特許文献1に示されるセンサ装置では、折曲によって半導体基板の3つの側面に対応する位置決め部位が設けられた支持リードを採用しており、支持リード上にセンサチップが配置されている。このような構成においては、搭載性を考慮すると半導体基板に対して位置決め部位が若干余裕を持って形成されるため、センサチップに位置ずれが生じる恐れがある。また、センサチップが支持リードに対して固定されていないため、超音波を用いてセンサチップと外部接続リードとをワイヤボンディングする際に、超音波振動が逃げて接合状態を形成しにくいという問題がある。
そこで、本発明者は、センサチップ(半導体基板)の下面全面を接着面として支持リードに接着固定(ダイボンド)される構造について検討した。ところが、接着部材(ダイボンド材)として軟らかい接着部材(加圧により変形するもの、ヤング率が1MPa程度)を用いた場合、モールド成形の際に、薄肉部がダメージを受ける(例えば破損する)という問題が生じた。これは、接着部材がモールド成形時に押し広げられる影響でセンサチップに応力が生じ、この応力が薄肉部に集中することによって生じるものと考えられる。
また、上述の接着部材よりも硬い接着部材(加圧により変形しがたいもの)を用いた場合、センサ特性が変動するという問題が生じた。このセンサ特性の変動は、ヤング率が大きい(加圧によりほとんど変形しないもの、例えば1GPa程度)ほど顕著であった。これは、例えば接着部材の硬化処理や使用環境での温度変化により、半導体基板と支持リードとの線膨張係数差に基づく応力などが生じ、半導体基板における剛性の低い薄肉部に応力が作用して、ピエゾ抵抗効果により抵抗値変化が生じたためと考えられる。また、変化した抵抗値がクリープによって徐々に変動したためと考えられる。
本発明は上記問題点に鑑み、センサチップと外部接続リードとの電気的な接続状態を確保しつつ、薄肉部のダメージやセンサ特性の変動を抑制できるセンサ装置の製造方法及びセンサ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為に請求項1に記載の発明は、空洞部を有する基板上に、検出部と検出部に接続される配線部が形成され、検出部を構成する抵抗体が空洞部上の薄肉部に形成されたセンサチップと、センサチップを一面上に搭載する支持リード及び配線部と電気的に接続される外部接続リードを含むリードフレームと、を準備する準備工程と、準備したセンサチップを、空洞部が開口する下面を搭載面として、リードフレームにおける支持リード上に接着部材を介して固定し、積層体を形成する接着工程と、積層体に対し、リードフレームにおける外部接続リードと配線部を電気的に接続する接続工程と、接続工程後、一対の金型に構成されるキャビティに積層体を配置してモールド成形し、検出部及び薄肉部を露出しつつ封止部材によって配線部と外部接続リードとの接続部位を被覆する成形工程と、を備えたセンサ装置の製造方法であって、成形工程において、接着部材よりも基板に近い硬さを有するストッパをキャビティ内に配置し、一方の金型がセンサチップの上面に接触しつつ他方の金型との間でストッパを挟持した状態でモールド成形することを特徴とする。
このように本発明によれば、接着部材を介してセンサチップを支持リードに固定した状態で、外部接続リードとセンサチップの配線部を電気的に接続する。したがって、センサチップと外部接続リードとの間で、電気的な接続状態を確保することができる。
また、接着部材よりも基板に近い硬さを有するストッパをキャビティ内に配置し、一方の金型がセンサチップの上面に接触しつつ他方の金型との間でストッパを挟持した状態でモールド成形する。したがって、ストッパによって、一方の金型がセンサチップの上面に接触した状態からさらにセンサチップを押圧するのを抑制することができる。換言すれば、ストッパとセンサチップとで、金型から受ける圧力を分散させることができる。これにより、圧力を受けて変形する程度のヤング率(例えば1MPa程度)を有する軟らかい接着部材を用いても、型締め時における接着部材の変形量を低減し、ひいては接着部材の変形に伴って変形するセンサチップの変形量を低減することができる。そして、薄肉部への応力の集中を抑制する(薄肉部の受けるダメージを抑制する)ことができる。
また、ストッパによって、薄肉部の受けるダメージを抑制することができるので、接着部材として、圧力を受けて変形する軟らかい接着部材を採用することができる。したがって、使用環境での温度変化などにより、センサチップを構成する基板と支持リードとの線膨張係数差に基づいて応力が生じても、軟らかい接着部材によって応力を低減(緩和)することができる。すなわち、線膨張係数差に基づいてセンサチップの薄肉部に作用する応力を低減でき、ひいてはピエゾ抵抗効果によるセンサ特性の変動を抑制することができる。
請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載のように、成形工程の前に、支持リードの一面上にストッパを固定する固定工程を備えても良い。このように、別部材としてのストッパを支持リードに固定すると、同一の支持リードに対してセンサチップとストッパを固定するので、センサチップの上面に対するストッパの位置精度を向上することができる。すなわち、型から受けるセンサチップの圧力のばらつきを低減することができる。また、成形工程の前にセンサチップに対してストッパを位置決め固定しておくので、成形時にストッパを位置決め固定する構造が不要であり、型構造を簡素化することができる。
また、請求項3に記載のように、準備工程において、支持リードの一部として、一面から突出する凸状のストッパを形成しても良い。このように、支持リードの一部としてストッパを形成すると、支持リードに固定されたセンサチップの上面に対する支持リードの一部であるストッパの位置精度をさらに向上することができる。すなわち、型から受けるセンサチップの圧力のばらつきをさらに低減することができる。また、請求項2に記載の発明で必要である固定工程を不要とすることができる。また、請求項2に記載の発明同様、型構造を簡素化することができる。
請求項1〜3いずれかに記載の発明は、請求項4に記載のように、検出部として薄肉部上に形成されたヒータを含む流量検出部を備えた流量検出チップをセンサチップとする構成に特に効果的である。
流量検出チップにおける薄肉部の厚さは、ヒータの応答性を高めるために薄いほど良く、一般的に数μm程度である。したがって、モールド成形時に薄肉部がダメージを受け易く、また、ピエゾ抵抗効果によってセンサ特性が変動しやすい。これに対し、請求項1〜3いずれかに記載の発明を適用すれば、流量検出チップと外部接続リードとの電気的な接続状態を確保しつつ、薄肉部の受けるダメージやセンサ特性の変動が抑制された流量センサ装置を形成することができる。
次に、請求項5に記載の発明は、空洞部を有する基板上に、検出部と検出部に接続された配線部が形成され、検出部を構成する抵抗体が空洞部上の薄肉部に形成されたセンサチップと、リードフレームの一部であり、一面上に、空洞部の開口された下面を搭載面としてセンサチップが接着部材を介して固定された支持リード、及び、配線部と電気的に接続された外部接続リードと、絶縁材料からなり、検出部及び薄肉部を露出させつつ、配線部と外部接続リードとの接続部位を被覆するように一体的に配置された封止部材と、を備えることを特徴とするセンサ装置であって、支持リードの一面上であってセンサチップの搭載領域を除く領域に、接着部材よりも基板に近い硬さを有するストッパが形成され、支持リードとは別部材のストッパが、支持リードの一面上に固定されていることを特徴とする。
