JP2006213095A - 近赤外線反射性能を付与する方法及び高速鉄道車両 - Google Patents

近赤外線反射性能を付与する方法及び高速鉄道車両 Download PDF

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Abstract

【課題】
冷房に要する使用電力が大幅に削減され、CO削減に大きな効果を奏する近赤外線反射性能を付与する方法及び高速鉄道車両を提供する。
【解決手段】
高速鉄道車両の表面に近赤外線反射性能を付与する方法であって、表面に近赤外線反射性能を有する塗膜を形成することによるものであって、上記塗膜は、色調を変えずに780〜2100nmの波長域における日射反射率を9%以上増大させるものである近赤外線反射性能を付与する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、近赤外線反射性能を付与する方法及び高速鉄道車両に関する。
近年、地球温暖化を抑制するためのCO排出量削減が産業界の重要な課題とされており、このような課題を解決するための種々の方法が検討されている。鉄道車両の分野においては、車両の走行に必要とされるエネルギー量を低減することによって消費電力を抑制し、これによってCO排出量削減につなげることができる。このような消費電力の抑制について検討がなされている。
高速鉄道車両の消費電力は、車両走行のエネルギーとして消費される電力のほかに、車両内の空調のために消費される電力がある。特に、夏の猛暑時においては、鉄道車両内の冷房が消費電力において大きな割合を占める。従って、冷房による消費電力を低減することができれば、消費電力の抑制において大きな効果が得られるものであり、CO排出量削減において大きな効果を有するものである。
一方、建材塗装や自動車塗装の分野においては、遮熱塗料と呼ばれる熱反射効率の良好な塗膜を形成することが行われている(例えば、特許文献1、2等参照)。これらは、特に濃色系の塗膜を形成した場合に、炎天下での温度上昇を抑制しようとするものである。しかし、家屋や自動車においては、窓等の開口部の面積が広いため直射日光による温度上昇の影響が大きく、遮熱塗膜を形成することによる効果は限定的であり、冷房に際しての使用電力を抑制することができる程度の効果は得られていない。特に、淡色系の塗膜における効果は極めて小さく、このような塗膜についての検討は充分に行われていない。
特開平5−293434号公報 特開2000−279881号公報
本発明は、上記現状に鑑み、冷房に要する使用電力が大幅に削減され、CO削減に大きな効果を奏する近赤外線反射性能を付与する方法及び高速鉄道車両を提供することを目的とするものである。
本発明は、高速鉄道車両の表面に近赤外線反射性能を付与する方法であって、表面に近赤外線反射性能を有する塗膜を形成することによるものであって、上記塗膜は、色調を変えずに780〜2100nmの波長域における日射反射率を9%以上増大させるものであることを特徴とする近赤外線反射性能を付与する方法である。
上記方法において、塗膜は、高速鉄道車両の屋根部と2つの側面部に形成されたものであり、上記側面部に有する複数の開口部の総面積が、上記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下の割合であって、上記高速鉄道は、平均走行速度が100km/時間以上であることが好ましい。上記高速鉄道車両の塗膜の色彩は白色系であることが好ましい。
本発明は、高速鉄道車両の表面に近赤外線反射性能を付与する方法であって、表面に近赤外線反射性能を有する塗膜を形成することによるものであって、上記塗膜は、色調を変えずに780〜2100nmの波長域における日射反射率を9%以上増大させるものであることを特徴とする高速鉄道車両の車内温度上昇を低減する方法でもある。
上記方法において、塗膜は、高速鉄道車両の屋根部と2つの側面部に形成されたものであり、上記側面部に有する複数の開口部の総面積が、上記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下の割合であって、上記高速鉄道は、平均走行速度が100km/時間以上であることが好ましい。上記高速鉄道車両の塗膜の色彩は白色系であることが好ましい。
