JP2006220456A - 圧力センサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 センサチップの裏面側をゲル部材で封止してなる相対圧型の圧力センサにおいて、ゲル部材によるセンサ特性への影響およびゲル部材のたれを極力抑制しつつ、センサの小型化に適した構成を実現する。
【解決手段】 表面20aおよび裏面20bに圧力が印加されるセンサチップ20がその裏面20bをケース10に対向させた状態でケース10に固定され、ケース10に、センサチップ20の裏面20bへ圧力を導入するための圧力導入穴13が設けられ、圧力導入穴13に、センサチップ20の裏面20bを封止するチップ裏面側ゲル部材52が充填されている相対圧型の圧力センサ100において、チップ裏面側ゲル部材52は、センサチップ20側から、第1のゲル部材52a、第1のゲル部材52aよりも硬く第1のゲル部材52aを覆うように設けられた第2のゲル部材52bが積層された2層構造からなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 表面20aおよび裏面20bに圧力が印加されるセンサチップ20がその裏面20bをケース10に対向させた状態でケース10に固定され、ケース10に、センサチップ20の裏面20bへ圧力を導入するための圧力導入穴13が設けられ、圧力導入穴13に、センサチップ20の裏面20bを封止するチップ裏面側ゲル部材52が充填されている相対圧型の圧力センサ100において、チップ裏面側ゲル部材52は、センサチップ20側から、第1のゲル部材52a、第1のゲル部材52aよりも硬く第1のゲル部材52aを覆うように設けられた第2のゲル部材52bが積層された2層構造からなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、センサチップの表面と裏面とに圧力が印加されるとともに、センサチップの裏面側がゲル部材により封止されてなる相対圧型の圧力センサおよびそのような圧力センサの製造方法に関する。
従来より、この種の圧力センサとしては、表面および裏面に圧力が印加される圧力検出用のセンサチップがその裏面をケースに対向させた状態でケースに固定され、ケースには、センサチップの裏面へ圧力を導入するための圧力導入穴が設けられ、圧力導入穴には、センサチップの裏面を封止するようにゲル部材が充填されたものが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
このような圧力センサにおいては、センサチップの表面に印加される圧力と裏面に印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにしている。つまり、相対圧型の圧力センサとして構成されている。
特に、このような圧力センサは、自動車用ディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム(DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)システム)を構成する一部品として、排気ガスの圧力を測定するために使用される。
ここで、このような圧力センサにおいては、センサチップの表面側に印加される圧力は、たとえば大気圧などの基準圧、あるいは変動する圧力であり、また、センサチップの裏面側に印加される圧力は、被測定部材からの圧力、たとえば排気ガス圧などの被測定圧力である。
そのため、この種の圧力センサにおいては、センサチップの裏面に排気ガスが導入されるような劣悪な環境における使用を鑑みて、センサチップ裏面への汚れ付着による特性変動、結露水の凍結による圧力導入穴の閉塞、さらには水の凍結時の体積膨張によるセンサチップの破壊などの品質上の不具合を防止する必要があり、上記したように、センサチップの裏面をゲル部材により封止している。
一般に、このような圧力センサは、センサチップの裏面をケースの圧力導入穴に対向させた状態で、センサチップをケースに接着固定し、その後、圧力導入穴にゲル部材を注入・充填し、その後、ゲル部材を硬化させることにより、製造される。
特開平9−54004号公報
特開平4−370726号公報
しかしながら、センサチップの裏面を封止するゲル部材が硬いと、ゲル部材の熱収縮によるセンサの特性変動が大きくなる。具体的には、ゲル部材の熱収縮により生じる応力がセンサチップに加わり、センサ特性に影響する。そのため、センサ特性上は、ゲル部材は柔らかい方が望ましい。
一方、逆に、ゲル部材が柔らかすぎると、ゲル部材自身の形状を保持することができず、ゲル部材が圧力導入穴からたれる、いわゆるゲル部材のたれが発生するため、ゲル部材のたれを防止するためには、ゲル部材は硬い方が望ましい。
現状では、ゲル部材の熱収縮によるセンサ特性への影響防止とゲル部材のたれ防止とを両立させるためには、ゲル部材のたれが生じないような硬いゲル部材を用い、さらに、ゲル部材によるセンサ特性への影響を小さくするように、圧力導入穴の穴径を大きくしている。しかし、この場合には、圧力導入穴の大型化に伴い、センサチップのサイズが大きくなるという問題が生じる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、センサチップの裏面側をゲル部材で封止してなる相対圧型の圧力センサにおいて、ゲル部材によるセンサ特性への影響およびゲル部材のたれを極力抑制しつつ、センサの小型化に適した構成を実現することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、表面(20a)および裏面(20b)に圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ(20)がその裏面(20b)をケース(10)に対向させた状態でケース(10)に固定されており、ケース(10)には、センサチップ(20)の裏面(20b)へ圧力を導入するための圧力導入穴(13)が設けられており、圧力導入穴(13)には、センサチップ(20)の裏面(20b)を封止するようにゲル部材(52)が充填されており、センサチップ(20)の表面(20a)に印加される圧力と裏面(20b)に印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにした圧力センサにおいて、
