JP2006216097A - 追記型光記録媒体及びその製造方法、並びに記録再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸化物を含む記録層と、反射層と、該記録層と該反射層との間に断熱層とを少なくとも有する追記型光記録媒体であって、前記断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の前記追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みであることを特徴とする追記型光記録媒体である。該断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みのうちの最も薄い厚みである態様、該断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みのうちの2番目に薄い厚みである態様、などが好ましい。
【選択図】 なし
Description
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解及び変質による屈折率変化を生じさせることで記録ピットを形成させている。このため、記録層に用いられる有機材料の光学定数や分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
つまり、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することは可能となるが、大きな屈折率を持たないため、大きな変調度を得ることができなくなるという課題がある。
また、特許文献5には、一般式(Bi2O3)x(MmOn)y(Fe2O3)zにおいて、MmOnの酸化物、x、y、及びzの割合を規定した非晶質相を50%以上含む金属酸化物及びその製造方法が開示されている。
また、特許文献6には、一般式(B2O3)x(Bi2O3)1−xの組成を有する非晶質化合物で、その組成xの範囲、急冷方法について開示されている。
また、特許文献7には、一般式(Bi2O3)1−x(Fe2O3)x(但し、0.90≧x>0)からなる組成を有するビスマス−鉄系非晶質化合物材料が開示されている。
なお、断熱層厚みを、追記型光記録媒体の反射率が極小値となるような断熱層の厚みに設定するとジッタ特性が最良となる原因の詳細は不明であるが、記録感度が高くなること(記録パワーが下がる)及び、高い変調度が得られることに起因するものと考えられる。
<1> 酸化物を含む記録層と、反射層と、該記録層と該反射層との間に断熱層とを少なくとも有する追記型光記録媒体であって、
前記断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の前記追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みであることを特徴とする追記型光記録媒体である。該<1>の追記型光記録媒体においては、酸化物、特に酸化ビスマスを含む記録層を有する追記型光記録媒体において、その記録再生特性を十分引き出すことができる最適な厚みの断熱層を有する追記型光記録媒体を提供することができる。
<2> 断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みのうちの最も薄い厚みである前記<1>に記載の追記型光記録媒体である。該<2>の追記型光記録媒体においては、該光記録媒体の反射率が極小値をとるうちの最薄の厚みの断熱層に設定した場合、非常に優れた記録再生特性が実現できる。
<3> 断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みのうちの2番目に薄い厚みである前記<1>に記載の追記型光記録媒体である。該<3>の追記型光記録媒体においては、該光記録媒体の反射率が極小値をとる厚みのうちの2番目に薄い厚みの断熱層に設定した場合、非常に優れた記録再生特性が実現できる。
<4> 断熱層の厚みが、下記数式1から算出されるd1±5(nm)、及び下記数式2から算出されるd2±10(nm)のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の追記型光記録媒体である。
<数式1>
d1=(−9.2×n)+35
<数式2>
d2=(−60.9×n)+240
ただし、前記数式1及び数式2において、nは、断熱層の複素屈折率の実部を表す。
<5> 記録層における酸化物が、酸化ビスマスである前記<1>から<4>のいずれかに記載の追記型光記録媒体である。該<5>の追記型光記録媒体においては、酸化ビスマスを含む記録層では、非常に優れた記録再生特性を有するためである。
<6> 記録層の厚みが25nm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の追記型光記録媒体である。
<7> 断熱層が、少なくともZnSを含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の追記型光記録媒体である。
