JP2005106900A - 投射結像光学系 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自由曲面反射面を複数組合わせて構成した投射結像光学系において、投射スクリーンまでの距離に応じてフォーカス調整を光学系の部分調整により実施することが可能な投射光学系を提供すること。
【解決手段】 最終面を含む2面以上の部分系をフォーカス調整群として投射光軸に平行に可動な構成とする。このフォーカス調整群は入射光軸と射出光軸が平行で、フォーカス調整により投射画像の中心は動かないように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、投射型表示装置に用いる投射結像光学系に関し、例えば液晶表示素子(液晶パネル)や米テキサスインスツルメンツ社のデジタルマイクロミラーデバイス等の画像表示装置によって光変調された光束を投射スクリーン又は壁等に投射し、画像情報を形成する液晶プロジェクター(プロジェクション)等の光学機器に好適なものである。
従来から、液晶パネル等の画像表示装置を光源からの光束により照明し、画像表示装置で光変調された透過光又は反射光を用いて投影レンズにより、投射スクリーン又は壁に拡大投射して画像形成するプロジェクターが種々提案されている。
また、再公表特許の国際公開番号WO97/01787号公報には、複数の反射面を用いて斜め方向から画像を投射する投射光学系が開示されている。この投射光学系を図8に示す。
一方で最近非共軸光学系を利用し、光学系全体の小型化を図った結像系が種々提案されている。非共軸光学系では、基準軸光線という概念を導入し構成面を自由形状の非回転対称非球面、所謂自由曲面にすることで、十分収差が補正された光学系が構築可能であることが、例えば特開平9−5650号公報にその設計法が、特開平8−292371号公報、特開平8−292372号公報にその設計例が示されている。
このような非共軸光学系はOff-Axial光学系[物体中心から射出し、光学系の絞り中心を通過する光線に沿った基準軸光線を考えたとき、該基準軸光線と光学系の各構成面との交点における、該各構成面の面法線が基準軸光線上にない曲面(Off-Axial曲面)を含む光学系として定義される光学系で、このとき、基準軸光線は折れ曲がった形状となる]と呼ばれる。このOff-Axial光学系は、構成面が一般には非共軸となり、的確に構成することにより反射面でもケラレが生じることがないため、反射面を使った光学系の構築がしやすい。また、光路の引き回しを比較的自由に行うことができる。
また、大きな特徴として表面曲面反射ミラーのみを用いた反射結像光学系を用いることで、屈折レンズ系において問題になってきた色収差の影響を殆ど取り除くことが可能になる。
国際公開特許WO97/01787号公報 特開平09−005650号公報 特開平08−292371号公報 特開平08−292372号公報
反射結像光学系により投射光学系を形成しようとした場合に問題になるのはフォーカス(焦点合わせ)調整である。
所謂リアプロジェクション、即ち投射スクリーンの後方に投射装置全てを配置し、それらを一体の筐体に収め、該投射スクリーン後方から投射された画像を前方から観察する装置の場合、例えば光学系や機械部品の製造ばらつきに対するフォーカス調整は、一般に当該装置を製造する際に一度だけ実行すればよい。リアプロジェクションの場合、それらの調整の頻度は非常に低く、先述のように製造時にただ一度だけ行えばよい場合が多い。その場合、画像表示装置の位置を光軸に沿った方向に動かすなどして投射スクリーン上のフォーカス状態を調整しその後、該画像表示装置を接着やネジ留めなどで固定してしまえばよい。他に実際に使用するうちに経年変化によるずれ、輸送などフォーカス調整ずれの原因になるようなことが有った場合、その都度再調整が必要になる場合もあるが、頻度は低い。
