層を有する基板に、表面荷電調節剤を含有するメッキ液を用いて無電解メッキ処理を施す工程、或いは、(c−2)表面荷電調節剤を含有する浴で処理する工程と(c−3)無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程、を順次有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
サブトラクティブ法とは、基板上に形成された金属の層に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。この手法で使用される金属基板は、基板と金属層との密着性を持たせるために基板界面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させていた。その結果、出来上がる金属パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。更に、金属基板を形成する際、基板を凹凸処理するため、クロム酸などの強酸で基板を処理するという煩雑な工程が必要であるいという問題点があった。
また、導電体表面の平滑化は、高密度化にも大きく貢献する。従来のビルトアッププリント配線板では、剥離強度を確保するために粗面化処理を行っていたが、この数ミクロンの凹凸が、さらなる微細配線化の妨げになっているのが現状である。
従って、半導体デバイスに有用なプリント配線板の形成といった観点からも、平滑な絶縁基板上に、細密で、且つ、密着性の高い金属パターンを形成する手段が熱望されている。
これをうけて、本願出願人は、基板に直接結合しなるグラフトポリマーにより形成した微細なパターンに金属粒子を付着させてなる金属パターンの形成方法を提案した(例えば、特許文献3参照。)。この方法によれば、露光精度に従った所望の微細なパターンが形成しうるものの、金属微粒子の付着により形成された金属パターンでは、得られる導電性に限界があり、プリント配線材料などに適用するためには、例えば、金属パターンの線幅方向の精度を維持しながら、金属層の厚みを増加させるなどの手段によるさらなる導電性の向上が切望されているのが現状である。
即ち、本発明の金属パターン形成方法は、(a)基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程と、(b)該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する工程と、(c−1)該ポリマー層を有する基板に、表面荷電調節剤を含有する無電解メッキを用いて無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る金属パターン形成方法は、(a)基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程と、(b)該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する工程と、(c−2)該ポリマー層を有する基板を、表面荷電調節剤を含有する浴で処理する工程と、(c−3)該ポリマー層を有する基板に無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
ここで用いられる表面荷電調節剤は、分子内に、(i)基板に親和性を有する基と(ii)イオン性の解離基とを有する有機化合物であることが好ましく、また、前記(c−1)又は(c−3)工程において無電解メッキに用いられる無電解メッキ浴は、無電解銅メッキ浴、無電解銀メッキ浴、又は、無電解金メッキ浴であることが好ましい態様である。
なお、基板上に、上記無電解メッキまたはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーをパターン状に設ける方法としては、以下に示す(1)及び(2)の態様が挙げられる。
(1)熱、酸又は輻射線により、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基へ変化する、もしくは、その効果を失う官能基(以下、適宜「極性変換基」と称する)を有する高分子化合物を、基板表面全面に直接化学結合させた後、画像様に加熱又は輻射線の照射を行うことで、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する領域をパターン状に形成する方法。
(2)重合性基および無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を基板表面に接触させ、画像様に輻射線の照射を行うことで、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する領域をパターン状に形成する方法。
また、本発明の金属パターン形成方法においては、前記無電解メッキの後にさらに電気メッキを行うことにより任意の膜厚を有する金属パターンを形成しうるという利点を有する。さらに、無電解メッキ又は電気メッキの後に、乾燥工程を行うことにより、金属膜の密着性を一層向上させることができる。
本発明の請求項6に係る金属パターンは、表面の凹凸が500nm以下の基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設け、該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与した後、表面荷電調節剤の存在下で無電解メッキを行うことでパターン状に金属膜を設けた金属パターンであって、該基板と該金属膜との間に存在するポリマー層は、無電解メッキ触媒微粒子、及び/又は、無電解メッキにより析出した金属からなる微粒子を25体積%以上分散含有する領域を、該基板と該金属膜との界面から基板方向に厚み0.05μm以上含み、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であり、且つ、金属膜厚/金属膜線幅の比率が1以上であることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る金属パターンは、表面の凹凸が500nm以下の基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなり、該ポリマー上に無電解メッキ触媒またはその前駆体が付着してなるポリマー層と、金属膜を順次有する金属パターンであって、該基板と該金属膜との間に存在するポリマー層は、無電解メッキ触媒微粒子、及び/又は、無電解メッキにより析出した金属からなる微粒子を25体積%以上分散含有する領域を、該基板と該金属膜との界面から基板方向に厚み0.05μm以上含み、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であり、該金属膜の厚みが4μm以上であり、且つ、金属膜厚/金属膜線幅の比率が1以上であることを特徴とする。
ここで、基板表面の凹凸を小さくすると、金属パターンの基板界面部の粗さをより抑えることができ、得られる金属パターンの高周波特性が向上するため、表面の凹凸が100nm以下の基板を使用することが好ましい。
また、本発明の金属パターンの基板表面は、表面グラフトにより表面改質することで基板界面の凹凸が最小限に留められ、且つ、金属パターン部分の基板界面が、基板に直接結合しているグラフトポリマーとのハイブリッド状態であるため、形成された金属膜と基板との密着性が高いものと考えられる。
本発明において、表面粗さの目安として、JIS B0601におけるRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値の差」を用いている。
このような金属パターンを導電性材料として用いる場合、形成された金属パターン、即ち、配線部分の金属と有機材料との界面の凹凸が小さくなるほど高周波送電時の電気損失(送電損失)が少なくなる。
このため、前記金属パターンを導電層(配線)として用いた本発明のプリント配線板及びTFT配線回路は、平面性及び基板との密着性に優れた微細で、且つ、高い導電性を有する配線が形成され、高周波特性にも優れる。
また、本発明の金属パターンは、表面の凹凸が少ない基板を用いた場合でも、基板と金属膜との密着性に優れ、且つ、高い導電性と高周波特性を有するという効果を奏する。このような金属パターンを導電層(配線)として用いた本発明のプリント配線板及びTFT配線回路は、高精細なパターンが実現でき、導電性と、高周波特性に優れる。
[金属パターン形成方法]