次に、請求項6に記載の発明は、空洞部を有する基板上に、検出部と検出部に接続された配線部が形成され、検出部を構成する抵抗体が空洞部上の薄肉部に形成されたセンサチップと、リードフレームの一部であり、一面上に、空洞部の開口された下面を搭載面としてセンサチップが接着部材を介して固定された支持リード、及び、配線部と電気的に接続された外部接続リードと、絶縁材料からなり、検出部及び薄肉部を露出させつつ、配線部と外部接続リードとの接続部位を被覆するように一体的に配置された封止部材と、を備えることを特徴とするセンサ装置であって、支持リードの一面上であってセンサチップの搭載領域を除く領域に、接着部材よりも基板に近い硬さを有するストッパが形成され、ストッパは、センサチップと離れて、センサチップを取り囲むように環状に形成され、ストッパとセンサチップの隙間のうち、封止部材によって被覆されない領域であって封止部材との境界から少なくとも一部の領域が、封止部材とは別の充填部材、又は、支持リードの一部として形成された第2の凸部によって埋められていることを特徴とする。
次に、請求項7に記載の発明は、空洞部を有する基板上に、検出部と検出部に接続された配線部が形成され、検出部を構成する抵抗体が空洞部上の薄肉部に形成されたセンサチップと、リードフレームの一部であり、一面上に、空洞部の開口された下面を搭載面としてセンサチップが接着部材を介して固定された支持リード、及び、配線部と電気的に接続された外部接続リードと、絶縁材料からなり、検出部及び薄肉部を露出させつつ、配線部と外部接続リードとの接続部位を被覆するように一体的に配置された封止部材と、を備えることを特徴とするセンサ装置であって、支持リードの一面上であってセンサチップの搭載領域を除く領域に、接着部材よりも基板に近い硬さを有するストッパが形成され、ストッパは、センサチップを取り囲むように環状に形成され、環状のストッパは、封止部材によって被覆されない領域であって封止部材との境界から少なくとも一部の領域で、センサチップと接触していることを特徴とする。
次に、請求項8に記載の発明は、空洞部を有する基板上に、検出部と検出部に接続された配線部が形成され、検出部を構成する抵抗体が空洞部上の薄肉部に形成されたセンサチップと、リードフレームの一部であり、一面上に、空洞部の開口された下面を搭載面としてセンサチップが接着部材を介して固定された支持リード、及び、配線部と電気的に接続された外部接続リードと、絶縁材料からなり、検出部及び薄肉部を露出させつつ、配線部と外部接続リードとの接続部位を被覆するように一体的に配置された封止部材と、を備えることを特徴とするセンサ装置であって、支持リードの一面上であってセンサチップの搭載領域を除く領域に、接着部材よりも基板に近い硬さを有するストッパが形成され、ストッパの一部が支持リードの一面とセンサチップの下面との間に配置されてセンサチップの下面の一部と対向され、センサチップの下面の一部とストッパの対向部位が接着部材としての第1の接着部材を介して固定され、ストッパを介して、センサチップが支持リードに固定されていることを特徴とする。
上記したように、請求項5〜8いずれかに記載の発明においては、センサチップが支持リードに接着固定されている。これにより、センサチップの位置ずれが抑制され、センサチップと外部接続リードとの電気的な接続状態が確保される。また、接着部材よりも基板に近い硬さを有するストッパが、支持リードの一面上であってセンサチップの搭載領域を除く領域に形成されている。これにより、封止樹脂による成形時において、センサチップが金型から受ける圧力が抑制される。換言すれば、ストッパとセンサチップとで、金型から受ける圧力が分散される。したがって、接着部材として、圧力を受けて変形する程度のヤング率(例えば1MPa程度)を有する軟らかい接着部材を用いても、型締め時における接着部材の変形量が低減され、ひいては接着部材の変形に伴って変形するセンサチップの変形量が低減される。そして、薄肉部への応力の集中が抑制される(薄肉部の受けるダメージが抑制される)。また、支持リード上にストッパが形成されている。これにより、支持リード上に固定されたセンサチップの上面に対するストッパの位置精度が向上され、金型から受けるセンサチップの圧力のばらつきが低減される。また、ストッパによって、薄肉部の受けるダメージが抑制されるので、接着部材として、圧力を受けて変形する軟らかい接着部材を採用することができる。したがって、使用環境での温度変化などにより、センサチップを構成する基板と支持リードとの線膨張係数差に基づいて応力が生じても、軟らかい接着部材によって応力が低減(緩和)される。すなわち、線膨張係数差に基づいてセンサチップの薄肉部に作用する応力が低減され、ひいてはピエゾ抵抗効果によるセンサ特性の変動が抑制される。
さらに、請求項5に記載の発明においては、支持リードとは別部材のストッパが、支持リードの一面上に固定されている。この作用効果は、請求項2に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
さらに、請求項6に記載の発明においては、ストッパが、センサチップを取り囲むように環状に形成されているため、成形時においてセンサチップが金型から受ける圧力が、部分的な偏りなく抑制される。また、環状のストッパがセンサチップと離れて形成され、ストッパとセンサチップの隙間のうち、封止部材によって被覆されない領域であって封止部材との境界から少なくとも一部の領域が、封止部材とは別の充填部材、又は、支持リードの一部として形成された第2の凸部によって埋められている。このような構成とすると、成形時に、ストッパとセンサチップの隙間の封止部材によって被覆されない領域への封止部材の流れ込みが抑制される。これにより、使用環境での温度変化などにより、センサチップとストッパとの線膨張係数差に基づいて生じる応力の範囲が制限される。すなわち、ピエゾ抵抗効果によるセンサ特性の変動が抑制される。
さらに、請求項7に記載の発明においては、ストッパは、センサチップを取り囲むように環状に形成されている。また、環状のストッパが、封止部材によって被覆されない領域であって封止部材との境界から少なくとも一部の領域で、センサチップと接触している。このように、ストッパの一部にセンサチップと接触する部位が形成された構成としても、請求項6に記載の発明と同様の効果を期待することができる。
さらに、請求項8に記載の発明においては、ストッパの一部が支持リードの一面とセンサチップの下面との間に配置されてセンサチップの下面の一部と対向され、センサチップの下面の一部とストッパの対向部位が接着部材としての第1の接着部材を介して固定され、ストッパを介して、センサチップが支持リードに固定されている。このような構成とすると、接着部材(第1の接着部材)として圧力を受けて変形する軟らかい接着部材を用いても、型締め時に圧力を受けてストッパとセンサチップとの間で押し広げられることによってセンサチップが引っ張られる範囲が、ストッパの対向部位上(センサチップの下面の一部)に制限される。これにより、センサチップが支持リードに直接接着固定される構成に比べて、薄肉部のダメージがさらに抑制される。また、センサチップの下面のうち、一部のみが接着部材と接触されるので、下面全面が接着部材と接触される構成に比べて、線膨張係数差に基づいて生じる応力が低減される。
請求項6〜8いずれかに記載の発明においては、請求項9に記載のように、支持リードとは別部材のストッパが、支持リードの一面上に固定された構成としても良いし、請求項10に記載のように、支持リードの一部として形成された第1の凸部をストッパとしても良い。請求項9,10に記載の発明の作用効果は、請求項2,3に記載の発明の作用効果とそれぞれ同じであるので、その記載を省略する。
請求項5〜8いずれかに記載の発明においては、請求項11に記載のように、支持リードの一面上であってセンサチップの搭載領域の近傍に、ストッパが形成された構成とすることが好ましい。このような構成とすると、支持リード上に固定されたセンサチップの上面に対するストッパの位置精度がさらに向上される。
