JP2006217188A - 薄膜圧電共振器及びその製造方法 - Google Patents

薄膜圧電共振器及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 薄膜圧電体の結晶性を向上することができるとともに、微細加工を簡易に実現することができる薄膜圧電共振器の製造方法を提供する。更に、高周波数化を実施することができるとともに、小型化を実現することができる薄膜圧電共振器を提供する。
【解決手段】 薄膜圧電共振器1の製造方法において、基板2上に第1の電極層を形成する工程と、第1の電極層上に第1の圧電体層を形成する工程と、第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体61を形成し、第1の電極層をパターンニングして第1の電極5を形成する工程と、第1の圧電体61の表面をクリーニングする工程と、第1の圧電体61のクリーニングされた表面上に第2の圧電体63を形成し、圧電体6を形成する工程と、圧電体6上に第2の電極82を形成する工程とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄膜圧電共振器及びその製造方法に関し、特に圧電体薄膜の厚み方向の縦振動を利用する薄膜圧電共振器及びその製造方法に関する。
移動体通信機或いはその内部の高周波発振器(Voltage Controlled Oscillator:以下、単に「VCO」という。)を構築する高周波フィルタ(RF)や中間周波数(IF)フィルタには、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、単に「SAW」という。)素子が使用されている。SAW素子の共振周波数は櫛型電極間距離に反比例するという関係があり、1GHzを超える周波数領域において櫛型電極間距離は1μm以下になる。このため、利用周波数の高周波数化への対応がSAW素子においては難しくなる傾向にある。
SAW素子に代わり、近年注目を集めている共振器として、薄膜圧電体の膜厚方向の縦振動モードを利用した薄膜圧電共振器がある。この薄膜圧電共振器はFBRA(Film Bulk Acoustic Resonator)或いはBAW(Bulk Acoustic Wave)素子等とも称せられている。この薄膜圧電共振器において、共振周波数は薄膜圧電体の音速及び膜厚によって定まる。通常、薄膜圧電体の膜厚が1μm〜2μmの場合に2GHzの共振周波数が得られ、薄膜圧電体の膜厚が0.4μm〜0.8μmの場合に5GHzの共振周波数が得られるので、近年の成膜技術においては数十GHzまでの高周波数化を実現することができる。更に、下記非特許文献1の例えば図1(a)には、この種の薄膜圧電共振器を組み込み可能な、小型化に適したラダーフィルタの回路構成が開示されている。
一方、下記特許文献1には、現在、最も代表的な薄膜圧電共振器の構造並びにその製造方法が開示されており、この薄膜圧電共振器の製造方法は以下の通りである。まず、シリコン(Si)基板表面に異方性エッチングを利用して窪みを形成し、引き続き基板上に犠牲層を形成する。犠牲層には、例えばホウ素及びリンをドープしたシリケートガラス(BPSG)層が使用されている。その後、Si基板面が露出するまで犠牲層の表面を研磨し、犠牲層の表面が平坦化される。この結果、Si基板に予め形成した窪みには犠牲層を埋め込み、その周辺にはSi基板表面を露出することができる。引き続き、犠牲層上に下部電極、圧電体膜、上部電極のそれぞれが順次成膜される。その後、犠牲層に達するまで穴が穿けられ、この穴を通じて犠牲層を選択エッチングにより除去することによって、Si基板と下部電極との間に予め形成した窪みに相当する空洞を形成する。これら一連の製造工程が終了すると、薄膜圧電共振器が完成する。
このような製造方法により製造される薄膜圧電共振器の圧電体膜には、窒化アルミニウム(AlN)或いは酸化亜鉛(ZnO)等の圧電結晶膜を使用することが多い。下記非特許文献2には、薄膜圧電共振器(FBAR)において、AlN圧電結晶膜のc軸配向半値幅と電気機械結合係数との間に強い相関を示すことが論じられている。
圧電結晶膜の配向性を上げる1つの方法は、基板上にAlN圧電結晶膜をエピタキシャル成長させる方法である。下記特許文献2には、AlN圧電結晶膜をエピタキシャル成長させ、このAlN圧電結晶膜により薄膜圧電共振器を製造する製造方法が開示されている。この製造方法によれば、表面に(111)結晶配向を有するSi基板上にAlN圧電結晶膜を(0001)結晶方位においてエピタキシャル成長させることができる。
更に、同特許文献2には、エピタキシャル成長させたAlN圧電結晶膜上に上部電極を形成し、引き続きSi基板にその裏面からAlN圧電結晶膜が露出されるまで異方性エッチングを行いビアホールを形成し、AlN圧電結晶膜の露出された表面にビアホールを通して下部電極を形成する製造方法が開示されている。このような製造方法によれば、AlN圧電結晶膜の上面及び下面の双方が空気層に接する薄膜圧電共振器を製作することができる。
なお、ビアホールの形成方法としては、例えば下記非特許文献3に開示されたシリコンディープリアクティブイオンエッチング(Si-Deep-RIE(Reactive Ion Etching))法を使用することができる。このエッチング方法によれば、Si基板裏面に対してほぼ垂直方向にビアホールを形成することができる。
特開2000−69594号公報 特開2001−94373号公報 IEEE TRANSECTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL. 43、 NO.12、p.2933、DECEMBER 1995. Rajan S. Nik 他、"Measurements of Bulk、C-Axis Electromechanical Coupling Constant as a Function of AlN Film Quality"、IEEE TRNSACTIONS ON ULTRASONICS、FEROELECTRICS、AND FREQUENCY CONTROL、p292-296、VOL.47、NO.1、JANUARY 2000. M. J. Walker、"Comparison of Bosh and cryogenic process for patterning high aspect ratio feature in silicon" Proc. SPIE Vol.4407、2001、p.89-99.
