JP2006215374A - 結像光学系及びそれを用いた画像読取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 オフアキシャル光学素子自身の重さによる変形での結像位置ズレを小さく抑えた簡易な構成の結像光学系及びそれを用いた画像読取装置を得ること。
【解決手段】 原稿7面上の画像情報を、センサー5上に結像させ、該センサーで、該画像情報を読取る為の画像読取用の結像光学系であって、該結像光学系4は、外形が互いに直交する方向で長さが異なり、厚みが外形の短手方向の長さより小さく、樹脂材料から成る反射型のオフアキシャル光学素子を複数有し、該複数のオフアキシャル光学素子4a,4bは、各々の鏡面R2,R4が互いに向き合うように配置されており、条件式を満足するように構成されていること。
【選択図】 図1

Description

本発明は結像光学系及びそれを用いた画像読取装置に関し、特に各種収差がバランスよく補正され、高解像力の画像読取ができるイメージスキャナーやデジタル複写機等においてラインセンサーを用いてモノクロ画像やカラー画像を読取る際に好適なものである。
従来より、原稿面上の画像情報を読取る画像読取装置として主走査方向に複数の受光素子を配列したラインセンサーを用い、その画像情報をラインセンサー(CCD)面上に結像させ、原稿とラインセンサーとの相対的位置を副走査方向に変位させて該ラインセンサーから得られる出力信号を利用して、該原稿等の画像情報を読取るようにした画像読取装置が種々提案されている。
図7は従来のキャリッジ一体型走査方式の画像読取装置の概略図である。同図において照明光源81から放射された光束は直接原稿台ガラス82に載置した原稿87を照明し、該原稿87からの反射光束を順に第1、第2、第3折り返しミラー83a、83b、83cを介してキャリッジ86内部でその光路を折り曲げ、結像レンズ(結像光学系)84によりラインセンサー85面上に結像させている。
そしてキャリッジ86を副走査モーター88により図7に示す矢印A方向(副走査方向)に移動させることにより原稿87の画像情報を読み取っている。同図におけるラインセンサー85は複数の受光素子を1次元方向(主走査方向)に配列した構成により成り立っている。
図8は図7の画像読取装置の読取光学系の基本構成の説明図である。
図中、84は結像光学系、85R,85G,85Bは各々ラインセンサー85のR(赤色),G(緑色),B(青色)の各色を読み取るラインセンサー、87R,87G,87Bはラインセンサー85R,85G,85Bに対応する原稿87面上の読取範囲である。
原稿87面を走査することによってある時間間隔をおいて同一箇所を異なる色で読み取ることができる。前記構成において結像光学系84が通常の屈折系からなる場合には軸上色収差や倍率色収差が発生するので基準のラインセンサー85Gに対しラインセンサー85B,85Rに結像されるライン像にデフォーカスあるいは位置ズレが発生する。したがって各色画像を重ね合わせて再現した時に色にじみやズレの目立つ画像になる。すなわち高開口、高解像度の性能が要求される場合には要求に対応できなくなる。
一方、最近、非共軸光学系においても、基準軸という概念を導入し構成面を非対称非球面にすることで、十分収差が補正された光学系が構築可能であることが提案されている(特許文献1〜3参照)。特許文献1にその設計方法が、特許文献2、特許文献3にその設計例が示されている。
こうした非共軸光学系はオフアキシャル光学系(像中心と瞳中心を通る光線に沿った基準軸を考えた時、構成面の基準軸との交点における面法線が基準軸上にない曲面(オフアキシャル曲面)を含む光学系として定義される光学系で、この時、基準軸は折れ曲がった形状となる)と呼ばれる。
このオフアキシャル光学系は、構成面が一般には非共軸となり、反射面でもケラレが生じることがないため、反射面を使った光学系の構築がし易い。また、光路の引き回しが比較的自由に行える、構成面を一体成型する手法で一体型の光学系を作りやすいという特徴をもっている。
このような技術を画像読取用の結像光学系に用いたものが開示されている(特許文献4参照)。これに開示されている技術により、画像読取装置において色収差のない十分収差が補正された5面、6面の反射面(オフアキシャル反射面)からなるオフアキシャル光学系が達成されている。但し小型化の達成も同時に狙っているため、実施例ではキャリッジ一体型に好適な光学系となっている。
また同様の技術を画像読取用の結像光学系に用いたものが開示されている(特許文献5参照)。これに開示されている実施例では3面の反射面(オフアキシャル反射面)からなるオフアキシャル光学系が示されており、2:1ミラー走査型のスキャナーへ適用するのに十分な光路長となっている。
さらにオフアキシャル光学系を簡易に構成(低コスト化)するために樹脂材料を用いた場合に発生する温度変化による結像面の位置ズレに関しての発明が開示されている(特許文献6参照)。
特開平9−5650号公報 特開平8−292371号公報 特開平8−292372号公報 特開2002−335375号公報 特開2003−57549号公報 特開2003−287683号公報
一方、このような反射型のオフアキシャル光学系の場合、全ての面を球面で構成しつつ光学性能を良好に保つことは困難であり、少なくとも1面は回転非対称な非球面(自由曲面)を導入することで良好なる光学性能を達成することが可能となる。
ところで一般に反射面で構成された光学系は偏心収差に弱いことが知られている。回転非対称な非球面(自由曲面)を有する反射型の光学素子をオフアキシャル光学系に組み込む場合、通常の球面反射面に増してなお、それを保持する部材と反射型の光学素子自身に高精度であることが要求される。
またオフアキシャル反射面が自由曲面形状の反射面の場合、通常のガラスで製造しようとすると、製造工程が複雑化してコスト上昇を招いてしまうため、例えばポリカーボネートやアクリル、ポリオレフィン系等のプラスチックでの製造が考えられるが、特許文献6が示すような環境変化、特に温度変化による結像位置ズレの問題点の他に、光学素子(オフアキシャル光学素子)自身が自重で変形し、結像位置ズレが発生してしまうという問題点が発生する。