本発明は、上述したいずれかの方法により近赤外線反射性能を付与させた塗膜を有する高速鉄道車両でもある。
本発明は、白色系塗膜が形成された高速鉄道車両であって、上記白色系塗膜は、780〜2100nmの波長域における日射反射率が84%以上であることを特徴とする高速鉄道車両でもある。
上記白色系塗膜は、高速鉄道車両の屋根部と2つの側面部の少なくとも一部に形成されており、上記側面部に有する複数の開口部の総面積が、上記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下の割合であって、上記高速鉄道の平均走行速度が100km/時間以上であることが好ましい。
本発明の高速鉄道車両は、近赤外線反射性能を有する塗膜上に、更に、シリケート化合物を含有する塗料組成物によって形成された低汚染性塗膜を有するものであってもよい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、高速鉄道車両の表面に形成された車体塗膜に近赤外線反射性能を付与する方法であって、色調を変えずに780〜2100nmの波長域における上記車体塗膜の日射反射率を9%以上増大させることを特徴とする近赤外線反射性能を付与する方法である。本発明の方法により塗膜が形成された車両は、遮熱性を有することによって高速鉄道車両の車内温度上昇を低減することができるものであり、これによって冷房に要する使用電力を低減することができる。
これまで、特に濃色系塗装を施した自動車、建材において、遮熱塗膜を形成することによる遮熱効果は知られていたが、高速鉄道車両において色調を変えずに780〜2100nmの波長域における上記車体塗膜の日射反射率を9%以上増大させることによって、これほどの高い冷房効率改善効果が得られることは予想外の事実である。このような効果は、これまでの自動車、建材のおける分野においては知られていなかったものである。更に、白色系等の淡色系の車両においてもこれほどの優れた冷房効率改善効果が得られることは、これまでの自動車、建材における知見とは大きく相違している。これは、窓面積が小さく塗膜が形成された部分の面積が車両の全表面に占める割合が大きいこと、車両内の体積が大きいため、冷房の負荷が大きいこと等、高速鉄道車両特有の問題が関係するものであると推測される。
本発明においては、高速鉄道車両の表面に近赤外線反射性能を有する塗膜を形成することによって、車両表面に近赤外線反射性能を付与するものである。更に、このような塗膜は、色調を変えずに780〜2100nmでの波長域における熱線反射率を9%以上増大させることを特徴とするものである。
物体の色彩、光沢等は外層塗膜によりほぼ決定される。また、色彩は、視覚で認識されるものであるから、可視光線領域の波長(380〜780nm)での物体表面からの光の反射スペクトルによって決定される。すなわち、可視光線領域の反射率は色彩と密接な関係を有するものである。従って、外層塗膜の色を変更しない限り外層塗膜における可視光線領域での太陽熱吸収量又は反射率を変更することは難しい。
しかしながら、外層塗膜の可視光線領域外である近赤外線領域(780〜2100nm)の吸収スペクトルは、色彩には影響を与えないが温度上昇には大きな影響を与える波長領域である。したがって、この領域での反射率を高めることにより、物体表面の色彩を所望の色彩に着色しつつその表面からの太陽熱反射性を向上させることができる。このため、本発明の効果を得る上では780〜2100nmでの波長域における熱線反射率が重要になるのである。
なお、「日射反射率」の用語の意義は、JIS A 5759に記載されており、そこでは350〜2100nmの波長域であるが、本明細書における「日射反射率」は、太陽光の780〜2100nmの波長域における各波長の強度によりウエイト付けした反射率を意味するものとする。
本発明は、車体塗膜に近赤外線反射性能を付与することにより、車内温度上昇に寄与する780〜2100nmの波長域の近赤外線を反射することにより、高速鉄道車両が吸収する熱量を減少させて、車内の温度上昇を防ぐ方法である。その際、従来の塗膜に比べて、色調を変えずに780〜2100nmでの波長域における熱線反射率を9%以上増大させるものである。