前述の特許文献2に開示された薄膜圧電共振器においては、エピタキシャル成長により圧電結晶膜の配向性を上げることができるが、下記の点について配慮がなされていなかった。薄膜圧電共振器においては、Si基板上に圧電結晶膜、上部電極のそれぞれを順次形成した後に、Si基板裏面にビアホールを形成し、このビアホールを通して下部電極が形成されている。ビアホールの形成には前述の非特許文献3に開示されているエッチング方法を使用することにより、Si基板裏面に対してビアホール内壁がほぼ垂直になる、理想的な形状においてビアホールを形成することができる。従って、薄膜圧電共振器の小型化を実現することができる。しかしながら、Si基板裏面からビアホール内壁への急峻な段差形状部分に下部電極層を成膜し、更にこの成膜された下部電極層を急峻な段差形状部分並びにビアホール内においてパターンニングし下部電極を形成することは、製造プロセス上極めて困難である。
一方、下部電極の製造プロセスを容易に実現するためには、ビアホールの内壁の角度を、Si基板表面から裏面に向かって広がるように大きくする方法が有効である。具体的には、例えば沸酸を含む強酸中、又は水酸化カリウム(KOH)、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等の強アルカリ溶液を使用したSi基板裏面の異方性エッチングを行うことにより、ビアホール内壁の角度を大きくすることができる。しかしながら、ビアホール径の実効的増大になり、ビアホールの占有面積が大きくなるので、薄膜圧電共振器の小型化を実現することができない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、薄膜圧電体の結晶性を向上することができるとともに、微細加工を簡易に実現することができる薄膜圧電共振器の製造方法を提供することである。
更に、本発明の目的は、高周波数化を実施することができるとともに、小型化を実現することができる薄膜圧電共振器を提供することである。
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、薄膜圧電共振器の製造方法において、基板上に第1の電極層を形成する工程と、第1の電極層上に第1の圧電体層を形成する工程と、第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体を形成し、第1の電極層をパターンニングして第1の電極を形成する工程と、第1の圧電体の表面をクリーニングする工程と、第1の圧電体のクリーニングされた表面上に第2の圧電体を形成し、第1の圧電体上に第2の圧電体を積層した圧電体を形成する工程と、圧電体上に第2の電極を形成する工程とを備えたことである。
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、薄膜圧電共振器において、基板と、基板上の第1の電極と、第1の電極上に配設されこの第1の電極上面形状と同一の下面形状を有する第1の圧電体及びこの第1の圧電体上に積層された第2の圧電体を備えた圧電体と、圧電体上の第2の電極とを備えたことである。
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、薄膜圧電共振器において、基板と、基板上のタンタルアルミニウム下地層と、タンタルアルミニウム下地層上のアルミニウムを主成分とする第1の電極と、第1の電極上の第1の窒化アルミニウム圧電体及びこの第1の窒化アルミニウム圧電体上の第2の窒化アルミニウム圧電体を備えた圧電体と、圧電体上の第2の電極とを備えたことである。
本発明によれば、薄膜圧電体の結晶性を向上することができるとともに、微細加工を簡易に実現することができる薄膜圧電共振器の製造方法を提供することができる。
更に、本発明によれば、高周波数化を実施することができるとともに、小型化を実現することができる薄膜圧電共振器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
[薄膜圧電共振器の構造]
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1は、基板2と、基板2上の第1の電極(下部電極)5と、第1の電極5上に配設されこの第1の電極5上面形状と同一の下面形状を有する第1の圧電体61及びこの第1の圧電体61上の第2の圧電体63を備えた圧電体(圧電体結晶薄膜)6と、圧電体6上の第2の電極82とを備えている。更に、薄膜圧電共振器1は、基板2上の絶縁体3と、絶縁体3と第1の電極5との間に配設された下地層4と、第1の電極5の一部(側面の一部)に電気的に接続された引出電極81と、圧電体6の側面の一部と第2の電極82との間に配設された絶縁性を有するスペーサ7と、圧電体6下において基板2及び絶縁体3を貫通し下地層4の裏面を露出する穴(ビアホール)9とを備えている。
薄膜圧電共振器1の性能は、電気機械結合係数kt2と、品質係数Q値とによって表すことができる。電気機械結合係数kt2が大きいほど広帯域のフィルタ及び発振周波数の可変範囲の大きいVCOを構成することができる。電気機械結合係数kt2を上げるには、結晶固有の電気機械結合係数kt2の大きい圧電体6を使用し、かつ結晶の分極軸を膜の厚み方向に揃えることが有効である。また、Q値は、薄膜圧電共振器1の発振の鋭さに関連しており、フィルタを構築したときは挿入損失やスカート特性に影響し、VCO回路に適用した場合は位相雑音に影響を与える。弾性波を吸収するような多様な現象がQ値の変動に関係しており、圧電体6の結晶純度を高め、圧電体6の結晶方位を揃え、又分極方向の揃った圧電体6を使用することによって大きなQ値を得ることができる。
圧電体6には、AlN又はZnO等の六方晶系結晶構造を有する圧電結晶薄膜を実用的に使用することができる。六方晶系結晶構造を有する圧電結晶薄膜は、本来c軸配向し易い性質を有し、分極方向であるc軸すなわち(0001)結晶軸方向に単一配向させることによって分極軸を揃えることができる。このように分極軸を揃えることにより、電気機械結合係数kt2及び品質係数Q値を最適に確保した圧電体6を構成することができる。
第1の実施の形態において、圧電体6は、c軸配向性を向上するために、第1の電極5上に形成した第1の圧電体61と、この第1の圧電体61上に積層された第2の圧電体63との複数層(第1の実施の形態においては2層)構造によって構成されている。第1の圧電体61は、第1の電極5の平面形状を決定する製造過程のパターンニング工程において第1の電極5の表面酸化膜の生成を防止することができ、更に第1の電極5の表面の結晶粒子の結晶配向を高配向において引き継ぎ第2の圧電体63を成膜することができる、中継層としての機能を備えている。
本願発明者等は、基板表面上にその結晶性を利用して圧電体膜を成長させるエピタキシャル成長技術を使用することなく、第1の電極5の表面上にその結晶配向性を引き継いで圧電体6を成長する手法について、広範囲に渡る理論的及び実験的な検討を重ねた結果、少なくとも下記工程(1)乃至工程(4)を含む製造方法を採用することにより、圧電膜6の配向性を飛躍的に改善することができる事実を見出した。
(1)まず、電極層(第1の電極5の形成層)の表面上に、この電極層の成膜後に連続して第1の圧電体層(第1の圧電体61の形成層)を成膜する。電極層は基板2表面の全域に成膜され、第1の圧電体層は同様に電極層表面の全域に成膜される。
(2)引き続き、第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体61を形成し、電極層をパターンニングして第1の電極5を形成する。第1の圧電体61、第1の電極5のそれぞれは基本的には同一製造マスクにより重ね切りの手法においてパターンニングされ、図1に示す第1の電極5と引出電極81との接続部分を除き、少なくとも第1の電極5上面形状と第1の圧電体61の下面形状とは同一になる。
(3)このパターンニング後に第1の圧電体61の表面をクリーニングにより適切に洗浄する。
(4)この第1の圧電体61の洗浄された表面上に第2の圧電体63を成膜し、第1の圧電体61上に第2の圧電体63を積層した圧電体6を形成する。
圧電体6として使用されるAlN圧電結晶薄膜は六方晶系結晶構造であり、c軸配向性を向上するためには、第1の電極5に格子整合性の良いfcc結晶構造の(111)配向を有する導電性薄膜又はbcc結晶構造の(110)配向を有する導電性薄膜を使用する必要がある。例えば、基板2の平坦性を向上する、若しくは格子整合性を高める下地膜4を予め成膜することにより、高い結晶配向性を備えた第1の電極5を形成することができ、この第1の電極5表面の結晶配向性を引き継ぐように第1の圧電体61を成膜することができる。このような製造プロセスを備えて成膜された圧電体6は、第1の電極5の結晶配向性を引き継がない場合に比べて遥かにc軸配向性を向上することができる。
下地の結晶配向性を引き継ぐには、下地の結晶情報の伝達を阻害する物質、例えば酸化膜、有機汚染物等の存在は許されず、清浄な下地表面が必須である。従って、高真空中において、高結晶配向性を有する第1の電極5表面上に第1の圧電体61を連続的に成膜することが理想的である。