<8> 断熱層が、ZnSとSiO2との混合物を含む前記<7>に記載の追記型光記録媒体である。
<9> 反射層が、Ag及びAg合金のいずれかを含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の追記型光記録媒体である。
<10> 基板を有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の追記型光記録媒体である。
<11> 断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みをシミュレーションにより求め、該厚みの断熱層を記録層と反射層との間に形成する断熱層形成工程を少なくとも含むことを特徴とする追記型光記録媒体の製造方法である。該<11>の追記型光記録媒体の製造方法においては、良好な記録再生特性を実現できる断熱層厚みを、シミュレーションによって容易に精度よく設定でき、追記型光記録媒体の品質向上と生産性向上に大きく貢献することができる。
<13> 記録再生が450nm以下のレーザ光を照射することにより行われる前記<12>に記載の追記型光記録媒体の記録再生方法である。
また、本発明によると、良好な記録再生特性を実現できる断熱層厚みを、シミュレーションによって容易に精度よく設定できるようになり、追記型光記録媒体の品質向上と生産性向上に大きく貢献できる追記型光記録媒体の製造方法を提供できる。
本発明の追記型光記録媒体は、酸化物を含む記録層と、反射層と、該記録層と反射層との間に断熱層とを少なくとも有してなり、基板、保護層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記断熱層の厚みは、該断熱層の厚みを変化させた時の前記追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みである。
この場合、前記断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の前記追記型光記録媒体の反射率が極小値をとる厚みの中から最も薄い厚みであることが好ましい。このように光記録媒体の反射率が極小値をとる厚みの中から最薄の厚みに断熱層を設定した場合、非常に優れた記録再生特性が実現できる。
また、前記断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の前記追記型光記録媒体の反射率が極小値をとる厚みの中から2番目に薄い厚みであることが好ましい。この反射率が極小値をとる厚みの中から最薄の厚みに断熱層を設定した場合、非常に優れた記録再生特性が実現できる。
即ち、前記反射率は、勿論、実際に光記録媒体を作製して、細かく断熱層の厚みを変化させて測定しても構わないが、前記断熱層の厚みが十分薄くなってくると(例えば、断熱層の厚み10nm以下)、膜の凝集状態などが厚膜状態(一般的な状態)と異なり、反射率特性に大きなバラツキが生じやすいため、特異な反射率特性を示す場合がある。また、光記録媒体の反射率測定によって断熱層の最適厚みを判断できなくなる場合が生ずる。
例えば、断熱層厚みを実際に細かく変化させて反射率を測定した場合、前記「反射率が極小値をとる最薄の厚み」が現れない場合がある。
これは、前記「反射率が極小値をとる最薄の厚み」よりも断熱層を薄くすると、上述したように、前記断熱層の膜質状態が通常状態と異なってくる場合があるため、極小値が極小値として現れなくなるためである。
ただし、実測で極小値が現れなくても、本来極小値となるはずの断熱層厚みでは(すなわち、シミュレーション上の極小値)、記録再生特性に優れることは変らないのである(ただし、その厚みで実測の反射率が極小値とならなくなっているだけである)。
<数式1>
d1=(−9.2×n)+35
<数式2>
d2=(−60.9×n)+240
ただし、前記数式1及び数式2において、nは、断熱層の複素屈折率の実部を表す。
ここで、d1とd2で厚み許容誤差範囲が異なるのは、断熱層厚みが厚くなると厚みのばらつきが大きくなることを考慮しなければならないためである。
この限定を加えた場合、断熱層厚みを変化させた時の反射率において、該反射率が極小値をとる最薄の厚みd1は、およそ上記数式1で、該反射率が極小値をとる2番目に薄い厚みd2は、およそ上記数式2で表すことができる。
前記断熱層におけるZnSの含有量は、95〜50mol%が好ましく、90〜75mol%がより好ましい。
ここで、図1は、本発明の追記型光記録媒体の一実施形態を説明するための断面図であり、基板1上に記録層2、断熱層3、反射護層4がこの順に形成され、必要に応じて反射層上に紫外線(UV)硬化樹脂からなる保護層が形成されていてもよく、更に必要に応じて保護層上に、光記録媒体の更なる補強或いは保護のために、別の基板を貼り合わせてもよい。
具体的には、以下の層構成のものが挙げられる。
(1)基板/酸化物を含む記録層/断熱層/反射層
(2)基板/下引層/酸化物を含む記録層/断熱層/反射層
(3)基板/反射層/断熱層/酸化物を含む記録層/保護層
(4)基板/反射層/断熱層/酸化物を含む記録層/上引層/保護層
更に、上記構造は、多層化されても構わない。