ここで日射反射率を9%以上増大させるとは、従来使用していた塗料組成物に比べたときの日射反射率が9%以上増大していることを意味するものである。また、従来の塗膜を有する高速鉄道車両上に上記条件を満たす塗膜を形成することによって、日射反射率を9%以上増大させる場合も包含するものである。
このような近赤外線反射性能を有する塗膜は、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたような方法によって形成することができる。例えば、800〜2100nmの波長領域での太陽熱反射率(RE/NIR )が20%以上の顔料を2〜70質量%含有する塗膜を形成する方法等によって形成することができる。従って、従来の塗料において使用されている顔料を800〜2100nmの波長領域での太陽熱反射率(RE/NIR )が20%以上の顔料へと置換することによって、従来の塗料に比べて800〜2100nmの日射反射率を9%以上増大させることができる。
上記塗膜の形成は、塗料組成物を塗布することによって行うことができる。上記塗料組成物としては、780〜2100nmにおける波長域における日射反射率が上述したような範囲のものである塗膜を形成できるものであれば特に限定されず、着色顔料の他に、樹脂、硬化剤、溶剤、増粘剤、分散剤、体質顔料、防錆顔料等の通常の塗料組成物において使用される成分を含有するものを使用することができる。
上記塗膜は、高速鉄道車両の屋根部と2つの側面部に形成することが好ましい。高速鉄道車両の塗装は主としてこれらの部分に塗装されるものであるから、そのすべてを上記性質を満たす塗膜とすることが好ましい。
更に、本発明の近赤外線反射性能を付与する方法は、上記側面部に有する複数の開口部の総面積が、上記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下の割合であり、平均走行速度が100km/時間であるような高速鉄道車両に対して特に好適に適用することができる。平均走行速度が100km/時間であるような高速鉄道車両は、高速で走行するもので、トンネル区間の少ないことによる走行中の日射が大きいという特徴を有するものであり、これによって特に上記方法による近赤外線反射性能の向上が車内温度上昇の低減において大きな影響を与えるものである。更に、側面部に有する複数の開口部の総面積が、上記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下であるような鉄道車両は、開口部面積の割合が小さいため、開口部を通じた熱の進入の割合も小さく、車体を通じた熱の進入の割合が大きいため、特に本発明の効果が顕著に現れるものである。
上記開口部とは、車体において外部からの自然光が容易に透過することができるような部位を指すものであり、貫通孔のほか、ガラス、透明プラスチック等によって形成された窓部等を指すものである。特に、平均走行速度が100km/時間以上であるような高速鉄道車両は、窓部が少ないことが多く、上記開口部の総面積の割合を満足する場合が多い。
本発明において高速鉄道車両の表面に形成させる塗膜としては、780〜2100nmの波長域における日射反射率が84%以上である白色系の塗膜、780〜2100nmの波長域における日射反射率が20%以上である青色系の塗膜、780〜2100nmの波長域における日射反射率が30%以上である赤色系の塗膜、780〜2100nmの波長域における日射反射率が20%以上である緑色系の塗膜、780〜2100nmの波長域における日射反射率が40%以上である黄色系の塗膜、及び、780〜2100nmの波長域における日射反射率が8%以上である黒色系の塗膜等を挙げることができる。これらの範囲のものを使用すると、従来の塗料と色調を変えることなく、780〜2100nmの波長域における日射反射率を9%以上増大させることができる。
本発明の近赤外線反射性能を付与する方法は、白色系の塗膜を有する高速鉄道車両に対して適用した場合であっても優れた効果を奏するものであることも特徴の一つである。白色系とは、白色及び淡彩色を指すものである。通常、高速鉄道用の車両の調製は、原色塗料を混合して目的とする塗色を得るものであるが、ここで淡彩色は白原色に少量の着色原色を添加することによって得られた色彩をいう。また、青色系、赤色系、緑色系、黄色系、黒色系とは、おのおのの原色(青色原色、赤色原色、緑色原色、黒色原色)に、白原色を少量加えたもの(濃彩色という)又は白原色をほぼ同量加えたもの(中彩色という)をいう。
