JP2006222010A - 高分子電解質材料、ならびにそれを用いた高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質材料、ならびにそれを用いた高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高プロトン伝導度と低燃料クロスオーバーを両立し、耐熱水性、耐久性に優れる高分子電解質材料を提供する。
【解決手段】少なくとも下記一般式(P1)とともに下記一般式(A1)で表される構成単位を有する芳香族ポリエーテル系重合体を含み、該芳香族ポリエーテル系重合体がイオン性基を有することを特徴とする高分子電解質材料である。また、本発明の高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池は、かかる高分子電解質材料を用いて構成されていることを特徴とする。
Figure 2006222010

(式(P1)および(A1)において、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基、QおよびQはパーフルオロアルキル基および−CN基から選ばれた基、Arは芳香環を含む任意の2価の有機基を表し、qおよびqは1〜4の整数。式(P1)および(A1)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、高出力および高エネルギー容量を達成することができる実用性に優れた高分子電解質材ならびにそれを用いた高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつ高エネルギー効率で環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池においては、水素ガスを燃料とする従来の高分子電解質型燃料電池(以下、PEFCと記載する)に加えて、メタノールを直接供給するダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCと記載する)も注目されている。DMFCは、従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のイオン伝導体となる電解質膜とが、膜―電極複合体(以降、MEA略称することがある。)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる電極触媒層とから構成されている。たとえば、高分子電解質型燃料電池のアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは高分子電解質膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性、イオン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、イオン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
特に、高分子電解質型燃料電池の中でも、メタノールなどの有機溶媒を燃料とするDMFC用高分子電解質膜においては、水素ガスを燃料とする従来のPEFC用の高分子電解質膜に要求される性能に加えて、メタノールなどの燃料透過抑制も要求される。高分子電解質膜のメタノール透過は、メタノールクロスオーバー(以降、MCOと略称することがある。)、ケミカルショートとも呼ばれ、電池出力およびエネルギー効率が低下するという問題を引き起こす。
これまで高分子電解質型燃料電池の電解質膜においては、例えばパーフルオロスルホン酸系ポリマーであるナフィオン(Nafion、デュポン社の登録商標。以下同様。)が用いられてきた。しかし、ナフィオンは多段階合成を経て製造されるパーフルオロ系ポリマーであるため非常に高価なものとなっており、かつ、クラスター構造を形成するために水と親和性の高いメタノールなどの燃料が電解質膜を透過しやすい、すなわち燃料クロスオーバーが大きいという課題があった。また、耐熱水性や耐熱メタノール性が不足するため、膨潤によって膜の機械強度が低下するという問題、さらに、使用後の廃棄処理の問題や材料のリサイクルが困難といった課題もあった。そこで、これら高分子電解質型燃料電池の実用化のためには安価で燃料クロスオーバーの抑制された高分子電解質材料が市場から望まれていた。
ここで、耐熱水性、耐熱メタノール性に優れるとはそれぞれ高温水中、高温メタノール中での寸法変化(膨潤)が小さいことを意味する。この寸法変化が大きい場合には、高分子電解質膜として使用している途中に膜が破損してしまったり、膨潤で電極触媒層と剥離し、抵抗が大きくなるので好ましくない。また、耐ラジカル性に優れるとは一般的に発電耐久性の尺度とされるフェントン耐性に優れることを意味する。もし、耐ラジカル性に劣る電解質ポリマーを使用した場合には、発電中にポリマーの分子量が低下したり、膜が破損してしまったり、プロトン伝導性が低下するなどして好ましくない。これら耐熱水性、耐熱メタノール性、耐ラジカル性の特性はいずれも高分子電解質型燃料電池に使用される電解質ポリマーに要求される重要な特性である。
このような欠点を克服するために非パーフルオロ系の炭化水素系ポリマーをベースとした高分子電解質材料についても既にいくつかの取り組みがなされている。ポリマー骨格としては、耐熱性、化学的安定性の点から芳香族ポリエーテルケトンや芳香族ポリエーテルスルホンについて特に活発に検討がなされてきた。例えば、難溶性の芳香族ポリエーテルエーテルケトン(以降、PEEKと略称することがある。)のスルホン化物(例えば、非特許文献1参照。)、芳香族ポリエーテルスルホンであるポリスルホン(以降、PSFと略称することがある。)(UDEL P−1700(アモコ製)等があげられる)やポリエーテルスルホン(以降、PESと略称することがある。)(ビクトレックス PES 5200P(ICI製)等があげられる)のスルホン化物(例えば、非特許文献2)等が報告されたが、高温高湿下でポリマーが膨潤する問題を抱えており、特にメタノールなど燃料水溶液中やスルホン酸基密度が高くなる組成においてはその傾向が顕著であった。また、これらポリマーのスルホン化反応(高分子反応)により芳香環上にスルホン酸基を導入する方法ではポリマー中に導入するスルホン酸基の量および位置を精密に制御できないという問題点を有していた。これを改善する方法としてスルホン酸基を導入したモノマーを用いた重合により得た、スルホン酸基量が制御されたスルホン化芳香族ポリエーテルスルホンの報告がなされている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ここにおいても高温高湿下でポリマーが膨潤する問題は改善されず、特にメタノールなど燃料水溶液中やスルホン酸基密度が高くなる組成においてはその傾向が顕著で、このような耐熱水性や耐熱メタノール性に劣る電解質膜ではメタノールなどの燃料クロスオーバーを十分に抑制することは困難であった。さらに、これらのポリマーにおいては発電耐久性の尺度とされるフェントン耐性(耐ラジカル性)にも劣るという問題点を有していた。また、非特許文献3には下記式(H1)で表される構成単位を有する芳香族ポリエーテル系重合体で、イオン性基を含まないものについての記載がある。しかしながら、ここにおいてはイオン性基を導入するような試みや燃料電池用の電解質ポリマーを視野に入れた検討については全く記載されていないばかりかポリマーの化学構造と耐熱水性、耐熱メタノール性、耐ラジカル性との関係についての記載は全くなかった。