本発明の金属パターン形成方法は、(a)基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程と、(b)該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する工程とを有し、パターン状のポリマー層に無電解メッキ触媒(前駆体)を付与した後、(c−1)該ポリマー層を有する基板に、表面荷電調節剤を含有する無電解メッキを用いて無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程、或いは、(c−2)該ポリマー層を有する基板を、表面荷電調節剤を含有する浴で処理する工程、及び、(c−3)該ポリマー層を有する基板に無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程、を順次実施することを特徴とする。
以下、このような工程(a)〜(c)を順に説明する。
基板上に、グラフトパターンを設ける方法としては、以下に示す(1)及び(2)の態様が挙げられる。
<態様(1)>
態様(1)は、熱、酸又は輻射線により、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基へ変化する、もしくは、その効果を失う官能基(極性変換基)を有する高分子化合物を、基板表面全面に直接結合させた後(以下、このような表面を「パターン形成層」と称することがある)、パターン状に加熱又は輻射線の照射を行うことで、グラフトパターンを形成するものである。
態様(1)に係るパターン形成層は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて作製される。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
なお、本態様における基板表面とは、その表面に、極性変換基を有する高分子化合物の末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合する機能を有する表面を示すものであり、基板自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また該基板上に別途中間層を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。このような基板としてはその表面凹凸が500nm以下となるものを選択することが好ましい。
なお、本発明において「無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基」とは、後述する無電解メッキ触媒またはその前駆体が付着しうる官能基であれば特に制限はないが、一般的には親水性基が挙げられる。
まず、(A)熱又は酸により極性が変化する官能基について説明する。
(A)熱又は酸により極性が変化するタイプの官能基としては、熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基と、熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基との2種類がある。
(A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基としては、文献記載の公知の官能基を挙げることができる。
これらの官能基の有用な例は、特開平10−282672号公報に記載のアルキルスルホン酸エステル、ジスルホン、スルホンイミド、EP0652483、WO92/9934記載のアルコキシアルキルエステル、H.Itoら著、Macromolecules,vol.21,pp.1477記載のt−ブチルエステル、その他、シリルエステル、ビニルエステルなどの文献記載の酸分解性基で保護されたカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
これらのうち、特に優れているものは、特開2001−117223公報記載の、一般式(1)で表される2級のアルキルスルホン酸エステル基、3級のカルボン酸エステル基、及び、一般式(2)で表されるアルコキシアルキルエステル基が挙げられ、中でも、一般式(1)で表される2級のアルキルスルホン酸エステル基が最も好ましい。以下、特に好ましい官能基の具体例を示す。
本発明において、(A−2)熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基としては、公知の官能基、例えば、特開平10−296895号及び米国特許第6,190,830号に記載のオニウム塩基を含むポリマー、特にアンモニウム塩を含むポリマーを挙げることができる。具体的なものとして、(メタ)アクリロルオキシアルキルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。また、特開2001−117223公報記載の一般式(3)で示されるカルボン酸基及びカルボン酸塩基が好適なものとして挙げられるが、これらの例示に特に限定されるものではない。以下、特に好ましい官能基の具体例を示す。
上述の極性変換基を有する高分子化合物を用いたパターン形成材料の表面にグラフトパターンを形成する際、付与するエネルギーがIRレーザなどの光エネルギーであれば、該光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換物質を、パターン形成材料のどこかに含有させておくことが好ましい。光熱変換物質を含有させておく部分としては、例えば、パターン形成層、中間層、基材のいずれでもよく、更には、中間層と基材との間に光熱変換物質層を設け、そこに添加してもよい。
上述の極性変換基を有する高分子化合物を用いたパターン形成材料の表面にグラフトパターンを形成する際、極性変換させるために酸を付与するためには、酸発生物質を、パターン形成材料のどこかに含有させておくことが好ましい。酸発生物質を含有させておく部分としては、例えば、パターン形成層、中間層、基材のいずれに添加してもよい。
極性が変化する官能基の中でも、700nm以下の光照射により、その極性を変化させるものがある。このような(B)光により極性が変化する官能基(極性変換基:700nm以下の光に感応する極性変換基)は、赤外線などの長波長露光や熱によらず、所定の波長の光照射により直接に、分解、開環或いは二量化反応が生じることで、高感度で極性が変化することを特徴とする。以下、700nm以下の光照射により、極性が変化する官能基について説明する。
(B)光により極性が変化するタイプの官能基についても、(B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基と、(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基との2種類がある。
(B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、例えば、特開2003−222972公報に記載の一般式(1)〜(4)、及び、(7)〜(9)で表される官能基を用いることができる。
(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基としては、例えば、ビスピリジニオエチレン基が挙げられる。
態様(1)に用いられる基板は、前述の極性変換基を有する高分子化合物の末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合した表面グラフト層と該高分子化合物の末端が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合できるような基板表面を有するものである。先に述べたように、基板の表面自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を基材表面に設けたものを基板として用いてもよい。
このような基板表面は、前記表面グラフト層をグラフト合成して設けるのに適した特性を有していれば、無機層、有機層のいずれでもよい。また、本態様においては、薄層の高分子化合物からなるパターン形成層により親疎水性の変化を発現するため、表面の極性は問題ではなく、親水性であっても、また、疎水性であってもよい。
中間層においては、特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法により本態様の薄層ポリマーを合成する場合には、有機表面を有する層であることが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好ましい。また有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することができるが、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜かれやすいポリマー、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、特に製造適性の点で好ましい。