一方、所謂フロントプロジェクション、即ち投射装置と観察者が投射スクリーンに対して同じ側に位置する前側投射する装置の場合、光学系から投射スクリーンまでの距離は、毎回装置を配置し使用する都度若干づつ異なるのが一般的である。投射結像光学系の焦点距離が固定である場合、投射結像光学系に対する物体としての画像表示装置の置かれる距離に応じて、投射装置と投射スクリーンまでの距離は所定の値に決まるので、投射画像のフォーカスが合わない場合には投射装置自体の置き場所を投射スクリーンから遠ざけるか、又は近づけるなどのようにすればフォーカス調整をすることが可能である。しかしながらそれでは使い勝手が悪いので装置を動かさずにフォーカス調整が出来ると便利である。そこでひとつの方法としては、投射装置内に於いて投射結像光学系全体を、物体である画像表示装置に対して前後に動かす方法がある。しかしながらこれは結像光学系全体を動かすためのスペースや、メカ的な機構なども大きくなりがちで洗練された方法とは言い難い。そこで投射結像光学系の一部分(部分系によるフォーカス調整群)を動かしてフォーカス調整を出来ると便利である。ところで軸外し偏心投射光学系の場合は反射光学ミラーの相対的な位置関係の精度に非常に敏感である。そのため反射型結像光学系により投射光学系を構成しようとした場合に特に問題になるのは、部分系によるフォーカス調整可能な構成の実現性である。
図8に示す再公表特許特許の国際公開番号WO97/01787号公報に開示されている反射型ディスプレー装置における投射光学系は、投射スクリーンの後方から投射を行う、所謂リアプロジェクションの装置の例である。従って、物体である画像表示装置から投射スクリーンまでの距離は固定されており、該画像表示装置も投射結像光学系も投射スクリーンも同じ筐体の中に固定されている。
本件執筆時点で実質的に直接の従来例となるフォーカス調整機構付きのフロントプロジェクション装置の公開例が見当たらないのと、リアプロジェクションではあるがこれを筐体から出し、後述の平面反射ミラー3fを取り除くなどしてフロントプロジェクションとして考えた場合、本件に於ける問題点が判りやすいため、図8に示す再公表特許特許の国際公開番号WO97/01787号公報に開示されている反射型ディスプレー装置における投射光学系を例にとって問題点を説明する。
同図中で光源1aを発した光束は照明光学系1b、1c、1d等の反射ミラーを経て、反射タイプの画像表示装置2を照明し、その光束を3a、3b、3d、3eに示される結像作用を有する反射ミラー及び平面反射ミラー3fと絞り3cを用いて反射結像光学系を構成している。特に結像作用を有する3a、3b、3d、3eの反射ミラーは、互いに共通の回転対称軸を有した複数の回転対称な非球面凹又は凸反射ミラーから構成されており、これら凹面ミラーと凸面ミラーの反射面を、該回転対称軸から離れたところで部分的に用いて画像を斜め方向から投射している。
光源周りの構成から見ても、結像光学系全体を動かしてフォーカス調整を実施するには、3a、3b、3d、3eに示される結像に寄与する反射ミラー全体を動かす必要があり実質的にはかなり困難である。また、反射面の一部を動かしてフォーカス調整を実現することを考えた場合、例えば3d、3eに示される反射ミラーだけを動かそうとすると、3a、3b、3d、3eに示される各面が全て共通の回転対称な軸を有するなど、配置の自由度に制限がある。そのため、該条件を満たした状態で、これら3d、3eの反射面を部分的に動かすことは、該回転対称軸に平行な方向に面を平行移動する他ない。その結果、各面上に於いて光束の照射位置は平行移動する状態になり、当初の結像性能を維持することは困難である。
また、反射結像光学系を用いたフロントプロジェクションではなく、従来の屈折レンズ系を用いたフロントプロジェクションに於いて特有の問題点として指摘されるのは、フォーカス調整時の投射像の動きである。屈折光学系の場合一般に前玉のみを回転させるなどして繰り出し、スクリーンに投射された投射画像に対してフォーカスを調整する構成である。しかしながら、一般に屈折投射レンズの場合、代表的なものとしては図9に示すように画面内の下端に光軸が位置するようなかたちで上下方向の半画角分を使用するのが一般的である。そのため、フォーカス調整のために前玉を繰り出すなど調整を実行すると、投射画像上に於いて不動の点である投射屈折光学系の光軸は画面に対してオフセットしているため、多くの場合フォーカス調整に応じて画像は光軸の位置する投射画面下端付近を不動の中心として上方向に伸び縮みする。そのためフォーカス調整に応じて画像の位置がずれてしまい使い勝手が良くないと云う問題が生ずる。
