以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態にかかる光ファイバケーブルの接続構造Aは、図1ないし図8、図16及び図17を参照して説明する。図1は、本発明の光ファイバケーブルの接続構造の第1の実施形態を示す斜視図である。図2は、図1の分解斜視図である。図3は、第1の実施形態に係るクリップを示す斜視図である。図4は、第1の実施形態に係るハウジングを示す斜視図である。図5(A)、図5(B)及び図5(C)はそれぞれ、図4のハウジングの平面図、正面図及び側面図である。図6は、図5(A)におけるA−A線に沿った断面図である。図7は、金具が取り付けられた保護チューブを示す斜視図である。図8(A)〜図8(E)は、保護チューブに固定金具を取り付けるときの手順を示す説明図である。
図1及び図2に示すように、第1の実施形態の光ファイバケーブルの接続構造(以下、単に接続構造と呼ぶ)Aは、光ファイバケーブル1を、自動車などに搭載される各種の機器(電子機器)に接続するための構造である。接続構造Aは、2芯タイプ(後述する光ファイバ11を2本有したもの)の光ファイバケーブル1の後述する外皮12の端末から露出された光ファイバ11をそれぞれ保護しかつ端末に固定用の金具(以下、固定金具と記す)6が予め取り付けられた2本の保護チューブ4と、前記固定金具6を介して前記光ファイバケーブル1の後述する外皮12の端末と前記保護チューブ4とを固定する固定部5と、を備えている。
前記固定部5は、光ファイバケーブル1を挟持するクリップ2(請求項の挟持手段に対応する)と、光ファイバケーブル1の外皮12の端末及び保護チューブ4の一方の端末を収容し、かつクリップ2を介して光ファイバケーブル1の外皮12の端末を固定すると共に固定金具6を介して保護チューブ4を固定する固定部材3と、を備えて構成されている。さらに、固定部材3は、互いに略同形状の2つのハウジング3a,3b(請求項の固定部材に対応する)を備えている。なお、ハウジング3aを以下、ベースハウジングと呼び、ハウジング3bを以下アッパハウジングと呼ぶ。
前述した接続構造Aは、固定部材3内において、光ファイバケーブル1の外皮12内から2本の光ファイバ11を露出させて、それぞれの光ファイバ11を固定金具6側から保護チューブ4各々に挿入している。また、保護チューブ4のそれぞれの他方の端末には、必要に応じて、図示しない機器等に接続するための光コネクタ7が取り付けられている。なお、実施形態では、クリップ2が挟持手段に対応しているが、挟持手段はハウジング3a,3bに光ファイバケーブル1の挟持溝などを形成したものであってもよい。これにより、クリップ2が不要となり、部品点数がより削減可能になる。請求項の挟持手段は、これらを含む概念である。
光ファイバケーブル1は、図16に示すように、外側被覆としての長尺の筒状の外皮12と、該外皮12内に収容された二つの光ファイバ11と、二つの支持線13と、を備えている。外皮12は、可撓性を有しているとともに、光ファイバ11を収容して、該光ファイバ11が破損することを防止している(保護している)。外皮12の幅方向の中央には、その全長に亘ってノッチ14が設けられている。ノッチ14は、外皮12の外表面から凹に形成されている。ノッチ14は、外皮12則ち光ファイバケーブル1の長手方向に沿って直線状に延在している。
光ファイバ11は、長尺な線条に形成されており、導光性の合成樹脂などで構成されている。光ファイバ11は、例えば、合成樹脂などで構成されており、信号光を伝送する。二つの光ファイバ11は、その全長に亘って、外周に被覆部15が被覆されて束ねられている。被覆部15は、紫外線が照射されると硬化する合成樹脂で構成されている。被覆部15は、光ファイバ11を被覆して、該光ファイバ11内を伝送される信号光が外部に漏れることを防止しているとともに、該光ファイバ11を保護している。支持線13は、長尺な線条に形成されており、例えば、FRPなどの繊維などで強化された合成樹脂や、鋼などの剛性の高い材料で構成されている。支持線13は、外皮12の幅方向の両端部に埋設されている。支持線13は、外皮12則ち光ファイバ11の全長に亘って設けられている。支持線13は、光ファイバ11則ち光ファイバケーブル1が折れ曲がることを規制している。
前述した光ファイバケーブル1は、その全長に亘って、外皮12内に光ファイバ11と支持線13とを収容して、長尺な線条に形成されている。また、前述した被覆部15と外皮12との間には、隙間(空間ともいう)16が設けられている。則ち、被覆部15と外皮12とは、互いに密に接触していない。光ファイバケーブル1は、接続構造Aの保護チューブ4などを介して機器に接続されて、該機器に所望の信号光を伝送する。光ファイバケーブル1は、接続構造Aと接続される端末の外皮12と被覆部15とが除去されて、光ファイバ11が該外皮12より露出している。
保護チューブ4は、図7に示すように、光ファイバ11(図2参照)が挿通されて、この光ファイバ11を保護するための所定長のチューブ状の部材である。保護チューブ4は、図17に示すように、チューブ状の外皮42と、該外皮42内に収容された光ファイバ11挿通用のインナーチューブ43(図8参照)と、前記外皮42とインナチューブ43との間に複数(多数)収容された抗張力繊維44(図8参照)と、を備えている。
抗張力繊維44は、外皮42及びインナチューブ43則ち保護チューブ4に、該保護チューブ4が直線状となるように張力を付与する。則ち、抗張力繊維44は、保護チューブ4を曲げにくくする。このため、保護チューブ4は、曲げられると直線状に復帰しようとする弾性復元力を生じて輪状となる。
前述した保護チューブ4は、その全長に亘って、外皮42内にインナチューブ43と抗張力繊維44とを収容して、長尺な線条に形成されている。保護チューブ4は、前述したインナチューブ43内に光ファイバケーブル1の外皮12より露出した光ファイバ11を収容する。そして、保護チューブ4は、曲げられても、極力曲率半径が大きくなる方向の弾性復元力を生じて、光ファイバ11が折れ曲がることを規制している。
保護チューブ4の一方の端末には、固定金具6が取り付けられている。固定金具6は、図8に示すように、2つのかしめリング61と、筒状金具62とを備えている。かしめリング61及び筒状金具62は、共に、互いに同軸に配された異径筒体が一体化されたような金属リングである。特に、筒状金具62には、収容部側回転防止面37に対応するように、その外表面の一部に、平面化された金具側回転防止面62aが形成されている。金具側回転防止面62aは、勿論、平坦に形成されている。金具側回転防止面62aは、図示例では、一対設けられ、互いに軸芯を挟んで互いに裏側に配置されている。さらに、一対の金具側回転防止面62aは、互いに平行である。
作業現場での工数及び使用工具を削減するために、固定金具6は、接続構造Aが保護チューブ4と光ファイバケーブル1とを接続する前に、工場内等で予め保護チューブ4の一方の端末に取り付けられている。この固定金具6の取り付け方法を、図8を用いて以下に説明する。