本態様で、基板の表面凹凸が500nm以下となるようにするためには、基板が樹脂フィルムなどの基板のみからなる場合には基材即ち基板自体の表面の、或いは、基材表面に中間層を設けて基板とする場合にはその中間層表面の、表面凹凸が500nm以下となるよう調製されることが好ましい。基板の表面凹凸が500nm以下となるようにするためには、材料としての平滑性に優れた樹脂基材を選択するとともに、中間層を形成する場合、中間層の膜厚均一性が高いものを形成すればよい。
態様(1)においては、上記基板表面に、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物として、重合性化合物と重合開始剤を添加し、中間層(基板)表面として重合開始能を発現する層を形成することが、活性点を効率よく発生させ、パターン形成感度を向上させるという観点から好ましい。
重合開始能を発現する層(以下、適宜、重合性層と称する)は、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
重合性層に用いられる重合性化合物は、基板との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により上層に含まれる、末端及び/又は側鎖に重合性基を有する親水性化合物が付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、これらの構成単位とスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
態様(1)における重合性層にはエネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
本態様に用い得る光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、重合性層に含まれる重合性化合物と、上層に含まれる末端又は側鎖に重合性基を有する親水性化合物とを重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
重合開始剤の含有量は、重合性層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が十分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
本発明において「基板」とは、前述のように「ポリマーがその表面に直接化学結合しうるもの」を指すが、樹脂フィルムなどの表面に重合開始層などの中間層を設け、その表面にポリマーをパターン状に設ける場合、該樹脂フィルムなどを「基材」と称する。
本発明の金属パターン材料に使用され、前記特性を備えた表面を備えた基板を構成する基材は、表面が平滑で、表面凹凸が500nm以下であり、且つ、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ樹脂等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。本態様に使用される基材としては、ポリエステルフィルム又はポリイミドフィルムが好ましい。
このような絶縁樹脂としては、ポリフェニレンエーテルまたは変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、エポキシ化合物などの樹脂が挙げられ、これらの樹脂の1種以上を含む熱硬化性樹脂組成物により形成される基板が好ましく用いられる。これらの樹脂を2種以上組み合わせて樹脂組成物とする場合の好ましい組み合わせとしては、ポリフェニレンエーテルまたは変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物、ポリフェニレンエーテルまたは変性ポリフェニレンエーテルとエポキシ化合物、ポリフェニレンエーテルまたは変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物とエポキシ化合物などの組み合わせが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂組成物により多層プリント配線板の基板を形成する場合には、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる無機充填剤を含まないことが好ましく、また、臭素化合物またはリン化合物をさらに含む熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい
さらに、クラレ製のベクスターなどの名称で市販品としても入手可能な液晶性ポリマーやポリ4フッ化エチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂なども好ましく挙げられる。
これらの樹脂のうち、フッ素樹脂(PTFE)は高分子材料の中でもっとも高周波特性に優れる。ただし,Tgが低い熱可塑性樹脂であるために熱に対する寸法安定性に乏しく,機械的強度なども熱硬化性樹脂材料に比べて劣る。また形成性は加工性にも劣るという問題がある。また、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂などとのアロイ化を行なって用いることもできる。たとえば、PPEとエポキシ樹脂、トリアリルイソシアネートとのアロイ化樹脂、あるいは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化樹脂としても使用することができる。
エポキシ樹脂はそのままでは誘電特性が不十分であるが、かさ高い骨格の導入などで改善が図られており、このようにそれぞれの樹脂の特性を生かし、その欠点を補うような構造の導入、変性などを行った樹脂が好ましく用いられる。
例えば、シアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、「電子技術」 2002年第9号 p35に記載されており、これらの記載もまた、このような絶縁樹脂を選択する上で参照することができる。
態様(1)におけるパターンの形成は、光などの輻射線の照射或いは加熱により行われる。また、光照射の一態様として、前記光熱変換物質を併用するタイプであれば、赤外線領域のレーザー光等の走査露光による加熱により、パターンを形成することも可能である。
パターン形成方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
態様(2)は、重合性基および無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以下、適宜「相互作用性基」と称する)を有する化合物を基板表面に接触させ、画像様に輻射線の照射を行うことで、グラフトパターンを形成するものである。
態様(2)に係るグラフトパターンは、基板上に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を接触させ、エネルギーを付与することで該化合物の重合性基と基板とが化学結合を生成するため、強固で耐久性に優れた無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する領域(以下、適宜「相互作用性領域」と称する)を形成することができる。このような結合の形成を表面グラフトと称する。これは、態様(1)に係るパターン形成層で説明した表面グラフト重合と呼ばれる手段に準じるものであり、態様(1)ではグラフトされる高分子化合物が極性変換基を有するものであったが、本態様では、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を接触させながら、基板表面に生成する活性種に直接結合させるものである。
この接触は、基板を、該重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、該重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を主成分とする層を基板表面に、塗布法により形成することが好ましい。
なお、態様(2)に係る表面グラフトは、前記態様(1)で説明した表面グラフト重合と同様にして形成することができる。