この点に関して、図8に示す再公表特許特許の国際公開番号WO97/01787号公報に開示されている反射型ディスプレー装置における投射光学系の場合で考えると以下のような問題がある。本従来例にて反射面の一部を動かしてフォーカス調整を実現できると仮定したとして、例えば3d、3eに示される反射ミラーだけを動かそうとする場合、3a、3b、3d、3eに示される各面が全て共通の回転対称な軸を有するという配置の自由度に制限があるため、例えばその条件を維持した状態でこれら反射面を部分的に動かさなければならない。本従来例に於いて絞り3cの中心を通過する光線を本提案件では便宜上主光線と定義すると、このとき反射面3dと3eとの間の主光線の角度と、3eから投射スクリーンまでの主光線の角度は互いに平行ではなく、また該フォーカス調整によって3d、3eは、該各反射面の回転対称軸に沿って平行移動する必要があるため、投射画像に至る主光線の光軸は自動的に平行移動せざるを得ず、フォーカス調整によって投射画像の伸び縮みのみならず平行移動が生ずるという問題がある。
上記述べてきたように従来例の構成の場合、反射面は相互に共通な回転対称軸を有する位置関係を保っているので例えばどれかひとつだけの反射面を動かしてフォーカス調整しようとすると結像系としての収差バランスが崩れ結像系としての性能を発揮できない。これは所定の面だけを動かして焦点距離を調整するという前提で設計されていないことも原因と考えられる。そこで本提案件では軸外し反射型の結像光学系に於いて所定の複数の面で構成されている群を所定の方向に動かすことにより該結像光学系の焦点距離を調整することが出来るように予め反射面を配置し設計する。このときにフォーカス調整調整のために動かす群は投射角度に沿って移動させる構成にするため、フォーカス調整の結果画面サイズの変化や画面の移動、伸び縮みが例えば画面の中心を不動の点として拡大、縮小するように構成することが出来る。
まとめると下記のような条件に基づいて設計することになる。
(1)画像表示装置を経た光束を投射スクリーンに投射するための、曲面反射ミラーを複数枚組み合わせて構成した投射結像光学系であって、該投射画像に対するフォーカス調整機構を有する投射結像光学系である。
(2)フォーカス調整操作をしても投射画像の中心部分の位置が動かないことを特徴とする投射結像光学系である。
(3)フォーカス調整は該光学系のうち、少なくとも2つの反射面をひとつのフォーカス調整のための群として定義し、該フォーカス調整群を所定の方向に所定の距離だけ移動することにより実現する。
(4)該フォーカス調整群は、該投射光学系の最も投射スクリーン側の面を含む。
(5)該投射結像光学系に於いて、該画像表示装置から射出し、該投射結像光学系の絞り中心を通過し、該投射結像光学系を辿って該投射スクリーンへ至る一本の光線を基準軸光線と定義し、該画像表示装置から射出した直後の該基準軸光線の光路と、該投射スクリーンへ至る直前の該基準軸光線の光路は、互いに所定の角度を成す。(該角度が0°の場合があっても構わない)
(6)該フォーカス調整群は該スクリーンへ至る直前の基準軸光線の光路に対して略平行に移動する。
(7)該フォーカス調整群に入射する基準軸光線と、該フォーカス調整群から射出する基準軸光線、各々の方向余弦は互いに平行、且つ同符号である。
(8)又は、該フォーカス調整群に入射する基準軸光線と、該フォーカス調整群から射出する基準軸光線、各々の方向余弦は互いに平行、且つ逆符号である。((7)との違いはフォーカス群の面数、構成に依存する)
(9)ここで光線の方向余弦とは該光線の進行方向に沿うベクトルであり、互いに略平行な範囲とは成す角度が1°以下である場合を示す。
(10)該フォーカス調整群を構成する面が2面である場合、該2面のパワーは共に正である。
(11)該フォーカス調整群を構成する少なくとも3つの反射面は、隣接する面同士で相互にパワーが逆であり、且つ最終面のパワーが正である。
(12)上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは非回転対称な自由形状を呈する自由曲面ミラーである。
(13)上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは表面に回折格子形状を有するミラーである。
(14)上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは表面反射ミラーである。
(15)上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは裏面反射ミラーである。
(16)上記表面曲面反射ミラーの少なくともひとつは樹脂又はガラスで成形したものの表面に高反射のコーティングを施したものである。
(17)上記表面曲面反射ミラーの少なくともひとつは金属の薄板をプレス成形して所定の形状を転写したものの表面に高反射のコーティングを施したものである。