請求項11に記載の発明においては、請求項12に記載のように、ストッパにおける支持リードとの対向面の裏面が、センサチップの上面と略面一とされた構成とすると良い。このような構成とすると、封止樹脂による成形時において用いる金型の構造が簡素化され、支持リード上に固定されたセンサチップの上面に対するストッパの位置精度がさらに向上される。また、センサチップが流量検出チップの場合には、ストッパによる乱流の発生が抑制され、流量の検出精度が向上される。
請求項5又は請求項8に記載の発明においては、請求項13に記載のように、ストッパは、センサチップを取り囲むように環状に形成された構成とすると良い。このように、センサチップの周囲にストッパが形成された構成とすると、成形時においてセンサチップが金型から受ける圧力が、部分的な偏りなく抑制される。
請求項13に記載の発明においては、請求項14に記載のように、環状のストッパがセンサチップと離れて形成され、ストッパとセンサチップの隙間のうち、封止部材によって被覆されない領域であって封止部材との境界から少なくとも一部の領域が、封止部材とは別の充填部材、又は、支持リードの一部として形成された第2の凸部によって埋められた構成としても良い。
このような構成とすると、成形時に、ストッパとセンサチップの隙間の封止部材によって被覆されない領域への封止部材の流れ込みが抑制される。これにより、使用環境での温度変化などにより、センサチップとストッパとの線膨張係数差に基づいて生じる応力の範囲が制限される。すなわち、ピエゾ抵抗効果によるセンサ特性の変動が抑制される。
また、請求項15に記載のように、環状のストッパが、封止部材によって被覆されない領域であって封止部材との境界から少なくとも一部の領域で、センサチップと接触する構成としても良い。このように、ストッパの一部にセンサチップと接触する部位が形成された構成としても、請求項14に記載の発明と同様の効果を期待することができる。
請求項5〜7いずれかに記載の発明においては、請求項16に記載のように、センサチップが、接着部材を介して支持リードに直接固定された構成としても良い。このような構成としても、上述したストッパの効果によって、薄肉部のダメージやセンサ特性の変動が抑制される。
また、請求項17に記載のように、ストッパの一部が支持リードの一面とセンサチップの下面との間に配置されてセンサチップの下面の一部と対向され、センサチップの下面の一部とストッパの対向部位が接着部材としての第1の接着部材を介して固定され、ストッパを介して、センサチップが支持リードに固定された構成としても良い。
このような構成とすると、接着部材(第1の接着部材)として圧力を受けて変形する軟らかい接着部材を用いても、型締め時に圧力を受けてストッパとセンサチップとの間で押し広げられることによってセンサチップが引っ張られる範囲が、ストッパの対向部位上(センサチップの下面の一部)に制限される。これにより、センサチップが支持リードに直接接着固定される構成に比べて、薄肉部のダメージがさらに抑制される。
また、センサチップの下面のうち、一部のみが接着部材と接触されるので、下面全面が接着部材と接触される構成に比べて、線膨張係数差に基づいて生じる応力が低減される。
請求項8又は請求項17に記載の発明においては、請求項18に記載のように、センサチップの下面におけるストッパの対向領域を除く領域の少なくとも一部と支持リードが、第1の接着部材よりも硬い第2の接着部材を介して固定された構成としても良い。
このように、支持リード上に支持されるセンサチップの下面の範囲が広い構成とすると、外力(成形時の圧力含む)に対するセンサチップの耐久性が向上される。
請求項5〜8いずれかに記載の発明は、請求項19に記載のように、検出部として薄肉部上に形成されたヒータを含む流量検出部を備えた流量検出チップをセンサチップとする構成に特に効果的である。請求項19に記載の発明の作用効果は、請求項4に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。尚、以下の実施形態においては、センサ装置として熱式流量センサを例にとり説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態に係る熱式流量センサの概略構成を示す上面視平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。図1に示す白抜き矢印は、流体の流れ方向(通常時)を示している。本実施形態に示す熱式流量センサは、例えば車両内燃機関の吸気管内に配置される。
図1〜図3に示す熱式流量センサ100は、要部として、一部が被測定流体である空気に露出されてその流量を検出する流量検出チップ10と、リードフレームの一部として構成され、流量検出チップ10を支持する支持リード31と、リードフレームの一部として構成され、流量検出チップ10と外部とを電気的に接続する外部接続リード32と、支持リード31上に形成されたストッパ50と、流量検出チップ10と外部接続リード32との接続部位を被覆する封止部材70とを備えている。
流量検出チップ10は、単結晶シリコンからなる半導体基板11に、エッチングにより空洞部12を形成することにより、空洞部12上に形成された薄い絶縁層から構成される薄肉部(メンブレン)13と、薄肉部13に形成されたヒータ14とを有している。このように、基板として半導体基板11を用いると、薄肉部13の裏面側からエッチングすることで、簡単に薄肉部13を形成することができ、後述するように、ヒータ14を高感度の流量検出部として機能させることができる。
ここで、流量検出チップ10について図4及び図5を用いてより詳細に説明する。図4は、流量検出チップの概略構成を示す平面図である。図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。なお、図4においては、便宜上、ヒータ、感温体、及び繋ぎ配線上の層間絶縁膜や保護膜を省略して図示している。また、図4に示す白抜き矢印は、流体の流れ方向(通常時)を示している。
図4及び図5に示すように、流量検出部を構成する一対のヒータ14(14a,14b)に対応して、半導体基板11に空洞部12が形成されている。この空洞部12は、半導体基板11の絶縁層15との接触面の裏面(以下、半導体基板11の下面と示す)側に、矩形状の開口部16(図4に示す矩形状の破線のうち、外側内の領域)をもって形成され、この開口面積が半導体基板11の上面側(絶縁層15との接触面側)へ行くほど縮小されて、半導体基板11の上面では、開口部16よりも小さく、半導体基板11の厚さ方向に対して垂直な方向において開口部16に含まれる矩形状の底面部17(図4に示す矩形状の破線のうち、内側内の領域)となっている。
本実施形態においては、絶縁層15としてシリコン酸化膜を採用しており、絶縁層15の一部が、上述した空洞部12の底面部17を構成している。このように、流量検出チップ10において、底面部17に相当する部位は、薄肉部13(メンブレン)となっている。そして、ヒータ14a,14bが、この薄肉部13に形成されている。薄肉部13は、流量検出部を構成する他の箇所と比べてその膜厚が薄く形成されており(例えば数μm程度)、これにより熱容量が低く抑えられ、他の箇所との熱的な絶縁が確保されている。
底面部17(薄肉部13)を構成する絶縁層15上には、ヒータ14a,14bが形成されている。ヒータ14aは、流体の流れ方向に対して上流側に配置された上流側ヒータであり、ヒータ14bは、流体の流れ方向に対して下流側に配置された下流側ヒータである。また、一対のヒータ14a,14bを挟むようにして、測温抵抗体からなる一対の感温体18a,18bが、薄肉部13よりも厚い薄肉部周辺領域であって流体の上流側と下流側にそれぞれ形成されている。この感温体18a,18bは、ヒータ14a,14bとともに流量検出部を構成している。そして、これらヒータ14a,14bや感温体18a,18bは、繋ぎ配線19を介して、ワイヤ91が接続されるパッド20と接続されている。この繋ぎ配線19が特許請求の範囲に記載の配線部に相当する。