Figure 2006222010
このようにこれまで知られる高分子電解質材料はいずれも上述した高プロトン伝導性、燃料クロスオーバー抑制効果、耐熱水性、耐熱メタノール性、耐ラジカル性、経済性の全てを同時に満たすものではなく、更に高度な要求を満たす高分子電解質材料の開発が待ち望まれていた。
「ポリマー」(Polymer), 1987, vol. 28, 1009. 「ジャーナル オブ メンブレン サイエンス」(Journal of Membrane Science), 83 (1993) 211-220. 「マクロモレキュールズ」(Macromolecules), 1999, vol. 32, 4279. 米国特開2002−0091225号
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、高プロトン伝導度と低燃料クロスオーバーを両立し、耐熱水性、耐熱メタノール性、耐ラジカル性に優れる上に、高分子電解質型燃料電池としたときに高出力、高エネルギー密度を達成することができる高分子電解質材料、およびそれからなる高分子電解質膜、膜電極複合体ならびに高分子電解質型燃料電池を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するため次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の高分子電解質材料は少なくとも下記一般式(P1)と下記一般式(A1)で表される構成単位を有する芳香族ポリエーテル系重合体を含み、該芳香族ポリエーテル系重合体がイオン性基を有することを特徴とするものである。また、本発明の高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池は、かかる高分子電解質材料を用いて構成されていることを特徴とするものである。
Figure 2006222010
(式(P1)および(A1)において、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基、QおよびQはパーフルオロアルキル基および−CN基から選ばれた基、Arは芳香環を含む任意の2価の有機基を表し、qおよびqは1〜4の整数である。式(P1)および(A1)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
本発明によれば、高プロトン伝導度と低燃料クロスオーバーを両立し、耐熱水性、耐熱メタノール性、耐ラジカル性に優れた、高出力および高エネルギー容量を達成することができる実用性に優れた高分子電解質材料、ならびにそれを用いた高性能な高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、前記課題、つまり高プロトン伝導度と低燃料クロスオーバーを両立し、耐熱水性、耐熱メタノール性、耐久性に優れる上に、高分子電解質型燃料電池としたときに高出力、高エネルギー密度を達成することができる高分子電解質材料の化学構造について、鋭意検討し、少なくとも下記一般式(P1)と下記一般式(A1)で表される構成単位を有する芳香族ポリエーテル系重合体を含み、該芳香族ポリエーテル系重合体がイオン性基を有する高分子電解質材料を使用した場合に、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
Figure 2006222010
(式(P1)および(A1)において、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基、QおよびQはパーフルオロアルキル基および−CN基から選ばれた基、Arは芳香環を含む任意の2価の有機基を表し、qおよびqは1〜4の整数である。式(P1)および(A1)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
従来のスルホン化芳香族ポリエーテルケトン、スルホン化芳香族ポリエーテルスルホンを高分子電解質材料として用いた場合には、プロトン伝導性を高めるためにイオン性基の含有量を増加すると、高分子電解質材料が膨潤し、内部に大きな水のクラスターができ易く、高分子電解質材料中にいわゆる自由水が多くなる。かかる自由水中には、メタノールなどの燃料の移動が容易に行なわれるためメタノールなどの燃料クロスオーバーを抑制することは困難であった。さらに、これらのポリマーは主鎖中にラジカル耐性に劣るケトン基やスルホン基を多量に含むため燃料電池発電中に要求されるラジカル耐性にも問題があった。
本発明の高分子電解質材料は、スルホン化芳香族ポリエーテルケトンやスルホン化芳香族ポリエーテルスルホンのような芳香族ポリエーテル系重合体が有していた比較的親水性かつ親メタノール性の極性基、すなわちケトン基(−CO−)やスルホン基(−SO−)、を有していないためか、またはその量が少ないため、高温下の耐熱水性、メタノールなどの燃料水溶液中での寸法安定性に優れ、高プロトン伝導性と燃料クロスオーバー抑制の両立に有効であるという特徴がある。さらに、本発明者らはそれら親水性極性基を除くことにより、耐ラジカル性が著しく向上することを併せて見出した。
本発明の高分子電解質材料は下記一般式(P1)と下記一般式(A1)で表される構成単位を有する芳香族ポリエーテル系重合体を含み、該芳香族ポリエーテル系重合体はイオン性基を有することが必要である。
Figure 2006222010
(式(P1)および(A1)において、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基、QおよびQはパーフルオロアルキル基および−CN基から選ばれた基、Arは芳香環を含む任意の2価の有機基を表し、qおよびqは1〜4の整数である。式(P1)および(A1)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
本発明中でパーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の大部分または全部がフッ素原子に置換された基を意味する。本発明においては、アルキル基中の水素原子の85%以上がフッ素原子で置換された基をパーフルオロアルキル基と定義する。本発明においてパーフルオロアルキル基は必ずしも炭素と水素および/またはフッ素からのみからなる必要はなく、本発明の目的を損なわない程度であれば酸素、硫黄、窒素などの他の原子を含んでいても差し支えない。しかしながら、耐ラジカル性、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点から、パーフルオロアルキル基としては炭素と水素および/またはフッ素からのみからなるものがより好ましく使用され、さらに好ましくは炭素とフッ素からのみからなるものである。なかでも、耐熱メタノール性の点から、炭素数1〜6の低級パーフルオロアルキル基がさらに好ましく、特に好ましい具体例を挙げるとすると、CF基、CFCF基、CFCFCF基、(CFCF基に加え、CFCFOCFCF基、CFCFSCFCF基等が挙げられる。なかでも耐熱メタノール性および原料入手の容易さの点から、CF基、CFCF基が最も好ましい。