まず、図8(A)に示すように、所定長の保護チューブ4の外側に2つのかしめリング61が通される。次に、図8(B)に示すように、保護チューブ4の一方の端末の外皮42が除去されて抗張力繊維44及びインナーチューブ43が剥き出される(露出される)。次に、図8(C)に示すように、インナーチューブ43を筒状金具62内に挿通させつつ、図中左側のかしめリング61内に、抗張力繊維44を挿通させる。次に、図8(D)に示すように、筒状金具62と上記左側のかしめリング61とで、抗張力繊維44をかしめたうえで、余分な抗張力繊維44を削除する。そして、図中左側のかしめリング61と図中右側のかしめリング61とで、外皮42をかしめて、保護チューブ4への固定金具6の取り付けが完了する。
また、保護チューブ4の他方の端末には、自動車などに搭載される機器と接続される光コネクタ7が取り付けられている。このため、保護チューブ4は、光ファイバケーブル1を機器に接続するためのチューブとなっている。
図3に示すように、クリップ2は、金属板が略コ字状に折り曲げて構成されている。クリップ2は、互いに間隔をあけて平行に配置された一対の挟持片21と、該挟持片21の一方の端部同士を連結する連結部22と、を一体に備えて、側方からみてコ字状に形成されている。クリップ2は、一対の挟持片21の特に他方の端部同士の間隔が拡がる方向に弾性変形自在となっている。一対の挟持片21間は、光ファイバケーブル1を挟持するための挟持部23となっている。挟持部23則ち一対の挟持片21間の間隔は、光ファイバケーブル1の直径よりもやや狭い間隔になっている。また、一対の挟持片21には、それぞれ、スリット24が形成されている。スリット24は、勿論、挟持片21を貫通している。クリップ2は、強度の点から金属製であることが望ましいが、所定の強度を満たせば樹脂等の成形品であってもよい。クリップ2は、拡縮自在な挟持部23内に光ファイバケーブル1が圧入されて、該挟持部23が光ファイバケーブル1によって拡げられることで、該光ファイバケーブル1と固定される。
図4に示すように、ハウジング3a,3bは、平面形状が矩形状(横長)でかつ浅皿状をしている。上記2つのハウジング3a,3bは、略同形状をしており、互いに嵌合して扁平な(横長の)箱型形状になる(図1、図2参照)。ハウジング3a,3bは、PBT等の難燃性を有するプラスティック材料で構成された成形品であることが望ましいが、金属製であってもよい。
また、図4〜図6に示すように、ハウジング3a,3bは、クリップ収容部31、位置決めピン32、位置決め穴33、爪34、溝35、固定金具収容部36、収容部側回転防止面37、及び切欠部38を有している。クリップ収容部31は、上記クリップ2の形状に対応して、四角形状に掘り下げられて構成されている。則ち、クリップ収容部31は、平面形状が、クリップ2の平面形状と略等しい凹みである。クリップ収容部31は、内側のクリップ2を収容することで、該クリップ2をハウジング3a,3bに固定する。さらに、クリップ収容部31は、ハウジング3a,3bの長手方向の一方の端部に設けられている。
位置決めピン32及び位置決め穴33は、両ハウジング3a,3bを嵌合する際に、位置決め穴33内に位置決めピン32が侵入して、これらのハウジング3a,3bの位置決めに用いられるものである。位置決めピン32及び位置決め穴33は、ハウジング3a,3bの幅方向の両縁に設けられている。位置決めピン32は、ハウジング3a,3bの互いに相対する表面から凸に形成されている。位置決め穴33は、ハウジング3a,3bの互いに相対する表面から凹に形成されている。
爪34及び溝35は、両ハウジング3a,3bを嵌合する際に、互いに係合して、これらのハウジング3a,3b同士を締結するために用いられるものである。爪34及び溝35は、ハウジング3a,3bの幅方向の両縁で、かつハウジング3a,3bの長手方向の両端部に設けられている。爪34は、相手側のハウジング3a,3bに向かってアーム状に延在している。溝35は、ハウジング3a,3bの外表面から凹に形成されている。
固定金具収容部36は、保護チューブ4の一方の端末に取り付けられた固定金具6を収容するためのもので、断面半円柱形状に形成されている。固定金具収容部36は、図示例では、一対設けられ、互いに並列的に、ハウジング3a,3b各々の2箇所が掘り下げられて構成されている。則ち、固定金具収容部36は、平面形状が固定金具6の平面形状と略等しい凹みである。固定金具収容部36の長手方向は、ハウジング3a,3bの長手方向と平行である。固定金具収容部36は、内側の固定金具6を収容することで、該固定金具6をハウジング3a,3bに固定する。さらに、固定金具収容部36は、ハウジング3a,3bの長手方向の他方の端部に設けられている。
さらに、固定金具収容部36のハウジング3a,3bの長手方向の中央寄りの一部には、金具側回転防止面62aに対応する平面状の収容部側回転防止面37が形成されている。収容部側回転防止面37は、各々の固定金具収容部36に一対設けられている。収容部側回転防止面37は、ハウジング3a,3b同士が嵌合する際に、これらのハウジング3a,3b同士が近づく方向に沿って平坦に形成されている。収容部側回転防止面37は、互いに平行に形成されている。収容部側回転防止面37の作用については後述する。
切欠部38は、クリップ収容部31とハウジング3a,3bの外表面とに亘って設けられており、勿論、ハウジング3a,3bの一部を切り欠いている。切欠部38は、内側に光ファイバケーブル1を通して、該光ファイバケーブル1をハウジング3a,3b間則ち固定部材3内に導く。
続いて、上述のような構成において、光ファイバケーブル1と固定金具付の保護チューブ4との接続方法則ち前述した接続構造Aの組立方法について以下に説明する。
まず、前述したように、予め保護チューブ4の一方の端末に固定金具6を取り付けておく。そして、光ファイバケーブル1の幅方向の中央にあるノッチ14で外皮12を引き裂くとともに被覆部15を除去して、2芯の光ファイバ11を外皮12内から取り出し、引き裂かれた光ファイバケーブル1の外皮12と支持線13を根元で切断する。こうして、外皮12の端末より光ファイバ11を露出させる。このとき、光ファイバ11の取り出し長さは、保護チューブ4の長さに100mmを加えた程度とする。光ファイバ11の取り出し後、光ファイバ11をそれぞれ分離して単芯状態にする。光ファイバ11の分離は、比較的容易に行えるが、治工具を用いてもよい。
次に、単芯に分離した光ファイバ11を、固定金具6側の端部から保護チューブ4(正確には、インナーチューブ43)に挿通する。次に、上記金具側回転防止面62aが収容部側回転防止面37に一致するようにして、保護チューブ4に取り付けられた固定金具6を、ベースハウジング3aの固定金具収容部36に取り付ける。このとき、金具側回転防止面62aが収容部側回転防止面37に一致するようにして取り付けることにより、組立後の保護チューブ4のハウジング3a,3b則ち固定部材3に対する軸芯回りの自由な回転を抑制し、光ファイバ11に捩れが発生するのを防止することができる。
次に、クリップ2の挟持部23内に光ファイバケーブル1の端末を、該光ファイバケーブル1の長手方向に直交する方向に沿って差し込んで、クリップ2を光ファイバケーブル1に取り付ける。このとき、クリップ2は、光ファイバケーブル1の外皮12の端末が該クリップ2の外縁から2〜5mm出る(光ファイバケーブル1の)位置に取り付ける。次に、光ファイバケーブル1に緩みが残らないように注意しながら、ベースハウジング3aのクリップ収容部31にクリップ2を装着して、当該ベースハウジング3aに他方のアッパハウジング3bを嵌め込む。