(18)上記裏面曲面反射ミラーの少なくともひとつは樹脂又はガラスで成形したものの裏面に高反射のコーティングを施したものである。
本発明により、投射装置の自由曲面ミラーを複数組み合わせて構成した画像投射結像光学系で、フォーカス調整群を部分的に移動することでフォーカス調整を実効可能な系を実現出来る。
本実施形態の説明に入る前に、実施形態の構成諸元の表し方及び実施形態全体の共通事項について説明する。
本発明の実施形態では物体側から像面に進む光線の到達する順序に従って第m番目の面を第m面とする。各反射面はガラス、プラスチック等で成形された表面形状に反射膜などを付着させた表面反射ミラーであり、各ミラー間の空間を満たす媒質は空気である。従って、本実施例は全て所謂中空型である。一方で、ガラスやプラスチックのバルクの表面に該自由曲面を複数形成して反射膜を付け、裏面ミラーとして、該媒質内部を光束が伝搬する構成でも構わない。
実施形態を説明するために、まず基準軸光線、グローバル座標系、ローカル座標系の三つの項目について定義し説明する。
本発明の光学系はOff-Axial光学系であるため光学系を構成する各面は共通の光軸を持っていない。繰返しになるが、本発明の実施形態においては、先ず物体である画像表示装置から射出され該結像光学系を辿りながら像面へ至る一本の光線であって、光学系の絞り中心を通過する光線を基準と考え、該光線を基準軸光線と定義する。該基準軸光線は方向(向き)を持っている。その方向は基準の光線が結像に際して進行する方向である。基準軸光線は設定された各面の順番に沿って反射の法則に従ってその方向を変化させつつ、絞りの中心を通り、最終的に像面の中心に到達する。
次に、画像表示装置である物体面の中心の点を原点とするグローバル座標系(グローバル座標は大文字XYZで表現する)を考え、グローバル座標系の各軸を以下のように定め、図1を用いて説明する。尚、座標系は右手系とする。
(1)Z軸:図1に示すようにグローバル原点を通り、物体面から第1ミラーに向かう方向を正とする。
(2)Y軸:図1に示すようにグローバル原点を通りZ軸に対して90゜をなす直線。図1に於いて図上方をY軸の正符号方向とする。本発明において、上記基準軸光線はYZ面内に存在するものとする。従って、本発明の各実施形態の反射結像光学系を構成する曲面ミラーはすべてがYZ面内でチルトしている。本発明の各実施形態の各図に於いて紙面はYZ面内と一致する。また、上記座標系は本発明の各実施形態の各図に於いて共通であり、Y軸の正方向は図面上側である。
(3)X軸:原点を通りZ,Y各軸に垂直な直線。即ち、各図の紙面に垂直な方向の直線である。右手系なので正は紙面奥側となる。
光学系を構成する第m面の面形状を表現するには、グローバル座標系にてその面の形状を表記するより、基準軸光線上を面間隔だけ進んだ点をローカル原点とするローカル座標系(ローカル座標は小文字xyzで表現する)を設定して、各面毎に対応したローカル座標系でその面の面形状を表した方が形状を認識する上で理解し易いため、第m面の面形状をローカル座標系(右手系)で表わす。また、面のチルトも各面に対応するローカル座標系をチルトさせることにより表現することとする。第m面に対応するローカル座標系のYZ面内でのチルト角はグローバル座標系のZ軸に対して反時計回り方向を正とした角度θm(単位[°])で表す。よって、当然のことながら本発明の実施形態では各面のローカル座標の原点は全てYZ平面上にある。またXZおよびXY面内での面の偏心はない。さらに、第m面のローカル座標(x,y,z)のy,z軸はグローバル座標系(X,Y,Z)に対してYZ面内で角度θm傾いており、具体的には以下のように設定する。
(1)z軸:ローカル座標の原点を通り、グローバル座標系のZ方向に対しYZ面内において反時計方向に角度θmをなす直線。
(2)y軸:ローカル座標の原点を通り、z方向に対しYZ面内において反時計方向に90゜をなす直線。
(3)x軸:ローカル座標の原点を通り、YZ面に対し垂直な直線。
(4)Lmは第m面と第m+1面のローカル座標の原点間の間隔を表すスカラー量である。(単位[mm])
但し、最終面に関しては面のローカル原点から像面の中心までの距離を示す。
本発明の光学系は少なくとも回転非対称な非球面を一面以上有し、その形状はローカル座標系上に以下の(1)式により表す:
但し、C02、C20、C03、C21、C04、C22、C40、C05、C23、C41、C06、C24、C42、C60は、非球面係数である。
z(x、y)=C02y+C20x+C03y+C21xy+C04y+C22xy