本発明の高分子電解質材料において、前記一般式(P1)で表される構成単位の含有量としては、前記一般式(P1)で表される構成単位とその他の繰り返し単位を基本とする構成単位の合計モル量に対して、前記一般式(P1)で表される構成単位を10モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは30モル%以上である。前記一般式(P1)で表される構成単位を10モル%未満しか含まない場合には、燃料クロスオーバー抑制効果や耐熱水性、耐熱メタノール性が不足する場合がある。
また、前記一般式(P1)中の基QおよびQとしては、耐ラジカル性、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点からパーフルオロアルキル基およびCN基の中でもパーフルオロアルキル基がより好ましく使用される。
本発明において、芳香族ポリエーテル系重合体は式(P1)および(A1)以外の芳香族ポリエーテルを構成単位に含んでいてもよい。芳香族ポリエーテルとは、主として芳香環から構成される重合体において、芳香環ユニットが連結する様式としてエーテル結合が含まれているものをいう。エーテル結合以外に、直接結合、ケトン、スルホン、スルフィド、各種アルキレン、イミド、アミド、エステル、ウレタン等、芳香族系ポリマーの形成に一般的に使用される結合様式が存在していても良い。エーテル結合は主構成成分の繰り返し単位あたり1個以上あることが好ましい。芳香環は炭化水素系芳香環だけでなく、ヘテロ環などを含んでいても良い。また、芳香環ユニットと共に一部脂肪族系ユニットがポリマーを構成していてもかまわない。芳香族ユニットは、アルキル基、アルコキシ基、芳香族基、アリロキシ基等の炭化水素系基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基等、任意の置換基を有していても良い。
本発明の高分子電解質材料としては燃料クロスオーバー抑制効果、原料入手の容易さおよびポリマー高分子量化の点から、前記一般式(P1)が下記一般式(P2)であることがより好ましい。
Figure 2006222010
(式(P2)において、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基を表す。式(P2)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
本発明の芳香族ポリエーテル系重合体の合成方法については、実質的に十分な高分子量化が可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば芳香族活性ジハライド化合物と2価フェノール化合物の芳香族求核置換反応、またはハロゲン化芳香族フェノール化合物の芳香族求核置換反応を利用して合成することができる。
具体的には前記一般式(P1)で表される芳香族ポリエーテル系重合体は、例えば芳香族活性ジハライド化合物として下記一般式(P1−1)を使用し、2価フェノール化合物との芳香族求核置換反応により合成することが可能である。
Figure 2006222010
(式(P1―1)において、L、Lはハロゲン原子、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基、QおよびQはパーフルオロアルキル基および−CN基から選ばれた基を表し、qおよびqは1〜4の整数である。式(P1−1)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
前記芳香族活性ジハライド化合物としては前記一般式(P1―1)で表されるものを含むことが必要であるが、他の化合物を併用することも可能である。共重合させる芳香族活性ジハライド化合物のより好適な具体例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。中でも共重合成分としては4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点からより好ましい。
さらに、前記式(P1−1)で表される芳香族活性ジハライド化合物の合成方法についても、実質的な純度を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば前記式(P1−1)中のXが芳香環である場合には、Xを含む芳香族ビスホウ酸化合物(鈴木カップリング試薬)と芳香族ジハライド化合物との鈴木カップリング反応を利用して合成することができる。
前記式(P1−1)中のXとしては、Xは直接結合、アルキレン基およびアリーレン基から選ばれた少なくとも1種の基を用いることが可能である。耐熱水性、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点から直接結合またはアリーレン基であることがより好ましい。本発明の明細書においては、アリーレン基はベンゼン系化合物のみを意味するのではなく、例えばピリジン系化合物、チオフェン系化合物などの複素環化合物も含むものとする。
基Xの好適なものとしては例えば直接結合、ならびに下記式(X2−1)〜(X2−21)で示されるベンゼン系の有機基、ならびに下記式(X2−22)〜(X2−34)で示される複素環系の有機基を例示できる。ただし、本発明に用いる有機基Xとしてはこれらに限定される物ではない。また、これらの有機基はイオン性基や任意の置換基を有していてもよい。これらの有機基は高分子電解質材料中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。これらの中でも直接結合、ならびに下記式(X2−1)〜(X2−5)および(X2−11)〜(X2−13)で示される有機基は、耐熱水性、耐熱メタノール性を向上する効果があるため特に好ましく、より好ましくは直接結合、ならびに式(X2−1)、(X2−4)、(X2−5)、(X2−12)、(X2−13)で示される有機基がさらに好ましい。
Figure 2006222010
Figure 2006222010
さらに、前記基Xとしては、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果、溶解性の点から下記一般式(P3)または(P4)で表される基であるものを最も好ましく用いることができる。
Figure 2006222010
(式(P3)および(P4)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
本発明の高分子電解質材料としては、前記一般式(P1)で表される構成単位とともに下記一般式(P5)で表される構成単位をさらに有することがより好ましい。
Figure 2006222010
(式(P5)中、Yは−CO−、−S0−、または−P(Rp)O−(Rpは任意の有機基)、MおよびMは水素、金属カチオン、アンモニウムカチオン、a1およびa2は1〜4の整数を表す。式(P5)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
芳香族活性ジハライド化合物にイオン酸基を導入した化合物をモノマーとして用いることは、イオン性基の量を精密制御が可能な点から好ましい。イオン性基としてスルホン酸基を有するモノマーの例の例としては、前記式(P1−1)で表されるモノマーのスルホン化物、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、等を挙げることができる。
