JP2006214455A - オイルパン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 オイルパンケース1の底面2の略高さ位置に、オイルパンに貯留するオイルを吸引する吸引口3nを設け、
常態におけるオイル液面に、この液面の略全面を覆うバッフルプレート4を浮かべ、
バッフルプレート4の周縁とオイルパンケース1の側壁1F,1Bとの間には隙間6,7および貫通孔5を設け、
バッフルプレート4の上方移動を規制するとともに、この規制中には貫通孔5を閉塞する止め具8を具える。
【選択図】図2
Description
「NISSAN フルレンジ電子制御 オートマチック トランスミッション 5E−AT 整備要領書(RE5R01A型)」,日産自動車株式会社 1989年6月 p.A-2
つまり図15に示すように従来のオイルパン101は、変速機104の下部に取り付けられ、このオイルパン101の底面102の略高さ位置にストレーナ吸引口103を設けておき、オイルの液面の高さ位置が低い場合であっても高い場合であっても、常にオイルを吸引し得るようになす。
ところが、底面102の略高さ位置にストレーナ吸引口103を設けておけば、オイルの液面が水平であれば途切れることなくオイルを吸引することができるものの、例えば、車両の急制動時などには、車両前向きの慣性力がオイルに作用してオイルがオイルパン101前側へ片寄り、常態のオイルの液面が斜め105に変動する。この時、ストレーナ103が液面105上に出てしまい、オイルを吸引することができなくなる。この結果、変速機104の作動機構本体106の潤滑油膜が途切れるといった問題や、気泡がオイル配管上に取り込まれて、以降のオイルの供給を阻害するといった問題が生じる。
あるいは、オイルパン底面の一部を周囲よりも下げてオイル溜を形成し、このオイル溜にストレーナを設けるということも考えられるが、オイル溜内のオイルは僅かであるため、ストレーナがオイルに浸かっている時間が短く、吸引し尽くした場合には、同じ問題が発生する。加えて、車両の最低地上高を確保することができず、オイルパンが路面上の突起物と衝突するという新たな問題も発生する。
あるいは、オイルをオイルパンに予め多量に蓄えておけば、ストレーナがオイルに常に浸かっているものの、今度は歯車機構等の回転要素がオイルを攪拌してしまい、回転抵抗が増大し、発熱や燃費悪化といった弊害が生じる。
車両に取り付けられた作動機構本体の下部に配設され、オイルによって潤滑される該作動機構本体から落下するオイルを受け止めて貯留するオイルパンにおいて、
該オイルパンの略底面高さ位置に、該オイルパンに貯留する貯留オイルを吸引する吸引口を設け、
該貯留オイルの略液面高さ位置に、上方から落下するオイルが該オイルパンへ流入することを許容するとともに該貯留オイルが上方へ流出することを防止する板状体を、該貯留オイルの液面を覆うよう配置したことを特徴としたものである。
したがって、潤滑油膜の途切れや、潤滑経路上への気泡の取り込みといった問題を解消して、歯車機構等の回転要素を常に円滑に作動させることができる。
図1は本発明の第1実施例になるオイルパンを模式的に示す平面図であり、図2は同実施例のオイルパンの縦断面図である。
オイルパンの外殻であるオイルパンケース1は、エンジンや図15に示すような有段自動変速機104などの下部に取り付けられる。すなわち、ピストン可動部や回転伝動体や軸受等の潤滑を必要とする作動機構本体の下部に設けられて、作動機構本体から落下するエンジンオイルやミッションオイル等の潤滑油を下方で受け止めて貯留する役割を負う。
これにより、バッフルプレート4の左右周縁を経てオイルが上下方向に移動することを防止しつつ、バッフルプレート4は左右側壁1L,1Rに挟持されることなく自由に前後移動が可能である。
オイルパンケース1内のオイル量が規定上限値に達すると図3の平面図および図4の縦断面図に示すように、バッフルプレート4が止め具8に当接する。したがって、オイルパンケース1内のオイル量が規定上限値を超えても、バッフルプレート4がさらに浮上して上方にある作動機構本体(図示せず)に接触することはない。