一般に光学用として使われる樹脂材料の曲げ弾性率はガラス材料の曲げ弾性率に比べ非常に小さく変形し易い。そこで単純に光学素子自身が自重で変形しにくいように強度を持たせると、該光学素子が大きく厚くなり、これによって該光学素子の成型時間が長くなったり、取り個数が減ったりするため、製造が難しくなって(コスト上昇)しまうという問題点が発生する。
本発明はオフアキシャル光学素子自身の重さによる変形での結像位置ズレを小さく抑えた簡易な構成の結像光学系及びそれを用いた画像読取装置の提供を目的とする。特にオフアキシャル光学素子の材料として樹脂材料を用いた場合に好適な画像読取装置の提供を目的とする。
請求項1の発明の結像光学系は、
原稿面上の画像情報を、センサー上に結像させ、該センサーで、該画像情報を読取る為の画像読取用の結像光学系であって、
該結像光学系は、外形が互いに直交する方向で長さが異なり、厚みが外形の短手方向の長さより小さく、樹脂材料から成る反射型のオフアキシャル光学素子を複数有し、該複数のオフアキシャル光学素子は、各々の鏡面が互いに向き合うように配置されており、
該複数のオフアキシャル光学素子のうち、1つのオフアキシャル光学素子は基準軸光線を反射する鏡面上の反射点における面法線と、該結像光学系に入射する基準軸光線との成す角度の絶対値をθa、該1つのオフアキシャル光学素子の鏡面と向き合う他の1つのオフアキシャル光学素子は、基準軸光線を反射する鏡面上の反射点における面法線と、該結像光学系に入射する基準軸光線との成す角度の絶対値をθbとするとき
−30°<θa−θb<30°
なる条件を満足するように構成されていることを特徴としている。
請求項2の発明は請求項1の発明において、
前記センサーはラインセンサーより成り、該ラインセンサーのライン方向を主走査方向、それと直交する方向を副走査方向とするとき、前記オフアキシャル光学素子は、基準軸に対して主走査方向に対称であり、副走査方向に非対称な反射面より成ることを特徴としている。
請求項3の発明は請求項2の発明において、
前記複数のオフアキシャル光学素子の厚みは、オフアキシャル光学素子の形状寸法の大きさにより異なることを特徴としている。
請求項4の発明は請求項1乃至3の何れか1項の発明において、
前記結像光学系はnを正の整数とするとき、2n(0<n<3)個のオフアキシャル光学素子を有していることを特徴としている。
請求項5の発明は請求項4の発明において、
前記複数のオフアキシャル光学素子は、鏡筒の保持部に保持されており、各々のオフアキシャル光学素子の鏡筒の保持部に当接する部分の位置は、各々オフアキシャル光学素子毎に異なることを特徴としている。
請求項6の発明は請求項1乃至5の何れか1項の発明において、
前記複数のオフアキシャル光学素子のうち任意の1つのオフアキシャル光学素子の厚さをLz、短手方向の長さをLyとするとき、
1.5<Ly/Lz<20
なる条件を満足することを特徴としている。
請求項7の発明は請求項1乃至6の何れか1項の発明において、
オフアキシャル光学素子とオフアキシャル光学素子との間の光路内に絞りを有していることを特徴としている。
請求項8の発明の画像読取装置は、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の結像光学系を用いて、原稿を載置する原稿台面上の画像情報を、ラインセンサー上に結像させ、該原稿と該ラインセンサーとを相対的に移動することで該ラインセンサーで該画像情報を読取ることを特徴としている。
本発明によれば、結像光学系を樹脂材料からなるオフアキシャル光学素子で構成したイメージスキャナーやデジタル複写機等のラインセンサーを用いた画像読取装置において、該オフアキシャル光学素子自身の重さによる変形での結像位置ズレを小さく抑えた簡易な構成の結像光学系及びそれを用いた画像読取装置を達成することができる。
各実施例の説明に入る前に、各実施例で用いている結像光学系(光学系)の構成諸元の表し方及び実施例全体の共通事項について説明する。
図9は本発明の結像光学系の構成データを定義する座標系の説明図である。実施例では物体側から像面に進む1つの光線(図9中の一点鎖線で示すもので後述する基準軸光線La1に沿ってi番目の面を第i面とする。
図9において第1面R1は絞り、第2面R2は第1面R1と共軸な屈折面、第3面R3は第2面R2に対してチルトされた反射面、第4面R4、第5面R5、第6面R6は各々の前面に対してシフト、チルトされた反射面、第7面R7は第6面R6に対してシフト、チルトされた屈折面である。第2面R2から第7面R7までの各々の面はガラス、プラスチック等の透明な媒質で構成される一つの光学素子上に構成されている。
従って、図9の構成では不図示の物体面から第2面R2までの媒質は空気、第2面R2から第7面R7まではある共通の媒質、第7面R7から第8面(例えば像面)R8までの媒質は空気で構成されている。
本発明の結像光学系はオフアキシャル光学系であるため結像光学系を構成する各面R2からR7は共通の光軸を持っていない。
そこで、実施例においては先ず第1面R1の光線有効径の中心を原点とする絶対座標系を設定する。そして、実施例においては、第1面R1の光線有効径の中心点を原点とすると共に、原点と最終結像面R8の中心を通る光線(基準軸光線)La1の経路を結像光学系の基準軸Laと定義している。さらに、実施例中の基準軸Laは方向(向き)を持っている。その方向は基準軸光線La1が結像に際して進行する方向である。
本発明の実施例においては、結像光学系の基準となる基準軸を上記の様に設定したが、結像光学系の基準となる軸の決め方は光学設計上、収差の取り纏め上、若しくは結像光学系を構成する各面形状を表現する上で都合の良い軸を採用すれば良い。しかし、一般的には像面の中心と、絞り又は入射瞳又は射出瞳又は光学系の第1面の中心若しくは最終面の中心のいずれかを通る光線の経路を光学系の基準となる基準軸に設定する。
つまり、本発明の実施例においては、基準軸は第1面R1、即ち絞り面の光線有効径の中心点を通り、最終結像面の中心へ至る光線(基準軸光線)が各屈折面及び反射面によって屈折・反射する経路を基準軸Laに設定している。各面の順番は基準軸光線La1が屈折・反射を受ける順番に設定している。
従って基準軸Laは設定された各面の順番に沿って屈折若しくは反射の法則に従ってその方向を変化させつつ、最終的に像面の中心に到達する。
本発明の各実施例の結像光学系を構成するチルト面は基本的にすべてが同一面内でチルトしている。そこで、絶対座標系の各軸を以下のように定める。