プロトン伝導度および耐加水分解性の点からイオン性基としてはスルホン酸基が最も好ましいが、本発明に使用されるイオン性基を有するモノマーは他のイオン性基を有していても構わない。なかでも耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点から前記式(P1−1)で表されるモノマーのスルホン化物、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンがより好ましく、前記式(P1−1)で表される化合物でスルホン酸基を有するものが最も好ましい。これらのスルホン酸基は重合の際には、スルホン酸基が1価カチオン種との塩になっていることが好ましい。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。これら芳香族活性ジハライド化合物は、単独で使用することができるが、複数の芳香族活性ジハライド化合物を併用することも可能である。
また、本発明にモノマーとして使用する2価フェノール化合物としては、芳香族求核置換反応による芳香族ポリエーテル系重合体の重合に用いることができる各種2価フェノール化合物を使用することができ、特に限定されるものではない。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物にイオン性基が導入されたものもモノマーとして用いることもできる。また、ハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物としても特に制限されることはないが、4−ヒドロキシ−4’−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−フルオロジフェニルスルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)スルホン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−クロロフェニル)ケトン、4−(4’−ヒドロキシビフェニル)(4−フルオロフェニル)ケトン、等を例として挙げることができる。これらは、単独で使用することができるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。さらに、活性化ジハロゲン化芳香族化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物の反応においてこれらのハロゲン化芳香族ヒドロキシ化合物を共に反応させて芳香族ポリエーテル系化合物を合成しても良い。
本発明の高分子電解質材料は、耐熱水性、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点から、前記一般式(A1)中のArとして少なくとも下記一般式(P6)〜(P8)で表される基から選ばれた少なくとも1種を有することがより好ましい。
Figure 2006222010
(式(P6)〜(P8)中、ZはH、アルキル基およびアリール基から選ばれた基、Zは直接結合、メチレン基、−CO−、−SO−、OおよびSから選ばれた基、Zは−CO−または−SO−、ZはO、SおよびNR(Rは任意の有機基)を表す。式(P6)〜(P8)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
なかでも、最も好ましくはArが式(6)で表され、前記Zがフェニル基であるもの、あるいはArが式(7)で表され、前記Zが直接結合であるものがさらに好ましい。
Arの具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基ならびに下記一般式(Ar1−1)〜(Ar1−16)で示される有機基を例示できる。これらは置換基を有していてもよい。これらの中でも一般式(Ar1−6)〜(Ar1−13)で示される有機基は、燃料透過抑制効果が大きく、燃料中での寸法安定性向上に有効であるため特に好ましく、本発明の高分子電解質材料はZとして一般式(Ar1−6)〜(Ar1−13)で示される有機基のうち少なくとも1種類を含有することが好ましい。一般式(Ar1−6)〜(Ar1−13)で示される有機基の中でも特に好ましいのは一般式(Ar1−7)および一般式(Ar1−8)で示される有機基であり、最も好ましいのは一般式(Ar1−7)で示される有機基である。
Figure 2006222010
本発明における芳香族求核置換反応による重合は、上記モノマー混合物を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホランなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。
水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水剤を使用することもできる。芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。
本発明に使用されるイオン性基は、負電荷を有する原子団であれば特に限定されるものではないが、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましく用いられる。ここで、スルホン酸基は下記一般式(f1)で表される基、スルホンイミド基は下記一般式(f2)で表される基[式中Rは任意の原子団を表す。]、硫酸基は下記一般式(f3)で表される基、ホスホン酸基は下記一般式(f4)で表される基、リン酸基は下記一般式(f5)または(f6)で表される基、カルボン酸基は下記一般式(f7)で表される基を意味する。
Figure 2006222010
かかるイオン性基は前記官能基(f1)〜(f7)が塩となっている場合を含むものとする。前記塩を形成するカチオンとしては、任意の金属カチオン、NR (Rは任意の有機基)等を例として挙げることができる。金属カチオンの場合、その価数等特に限定されるものではなく、使用することができる。好ましい金属イオンの具体例を挙げるとすれば、Li、Na、K、Rh、Mg、Ca、Sr、Ti、Al、Fe、Pt、Rh、Ru、Ir、Pd等が挙げられる。中でも、高分子電解質材料としては、安価で、溶解性に悪影響を与えず、容易にプロトン置換可能なNa、Kがより好ましく使用される。
これらのイオン性基は前記高分子電解質材料中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。組み合わせはポリマーの構造などにより適宜決められる。中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基を有することがより好ましく、耐加水分解性の点から少なくともスルホン酸基を有することが最も好ましい。
高分子電解質材料中のスルホン酸基の量は、スルホン酸基密度(mmol/g)の値として示すことができる。本発明における高分子電解質材料のスルホン酸基密度は、プロトン伝導性、燃料クロスオーバーおよび機械強度の点から0.5〜3.0mmol/gであることが好ましく、燃料クロスオーバーの点から最も好ましくは0.7〜1.5mmol/gである。スルホン酸基密度が、0.5mmol/gより低いと、プロトン伝導性が低いため十分な発電特性が得られないことがあり、3.0mmol/gより高いと燃料電池用電解質膜として使用する際に、十分な耐熱水性および含水時の機械的強度が得られないことがある。