このとき、前側隙間6はバッフルプレート4の前方移動によって遮断される(隙間6はなくなる)とともに、貫通孔5は止め具8によって閉塞される。したがって、オイルパンケース1内のオイルが前方に移動しても、オイルが隙間6や貫通孔5から上方へ流出することを防止して、オイルは止め具8の高さ位置以下に保持される。この結果、ストレーナ吸引口3nは、オイルに浸かっており、ストレーナ3が気泡を吸い込むことを回避できる
すなわち、バッフルプレート12の前後長は、オイルパンケース11の前側壁11Fと後側壁11Bとの距離よりも短く、バッフルプレート12の車幅長は、オイルパンケース11の左側壁11Lと右側壁11Rとの距離よりも短い。したがって常態では、前側壁11Fとバッフルプレート12周縁との間には隙間6が、後側壁11Bとバッフルプレート12周縁との間には隙間7が生じるほか、左側壁11Lとバッフルプレート12周縁との間には隙間14が、右側壁11Rとバッフルプレート12周縁との間には隙間15が生じる。
この点、前後のみに隙間6,7を有する第1実施例と比較して、前後左右に隙間6,7,14,15を有するこの実施例では、バッフルプレート12がより自由に前後左右に移動し得るようにしつつ、オイルが速やかにバッフルプレート12下方へ流下し得る。
オイルパン内のオイル量が規定範囲内にある通常の状態(常態)では、オイル液面が、止め具8,13の高さ位置よりも下方にあって、バッフルプレート12は止め具8,13から離間する。このため、作動機構本体(図示せず)から落下するオイルが、隙間6,7,14,15および貫通孔5を通過して速やかにバッフルプレート12の下へ流下することができる。したがって,隙間6,7および貫通孔5を有する第1実施例と比較して、多くの隙間を有するこの実施例は,落下してくるオイルを速やかにバッフルプレート12の下へ流下させることができる点で有利である。
このとき、前側隙間6はバッフルプレート4の前方移動によって遮断される(隙間6はなくなる)とともに止め具13がより確実に隙間6を閉塞して、貫通孔5は止め具8によって閉塞される。したがって、オイルパン内のオイルが前方に移動しても、オイルが隙間6や貫通孔5から上方へ流出することを防止して、オイルは止め具8の高さ位置以下に保持される。この結果、ストレーナ吸引口3nは、オイルに浸かっており、ストレーナが気泡を吸い込むことを回避できる
なお、上記第1,2実施例ではストレーナ3がバッフルプレート4を貫通するが、これら実施例に限られず、ストレーナ3がバッフルプレート4を迂回するようオイルパンを構成してもよい。
また、隙間6,7,12,13および貫通孔5を確実に封止するよう、止め具8,13表面またはバッフルプレート4表面を弾性素材で被覆してもよい。
オイルパンケース20の上端には、常態のオイル液面31の全面を覆うように板状のバッフルプレート21を取り付けて固定する。オイルパンケース20の中央部には、ストレーナ34を上下方向に延在するよう配置する。このため、バッフルプレート21の中央部にはストレーナ34が貫通するための貫通孔35を設ける。貫通孔35の内径はストレーナ34の外径よりも大きいものとし、作動機構本体23から落下するオイルが貫通孔35とストレーナ34との隙間を経て、バッフルプレート21の下に流下し得て,オイルパン底面2に貯留する。貯留したオイルは、オイルパンケース20の底面近傍に配設したストレーナ3下端のストレーナ吸引口34nから吸引されて、作動機構本体23へ戻される。
また、孔24,24を小径とすることで、孔24,24から上方へ逆流する貯留オイルの流量を低減する。
但し、弁体29がオイルに浸かっていない状態では、図14に示すようにラバー製の弁体29が自重で弾性変形し下向きに撓む。この姿勢では、孔24が大きく開放されることはないため、上記ストッパ27を省略することができる。
車両前向きの慣性力が作用すると、図12の縦断面図に示すように、オイルがオイルパンケース20内を前方に移動して後方には液面32が生じ、慣性力の作用によりバッフルプレート21下方に貯留するオイルが前方の貫通孔24を経由してバッフルプレート21の上方へ逆流しようとする。しかし、貫通孔24に設けた一方向弁25(28)が、オイルの逆流を防止して、オイルはバッフルプレート21の高さ位置以下に保持される。したがって,ストレーナ3の吸引口3nをオイルに浸からせておくことが可能になり、ストレーナ3が気泡を吸い込むことを回避できる。