ところが、薄膜圧電共振器1の製造プロセスにおいては、フォトリソグラフィ技術を利用して第1の電極5をパターンニングする工程は必須である。このパターンニング工程を実施すれば、第1の電極5表面に表面酸化膜が生成され、或いは有機汚染が生じる。表面酸化膜や有機汚染物質においては、パターンニング工程により第1の電極5を形成した後、圧電体6を成膜する直前に、第1の電極5表面にスパッタクリーニングを実施すれば除去することができる。第1の電極5表面の平坦度を損なうことなく、かつ結晶構造にダメージを与えないためには、低エネルギイオンを利用するスパッタクリーニングが必要である。
低エネルギイオンを利用したスパッタクリーニングにおいては、強固な酸化膜例えば第1の電極5にアルミニウムを使用する場合にはアルミナを除去することができないので、第1の電極5表面の結晶性を圧電体6に引き継ぐことができない。一方、高エネルギイオンを利用したスパッタクリーニングを使用した場合には、第1の電極5表面の平坦性及び結晶性の劣化が生じるので、第1の電極5表面の結晶性を圧電体6に引き継ぐことができない。
更に、圧電体6のc軸配向性を高めるためには、パターンニングせずに基板2表面上の全域に第1の電極5を成膜し、この第1の電極5表面上の全域に圧電体層を連続して成膜する手法がある。この圧電体層は、パターンニングされ、周囲に対して孤立化された圧電体6として形成される。そして、この圧電体6上には第2の電極82が形成される。ところが、第1の電極5は基板2表面上の全域に形成されるので、第1の電極5と第2の電極82との間に電気的分離機能を有する層間絶縁膜が必要になり、製造工程数が増加する。
圧電体6をパターンニングせずにその形状を孤立化しない場合には、第1の電極5、第2の電極82のそれぞれに付加される寄生容量が増加し、薄膜圧電共振器1の特性を劣化してしまう。従って、薄膜圧電共振器1においては、圧電体6の形状を周囲に対して孤立化するとともに、この圧電体6の平面形状と同一又は類似した平面形状、すなわち少なくとも圧電体6の下面形状と同一の上面形状を有する第1の電極5を構成することが好ましい。
[薄膜圧電共振器の基本的な製造方法]
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1は、圧電体6のc軸配向性を向上する最適な金属材料(導電性材料)を下地層4として形成し、この下地層4上に第1の電極層を成膜し、この第1の電極層表面の結晶配向性を、この第1の電極層表面上に成膜される圧電体6に高く引き継がせる製造方法を利用して製作されている。すなわち、この製造方法の基本的な概要は以下の通りである。
(1)まず、AlN圧電結晶薄膜の(0001)結晶面に対して格子整合性の良い結晶方位に高配向された第1の電極層(第1の電極5の形成層)を成膜する。
(2)引き続き第1の電極層上に連続して第1の圧電体層(第1の圧電体61の形成層)を成膜する。第1の圧電体層の成膜は、好ましくは第1の電極層の成膜と同一真空系内において行われる。第1の圧電体層は最終的な圧電体6に必要な膜厚の一部として成膜されるので、第1の圧電体層の膜厚は当然のことながら圧電体6の膜厚に比べて薄くなる。
(3)第1の圧電体層及び第1の電極層にパターンニングを行い、このパターンニングによる電極の形状加工により第1の圧電体層から第1の圧電体61を形成するとともに、第1の電極層から第1の電極5を形成する。
(4)この後に、高真空系内において、第1の圧電体61表面に低エネルギイオンを利用してスパッタクリーニングを行い、第1の圧電体61の表面洗浄を行う。引き続き、第1の圧電体61のスパッタクリーニングがなされた表面上に第2の圧電体層(第2の圧電体63の形成層)を成膜する。第2の圧電体層は、圧電体6に必要な最終的な膜厚になる残りの膜厚として成膜される。そして、第2の圧電体層にパターンニングを行い、このパターンニングによる電極の形状加工により第2の圧電体63を形成する。第2の圧電体63を形成することにより、第1の圧電体61とその洗浄表面上に積層された第2の圧電体63とを備えた圧電体6を形成することができる。
(5)この後、圧電体6の第2の圧電体63上に第2の電極82を形成する。
第1の電極層が例えばアルミニウムを主成分とする金属材料により形成される場合、製造過程中の大気開放において、第1の電極層の表面には簡単に酸化膜が生成される。しかも、この酸化膜は高エネルギイオンによるスパッタクリーニングを使用しなければ除去することができない。ところが、同一真空系内において若しくは大気開放を行わずに、このような第1の電極層上に連続して第1の圧電体層を成膜すれば、第1の電極層の清浄表面上に第1の圧電体層を成膜することになり、第1の圧電体層は第1の電極層表面の結晶配向性を引き継ぎ、第1の圧電体層のc軸配向性は高くなる。この状態において、第1の電極層をパターンニングして適正な平面形状を有する第1の電極5を形成するとともに、第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体61を形成する。ここで、アルミニウムを主成分とする金属材料とは、アルミニウム、又はNi、Ta、Si、Cu等の添加物質を含むアルミニウム合金を含む意味において使用されている。
第1の電極5の製造過程つまりパターンニングにおいては、第1の電極層の表面は第1の圧電体層により覆われ保護されているので、第1の電極5の表面の結晶配向が保持されている。そして、高真空中において、低エネルギイオンのスパッタクリーニングを行うことにより、第1の圧電体61表面を清浄面にすることができる。第1の圧電体61表面には第1の電極5の製造過程において酸化膜が生成されてしまうが、強い酸化雰囲気に晒されない限り、この酸化膜は低エネルギイオンを用いたスパッタクリーニングによって簡易に除去することができる。
第2の圧電体63は第1の圧電体61の清浄表面上にその結晶配向性を引き継いで成膜されるので、この第2の圧電体63のc軸配向性は高くなる。結果的に、第1の電極5、圧電体6の第1の圧電体61、第2の圧電体63のそれぞれの結晶粒子の配向性は、界面を共有し隣り合う同士において、揃った状態になる。
このように、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1においては、エピタキシャル成長法等の高価な、そして複雑な薄膜成長技術を使用することなく、基板2上にc軸配向半値幅の小さい圧電膜6を形成することができるので、電気機械結合係数を高めることができる。
[薄膜圧電共振器の圧電体の配向性評価]
次に、薄膜圧電共振器1に使用する圧電体6の結晶配向性の評価結果について、図2を使用して説明する。
図2中、実施例1乃至実施例4はいずれも第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法が適用された結晶配向性の評価結果である。つまり、実施例1乃至実施例4は、いずれも、図2に示される処理条件下において、第1の電極層上に圧電体6を成膜し、この成膜された圧電体6の配向半値幅の測定結果である。これに対して、比較例1乃至比較例6は第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法が適用されない結晶配向性の評価結果である。
第1の電極層は、実施例1乃至実施例4及び比較例1乃至比較例6のすべてにおいて、(111)結晶配向を有するアルミニウムである。実施例1乃至実施例4において、第1の電極層の(111)結晶配向の配向半値幅はすべて1.0゜である。比較例1、比較例2、比較例3及び比較例6において、第1の電極層の(111)結晶配向の配向半値幅は1.0゜である。比較例4及び比較例5において、第1の電極層の(111)結晶配向の配向半値幅4.0゜である。
圧電体6にはAlN圧電体が使用され、第1の圧電体61の成膜膜厚(nm)及び第2の圧電体63の成膜膜厚(nm)は図2に示す通りである。圧電体6の合計の成膜膜厚は1μmである。圧電体63は室温において高周波マグネトロンスパッタリングにより成膜されている。圧電体6の配向半値幅とは、最終的に成膜された第2の圧電体63の(0002)結晶配向の配向半値幅である。
スパッタクリーニング(表面クリーニング)は、第1の圧電体61表面のクリーニングであり、アルゴン雰囲気において実施される。速度(nm/s)は、第1の圧電体61のクリーニング速度(エッチング速度)であるが、熱酸化法により成長させた二酸化シリコン膜のクリーニング速度に換算した値である。同様に、時間(s)は、第1の圧電体61のクリーニング時間(エッチング時間)であるが、熱酸化法により成長させた二酸化シリコン膜のクリーニング時間に換算した値である。
図2に示すように、実施例1においては、第1の圧電体層の成膜後に、この第1の圧電体層上にレジストマスクを形成し、RIEにより第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体61を形成し、引き続き第1の電極層をパターンニングして第1の電極5を形成し、レジストマスクを剥離した後、第1の圧電体61の表面にスパッタクリーニングを行い、この第1の圧電体61の清浄表面上に第2の圧電体63を形成しているので、圧電体6(第2の圧電体63)の(0002)結晶配向の配向半値幅は第1の電極5の(111)結晶配向の配向半値幅と同等になる。実施例1と同様に、実施例2乃至実施例3のいずれにおいても、圧電体6の配向半値幅は第1の電極5の配向半値幅と同等になる。すなわち、実施例1乃至実施例4の第1の圧電体61の膜厚は30nm〜500nmの範囲内、つまり圧電体6の全体の膜厚の3%〜50%の範囲内において振られているが、この幅広い範囲において、第1の電極5の結晶配向性を第2の圧電体63の結晶配向性に引き継ぐことができる。