ここで、スルホン酸基密度とは、乾燥した高分子電解質材料1グラムあたりに導入されたスルホン酸基のモル数であり、値が大きいほどスルホン酸基の量が多いことを示す。スルホン酸基密度は、元素分析、中和滴定により求めることが可能である。これらの中でも測定の容易さから、元素分析法を用い、S/C比から算出することが好ましいが、スルホン酸基以外の硫黄源を含む場合などは、中和滴定法によりイオン交換容量を求めることもできる。
中和滴定の手順は下記のとおりである。測定は3回以上行ってその平均をとるものとする。
(1) 試料をミルにより粉砕し、粒径を揃えるため、目50メッシュの網ふるいにかけ、ふるいを通過したものを測定試料とする。
(2) サンプル管(蓋付き)を精密天秤で秤量する。
(3) 前記(1)の試料 約0.1gをサンプル管に入れ、40℃で16時間、真空乾燥する。
(4) 試料入りのサンプル管を秤量し、試料の乾燥重量を求める。
(5) 塩化ナトリウムを30重量%メタノール水溶液に溶かし、飽和食塩溶液を調製する。
(6) 試料に前記(5)の飽和食塩溶液を25mL加え、24時間撹拌してイオン交換する。
(7) 生じた塩酸を0.02mol/L水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液(0.1体積%)を2滴加え、薄い赤紫色になった点を終点とする。
(8) イオン交換容量は下記の式により求める。
イオン交換容量(meq/g)=
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/試料の乾燥重量(g)
本発明のイオン性基を有するポリマーには本発明の目的を阻害しない範囲において、他の成分、例えば導電性若しくはイオン伝導性を有さない不活性なポリマーや有機あるいは無機の化合物、が含有されていても構わない。
これら芳香族炭化水素系ポリマーに対してイオン性基を導入する方法は、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法と、高分子反応でイオン性基を導入する方法が挙げられる。イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法としては、繰り返し単位中にイオン性基を有したモノマーを用いれば良く、必要により適当な保護基を導入して重合後脱保護基を行えばよい。かかる方法は例えば Journal of Membrane Science, 197(2002) 231-242 に記載がある。
高分子反応でイオン性基を導入する方法について例を挙げて説明すると、芳香族系高分子へのホスホン酸基の導入は、例えばPolymer Preprints, Japan , 51, 750 (2002) 等に記載の方法によって可能である。芳香族系高分子へのリン酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子のリン酸エステル化によって可能である。芳香族系高分子へのカルボン酸基の導入は、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基を有する芳香族系高分子を酸化することによって可能である。芳香族系高分子への硫酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子の硫酸エステル化によって可能である。芳香族系高分子をスルホン化する方法、すなわちスルホン酸基を導入する方法としては、たとえば特開平2−16126号公報あるいは特開平2−208322号公報等に記載の方法が公知である。具体的には、例えば、芳香族系高分子をクロロホルム等の溶媒中でクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させたり、濃硫酸や発煙硫酸中で反応することによりスルホン化することができる。スルホン化剤には芳香族系高分子をスルホン化するものであれば特に制限はなく、上記以外にも三酸化硫黄等を使用することができる。この方法により芳香族系高分子をスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはスルホン化剤の使用量、反応温度および反応時間により、容易に制御できる。芳香族系高分子へのスルホンイミド基の導入は、例えばスルホン酸基とスルホンアミド基を反応させる方法によって可能である。
本発明の高分子電解質材料を燃料電池用として使用する際には、通常膜の状態で使用される。しかしながら、本発明の高分子電解質材料は、膜状に限定されるものではなく、その形状としては、前述の膜状の他、板状、繊維状、中空糸状、粒子状、塊状など、使用用途によって様々な形態をとりうる。本発明の高分子電解質材料を膜へ転化する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜する方法あるいは溶融状態より製膜する方法等が可能である。前者では、たとえば、該高分子電解質材料をN,N−ジメチルアセトアミド等の溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が例示できる。
製膜に用いる溶媒としては、高分子電解質材料を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水およびこれらの混合物が好適に用いられるが、非プロトン性極性溶媒が最も溶解性が高く好ましい。
次いで、得られた高分子電解質膜はイオン性基の少なくとも一部を金属塩の状態にしてから熱処理することが好ましい。金属塩の金属はスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。この熱処理の温度は好ましくは150〜550℃、さらに好ましくは160〜400℃、特に好ましくは180〜350℃である。熱処理時間は、好ましくは10秒〜12時間、さらに好ましくは30秒〜6時間、特に好ましくは1時間前後である。熱処理温度が低すぎると、燃料透過性の抑制効果が不足する。一方、高すぎると膜材料の劣化を生じやすくなる。熱処理時間が10秒未満であると燃料透過性の抑制効果が不足する。一方、12時間を超えると膜材料の劣化を生じやすくなる。熱処理により得られた高分子電解質膜は必要に応じて酸性水溶液に浸漬することによりプロトン置換することができる。この方法で成形することによって本発明の高分子電解質膜はプロトン伝導度と燃料遮断性をより良好なバランスで両立することが可能となる。
本発明の高分子電解質膜は、さらに必要に応じて放射線照射などの手段によって高分子構造を架橋せしめることもできる。かかる高分子電解質膜を架橋せしめることにより、燃料クロスオーバーおよび燃料に対する膨潤をさらに抑制する効果が期待でき、機械的強度が向上し、より好ましくなる場合がある。かかる放射線照射の種類としては例えば、電子線照射やγ線照射を挙げることができる。
本発明の高分子電解質膜の膜厚としては、好ましくは1〜2000μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには1μmより厚い方がより好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには2000μmより薄い方が好ましい。かかる膜厚のさらに好ましい範囲は3〜500μm、特に好ましい範囲は5〜250μmである。かかる膜厚は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができる。