このとき、位置決めピン32を位置決め穴33内に挿入するとともに、爪34を溝35に係合させて、光ファイバケーブル1、クリップ2、保護チューブ4、固定金具6を、両ハウジング3a,3bで挟み込むようにして締結する。そして、必要に応じて、現場取り付け型の光コネクタ7を保護チューブ4の他方の端末に取り付ける。
なお、光ファイバケーブル1が単芯(すなわち光ファイバ11を一本のみ有する)の場合には、ハウジング3a,3bの固定金具収容部36の片側に図示しないめくら蓋を挿入しても良い。そして、上記手順に準じて、光ファイバケーブル1、クリップ2、保護チューブ4、固定金具6を、両ハウジング3a,3bで挟み込むようにして締結し、必要に応じて、現場取り付け型の光コネクタ7を保護チューブ4の他端に取り付ける。
このように、本発明の第1の実施形態によれば、光ファイバケーブル1と筒状金具62が予め取り付けられた複数本の保護チューブ4との間に、クリップ2を介して光ファイバケーブル1を固定すると共に、筒状金具62を介して保護チューブ4を固定するハウジング3a,3bが介設されている。そして、固定部材3内において、光ファイバケーブル1が複数本の光ファイバに分岐されそれぞれ複数本の保護チューブ4に挿入接続されている。したがって、部品点数が大幅に削減されるうえに、現場での接続作業も非常に容易になる。更に、保護チューブ4には、固定金具6が予め取り付けられているので、現場でのかしめ作業も不要になる。また、光ファイバケーブル1が単芯の場合にも適用可能となる。
また、本実施形態の接続構造Aは、光ファイバケーブル1の外皮12から露出した光ファイバ11を、機器接続用の保護チューブ4内に通して組み立てられる。このように、光ファイバケーブル1の外皮12から露出した光ファイバ11を保護チューブ4内に通すことで、光ファイバケーブル1を機器に接続可能になる。したがって、光ファイバケーブル1を溶着や加締めることなく、機器に接続可能となる。したがって、光ファイバケーブル1を組み付ける組み付け工程で、光ファイバケーブル1を組み付けるために、複雑で大型の治具や装置などを必要としないとともに、光ファイバケーブル1を組み付ける工数を大幅に抑制することができる。したがって、光ファイバケーブル1を機器などに組み付ける組み付け工程での接続作業を容易にすることができる。
また、光ファイバケーブル1と保護チューブ4との間に、光ファイバケーブル1と保護チューブ4との双方を固定する固定部材3が設けられているとともに、固定部材3に光ファイバケーブル1を固定するクリップ2が光ファイバケーブル1を挟持する。このため、クリップ2で光ファイバケーブル1を挟持することで、該光ファイバケーブル1を固定部材3則ち該固定部材3を介して保護チューブ4に固定することができる。したがって、光ファイバケーブル1を固定部材3則ち該固定部材3を介して保護チューブ4により容易に固定することができる。したがって、光ファイバケーブル1を機器などに組み付ける組み付け工程での接続作業を容易にすることができる。
さらに、保護チューブ4の一方の端末に固定金具6を取り付けているので、該固定金具6を介して、保護チューブ4を容易に固定部5則ち固定部材3に取り付けることができるる。
複数のハウジング3a,3bで固定金具6及びクリップ2を挟み込むだけで、これらを固定金具収容部36及びクリップ収容部31則ち固定部材3に固定することができる。このため、複数のハウジング3a,3bで固定金具6及びクリップ2を挟み込むだけで、光ファイバケーブル1と機器接続用の保護チューブ4とを接続できる。このため、高度な熟練を要することなく、固定金具6則ち保護チューブ4と、クリップ2則ち光ファイバケーブル1と、を固定部材3に組み付けることができる。したがって、組立作用が容易になり、光ファイバケーブル1の接続作業が更に容易になる。
固定金具6及び固定部材3の各ハウジング3a,3b固定金具収容部36にはそれぞれ対応する回転防止面62a,37が設けられている。両回転防止面62a,37同士が重なって、組立後には保護チューブ4の自由な回転を抑制することができる。したがって、複数のハウジング3a,3b間に固定金具6とクリップ2を挟み込んで収容するだけで、保護チューブ4の軸芯回りの回転を規制することができ、組立後に光ファイバ11が捩れることを防止することができる。
両回転防止面62a,37が平坦に形成されているので、固定金具6とハウジング3a,3bの固定金具収容部36の構成が簡便になる。固定金具6とハウジング3a,3bの構成が簡便になるので、これら固定金具6とハウジング3a,3b自体のコストを抑制でき、接続構造A全体のコストを抑制することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態にかかる光ファイバケーブルの接続構造を、図9ないし図11を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。図9は、本発明の光ファイバケーブルの接続構造の第2の実施形態を示す斜視図である。図10は、第2の実施形態に係るハウジングを示す斜視図である。図11(A)、図11(B)及び図11(C)はそれぞれ、図10のハウジングの平面図、正面図及び側面図である。
第2の実施形態の光ファイバケーブルの接続構造(以下、単に接続構造と記す) は、上記第1の実施形態の光ファイバケーブルの接続構造Aを4芯タイプに対応可能な並列構造の接続構造に拡張したものである。すなわち、図9に示すように、第2の実施形態の光ファイバケーブルの接続構造Aは、4芯タイプ(光ファイバ11を4本有する)の光ファイバケーブル201の端末から露出された光ファイバ11をそれぞれ保護し端末に固定金具6(第1の実施形態と同様)が予め取り付けられた4本の保護チューブ4と、前記固定金具6を介して光ファイバケーブル201の外皮12の端末と保護チューブ4とを固定する固定部5と、を備えている。
前記固定部5は、光ファイバケーブル201を挟持するクリップ2(第1の実施形態と同様)と、光ファイバケーブル201の外皮12の端末及び保護チューブ4の一方の端末を収容し、かつクリップ2を介して光ファイバケーブル201の外皮12の端末を固定すると共に固定金具6を介して保護チューブ4を固定する固定部材203とを備えている。さらに、固定部材203は、互いに略同形状の2つのハウジング203a,203b(請求項12の第1ハウジング、請求項12の第2ハウジングに対応する)を有して構成される。なお、ハウジング203aを以下ベースハウジングと呼び、ハウジング203bを以下アッパハウジングと呼ぶ。
そして、接続構造Aは、固定部材203内において、光ファイバケーブル201の外皮12内から4本の光ファイバ11を露出させて、それぞれの光ファイバ11を固定金具6側から保護チューブ4各々に挿入している。なお、保護チューブ4のそれぞれの他方の端末には、必要に応じて、図示しない機器等に接続するための光コネクタ7が取り付けられている。