本態様に用いられる重合性基及び相互作用性基を有する化合物とは、後述の相互作用性基を有するモノマー、又は該相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
合成方法としては、相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させる方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法、相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法である。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜が挙げられる。
相互作用性基を有するポリマー中のカルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和し得る溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行うことができるが、塗布法により相互作用性基含有組成物塗布層を形成する場合の塗布量は、十分なメッキ触媒またはその前駆体との相互作用性、及び、均一な塗布膜とを得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
態様(2)に用いられる基板とは、前述の重合性基及び相互作用性基を有する化合物の末端又は側鎖が直接又は幹高分子化合物を介して化学的に結合できるような基板表面を有するものである。基板を構成する基材自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を基材上に設けて基板としてもよい。詳細には、態様(1)で挙げた基材、中間層などを使用して同様に基板とすることができる。
また、態様(1)と同様に、重合開始能を有する層を設けることもできる。
態様(2)においても、基板の表面凹凸が500nm以下となるような基材を選択して用いることが好ましい。
態様(2)におけるパターンの形成に用いられるエネルギー付与方法には特に制限はなく、基板表面に活性点を生じさせ、重合性基を有する親水性化合物との結合し得るエネルギーを付与できる方法であれば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
画像様の露光に活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
親水性パターン層の形成に用いる方法としては、先に態様(1)において挙げた各種の書き込み方法が本態様においても同様に好ましく適用できる。
<無電解メッキ触媒>
本工程において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を前記グラフトパターン上(相互作用性領域)に固定する手法としては、一般に、荷電を調節した金属コロイドが用いられるが、この金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、上記金属の金属イオンを還元することにより作製することができる。ここで使用する界面活性剤により荷電が変わり、グラフトパターン上の相互作用性基と相互作用させることで、グラフトパターン上に選択的に吸着させることができる。
本工程において用いられる無電解メッキ触媒前駆体とは、化学反応により無電解メッキ触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解メッキ触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解メッキ触媒である0価金属になる。金属イオンは、別途還元反応により0価金属に変化させても良いし、前駆体のまま無電解メッキ浴に浸漬し、無電解メッキ浴中の還元剤により金属に変化させてもよい。
このように無電解メッキ処理において、所望の方向のみにメッキ膜を成長させる異方的なメッキ薄膜の形成技術に関しては、例えば、J. Electrochem. Soc., 135, 2822 (1988), J. W. M. Jacobs and J. M. G. Rikken、J. Electrochem. Soc., 140, 2229 (1993), A. M. T. van der Putten, G. de. Bakker等の文献に記載がある。これら文献は、無電解メッキにおいて金属皮膜の形状を制御できる可能性があることを示唆しているが、本発明の如き、配線などに適用可能な微細なパターンの形成への応用とその有用性については記載或いは示唆されていない。
また、無電解メッキ液中に、本発明における表面荷電調節剤と類似構造を持つ界面活性剤を添加してメッキ浴を安定化させうることが知られており、たとえば、特開2003−49280等を含め多数の公知文献に記載がある。しかしながら、本発明のように、パターン状の金属膜を形成する際に、異方成長を利用するという知見は本発明者らが初めて見いだしたものであり、本発明の無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し、基板と直接化学結合するポリマーをパターン状に設ける技術と組み合わせて初めて、本発明の優れた効果を発現するものである。
即ち、前者の態様が、(c−1)該ポリマー層を有する基板に、表面荷電調節剤を含有する無電解メッキを用いて無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程であり、後者が、(c−2)該ポリマー層を有する基板を、表面荷電調節剤を含有する浴で処理する工程と、(c−3)該ポリマー層を有する基板に無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程に相当する。
このような表面荷電調節剤としては、分子内に(i)基板に親和性を有する基と(ii)イオン性の解離基とを有する有機化合物が好ましく、この存在下で無電解メッキを行うことで、前記工程により得られたグラフトパターン上に該パターンにしたがった高密度で十分な厚みを有する金属膜が形成される。その結果、形成された金属パターンは、優れた導電性、密着性が得られる。
以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
<無電解メッキ>
無電解メッキとは、メッキさせたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。本工程における無電解メッキは、例えば、前記(b)工程で得られた、無電解メッキ触媒またはその前駆体がパターン状に付与された基板を、水洗して余分な金属、金属塩を除去した後、前記金属イオンと表面電荷調節剤とを含有する無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴の表面荷電調節剤以外の成分としては一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。また、グラフトパターン上に吸着又は含浸して存在する無電解メッキ触媒前駆体を用いて金属膜を成膜するために用いられる無電解メッキ浴としても、同様に一般的に知られている無電解メッキ浴が使用することができる。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
無電解めっき液では、金属化合物としては、硫酸塩、塩化塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物等を使用できる。金属化合物の含有量は、金属量として0.1〜5g/l程度、好ましくは0.8〜1.2g/l程度とすればよい。金属量が0.1g/lを下回ると、金属めっき皮膜の形成が不十分となり、次工程での電気めっきの析出が悪くなるので好ましくない。一方、金属量が5g/lを上回ると、濃度を上げた効果がなく、濃度に比例して必要な錯化剤量が増加し、経済的に不利であり、排水処理性も悪くなる。
本発明において用いられる表面電荷調節剤は、基材表面に吸着し、基材への金属イオンの吸着を抑制しうる化合物であれば、制限なく用いることができるが、分子内に、(i)基板に親和性を有する基と(ii)イオン性の解離基とを有する有機化合物が好ましく用いられる。
ここで(i)基板に親和性を有する基としては、疎水性あるいは親油性の官能基を指し、具体的には、炭素数4以上のアルキル基、炭素数6以上の芳香族基、炭素数3以上のフッ化アルキル基などが好ましい官能基として挙げられ、また、(ii)イオン性の解離基とは、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、スルホキシル基などが好ましい官能基として挙げられ、分子内にこれらの官能基を有する有機化合物が表面電荷調整剤として好ましい化合物である。