これに対して、比較例1は、第1の電極層上に第1の圧電体層を成膜しないで、直接、第1の電極層をパターンニングして第1の電極5を形成し、スパッタクリーニングを実施した後、圧電体6の最終的な成膜膜厚に相当する第2の圧電体層(1000nm)を成膜した例である。比較例1においては、圧電体6の(0002)結晶配向の配向半値幅は10°近い大きな値であった。本願発明者等は、第1の電極5表面に生成された酸化膜がスパッタクリーニングにより除去することができず、第1の電極5表面の結晶配向性を圧電体6に引き継ぐことができなかったために、配向半値幅の数値が増大したと考察している。
比較例2は、第1の電極層上に50nmの膜厚において第1の圧電体層を成膜し、パターンニングにより第1の圧電体61及び第1の電極5を形成し、第1の圧電体61表面にスパッタクリーニングを実施しないで第2の圧電体層を成膜した例である。比較例2においては、圧電体6の(0002)結晶配向の配向半値幅は6.6°であった。本願発明者等は、第1の圧電体61表面にスパッタクリーニングを実施していないので、第1の圧電体61表面はレジストマスクを剥離した状態であり、結果的に第1の電極5表面の結晶配向性を圧電体6に引き継ぐことができなかったために、配向半値幅の数値が増大したと考察している。
比較例3は、基本的パラメータは実施例1と同様に、第1の電極層上に50nmの膜厚において第1の圧電体層を成膜し、第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体61及び第1の電極層をパターンニングして第1の電極5を形成し、第1の圧電体61にスパッタクリーニングを実施した後、950nmの膜厚において第2の圧電体層を成膜した例である。比較例3においては、実施例1において使用されるスパッタクリーニングに比べて高エネルギを利用したスパッタクリーニングが使用されている。スパッタクリーニングの速度は、実施例1において使用されるスパッタクリーニングの速度に比べて、二酸化シリコン膜のエッチング速度換算において約2.5倍程速い。比較例3においては、圧電体6の(0002)結晶配向の配向半値幅は6.0°である。本願発明者等は、スパッタクリーニングを高エネルギに設定した場合には第1の圧電体61の平坦度が失われ、結果的に第1の電極5表面の結晶配向性を圧電体6に引き継ぐことができなかったために、配向半値幅の数値が増大したと考察している。
比較例4は、配向半値幅が4.0°を有する第1の電極層上に50nmの膜厚において第1の圧電体層を成膜し、第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体61及び第1の電極層をパターンニングして第1の電極5を形成し、第1の圧電体61にスパッタクリーニングを実施した後、950nmの膜厚において第2の圧電体層を成膜した例である。比較例4においては、実施例4において使用される低スパッタクリーニングと同一条件に設定された低エネルギを利用したスパッタクリーニングが使用されている。比較例4においては、圧電体6の(0002)結晶配向の配向半値幅は4.5°である。本願発明者等は、第1の電極5の配向半値幅が予め4.0°に設定されているので、この第1の電極5の結晶配向性を圧電体6がある程度引き継いだためと考察している。
比較例5は、比較例4において第1の圧電体61表面に低エネルギのスパッタクリーニングを実施しない例である。比較例5においては、圧電体6の(0002)結晶配向の配向半値幅は12.5°の大きな値になっている。
比較例6は、実施例1において第1の圧電体61表面に実施する低エネルギのスパッタクリーニングの時間を35(s)に短縮した例である。比較例6においては、圧電体6の(0002)結晶配向の配向半値幅は6.4°である。本願発明者等は、基本パラメータは実施例1と同様でありながら、スパッタクリーニングの時間が短く、第1の圧電体61表面の清浄化が十分になされないので、結果的に第1の電極5表面の結晶配向性を圧電体6に引き継ぐことができなかったために、配向半値幅の数値が増大したと考察している。この比較例6と実施例1とからも明らかなように、スパッタクリーニングは、低エネルギに設定しつつ、十分な時間を実施しないと、第1の圧電体61表面の結晶配向性を第2の圧電体63の結晶配向性に引き継ぐことができない。
[薄膜圧電共振器の具体的な第1の製造方法]
次に、前述の実施例1に係る薄膜圧電共振器1の具体的な製造方法を説明する。まず最初に、1kΩcm以上の高い比抵抗値を有するのSi基板を基板2として準備し、この基板2の(100)結晶表面上の全域に絶縁体3を形成する(図3参照。)。絶縁体3には、1μmの膜厚を有する例えば熱酸化法により形成した酸化シリコン膜を使用する。
次に、図3に示すように、絶縁体3表面上の全域に下地層4を形成する。下地層4には高周波マグネトロンスパッタリング法により成膜した非晶質Al0.5Ta0.5膜を使用し、その膜厚は30nmに設定される。
次に、下地層4表面上の全域に第1の電極層50を成膜し、図4に示すように、引き続き第1の電極層50表面上の全域に第1の圧電体層610を成膜する。第1の電極層50には高周波マグネトロンスパッタリング法により成膜したアルミニウム膜を使用し、その膜厚は250nmに設定される。このアルミニウム膜の(111)結晶配向の配向半値幅は1.0゜に制御されている。第1の圧電体層610には反応性高周波マグネトロンスパッタリング法により成膜されたAlN膜を使用し、その膜厚は50nmに設定される。
図示しないが、第1の圧電体層610表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスク(レジストマスク)を形成する。このエッチングマスクを利用して第1の圧電体層610をパターンニングすることにより第1の圧電体61を形成し、図5に示すように、引き続き第1の圧電体61を実質的なエッチングマスクとして利用して第1の電極層50をパターンニングすることにより第1の電極5を形成する。パターンニングには、例えばマグネトロンRIE法を実用的に使用することができる。エッチングマスクの側面形状のテーパ化及びエッチング条件の最適化により、同図5に示すように、第1の電極5端面形状及び第1の圧電体61端面形状をテーパ化することができる。このテーパ角度は基板2表面に対して30度以下に設定されることが好ましい。なお、エッチングマスクの除去(レジスト剥離)においては、第1の圧電体61表面の酸化を避けるためにアッシング処理は実施されない。
次に、成膜装置(反応性高周波マグネトロンスパッタリング装置)内において、図6に示すように、第1の圧電体61表面に表面クリーニングが実施される。表面クリーニングには低エネルギに制御された反応性高周波スパッタクリーニングを実用的に使用することができる。この表面クリーニングにおいては、第1の圧電体61表面の清浄な(0001)結晶面が露出するまで行われる。従って、第1の圧電体61は清浄な結晶面が得られる程度の膜厚を最低限必要とする。
次に、図7に示すように、第1の圧電体61表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の圧電体層630を成膜する。第2の圧電体層630には反応性高周波マグネトロンスパッタリングにより成膜されたAlN膜を使用し、その膜厚は2250nmに設定される。ここで、同図7及び前述の図2の実施例1に示すように、第1の圧電体6表面上に成膜された第2の圧電体層630の一部631においては、第1の圧電体61の結晶配向性が十分に引き継がれ、(0001)結晶配向の配向半値幅は1°程度の範囲内の変動に留まる。一方、第2の圧電体層630の他部632においては、第1の電極5の側面(テーパ形状面)上、下地層4の側面、絶縁体3表面上のそれぞれに成膜されているので、(0001)結晶配向の配向半値幅は10°程度になる。
次に、図示しないが、第2の圧電体層630表面上にフォトリソグラフィを使用してエッチングマスクを形成する。このエッチングマスクを使用し、第2の圧電体層630にパターンニングを行い、図8に示すように、第2の圧電体63を形成する。パターンニングには例えばマグネトロンリアクティブエッチングを使用することができる。第2の圧電体63を形成することにより、第1の圧電体61とこの第1の圧電体61表面上に積層された第2の圧電体63とを備えた圧電体6を完成させることができる。圧電体6は、結果として、第1の電極5表面の結晶配向性を十分に引き継いだ結晶配向性を備えている。