+C40x+C05y+C23xy+C41xy+C06y+C24xy
+C42xy+C60x‥‥(1)
上記曲面(1)式は平面をベースとする回転非対称面を表し、xに関して偶数次の項のみであるため、上記曲面式により規定される曲面はyz面を対称面とする面対称な形状である。さらに以下の条件が満たされる場合はxz面に対して対称な形状を表す。
C03=C21=C05=C23=C41=0
さらに
C02=C20、C04=C40=C22/2、C06=C60=C24/3=C42/3
が満たされる場合は回転対称な形状を表す。以上の条件を満たさない場合は非回転対称な形状である。
次に本発明の各実施形態について説明する。図1〜2に示すのは、自由曲面反射結像光学系のミラー部分の図及び投射スクリーン(投射像)までの光路全体の図である。
図1は本発明の投射光学系を用いた投射型表示装置の第1実施形態の要部概略図である。
本実施例は画像表示装置により光強度変調された光を投射スクリーンに投射し、投射スクリーン面上に画像を形成するためのOff-Axial系を利用した投射光学系である。図2は図1の投射光学系の全体図である。
図1において物体面は画像表示装置の面と一致している。該画像表示装置は不図示の照明系により裏側から照明される。不図示の照明系はランプ、コンデンサーレンズ、波長を選択するフィルターなどから成り立っている。また本実施形態ではRGBの3枚の画像表示装置を使用し色合成プリズムを用いてRGB3色の画像を合成して投射する構成であるが、2枚の画像表示装置は不図示である。ひとつの画像表示装置と色合成プリズムが図示されている。これは全ての実施例について共通であるが、
(1)反射曲面総数は6面
(2)物体面から色合成プリズムまでの距離:11.0
(3)色合成プリズム厚さ:28.0
(4)Nd:1.872690、νd:32.33
(5)プリズム射出端面から第1ミラーのローカル座標原点までの距離:40.0
(単位[mm])である。
図1、図2において、反射結像光学系は画像表示装置からの光線の通過順に、第1ミラー(凹面)・絞り・第2ミラー(凸面)・第3ミラー(凹面)・第4ミラー(凸面)・第5ミラー(凹面)・第6面ラー(凹面)の6つの反射面で構成されている。すべての反射面はYZ平面のみに対して対称な面である。ここで、第4ミラーと第5ミラーの間で画像表示装置による画像は中間結像しており、絞りは第6ミラー後の位置で結像している。
本提案に於ける全ての実施形態では、画像表示装置は対角0.7インチ(10.7×14.2mm)、投射スクリーンの大きさは縦横比3:4の対角70インチ(1067×1422mm)である。また、投射スクリーンの法線は、投射スクリーンに入射する直前の基準軸光線に対し40度傾いている。画像表示装置は所謂XGA(1024×768画素)であり、画素のピッチはスクリーン側で1.4mmであり、このときの空間遮断周波数は1/2.8=0.36本/mmである。
実際の装置の使用状態を考慮した設置形態のひとつの例である、投射スクリーンの面が鉛直方向に平行であるように、且つ基準軸光線全てを含む平面を該投射スクリーンに垂直な鉛直面内になるように装置を設置した場合、装置の最終反射面からスクリーンまで水平方向に測った場合の投射距離は、L6×Cos40°=1963mm×Cos40°=1500mmである。この投射距離が設計時の基準となっている。
下記に第1実施例の設計値を示す。構成データではパネル面から像面(投射スクリーン面)に至る各面に順に番号を付している。
物体側のF値は2.8。
Figure 2005106900
Figure 2005106900
第1実施例に於いて、第5面と第6面の2つので構成される群がフォーカス群である。ここで、第5面のチルト角θ5と第6面のチルト角θ6はそれぞれ5°と5°であり等しい。グローバル座標系のZ軸に対して、フォーカス群に入射する基準軸光線が成す角度は、40°であり、フォーカス群を射出する基準軸光線がグローバルZ軸に対して成す角度は、同じく40°である。該フォーカス群はこの光軸に平行な、グローバルZ軸に対して40°の角度を成す方向軸に平行移動することでフォーカス調整機能を有する。第3図は第1実施例の基準となる前述の投射距離1500mmに於ける像面上各点のMTFのdefocus特性である。同図に於いて横軸はdefocus量であり、0の点が基準の像面の位置(基準投射位置)である。defocus量は、前述の基準投射距離を測った水平方向に沿って測ったものである。この時の空間周波数は画像表示装置の画素ピッチから決まる投射スクリーン側に於ける周波数0.36本/mmである。第4図は、該フォーカス調整群を+0.7mm繰り出した時、上記基準投射距離から−1000mm手前側に移動した像面に於けるMTFである。また、第5図は、該フォーカス調整群を−0.3mm繰り込んだ時、上記基準投射距離から+500mm遠ざかる側に移動した像面に於けるMTFである。このように±500mm以上の範囲で画面全体に十分にフォーカスの合わせられた画像を投射することが出来る。尚、上記繰り出し、繰り込みの値、及び像面の変位の符号は、光線進行方向を正としているため、繰り込み量及び手前側への移動量は負の値として表現している。