例えば、アンモニウム基を有する有機化合物を用いた場合、該有機化合物は基板表面に選択的に吸着し、表面が正に帯電する。このとき基材の表面電位としては、+0.1mV〜+500mVの範囲であることが好ましく、+1.0mV〜+100mVの範囲であることがより好ましい。このように表面が正に帯電する領域には、メッキ浴中の金属イオン(例えば、Cu2+)が付着しにくくなり、パターン状のグラフトポリマーに付与されたメッキ触媒(前駆体)の存在領域のみに金属イオンが選択的に付着する。
このとき、グラフト鎖中に未反応で残存するカルボキシ基などの親水基部分への表面電荷調節剤への所望されない吸着を抑制する目的で、まず、表面電荷調節剤を含有しない無電解メッキ浴を用いてグラフトパターン上に薄い金属膜を形成した後、本工程を行うことが、より精細なパターンを形成しうるという観点から好ましい。
本発明に用いられる表面電荷調節剤としては、低分子或いは高分子の有機アンモニウム化合物が好ましい。
低分子有機アンモニウム化合物としては、下記一般式(C−1)で表される化合物が好ましい。
X-は対アニオンを表し、具体的には、例えば、CH3SO4 -、C2H5SO4 -、Cl-、Br-、HSO4 -、H2PO4 -、CH3COO-、CH3SO3 -、NO3 -等が挙げられる。
本発明に係る共重合体(高分子有機アンモニウム化合物)を構成する4級アンモニウム塩基を有するモノマーとしては、4級アンモニウム基を有し、重合可能なものであれば限定されないが、(メタ)アクリレート類、アクリルアミド類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン誘導体等が挙げられ、中でも4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリレート、アクリルアミドが好ましく挙げられる。4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリレートとしては、具体的には、下記一般式(C−2)で表される化合物等が挙げられる。また、ベタイン型化合物、例えばジメチルアミノエチルアクリレートをブロムエタノール、あるいは、ソジウムクロロアセテート等で4級化して得られるモノマー等も包含される。
ここで、X-で表される対アニオンは、一般式(C−1)におけるのと同義であり、好ましい例も同様である。
前記エチレングリコールモノ鎖を有するモノマーとしては、商品名「AE−350」,日本油脂(株)製(n:6〜8)等の市販品を用いることもできる。
このように表面荷電調節剤の液中濃度を調節するのは、濃度が低すぎるとメッキ膜の成長調節機能が十分に得られず、幅方向の金属膜の成長抑制効果が低下する傾向になり、濃度が高すぎるとメッキ触媒への吸着が生じ、メッキ速度が低下したり、メッキ金属の析出が抑制される傾向が見られ、いずれも好ましくない。
このようにして形成される金属膜の膜厚は、メッキ浴の金属塩または金属イオン濃度、メッキ浴への浸漬時間、或いは、メッキ浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、メッキ浴への浸漬時間としては、1分〜3時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。従来の方法では、メッキ浴への浸漬時間を長くしたり、メッキ浴中の金属イオン濃度を向上させたりすると、パターンの幅方向へも所望されない金属膜の成長が進行し、所望の高精細な金属パターンを形成することが困難であったが、本発明の方法によれば、厚み方向に選択的に金属膜が成長するため、金属膜の厚みを十分に得るための工程上の制約がなく、容易に十分な厚みを有する高精細な金属パターンを形成することができる。
《(c−2)該ポリマー層を有する基板を、表面荷電調節剤を含有する浴で処理する工程》
本態様では、前記(b)ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する工程の後、得られた基材表面にパターン状のグラフトポリマー層に無電解メッキ触媒(前駆体)を付与してなる材料を、表面電荷調節剤を含有する浴中に浸漬し、ポリマー層を有しない基材表面に選択的に表面電荷調節剤を吸着させる。
ここで用いる表面電荷調節剤は、前記(c−1)工程で用いたものを同様のものを用いればよい。表面電荷調節剤を適切な溶媒、具体的には、蒸留水、あるいはエタノールなどの水と混和する有機溶媒などに溶解させ、表面電荷調節剤溶液を調製する。
このとき、浴中の表面電荷調節剤溶液への添加量は、表面電荷調節剤の濃度が1×10-6〜1×10-1mol/lの範囲となる量に調整するのが好ましく、液中濃度が5×10-4〜2×10-2mol/lに調整するのがより好ましい。
この処理は、浴液の温度、5〜60℃程度で、浸漬時間は、20秒〜10分間が好ましい。浸漬後、水洗などを行って余分な表面電荷調節剤溶液を除去する。
前記(c−2)工程により、表面電荷調節剤を含有する浴で処理された後、無電解メッキ工程に付せばよい。本工程は、メッキ浴中に表面電荷調節剤を含有しない他は、前記(c−1)工程と同様であり、浸漬時間などの処理条件も同様である。
乾燥処理を行うことにより密着性が向上する作用は明確ではないが、十分な乾燥を行うことにより、密着性を低下させる要因である水分が金属パターン材料中に保持されるのを防ぐことで、水分に起因する密着性の経時的な低下を抑制しうるものと推定している。
表面グラフト膜中の無電解メッキ触媒やメッキにより析出した金属などの微粒子の状態をさらに詳細に説明すれば、このようなポリマー層(グラフト膜)中においては、ポリマー層と金属膜との界面から基板方向に、無電解メッキ触媒微粒子、及び/又は、無電解メッキにより析出した金属からなる微粒子が界面側に高密度で分散している。このときの微粒子分散状態において、界面近傍に微粒子が25体積%以上含まれている領域が存在することが、金属膜の密着力発現の観点から好ましく、更に好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、特に50体積%以上含まれる領域が存在することが好ましい。また、ポリマー層中において、このような微粒子を高密度で存在する領域としては、ポリマー層と金属膜との界面から基板方向へ深さ0.05μm以上で存在することが好ましく、0.1μm以上がより好ましく、更に0.2μm以上が好ましく、特に0.3μm以上の深さまで存在することが好ましい。
本発明の金属パターン形成方法においては、前記無電解メッキの後、前工程により形成された金属膜を電極とし、さらに電気メッキを行うことができる。これにより基板との密着性に優れた金属膜パターンをベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、パターン状の金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属パターンを配線パターンなど種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
本発明の金属パターンは、表面の凹凸が500nm以下、好ましくは100nm以下の基板上に、局所的に金属膜を設けた金属パターンであって、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることを特徴とする。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属膜との密着性に優れることを特徴とする。
より詳細には、本発明の金属パターンは、表面の凹凸が500nm以下、好ましくは100nm以下の基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し、該基板と直接化学結合するポリマーをパターン状に設け、該パターン上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与した後、無電解メッキを行うことで局所的に金属膜を設けた金属パターンであって、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であることを特徴とする。
このような金属パターンは、基板として、前記金属パターン形成方法で挙げた基板のうち、表面の凹凸が500nm以下のものを選択するほかは、前記金属パターン形成方法と同様の工程により作製することができる。