ハウジング203a,203bは、図10及び図11に示すように、クリップ収容部231、位置決めピン232、位置決め穴233、爪234、溝235、固定金具収容部236、収容部側回転防止面237、及び切欠部238を有している。クリップ収容部231は、上記クリップ2の形状に対応して、四角形状に掘り下げられて構成されている。則ち、クリップ収容部231は、平面形状が、クリップ2の平面形状と略等しい凹みである。クリップ収容部231は、内側のクリップ2を収容することで、該クリップ2をハウジング203a,203bに固定する。さらに、クリップ収容部231は、ハウジング203a,203bの長手方向の一方の端部に設けられている。
位置決めピン232及び位置決め穴233は、両ハウジング203a,203bを嵌合する際に、位置決め穴233内に位置決めピン232が侵入して、これらのハウジング203a,203bの位置決めに用いられるものである。位置決めピン232及び位置決め穴233は、ハウジング203a,203bの幅方向の両縁に設けられている。位置決めピン232は、ハウジング203a,203bの互いに相対する表面から凸に形成されている。位置決め穴233は、ハウジング203a,203bの互いに相対する表面から凹に形成されている。
爪234及び溝235は、両ハウジング203a,203bを嵌合する際に、互いに係合して、これらのハウジング203a,203b同士を締結するために用いられるものである。爪234及び溝235は、ハウジング203a,203bの幅方向の両縁で、かつハウジング203a,203bの長手方向の両端部に設けられている。爪234は、相手側のハウジング203a,203bに向かってアーム状に延在している。溝235は、ハウジング203a,203bの外表面から凹に形成されている。
固定金具収容部236は、保護チューブ4の一方の端末に取り付けられた固定金具6を収容するためのもので、断面半円柱形状に形成されている。固定金具収容部236は、図示例では、一対設けられ、互いに並列的に、ハウジング203a,203b各々の4箇所が掘り下げられて構成されている。則ち、固定金具収容部236は、平面形状が固定金具6の平面形状と略等しい凹みである。固定金具収容部236の長手方向は、ハウジング203a,203bの長手方向と平行である。固定金具収容部236は、内側の固定金具6を収容することで、該固定金具6をハウジング203a,203bに固定する。さらに、固定金具収容部236は、ハウジング203a,203bの長手方向の他方の端部に設けられている。
さらに、固定金具収容部236のハウジング203a,203bの長手方向の中央寄りの一部には、金具側回転防止面62aに対応する平面状の収容部側回転防止面237が形成されている。収容部側回転防止面237は、各々の固定金具収容部236に一対設けられている。収容部側回転防止面237は、ハウジング203a,203b同士が嵌合する際に、これらのハウジング203a,203b同士が近づく方向に沿って平坦に形成されている。収容部側回転防止面237は、互いに平行に形成されている。収容部側回転防止面237の作用については前述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
切欠部238は、クリップ収容部231とハウジング203a,203bの外表面とに亘って設けられており、勿論、ハウジング203a,203bの一部を切り欠いている。切欠部238は、内側に光ファイバケーブル201を通して、該光ファイバケーブル201をハウジング203a,203b間則ち固定部材203内に導く。
クリップ2、保護チューブ4及び金具6の構成は、第1の実施形態と同様であるので、重複説明は省略する。また、光ファイバケーブル201の構成は、光ファイバ11を外皮12内に4本収容している以外は、前述した第1の実施形態に記載の光ファイバケーブル1と構成が等しいので、説明を省略する。
上述のような構成において、この第2の実施形態の光ファイバケーブル201と固定金具6付の保護チューブ4の接続方法は、上記第1の実施形態の2芯タイプの光ファイバケーブル201と固定金具6付の2本の保護チューブ4の接続方法を、4芯タイプの光ファイバケーブル201と固定金具付の4本の保護チューブ4の接続方法に、すなわち、横方向に拡張したものである。したがって、組立手順は、第1の実施形態と同様になるので、ここではその説明を省略する。最終的には、位置決めピン232を位置決め穴233内に挿入して、爪234を溝235に係合させて、光ファイバケーブル201、クリップ2、4本の保護チューブ4、固定金具6を、両ハウジング203a,203bで挟み込むようにして締結する。そして、必要に応じて、現場取り付け型の光コネクタ7を保護チューブ4の他方の端末に取り付ける。
このように、本発明の第2の実施形態によれば、2つのハウジング203a,203bで、4芯に対応する固定金具6を並列的に挟み込むように固定収容する。したがって、4芯又は4芯以上の光ファイバケーブル201でも、縦方向に拡大することのないフラットな接続構造Aを得ることができる。また、2つのハウジング203a,203bは略同形状なので、部品種類が増加することもない。則ち、本実施形態の接続構造Aは、前述した第1の実施形態に示された接続構造Aと同様の効果を奏でる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態にかかる光ファイバケーブルの接続構造を、図12ないし図15を参照して説明する。なお、前述した第1及び第2の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。図12は、本発明の光ファイバケーブルの接続構造の第3の実施形態を示す斜視図である。図13は、図12の分解斜視図である。図14は、第3の実施形態に係るハウジングのひとつを示す斜視図である。図15(A)、図15(B)、図15(C)及び図15(D)はそれぞれ、図14のハウジングの平面図、正面図、側面図及び背面図である。
第3の実施形態の光ファイバケーブルの接続構造Aは、上記第1の実施形態の光ファイバケーブルの接続構造Aを4芯タイプに対応可能な積層構造の接続構造に拡張したものである。すなわち、図12及び図13に示すように、第3の実施形態の光ファイバケーブルの接続構造Aは、4芯タイプ(光ファイバ11を4本有する)の光ファイバケーブル301の端末から露出された光ファイバ11をそれぞれ保護し端末に固定金具6(第1の実施形態と同様)が予め取り付けられた4本の保護チューブ4と、前記固定金具6を介して光ファイバケーブル301の外皮12の端末と保護チューブ4とを固定する固定部305と、を備えている。
前記固定部305は、光ファイバケーブル301を挟持するクリップ2(第1の実施形態と同様)と、光ファイバケーブル301の外皮12端末及び保護チューブ4の一方の端末を収容し、かつクリップ2を介して光ファイバケーブル301の外皮12の端末を固定すると共に固定金具6を介して保護チューブ4を固定する固定部材303とを備えている。さらに、固定部材303は、互いに略同形状の2つのハウジング303a,303b(請求項12の第1ハウジング、請求項12の第2ハウジングに対応する)と、前述したハウジング303a,303bと形状の異なる中間ハウジング303c(請求項12の第3ハウジングに対応する)とを有して構成される。なお、ハウジング303aを以下ベースハウジングと呼び、ハウジング303bを以下アッパハウジングと呼ぶ。