ゲル部材(52)は、センサチップ(20)の裏面(20b)側に位置する第1のゲル部材(52a)と、第1のゲル部材(52a)よりもセンサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置にて第1のゲル部材(52a)を覆うように設けられ且つ第1のゲル部材(52a)よりも硬い第2のゲル部材(52b)とからなることを特徴としている。
ゲル部材(52)は、センサチップ(20)の裏面(20b)側に位置する第1のゲル部材(52a)と、第1のゲル部材(52a)よりもセンサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置にて第1のゲル部材(52a)を覆うように設けられ且つ第1のゲル部材(52a)よりも硬い第2のゲル部材(52b)とからなることを特徴としている。
それによれば、比較的柔らかい第1のゲル部材(52a)がセンサチップ(20)の裏面(20b)に接した状態となるため、圧力導入穴(13)の穴径を大きくしなくとも、ゲル部材(52)の熱収縮によるセンサ特性への影響を小さくすることができる。
また、圧力導入穴(13)内にて、比較的硬い第2のゲル部材(52b)が、比較的柔らかい第1のゲル部材(52a)を押さえ込むことにより、第1のゲル部材(52a)がたれないようにすることができる。
よって、本発明によれば、センサチップ(20)の裏面(20b)側をゲル部材(13)で封止してなる相対圧型の圧力センサにおいて、ゲル部材(52)によるセンサ特性への影響およびゲル部材(13)のたれを極力抑制しつつ、センサの小型化に適した構成を実現することができる。
また、上述したように、この種の圧力センサにおいては、ゲル部材の熱収縮により生じる応力が、センサチップに加わりセンサ特性に影響する。
ここで、ゲル部材の熱収縮による圧力特性への影響は、一般的に、圧力導入穴の面積に反比例し、ゲル部材の厚みの約2乗に比例する。つまり、圧力導入穴の穴径が大きいほど、また、穴が浅いほど、ゲル部材によるセンサ特性への影響が小さくなる。また、ゲル部材が柔らかいほど、センサ特性への影響は小さい。
そのようなことを鑑みて、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の圧力センサにおいて、圧力導入穴(13)は、センサチップ(20)の裏面(20b)側に位置する小径部(13a)と、小径部(13a)よりもセンサチップ(20)の裏面(20b)から離れて位置し且つ小径部(13a)よりも穴径の大きい大径部(13b)とから構成されており、第1のゲル部材(52a)は小径部(13a)に充填され、第2のゲル部材(52b)は大径部(13b)に充填されていることを特徴としている。
それによれば、圧力導入穴(13)をセンサチップ(20)側から比較的穴径の小さい小径部(13a)、比較的穴径の大きい大径部(13b)として構成しており、小径部(13a)に柔らかい方の第1のゲル部材(52a)を充填し、大径部(13b)に硬い方の第2のゲル部材(52b)を充填しているため、センサ特性への影響を小さくするためには、好ましい構成とできる。
請求項3に記載の発明では、表面(20a)および裏面(20b)に圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ(20)がその裏面(20b)をケース(10)に対向させた状態でケース(10)に固定されており、ケース(10)には、センサチップ(20)の裏面(20b)へ圧力を導入するための圧力導入穴(13)が設けられており、圧力導入穴(13)には、センサチップ(20)の裏面(20b)を封止するようにゲル部材(52)が充填されており、センサチップ(20)の表面(20a)に印加される圧力と裏面(20b)に印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにした圧力センサにおいて、
ゲル部材(52)よりもセンサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置には、プレート部材(53)がゲル部材(52)との密着力のみによってゲル部材(52)に付着しており、ゲル部材(52)は、プレート部材(53)によって圧力導入穴(13)の内部に押さえ込まれていることを特徴としている。
ゲル部材(52)よりもセンサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置には、プレート部材(53)がゲル部材(52)との密着力のみによってゲル部材(52)に付着しており、ゲル部材(52)は、プレート部材(53)によって圧力導入穴(13)の内部に押さえ込まれていることを特徴としている。
それによれば、センサチップ(20)の裏面(20b)側に位置するゲル部材(52)を柔らかいものとしても、このゲル部材(52)はプレート部材(53)により押さえ込まれて、たれないようにすることができる。そのため、圧力導入穴(13)の穴径を大きくしなくとも、ゲル部材(52)の熱収縮によるセンサ特性への影響を小さくすることができる。
また、プレート部材(53)がゲル部材(52)との密着力のみによってゲル部材(52)に付着しているだけであるので、プレート部材(53)は、圧力印加や熱によるゲル部材(52)の変形に追随し、このゲル部材(52)の変形を阻害することがない。
そのため、プレート部材(53)に起因する熱や圧力による応力は、ほとんど発生せず、本圧力センサにおいては、プレート部材(53)およびゲル部材(52)を介してセンサチップ(20)の裏面(20b)に適切に圧力が印加される。
よって、本発明によれば、センサチップ(20)の裏面(20b)側をゲル部材(13)で封止してなる相対圧型の圧力センサにおいて、ゲル部材(13)によるセンサ特性への影響およびゲル部材(13)のたれを極力抑制しつつ、センサの小型化に適した構成を実現することができる。