より詳細には、JIS B0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることを要する。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属パターンの表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JISC6481に基づき90度剥離実験を行うか、又は、金属パターン事態の端部を直接剥ぎ取り、JISC6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
しかし、本発明の金属パターンは、基板表面の凹凸が小さいものを用いても、基板に直接化学結合しているグラフトポリマーとのハイブリッド状態であるため、得られる金属パターンのメッキ及びメッキ触媒層(無機成分)とポリマー層(有機成分)との界面における凹凸が小さく、且つ、優れた密着性を維持しうるものとなった。
先に述べた、JIS B0601の規定に準じた10点平均粗さ(Rz)の値によれば、基板表面の凹凸が500nm以下であり、好ましくは300nm以下、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下で選択される。
このような平滑な基板は、樹脂基板など、それ自体が平滑なものを選択してもよく、また、表面凹凸が比較的大きなものでは、前記した中間層を設けて、表面凹凸を好ましい範囲に調製することも可能である。
このように、本発明の金属パターンは、基板と金属膜との密着性を維持しながら、基板側の界面における凹凸を最小限に留めることが可能となった。
本発明に係る前記金属パターンを基板上に形成して導電層(配線)とすることで、本発明のプリント配線板を製造することができる。
基板としては、通常の配線板において用いられる公知の積層板、例えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等が使用でき特に制限はない。また、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含浸させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板等も用いることができる。
必要に応じて回路層の表面を接着性に適した状態に表面処理する。この手法も、特に制限はなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液により回路層の表面に酸化銅の針状結晶を形成し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元するなど公知の製造方法を用いることができる。
なお、メッキ等の処理により導電性付与を行う場合には、必要に応じてビアの内部を軽く表面粗化処理するのが好ましい場合もある。粗面化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液などの酸化性粗化液を用いることができる。粗面化処理としては、例えば、先ず膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとNaOHとの水溶液を70℃に加温して基板を1分間浸漬処理する。次に、粗化液として、KMnOとNaOHとの水溶液を80℃に加温して2分間浸漬処理する。引き続き、中和液、例えば塩化第一錫(SnCl2)の塩酸水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和する。粗面化処理後、パラジウムを付着させるめっき触媒付与処理を行う。めっき触媒処理は、塩化パラジウム系のめっき触媒液に浸漬して行われる。次に、無電解めっき液に浸漬してグラフトパターン(ビアホールをこの工程に先立って形成した場合はビアホール内面を含む)に厚さが0.3〜1.5μmの無電解めっき層(導体層)を析出させる。必要により、更に電気めっきを行って必要な厚さとする。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっきについても公知の方法によることができ特に制限はない。これらのメッキは銅メッキであることが好ましい。この製造方法により第2の導電パターンを形成することができるが、本発明の金属パターンの製造方法によれば、高精細で金属膜厚が十分な回路パターンが形成できるため、形状劣化のない良好な回路形成が可能である。
さらに、本発明の金属パターンの形成方法により形成された導電層をゲート電極として形成し、その後、順次、該ゲート電極上に、ゲート絶縁膜、半導体膜、ソース・ドレイン電極を形成することで、本発明の薄層トランジスタ(TFT)を得ることができる。
本発明のTFT配線回路は、ドライ成膜に代わって、湿式成膜による電極或いは配線の形成が求められる場合や、表示面積の大面積化が求められる場合に極めて有用である。また、本発明のTFT配線回路を組み込んだアクティブマトリックス型表示装置は、フラットパネルディスプレイのみならず、フラットパネル型イメージセンサにも適用することができ、種々の液晶表示装置に好適に使用しうる。
[実施例1〜4]
(基板の作製)
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基材として用い、その表面に下記組成の中間層塗布液を、ロッドバー18番を使用して塗布し、80℃で2分間乾燥し、膜厚6μmの中間層を形成した。
そして、上記中間層を備えた基材に、400Wの高圧水銀灯(型番:UVL−400P、理工科学産業社製)を使用して、10分間光照射し、予備硬化させて実施例1で用いる基板Aを作製した。
ここで、基材であるポリイミドフィルムをNanopics1000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて40μm×40μmの範囲で測定した値により、JIS B 0601に準じて求めたRzは15nmであった。また、このポリイミドフィルム上に中間層を形成した基板Aにおいても同様に測定したところ、Rzは10nmであり、実施例に用いた基板Aの表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることがわかった。
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 2g
(共重合モル比率80/20、平均分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
予備硬化させた基板Aを、アクリル酸(10wt%)及び過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4、0.01wt%)を含む水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、上記の400Wの高圧水銀灯を使用し、30分間光照射した。光照射後、得られたフィルムをイオン交換水でよく洗浄し、アクリル酸がグラフトされたパターン形成層の形成を行った。
次に、水1リットルと、N−エチル−N’(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩40gと、N−ヒドロキシスクシンイミド6gと、からなる水溶液を調製し、そこにアクリル酸がグラフトされた基板を1時間浸漬し、エステル変換を行った。その後、更に、2−ニトロベンジルフェノール6gを加え、反応させて、光分解性官能基を有するポリマーからなるパターン形成層を有するパターン形成材料Aを得た。
得られたパターン形成材料Aを波長400nmの青色光を発するレーザ(ビーム径1μm)にて、20mj/cm2のエネルギーで像様に露光し、グラフトパターン材料Aを作製した。
この基板A上にグラフト層を有するグラフトパターン材料Aのパターン部についても、前記ポリイミドフィルム基材と同様にRzを測定したところ、Rzは15nmであり、実施例1におけるグラフトパターン材料Aの表面凹凸は本発明の好ましい範囲内であることがわかった。
グラフトパターン材料Aを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解メッキ浴に20分間浸漬し、金属パターンA1〜A4を作製した。
<無電解メッキ浴成分>
・OPCカッパ−H T1(奥野製薬(株)製) 6mL
・OPCカッパ−H T2(奥野製薬(株)製) 1.2mL
・OPCカッパ−H T3(奥野製薬(株)製) 10mL
・表面電荷調節剤(下記表1に記載の化合物) (表1に記載の量)
・水 83mL