そして、接続構造Aは、固定部材303内において、光ファイバケーブル301の外皮12内から4本の光ファイバ11を露出させて、それぞれの光ファイバ11を固定金具6側から保護チューブ4各々に挿入している。なお、保護チューブ4のそれぞれの他方の端末には、必要に応じて、図示しない機器等に接続するための光コネクタ7が取り付けられている。
中間ハウジング303cは、図14に示すように、平面形状が矩形状で、かつ両面浅皿状をしている。なお、2つのハウジング303a,303bは、第1の実施形態のハウジング3a,3bと同形状をしている。そして、固定部材303は、1つのハウジング303cを2つのハウジング303a,303bで挟み込むようにして、互いに嵌合して横長の積層構造の箱型形状になる(図12参照)。ハウジング303a,303b,303cもまた、PBT等の難燃性を有するプラスティック材料の成形品を用いることが望ましいが、金属製であってもよい。
また、図12〜図15に示すように、中間ハウジング303cの表面には、位置決めピン332、位置決め穴333、爪334、溝335、固定金具収容部336、及び収容部側回転防止面337を有している。また、中間ハウジング303cの裏面は、位置決めピン332′、位置決め穴333′、爪334′、溝335′、固定金具収容部336′、及び収容部側回転防止面337′を有している。そして、中間ハウジング303cは、その表面側及び裏面側とを連通する(則ち、中間ハウジング303cを貫通した)ファイバ挿通口339を有している。
ハウジング303a,303b,303cが互いに嵌合する際に、位置決めピン32,332、332′が位置決め穴33,333、333′内に侵入して、これらの位置決めピン32,332、332′及び位置決め穴33,333、333′は、ハウジング303a,303b,303c同士を位置決めする。また、ハウジング303a,303b,303cが互いに嵌合する際に、爪34,334、334′が溝35,335、335′に係合して、爪34,334、334′及び溝35,335、335′は、2つのハウジング303a,303bでハウジング303cを挟んで、これらのハウジング303a,303b,303c同士締結するために用いられるものである。
固定金具収容部336、336′は、保護チューブ4の端部に取り付けられた固定金具6を収容するためのもので、半円柱形状に並列的に2箇所づつ前述した表面と裏面とのそれぞれに掘り下げられて構成されている。固定金具収容部336、336′の一部には、上記金具側回転防止面に対応する平面状の収容部側回転防止面337、337′がそれぞれ形成されている。収容部側回転防止面337、337′の作用は上述した通りである。
ハウジング303a,303b、クリップ2、保護チューブ4及び固定金具6の構成は、第1の実施形態と同様であるので、重複説明は省略する。また、光ファイバケーブル301の構成は、光ファイバ11を外皮12内に4本収容している以外は、前述した第1の実施形態に記載の光ファイバケーブル1と構成が等しいので、説明を省略する。
上述のような構成において、この第3の実施形態の光ファイバケーブル301と固定金具付の保護チューブ4の接続方法は、上記第2の実施形態の2芯タイプの光ファイバケーブル1と固定金具付の2本の保護チューブ4の接続方法を、4芯タイプの光ファイバケーブル301と固定金具付の4本の保護チューブ4の接続方法に、すなわち、2芯づつ積層して、厚み方向に拡張したものである。したがって、組立手順は、第1の実施形態に準じたものとなるので、ここではその詳細説明は省略し、異なる点のみを説明する。
すなわち、この第3の実施形態においては、最終的には、アッパハウジング303bの位置決めピン32、位置決め穴33、爪34、及び溝35、並びに、中間ハウジング303cの位置決めピン332、位置決め穴333、爪334、及び溝335を利用して、光ファイバケーブル301の半分(2芯ぶん)の光ファイバと2本の保護チューブ4を、アッパハウジング303bと中間ハウジング303cで挟み込むようにして締結すると共に、ベースハウジング303aの位置決めピン32、位置決め穴33、爪34、及び溝35、並びに、中間ハウジング303cの位置決めピン332′、位置決め穴333′、爪334′、及び溝335′を利用して、光ファイバケーブル301の他の半分(他の2芯ぶん)の光ファイバ11とクリップ2、2本の保護チューブ4を、ベースハウジング303aと中間ハウジング303cで挟み込むようにして締結する。このとき、光ファイバケーブル301は中間ハウジング303cとベースハウジング303aとの間においてクリップ2にて挟持されており、光ファイバケーブル301の2芯ぶんの光ファイバ11は、中間ハウジング303cの下側に至って中間ハウジング303cとベースハウジング303aとの間に挟まれる2本の保護チューブ4に挿入接続され、他の2芯ぶんの光ファイバ11は、ファイバ挿通口339を介して、中間ハウジング303cの上側に至って中間ハウジング303cとアッパハウジング303bとの間に挟まれる他の2本の保護チューブ4に挿入接続される。そして、必要に応じて、現場取り付け型の光コネクタ7を保護チューブ4の他方の端末に取り付ける。
このように、本発明の第3の実施形態によれば、4芯タイプの光ファイバケーブル301の光ファイバ11を半分ずつにわけて積層したような接続構造をしている。したがって、4芯又は4芯以上の光ファイバケーブル301でも、幅方向の寸法の拡大を最小限に抑えた接続構造Aを得ることができる。また、2つのハウジング303a,303bは同形状なので、部品種類の増加を抑えることもできる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態にかかる光ファイバケーブルの接続構造(以下、単に接続構造と記す)Aを、図18ないし図23を参照して説明を省略する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態にかかる接続構造Aは、図18に示すように、前述した第1ないし第3の実施形態と同様に、保護チューブ4と、固定部5とを備えている。固定部5は、前述した第1の実施形態と同様に、クリップ2と固定部材3とを備えている。固定部材3は、前述した第1の実施形態と同様に、アッパハウジング3bとベースハウジング3aとを備えている。
本実施形態の固定部材3のアッパハウジング3b及びベースハウジング3aは、図20ないし図23に示すように、前述した第1の実施形態のハウジング3a,3bと構成が略同一であるので、同一部分に、同一符号を付して説明を省略する。
固定部材3は、前述した第1の実施形態に示されたものに加え、さらに、図19ないし図21に示すように、挟持部70と、金具固定部71とを備えている。
挟持部70は、一対の挟持片72を備えている。挟持片72は、ベースハウジング3aのクリップ収容部31と固定金具収容部36との間の凹みの底面から立設している。一対の挟持片72は、ベースハウジング3aの幅方向に間隔をあけて則ちハウジング3a,3b間に挟まれる光ファイバ11が互いに並設する方向に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。挟持片72は、交差部73と、並行部74とを備えている。