Z軸:原点を通り第2面R2に向かう基準軸
Y軸:原点を通りチルト面内(図9の紙面内)でZ軸に対して反時計回りに90゜をなす直線
X軸:原点を通りZ、Y各軸に垂直な直線(図9の紙面に垂直な直線)
また、結像光学系を構成する第i面の面形状を表すには、絶対座標系にてその面の形状を表記するより、基準軸と第i面が交差する点を原点とするローカル座標系を設定して、ローカル座標系でその面の面形状を表した方が形状を認識する上で理解し易い為、本発明の結像光学系に関する構成データを表示する実施例では第i面の面形状をローカル座標系で表わす。
また、第i面のYZ面内でのチルト角は絶対座標系のZ軸に対して反時計回り方向を正とした角度θi(単位°)で表す。よって、本発明の実施例では各面のローカル座標の原点は図9中のYZ平面上にある。またXZおよびXY面内での面の偏心はない。さらに、第i面のローカル座標(x,y,z)のy,z軸は絶対座標系(X,Y,Z)に対してYZ面内で角度θi傾いており、具体的には以下のように設定する。
z軸:ローカル座標の原点を通り、絶対座標系のZ方向に対しYZ面内において反時計方向に角度θiをなす直線
y軸:ローカル座標の原点を通り、z方向に対しYZ面内において反時計方向に90゜をなす直線
x軸:ローカル座標の原点を通り、YZ面に対し垂直な直線
また、Diは第i面と第(i+1)面のローカル座標の原点間の間隔を表すスカラー量、Ndi、νdiは第i面と第(i+1)面間の媒質の屈折率とアッベ数である。
また、本発明の実施例では光学系の断面図及び数値データを示す。
球面は以下の式で表される形状である:
また、本発明の実施例における結像光学素子は回転非対称の非球面を有し、その形状は以下の式により示す。
上記曲面式はxに関して偶数次の項のみであるため、上記曲面式により規定される曲面はyz面を対称面とする面対称な形状である。
また結像光学系の実施例はすべて共軸光学系ではないため、近軸理論に基づく焦点距離を直接計算することが困難である。そこで以下の定義による換算焦点距離feqを用いる。
なお定義上、反射面が奇数個の場合、焦点距離の符号は通常の符号と逆に表現される。
ここに
1:第1面において基準軸に平行で基準軸に無限に近く入射する光線の入射高さ
k’:該光線が最終面から射出時に基準軸となす角度
である。
図1は本発明の結像光学系を画像読取装置に適用したときの実施例1の副走査断面内の要部概略図である。
図2は図1の結像光学系4を抽出したときの副走査断面内の概略図である。
図1において1は光源(光源手段)であり、蛍光灯やキセノンランプ等から成っている。2は原稿台ガラスであり、その台上に原稿(物体)7が載置されている。3a、3b、3cは順に第1、第2、第3の反射ミラーである。
4は画像読取用の結像光学系(オフアキシャル光学系)であり、原稿7の画像情報に基づく光束を読取手段としてのラインセンサー5上に結像させている。
本実施例における結像光学系4は原稿7側から順に外形が互いに直交する方向で長さが異なり、厚みが外形の短手方向の長さより小さく,樹脂材料より成る第1、第2の2つの反射型のオフアキシャル光学素子(反射型オフアキシャル光学素子)4a,4bを有し、該第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bの鏡面(オフアキシャル反射面)R2,R4が互いに向き合うように配置している。第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bは具体的には短形状より成り、その厚み方向の長さがその短手方向(短辺方向)長さよりも短くなるように形成している。
SP(R3)は絞りであり、第1のオフアキシャル光学素子4aと第2のオフアキシャル光学素子4bとの間に配置している。
5はCCD等で構成されるラインセンサー(受光手段)であり、像面に相当する位置に配置している。6はキャリッジ(筐体)であり、各部材1,3a,3b,3c,4,5等を収納している。
ここでラインセンサー5の画素の並び方向(紙面と垂直方向 X方向)が主走査方向、それに直交する方向(紙面内方向 Y方向)が副走査方向である。光束の進行方向をZ方向とする。このときXZ面が主走査断面、YZ面が副走査断面である。
本実施例においては光源1から発した光束で原稿台ガラス2の上に載置された原稿(物体)7を照明し、該原稿7からの光束を第1、第2、第3の反射ミラー3a、3b、3cを介して結像光学系4によりラインセンサー5上に結像している。このとき原稿7とキャリッジ6との相対的位置を副走査方向(矢印A方向)に変えて原稿7を2次元的に読み取っている。
画像読取装置をコンパクトに構成するために第1、第2、第3の反射ミラー3a、3b、3cにより光路を折り畳んでいる。結像光学系4も光路を折り畳むのに寄与している。結像光学系4では光路をおおよそZの形状に折り畳むことで互いのオフアキシャル反射面R2,R4で発生する偏心収差をキャンセルし易くし、2面という少ない構成にもかかわらず良好なる結像性能を得ている。
更に良好なる結像性能を得るためにオフアキシャル反射面R2,R4を副走査断面(YZ面)に対し副走査断面内において非対称な自由曲面形状で構成して、副走査方向に光路を折り曲げによる偏芯収差を良好に補正している。
図2において12は結像光学系4の第1のオフアキシャル光学素子4aに入射する入射基準軸光線であり、同図では分かり易く延長して示している。以下、結像光学系4に入射するときの基準軸光線を「入射基準軸光線」という。13は第2のオフアキシャル光学素子4bから射出する基準軸光線であり、第1のオフアキシャル光学素子4aに入射する入射基準軸光線12に対して平行もしくは略平行となるように構成している。12aは入射基準軸光線12と平行な軸である。
8は第1のオフアキシャル光学素子4aの鏡面R2上で入射基準軸光線12を反射する点aにおける面法線、9は第2のオフアキシャル光学素子4bの鏡面R4上で基準軸光線13を反射する点bにおける面法線である。
θaは面法線8と入射基準軸光線12との成す角度の絶対値、θbは面法線9と入射基準軸光線12と平行な軸12aとの成す角度の絶対値である。
本実施例において重力は図1の図面上、下方向に働いており、比較的重力の影響を受けにくい配置に成っているものの0ではないためオフアキシャル光学素子の変形は発生する。また原稿台ガラス2を取り外し、キャリッジ6とその内部の部分だけを使い、ドキュメントフィーダー内に斜めに配置した場合は、より重力の影響を受け易くなる場合も発生する。