前記実施例1〜4で用いた無電解メッキ浴において、表面電荷調節剤を添加しなかったものを用いた他は実施例1と同様にして金属パターンA5を作製した。
(グラフトパターンの形成)
実施例1と同様にして作製した基板Aの表面に、アクリル酸をロッドバー#6を用いて塗布し、塗布面を厚さ25μmのPETフィルムでラミネートした。
さらにその上に線幅と空間の巾がL/S=5um/25umのパターンと、L/S=10um/20umのパターンでクロムを蒸着したマスクパターンを重ね、上からUV光を照射(400W高圧水銀灯:UVL−400P、理工科学産業(株)製、照射時間30秒)した。光照射後、マスクとラミネートフィルムを取り除き、水洗することによりポリアクリル酸がパターン状にグラフトされたグラフトパターン材料Bを得た。
グラフトパターン材料Bのパターン部を、前記ポリイミドフィルム基材と同様に測定したRzは14nmであった。
グラフトパターン材料Bを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、0.2M NaBH4水溶液に20分浸漬し、0価パラジウムに還元した。その後、実施例1〜4と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンB1〜B4を作製した。
[比較例2]
前記実施例5〜8で用いた無電解メッキ浴において、表面電荷調節剤を添加しなかったものを用いた他は実施例5と同様にして金属パターンB5を作製した。
(グラフトパターンの作製)
実施例1と同様にして作製した基板Aに下記組成からなる塗布液を、ロッドバー#18を用いて塗布した。なお、得られた膜の膜厚は0.8μmだった。
・親水性ポリマー(合成方法は下記に示す) 0.25g
・水 5g
・アセトニトリル 3g
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)18gをDMAc300gに溶解し、ハイドロキノン0.41gと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gとジブチルチンジラウレート0.25gを添加し、65℃、4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。その後、1N水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄し親水性ポリマーを得た。
グラフトパターン材料Dのパターン部を、前記ポリイミドフィルム基材と同様に測定したRzは15nmであった。
得られたグラフトパターン材料Cを、硝酸銀(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1〜4と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンC1〜C4を作製した。
[比較例3]
前記実施例9〜12で用いた無電解メッキ浴において、表面電荷調節剤を添加しなかったものを用いた他は実施例9と同様にして金属パターンC5を作製した。
実施例9〜12で形成された金属パターンを、更に、15分間電気メッキし、金属パターンD1〜D4を作製した。
<電気メッキ浴の組成>
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパ−グリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
(パターン形成材料の作製)
実施例1と同様にして作製した基板Aを、t−ブチルアクリレート溶液(30質量%、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG))に浸漬し、アルゴン雰囲気下で400W高圧水銀灯を使用し30分間露光をした。
光照射後に得られたフィルムをプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)で良く洗浄し、ポリ−t−ブチルアクリレートがグラフトされたパターン形成材料Eを得た。
得られた金属(微粒子)膜パターン形成材料Eの上に下記組成の溶液を塗布した。なお、得られたポリ−t−ブチルアクリレート膜の膜厚は0.5μmだった。
・トリフェニルスルホニウムトリフラート 0.05g
・メチルエチルケトン(MEK) 1g
グラフトパターン材料Eのパターン部を、前記ポリイミドフィルム基材と同様に測定したRzは15nmであった。
形成されたグラフトパターン材料Eを下記手法で作製した正電荷を有するAg粒子が分散した液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1〜4と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンE1〜E4を作製した。
過塩素酸銀のエタノール溶液(5mM)50mlにビス(1,1−トリメチルアンモニウムデカノイルアミノエチル)ジスルフィド3gを加え、激しく攪拌しながら水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.4M)30mlをゆっくり滴下してイオンを還元し、4級アンモニウムで被覆された銀粒子の分散液を得た。
[比較例4]
前記実施例17〜20で用いた無電解メッキ浴において、表面電荷調節剤を添加しなかったものを用いた他は実施例17と同様にして金属パターンE5を作製した。
実施例17〜20で形成された金属パターンを、更に、Ni無電解メッキ後、薄付け置換金メッキを行った、金属パターンF1〜F4を作製した。
無電解Ni−Pめっき液『ICPニコロンUSD』(奥野製薬工業株式会社製)に85℃、機械的攪拌条件下、10分間浸漬し、0.4μmのNi−P(P含量6.8%)めっき膜を析出させた。
<薄付け置換金メッキ>
更に、置換金めっき液『OPCムデンゴールドAD』(奥野製薬工業株式会社製)を用い、90℃、無攪拌で10分間浸漬することにより約0.05μmの金を析出させた。更に、ノーシアン自己触媒型無電解金めっき液『509RS』(関東化学株式会社製)を用い、60℃、pH7.2、弱い攪拌条件下、30分間浸漬により0.5μmの金を析出させ、金属パターンを得た。
(金属パターンの細線幅の測定)
実施例1〜24、比較例1〜4で得られた金属パターンを、光学顕微鏡(ニコン製、OPTI PHOTO−2)を用いて細線幅を測定した。測定結果を下記表2に示す。
実施例1〜24、比較例1〜4で得られた金属パターンを、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察し、形成された金属膜の厚みを測定した。測定は、1つのサンプルにつき、3点を測定した平均を表す。測定結果を下記表2に示す。
実施例1〜24、比較例1〜4で得られた金属パターンを、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察することにより、メッキ膜及びメッキ触媒層(無機成分)と、グラフトポリマー層(有機成分)との界面の凹凸を確認することができる。この基板界面において、1つのサンプルについて、10μmの幅で観測し、最大から5番目までの山頂の平均値と最小から5番目までの谷底の平均値との差から凹凸の大きさを求めた。測定結果を下記表2に示す。
実施例1〜24、比較例1〜4で得られた金属パターンの表面に銅板(0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JISC6481に基づき90度剥離実験を行った。測定結果を下記表2に示す。
また、本発明の実施例により得られた金属パターンは、いずれも、その導電性を充分達成しうる銅厚を有していることがわかった。細線の線幅の露光パターンからの線幅の太りは少なく、細線の再現性の良い金属薄膜パターンが得られ、従来技術では簡易な工程では作成できなかった金属薄膜の厚みと線幅の比が1:1のパターンも得られることが明らかになった。
実施例9〜12においては、さらに電解メッキを行うことで、所望の膜厚を有するパターン状の金属膜が得られることが確認された。
さらに、本発明の実施例により得られた金属パターンは、そのいずれもが、膜界面の凹凸がすべて100μm以下で表面平滑性に優れるとともに、基板と金属膜との密着性にも優れていることがわかった。
(グラフトパターンの形成)
実施例1と同様にして作製した基板Aの表面に、アクリル酸をロッドバー#6を用いて塗布し、塗布面を厚さ25μmのPETフィルムでラミネートした。