次に、絶縁体を成膜し、フォトリソグラフィを使用して形成したエッチングマスク及びマグネトロンリアクティブイオンエッチングを利用して絶縁体をパターンニングすることにより、圧電体6の側壁の一部分にスペーサ7を形成する(図9参照。)。スペーサ7には例えば酸化シリコン膜を実用的に使用することができる。第1の実施の形態において、スペーサ7は第2の圧電体63とは別材料により形成されているが、後述する第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法において説明するように、第2の圧電体層630をパターンニングするエッチングマスクをスペーサ7の形成領域まで伸ばし、第2の圧電体層630(632)によりスペーサ7を形成してもよい。この場合には、スペーサ7の成膜工程、パターンニング工程等を第2の圧電体63の成膜工程、パターンニング工程等と兼用することができるので、製造工程数を削減することができる。
スペーサ7表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の電極層を成膜する。第2の電極層には例えばスパッタリングにより成膜されたアルミニウム膜を使用し、その薄膜は250nmに設定する。図示しないが、第2の電極層表面上にフォトリソグラフィを使用してエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを利用して第2の電極層をパターンニングすることにより、図9に示すように引出電極81及び第2の電極82を形成することができる。引出電極81の一端は第1の電極5の周縁部の一部において第1の電極5表面に接続され、他端は絶縁体3表面上を延在する。第2の電極82の一端は圧電体6(第2の圧電体63)表面に接続され、他端はスペーサ7上を通過するとともに絶縁体2表面上を延在する。
次に、基板2の第1の電極5が形成された領域において、基板2裏面から表面に向かって、少なくとも基板2及び絶縁体3を除去し、前述の図1に示すように、圧電体6が膜厚方向に振動するための穴9を形成する。穴9の形成において、基板2の除去には例えばインダクティビリィカップルドプラズマ(ICP(Inductively Coupled Plasma))−RIEを、絶縁体3の除去にはマグネトロンRIEを各々実用的に使用することができる。この穴9を形成する工程が終了すると、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1が完成する。
[薄膜圧電共振器の特性評価]
このように製造された薄膜圧電共振器1において、周波数特性を測定した結果、共振周波数は2.0GHzであり、電気機械結合係数は6.0%、品質係数Qは共振点において720、反共振点において650という極めて優れた周波数特性を得ることができた。この機械結合係数値はAlN圧電体物質から理論的に期待される最大値の91%に達成している。
図10は薄膜圧電共振器1の第1の電極5と圧電体6との界面付近を撮影した断面透過電子顕微鏡写真である。図10に示すように、第1の電極(アルミニウム電極)5と圧電体(AlN)6との界面付近において、第1の電極5の水平方向の結晶粒子の大きさと、第1の圧電体61の水平方向の結晶粒子の大きさと、第2の圧電体63の水平方向の結晶粒子の大きさとがほぼ揃っている。
図11は、微小部電子線回折パターンであり、結晶粒子の特定領域に径1nmに絞った電子線を照射して得られた結晶粒子の回折パターンである。図11に示す「a」〜「f」のそれぞれは図10に示す「a」〜「f」のそれぞれに各々対応している。図11に示す「a」は第1の電極(アルミニウム)5の(111)結晶面への[0−11]入射パターンである。図11に示す「b」は第1の圧電体(AlN)61の(0001)結晶面への[−1−120]入射パターン、「c」は第2の圧電体(AlN)63の(0001)結晶面への[−1−120]入射パターンである。従って、Al[0−11]//AlN[−1−120]の方位関係において双方は局所的にエピタキシャル関係にある。図11に示す「d」〜「f」のそれぞれの入射パターンにおいても、同様に結晶方位が揃っている結果を得ることができた。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法においては、第1の電極層50表面上に連続して第1の圧電体層610を成膜し、これらパターンニングして第1の圧電体61及び第1の電極5を形成し、この後に第1の圧電体61表面にクリーニングを行った後、第2の圧電体層630を成膜する工程を備えている。この結果、第1の電極5表面の結晶配向性を圧電体6に十分に引き継ぐことができる。更に、第1の電極5はパターンニングされることにより形成され、基板2表面上において第1の電極5と引出電極81との接続が行える。つまり、基板2裏面において第1の電極5と引出電極81とを接続する必要がなくなり、基板2の穴9は微細加工することができる。従って、高周波数化を実施することができるとともに、小型化を実現することができる薄膜圧電共振器1を得ることができる。
[薄膜圧電共振器の応用例]
前述の薄膜圧電共振器1においては、例えば図12に示す高周波フィルタ100、図13に示すVCOに備えることができる。図12に示す高周波フィルタ100は、入力端子P1及びP2と、出力端子P3及びP4と、直列的に挿入される薄膜圧電共振器1(1)及び1(2)と、並列的に挿入される薄膜圧電共振器1(3)及び1(4)とを備えている。
図13に示すVCO200は、薄膜圧電共振器1と、インバータ201と、抵抗素子202及び203と、容量素子204と、可変容量素子205とを備えている。
高周波フィルタ100、VCO200のいずれにおいても、前述の薄膜圧電共振器1を備えているので、高周波特性を向上することができるとともに、小型化を実現することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、前述の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1において、圧電体6に接続する第2の電極構造を変えた例を説明するものである。なお、第2の実施の形態並びにこれ以降の実施の形態において、特に各構成要素の材質、膜厚、成膜条件等の説明がない場合には、前述の第1の実施の形態において説明した同一符号が付された各構成要素の材質、膜厚、成膜条件等と同一若しくは同等である。
[薄膜圧電共振器の具体的な第2の製造方法]
第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法は、まず最初に、基板2を準備し、この基板2表面上の全域に絶縁体3を形成する(前述の図3参照。)。前述の図3に示すように、絶縁体3表面上の全域に下地層4を形成する。下地層4には高周波マグネトロンスパッタリング法により成膜した非晶質Al0.6Ta0.4膜を使用し、その膜厚は30nmに設定される。
次に、下地層4表面上の全域に第1の電極層50を成膜し、図14に示すように、引き続き第1の電極層50表面上の全域に第1の圧電体層610を成膜する。
図示しないが、第1の圧電体層610表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成する。このエッチングマスクを利用して第1の圧電体層610をパターンニングすることにより第1の圧電体61を形成し、図15に示すように、引き続き第1の圧電体61を実質的なエッチングマスクとして利用して第1の電極層50をパターンニングすることにより第1の電極5を形成する。パターンニングには、例えばICP−RIE法を実用的に使用することができる。エッチングマスクの側面形状のテーパ化及びエッチング条件の最適化により、同図15に示すように、第1の電極5端面形状及び第1の圧電体61端面形状をテーパ化することができる。このテーパ角度は基板2表面に対して20度以下に設定されることが好ましい。なお、エッチングマスクの除去においては、第1の圧電体61表面の酸化を避けるためにアッシング処理は実施されない。
次に、成膜装置内において、第1の圧電体61表面に表面クリーニングが実施される(前述の図6参照。)。表面クリーニングには、前述の実施例4の条件下において低エネルギに制御された反応性高周波スパッタクリーニングを実用的に使用することができる。この表面クリーニングにおいては、第1の圧電体61表面の清浄な(0001)結晶面が露出するまで行われる。
次に、第1の圧電体61表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の圧電体層630を成膜し、図16に示すように、引き続き連続して第2の圧電体層630表面上の全域に電極層85を成膜する。第2の圧電体層630には反応性高周波マグネトロンスパッタリングにより成膜されたAlN膜を使用し、その膜厚は1970nmに設定される。電極層85は同一のスパッタリングにより成膜されたモリブデン膜を使用し、その膜厚は200nmに設定される。第2の実施の形態において、電極層85は第2の電極82の一部として使用されている。
次に、図示しないが、電極層85表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成する。図17に示すように、エッチングマスクを利用して電極層85をパターンニングし、この電極層85から引出電極84を形成する。パターンニングには例えばケミカルドライエッチング(Chemical Dry Etching)を実用的に使用することができる。