前記基板としては、例えば、表面にトラッキング用の案内溝を有し、直径12cm、厚さ0.6mmのディスク状で、加工性、光学特性に優れたポリカーボネート樹脂製基板が好適である。トラッキング用の案内溝は、ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μm範囲内の蛇行溝であることが好ましい。特に溝を深くすることにより、光記録媒体の反射率が下がり変調度を大きくすることができる。
前記酸化物を含む記録層(以下、RO層と称することもある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記RO層において、Rとしては、Y、Bi、In、Mo、V及びランタン系列元素から選ばれる一種以上の元素を用いることができる。Oは酸素を表す。これらの中でも、優れた記録再生特性と信頼性を有する点から、酸化ビスマスが特に好ましい。
更に、前記RO層には、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、及びNbの中から選択される少なくとも1種の元素Mを含有させることが好ましい。
また、記録再生特性の一層の向上を図るには、RとしてBiを選択することが好ましい。また、Bia4BbOd又はBia4BbMcOdで表されるBiO膜又はBiOM膜を採用することにより、記録再生特性や保存安定性性等を改善させることができる。4B族元素としてはC、Si、Ge、Sn、Pbが挙げられ、これらの中でも、SiとGeが特に好ましい。
また、BiOM膜の場合には、添加元素Mの作用により、大きな複素屈折率の変化、組成の変化、溶融を起こしたり、或いは隣接層に構成元素を拡散させる能力が更に向上する。
また、RO層が元素Mを含有する場合は、(1)R−M−Oの三元化合物、(2)R+MO(元素Rと元素Mの酸化物からなる混合物)、(3)RO+MO(元素Rの酸化物と元素Mの酸化物からなる混合物)、(4)R+RO+MO(元素R、元素Rの酸化物、及び元素Mの酸化物からなる混合物)、或いは(1)〜(4)の組み合わせからなる元素、化合物を同時に含有してもよい。逆に言えば、本発明で言うRO層とは、前記のような混合物を含めた総称である。
そして、例えば元素R(非酸化物状態)を記録によって酸化させ、これに伴ってRO層の複素屈折率を大きく変化させることができる。この酸化という記録原理を用いれば非変形記録を実現でき、符号間干渉の小さい記録を行うことができる。
また、例えば元素Rの酸化物を記録によって還元させ、これに伴ってRO層の複素屈折率を大きく変化させることができる。この還元という記録原理を用いれば非変形記録を実現でき、符号間干渉の小さい記録を行うことができる。
但し、RO層において、元素R及び/又は元素Mが非酸化物状態で多く存在する場合は、RO層の保存安定性を低下させる場合があるので、元素R及び/又は元素M単体の含有量は、元素R及び/又は元素Mの酸化物量に対して少ない方が好ましい場合がある。この割合は、記録感度、ジッタ、保存安定性等の兼ね合いによって適宜調整することが可能である。本発明では、光吸収機能及び記録機能の主体が元素R又はその酸化物であり、前記元素R群が特有な効果を有する。
特に、RO層が、RxMyOの組成で表される場合(ただし、x、yは原子数比)、x/(x+y)≧0.3とすることで、記録再生特性の向上を図ることができる。なお、細かな記録再生特性や、保存安定性の調整にはx/(x+y)≧0.3の範囲外のRO層を使用することも有効である。
前記記録層の厚みは、25nm以下が好ましく、5〜15nmがより好ましい。前記厚みが25nmを超えると、反射率が極端に低下したり、記録層内に熱が広がり易くなり、記録再生特性が悪化することがある。
前記反射層は光反射層としての役割を果たす一方で、記録時にレーザ光照射により記録層に加わった熱を逃がす放熱層としての役割も担っている。非晶質マークの形成は,放熱による冷却速度により大きく左右されるため,反射層の選択は高線速対応媒体では特に重要である。
なお、このように高熱伝導率性を考慮すると純銀が最良であるが、耐食性を考慮しCuを添加してもよい。この場合Agの特性を損なわないためには銅の添加量範囲は0.1〜10原子%程度が好ましく、特に0.5〜3原子%が好適である。過剰の添加は逆にAgの耐食性を劣化させてしまう。
前記反射層の膜厚は100〜300nmが好ましい。反射層の放熱能力は基本的には層の厚さに比例するので、100nm未満であると、冷却速度が低下するため好ましくない。一方、300nmより厚くなると、材料コストの増大を招くので好ましくない。
従って、基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにしている。
そこで、例えば、基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射層を設け、更にその上に光を透過する薄膜である光透過性の保護層を設けるようにし、保護層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体や、基板上に反射層を設け、その上に記録層を設け、更にこの上に光透過性を有する保護層を設けるようにし、保護層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体が提案されている。