ここにおいて、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の圧力センサにおいて、プレート部材(53)は、ゲル部材(52)よりも比重が小さいものであることを特徴としている。
それによれば、ゲル部材(52)を圧力導入穴(13)に充填し、さらにプレート部材(53)を配設するときに、プレート部材(53)がゲル部材(52)に沈み込まないようにでき、好ましい。
また、請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4に記載の圧力センサにおいて、センサチップ(20)は、裏面(20b)側に凹部が形成され、この凹部に対応した表面(20a)側に歪み部としてのダイアフラム(21)を有するものであることを特徴とする。センサチップ(20)としては、このようなものを採用できる。
請求項6に記載の発明では、表面(20a)および裏面(20b)に圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ(20)と、圧力を導入するための圧力導入穴(13)を有するケース(10)とを用意し、センサチップ(20)を、その裏面(20b)を圧力導入穴(13)に対向させた状態でケース(10)に固定し、圧力導入穴(13)に、センサチップ(20)の裏面(20b)を封止するようにゲル部材(52)を充填してなる圧力センサの製造方法において、
ゲル部材(52)として、第1のゲル部材(52a)および第1のゲル部材(52a)よりも硬い第2のゲル部材(52b)を用意し、圧力導入穴(13)におけるセンサチップ(20)の裏面(20b)側に第1のゲル部材(52a)を充填し、次に、圧力導入穴(13)における第1のゲル部材(52a)よりもセンサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置に第2のゲル部材(52b)を充填し、しかる後、第1のゲル部材(52a)と第2のゲル部材(52b)とを同時に硬化させることを特徴としている。
ゲル部材(52)として、第1のゲル部材(52a)および第1のゲル部材(52a)よりも硬い第2のゲル部材(52b)を用意し、圧力導入穴(13)におけるセンサチップ(20)の裏面(20b)側に第1のゲル部材(52a)を充填し、次に、圧力導入穴(13)における第1のゲル部材(52a)よりもセンサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置に第2のゲル部材(52b)を充填し、しかる後、第1のゲル部材(52a)と第2のゲル部材(52b)とを同時に硬化させることを特徴としている。
それによれば、上記請求項1または請求項2に記載の圧力センサを適切に製造することができる。また、第1のゲル部材(52a)と第2のゲル部材(52b)とを同時に硬化させることにより、これら両ゲル部材(52a、52b)の界面で化学的結合が発生し、これら両ゲル部材(52a、52b)の剥離を防止することができ、好ましい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
限定するものではないが、本実施形態の圧力センサは、たとえば自動車のディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム(DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)システム)を構成する一部品として、排気ガスの圧力を検出するものとして適用できる。
限定するものではないが、本実施形態の圧力センサは、たとえば自動車のディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム(DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)システム)を構成する一部品として、排気ガスの圧力を検出するものとして適用できる。
[構成等]
図1は、本発明の第1実施形態に係る相対圧型の圧力センサ100の概略断面構成を示す図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る相対圧型の圧力センサ100の概略断面構成を示す図である。
図1において、ケース10は圧力センサ100の本体を区画するもので、たとえばPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂材料等よりなるケースである。
このケース10には、ターミナルなどの導体部11がインサート成形されている。この導体部11は、たとえば銅や42アロイなどの導体材料からなり、圧力センサ100と外部との電気的な接続を行うものである。
また、このケース10の一面(図1中の上面)側には、凹部12が形成され、この凹部12には、圧力検出用のセンサチップ20が収納されている。このセンサチップ20は、印加された圧力値に応じたレベルの電気信号を発生するセンシング部として構成されている。
ここでは、このセンサチップ20は、シリコン半導体等の半導体基板よりなり、その表面(図1中の上面)20a側に薄肉部であり歪み部であるダイアフラム21を有し、裏面(図1中の下面)20b側に、このダイアフラム21を構成するために異方性エッチング等により形成された凹部を有する半導体ダイアフラム式のチップである。
言い換えるならば、センサチップ20は、裏面20b側に凹部が形成され、この凹部に対応した表面20a側に歪み部としてのダイアフラム21を有するものである。
このようなセンサチップ20は、表裏両面20a、20bにて圧力を受け、両圧力の差圧によってダイアフラム21が歪み、たとえばダイアフラム21に形成された抵抗により構成されたブリッジ回路によって、このダイアフラム21の歪みに基づく信号を出力するものである。
また、センサチップ20の裏面20bには、ガラス等よりなる台座22が陽極接合などによって接合されセンサチップ20と一体化されている。そして、センサチップ20は、この台座22を介して、ケース10の凹部12の底面に、接着剤からなる接着部23を介して接着され、ケース10に収納固定されている。