しかし、慣性力が作用する走行状態は一過的なものであり、慣性力の持続時間は常態よりも当然短いことから、孔24の内径を小さくする等、オイルの粘性に応じて孔24の内径を適切に選定することによって、常態ではオイルが孔24を小流量で流下することを許容する一方、慣性力が作用する走行状態では、オイルが孔24を大流量で逆流することを防止し得る。
したがって、車両の用途によっては、一方向弁25,28を省略しても、上記逆流するオイル流量を抑制して、吸引口34nを常にオイルに浸からせておくことが可能である。
バッフルプレート4(12,21)が貯留オイルの液面を、常態の液面高さ位置に押さえて、ストレーナ吸引口3n(34n)がオイルに浸かった状態を保持することができる。
水平方向(車両前方向)の慣性力がオイルに作用しても(図6)、慣性力作用方向側にある隙間6は、バッフルプレート4の水平方向移動によって閉塞され、オイルをオイルパンケース1の底面2に保持することが可能になる。したがって、ストレーナ吸引口3nを常にオイルに浸からせておくことが可能となり、油膜の途切れや気泡の吸い込みといった従来からの問題を解消することができる。
そして第2実施例では、貫通孔5および隙間6,7等を閉塞する止め具8,13を具えたことから、オイルを確実にオイルパンケース1の底面2に保持することができる。
慣性力の作用方向が、車両前後方向または車幅方向いずれであっても、例えば図12に示すように吸引口34nを常にオイルに浸からせておくことが可能である。
ストッパ27を具えない一方向弁28においても、弾性素材からなる弁体29と、弁体29の基端29aをバッフルプレート21と平行に向かわせるブラケット28bとから構成される機構が、一方向弁25と同じように、弁体29が孔24から離間することを規制する。
3, 34 ストレーナ
3n ストレーナ吸引口
4 バッフルプレート
5 貫通孔
6, 7 隙間
8 止め具
11 オイルパンケース
12 バッフルプレート
13 止め具
14, 15 隙間
20 オイルパンケース
21 バッフルプレート
22 自動変速機
23 作動機構本体
24 貫通孔
25, 28 一方向弁
26, 29 弁体
Claims (8)
- 車両に取り付けられた作動機構本体の下部に配設され、オイルによって潤滑される該作動機構本体から落下するオイルを受け止めて貯留するオイルパンにおいて、
該オイルパンの略底面高さ位置に、該オイルパンに貯留する貯留オイルを吸引する吸引口を設け、
該貯留オイルの略液面高さ位置に、上方から落下するオイルが該オイルパンへ流入することを許容するとともに該貯留オイルが上方へ流出することを防止する板状体を、該貯留オイルの液面を覆うよう配置したことを特徴とするオイルパン。 - 請求項1に記載のオイルパンにおいて、
常態におけるオイル液面に、該液面の略全面を覆う前記板状体を浮かべ、
該板状体の周縁と前記オイルパンの側壁との間には該板状体の水平移動によって閉塞可能な隙間を設け、
該板状体の上方移動を規制する止め具を設けたことを特徴とするオイルパン。 - 請求項2に記載のオイルパンにおいて、
前記板状体には貫通孔を設け、
前記規制中には前記止め具が隙間および貫通孔を閉塞するよう構成したことを特徴とするオイルパン。 - 請求項1に記載のオイルパンにおいて、
常態のオイル液面の略高さ位置で、該液面の全面を覆うよう前記板状体を取り付け、該板状体に複数の貫通孔を設けたことを特徴とするオイルパン。 - 請求項4に記載のオイルパンにおいて、該オイルパンの平面における中央部に前記吸引口を配設し、
車両前後方向における前記板状体の前端側および後端側と、車幅方向における前記板状体の左端側および右端側とに、前記貫通孔を配設したことを特徴とするオイルパン。 - 請求項4または5に記載のオイルパンにおいて、前記孔には、オイルの下向きの流れを許容してオイルの上向きの流れを遮断する一方向弁を設けたことを特徴とするオイルパン。
- 請求項6に記載のオイルパンにおいて、前記一方向弁は、前記孔よりも大きな弁体が下方から該孔を閉塞し得る構成であって、該弁体をオイルより比重の軽い素材で形成したことを特徴とするオイルパン。
- 請求項7に記載のオイルパンにおいて、前記一方向弁は、前記弁体が前記孔から大きく離間することを規制する機構を具えたことを特徴とするオイルパン。
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