次に、図示しないが、引出電極84表面上を含む、第2の圧電体層630表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成する。図18に示すように、エッチングマスクを利用し、引出電極84下の一部631と他部632の一部とが残存するように、第2の圧電体層630をパターンニングし、一部631から第2の圧電体63を形成するとともに、他部632の一部からスペーサ7を形成する。第2の圧電体63が形成されると、第1の圧電体61及びその表面上に積層された第2の圧電体63を備えた圧電体6を形成することができる。パターンニングにはマグネトロンRIEを実用的に使用することができる。
スペーサ7表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の電極層を成膜する。第2の電極層には例えばスパッタリングにより成膜されたアルミニウム膜を使用し、その薄膜は500nmに設定する。図示しないが、第2の電極層表面上にフォトリソグラフィ技術を使用してエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを利用して第2の電極層をパターンニングすることにより、図19に示すように引出電極81及び第2の電極82を形成することができる。引出電極84の一端は圧電体6の第2の圧電体63表面上においてこの第2の圧電体63に接続され、引出電極84の他端はスペーサ7表面上において第2の電極82に接続される。パターンニングにはマグネトロンRIEを実用的に使用することができる。
次に、図20に示すように、基板2をその裏面からその表面に向かって研磨する。研磨には例えばケミカルメカニカルポリッシング(CMP(Chemical Mechanical Polishing))を使用し、基板2の厚さが例えば200μmになるまで研磨が実施される。
次に、基板2の第1の電極5が形成された領域において、基板2裏面から表面に向かって、少なくとも基板2及び絶縁体3を除去し、図21に示すように、穴9を形成する。穴9の形成において、基板2の除去には例えばICP−RIEを、絶縁体3の除去にはマグネトロンRIEを各々実用的に使用することができる。この穴9を形成する工程が終了すると、第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1が完成する。
[薄膜圧電共振器の特性評価]
このように製造された薄膜圧電共振器1において、周波数特性を測定した結果、共振周波数は2.0GHzであり、電気機械結合係数は6.65%、品質係数Qは共振点において900、反共振点において790という極めて優れた周波数特性を得ることができた。この機械結合係数値はAlN圧電体物質から理論的に期待される最大値に匹敵している。
図22は薄膜圧電共振器1の第1の電極5と圧電体6との界面付近を撮影した断面透過電子顕微鏡写真、図23はその拡大断面透過電子顕微鏡写真である。図22及び図23に示すように、第1の電極(アルミニウム電極)5と圧電体(AlN)6との界面付近において、第1の電極5の水平方向の結晶粒子の大きさと、第1の圧電体61の水平方向の結晶粒子の大きさと、第2の圧電体63の水平方向の結晶粒子の大きさとがほぼ揃っている。
図24は、微小部電子線回折パターンであり、結晶粒子の特定領域に径1nmに絞った電子線を照射して得られた結晶粒子の回折パターンである。図24に示す「a」〜「f」のそれぞれは図22に示す「a」〜「f」のそれぞれに各々対応している。図24に示す「a」は第1の電極(アルミニウム)5の(111)結晶面への[−1−12]入射パターンである。図11に示す「b」は第1の圧電体(AlN)61の(0001)結晶面への[1−100]入射パターン、「c」は第2の圧電体(AlN)63の(0001)結晶面への[1−100]入射パターンである。従って、Al[−1−12]//AlN[1−100]の方位関係において双方は局所的にエピタキシャル関係にある。図11に示す「d」〜「f」のそれぞれの入射パターンにおいても、同様に結晶方位が揃っている結果を得ることができた。
なお、第1の電極5表面上に第1の圧電体61介在して第2の圧電体63が成膜された領域において、圧電体6のAlNの柱状結晶は揃った状態になる。これに対して、第1の電極5端面のテーパ形状部分において第1の圧電体層610が除去された部分と、第1の電極層50がパターンニングにより取り除かれた絶縁体3表面上(若しくは下地層4表面上)とに成膜される第2の圧電体63の柱状結晶は乱れてしまう。ところが、第1の電極5が存在しない領域は、圧電共振に係わらないので、共振特性の劣化には繋がらない。また、第1の電極5端面のテーパ形状部分の幅寸法は1μm以下であり、この第1の電極5端面の全面積は薄膜圧電共振器1に占める割合の1%程度であるので、薄膜圧電共振器1において共振特性の劣化にはほとんど影響がない。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法においては、前述の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法により得られる効果と同様の効果を奏することができる。従って、高周波数化を実施することができるとともに、小型化を実現することができる薄膜圧電共振器1を得ることができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、前述の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1において、第1の電極5下に配設された穴9に代えて空洞を配設した例を説明するものである。
[薄膜圧電共振器の具体的な第3の製造方法]
第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法は、まず最初に、基板2を準備し、この基板2表面上の全域に絶縁体3を形成する(図25参照。)。図示しないが、絶縁体3表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを利用して絶縁体3にパターンニングを行い、図25に示すように、第1の電極5が形成される領域において絶縁体3の一部を選択的に除去し、絶縁体3に溝30を形成する。この溝30は将来的に空洞となる部分である。パターンニングには、フッ化アンモニウム溶液によるウエットエッチングを実用的に使用することができる。
次に、絶縁体3表面上に、溝30が埋設されるように、犠牲層31を成膜する。犠牲層31には例えば高周波マグネトロンスパッタリングにより成膜したモリブデン膜を実用的に使用することができ、その膜厚は1.2μmに設定される。更に、図27に示すように、犠牲層31が溝30内部に埋設され、絶縁体3表面が露出するまで犠牲層31を除去する。この犠牲層31の除去にはCMPを使用することができる。CMPを使用することにより、絶縁体3表面及び犠牲層31表面を平坦化することができる。
図28に示すように、犠牲層31表面上を含む、絶縁体3表面上の全域に更に絶縁体32を成膜する。絶縁体32を形成することにより、犠牲層31は完全に埋め込まれた状態になる。絶縁体32には例えば高周波マグネトロンスパッタリングにより成膜された二酸化シリコン膜を使用し、その膜厚は50nmに設定される。
次に、絶縁体32表面上の全域に下地層4を形成する(図29参照。)。下地層4には高周波マグネトロンスパッタリング法により成膜した非晶質Al0.5Ta0.5膜を使用し、その膜厚は30nmに設定される。
次に、下地層4表面上の全域に第1の電極層50を成膜し、図29に示すように、引き続き第1の電極層50表面上の全域に第1の圧電体層610を成膜する。そして、前述の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法と同様に、図30に示すように、第1の圧電体層610をパターンニングすることにより第1の圧電体61を形成するとともに、第1の電極層50をパターンニングすることにより第1の電極5を形成する。
次に、成膜装置内において、第1の圧電体61表面に表面クリーニングが実施される(前述の図6参照。)。表面クリーニングには、前述の実施例4の条件下において低エネルギに制御された反応性高周波スパッタクリーニングを実用的に使用することができる。この表面クリーニングにおいては、第1の圧電体61表面の清浄な(0001)結晶面が露出するまで行われる。
次に、図31に示すように、第1の圧電体61表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の圧電体層630を成膜する。第2の圧電体層630には反応性高周波マグネトロンスパッタリングにより成膜されたAlN膜を使用し、その膜厚は2270nmに設定される。