このようにセンサチップ20は、その裏面20bをケース10に対向させた状態でケース10に固定されている。ここで、接着部23を構成する接着剤としては、この接着部23の熱応力がセンサ特性に影響を与え難いような柔らかい接着剤、たとえばシリコーン系接着剤やフロロシリコーン系接着剤等を採用することができる。
ここで、台座22には、孔部(貫通孔)22aが形成されている。そして、ケース10の凹部12の底面には、この台座22の孔部22aに対応する位置に圧力導入穴13が設けられている。この圧力導入穴13は、凹部12の底面からケース10の他面側へ貫通する貫通穴である。
このように、本実施形態において、ケース10の一面側に形成されている凹部12とケース10の他面側に開口した圧力導入穴13とは、センサチップ20によって区画されている。
ここで、圧力導入穴13は、センサチップ20の裏面20bへ圧力を導入するための穴である。そして、本実施形態では、圧力導入穴13は、センサチップ20側が細く圧力導入側が太くなった段差を持つ段付き内孔として構成されている。
すなわち、図1に示されるように、この圧力導入穴13は、センサチップ20の裏面20b側に位置する小径部13aと、この小径部13aよりもセンサチップ20の裏面20bから離れて位置し且つ小径部13aよりも穴径の大きい大径部13bとから構成されている。
また、ケース10の凹部12内には、センサチップ20からの信号を増幅したり調整したりするなどの信号処理を行うための回路チップ30が収納され固定されている。そして、この回路チップ30とセンサチップ20とは、金やアルミニウムなどからなるボンディングワイヤ40を介して結線され電気的に接続されている。
また、図1に示されるように、上記したケース10にインサート成形されている導体部11は、その一端部がケース10の凹部12内に露出しており、センサチップ20は、凹部12内にて、この導体部11の露出部ともボンディングワイヤ40を介して結線され電気的に接続されている。
さらに、図示しないが、ケース10においては、回路チップ30の近傍にも、同様の導体部が設けられており、当該導体部と回路チップ30とはボンディングワイヤなどを介して結線され電気的に接続されている。それにより、センサチップ20および回路チップ30は、ボンディング40や導体部11を介して外部と電気的に接続され、信号の出力ができるようになっている。
また、ケース10の凹部12内には、ゲル材料からなるゲル部材51が充填されている。以下、このゲル部材51をチップ表面側ゲル部材51ということにする。
そして、このチップ表面側ゲル部材51によって、導体部11とケース10との界面、センサチップ20、回路チップ30およびこれらのボンディングワイヤ40などによる接続部が封止され、保護されている。
また、センサチップ20の裏面20b側において、圧力導入穴13および台座22の孔部22aにはゲル材料からなるゲル部材52が充填されている。以下、このゲル部材52をチップ裏面側ゲル部材52ということにする。
そして、チップ裏面側ゲル部材52により、センサチップ20の裏面20bが封止され、圧力導入穴13への異物の侵入が防止されるようになっている。それにより、センサチップ20の裏面20bへの汚れ付着による特性変動、結露水の凍結による圧力導入穴13の閉塞、さらには水の凍結時の体積膨張によるセンサチップ20の破壊などの不具合を防止できるようになっている。
ここで、チップ表面側ゲル部材51、チップ裏面側ゲル部材52に用いられるゲル材料としては、特に限定するものではないが、たとえば、フッ素ゲル、シリコーンゲル、フロロシリコーンゲルなどが挙げられる。
特に、排気ガス圧を測定する場合、排気ガスによる凝縮水は、排気ガスの窒素酸化物や硫黄酸化物が溶け込み強い酸性を持つため、これらゲル部材51、52としては、耐酸性が強いフッ素ゲルを使用することが望ましい。
ここで、本実施形態の圧力センサ100では、独自の構成として、センサチップ20の裏面20b側を封止するチップ裏面側ゲル部材52を、硬さの異なるゲル部材52a、52bにより構成し、センサチップ20の裏面20b側から、第1のゲル部材52a、第1のゲル部材52aを覆うように設けられ且つ第1のゲル部材52aよりも硬い第2のゲル部材52bが積層された2層構造としている。
すなわち、本実施形態のチップ裏面側ゲル部材52は、センサチップ20の裏面20b側に位置する第1のゲル部材52aと、この第1のゲル部材52aよりもセンサチップ20の裏面20bから離れて位置し且つ第1のゲル部材52aよりも硬い第2のゲル部材52bとからなる。第2のゲル部材52aは、第1のゲル部材52aを覆うように設けられている。
ここで、チップ裏面側ゲル部材52における第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとで、硬さを決めることは、たとえば、JIS(日本工業規格)に記載されている針入度などにより行うことができる。
そして、チップ裏面側ゲル部材52における第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとで、硬さを異ならせることは、たとえば、ゲル材料を異ならせることで可能である。また、ゲル材料としてシリカなどのフィラーを混入させたものを用い、このフィラーの比率を第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとで異ならせることにより、両ゲル部材52a、52bの硬さを異ならせてもよい。
また、上述したように、圧力導入穴13においては、センサチップ20の裏面20b側から比較的狭い穴である小径部13a、比較的広い穴である大径部13bが構成されている。そして、第1のゲル部材52aは小径部13aに充填され、第2のゲル部材52bは大径部13bに充填されている。本実施形態では、第1のゲル部材52aの一部が大径部13bまで充填されている。
また、図1に示されるように、第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとでは、圧力導入穴13の延びる方向(図1中の上下方向)に沿った厚さをみた場合、第1のゲル部材52aの方が比較的厚く形成され、第2のゲル部材52bの方は比較的薄く、層状に形成されている。