そして、これらヒータ14a,14b、感温体18a,18b、及び繋ぎ配線19を覆うようにして、例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜21が積層され、層間絶縁膜21上に例えばシリコン窒化膜からなる保護膜22が積層されている。
このように構成される流量検出チップ10においては、ヒータ14a,14bが、電流の供給量によって発熱する機能に加えて、それ自身の抵抗値の変化に基づいて、自身の温度を感知する機能も有している。そして、上流側と下流側の各ヒータ14a,14bで生じる熱のうち、流体によって奪われる熱に基づき、流体の流量が検出される。また、上流側のヒータ14aと下流側のヒータ14bとのそれぞれに生じる熱のうち、流体によって奪われる熱量の差に基づき、流体の流通方向が検出される。さらに、上流側のヒータ14aと上流側の感温体18aとの温度差、及び、下流側のヒータ14bと下流側の感温体18bとの温度差に基づき、ヒータ14a,14bに供給される電流量が制御される。なお、このような流量検出チップ10の詳細については、本出願人による例えば特開2004−205498号公報,特開2004−241398号公報などを参照されたい。
支持リード31は、流量検出チップ10を支持するものであり、外部接続リード32とともに、金属材料からなるリードフレームの一部として構成されている。すなわち、支持リード31は、流量検出チップ10を構成する半導体基板11とは異なる材料(例えば42アロイやCuなど単結晶シリコンとは線膨張係数の異なる材料)を用いて構成されている。このように、支持リード31をリードフレームの一部として構成すると、熱式流量センサ100の構成を簡素化することができる。本実施形態において、支持リード31は、図1に破線で示すように平面矩形状であり、その大きさが流量検出チップ10よりも大きく、流量検出チップ10は、その下面(流量検出部形成面の裏面であって空洞部12の開口部16を取り囲む平面)が支持リード31と完全に対向して配置されている。そして、接着部材90を介して、支持リード31上に流量検出チップ10が固定されており、支持リード31によって流量検出チップ10の空洞部12が開口部16にて塞がれている。これにより、空洞部12が被測定流体である空気に直接晒されることがないので、乱流によるノイズを低減することができる。
ここで接着部材90は所謂ダイボンド材であり、その構成材料や形態は、流量検出チップ10を支持リード31に接着固定できるものであれば特に限定されるものではない。有機系成分のみでも良いし、有機系成分に無機系成分や金属成分を混入させたもの(例えばAgペースト)を用いても良い。本実施形態においては、接着部材90として、硬化後の状態で圧力を受けて変形する程度のヤング率(例えば1MPa程度)を有する軟らかい接着部材を採用している。詳しくは、硬化処理前の状態で予めフィルム化(シート化)された接着部材90を採用しており、流量検出チップ10の下面と支持リード31の一面(上面)との対向領域全体に接着部材90が配置されている。すなわち、流量検出チップ10の下面において、接着部材90は、空洞部12(開口部16)の周囲にも配置されており、ワイヤ91との接続部位であるパッド20に対応する領域にも配置されている。
外部接続リード32は、流量検出チップ10と外部とを電気的に接続するものであり、支持リード31とともに、金属材料からなるリードフレームの一部として構成されている。そして、本実施形態においては、例えばAuからなるワイヤ91が、超音波を用いた接合方法で外部接続リード32と流量検出チップ10のパッド20にそれぞれ接続されて、外部接続リード32と流量検出チップ10が電気的に接続されている。
ストッパ50は、モールド成形時において、流量検出チップ10が金型から受ける圧力を低減するための部材であり、一対の金型に構成されるキャビティに配置され、金型間で挟持された状態で、変形しない材料を用いて形成されている。このような材料としては、圧力を受けて変形する接着部材90(例えばヤング率1MPa程度)よりも、半導体基板11(例えばヤング率180MPa程度)に近い硬さを有する材料を採用することができる。本実施形態においては、リードフレーム(支持リード31)と同一の材料(例えばヤング率100MPa〜200MPa程度)を用いてストッパ50が形成されており、支持リード31の上面に接合されて支持リード31と一体化されている。
また、ストッパ50の形態としては、上述の機能を果たすものであれば特に限定されるものではない。本実施形態においては、図2及び図3に示すように、支持リード31の上面における流量検出チップ10の搭載領域を除く領域に接合された状態で、ストッパ50における支持リード31の上面との対向面の裏面(上面)が、流量検出チップ10の上面と略面一となっている。また、図1〜図3に示すように、流量検出チップ10を、その近傍において取り囲むように流量検出チップ10の形状(平面矩形状)に対応した環状に形成されている。すなわち、ストッパ50は流量検出チップ10に接しておらず、ストッパ50と流量検出チップ10の間には、僅かな隙間が形成されている。
封止部材70は、流量検出チップ10の流量検出部及び薄肉部13を露出させつつ流量検出チップ10と外部接続リード32との接続部位を被覆するものであり、エポキシ樹脂等の一体成形(モールド成形)可能である電気絶縁材料を用いて構成されている。本実施形態においては、封止部材70によって、ワイヤ91、ワイヤ91と流量検出チップ10(パッド20)の接続部位、及びワイヤ91と外部接続リード32との接続部位が、一体的に被覆されている。
また、本実施形態においては、封止部材70が、上述の各接続部位を被覆するパッド側端部71だけでなく、流量検出チップ10の、パッド20の形成された端部側の端面を除く残りの3つの端面(半導体基板11の側面)を取り囲むように形成された周囲部72を、パッド側端部71と一体的に有している。この周囲部72は、流量検出チップ10から離反する方向において、ストッパ50よりも外周側であって支持リード31の端部を被覆するように形成されており、支持リード31の上面における流量検出チップ10側の端部が、ストッパ50における流量検出チップ10との対向面の裏面に接している。そして、周囲部72の上面72aが、ストッパ50の上面(流量検出チップ10の上面)と略面一となっている。すなわち、流体の流れ方向において、周囲部72の上面72a、ストッパ50の上面、及び流量検出チップ10の上面が面一となっており、これにより、流量検出部上において流体がより整流された状態となる。言うなれば、流量検出チップ10上に配置されたパッド側端部71における流量検出部側の端面71aと、周囲部72の上面72a、ストッパ50の上面(及び流量検出チップ10の上面)とにより、流量検出部に対する流路が構成されている。
また、本実施形態においては、図1及び図3に示すように、支持リード31上において、ストッパ50と流量検出チップ10との間に構成される隙間のうち、封止部材70によって被覆されない領域であってパッド側端部71との境界から少なくとも一部の領域に、充填部材92が配置されて隙間が閉塞されている。この充填部材92は、モールド成形時において、パッド側端部71側から流量検出部側の隙間に封止部材70が漏れ出るのを抑制する機能を果たすものであり、例えば樹脂材料を採用することができる。本実施形態においては、図1に示すように、パッド側端部71との境界を含む一部の領域に配置されている。
次に、このように構成される熱式流量センサ100の製造方法について、図6(a)〜(c)を用いて説明する。図6は、熱式流量センサ100の製造方法を示す工程別断面図であり、(a)は接着工程終了後の状態、(b)は接続工程終了後の状態、(c)はモールド成形工程を示す図である。図6(a)〜(c)は、図2に対応している。