このようにすれば、保護層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄い保護層を設け、この保護層側から記録再生することで、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、このような保護層は、ポリカーボネート樹脂製シートや、紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。また、前記保護層には、該保護層を接着するための層を含めてもよい。
本発明の追記型光記録媒体の製造方法は、断熱層形成工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記断熱層形成工程は、断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みをシミュレーションにより求め、該厚みの断熱層を前記記録層と前記反射層との間に形成する工程である。
ここで、前記シミュレーションは、例えば、追記型光記録媒体の構成として、プラスチック基板/酸化物を含む記録層/断熱層/反射層を選択し、酸化物を含む記録層としてはBiFeO、断熱層としてはZnS-SiO2(ZnS:SiO2=85:15(モル比))を採用した。記録層(BiFeO)厚みを5nm、反射層厚みを100nmと固定し、断熱層(ZnS-SiO2)厚みを0〜200nmまで変化させて、追記型光記録媒体の反射率をディフラクト(MM Research,Inc.社製)により計算(シミュレーション)して、行うことができる。
本発明の追記型光記録媒体の記録再生方法は、本発明の前記追記型光記録媒体における記録層にレーザ光を照射して情報の記録及び再生の少なくともいずれかを行う。
この場合、前記記録再生は450nm以下のレーザ光により行われることが好ましい。
前記記録層における酸化物材料は、記録再生波長が450nm以下の領域で、適度な複素屈折率を有するため、一般的に相変化型光記録媒体で用いられる材料に比べて、高反射率を実現しやすく、追記型光記録媒体に向いているという利点がある。
また、一般的に相変化型光記録媒体で用いられる材料に比べて、複素屈折率の虚部が小さいため、多層型追記型光記録媒体を実現しやすい。
前記酸化物材料のこれらの特性(高反射率及び高透過率特性)を十分に活かせる記録再生波長領域が450nm以下である。
−シュミレーション−
追記型光記録媒体の構成として、プラスチック基板/酸化物を含む記録層/断熱層/反射層を選択し、酸化物を含む記録層としてはBiFeO、断熱層としてはZnS-SiO2(ZnS:SiO2=85:15(モル比))を採用した。
前記基板、記録層、断熱層、及び反射層の複素屈折率(n、k)を表1に示す。なお、nは複素屈折率の実部、kは複素屈折率の虚部を表す。
図2の結果から、追記型光記録媒体の反射率が極小値をとる断熱層(ZnS-SiO2)の厚みは15nm近傍、100nm近傍であることがわかった。
<数式1>
d1=(−9.2×n)+35
<数式2>
d2=(−60.9×n)+240
ただし、前記数式1及び数式2において、nは、断熱層の複素屈折率の実部を表す。
反射率が極小値をとる2番目に薄い断熱層の厚みd2は、上記数式2から、d2=−60.9×n+240=99.93nmとなった。
これらの結果から、上記数式1及び数式2で求められた結果と、図2の結果は非常によく一致することが確認できた。
実施例1のシミュレーション結果に基づいて、実際に、追記型光記録媒体を作製した。
まず、直径12cm、厚さ0.6mm、トラックピッチ0.43μm、溝深さ20nmのポリカーボネート樹脂製基板上に、スパッタ法(芝浦メカトロニクス社製のスパッタリング装置)により、記録層としてのBiFeOを厚みが5nmとなるように成膜した。
次に、記録層上に、ZnS:SiO2=85:15(モル比)のターゲットを用いてスパッタ法により断熱層としてのZnS-SiO2を厚みが15nmとなるように成膜した。
次に、断熱層上に、反射層としてのAg合金層をスパッタ法により厚みが100nmとなるように成膜した。
次に、反射層上に、塗布法により保護層を厚みが5μmとなるように成膜して、追記型光記録媒体を作製した。
実施例2において、断熱層としてのZnS-SiO2の厚みを100nmにした以外は、実施例2と同様にして、追記型光記録媒体を作製した。
実施例2において、断熱層としてのZnS−SiO2の厚みを20nmにした以外は、実施例2と同様にして、追記型光記録媒体を作製した。
この比較例1の断熱層の厚み20nmは、図2に示す通り、追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みではないことが明らかである。
実施例2において、断熱層としてのZnS−SiO2の厚みを78nmにした以外は、実施例2と同様にして、追記型光記録媒体を作製した。