また、本発明の高分子電解質材料には、通常の高分子化合物に使用される可塑剤、安定剤あるいは離型剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない範囲内で添加することができる。
また、本発明の高分子電解質材料には、前述の諸特性に悪影響をおよぼさない範囲内で機械的強度、熱安定性、加工性などの向上を目的に、各種ポリマー、エラストマー、フィラー、微粒子、各種添加剤などを含有させてもよい。
本発明の高分子電解質膜は、その20℃の条件下、30重量%メタノール水溶液に対する単位面積当たりのメタノール透過量が40μmol・min−1・cm−2以下であることが好ましい。該高分子電解質膜を用いた燃料電池において、燃料濃度が高い領域において高出力および高エネルギー容量が得られるという観点から、高い燃料濃度を保持すべく、燃料透過量が小さいことが望まれるからである。メタノール透過量は、25℃の純水に高分子電解質膜を24時間浸漬した後で測定する。
かかる観点からは、0μmol・min−1・cm−2が最も好ましいが、プロトン伝導性を確保する観点からは0.01μmol・min−1・cm−2以上が好ましい。
なおかつ、本発明の高分子電解質膜は、単位面積当たりのプロトン伝導度が1S・cm−2以上であることが好ましく、2S・cm−2以上がより好ましい。プロトン伝導度は、25℃の純水に高分子電解質膜を24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く行う定電位交流インピーダンス法により測定することができる。
単位面積当たりのプロトン伝導度を1S・cm−2以上とすることにより、燃料電池用高分子電解質膜として使用する際に、十分なプロトン伝導性、すなわち十分な電池出力を得ることができる。プロトン伝導度は高い方が好ましいが、高プロトン伝導度の膜はメタノール水などの燃料により溶解や崩壊しやすくなり、また燃料透過量も大きくなる傾向があるので、現実的な上限は50S・cm−2である。
本発明の高分子電解質膜は、上記したような低メタノール透過量と高プロトン伝導度を同時に達成することが、高出力と高エネルギー容量を両立させる上から好ましい。
かかる高分子電解質材料を燃料電池として用いる際の高分子電解質材料と電極の接合法については特に制限はなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, 269.記載の化学メッキ法、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
本発明の高分子電解質材料は、種々の用途に適用可能である。例えば、体外循環カラム、人工皮膚などの医療用途、ろ過用用途、イオン交換樹脂用途、各種構造材用途、電気化学用途に適用可能である。中でも種々の電気化学用途により好ましく利用できる。電気化学用途としては、例えば、燃料電池、レドックスフロー電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等が挙げられるが、中でも燃料電池が最も好ましい。さらに燃料電池のなかでも高分子電解質型燃料電池に好適であり、これには水素を燃料とするものとメタノールなどの有機化合物を燃料とするものがあり、炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水の混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接型燃料電池に特に好ましく用いられる。炭素数1〜6の有機化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルが好ましく、メタノールが最も好ましく使用される。
さらに、本発明の高分子電解質型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDAなどの携帯機器、掃除機等の家電、乗用車、バス、トラックなどの自動車や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源として好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次の通りである。
(1)スルホン酸基密度
検体となる膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬し、40℃で24時間真空乾燥した後、元素分析により測定した。炭素、水素、窒素の分析は全自動元素分析装置varioEL、硫黄の分析はフラスコ燃焼法・酢酸バリウム滴定、フッ素の分析はフラスコ燃焼・イオンクロマトグラフ法で実施した。ポリマーの組成比から単位グラムあたりのスルホン酸基密度(mmol/g)を算出した。
(2)プロトン伝導度
膜状の試料を25℃の30重量%メタノール水溶液に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
測定装置としては、Solartron製電気化学測定システム(Solartron 1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency Response Analyzer)を使用した。サンプルは、φ2mmおよびφ10mmの2枚の円形電極(ステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持した。有効電極面積は0.0314cmである。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布した。25℃において、交流振幅50mVの定電位インピーダンス測定を行い、膜厚方向のプロトン伝導度を求めた。
(3)メタノール透過量
膜状の試料を60℃で30重量%メタノール水溶液に24時間浸漬した後、20℃において30重量%メタノール水溶液を用いて測定した。60℃で30重量%メタノール水溶液に24時間浸漬する前と後では大きくメタノール透過量が変化するため、この前処理は膜の正確な特性を評価するために必ず行う必要がある。
H型セル間にサンプル膜を挟み、一方のセルには純水(60mL)を入れ、他方のセルには30重量%メタノール水溶液(60mL)を入れた。セルの容量は各80mLであった。また、セル間の開口部面積は1.77cmであった。20℃において両方のセルを撹拌した。1時間、2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)で測定し定量した。グラフの傾きから単位時間あたりのメタノール透過量を求めた。
(4)重量平均分子量
ポリマーの重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めた。
(5)耐熱水性および耐熱メタノール性
電解質膜の耐熱水性および耐熱メタノール性は60℃、30wt%メタノール水溶液中での寸法変化率を測定することにより評価した。電解質膜を長さ約5cm、幅約1cmの短冊状に切り取り、25℃の水中に24時間浸漬後、ノギスで長さ(L1)を正確に測長した。該電解質膜を60℃の30wt%メタノール水溶液中に12時間浸漬後、再度ノギスで長さ(L2)を正確に測長し、下記算式(S1)にて寸法変化率を計算した。
(30wt%メタノール水溶液中での寸法変化率)=L2/L1……(S1)
L1 :25℃の水中に24時間浸漬後の電解質膜の長さ(cm)
L2 :60℃の30wt%メタノール水溶液中に12時間浸漬後の電解質膜の長さ(cm)
(6)膜厚