先ず流量検出チップ10と、支持リード31と外部接続リード32を有するリードフレーム30を準備する。そして、流量検出チップ10を、空洞部12が開口する下面を接着面としてリードフレーム30の一部である支持リード31に接着固定する。この接着固定においては、支持リード31の上面に接着部材90を配置しても良いし、流量検出チップ10の下面に接着部材90を配置しても良い。本実施形態においては、図6(a)に示すように、支持リード31の上面にフィルム状(シート状)の接着部材90を配置する。そして、支持リード31上に配置した接着部材90に下面が接するように、流量検出チップ10を接着部材90上に配置し、この状態で接着部材90の硬化処理を行う。これにより、接着部材90を介して、流量検出チップ10が支持リード31に固定され、支持リード31上に流量検出チップ10が積層された積層体が形成される。すなわち、流量検出チップ10における空洞部12が、支持リード31によって塞がれた構造となる。
そして、接着後、環状のストッパ50を、流量検出チップ10を取り囲むように支持リード31の上面に固定(接合)する。この接合状態で、ストッパ50の上面と、流量検出チップ10の上面が略面一となる。また、図示しないが、本実施形態においては、ストッパ50の接合後、ストッパ50と流量検出チップ10との間の隙間の一部に、隙間への封止部材70の流れ込みを抑制するために、充填部材92(図1,図3参照)を配置する。
次に、図6(b)に示すように、流量検出チップ10のパッド20(図1,図4参照)と外部接続リード32とを、ワイヤボンディングによって電気的に接続する。本実施形態においては、Auからなるワイヤ91を、超音波を用いた接合方法を用いて、外部接続リード32と流量検出チップ10のパッド20にそれぞれ接続する。ここで、超音波を用いて接合する場合、流量検出チップ10が固定されていないと、流量検出チップ10がフリーであるため、超音波振動が逃げて良好な接合状態を形成することができない。しかしながら、本実施形態においては、流量検出チップ10を支持リード31に接着固定した状態で、ワイヤボンディングを実施するので、良好な接合状態を形成することができる。また、流量検出チップ10の下面におけるパッド形成領域に対応する領域と該領域に対向する支持リード31の上面とを接着固定した状態で、ワイヤボンディングを実施するので、さらに良好な接合状態を形成することができる。これにより、図6(b)に示すように、流量検出チップ10(パッド20)と外部接続リード32とが、ワイヤ91を介して電気的に接続された構造となる。
次に、ワイヤボンディング後の積層体を、金型93,94に構成されるキャビティに配置し、型締めした状態で、溶融された封止部材をキャビティ内に射出して一体モールド成形する。これにより、図6(c)に示すように、積層体が、薄肉部13を含む流量検出部が露出され、ワイヤ91、ワイヤ91と流量検出チップ10(パッド20)の接続部位、及びワイヤ91と外部接続リード32との接続部位が、封止部材70によって一体的に被覆された状態となる。
詳しくは、図6(c)に示すように、流量検出チップ10の上面に接する上型93のキャビティ構成面のうち、流量検出チップ10の上面と接する部位93aとストッパ50の上面に接する部位93bとが略面一となるように、上型93が構成されている。したがって、上型93のキャビティ構成面の一部93a,93bと下型94のキャビティ構成面の一部94aとで積層体を挟持した状態(型締め状態)で、上型93のキャビティ構成面の一部である部位93aが流量検出チップ10の上面と接触し、キャビティ構成面の一部である部位93bがストッパ50の上面と接触する。また、2つの部位93a,93bの間の部位であって薄肉部13に対向する部位には凹部93cが形成されており、これにより、型締め状態でも上型93が薄肉部13に接触しないようになっている。
また、本実施形態においては、支持リード31上におけるストッパ50と流量検出チップ10との間の隙間のうち、封止部材70におけるパッド側端部71との境界となる部分を含む一部の領域に充填部材92を配置することで、隙間の一部を閉塞状態としている。したがって、隙間における充填部材92よりも流量検出部側の部分に封止部材70が流れ込むことはない。
また、本実施形態においては、支持リード31と外部接続リード32がリードフレーム30の一部として構成されている。したがって、流量検出チップ10を含めて、お互いの位置精度を向上することができる。また、ワイヤボンディング工程及びモールド成形工程を簡素化することができる。
成形工程後、封止部材70のキュアを経て、リードフレーム30の不要部分を除去する。これにより、支持リード31と外部接続リード32とが、電気的に分離された状態となる。そして、図1〜図3に示す熱式流量センサ100が形成される。
次に、このように構成される熱式流量センサ100の効果について説明する。
支持リード31上に流量検出チップ10が配置される構成において、流量検出チップ10を支持リード31に固定するための接着部材として、軟らかい接着部材(硬化後において加圧により変形するもの、例えばヤング率が1MPa程度)を用いる場合、モールド成形時に、型締めした際の圧力で薄肉部13がダメージを受け、場合によっては破損することとなる。これは、モールド成形時に、流量検出チップ10と支持リード31との間で硬化後の接着部材が押し広げられ、接着部材の変形とともに接着部材に隣接する流量検出チップ10が引っ張られて半導体基板11に応力が生じ、この応力が剛性の低い薄肉部13に集中することによって生じるものと考えられる。
これに対し、本実施形態では、金型93,94間で挟持されても変形しない硬さを有するストッパ50を、金型93,94によって構成されるキャビティ内に配置し、上型93が流量検出チップ10の上面に接触しつつ下型94との間でストッパ50を挟持した状態で射出成形を行う。したがって、上型93が流量検出チップ10の上面に接触した状態からさらに流量検出チップ10を下型94側に押圧するのを、ストッパ50によって抑制することができる。換言すれば、ストッパ50と流量検出チップ10とで、金型93,94から受ける圧力を分散させることができる。これにより、圧力を受けて変形する程度のヤング率(例えば1MPa程度)を有する軟らかい接着部材90を用いても、型締め時における接着部材90の変形量を低減し、ひいては接着部材90の変形に伴って変形する流量検出チップ10の変形量を低減することができる。そして、薄肉部13への応力の集中を抑制する(薄肉部13の受けるダメージを抑制する)ことができる。
また、支持リード31上に流量検出チップ10が配置される構成の場合、流量検出チップ10を構成する半導体基板11と支持リード31とは線膨張係数が異なるため、使用環境などでの温度変化により、線膨張係数差に基づく応力が生じることとなる。このような応力が、剛性の低い薄肉部13に作用すると、ピエゾ抵抗効果により抵抗値変化が生じ、狙い値に対してセンサ特性が変動することとなる。また、応力がクリープによって徐々に緩和されると、抵抗値が変化してセンサ特性が変動することとなる。特に空洞部12の周囲領域は薄肉部13との距離が短いので、空洞部12の周囲領域で生じる膨張係数差に基づく応力は、薄肉部13、ひいてはセンサ特性の変動に大きな影響を与えることとなる。
これに対し、本実施形態では、ストッパ50によって、薄肉部13の受けるダメージを抑制することができるので、接着部材90として、圧力を受けて変形する軟らかい接着部材を採用することができる。したがって、使用環境での温度変化などにより、流量検出チップ10を構成する半導体基板11と支持リード31との線膨張係数差に基づいて応力が生じても、軟らかい接着部材90によって応力を低減(緩和)することができる。すなわち、線膨張係数差に基づいて流量検出チップ10の薄肉部13に作用する応力を低減でき、ひいてはピエゾ抵抗効果によるセンサ特性の変動を抑制することができる。