本実施例では上記面法線8と入射基準軸光線12との成す角度の絶対値θaと、面法線9と軸12aとの成す角度の絶対値θbが、
−30°<θa−θb<30°・・・(1)
なる条件を満足するように設定している。
条件式(1)は各々の角度の絶対値θa、θbを規定するための条件であり、条件式(1)を外れるとオフアキシャル光学素子自身の重さによる変形での結像位置ズレが大きくなってくるので良くない。面(鏡面)の変形をキャンセルすることが難しくなってくる。
更に好ましくは条件式(1)を次の如く設定するのが良い。
−15°<θa−θb<15°・・・(1a)
本実施例では上記角度の絶対値θa、θbを
θa=11.63°、θb=13.93°
としている。これにより、
θa−θb=−2.3°
となる。これは条件式(1)を満たしている。
本実施例の画像読取用の結像光学系4はパワーを有した屈折面は有さず、2つのオフアキシャル光学素子4a,4bを反射面から構成している。これはプリズムのように入射面と射出面で屈折作用を有する構成では自重変形による問題は少なくなるものの、プリズムの硝材の光学特性による色収差が発生し、読取画像に色ズレ問題が発生するという問題が発生してしまうためである。このためオフアキシャル光学素子を1つのブロックではなく複数の光学素子から構成し、製造を容易にするため樹脂材料から成っている。
またオフアキシャル光学素子はラインセンサー上に結像するという結像光学系ならではの特徴として、該オフアキシャル光学素子の外形は縦方向(Y方向)と横方向(X方向)の長さが異なり、長辺と短辺がある。無理に縦方向と横方向の長さを揃えることは可能であるが、オフアキシャル光学素子として無駄な部分も大きくなり、結像光学系としても副走査断面での大きさが非常に大きくなってしまう。オフアキシャル光学素子の厚さ(Z方向)をこの短辺方向(Y方向)の長さより短くすることで、オフアキシャル光学素子を製造するときの型構造を簡易にし、面精度を出し易くすると共に結像光学系の小型化も図っている。
さらにオフアキシャル光学素子の厚み方向の長さが一番短くなることで、面の変形をおおよそ鏡面方向に発生し易くして、鏡面が向きあったオフアキシャル光学素子と結像位置ズレのキャンセル関係をとり易くしている。逆にオフアキシャル光学素子の厚さが厚く、短辺方向の長さが一番薄くなると、面の変形は長辺方向(X方向)にたわんだ形となり、鏡面が向きあったオフアキシャル光学素子とキャンセル関係は成り立たなくなってしまう。
そしてこれら鏡面R2,R4が向きあったオフアキシャル光学素子4a,4bは完全に向き合っていなくても面の変形をキャンセルすることは可能であり、向き合ったオフアキシャル光学素子の大きさが異なれば、完全に向き合っていた場合よりも少々ズレていた方が良好な場合もあるため、本実施例では上記条件式(1)で示すように角度の差分にレンジ(幅)を持たせている。
また本実施例における第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bは、各々基準軸Laに対して主走査方向に対称(YZ断面に面対称)であり、副走査方向(副走査断面内)に非対称な自由曲面形状の反射面より成っている。
これは本実施例の結像光学系4が副走査断面内において偏心配置されたオフアキシャル光学系のためであり、このため副走査断面内の面形状は非対称になっている。主走査断面内の面形状は対称であるが、オフアキシャル光学素子の主走査方向の端部の鏡筒と当接部分を3点受けとしているため片側を1点、もう片側を2点という構造になっている。このためオフアキシャル光学素子としては完全には対称ではない。しかしながらあまり非対称になりすぎると、面の変形による結像位置ズレをキャンセルすることが難しくなるので、対称であることが好ましい。
また本実施例では、第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bの厚みを、各々該オフアキシャル光学素子4a,4bの外形寸法の大きさにより異ならせている。
これは互いに向き合ったオフアキシャル光学素子の大きさが異なると、変形量が異なるため、該オフアキシャル光学素子の大きさに応じて厚さを変えることで、変形による結像位置ズレをキャンセルし易くしている。
また本実施例の結像光学系4はnを正の整数とするとき、2n(0<n<3)個のオフアキシャル光学素子を有している。
これは結像光学系のオフアキシャル光学素子の全てが互いに鏡面が向き合って配置されていれば、全てのオフアキシャル光学素子で結像位置ズレのキャンセルを行うことができるため2の倍数のオフアキシャル光学素子が良いということである。但しトータルの面数が多くなりすぎては製造が難しくなるので本実施例ではnを0<n<3としている。またここではオフアキシャル光学素子の数は規定しているが、設計上の面の数は規定していない。
また本実施例では、第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bを鏡筒内の保持部に保持するとき、鏡筒の保持部に当接する部分の位置を各々該第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4b毎に異ならせている。
これはオフアキシャル光学学素子の大きさ、形状、鏡筒への組み付ける位置などがそれぞれ異なるため、面の変形の形をコントロールするためのものである。
また本実施例では、任意のオフアキシャル光学素子の短手方向の長さをLy、厚み方向の長さをLzとするとき、
1.5<Ly/Lz<20・・・(2)
なる条件を満足させている。
条件式(2)は前述したオフアキシャル光学素子の厚さを短辺方向より短くすることについて、より詳細に条件式化したものである。条件式(2)の下限値を越えるとオフアキシャル光学素子の厚みが厚くなりすぎて、該オフアキシャル光学素子を製造するときの時間が長くなり、良好なる面精度を保つのが困難になるという問題点が発生するので良くない。逆に条件式(2)の上限値を越えるとオフアキシャル光学素子の厚みが薄くなりすぎて、充分な強度が得られず、鏡筒への組付けで変形するという問題点が発生するので良くない。
更に好ましくは条件式(2)を次の如く設定するのが良い。
1.6<Ly/Lz<15・・・(2a)