次に、図示しないが、第2の圧電体層630表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成する。前述の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法と同様に、エッチングマスクを利用し、第2の圧電体層630をパターンニングし、一部631から第2の圧電体63を形成するとともに、他部632の一部からスペーサ7を形成する(図32参照。)。第2の圧電体63が形成されると、第1の圧電体61及びその表面上に積層された第2の圧電体63を備えた圧電体6を形成することができる。パターンニングにはマグネトロンRIEを実用的に使用することができる。
圧電体6表面上及びスペーサ7表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の電極層を成膜する。第2の電極層には例えばスパッタリングにより成膜されたアルミニウム膜を使用し、その薄膜は250nmに設定する。図示しないが、第2の電極層表面上にフォトリソグラフィ技術を使用してエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを利用して第2の電極層をパターンニングすることにより、図32に示すように引出電極81及び第2の電極82を形成することができる。
次に、図示しないが、既に形成された溝30内に埋設された犠牲層31上において、第1の電極5の周囲の絶縁体32に犠牲層31表面まで達する複数個の貫通孔を形成する。この貫通孔は、例えばフォトリソグラフィ技術を使用してエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを利用して絶縁体32をパターンニングすることにより形成することができる。貫通孔の配設数は例えば2個〜4個程度でよく、貫通孔の径は例えば5μmに設定される。
そして、摂氏50度に昇温した過酸化水素水溶液に約20分間浸漬することにより、貫通孔を通して犠牲層31に水溶液が浸透し、犠牲層31を選択的に除去し、図33に示すように、基板2と絶縁体3と絶縁体32とにより周囲を囲まれた空洞35を形成することができる。空洞35を形成することにより、第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1は完成する。
[薄膜圧電共振器の特性評価]
このように製造された薄膜圧電共振器1において、周波数特性を測定した結果、共振周波数は2.0GHzであり、電気機械結合係数は6.5%、品質係数Qは共振点において820、反共振点において750という極めて優れた周波数特性を得ることができた。この機械結合係数値はAlN圧電体物質から理論的に期待される最大値に匹敵している。
以上説明したように、第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法においては、前述の第1の実施の形態に係る又は第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法により得られる効果と同様の効果を奏することができる。従って、高周波数化を実施することができるとともに、小型化を実現することができる薄膜圧電共振器1を得ることができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態は、前述の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1において、第1の電極5下に配設された穴9に代えて音響ミラー反射層を配設した例を説明するものである。
[薄膜圧電共振器の具体的な第3の製造方法]
第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法は、まず最初に、基板2を準備し、この基板2表面上の全域に第1の絶縁体101、第2の絶縁体102、第3の絶縁体103、第4の絶縁体104のそれぞれを順次形成する(図34参照。)。第1の絶縁体101、第3の絶縁体103のそれぞれには熱CVD(Chemical vapor deposition)法により成膜された窒化シリコン膜を使用し、第2の絶縁体102、第4の絶縁体104のそれぞれにはプラズマCVD法により成膜された酸化シリコン膜を使用する。
次に、図示しないが、第4の絶縁体104表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを利用して第4の絶縁体104にパターンニングを行い、図34に示すように、溝105を形成する。この溝105は将来的に音響ミラー反射層を配設する領域となる部分である。パターンニングには、フッ化アンモニウム溶液によるウエットエッチングを実用的に使用することができる。第3の絶縁体103は第4の絶縁体層104をエッチングする際のエッチングストッパ層としての機能を有する。
次に、図35に示すように、溝105内部に露出する第3の絶縁体103表面上及び第4の絶縁体104表面上に高音響ミラー層110、低音響ミラー層111、高音響ミラー層112、低音響ミラー層113のそれぞれを順次成膜する。高音響ミラー層110、112のそれぞれには、高音響インピーダンス特性を有するタングステン膜を実用的に使用することができる。低音響ミラー層111、113のそれぞれには、低音響インピーダンス特性を有する二酸化シリコン膜を実用的に使用することができる。高音響ミラー層110、低音響ミラー層111、高音響ミラー層112、低音響ミラー層113のそれぞれの膜厚は、例えば2.0GHzのλ/4に設定される。
次に、第4の絶縁体104表面と同等の高さになるまで、低音響ミラー層113、高音響ミラー層112、低音響ミラー層111、高音響ミラー層110のそれぞれを順次研磨し、図36に示すように、溝105内部に埋設された、高音響ミラー層110、低音響ミラー層111、高音響ミラー層112及び低音響ミラー層113を備えた音響ミラー反射層10を形成する。研磨にはCMPを使用することができる。
図37に示すように、音響ミラー反射層10表面上を含む、第4の絶縁体104表面上の全域に更に絶縁体32を成膜する。絶縁体32を形成することにより、音響ミラー反射層10は完全に埋め込まれた状態になる。
次に、絶縁体32表面上の全域に下地層4を形成する(図38参照。)。下地層4には高周波マグネトロンスパッタリング法により成膜した非晶質Al0.5Ta0.5膜を使用し、その膜厚は30nmに設定される。
次に、下地層4表面上の全域に第1の電極層50を成膜し、図38に示すように、引き続き第1の電極層50表面上の全域に第1の圧電体層610を成膜する。
図示しないが、第1の圧電体層610表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成する。このエッチングマスクを利用して第1の圧電体層610をパターンニングすることにより第1の圧電体61を形成し、図39に示すように、引き続き第1の圧電体61を実質的なエッチングマスクとして利用して第1の電極層50をパターンニングすることにより第1の電極5を形成する。パターンニングには、例えばICP−RIE法を実用的に使用することができる。エッチングマスクの側面形状のテーパ化及びエッチング条件の最適化により、同図39に示すように、第1の電極5端面形状及び第1の圧電体61端面形状をテーパ化することができる。このテーパ角度は基板2表面に対して35度以下に設定されることが好ましい。なお、エッチングマスクの除去においては、第1の圧電体61表面の酸化を避けるためにアッシング処理は実施されない。
次に、成膜装置内において、第1の圧電体61表面に表面クリーニングが実施される(前述の図6参照。)。表面クリーニングには、前述の実施例4の条件下において低エネルギに制御された反応性高周波スパッタクリーニングを実用的に使用することができる。この表面クリーニングにおいては、第1の圧電体61表面の清浄な(0001)結晶面が露出するまで行われる。
次に、第1の圧電体61表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の圧電体層630を成膜し、図40に示すように、引き続き連続して第2の圧電体層630表面上の全域に電極層85を成膜する。第2の圧電体層630には反応性高周波マグネトロンスパッタリングにより成膜されたAlN膜を使用し、その膜厚は1900nmに設定される。電極層85は同一のスパッタリングにより成膜されたモリブデン膜を使用し、その膜厚は200nmに設定される。
次に、図示しないが、電極層85表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成する。図41に示すように、エッチングマスクを利用して電極層85をパターンニングし、この電極層85から引出電極84を形成する。
次に、図示しないが、引出電極84表面上を含む、第2の圧電体層630表面上にフォトリソグラフィ技術によりエッチングマスクを形成する。図42に示すように、エッチングマスクを利用し、引出電極84下の一部631と他部632の一部とが残存するように、第2の圧電体層630をパターンニングし、一部631から第2の圧電体63を形成するとともに、他部632の一部からスペーサ7を形成する。第2の圧電体63が形成されると、第1の圧電体61及びその表面上に積層された第2の圧電体63を備えた圧電体6を形成することができる。