このように、本実施形態に係る製造方法によれば、流量検出チップ10と外部接続リード32との電気的な接続状態を確保しつつ、薄肉部13のダメージやセンサ特性の変動を抑制することができる。また、この製造方法を用いて形成された熱式流量センサ100は、流量検出チップ10と外部接続リード32との電気的な接続状態が確保され、薄肉部13の受けるダメージやセンサ特性の変動が抑制されたセンサ装置となっている。
なお、本実施形態においては、同一の支持リード31に対して流量検出チップ10とストッパ50を固定する。したがって、流量検出チップ10の上面に対するストッパ50の上面の位置精度を向上することができる。すなわち、金型93,94から受ける流量検出チップ10の圧力のばらつきを低減することができる。また、成形工程の前に流量検出チップ10に対してストッパ50を位置決め固定しておくので、成形時にストッパ50をキャビティ内の所定位置に位置決め固定する構造が不要であり、型構造を簡素化することができる。
また、本実施形態においては、支持リード31の上面における流量検出チップ10の搭載領域の近傍にストッパ50を形成する。したがって、支持リード31上に固定された流量検出チップ10の上面に対するストッパ50の上面の位置精度をより向上することができる。
また、本実施形態においては、ストッパ50の上面を、流量検出チップ10の上面と略面一とする。したがって、流量検出チップ10の上面と接する側の金型93の構造を簡素化することができる。これにより、流量検出チップ10の上面に対するストッパ50の上面の位置精度をさらに向上することができる。また、形成された熱式流量センサ100において、ストッパ50による乱流の発生が抑制され、流量の検出精度が向上される。
また、本実施形態においては、ストッパ50の形状を、流量検出チップ10の周囲を取り囲む環状とする。したがって、成形時において流量検出チップ10が金型93,94から受ける圧力を、部分的な偏りなく低減することができる。また、ストッパ50が1つの部材のみであるので、支持リード31上に位置決め固定しやすい。
また、本実施形態においては、環状のストッパ50と流量検出チップ10との隙間のうち、少なくともパッド側端部71との境界からの一部領域に充填部材92を配置する。したがって、充填部材92によって、隙間における封止部材70によって被覆されない領域に封止部材70が流れ込むのを抑制することができる。そして、隙間に配置される封止部材70の範囲を制限することで、使用環境での温度変化などにより、流量検出チップ10を構成する半導体基板11とストッパ50との線膨張係数差に基づいて生じる応力の範囲を制限することができる。すなわち、ピエゾ抵抗効果によるセンサ特性の変動を抑制することができる。
なお、隙間における封止部材70によって被覆されない領域に封止部材70が流れ込むのを抑制する構造としては、充填部材92の配置に限定されるものではない。それ以外にも、例えば図7に示すように、支持リード31の上面から突出する凸部31aによって、環状のストッパ50と流量検出チップ10との隙間のうち、少なくともパッド側端部71との境界からの一部領域を埋める(閉塞する)構造としても良い。このような凸部31aは、エッチングなどによって形成することができる。また、図8に示すように、ストッパ50の一部に凸部50aを形成し、この凸部50aによって、環状のストッパ50と流量検出チップ10との隙間のうち、少なくともパッド側端部71との境界からの一部領域を埋める(閉塞する)構造としても良い。図7,図8は、ともに変形例を示す断面図であり、図3に対応している。
また、本実施形態においては、成形前の状態で、ストッパ50の上面を流量検出チップ10の上面と略面一とする例を示した。しかしながら、成形前の状態で、図9(a)に示すように、支持リード31の上面を基準としてストッパ50の上面が流量検出チップ10の上面よりも若干低くなるように、ストッパ50を支持リード31の上面に固定しても良い。この場合、成形時において、図9(b)に示すように、互いに略面一とされた上型93のキャビティ構成面の一部93a,93bのうち、流量検出チップ10に対応する部位93aが先に流量検出チップ10の上面に接触する。そして、接着部材90を変形させながら流量検出チップ10をある程度支持リード31側に押し込んだ状態で、ストッパ50に対応する部位93bがストッパ50の上面に接触し、ストッパ50が金型93,94の間で挟持状態となる。したがって、流量検出チップ10の上面とストッパ50の上面との位置ばらつきを低減することができる。これにより、熱式流量センサ100において、ストッパ50による乱流の発生を抑制することができる。図9は、製造方法の変形例を示す断面図であり、(a)は成形工程の前、(b)は成形工程を示している。なお、成形前の状態における流量検出チップ10の上面とストッパ50の上面との差は、成形時に薄肉部13が少なくとも破損しない程度とすることが好ましい。
また、本実施形態においては、流量検出チップ10を支持リード31に固定した後に、ストッパ50を支持リード31の上面に固定する例を示した。しかしながら、支持リード31に対するストッパ50の固定は、成形工程の前までに実施すれば良い。例えば流量検出チップ10を支持リード31に固定する前に実施しても良い。
また、本実施形態においては、支持リード31にストッパ50を固定した後であって接続工程の前に、充填部材92を配置する例を示した。しかしながら、充填部材92の配置も、成形工程の前までに実施すれば良い。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は、第2実施形態に係る熱式流量センサの概略構成を示す平面図であり、第1実施形態に示した図1に対応している。
第2実施形態に係る熱式流量センサ及びその製造方法は、第1実施形態に示した熱式流量センサ100及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態においては、流量検出チップ10の周囲を取り囲むように、ストッパ50を環状とする例を示した。これに対し、本実施形態においては、支持リード31の上面において、複数のストッパ50が固定されている点を特徴とする。
例えば図10に示す例においては、平面矩形状の流量検出チップ10(半導体基板11)に対し、パッド20が形成された端部を除く3つの端部のそれぞれに対応して、ストッパ50が固定されている。すなわち、3つのストッパ50が、互いに独立して(離間して)支持リード31の上面に固定されている。そして、各ストッパ50と流量検出チップ10との間の隙間には封止部材70が配置され、流体の流れ方向において、熱式流量センサ100の端部から流量検出部までの間において、周囲部72の上面72a、ストッパ50の上面、周囲部72の上面72a、流量検出チップ10の上面が略面一となっている。すなわち、本実施形態においては、ストッパ50が複数である点を除けば、第1実施形態に示したストッパ50と同じである。また、それ以外の構成についても、隙間が封止部材70によって埋められている点を除けば、第1実施形態に示した構成と同じである。
なお、このような構成の熱式流量センサ100は、第1実施形態に示した製造方法を用いて形成することができる。
このように本実施形態に係る熱式流量センサ100の製造方法によっても、流量検出チップ10と外部接続リード32との電気的な接続状態を確保しつつ、薄肉部13のダメージやセンサ特性の変動を抑制することができる。また、この製造方法を用いて形成された熱式流量センサ100は、流量検出チップ10と外部接続リード32との電気的な接続状態が確保され、薄肉部13の受けるダメージやセンサ特性の変動が抑制されたセンサ装置となっている。
また、本実施形態においては、複数のストッパ50を分散して配置している。したがって、成形時において流量検出チップ10が金型93,94から受ける圧力を、部分的な偏りなく低減することができる。