この比較例2の断熱層の厚み78nmは、図2に示す通り、追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みではないことが明らかである。
<記録再生条件>
・変調方式:1−7変調
・記録線密度:最短マーク長(2T)=0.204μm
・記録線速度:6.6m/s
・波形等化:リミットイコライザ(Blu-ray規格に準拠)
・再生パワー:0.5mW
−シミュレーション−
追記型光記録媒体の構成として、プラスチック基板/酸化物を含む記録層/断熱層/反射層を選択し、これらの複素屈折率(n、k)を、表3に示す通りに設定した。なお、nは複素屈折率の実部、kは複素屈折率の虚部を表す。
図3の結果から、反射率の極小値をとる厚みは、断熱層の複素屈折率の実部が小さくなると、断熱層の厚みが厚くなる側にシフトすることがわかる。即ち、断熱層厚みを変化させた時の反射率が極小値をとる2番目に薄い厚みをできるだけ薄くするには(断熱層の厚みを薄くできれば生産性を上げることができる)、断熱層の複素屈折率の実部を高くすることが好ましい。この点で、断熱層材料にZnSを含有させることは非常に有効であることが認められる。
この事実を更に検証するため、実施例1において、断熱層であるZnS-SiO2を、ZnS:SiO2=85:15(モル比)からZnS:SiO2=50:50(モル比)に変更した。このZnS:SiO2=50:50(モル比)の複素屈折率の実部は、エリプソメトリーによる測定の結果、1.7であった。
実施例4のシミュレーション結果に基づいて、実施例2と同様にして、以下の組成及び厚みの追記型光記録媒体を作製した。
即ち、プラスチック基板(トラックピッチ0.43μm、溝深さ20nm)/記録層としてのBiFeO(厚み:5nm)/断熱層としてのZnS-SiO2(厚み:14nm)/反射層としてのAg合金層(厚み:100nm)/保護層(厚み:5μm)を順次積層して、追記型光記録媒体を作製した。
実施例5において、断熱層としてのZnS-SiO2の厚みを22nmとした以外は、実施例5と同様にして、追記型光記録媒体を作製した。
これに対し、図3で示したシミュレーションで反射率が極小値をとる最薄の厚みである22nm(図3において、複素屈折率の実部が1.7の反射率曲線を参照)に断熱層厚みを設定した場合に良好な記録再生特性が実現できることが確認できた。
このように数式1及び数式2で求められた断熱層の最適厚みの結果と、図3の結果は非常によく一致することが認められた。
2 記録層
3 断熱層
4 反射層
Claims (13)
- 酸化物を含む記録層と、反射層と、該記録層と該反射層との間に断熱層とを少なくとも有する追記型光記録媒体であって、
前記断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の前記追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みであることを特徴とする追記型光記録媒体。 - 断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みのうちの最も薄い厚みである請求項1に記載の追記型光記録媒体。
- 断熱層の厚みが、該断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みのうちの2番目に薄い厚みである請求項1に記載の追記型光記録媒体。
- 断熱層の厚みが、下記数式1から算出されるd1±5(nm)、及び下記数式2から算出されるd2±10(nm)のいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の追記型光記録媒体。
<数式1>
d1=(−9.2×n)+35
<数式2>
d2=(−60.9×n)+240
ただし、前記数式1及び数式2において、nは、断熱層の複素屈折率の実部を表す。 - 記録層における酸化物が、酸化ビスマスである請求項1から4のいずれかに記載の追記型光記録媒体。
- 記録層の厚みが25nm以下である請求項1から5のいずれかに記載の追記型光記録媒体。
- 断熱層が、少なくともZnSを含む請求項1から6のいずれかに記載の追記型光記録媒体。
- 断熱層が、ZnSとSiO2との混合物を含む請求項7に記載の追記型光記録媒体。
- 反射層が、Ag及びAg合金のいずれかを含む請求項1から8のいずれかに記載の追記型光記録媒体。
- 基板を有する請求項1から9のいずれかに記載の追記型光記録媒体。
- 断熱層の厚みを変化させた時の追記型光記録媒体の反射率が極小値となる厚みをシミュレーションにより求め、該厚みの断熱層を記録層と反射層との間に形成する断熱層形成工程を少なくとも含むことを特徴とする追記型光記録媒体の製造方法。
- 請求項1から11のいずれかに記載の追記型光記録媒体における記録層にレーザ光を照射して情報の記録及び再生の少なくともいずれかを行うことを特徴とする追記型光記録媒体の記録再生方法。
- 記録再生が450nm以下のレーザ光を照射することにより行われる請求項12に記載の追記型光記録媒体の記録再生方法。
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