本実施例では第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bの厚み方向の長さを各々Lz1、Lz2としたとき、該Lz1、Lz2を共に3mm、光線有効範囲の短辺方向の長さに有効部から外周までのマージンを両側に1mmずつ付加し、第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bの短辺方向の長さをLy1、Ly2としたとき、該Ly1、Ly2を各々
Ly1=6.4、Ly2=5.1
としている。これにより、
Ly1/Lz1=2.13 Ly2/Lz2=1.7
となる。これは条件式(2)を満たしている。
また本実施例では第1、第2のオフアキシャル光学素子4a,4bの間の光路内に絞りSP(R3)を設けており、これによりオフアキシャル反射面の小型化に寄与している。
以下に上で説明した本発明の実施例1に対応する画像読取結用の結像光学系の数値実施例ついて数値データを示す。

数値実施例 1
原稿読取幅-=220mm 結像倍率=−0.189 光学素子の厚み=3mm
原稿側NA=0.016 feq=29.680
非球面形状
R2面
C02= -4.5460E-03 C03= 1.8570E-05 C04= -1.9333E-05
C05= 1.2781E-06 C06= 1.5282E-06 C07= -2.6256E-07
C08= 4.0099E-08 C20= -4.7534E-03 C21= 6.3040E-05
C22= -4.0753E-06 C23= -5.3171E-08 C24= 5.5317E-07
C25= 2.3713E-08 C26= -4.2652E-08 C40= 2.5124E-06
C41= -6.5956E-08 C42= -2.5347E-09 C43= -8.2587E-10
C44= -8.2235E-10 C60= -3.3116E-09 C61= 2.3522E-11
C62= 6.4321E-11 C80= 3.3081E-12

R4面
C02= 6.8081E-03 C03= 6.1342E-05 C04= -8.7196E-05
C05= -4.3217E-05 C06= 1.5179E-05 C07= 1.0360E-05
C08= 6.6517E-07 C20= 6.9865E-03 C21= 8.4961E-05
C22= 8.3621E-06 C23= 5.2533E-07 C24= 3.4662E-06
C25= -1.4766E-07 C26= -5.7376E-07 C40= -6.0197E-06
C41= -1.6224E-07 C42= 2.0695E-08 C43= 7.9461E-10
C44= -6.8943E-09 C60= 1.5482E-08 C61= 3.6681E-10
C62= -1.4023E-10 C80= -3.0158E-11

このように本実施例では上記の如く結像光学系4を2つのオフアキシャル光学素子で構成することにより、変形しやすい樹脂材料を用いても、オフアキシャル光学素子自身の重さによる変形での結像位置ズレを小さく抑えることができ、また製造の容易な簡易な構成の画像読取装置を達成することができる。
図3は本発明の結像光学系を画像読取装置に適用したときの実施例2の副走査断面内の要部概略図である。図4は図3の結像光学系34を抽出したときの副走査断面内の概略図である。
本実施例において前述の実施例1と異なる点は2:1ミラー走査型光学系の画像読取装置に第1、第2、第3、第4の4つのオフアキシャル光学素子34a,34b,34c,34dを有する結像光学系34を適用したことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
即ち、図3において34は画像読取用の結像光学系(オフアキシャル光学系)であり、原稿37の画像情報に基づく光束を読取手段としてのラインセンサー35上に結像させている。
本実施例における結像光学系34は原稿37側から順に樹脂材料より成る第1、第2、第3、第4の4つの反射型のオフアキシャル光学素子34a,34b,34c,34dを有し、前記条件式(1)を満足するように第1、第2のオフアキシャル光学素子34a,34bの鏡面(オフアキシャル反射面)R2,R3が互いに向き合うように配置しており、また第3、第4のオフアキシャル光学素子34c,34dの鏡面R5,R6が互いに向き合うように配置している。また第1、第2、第3、第4の4つのオフアキシャル光学素子34a,34b,34c,34dを、その厚み方向(Z方向)の長さがその短辺方向(Y方向)の長さよりも短くなるように形成している。
本実施例において光源31から放射された光束は直接あるいは反射笠36を介して原稿31を照明し、該原稿31からの反射光を第1、第2、第3の反射ミラー33a,33b,33cを介して本体内部でその光束の光路を折り曲げ、結像光学系34によりラインセンサー35上に結像させている。このとき第1、第2、第3の反射ミラー33a,33b,33cが副走査方向に移動しながら主走査方向を電気的に走査することで原稿31の画像情報を読み取っている。このとき第2、第3の反射ミラー33b,33cは、第1の反射ミラー33aの移動量の半分移動することで原稿31とラインセンサー35との距離を一定としている。
本実施例においては上記構成の結像光学系34を用いることにより光源31と第1の反射ミラー33aが移動するスペースを確保し、下方への突出も少ない、2:1ミラー走査型光学系の画像読取装置を構成している。
本実施例における結像光学系34は比較的自由に光路の引き回しができるため、原稿37面とラインセンサー35の配置が比較的自由に行える。しかしながら、ラインセンサー35は、そのセンサー部の周辺にパッケージ等があり、さらに後ろに基盤等の回路やランセンサー35を調整して取り付けるための様々な部材が存在する。このため、原稿37面とラインセンサー35の配置はラインセンサー35及びその周りの部材等が光路を欠けることのないようにする必要があり、また結像光学系34の下方にラインセンサー35を配置すると、前述の様々な部材が下方に出っ張ることになったり、ラインセンサー35の熱が上方にあるミラーに影響を与え、像性能劣化の原因にもなる。