なお、本実施形態においては、各ストッパ50と流量検出チップ10との間の隙間には封止部材70が配置される例を示した。しかしながら、第1実施形態に示した充填部材92の配置などによって、隙間に封止部材70が配置されない構成とすることもできる。このような構成とすると、使用環境での温度変化などにより、流量検出チップ10を構成する半導体基板11とストッパ50との線膨張係数差に基づいて生じる応力の範囲を制限することができる。すなわち、ピエゾ抵抗効果によるセンサ特性の変動を抑制することができる。
また、本実施形態においては、3つのストッパ50が支持リード31の上面に固定される例を示した。しかしながら、ストッパ50の個数は3つに限定されるものではない。また、複数のストッパ50の配置も、上述の例に限定されるものではない。
また、本実施形態においては、第1実施形態に示した構成において、複数のストッパ50を適用する例を示した。しかしながら、第1実施形態に示した変形例に対しても、複数のストッパ50を適用することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図11に基づいて説明する。図11は、第3実施形態に係る熱式流量センサの概略構成を示す断面図であり、第1実施形態に示した図2に対応している。
第3実施形態に係る熱式流量センサ及びその製造方法は、上述の実施形態に示した熱式流量センサ100及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上述の実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態においては、別部材としてのストッパ50が、支持リード31に固定される例を示した。これに対し、本実施形態においては、支持リード31の一部として、上面から突出する凸状のストッパ31bが、上述した実施形態のストッパ50としての機能を果たす点を特徴とする。なお、ストッパ31bは、特許請求の範囲に記載の第1の凸部に相当するものであり、支持リード31の一部として形成されている点を除けば、第1実施形態に示したストッパ50と同じである。また、それ以外の構成についても、第1実施形態に示した構成と同じである。
なお、このような構成の熱式流量センサ100を製造する場合、リードフレーム30を準備する工程において、支持リード31の一部としてストッパ31bを形成すれば良い。その他の工程は、第1実施形態に示した製造方法と同じである。
このように本実施形態に係る熱式流量センサ100の製造方法及び熱式流量センサ100によれば、第1実施形態に示した熱式流量センサ100の製造方法及び熱式流量センサ100と同様の効果を期待することができる。
また、本実施形態においては、支持リード31の一部としてストッパ31bを形成する。したがって、支持リード31に固定された流量検出チップ10の上面に対するストッパ31bの上面の位置精度を、別部材としてのストッパ50よりも向上することができる。すなわち、金型93,94から受ける流量検出チップ10の圧力のばらつきをさらに低減することができる。また、ストッパ31bが支持リード31の一部であるので、固定工程を不要とすることができる。また、ストッパ31bが支持リード31の一部であるので、成形時にストッパ31bを位置決め固定しなくても良く、型構造を簡素化することができる。
なお、本実施形態においては、第1実施形態に示した構成に対し、支持リード31の一部としてのストッパ31bを適用する例を示した。しかしながら、第1実施形態に示した変形例や第2実施形態に示した構成に対し、ストッパ31bを適用することもできる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図12に基づいて説明する。図12は、第4実施形態に係る熱式流量センサの製造工程のうち、成形工程を示す断面図であり、第1実施形態に示した図6(c)に対応している。
第4実施形態に係る熱式流量センサの製造方法は、上述の実施形態に示した熱式流量センサ100の製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上述の実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
上述した実施形態においては、支持リード31上に別部材としてのストッパ50や支持リード31の一部としてのストッパ31bが形成される例を示した。これに対し、本実施形態においては、図12に示すように、成形工程で用いる一対の金型93,94のうち、上型93に、キャビティを構成する一部93bから下型94に向けて突出する凸状のストッパ93dが形成されている。そして、このストッパ93dが、流量検出チップ10の上面に上型93におけるキャビティを構成する一部93aが接触した時点で、下型94のキャビティを構成する一部94aと、支持リード31を介して接触するようになっている点を特徴とする。なお、ストッパ93dは、金型93の一部として形成されている点を除けば、第2実施形態に示したストッパ50と同じである。また、それ以外の構成についても、第2実施形態に示した構成と同じである。
このように本実施形態に係る熱式流量センサ100の製造方法によれば、流量検出チップ10と外部接続リード32との電気的な接続状態を確保しつつ、薄肉部13のダメージやセンサ特性の変動を抑制することができる。また、この製造方法を用いて形成された熱式流量センサ100は、流量検出チップ10と外部接続リード32との電気的な接続状態が確保され、薄肉部13の受けるダメージやセンサ特性の変動が抑制されたセンサ装置となっている。
また、本実施形態によれば、第2実施形態に示したストッパ50のように、複数のストッパ93dが互いに離間して形成されている。したがって、成形時において流量検出チップ10が金型93,94から受ける圧力を、部分的な偏りなく低減することができる。なお、本実施形態に示す製造方法によれば、金型93の一部としてストッパ93dを設けているので、ワイヤ91を跨ぐように、ストッパ93dを環状とすることはできない。
また、本実施形態においては、金型93のみにストッパ93dが形成される例を示した。しかしながら、一対の金型93,94の少なくとも一方にストッパが形成されれば良い。例えば、金型93,94の対向部位にそれぞれ凸状のストッパが形成され、流量検出チップ10の上面に上型93におけるキャビティを構成する一部93aが接触した時点で、ストッパ同士の先端が接触する構成としても良い。また、下型94のみに凸状のストッパが形成され、流量検出チップ10の上面に上型93におけるキャビティを構成する一部93aが接触した時点で、ストッパが上型93の対向部位と接触する構成としても良い。
なお、本実施形態においては、第2実施形態に示した構成に対し、金型93の一部としてのストッパ93dを適用する例を示した。しかしながら、第2実施形態に示したストッパ50を第1実施形態の変形例の変形例に適用した構成に対しても、本実施形態に示すストッパ93dを適用することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図13及び図14に基づいて説明する。図13は、第5実施形態に係る熱式流量センサの概略構成を示す断面図である。図14は、熱式流量センサの製造工程のうち、成形工程を示す断面図である。なお、図13は、第1実施形態に示した図2に対応し、図14は、第1実施形態に示した図6(c)に対応している。
第5実施形態に係る熱式流量センサ及びその製造方法は、上述の実施形態に示した熱式流量センサ100及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上述の実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