ミツトヨ製グラナイトコンパレータスタンドBSG−20にセットしたミツトヨ製ID−C112型を用いて測定した。
合成例1
下記式(G1)で表されるジフルオロモノマーの合成
Figure 2006222010
5−ブロモ−2−フルオロベンズトリフルオリド110gおよびMgからグリニャール試薬を調製し、アセトン/ドライアイスバス中でB(OMe)3と反応させた。HClaqで加水分解後、水で抽出することにより4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルホウ酸を合成した。次に、Na2CO3、Pd(PPh)4存在下、トルエン/水溶媒中、得られた4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルホウ酸67gとp−ジブロモベンゼン31gとを2h反応させた。水で抽出後、ショートカラム(フロリジール)により触媒除去、再結晶することにより、上記式(G1)で示されるジフルオロモノマーを得た。
合成例2
下記式(G2)で表されるスルホン化ジフルオロモノマーの合成
Figure 2006222010
前記式(G1)で示されるジフルオロモノマー30gを濃硫酸100mL中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩を加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、上記式(G2)で示されるスルホン化ジフルオロモノマーを得た。
合成例3
下記式(G3)で表されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成
Figure 2006222010
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1gを発煙硫酸(50%SO3)150mL中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、上記式(G3)で示されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。
合成例4
Figure 2006222010
p−ジブロモベンゼン31gの代わりに9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン63gを用いた以外は合成例1に記載の方法で上記式(G4)で示されるジフルオロモノマーを得た。
合成例5
Figure 2006222010
p−ジブロモベンゼン31gの代わりに4,4’−ジブロモテトラフェニルメタン63gを用いた以外は合成例1に記載の方法で上記式(G5)で示されるジフルオロモノマーを得た。
実施例1
下記式(J1)で表されるポリマーの合成
Figure 2006222010
(式中、*はその位置で上式の右端と下式の左端とが結合していることを表す。)
炭酸カリウム3.5g、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン7.1g、前記合成例1で得たジフルオロモノマー1.6g、および前記合成例2で得たスルホン化ジフルオロモノマー8.1gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、上記式(G4)で示されるポリマーを得た。得られたポリマーのプロトン置換後のスルホン酸基密度は1.0mmol/g、重量平均分子量は22万であった。
得られたポリマーを溶解させた25重量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下325℃で10分間熱処理し、高分子電解質膜を得た。25℃で1N塩酸に24時間浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄した。
得られた膜は膜厚33μmであった。評価結果は表1にまとめた。高プロトン伝導性を維持したまま、メタノールクロスオーバーの抑制効果が大きかった。また、耐熱メタノール性に優れていた。
実施例2
下記式(J2)で表されるポリマーの合成
Figure 2006222010
(式中、*はその位置で上式の右端と下式の左端とが結合していることを表す。)
炭酸カリウム3.5g、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン7.1g、前記合成例1で得たジフルオロモノマー5.6g、および前記合成例3で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2.7gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、上記式(G5)で示されるポリマーを得た。得られたポリマーのプロトン置換後のスルホン酸基密度は1.0mmol/g、重量平均分子量は24万であった。
実施例1で得た前記式(J1)のポリマーを前記式(J2)のポリマーに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。
得られた膜は膜厚35μmであった。評価結果は表1にまとめた。高プロトン伝導性を維持したまま、メタノールクロスオーバーの抑制効果が大きかった。また、耐熱メタノール性に優れていた。
実施例3
下記式(J3)で表されるポリマーの合成
Figure 2006222010
(式中、*はその位置で上式の右端と下式の左端とが結合していることを表す。)
前記合成例1で得たジフルオロモノマー5.6gおよび前記合成例3で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2.7gを、前記合成例4で得たジフルオロモノマー6.4g、および前記合成例3で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン4.2gに変えた以外は実施例2に記載の方法でポリマーの合成を行った。得られたポリマーのプロトン置換後のスルホン酸基密度は1.2mmol/g、重量平均分子量は18万であった。
実施例1で得た前記式(J1)のポリマーを前記式(J3)のポリマーに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。
得られた膜は膜厚40μmであった。評価結果は表1にまとめた。高プロトン伝導性を維持したまま、メタノールクロスオーバーの抑制効果が大きかった。また、耐熱メタノール性に優れていた。
実施例4
下記式(J4)で表されるポリマーの合成
Figure 2006222010
(式中、*はその位置で上式の右端と下式の左端とが結合していることを表す。)
前記合成例1で得たジフルオロモノマー5.6gおよび前記合成例3で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2.7gを、前記合成例5で得たジフルオロモノマー6.4g、および前記合成例3で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン4.2gに変えた以外は実施例2に記載の方法でポリマーの合成を行った。得られたポリマーのプロトン置換後のスルホン酸基密度は1.2mmol/g、重量平均分子量は19万であった。
実施例1で得た前記式(J1)のポリマーを前記式(J4)のポリマーに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。