このような圧力センサ100においては、図1に示されるように、センサチップ20の表面20aには、チップ表面側ゲル部材51を介して、たとえば大気圧などの表面側圧力P1が印加され、センサチップ20の裏面20bには、圧力導入穴13からチップ裏面側ゲル部材52を介して、たとえば排気ガス圧などの裏面側圧力P2が印加されるようになっている。
具体的に、表面側圧力P1としては、たとえば100kPa程度の大気圧であり、裏面側圧力P2としては、100kPa〜200kPa程度の排気ガス圧であり、本圧力センサ100は、表面側圧力P1よりも裏面側圧力P2の方が大きい環境で使用することができる。もちろん、裏面側圧力の方が大きい環境で使用してもよい。
そして、センサチップ20においてダイアフラム21は、チップの表面20a側と裏面20b側との差圧によって歪み、この歪みに応じたレベルの電気信号がセンサチップ20から出力される。そして、この信号は、回路チップ30にて処理され、導体部11から外部へ出力されるようになっている。
[製造方法等]
かかる圧力センサ100の製造方法について述べる。まず、導体部11がインサート成形され、凹部12、圧力導入穴13が形成されたケース10を用意する。このようなケース10は、型成形により容易に作成することができる。
かかる圧力センサ100の製造方法について述べる。まず、導体部11がインサート成形され、凹部12、圧力導入穴13が形成されたケース10を用意する。このようなケース10は、型成形により容易に作成することができる。
また、表面20aおよび裏面20bに圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ20を用意し、このセンサチップ20と台座22とを陽極接合などにより接合する。
そして、ケース10の凹部12において、台座22と一体化されたセンサチップ20を、その裏面20bを圧力導入穴13に対向させた状態でケース10に接着し固定する。また、回路チップ30をケース10に接着し固定する。
その後、センサチップ20と導体部11との間、回路チップ30と導体部との間、センサチップ20と回路チップ30との間を、ワイヤボンディングすることによって、これら各部材の間をボンディングワイヤ40で結線する。
次に、ケース10に対してチップ表面側ゲル部材51およびチップ裏面側ゲル部材52を配設する。具体的には、上記図1に示されるような状態となるように、ゲル部材51、52を注入・充填した後、気泡発生を防ぐために真空脱泡し、その後、ゲル部材51、52を加熱硬化させることにより、ゲル部材51、52の配設が終了する。なお、チップ表面側ゲル部材51とチップ裏面側ゲル部材52とでは、充填・硬化は同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
ここで、ゲル部材51、52の配設においては、圧力導入穴13にはセンサチップ20の裏面20bを封止するようにチップ裏面側ゲル部材52を充填する。
このとき、まず、第1のゲル部材52aを、圧力導入穴13におけるセンサチップ20の裏面20b側、すなわち小径部13aに充填し、次に、第2のゲル部材52bを、圧力導入穴13における第1のゲル部材52aよりもセンサチップ20の裏面20bから離れた位置に充填する。
これら第1のゲル部材52aおよび第2のゲル部材52bの配設において、第1のゲル部材52aを充填・硬化した後、第2のゲル部材52bを充填・硬化してもよいが、第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとを充填した後、硬化は同時に行うことが好ましい。
こうして、ゲル部材51、52の配設の完了に伴い、上記図1に示される本実施形態の圧力センサ100が完成する。
[効果等]
以上のように、本実施形態の圧力センサ100は、表面20aおよび裏面20bに圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ20がその裏面20bをケース10に対向させた状態でケース10に固定されており、ケース10には、センサチップ20の裏面20bへ圧力を導入するための圧力導入穴13が設けられており、圧力導入穴13には、センサチップ20の裏面20bを封止するようにチップ裏面側ゲル部材52が充填されており、センサチップ20の表面20aに印加される圧力と裏面20bに印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにした相対圧型の圧力センサを構成している。
以上のように、本実施形態の圧力センサ100は、表面20aおよび裏面20bに圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ20がその裏面20bをケース10に対向させた状態でケース10に固定されており、ケース10には、センサチップ20の裏面20bへ圧力を導入するための圧力導入穴13が設けられており、圧力導入穴13には、センサチップ20の裏面20bを封止するようにチップ裏面側ゲル部材52が充填されており、センサチップ20の表面20aに印加される圧力と裏面20bに印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにした相対圧型の圧力センサを構成している。
そして、本実施形態では、このような圧力センサ100において、チップ裏面側ゲル部材52は、センサチップ20の裏面20b側に位置する第1のゲル部材52aと、第1のゲル部材52aよりもセンサチップ20の裏面20bから離れて位置にて第1のゲル部材52aを覆うように設けられ且つ第1のゲル部材52aよりも硬い第2のゲル部材52bとからなることを特徴とする圧力センサ100が提供される。
それによれば、チップ裏面側ゲル部材52のうち比較的柔らかい第1のゲル部材52aがセンサチップ20の裏面20bに接した状態となるため、圧力導入穴13の穴径を大きくしなくとも、ゲル部材52の熱収縮によるセンサ特性への影響を小さくすることができる。