上述した実施形態においては、流量検出チップ10が、接着部材90を介して支持リード31に直接固定される例を示した。これに対し、本実施形態においては、例えば図13に示すように、支持リード31とは別部材としてのストッパ50の一部が、支持リード31の上面と流量検出チップ10の下面との対向領域間の一部に配置(すなわち、流量検出チップ10の下面の一部と対向)されている。そして、流量検出チップ10の下面の一部とストッパ50の対向部位50bが接着部材90を介して固定され、ストッパ50の対向部位50bを介して、流量検出チップ10が支持リード31に固定されている点を特徴とする。なお、接着部材90が特許請求の範囲に記載の第1の接着部材に相当する。本実施形態においては、ストッパ50が流量検出チップ10の下面との対向部位50bを有する点を除けば、第1実施形態に示したストッパ50と同じである。また、それ以外の構成についても、第1実施形態に示した構成と同じである。
なお、本実施形態においては、ストッパ50の対向部位50bが流量検出チップ10の下面における周縁部と対向しており、対向部位50bが環状となっている。そして、流量検出チップ10、接着部材90、ストッパ50の対向部位50b、及び支持リード31の上面にて内部空間95が構成され、空洞部12も内部空間95の一部として外気と遮断されている。
このような構成の熱式流量センサ100は、接着工程において、支持リード31上にストッパ50を固定した後に、流量検出チップ10の下面又はストッパ50の対向部位50bに接着部材90を配置し、ストッパ50の対向部位50bを介して、流量検出チップ10を支持リード31上に固定することで形成することができる。それ以外の製造工程については、第1実施形態に示した製造方法と同じである。
このように本実施形態に係る熱式流量センサ100及びその製造方法よれば、第1実施形態に示した熱式流量センサ100の製造方法及び熱式流量センサ100と同様の効果を期待することができる。
また、本実施形態においては、ストッパ50の対向部位50bが流量検出チップ10の下面の一部のみと対向している。したがって、図14に示すように、成形時に金型93,94からの圧力を受けて、接着部材90がストッパ50の対向部位50bと流量検出チップ10との間で押し広げられても、流量検出チップ10の外周側には流量検出チップ10の下面が存在しないため、流量検出チップ10が引っ張られない。また、内部空間95側にはストッパ50の対向部位50bが存在せず、内部空間95が存在するので、接着部材90が支持リード31側に垂れて流量検出チップ10が引っ張られない。これに対し、流量検出チップ10が支持リード31に直接接着固定される場合、押し広げられた接着部材90が、流量検出チップ10の下面と接触する。このように、流量検出チップ10が引っ張られる範囲が、ストッパ50の対向部位50b上に制限されるので、流量検出チップ10が支持リード31に直接接着固定される構成に比べて、薄肉部13のダメージをさらに抑制することができる。
また、流量検出チップ10の下面のうち、一部のみが接着部材90と接触されるので、下面全面が接着部材90と接触される構成に比べて、流量検出チップ10を構成する半導体基板11とストッパ50との線膨張係数差に基づいて生じる応力を低減することができる。
なお、本実施形態においては、内部空間95には、接着部材が配置されない例を示した。これに対し、例えば図15に示すように、流量検出チップ10の下面におけるストッパ5との対向領域を除く領域の少なくとも一部と支持リード31の上面とが、接着部材90よりも硬い接着部材96を介して固定された構成としても良い。接着部材96は、請求の範囲に記載の第2の接着部材に相当するものであり、硬化後のヤング率が接着部材90よりも大きいものを採用することができる。例えば、接着部材96として、圧力によってほとんど変形しない程度の硬い接着部材(例えばヤング率1GPa程度)を採用すると、支持リード31上に接着部材96を介して支持される領域の分、流量検出チップ10が支持リード31に支持される領域が増す。したがって、接着部材96が配置されない構成に比べて、外力(成形時の圧力含む)に対する流量検出チップ10の耐久性を向上することができる。図15は、変形例を示す断面図である。なお、図15においては、接着部材96が、ストッパ50の対向部位50bに隣接して配置されているが、対向部位50bとは離れて接着部材96が配置された構成としても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態においては、流量検出チップ10を構成する基板が、シリコンからなる半導体基板11である例を示した。このように半導体基板11を用いると、一般的な半導体製造技術により、半導体基板に容易に空洞部12及び薄肉部13を形成することができる。すなわち、熱式流量センサ100を低コストで製造することができる。しかしながら、半導体基板はシリコン基板に限定されるものではない。また、基板も半導体基板に限定されず、支持リード31との線膨張係数に差のある部材(例えばガラス)を採用することができる。
本実施形態においては、センサ装置の一例として熱式流量センサ100を取り上げた。これは、薄肉部13の厚さが数μm程度と非常に薄いため、成形時に薄肉部13がダメージを受け易く、また、ピエゾ抵抗効果によってセンサ特性が変動しやすいからである。しかしながら、センサ装置としては熱式流量センサ100に限定されるものではない。例えば熱式流量センサ100以外にも、基板の空洞部上に薄肉部が形成され、この薄肉部に検出部の抵抗体が配置された構造のセンサ(例えばサーモパイル式の赤外線センサ、湿度センサ、圧力センサ等)であれば適用することができる。
本実施形態においては、封止部材70が、パッド側端部71以外に周囲部72を有する例を示した。しかしながら、封止部材70の形態は、上記例に限定されるものではない。例えばパッド側端部71のみを有する構成としても良い。
本実施形態においては、流量検出チップ10のパッド20と外部接続リード32が、ワイヤ91を介して電気的に接続される例を示した。しかしながら、流量検出チップ10と外部接続リード32との接続はワイヤボンディングに限定されるものではない。例えば、支持リード31及び外部接続リード32(リードフレーム30)としてプリント基板を採用する場合には、バンプ等によって接続された構成としても良い。
本実施形態においては、流量検出チップ10と外部接続リード32が、ワイヤ91を介して直接的に接続される例を示した。しかしながら、流量検出部の入出力を制御する回路が形成された回路チップを介して、流量検出チップ10と外部接続リード32が電気的に接続された構成としても良い。この場合、流量検出チップと回路チップとの接続部、及び、回路チップと外部接続リードとの接続部が、封止部材70によって被覆された構造となる。このように、回路チップを含む構成に対しても、回路チップを含まない構成同様乃至それに準ずる効果を期待することができる。
本実施形態においては、一対の金型93,94のうち、上型93が凹部93cを有する例を示した。しかしながら、ストッパ50,31b,93dの効果があるので、上型93を凹部93cのない構造としても良い。
本実施形態においては、支持リード31上に別部材としてのストッパ50を形成する例を示した。しかしながら、例えば図16に示すように、流量検出チップ10の上面に上型93におけるキャビティを構成する一部93aが接触した時点で、上型93のキャビティ構成面の一部と下型94のキャビティ構成面の一部とによって、支持リード31とは別部材であるストッパ51を直接的に挟持するようにしても良い。このようにストッパ51が支持リード31上に形成されない構成としても、上述した実施形態と同様乃至それに準ずる効果を期待することができる。なお、図16に示す製造方法を用いて形成された熱式流量センサ100においては、ストッパ51の上面と下面が露出され、側面の少なくとも一部が封止部材70と接して、封止部材70にストッパ51が保持された構造となる。図16は、製造方法のその他変形例を示す断面図であり、成形工程を示している。