得られた膜は膜厚41μmであった。評価結果は表1にまとめた。高プロトン伝導性を維持したまま、メタノールクロスオーバーの抑制効果が大きかった。また、耐熱メタノール性に優れていた。
比較例1
市販のナフィオン(R)117膜(デュポン社製)を用い、イオン伝導度、MCOおよび耐熱メタノール性を評価した。ナフィオン(R)117膜は100℃の5%過酸化水素水中にて30分、続いて100℃の5%希硫酸中にて30分浸漬した後、100℃の脱イオン水でよく洗浄した。評価結果は表1にまとめた。
比較例2
Figure 2006222010
(式中、*はその位置で上式の右端と下式の左端とが結合していることを表す。)
米国特開2002−0091225号記載の方法と同様にして上記式(J5)のポリエーテルスルホンを合成した。H型ポリマーのスルホン酸基密度は1.3mmol/gであり、重量平均分子量は16万であった。
実施例1で得た前記式(J1)のポリマーを前記式(J5)のポリマーに変えたこと、窒素下325℃で10分間熱処理を行わなかったこと以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。
得られた膜は膜厚35μmであった。評価結果は表1にまとめた。メタノールクロスオーバーの抑制効果があまりなかった。また、耐熱メタノール性が不足していた。
実施例1〜2、比較例1〜2の各評価結果を表1に示す。実施例1〜2の膜は比較例1のナフィオン(R)117膜と比較してメタノールクロスオーバーの抑制効果が大きく、耐熱メタノール性にも優れていた。また、比較例2の膜と比較して同程度のスルホン酸基を有するにもかかわらずメタノールクロスオーバーの抑制効果が大きく、耐熱メタノール性にも優れていた。
Figure 2006222010
本発明の電解質膜は、種々の電気化学装置(例えば、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等)に適用可能である。これら装置の中でも、燃料電池用に好適であり、特にメタノール水溶液を燃料とする燃料電池に好適である。
本発明の高分子電解質型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯機器、コードレス掃除機等の家電、玩具類、電動自転車、自動二輪、自動車、バス、トラックなどの車両や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源、据え置き型の発電機など従来の一次電池、二次電池の代替、もしくはこれらとのハイブリット電源として好ましく用いられる。

Claims (14)

  1. 少なくとも下記一般式(P1)と下記一般式(A1)で表される構成単位を有する芳香族ポリエーテル系重合体を含み、該芳香族ポリエーテル系重合体がイオン性基を有することを特徴とする高分子電解質材料。
    Figure 2006222010
    (式(P1)および(A1)において、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基、QおよびQはパーフルオロアルキル基および−CN基から選ばれた基、Arは芳香環を含む任意の2価の有機基を表し、qおよびqは1〜4の整数である。式(P1)および(A1)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
  2. およびQがパーフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質材料。
  3. 一般式(P1)が下記一般式(P2)であることを特徴とする請求項2に記載の高分子電解質材料。
    Figure 2006222010
    (式(P2)において、Xは直接結合および2価の有機基から選ばれた基を表す。式(P2)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
  4. が下記一般式(P3)または(P4)から選ばれることを特徴とする請求項3に記載の高分子電解質材料。
    Figure 2006222010
    (式(P3)および(P4)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
  5. 下記一般式(P5)で表される構成単位をさらに有する該芳香族ポリエーテル系重合体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質材料。
    Figure 2006222010
    (式(P5)中、Yは−CO−、−SO−、または−P(Rp)O−(Rpは任意の有機基)を表し、MおよびMは水素、金属カチオン、アンモニウムカチオンを表し、a1およびa2は1〜4の整数を表す。式(P5)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
  6. Arが下記一般式(P6)〜(P8)から選ばれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質材料。
    Figure 2006222010
    (式(P6)〜(P8)中、ZはH、アルキル基およびアリール基から選ばれた基、Zは直接結合、メチレン基、−CO−、−SO−、OおよびSから選ばれた基、Zは−CO−または−SO−から選ばれた基、ZはO、SおよびNR(Rは任意の有機基)から選ばれた基を表す。式(P6)〜(P8)で表される基は任意に置換されていてもよい。)
  7. Arが式(P6)または(P7)より選ばれ、Zがフェニル基であり、Zが直接結合であることを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質材料。
  8. 該イオン性基がスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質材料。
  9. 該イオン性基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項8に記載の高分子電解質材料。
  10. 該スルホン酸基密度が0.5〜3.0mmol/gであることを特徴とする請求項9に記載の高分子電解質材料。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の高分子電解質材料を用いて構成されていることを特徴とする高分子電解質膜。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の高分子電解質材料および/または高分子電解質膜を用いて構成されていることを特徴とする膜電極複合体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の高分子電解質材料および/または高分子電解質膜および/または膜電極複合体を用いて構成されていることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
  14. 該高分子電解質型燃料電池が、炭素数1〜6の有機化合物、およびこれらと水の混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接型燃料電池であることを特徴とする請求項13に記載の高分子電解質型燃料電池。
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