さらにその上にクロムを蒸着したマスクパターン(線幅10μm、スペース10μm)を重ね、上からUV光を照射(400W高圧水銀灯:UVL−400P、理工科学産業(株)製、照射時間30秒)した。光照射後、マスクとラミネートフィルムを取り除き、水洗することによりポリアクリル酸がパターン状にグラフトされたグラフトパターン材料Gを得た。得られたグラフトのパターンをメチレンブルーの0.1wt%の染料溶液に浸漬し,光学顕微鏡で測定したところ線幅10μm、スペース10μmを再現していることが確認された。
グラフトパターン形成材料Gを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、0.2M NaBH4水溶液に20分
浸漬し、0価パラジウムに還元した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて5分間無電解メッキし、金属パターンGを作製した。SEMで測定したところ線幅11μm、スペース9μmであり、厚みは1μmであった。
<4級アンモニウム基を有するポリマーP1の合成>
還流冷却器、温度計、および攪拌器を有する容器に、ラウリルアクリレートを10重量部、ポリエチレングリコールアクリレート〔日本油脂(株)製,商品名「AE−350」、エチレングリコール鎖長6〜8〕を20重量部、ジメチルアミノエチルアクリレート40重量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン150重量部を仕込み、ラジカル重合開始剤として「V−65」(和光純薬社製,商品名)を添加し、テトラヒドロフラン還流下で10時間重合反応を行った。この後、上記反応系に、硫酸ジメチルを上記ジメチルアミノエチルアクリレートと等モル加え、更に還流を1時間行ない、4級化反応を行なった。反応終了後、反応溶液をヘキサンで洗浄・再沈殿を行い、化合物P1を得た。なお、仕込み時にジメチルアミノエチルアクリレートを硫酸ジメチルで4級化したモノマーを用いても同じ化合物P1が得られる。得られた化合物P1をエタノールと水との混合溶媒(エタノール/水=20/100,重量比)に溶解し、該化合物P1の0.5質量%溶液を作製し、溶液A2とした。
この液に上記の薄付け銅パターンを5分間浸漬し,乾燥した。ゼータ電位計(大塚電子(株))をもちいて測定した表面の電位は銅のパターン部分は+0.0mV,また銅パターン以外の部分は+30mVであった。
(厚付け銅パターン形成:二次メッキ)
上記の基板をうす付けと同じ方法にて無電解メッキを30分行って,10μm厚みのパターンを得た。このときの線幅13μm、スペース7μmであり、厚み方向に選択的にメッキが進行したことがわかった。
実施例25において、アンモニウム処理しなかった以外は同じ方法にて無電解メッキを35分間行った。10μmの厚みが形成できたがスペースの部分までメッキが進行し、パターンは完全につぶれてしまった。
実施例3で得られた金属パターンCにおいて、金属膜が形成された領域をミクロトーム(ライカ製)を用いてダイヤモンドカッター(製品名:スミナイフ)にてカットし、きれいなメッキ断面を調整した。そのサンプルをSEMで観察したところ、金属膜に隣接したポリマー中における微粒子の分散状態が確認できた。図1は、実施例3で得られた金属パターンCの断面SEM写真である。
図1の写真により、ポリマー層中の金属膜との界面近傍に、無電解メッキ触媒、無電解メッキにより析出した金属の1種以上からなると考えられる微粒子が高密度で存在することが確認された。また、ポリマー層の深部(基板近傍)には、微粒子はほとんど観察されなかった。
その後、画像のヒストグラムにて、図2における各深さの白色部分の比率を算出し、これをメッキ層下部に存在するグラフトポリマー層中の微粒子の比率とした。その結果、深さ0.3μmの領域における微粒子は53体積%であると算出された。同様に、深さ0.2μmでは、60体積%、深さ0.1μmでは60体積%と算出され、金属膜との界面近傍に微粒子が高密度で存在することが確認された。
Claims (10)
- (a)基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程と、
(b)該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する工程と、
(c−1)該ポリマー層を有する基板に、表面荷電調節剤を含有する無電解メッキを用いて無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程と、
を有する金属パターン形成方法。 - (a)基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設ける工程と、
(b)該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する工程と、
(c−2)該ポリマー層を有する基板を、表面荷電調節剤を含有する浴で処理する工程と、
(c−3)該ポリマー層を有する基板に無電解メッキ処理を施し、パターン状に金属膜を形成する工程と、
を有する金属パターン形成方法。 - 前記表面荷電調節剤が、分子内に、(i)基板に親和性を有する基と(ii)イオン性の解離基とを有する有機化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属パターン形成方法。
- 無電解メッキに用いられる無電解メッキ浴が、無電解銅メッキ浴、無電解銀メッキ浴、又は、無電解金メッキ浴であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法。
- 表面の凹凸が500nm以下の基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設け、該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与した後、表面荷電調節剤の存在下で無電解メッキを行うことでパターン状に金属膜を設けた金属パターンであって、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であり、該金属膜の厚みが4μm以上であり、且つ、パターン状のポリマー層の線幅をp、無電解メッキにより形成された金属膜の線幅をq、無電解メッキにより形成された金属膜の膜厚をrとしたときに、(q−p)<rであることを特徴とする金属パターン。
- 表面の凹凸が500nm以下の基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層をパターン状に設け、該ポリマー層上に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与した後、表面荷電調節剤の存在下で無電解メッキを行うことでパターン状に金属膜を設けた金属パターンであって、
該基板と該金属膜との間に存在するポリマー層は、無電解メッキ触媒微粒子、及び/又は、無電解メッキにより析出した金属からなる微粒子を25体積%以上分散含有する領域を、該基板と該金属膜との界面から基板方向に厚み0.05μm以上含み、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であり、且つ、金属膜厚/金属膜線幅の比率が1以上であることを特徴とする金属パターン。 - 表面の凹凸が500nm以下の基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し該基板と直接化学結合するポリマーからなり、該ポリマー上に無電解メッキ触媒またはその前駆体が付着してなるポリマー層と、金属膜を順次有する金属パターンであって、
該基板と該金属膜との間に存在するポリマー層は、無電解メッキ触媒微粒子、及び/又は、無電解メッキにより析出した金属からなる微粒子を25体積%以上分散含有する領域を、該基板と該金属膜との界面から基板方向に厚み0.05μm以上含み、該基板と該金属膜との密着性が0.2kN/m以上であり、該金属膜の厚みが4μm以上であり、且つ、金属膜厚/金属膜線幅の比率が1以上であることを特徴とする金属パターン。 - 前記基板が、表面の凹凸が100nm以下の基板であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の金属パターン。
- 前記請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の金属パターンを導電層として用いることを特徴とするプリント配線板。
- 前記請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の金属パターンを導電層として用いることを特徴とするTFT配線回路。
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