これらの問題点を回避するためには結像光学系34の第1のオフアキシャル光学素子34aに入射する入射基準軸光線42とラインセンサー35へ入射する基準軸光線44との成す角度が一定の角度(45度)以内になるように構成するのが良い。本実施例では両基準軸光線42,44が平行、すなわち0度と成るように構成している。
図4において42は結像光学系34の第1のオフアキシャル光学素子34aに入射する入射基準軸光線であり、同図では分かり易く延長して示している。43は第2のオフアキシャル光学素子34bから射出する、もしくは第3のオフアキシャル光学素子34cに入射する基準軸光線であり、第1のオフアキシャル光学素子34aに入射する入射基準軸光線42と平行と成るように構成しており、同図では分かり易く延長して示している。44は第4のオフアキシャル光学素子34dから射出する基準軸光線であり、第1のオフアキシャル光学素子34aに入射する入射基準軸光線42とは平行と成るように構成している。
38は第1のオフアキシャル光学素子34aの入射基準軸光線42を反射する鏡面R2の反射点aにおける面法線、39は第2のオフアキシャル光学素子34bの基準軸光線43を反射する鏡面R3の反射点bにおける面法線、40は第3のオフアキシャル光学素子34cの基準軸光線43を反射する鏡面R5の反射点cにおける面法線、41は第4のオフアキシャル光学素子34dの基準軸光線44を反射する鏡面R6の反射点dにおける面法線である。
θa1は面法線38と入射基準軸光線42との成す角度の絶対値、θb1は面法線39と基準軸光線43(入射基準軸光線42)との成す角度の絶対値、θa2は面法線40と基準軸光線43(入射基準軸光線42)との成す角度の絶対値、θb2は面法線41と基準軸光線44(入射基準軸光線42)との成す角度の絶対値である。
本実施例において重力は図1の図面上、下方向に働いている。
本実施例では各々の角度の絶対値θa1、θb1、θa2、θb2が前述の条件式(1)を満足するように設定している。
即ち、本実施例では鏡面R2,R3が互いに向き合うように配置した第1、第2のオフアキシャル光学素子34a,34bにおける角度の絶対値θa1、θb1を
θa1=25°、θb1=25°
また鏡面R5,R6が互いに向き合うように配置した第3、第4のオフアキシャル光学素子34c,34dにおける角度の絶対値θa2、θb2を
θa2=20°、θb2=20°
としている。これにより、
θa1−θb1=0°、θa2−θb2=0°
となる。これは条件式(1)を満たしている。
さらに本実施例では第1、第2、第3、第4のオフアキシャル光学素子34a,34b,34c,34dの厚み方向の長さを各々順にLz1、Lz2、Lz3、Lz4としたとき、該Lz1、Lz2、Lz3、Lz4を共に3mm、光線有効範囲の短辺方向の長さに有効部から外周までのマージンを両側に1mmずつ付加し、該第1、第2、第3、第4のオフアキシャル光学素子34a,34b,34c,34dの短辺方向の長さを各々順にLy1、Ly2、Ly3、Ly4としたとき、該Ly1、Ly2、Ly3、Ly4を各々
Ly1=35、Ly2=36
Ly3=18、Ly4=26
としている。これにより、
Ly1/Lz1=11.7、Ly2/Lz2=12.0
Ly3/Lz3= 6.0、Ly4/Lz4=8.7
となる。これは条件式(2)を満たしている。
また本実施例では第2、第3のオフアキシャル光学素子34b,34dの間の光路内に絞りSP(R4)を設けており、これによりオフアキシャル反射面の小型化に寄与している。
以下に上で説明した本発明の実施例2に対応する画像読取用の結像光学系の数値実施例2について数値データを示す。
原稿読取巾=304.8 結像倍率=-0.22028 素子の厚み=3mm
原稿側NA=0.02、 feq=149.45
非球面形状
R2面
02=- 3.2176e-04 C03= 3.7018e-06 C04=-7.5623e-08
05=- 1.8329e-10 C06=-9.3466e-12 C20= 1.5416e-03
21=- 4.0469e-07 C22= 1.5085e-07 C23=-8.7666e-10
24=- 1.3156e-14 C40= 3.4146e-08 C41= 1.1840e-12
42= 3.9721e-12 C60=-7.1066e-12

R3面
02= 1.8933e-03 C03=-8.4667e-06 C04=-9.6183e-08
05= 4.5947e-11 C06=-2.1682e-11 C20= 2.2505e-03
21= 4.9289e-07 C22= 1.0880e-07 C23=-1.2602e-09
24= 9.2162e-12 C40=-1.2151e-08 C41= 3.2535e-10
42= 2.0246e-12 C60=-7.6249e-12

R5面
02= 6.9371e-03 C03=-2.0976e-04 C04= 2.2162e-06
05=-2.4220e-08 C06= 8.0368e-10 C20=-1.7120e-03
21=-1.5612e-05 C22=-5.7870e-08 C23= 1.7639e-08
24=-5.3901e-10 C40=-9.6716e-08 C41= 3.3192e-09
42=-1.6123e-10 C60=-1.6803e-12

R6面
02= 5.3043e-03 C03=-2.9534e-05 C04=-1.7392e-07
05=-9.4337e-09 C06=-7.7157e-11 C20=-2.0619e-05
21=-1.3461e-06 C22=-1.7288e-07 C23=-2.3419e-09
24=-4.0562e-11 C40=-2.2836e-07 C41= 2.0954e-09
42=-5.0235e-11 C60=-1.8984e-11
図5は本発明の結像光学系を画像読取装置に適用したときの実施例3の副走査断面内の要部概略図である。図6は図5の結像光学系54を抽出したときの副走査断面内の概略図である。
本実施例において前述の実施例1と異なる点は結像光学系54を第1、第2、第3、第4の4つのオフアキシャル光学素子54a,54b,54c,54dより構成したことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
即ち、図5において54は画像読取用の結像光学系(オフアキシャル光学系)であり、原稿7の画像情報に基づく光束を読取手段としてのラインセンサー35上に結像させている。