また、圧力導入穴13内にて、チップ裏面側ゲル部材52のうち比較的硬い第2のゲル部材52bが、比較的柔らかい第1のゲル部材52aを覆うことで第1のゲル部材52aを押さえ込むことにより、第1のゲル部材52aが、圧力導入穴13からたれないようにすることができる。
よって、本実施形態によれば、センサチップ20の裏面20b側をゲル部材13で封止してなる相対圧型の圧力センサ100において、チップ裏面側ゲル部材52によるセンサ特性への影響およびチップ裏面側ゲル部材13のたれを極力抑制しつつ、センサの小型化に適した構成を実現することができる。
また、上述したように、この種の圧力センサにおいては、チップ裏面側ゲル部材の熱収縮により生じる応力が、センサチップに加わりセンサ特性に影響する。
ここで、ゲル部材の熱収縮による圧力特性への影響は、一般的に、圧力導入穴の面積に反比例し、ゲル部材の厚みの約2乗に比例する。つまり、圧力導入穴の穴径が大きいほど、また、穴が浅いほど、ゲル部材によるセンサ特性への影響が小さくなる。また、ゲル部材が柔らかいほど、センサ特性への影響は小さい。
このようなことを鑑みて、本実施形態の圧力センサ100では、圧力導入穴13は、センサチップ20の裏面20b側に位置する小径部13aと、この小径部13aよりもセンサチップ20の裏面20bから離れて位置し且つ小径部13aよりも穴径の大きい大径部13bとから構成されており、第1のゲル部材52aは小径部13aに充填され、第2のゲル部材52bは大径部13bに充填されていることも大きな特徴点である。
それによれば、圧力導入穴13をセンサチップ20側から比較的穴径の小さい小径部13a、比較的穴径の大きい大径部13bとして構成し、小径部13aに柔らかい方の第1のゲル部材52aを充填し、大径部13bに硬い方の第2のゲル部材52bを充填しているため、センサ特性への影響を小さくし、たれを防止するためには、好ましい構成となっている。
つまり、比較的穴が細く且つ深い部分である小径部13aに、非常に柔らかい(つまり、非常にたれやすい)第1のゲル部材52aを注入することで、細い穴である小径部13aでもセンサ特性への影響を小さくすることができる。
このとき、第2のゲル部材52bの存在により、第1のゲル部材52aが垂れることなく、センサ特性を改善できる。また、硬い第2のゲル部材52bは、面積の広い大径部13bにおいて比較的薄く注入されているので、この硬い第2のゲル部材52bによる圧力特性への影響を低減することができる。
また、本実施形態の圧力センサ100においては、センサチップ20として、裏面20b側に凹部が形成され、この凹部に対応した表面20a側に歪み部としてのダイアフラム21を有するもの、すなわち半導体ダイアフラム式のセンサチップを採用したことも特徴のひとつである。
さらに、本実施形態によれば、表面20aおよび裏面20bに圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ20と、圧力を導入するための圧力導入穴13を有するケース10とを用意し、センサチップ20を、その裏面20bを圧力導入穴13に対向させた状態でケース10に固定し、圧力導入穴13に、センサチップ20の裏面20bを封止するようにゲル部材52を充填してなる圧力センサの製造方法において、次のような点を特徴とする製造方法が提供される。
すなわち、本実施形態の製造方法においては、ゲル部材52として、第1のゲル部材52aおよび第1のゲル部材52aよりも硬い第2のゲル部材52bを用意し、圧力導入穴13におけるセンサチップ20の裏面20b側に第1のゲル部材52aを充填し、次に、圧力導入穴13における第1のゲル部材52aよりもセンサチップ20の裏面20bから離れた位置に第2のゲル部材52bを充填し、しかる後、第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとを同時に硬化させることを特徴としている。
それによれば、上記図1に示されるような本実施形態の圧力センサ100を適切に製造することができる。また、本製造方法によれば、第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとを同時に硬化させることにより、これら両ゲル部材52a、52bの界面で化学的結合が発生し、これら両ゲル部材52a、52bの剥離を極力起こりにくくできるため、好ましい。
また、チップ裏面側ゲル部材52において、第1のゲル部材52aに数パーセントのシリカなどからなるフィラーを混入することで、この第1のゲル部材52aのチクソ性を増加させるようにしてもよい。それによれば、第2のゲル部材52bの注入時や両ゲル部材52a、52bの同時硬化時に、第1のゲル部材52aと第2のゲル部材52bとの混ざりを、極力防止することができる。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る相対圧型の圧力センサ200の概略断面構成を示す図である。上記実施形態との相違点を中心に述べる。
図2は、本発明の第2実施形態に係る相対圧型の圧力センサ200の概略断面構成を示す図である。上記実施形態との相違点を中心に述べる。
本実施形態の圧力センサ200も、表面20aおよび裏面20bに圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ20がその裏面20bをケース10に対向させた状態でケース10に固定されており、ケース10には、センサチップ20の裏面20bへ圧力を導入するための圧力導入穴13が設けられており、圧力導入穴13には、センサチップ20の裏面20bを封止するようにチップ裏面側ゲル部材52が充填されており、センサチップ20の表面20aに印加される圧力と裏面20bに印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにした相対圧型の圧力センサを構成している。
ここにおいて、図2に示されるように、本実施形態の圧力センサ200では、圧力導入穴13に充填されたチップ裏面側ゲル部材52は、1層であり、このチップ裏面側ゲル部材52は、小径部13aおよび大径部13bに充填されている。