図6は本発明の投射光学系を用いた投射型表示装置の第2実施形態の要部概略図である。
本実施例は画像表示装置により光強度変調された光を投射スクリーンに投射し、投射スクリーン面上に画像を形成するためのOff-Axial系を利用した投射光学系である。図7は図6の投射光学系の外観図である。
図6において物体面は画像表示装置の面と一致している。該画像表示装置は不図示の照明系により裏側から照明される。不図示の照明系はランプ、コンデンサーレンズ、波長を選択するフィルターなどから成り立っている。また本実施形態ではRGBの3枚の画像表示装置を使用し色合成プリズムを用いてRGB3色の画像を合成して投射する構成であるが、2枚の画像表示装置は不図示である。ひとつの画像表示装置と色合成プリズムが図示されている。これは全ての実施例について共通である。
図6、図7において、反射結像光学系は画像表示装置からの光線の通過順に、第1ミラー(凹面)・絞り・第2ミラー(凸面)・第3ミラー(凹面)・第4ミラー(凸面)・第5ミラー(凹面)・第6面ラー(凹面)の6つの反射面で構成されている。すべての反射面はYZ平面のみに対して対称な面である。ここで、第5ミラーと第6ミラーの間で画像表示装置による画像は中間結像しており、絞りは第6ミラー後の位置で結像している。
本提案に於ける全ての実施形態では、画像表示装置は対角0.7インチ(10.7×14.2mm)、投射スクリーンの大きさは縦横比3:4の対角70インチ(1067×1422mm)である。また、投射スクリーンの法線は、投射スクリーンに入射する直前の基準軸光線に対し40度傾いている。画像表示装置は所謂XGA(1024×768画素)であり、画素のピッチはスクリーン側で1.4mmであり、このときの空間遮断周波数は1/2.8=0.36本/mmである。
実際の装置の使用状態を考慮した設置形態のひとつの例である、投射スクリーンの面が鉛直方向に平行であるように、且つ基準軸光線全てを含む平面を該投射スクリーンに垂直な鉛直面内になるように装置を設置した場合、装置の最終反射面からスクリーンまで水平方向に測った場合の投射距離は、L6×Cos40°=2200mm×Cos40°=1685mmである。この投射距離が設計時の基準となっている。
下記に第1実施例の設計値を示す。構成データではパネル面から像面(投射スクリーン面)に至る各面に順に番号を付している。
下記に第2実施例の設計値を示す。(単位は[mm]と[°])
物体側のF値は2.0。
Figure 2005106900
Figure 2005106900
第二実施例に於いて、第5面と第6面の2つので構成される群がフォーカス群である。ここで、第5面のチルト角θ5と第6面のチルト角θ6はそれぞれ14°と14°であり等しい。グローバル座標系のZ軸に対して、フォーカス群に入射する基準軸光線の成す角度は、40°であり、フォーカス群を射出する基準軸光線の同様にグローバルZ軸に対して成す角度は同じく40°である。該フォーカス群はこの光軸に平行な、グローバルZ軸に対して40°の角度を成す方向軸に平行移動することでフォーカス調整機能を有する。
図は省略するが本実施例についても第1実施例と同様に適宜フォーカス群を繰り出し、又は繰り込みを行うことにより、基準投射位置の前後の所定の実用的な範囲で、十分なMTFのレスポンスを有している。
本発明の第1実施例の投射光学系要部概略図 本発明の第1実施例の投射結像光学系の概観図 本発明の第1実施例の基準投射位置にフォーカス調整されたMTFデフォーカス特性 本発明の第1実施例の基準投射位置1000mm手前にフォーカス調整されたMTFデフォーカス特性 本発明の第1実施例の基準投射位置500mm先にフォーカス調整されたMTFデフォーカス特性 本発明の第2実施例の投射光学系要部概略図 本発明の第2実施例の投射結像光学系の概観図 国際公開番号WO97/01787号公報に開示の従来例 屈折系による投射結像系の従来例