交差部73は、クリップ収容部31と固定金具収容部36との間の凹みの最も光ファイバケーブル1寄りでかつ該光ファイバケーブル1の長手方向に直交(交差)する方向に沿って平坦な内側面31a寄りに配置されている。交差部73は、光ファイバケーブル1の長手方向に直交(交差)する方向に沿って直線状に延在した壁である。交差部73は、前述した内側面31aと間隔をあけて平行に配置されている。
並行部74は、交差部73のベースハウジング3aの外側寄りの縁から固定金具収容部36に向かって、直線状の延在した壁である。また、並行部74は、光ファイバケーブル1の長手方向に沿って直線状に延在している。並行部74は、クリップ収容部31と固定金具収容部36との間の凹みの光ファイバケーブル1の長手方向に沿って平坦な内側面31bと間隔をあけて平行に配置されている。
前述した構成の挟持部70は、交差部73と前述した内側面31aとの間に光ファイバケーブル1の外皮12と支持線13とを挟み、並行部74と前述した内側面31bとの間に光ファイバケーブル1の外皮12と支持線13とを挟んで、光ファイバケーブル1の外皮12の端末を挟持して、該光ファイバケーブル1の外皮12の端末をベースハウジング3aに固定する。則ち、交差部73は、光ファイバケーブル1の外皮12の端末を該光ファイバケーブル1の長手方向に対して直交(交差)する方向に沿って延在させる。
さらに、挟持部70は、交差部73と並行部74とが前述した方向に直線状に延在しているので、図19に示すように、ハウジング3a,3b間で光ファイバケーブル1の外皮12の端末を2箇所曲げた状態で挟持する。なお、光ファイバケーブル1の外皮12の端末の曲げ箇所は、角度が約70度から120度までの範囲となるように、曲げられるのが望ましい。
金具固定部71は、前述したベースハウジング3aとアッパハウジング3bとの双方に設けられている。金具固定部71は、それぞれの固定金具収容部36に設けられている。金具固定部71は、一対の挟持片75を備えている。一対の挟持片75は、互いにハウジング3a,3b則ち固定金具収容部36の幅方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。一対の挟持片75は、固定金具収容部36から相手側のハウジング3a,3bに向かって立設している。一対の挟持片75は、互いに間に固定金具収容部36内に挿入された固定金具6を挟持して、該固定金具6をハウジング3a,3bに固定する。また、ベースハウジング3aに設けられた金具固定部71の挟持片75と、アッパハウジング3bに設けられた金具固定部71の挟持片75とは、ハウジング3a,3b同士が嵌合すると、光ファイバケーブル1の長手方向則ち固定金具6の長手方向に沿って、互いに重なる位置に配置されている(互いに位置ずれしている)。
本実施形態の接続構造Aは、以下のように、組み立てられる。まず、予め保護チューブ4の一方の端末に固定金具6を取り付けておく。そして、光ファイバケーブル1の幅方向の中央にあるノッチ14で外皮12を引き裂くとともに被覆部15を除去して、2芯の光ファイバ11を外皮12内から取り出し、引き裂かれた光ファイバケーブル1の外皮12と支持線13を中央部で切断する。こうして、外皮12の端末より光ファイバ11を露出させる。
次に、単芯に分離した光ファイバ11を、固定金具6側の端部から保護チューブ4(正確には、インナーチューブ43)に挿通する。次に、上記金具側回転防止面62aが収容部側回転防止面37に一致するようにして、保護チューブ4に取り付けられた固定金具6を、ベースハウジング3aの固定金具収容部36に取り付ける。このとき、勿論、固定金具6を金具固定部71の挟持片75間に圧入する。さらに、金具側回転防止面62aが収容部側回転防止面37に一致するようにして取り付けることにより、組立後の保護チューブ4のハウジング3a,3b則ち固定部材3に対する軸芯回りの自由な回転を抑制し、光ファイバ11に捩れが発生するのを防止することができる。
そして、光ファイバケーブル1の外皮12の端末を、交差部73と前述した内側面31aとの間に光ファイバケーブル1の外皮12と支持線13とを挟み、並行部74と前述した内側面31bとの間に光ファイバケーブル1の外皮12と支持線13とを挟んで、前述した挟持部70で挟持する。こうして、光ファイバケーブル1の外皮12の端末を、ベースハウジング3a上で曲げた状態で固定する。
次に、クリップ2の挟持部23内に光ファイバケーブル1の端末を、該光ファイバケーブル1の長手方向に直交する方向に沿って差し込んで、クリップ2を光ファイバケーブル1に取り付ける。このとき、クリップ2は、光ファイバケーブル1の外皮12の端末が該クリップ2の外縁から2〜5mm出る(光ファイバケーブル1の)位置に取り付ける。次に、光ファイバケーブル1に緩みが残らないように注意しながら、ベースハウジング3aのクリップ収容部31にクリップ2を装着して、当該ベースハウジング3aに他方のアッパハウジング3bを嵌め込む。
このとき、位置決めピン32を位置決め穴33内に挿入するとともに、爪34を溝35に係合させて、光ファイバケーブル1、クリップ2、保護チューブ4、固定金具6を、両ハウジング3a,3bで挟み込むようにして締結する。そして、必要に応じて、現場取り付け型の光コネクタ7を保護チューブ4の他方の端末に取り付ける。
本発明の第4の実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、光ファイバケーブル1の外皮12から露出した光ファイバ11を保護チューブ4内に通すことで、光ファイバケーブル1を機器に接続可能になる。したがって、光ファイバケーブル1を組み付ける組み付け工程で、光ファイバケーブル1を組み付けるために、複雑で大型の治具や装置などを必要としないとともに、光ファイバケーブル1を組み付ける工数を大幅に抑制することができる。したがって、光ファイバケーブル1を機器などに組み付ける組み付け工程での接続作業を容易にすることができる。
また、前述した第1の実施形態の効果にくわえ、本実施形態では、光ファイバケーブル1の外皮12の端末が、ベースハウジング3aに設けられた挟持部70に挟持されて、該ベースハウジング3aに固定される。このように、光ファイバケーブル1の外皮12がベースハウジング3aに固定されるので、挟持部70が、光ファイバケーブル1に作用する引っ張り荷重を外皮12の端末から露出した光ファイバ11に伝わることを防止できる。
また、挟持部70が、光ファイバケーブル1に作用するねじり荷重を外皮12の端末から露出した光ファイバ11に伝わることを防止できるとともに、前述したねじり荷重が作用しても光ファイバケーブル1が捻られることを防止できる。
したがって、光ファイバケーブル1に作用する引っ張り荷重やねじり荷重が、光ファイバ11に作用して、該光ファイバ11が引っ張られたり捻られることを防止できるとともに、光ファイバケーブル1のねじりを抑制できるので、該光ファイバ11が破損することを防止できる。
挟持部70が光ファイバケーブル1の長手方向に交差する方向に沿って、外皮12の端末を延在させる交差部73を備えているので、光ファイバケーブル1の外皮12が固定部材3内で折り曲げられた格好で、ベースハウジング3aに固定される。このため、挟持部70が、より強固に外皮12の端末を固定でき、引っ張り荷重やねじり荷重が外皮12の端末から露出した光ファイバ11に伝わることをより確実に防止できる。したがって、光ファイバケーブル1に作用する引っ張り荷重やねじり荷重が、光ファイバ11に作用することをより確実に防止できる。