そして、本実施形態では、このチップ裏面側ゲル部材52よりもセンサチップ20の裏面20bから離れた位置には、プレート部材53がゲル部材52を覆うように設けられている。このプレート部材53は、ゲル部材52との密着力のみによってゲル部材52に付着しており、ゲル部材52は、プレート部材53によって圧力導入穴13の内部に押さえ込まれている。
ここで、プレート部材53は、樹脂やセラミックなどからなる板材であり、当該プレート部材53が位置すべき圧力導入穴13の部分の穴径よりも小さいサイズのものである。ここでは、プレート部材53は、圧力導入穴13のうちの大径部13bに位置しており、図1に示されるように、大径部13bの径よりも小さいものとなっている。
このようなプレート部材53を有する本実施形態の圧力センサ200は、次のようにして製造される。
上記実施形態と同様に、ケース10に対して、台座22と一体化されたセンサチップ20および回路チップ30を固定し、ワイヤボンディングを行う。
そして、ケース10に対してチップ表面側ゲル部材51およびチップ裏面側ゲル部材51を配設する。ここで、圧力導入穴13においては、チップ裏面側ゲル部材52を充填すした後、そのチップ裏面側ゲル部材52の表面にプレート部材53を浮かべ、この状態で、硬化を行う。こうして、本実施形態の圧力センサ200ができあがる。
このように、本実施形態においては、チップ裏面側ゲル部材52よりもセンサチップ20の裏面20bから離れた位置に、チップ裏面側ゲル部材52を覆うようにプレート部材53を設け、このプレート部材53は、チップ裏面側ゲル部材52との密着力のみによってチップ裏面側ゲル部材52に付着させ、プレート部材53によってチップ裏面側ゲル部材52を圧力導入穴13の内部に押さえ込んだことを特徴とする圧力センサ200が提供される。
それによれば、センサチップ20の裏面20b側に位置するチップ裏面側ゲル部材52を柔らかいものとしても、このチップ裏面側ゲル部材52はプレート部材53により押さえ込まれて、たれないようにすることができる。
そのため、本実施形態においても、圧力導入穴13の穴径を大きくしなくとも、チップ裏面側ゲル部材52の熱収縮によるセンサ特性への影響を小さくすることができる。
また、プレート部材53は、チップ裏面側ゲル部材52との密着力のみによってチップ裏面側ゲル部材52に付着しているだけであるので、プレート部材53は、圧力印加や熱によるチップ裏面側ゲル部材52の変形に追随し、このチップ裏面側ゲル部材52の変形を阻害することがない。
そのため、プレート部材53に起因する熱や圧力による応力は、ほとんど発生せず、本圧力センサ200においては、プレート部材53およびチップ裏面側ゲル部材52を介してセンサチップ20の裏面20bに適切に圧力が印加される。
よって、本実施形態によれば、センサチップ20の裏面20b側をゲル部材13で封止してなる相対圧型の圧力センサ100において、チップ裏面側ゲル部材52によるセンサ特性への影響およびチップ裏面側ゲル部材13のたれを極力抑制しつつ、センサの小型化に適した構成を実現することができる。
ここで、本実施形態の圧力センサ200においては、プレート部材53は、チップ裏面側ゲル部材52よりも比重が小さいものであることが好ましい。
それによれば、チップ裏面側ゲル部材52を圧力導入穴13に充填し、さらにプレート部材53を配設するときに、プレート部材53がチップ裏面側ゲル部材52に沈み込まないようにでき、好ましい。
(他の実施形態)
なお、上記第1実施形態においては、チップ裏面側ゲル部材52において、第2のゲル部材52bが1層であり、チップ裏面側ゲル部材52全体としては2層構造であったが、第2のゲル部材52bが2層以上、つまり、チップ裏面側ゲル部材52全体が3層以上であってもよい。
なお、上記第1実施形態においては、チップ裏面側ゲル部材52において、第2のゲル部材52bが1層であり、チップ裏面側ゲル部材52全体としては2層構造であったが、第2のゲル部材52bが2層以上、つまり、チップ裏面側ゲル部材52全体が3層以上であってもよい。
この場合、複数層からなる第2のゲル部材52bにおいては、センサチップ20側に近い層ほど、柔らかいゲルから構成されたものとすることが好ましい。
つまり、このことを言い換えるならば、上記第1実施形態において、チップ裏面側ゲル部材52は、センサチップ20の裏面20b側から複数のゲル部材が積層されたものからなり、且つ、複数のゲル部材は、センサチップ20の裏面20b側に近いほど柔らかいものであることが好ましい。
また、センサチップ20としては、表面20aおよび裏面20bに圧力が印加され表面20aに印加される圧力と裏面20bに印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うものであれば、上記した半導体ダイアフラム以外のものであってもよい。ここで、センサチップの表面、裏面に印加される圧力は、片方が基準圧力で片方が測定圧力でもよく、両方が測定圧力でもよい。
また、上記実施形態に示したケースは、本発明に適用することのできる一実施形態を示したものであり、上記図示例に限定されるものではない。
また、上記図示例では、ケース10の凹部12に充填されるチップ表面側ゲル部材51は1層であったが、このチップ表面側ゲル部材51も2層以上であってもよい。
さらには、上記図において、チップ表面側ゲル部材51の下層として、すなわち、チップ表面側ゲル部材51とケース10の凹部12の底面との間に、ゴム部材を設け、センサチップ20の保護構造をゲル・ゴムの2層構造としてもよい。ここで、センサチップ20より上部はゲル層とする。
このようなゲル・ゴム2層構造において下層に位置するゴム部材は、導体部11とケース10との界面等からの気泡の発生を抑制するために高弾性率を持ち且つ耐薬品性を有する材料からなるものにできる。限定するものではないが、たとえば、フッ素系のゴム材料などを採用することができる。