本実施例における結像光学系54は原稿7側から順に樹脂材料より成る第1、第2、第3、第4の4つの反射型のオフアキシャル光学素子54a,54b,54c,54dを有し、前記条件式(1)を満足するように第1、第4のオフアキシャル光学素子54a,54dの鏡面(オフアキシャル反射面)R2,R6が互いに向き合うように配置しており、また第2、第3のオフアキシャル光学素子54b,54cの鏡面R3,R5が互いに向き合うように配置している。また第1、第2、第3、第4の4つのオフアキシャル光学素子54a,54b,54c,54dを、その厚み方向の長さがその短辺方向の長さよりも短くなるように形成している。
本実施例においては光源1から発した光束で原稿台ガラス2の上に載置された原稿7(物体)を照明し、該原稿7からの光を第1、第2、第3の反射ミラー3a、3b、3cを介して結像光学系54によりラインセンサー5上に結像している。このとき原稿7とキャリッジ6との相対的位置を副走査方向(矢印A方向)に変えて原稿7を2次元的に読み取っている。
画像読取装置をコンパクトに構成するために第1、第2、第3の反射ミラー3a、3b、3cにより光路を折り畳んでいる。結像光学系54も光路を折り畳むのに寄与している。結像光学系54では光路をおおよそ4の字を2つ組み合わせた形状に折り畳むことで互いのオフアキシャル反射面で発生する偏心収差をキャンセルし易くし、良好なる結像性能を得ている。
更に良好なる結像性能を得るためにオフアキシャル反射面を基準軸に対し主走査方向に対称で副走査方向に非対称な自由曲面で構成して、副走査方向に光路を折り曲げによる偏芯収差を良好に補正している。
図6において65は第1のオフアキシャル光学素子54aに入射する入射基準軸光線であり、同図では分かり易く延長して示している。66は第2のオフアキシャル光学素子54bから射出する基準軸光線であり、同図では分かり易く延長して示している。67は第3のオフアキシャル光学素子54cに入射する基準軸光線、68は第4のオフアキシャル光学素子54dから射出する基準軸光線である。
66aは鏡面R3の基準軸光線の反射点bにおける入射基準軸光線65と平行な軸、67aは鏡面R5の基準軸光線の反射点cにおける入射基準軸光線65と平行な軸、68aは鏡面R6の基準軸光線の反射点dにおける入射基準軸光線65と平行な軸である。
61は第1のオフアキシャル光学素子54aの入射基準軸光線65を反射する鏡面R2の反射点aにおける面法線、62は第2のオフアキシャル光学素子54bの基準軸光線66を反射する鏡面R3の反射点bにおける面法線、63は第3のオフアキシャル光学素子54cの基準軸光線67を反射する鏡面R5の反射点cにおける面法線、64は第4のオフアキシャル光学素子54dの基準軸光線68を反射する鏡面R6の反射点dにおける面法線である。
θa1は面法線61と入射基準軸光線65との成す角度の絶対値、θa2は面法線62と軸66aとの成す角度の絶対値、θb2は面法線63と軸67aとの成す角度の絶対値、θb1は面法線64と軸68aとの成す角度の絶対値である。
本実施例において重力は図1の図面上、下方向に働いている。
本実施例では各々の角度の絶対値θa1、θb1、θa2、θb2が前述の条件式(1)を満足するように設定している。
即ち、本実施例では鏡面R2,R6が互いに向き合うように配置した第1、第4のオフアキシャル光学素子54a,54dにおける角度の絶対値θa1、θb1を
θa1=18.5°、θb1=22.425°
また鏡面R3,R5が互いに向き合うように配置した第2、第3のオフアキシャル光学素子54b、54cにおける角度の絶対値θa2、θb2を
θa2=61.411°、θb2=62.837°
としている。これにより、
θa1−θb1=−3.92°、θa2−θb2=−1.426°
となる。これは条件式(1)を満たしている。
さらに本実施例では第1、第4のオフアキシャル光学素子54a,54dの厚み方向の長さを各々Lz1、Lz4とし、該Lz1、Lz4を共に6mm、第2のオフアキシャル光学素子54bの厚み方向の長さをLz2とし、該Lz2を5mm、第3のオフアキシャル光学素子54cの厚み方向の長さをLz3とし、該Lz3を4mm、光線有効範囲の短辺方向の長さに有効部から外周までのマージンを両側に1mmずつ付加し、該第1、第2、第3、第4のオフアキシャル光学素子54a,54b,54c,54dの短辺方向の長さを各々順にLy1、Ly2、Ly3、Ly4としたとき、該Ly1、Ly2、Ly3、Ly4を各々
Ly1=14、Ly2=12
Ly3= 9、Ly4=11
としている。これにより、
Ly1/Lz1=2.3、 Ly2/Lz2=2.4
Ly3/Lz3=2.25、Ly4/Lz4=1.8
となる。これは条件式(2)を満たしている。
また本実施例では第2、第3のオフアキシャル光学素子54b,54cの間の光路内に絞りSP(R4)を設けており、これによりオフアキシャル反射面の小型化に寄与している。
以下に上で説明した本発明の実施例3に対応する画像読取用の結像光学系の数値実施例3について数値データを示す。
原稿読取巾=304.8 結像倍率=-0.22028
素子の厚み=Lz1=6 Lz2=5 Lz3=4 Lz4=6
原稿側NA=0.02、 feq=49.912
R2面
C02= -1.3207E-03 C03= 2.6667E-06 C04= 3.3489E-06
C05= 5.3173E-06 C06= -1.3333E-08 C07= -2.6007E-09
C08= -2.5014E-10 C20= -1.1446E-03 C21= -5.7000E-05
C22= 1.6118E-06 C23= -7.1879E-08 C24= 2.1492E-09
C25= 1.2028E-10 C26= 5.8979E-11 C40= -1.0980E-07
C41= 2.3051E-08 C42= -9.6151E-10 C43= 4.6901E-11
C44= -6.7039E-12 C60= 4.8532E-11 C61= -8.2096E-12
C62= 5.1746E-13 C80= -2.4227E-15

R3面
C02= 2.3797E-03 C03= -2.8576E-06 C04= 3.6486E-06