固定金具6が、ハウジング3a,3bに設けられた金具固定部71によりハウジング3a,3bに固定される。このように、固定金具6がハウジング3a,3bに固定されるので、光ファイバ11が挿入された保護チューブ4を、固定金具6を介してハウジング3a,3bに固定でき、一旦ハウジング3a,3bに取り付けられた固定金具6則ち保護チューブ4がハウジング3a,3bから脱落することを防止できる。
このため、一旦ハウジング3a,3bに取り付けられた固定金具6則ち保護チューブ4が、光ファイバケーブル1とともに、ハウジング3a,3bから脱落することを防止できる。したがって、保護チューブ4と光ファイバケーブル1とを、一本ずつ例えばベースハウジング3aに取り付けて、容易で確実に接続構造Aを組み立てることができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態にかかる光ファイバケーブルの接続構造(以下、単に接続構造と記す)Aを、図24ないし図27を参照して説明を省略する。なお、前述した第1の実施形態ないし第4の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態にかかる接続構造Aは、図24に示すように、前述した第2の実施形態と同様に、4本の固定金具6則ち保護チューブ4の端末を互いに平行に、ハウジング203a,203b間に挟んでいる。本実施形態にかかる接続構造Aは、図24に示すように、前述した実施形態と同様に、保護チューブ4と、固定部205とを備えている。固定部205は、前述した第2の実施形態と同様に、クリップ2と固定部材203とを備えている。固定部材203は、前述した第2の実施形態と同様に、アッパハウジング203bとベースハウジング203aとを備えている。
本実施形態の固定部材203のアッパハウジング203b及びベースハウジング203aは、図26及び図27に示すように、前述した第2の実施形態のハウジング203a,203bと構成が略同一であるので、同一部分に、同一符号を付して説明を省略する。また、固定部材203は、前述した第4の実施形態と同様に、挟持部70と、金具固定部71とを備えている。なお、挟持部70と、金具固定部71の構成は、前述した第4の実施形態と構成が等しいので、同一部分に同一符号を付して説明を省略する。また、本実施形態では、挟持部70は、アッパハウジング203bとベースハウジング203aとの双方に設けられている。
固定部材203は、前述した第4の実施形態に示されたものに加え、さらに、位置決めガイド部76を備えている。
位置決めガイド部76は、複数のガイド壁77を備えている。ガイド壁77は、ハウジング203a,203bのクリップ収容部231と固定金具収容部236との間の凹みの底面から立設している。複数のガイド壁77は、ハウジング203a,203bの幅方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。ガイド壁77は、クリップ収容部231から固定金具収容部236に向かうにしたがって、互いに間隔が徐々に拡がるように、ハウジング203a,203bの長手方向に対して傾斜している。
位置決めガイド部76は、互いに隣り合うガイド壁77間に光ファイバケーブル201の外皮12の端末より露出した光ファイバ11を位置付けて、該光ファイバ11を光ファイバケーブル201の外皮12の端末から固定金具6に向かって案内するとともに、該光ファイバ11のハウジング203a,203bに対する位置ずれを防止する。
本実施形態の接続構造Aは、以下のように、組み立てられる。まず、予め保護チューブ4の一方の端末に固定金具6を取り付けておく。そして、光ファイバケーブル201の幅方向の中央にあるノッチ14で外皮12を引き裂くとともに被覆部15を除去して、2芯の光ファイバ11を外皮12内から取り出し、引き裂かれた光ファイバケーブル1の外皮12と支持線13を中央部で切断する。こうして、外皮12の端末より光ファイバ11を露出させる。
次に、単芯に分離した光ファイバ11を、固定金具6側の端部から保護チューブ4(正確には、インナーチューブ43)に挿通する。次に、上記金具側回転防止面62aが収容部側回転防止面37に一致するようにして、保護チューブ4に取り付けられた固定金具6を、ベースハウジング203aの固定金具収容部236に取り付ける。このとき、勿論、固定金具6を金具固定部71の挟持片75間に圧入する。さらに、金具側回転防止面62aが収容部側回転防止面237に一致するようにして取り付けることにより、組立後の保護チューブ4のハウジング203a,203b則ち固定部材203に対する軸芯回りの自由な回転を抑制し、光ファイバ11に捩れが発生するのを防止することができる。
そして、図25に示すように、交差部73と前述した内側面31aとの間に光ファイバケーブル201の外皮12と支持線13とを挟み、並行部74と前述した内側面31bとの間に光ファイバケーブル201の外皮12と支持線13とを挟んで、光ファイバケーブル201の外皮12の端末を前述した挟持部70で挟持する。こうして、光ファイバケーブル201の外皮12の端末を、ベースハウジング203a上で曲げた状態で固定する。
次に、クリップ2の挟持部23内に光ファイバケーブル201の端末を、該光ファイバケーブル201の長手方向に直交する方向に沿って差し込んで、クリップ2を光ファイバケーブル201に取り付ける。このとき、クリップ2は、光ファイバケーブル201の外皮12の端末が該クリップ2の外縁から2〜5mm出る(光ファイバケーブル201の)位置に取り付ける。さらに、クリップ2を取り付ける際には、光ファイバ11を所定のガイド壁77間に位置づけて、該光ファイバ11をベースハウジング203aに対して位置決めする。次に、光ファイバケーブル201に緩みが残らないように注意しながら、ベースハウジング203aのクリップ収容部231にクリップ2を装着して、当該ベースハウジング203aに他方のアッパハウジング203bを嵌め込む。
このとき、位置決めピン232を位置決め穴233内に挿入するとともに、爪234を溝235に係合させて、光ファイバケーブル201、クリップ2、保護チューブ4、固定金具6を、両ハウジング203a,203bで挟み込むようにして締結する。そして、必要に応じて、現場取り付け型の光コネクタ7を保護チューブ4の他方の端末に取り付ける。
本発明の第5の実施形態によれば、前述した第1の実施形態などと同様に、光ファイバケーブル201の外皮12から露出した光ファイバ11を保護チューブ4内に通すことで、光ファイバケーブル201を機器に接続可能になる。したがって、光ファイバケーブル201を組み付ける組み付け工程で、光ファイバケーブル201を組み付けるために、複雑で大型の治具や装置などを必要としないとともに、光ファイバケーブル201を組み付ける工数を大幅に抑制することができる。したがって、光ファイバケーブル201を機器などに組み付ける組み付け工程での接続作業を容易にすることができる。