スペーサ7表面上を含む、基板2表面上の全域に第2の電極層を成膜する。第2の電極層には例えばスパッタリングにより成膜されたアルミニウム膜を使用し、その薄膜は500nmに設定する。図示しないが、第2の電極層表面上にフォトリソグラフィ技術を使用してエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを利用して第2の電極層をパターンニングすることにより、図43に示すように引出電極81及び第2の電極82を形成することができる。引出電極84の一端は圧電体6の第2の圧電体63表面上においてこの第2の圧電体63に接続され、引出電極84の他端はスペーサ7表面上において第2の電極82に接続される。パターンニングにはマグネトロンRIEを実用的に使用することができる。引出電極81及び第2の電極82を形成することにより、第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1は完成する。
[薄膜圧電共振器の特性評価]
このように製造された薄膜圧電共振器1において、周波数特性を測定した結果、共振周波数は2.0GHzであり、電気機械結合係数は5.5%、品質係数Qは共振点において600、反共振点において550という極めて優れた周波数特性を得ることができた。この機械結合係数値は、音響ミラー反射層10を備えた薄膜圧電共振器1としては、AlN圧電体物質から理論的に期待される最大値に匹敵している。
以上説明したように、第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法においては、前述の第1の実施の形態に係る又は第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器1の製造方法により得られる効果と同様の効果を奏することができる。従って、高周波数化を実施することができるとともに、小型化を実現することができる薄膜圧電共振器1を得ることができる。
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、変更可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の断面図である。 第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の配向性評価結果を示す図である。 図1に示す薄膜圧電共振器の第1の製造方法を説明する第1の工程断面図である。 第2の工程断面図である。 第3の工程断面図である。 第4の工程断面図である。 第5の工程断面図である。 第6の工程断面図である。 第7の工程断面図である。 図1に示す薄膜圧電共振器の要部の断面透過電子顕微鏡写真である。 図1に示す薄膜圧電共振器の要部の微小部電子線回折パターンを示す図である。 第1の実施の形態に係る高周波フィルタの回路図である。 第1の実施の形態に係るVCOの回路図である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する第1の工程断面図である。 第2の工程断面図である。 第3の工程断面図である。 第4の工程断面図である。 第5の工程断面図である。 第6の工程断面図である。 第7の工程断面図である。 第8の工程断面図である。 図21に示す薄膜圧電共振器の要部の断面透過電子顕微鏡写真である。 図22に示す薄膜圧電共振器の要部の拡大断面透過電子顕微鏡写真である。 図22に示す薄膜圧電共振器の要部の微小部電子線回折パターンを示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する第1の工程断面図である。 第2の工程断面図である。 第3の工程断面図である。 第4の工程断面図である。 第5の工程断面図である。 第6の工程断面図である。 第7の工程断面図である。 第8の工程断面図である。 第9の工程断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する第1の工程断面図である。 第2の工程断面図である。 第3の工程断面図である。 第4の工程断面図である。 第5の工程断面図である。 第6の工程断面図である。 第7の工程断面図である。 第8の工程断面図である。 第9の工程断面図である。 第10の工程断面図である。
符号の説明
1 薄膜圧電共振器
2 基板
35 空洞
4 下地層
5 第1の電極
6 圧電体
7 スペーサ
61 第1の圧電体
63 第2の圧電体
81 引出電極
82 第2の電極
9 穴
10 音響ミラー反射層

Claims (14)

  1. 基板上に第1の電極層を形成する工程と、
    前記第1の電極層上に第1の圧電体層を形成する工程と、
    前記第1の圧電体層をパターンニングして第1の圧電体を形成し、第1の電極層をパターンニングして第1の電極を形成する工程と、
    前記第1の圧電体の表面をクリーニングする工程と、
    前記第1の圧電体のクリーニングされた表面上に第2の圧電体を形成し、前記第1の圧電体上に前記第2の圧電体を積層した圧電体を形成する工程と、
    前記圧電体上に第2の電極を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする薄膜圧電共振器の製造方法。
  2. 前記第1の圧電体を形成する工程は第1の窒化アルミニウム圧電体を形成する工程であり、第2の圧電体を形成する工程は第2の窒化アルミニウム圧電体を形成する工程であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  3. 前記第1の電極を形成する工程はアルミニウムを主成分とする電極を形成する工程であることを特徴とする請求項2に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  4. 前記第1の圧電体の表面をクリーニングする工程はイオンスパッタリングを使用して前記第1の圧電体の清浄面を出す工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  5. 前記第1の電極層上に第1の圧電体層を形成する工程は前記第1の電極層上にその(111)配向に従って結晶方位を揃えた前記第1の圧電体層を形成する工程であることを特徴とする請求項3に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  6. 前記圧電体を形成する工程は、前記第1の圧電体層上にその表面の結晶粒子の結晶方位を引き継いだ結晶粒子を備えた前記第2の圧電体を積層し、前記圧電体を形成する工程であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  7. 前記基板上に前記第1の電極層の配向性を整える下地層を形成する工程を更に備え、
    前記基板上に第1の電極層を形成する工程は、前記下地層を形成した後に、この下地層上に前記第1の電極層を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  8. 前記第1の電極下において、前記基板表面に空洞を形成する工程を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  9. 前記基板と前記第1の電極との間に、音響ミラーを形成する工程を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  10. 基板と、
    前記基板上の第1の電極と、
    前記第1の電極上に配設されこの第1の電極上面形状と同一の下面形状を有する第1の圧電体及びこの第1の圧電体上に積層された第2の圧電体を備えた圧電体と、
    前記圧電体上の第2の電極と、
    を備えたことを特徴とする薄膜圧電共振器。
  11. 前記第1の電極の各結晶粒子、前記第1の圧電体の各結晶粒子のそれぞれは互いに隣り合う位置において同一の結晶方位を備え、
    前記第1の圧電体の各結晶粒子、前記第2の圧電体の各結晶粒子のそれぞれは互いに隣り合う位置において同一の結晶方位を備えていることを特徴とする請求項10に記載の薄膜圧電共振器。
  12. 前記基板表面において、前記第1の電極下に空洞を更に備えたことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の薄膜圧電共振器。
  13. 前記基板と前記第1の電極との間に、音響ミラーを更に備えたことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の薄膜圧電共振器。
  14. 基板と、
    前記基板上のタンタルアルミニウム下地層と、
    前記タンタルアルミニウム下地層上のアルミニウムを主成分とする第1の電極と、
    前記第1の電極上の第1の窒化アルミニウム圧電体及びこの第1の窒化アルミニウム圧電体上の第2の窒化アルミニウム圧電体を備えた圧電体と、
    前記圧電体上の第2の電極と、
    を備えたことを特徴とする薄膜圧電共振器。
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