要するに、本発明は、表裏両面に圧力が印加されるセンサチップ20を、裏面をケース10に対向させた状態でケースに固定し、ケースに、センサチップ裏面へ圧力を導入するための圧力導入穴を設け、圧力導入穴に、センサチップ裏面を封止するようにゲル部材を充填してなる相対圧型の圧力センサにおいて、チップ裏面側に位置するゲル部材を、これよりも硬い別のゲル部材またはプレート部材にて覆うことでたれないようにしたことを要部とするものであり、その他の部分については、適宜設計変更が可能である。
そして、本発明によれば、従来の問題、すなわち、センサ特性の影響を考えればゲル部材は柔らかい方が望ましいが、ゲル部材のたれ防止を考えればゲル部材は硬い方が望ましい、というトレードオフの関係を無くし、設計の自由度を向上させるとともに、チップサイズの小型化を達成することができる。
10…ケース、13…圧力導入穴、13a…圧力導入穴の小径部、
13b…圧力導入穴の大径部、20…センサチップ、
20a…センサチップの表面、20b…センサチップの裏面、
21…センサチップのダイアフラム、52…チップ裏面側ゲル部材、
52a…チップ裏面側ゲル部材の第1のゲル部材、
52b…チップ裏面側ゲル部材の第2のゲル部材、53…プレート部材。
13b…圧力導入穴の大径部、20…センサチップ、
20a…センサチップの表面、20b…センサチップの裏面、
21…センサチップのダイアフラム、52…チップ裏面側ゲル部材、
52a…チップ裏面側ゲル部材の第1のゲル部材、
52b…チップ裏面側ゲル部材の第2のゲル部材、53…プレート部材。
Claims (6)
- 表面(20a)および裏面(20b)に圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ(20)がその裏面(20b)をケース(10)に対向させた状態で前記ケース(10)に固定されており、
前記ケース(10)には、前記センサチップ(20)の裏面(20b)へ圧力を導入するための圧力導入穴(13)が設けられており、
前記圧力導入穴(13)には、前記センサチップ(20)の裏面(20b)を封止するようにゲル部材(52)が充填されており、
前記センサチップ(20)の表面(20a)に印加される圧力と裏面(20b)に印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにした圧力センサにおいて、
前記ゲル部材(52)は、前記センサチップ(20)の裏面(20b)側に位置する第1のゲル部材(52a)と、前記第1のゲル部材(52a)よりも前記センサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置にて前記第1のゲル部材(52a)を覆うように設けられ且つ前記第1のゲル部材(52a)よりも硬い第2のゲル部材(52b)とからなることを特徴とする圧力センサ。 - 前記圧力導入穴(13)は、前記センサチップ(20)の裏面(20b)側に位置する小径部(13a)と、前記小径部(13a)よりも前記センサチップ(20)の裏面(20b)から離れて位置し且つ前記小径部(13a)よりも穴径の大きい大径部(13b)とから構成されており、
前記第1のゲル部材(52a)は前記小径部(13a)に充填され、前記第2のゲル部材(52b)は前記大径部(13b)に充填されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。 - 表面(20a)および裏面(20b)に圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ(20)がその裏面(20b)をケース(10)に対向させた状態で前記ケース(10)に固定されており、
前記ケース(10)には、前記センサチップ(20)の裏面(20b)へ圧力を導入するための圧力導入穴(13)が設けられており、
前記圧力導入穴(13)には、前記センサチップ(20)の裏面(20b)を封止するようにゲル部材(52)が充填されており、
前記センサチップ(20)の表面(20a)に印加される圧力と裏面(20b)に印加される圧力との差圧に基づいて圧力検出を行うようにした圧力センサにおいて、
前記ゲル部材(52)よりも前記センサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置には、プレート部材(53)が前記ゲル部材(52)との密着力のみによって前記ゲル部材(52)に付着しており、
前記ゲル部材(52)は、前記プレート部材(53)によって前記圧力導入穴(13)の内部に押さえ込まれていることを特徴とする圧力センサ。 - 前記プレート部材(53)は、前記ゲル部材(52)よりも比重が小さいものであることを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
- 前記センサチップ(20)は、裏面(20b)側に凹部が形成され、この凹部に対応した表面(20a)側に歪み部としてのダイアフラム(21)を有するものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の圧力センサ。
- 表面(20a)および裏面(20b)に圧力が印加される圧力検出用のセンサチップ(20)と、
圧力を導入するための圧力導入穴(13)を有するケース(10)とを用意し、
前記センサチップ(20)を、その裏面(20b)を圧力導入穴(13)に対向させた状態で前記ケース(10)に固定し、
前記圧力導入穴(13)に、前記センサチップ(20)の裏面(20b)を封止するようにゲル部材(52)を充填してなる圧力センサの製造方法において、
前記ゲル部材(52)として、第1のゲル部材(52a)および前記第1のゲル部材(52a)よりも硬い第2のゲル部材(52b)を用意し、
前記圧力導入穴(13)における前記センサチップ(20)の裏面(20b)側に前記第1のゲル部材(52a)を充填し、
次に、前記圧力導入穴(13)における前記第1のゲル部材(52a)よりも前記センサチップ(20)の裏面(20b)から離れた位置に前記第2のゲル部材(52b)を充填し、
しかる後、前記第1のゲル部材(52a)と前記第2のゲル部材(52b)とを同時に硬化させることを特徴とする圧力センサの製造方法。
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