Claims (17)

  1. 画像表示装置を経た光束を投射スクリーンに投射するための、曲面反射ミラーを複数枚組み合わせて構成した投射結像光学系であって、該投射画像に対するフォーカス調整機構を有することを特徴とする投射結像光学系。
  2. フォーカス調整操作をしても投射画像の中心部分の位置が動かないことを特徴とする請求項1記載の投射結像光学系。
  3. 画像表示装置を経た光束を投射スクリーンに投射するための、曲面反射ミラーを複数枚組み合わせて構成された、該投射画像に対するフォーカス調整機構を有する投射結像光学系に於いて、フォーカス調整は該光学系のうち、少なくとも2つの反射面をひとつのフォーカス調整のための群として定義し、該フォーカス調整群を所定の方向に所定の距離だけ移動することにより実現することを特徴とする投射結像光学系。
  4. 該フォーカス調整群は、該投射光学系を構成する曲面反射ミラーのうち、最も投射スクリーン側の反射面を含むことを特徴とする請求項3記載の投射結像光学系。
  5. 画像表示装置を経た光束を投射スクリーンに投射するための、曲面反射ミラーを複数枚組み合わせて構成された、該投射画像に対するフォーカス調整機構を有する投射結像光学系に於いて、該画像表示装置から射出し、該投射結像光学系を辿り、該投射結像光学系の絞り中心を通過して該投射スクリーンへ至る一本の光線を基準軸光線と定義し、該画像表示装置から射出した直後の該基準軸光線の光路と、該投射スクリーンへ至る直前の該基準軸光線の光路は、互いにξの角度を成し、該ξは、0°≦ξ≦180°であることを特徴とする投射結像光学系。
  6. 該フォーカス調整群は該スクリーンへ至る直前の基準軸光線の光路に対して略平行に移動することを特徴とする請求項5記載の投射結像光学系。
  7. 該フォーカス調整群に入射する基準軸光線と、該フォーカス調整群から射出する基準軸光線の各々の方向余弦は、互いに略平行、且つ同符号であることを特徴とする請求項1、2、3、4,5、6記載の投射結像光学系。
  8. 該フォーカス調整群に入射する基準軸光線と、該フォーカス調整群から射出する基準軸光線の各々の方向余弦は、互いに略平行、且つ逆符号であることを特徴とする請求項1、2、3、4,5、6記載の投射結像光学系。
  9. 該フォーカス調整群を構成する面が2面である場合、該2面のパワーは共に正であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6,7記載の投射結像光学系。
  10. 該フォーカス調整群を構成する少なくとも3つの反射面は、隣接する面同士で相互にパワーが逆であり、且つ最終面のパワーが正であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、8記載の投射結像光学系。
  11. 上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは非回転対称な自由形状を呈する自由曲面ミラーであることを特徴とする請求項1〜10記載の投射結像光学系。
  12. 上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは表面に回折格子形状を有するミラーであることを特徴とする請求項1〜10記載の投射結像光学系。
  13. 上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは表面反射ミラーであることを特徴とする請求項1〜10記載の投射結像光学系。
  14. 上記曲面反射ミラーの少なくともひとつは裏面反射ミラーであることを特徴とする請求項1〜10記載の投射結像光学系。
  15. 上記表面曲面反射ミラーの少なくともひとつは樹脂又はガラスで成形したものの表面に高反射のコーティングを施したものであることを特徴とする請求項12記載の投射結像光学系。
  16. 上記表面曲面反射ミラーの少なくともひとつは金属の薄板をプレス成形して所定の形状を転写したものの表面に高反射のコーティングを施したものであることを特徴とする請求項12記載の投射結像光学系。
  17. 上記裏面曲面反射ミラーの少なくともひとつは樹脂又はガラスで成形したものの裏面に高反射のコーティングを施したものであることを特徴とする請求項13記載の投射結像光学系。
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