C05= 9.9884E-08 C06= -2.0000E-08 C07= -3.5678E-09
C08= -1.8740E-10 C20= 1.2266E-03 C21= -7.3777E-05
C22= -1.6000E-07 C23= -2.6667E-08 C24= 2.1607E-09
C25= -2.0065E-10 C26= 1.0043E-10 C40= -8.0582E-07
C41= 4.0054E-08 C42= 2.0023E-09 C43= 1.2699E-10
C44= -1.2974E-11 C60= 7.7270E-10 C61= -2.5130E-11
C62= -1.5557E-12 C80= -3.8483E-13

R5面
C02= 5.4062E-03 C03= 5.3333E-06 C04= 3.8756E-06
C05= 6.9415E-07 C06= 2.0000E-07 C07= -5.4455E-08
C08= -6.0202E-09 C20= -2.6134E-03 C21= -1.6073E-05
C22= -6.1166E-06 C23= -3.3333E-07 C24= 6.0000E-09
C25= -9.2388E-09 C26= -1.4212E-09 C40= -1.5265E-06
C41= -1.4026E-07 C42= 3.1323E-09 C43= -1.4890E-10
C44= -1.9827E-12 C60= 1.5752E-09 C61= 4.9067E-11
C62= -4.1013E-12 C80= -9.2414E-13

R6面
C02= 1.0000E-02 C03= -1.1951E-05 C04= 8.0000E-07
C05= 1.2553E-07 C06= 1.4258E-07 C07= -1.2965E-08
C08= -9.3779E-10 C20= 4.8806E-03 C21= -1.3709E-05
C22= -2.0841E-06 C23= -2.7268E-07 C24= -1.4302E-08
C25= 2.0567E-09 C26= -1.3279E-10 C40= -1.3224E-06
C41= -8.6942E-08 C42= -7.0696E-09 C43= -4.4229E-10
C44= 2.6856E-11 C60= -4.1850E-10 C61= -6.8174E-11
C62= -5.1278E-12 C80= 1.2409E-13
本発明の画像読取装置の実施例1の要部概略図 本発明の実施例1の結像光学系の断面図 本発明の画像読取装置の実施例2の要部概略図 本発明の実施例2の結像光学系の断面図 本発明の画像読取装置の実施例3の要部概略図 本発明の実施例3の結像光学系の断面図 従来の画像読取装置の要部概略図 カラー画像読取装置の基本構成図 オフアキシャル光学系の定義を説明する図
符号の説明
1、31 照明光源
2、32 原稿台ガラス
3a、3b、3c 反射ミラー
31a、31b、31c 反射ミラー
4、34、54 結像光学系
5、35 読取手段(ラインセンサー)
6 キャリッジ(筐体)
7、37 原稿
R2、R3、R5、R6 オフアキシャル光学素子
R2a、R3a、R5a、R6a オフアキシャル反射面
R4 絞り

Claims (8)

  1. 原稿面上の画像情報を、センサー上に結像させ、該センサーで、該画像情報を読取る為の画像読取用の結像光学系であって、
    該結像光学系は、外形が互いに直交する方向で長さが異なり、厚みが外形の短手方向の長さより小さく、樹脂材料から成る反射型のオフアキシャル光学素子を複数有し、該複数のオフアキシャル光学素子は、各々の鏡面が互いに向き合うように配置されており、
    該複数のオフアキシャル光学素子のうち、1つのオフアキシャル光学素子は基準軸光線を反射する鏡面上の反射点における面法線と、該結像光学系に入射する基準軸光線との成す角度の絶対値をθa、該1つのオフアキシャル光学素子の鏡面と向き合う他の1つのオフアキシャル光学素子は、基準軸光線を反射する鏡面上の反射点における面法線と、該結像光学系に入射する基準軸光線との成す角度の絶対値をθbとするとき
    −30°<θa−θb<30°
    なる条件を満足するように構成されていることを特徴とする結像光学系。
  2. 前記センサーはラインセンサーより成り、該ラインセンサーのライン方向を主走査方向、それと直交する方向を副走査方向とするとき、前記オフアキシャル光学素子は、基準軸に対して主走査方向に対称であり、副走査方向に非対称な反射面より成ることを特徴とする請求項1に記載の結像光学系。
  3. 前記複数のオフアキシャル光学素子の厚みは、オフアキシャル光学素子の形状寸法の大きさにより異なることを特徴とする請求項2に記載の結像光学系。
  4. 前記結像光学系はnを正の整数とするとき、2n(0<n<3)個のオフアキシャル光学素子を有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の結像光学系。
  5. 前記複数のオフアキシャル光学素子は、鏡筒の保持部に保持されており、各々のオフアキシャル光学素子の鏡筒の保持部に当接する部分の位置は、各々オフアキシャル光学素子毎に異なることを特徴とする請求項4に記載の結像光学系。
  6. 前記複数のオフアキシャル光学素子のうち任意の1つのオフアキシャル光学素子の厚さをLz、短手方向の長さをLyとするとき、
    1.5<Ly/Lz<20
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の結像光学系。
  7. オフアキシャル光学素子とオフアキシャル光学素子との間の光路内に絞りを有していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の結像光学系。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の結像光学系を用いて、原稿を載置する原稿台面上の画像情報を、ラインセンサー上に結像させ、該原稿と該ラインセンサーとを相対的に移動することで該ラインセンサーで該画像情報を読取ることを特徴とする画像読取装置。
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