また、前述した第1の実施形態の効果にくわえ、本実施形態では、光ファイバケーブル201の外皮12の端末が、ベースハウジング203aに設けられた挟持部70に挟持されて、該ベースハウジング203aに固定される。このように、光ファイバケーブル201の外皮12がベースハウジング203aに固定されるので、挟持部70が、光ファイバケーブル201に作用する引っ張り荷重を外皮12の端末から露出した光ファイバ11に伝わることを防止できる。
また、挟持部70が、光ファイバケーブル201に作用するねじり荷重を外皮12の端末から露出した光ファイバ11に伝わることを防止できるとともに、前述したねじり荷重が作用しても光ファイバケーブル201が捻られることを防止できる。
したがって、光ファイバケーブル201に作用する引っ張り荷重やねじり荷重が、光ファイバ11に作用して、該光ファイバ11が引っ張られたり捻られることを防止できるとともに、光ファイバケーブル201のねじりを抑制できるので、該光ファイバ11が破損することを防止できる。
挟持部70が光ファイバケーブル201の長手方向に交差する方向に沿って、外皮12の端末を延在させる交差部73を備えているので、光ファイバケーブル201の外皮12が固定部材3内で折り曲げられた格好で、ベースハウジング203aに固定される。このため、挟持部70が、より強固に外皮12の端末を固定でき、引っ張り荷重やねじり荷重が外皮12の端末から露出した光ファイバ11に伝わることをより確実に防止できる。したがって、光ファイバケーブル201に作用する引っ張り荷重やねじり荷重が、光ファイバ11に作用することをより確実に防止できる。
固定金具6が、ハウジング203a,203bに設けられた金具固定部71によりハウジング203a,203bに固定される。このように、固定金具6がハウジング203a,203bに固定されるので、光ファイバ11が挿入された保護チューブ4を、固定金具6を介してハウジング203a,203bに固定でき、一旦ハウジング203a,203bに取り付けられた固定金具6則ち保護チューブ4がハウジング203a,203bから脱落することを防止できる。
このため、一旦ハウジング203a,203bに取り付けられた固定金具6則ち保護チューブ4が、光ファイバケーブル201とともに、ハウジング203a,203bから脱落することを防止できる。したがって、保護チューブ4と光ファイバケーブル201とを、一本ずつ例えばベースハウジング203aに取り付けて、容易で確実に接続構造Aを組み立てることができる。
さらに、本実施形態によれば、ハウジング203a,203bに光ファイバ11の位置ずれを防止する位置決めガイド部76を設けているので、ハウジング203a,203b内の光ファイバ11が位置ずれすることを防止できる。このため、保護チューブ4に引っ張り過重などの荷重が作用しても、ハウジング203a,203b内で光ファイバ11が位置ずれすることを防止できる。したがって、保護チューブ4に作用する引っ張り過重などの荷重が光ファイバ11に作用することを防止でき、該光ファイバ11がハウジング203a,203b内で過度に折り曲げられるなどして破損することを防止できる。
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態にかかる光ファイバケーブルの接続構造(以下、単に接続構造と記す)Aを、図28及び図29を参照して説明を省略する。なお、前述した第1の実施形態ないし第5の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態にかかる接続構造Aは、図28に示すように、前述した第3の実施形態と同様に、4本の固定金具6則ち4本の光ファイバ11を2本ずつ積層して保持した格好で、ハウジング303a,303b,303c間に挟んでいる。
本実施形態の中間ハウジング303cは、図29に示すように、位置決めガイド部としてのガイド面78を備えている。ガイド面78は、中間ハウジング303cのファイバ挿通口339と、固定金具収容部336との間に設けられている。ガイド面78は、ファイバ挿通口339から固定金具収容部336に向かうにしたがって、徐々にアッパハウジング303bに近づく方向に傾斜している。ガイド面78は、表面上にベースハウジング303aからアッパハウジング303b側に導かれる光ファイバ11を位置付けて、該光ファイバ11を中間ハウジング303cの固定金具収容部336内に収容される固定金具6に導くとともに、該光ファイバ11の中間ハウジング303cに対する位置ずれを防止する。本実施形態の接続構造Aは、前述した第1ないし第5の実施形態と同様の効果を奏でる。
以上説明したように、本発明の光ファイバケーブルの接続構造Aによれば、部品点数が大幅に削減されるうえ、現場でのかしめ作業も不要となる。したがって、現場において、接続装置や工具、接続箱等が不要となり、現場での接続作業を容易にすることができる。また、光ファイバケーブル1,201,301の外皮12の除去長も短くできるため、作業中の光ファイバ11の断線の割合も低減でき、経済的な光配線及び施工を提供することができる。
なお、本発明の光ファイバケーブルの接続構造Aは、2芯や4芯タイプ等の多芯タイプの光ファイバケーブル1,201,301に限定されず、これ以上の多芯タイプの光ファイバケーブル或いは単芯タイプの光ファイバケーブルにも適用可能である。これにともなって、実施形態で示したフラット構造及び積層構造等も適宜変更可能である。
また、前述した第4及び第6の実施形態では、挟持部70をベースハウジング3a,303aのみに設けている。しかしながら、本発明では、挟持部70をアッパハウジング3b,203b,303bのみに設けてもよく、挟持部70をアッパハウジング3b,203b,303bとベースハウジング3a,203a,303aとの双方に設けてもよい。要するに、本発明では、挟持部70をアッパハウジング3b,203b,303bとベースハウジング3a,203a,303aとのうちの少なくとも一方則ち複数のハウジング3a,203a,303a,3b,203b,303bのうちの少なくとも一つに設ければ良い。
さらに、前述した第4ないし第6の実施形態では、金具固定部71をベースハウジング3a,203a,303aと、アッパハウジング3b,203b,303bと、中間ハウジング303cとの全てに設けている。しかしながら、本発明では、金具固定部71を複数のハウジング3a,203a,303a,3b,203b,303b,303cのうちの少なくとも一つに設ければ良い。
また、本発明では、挟持部70で外皮12を曲げることなく挟持しても良い。さらに、挟持部70で外皮12を如何なる角度に曲げても良い。また、挟持部70で2箇所に限らず、外皮12を1箇所のみ曲げても良く、外皮12を3箇所以上曲げても良い。また、本発明では、回転防止面37,62aを平坦に限らず種々の形状に形成しても良い。例えば線径0.7mmでかつ鋼で構成されて剛性の高い支持線13を備えた光ファイバケーブル1,201,301では、1箇所のみ曲げれば十分であり、線径0.4mmでかつ鋼で構成される支持線13やFRPで構成される支持線13などの剛性の低い支持線13を備えた光ファイバケーブル1,201,301では、2箇所以上曲げれるのが望ましい。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。