上記白色系の塗膜を有する高速鉄道車両は、780〜2100nmの波長域における日射反射率が84%以上であることが好ましい。上記日射反射率が84%以上であることによって、白色を維持したままで冷房効率を向上させることができる点で好ましい。なお、ここで白色系の塗膜を有する高速鉄道車両とは、車両全体が白色系の塗膜を有するものだけを指すものではなく、高速鉄道車両の一部に白色系以外の塗膜を有するものであってもよい。
本発明は、新造される高速鉄道車両に対して塗膜を形成することにより行うものであっても、既存の車両の塗膜上に新たに塗膜を重ねることによって行うものであってもよい。すなわち、近赤外線反射性能が低い塗膜を有する従来の塗膜を有する高速鉄道車両の表面に、上記近赤外線反射性能を有する塗膜を形成するものであってもよい。このような方法によっても、近赤外線反射性能は、顕著に改善することができるものであり、既存の車両を極めて簡便な方法によって冷房効率が改善されたものとすることができる。
本発明は、上記塗膜を有する高速鉄道車両でもある。高速鉄道車両としては、特に限定されず、鋼製、ステンレス製、アルミニウム製等の通常の素材によって構成された高速鉄道車両に適用することができるものである。
本発明の高速鉄道車両は、更にシリケート化合物を含有する塗料組成物によって形成された低汚染性塗膜を有してなるものであってもよい。すなわち、シリケート化合物を含有する塗料組成物によって形成された塗料組成物によって形成された塗膜は、塗膜表面においてシリケート化合物の層が形成されることによって、表面が極めて高い親水性を有するものとなる。このため、降雨等によって水に濡れた際に表面に付着した汚れが洗い流され、高い耐汚染性能を有することが知られているものである。
本発明は、近赤外線反射性能が高い塗膜を形成することによって車両における温度上昇を低減するものであるが、塗膜表面に汚染物質が付着すると、その汚染物質によって近赤外線の吸収が生じ、目的とする効果が経時的に劣化するおそれがある。上記低汚染性塗膜を有してなる高速鉄道車両は、このような問題を改善し、長期にわたって優れた近赤外線反射性能を発揮することができる点で好ましいものである。
上記シリケート化合物としては特に限定されず、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラ−n−ペントキシシラン、テトラ−iso−ペントキシシラン、テトラネオペントキシシラン等;それらの1種又は2種以上の縮合物等を挙げることができる。なかでも、メチルシリケート及び/若しくはその縮合物、又は、エチルシリケート及び/又はその縮合物であり、最も好ましいのがメチルシリケートの縮合物であることが好ましい。
上記メチルシリケートの縮合物としては、例えば、「MKCシリケートMS51」、「MKCシリケートMS56」、「MKCシリケートMS60」(いずれも商品名、三菱化学社製)等の市販品が挙げられる。上記エチルシリケートの縮合物としては、例えば、「エチルシリケート28」、「エチルシリケート40」、「エチルシリケート48」(いずれも商品名、コルコート社製)等の市販品が挙げられる。
上記シリケート化合物を含有する塗料組成物は、シリケート化合物のみからなるものであっても、必要に応じて添加剤を含有するものであってもよい。上記添加剤としては、表面調整剤、消泡剤、硬化促進剤等を使用することができる。
上記シリケート化合物を含有する塗料組成物は、高速鉄道車両の表面の全体に塗布するものであっても、一部分のみに塗布するものであってもよい。好ましくは、少なくとも屋根部には塗布するものであることが好ましい。高速鉄道車両は、定期的に清掃機による清掃がなされることから、表面の汚染をある程度防止することができる。しかし、側面部に比べて屋根部は、清掃機による清浄化を効率よく行うことが困難である。従って、屋根部には上記シリケート化合物を含有する塗料組成物を塗布することによって、耐汚染性能を有する塗膜を形成させることが好ましいものである。
本発明の近赤外線反射性能を付与する方法は、高速鉄道車両における冷房に使用されるエネルギーを低減することによって、CO排出量削減に大きく寄与するものである。
以下に本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
(実施例1、2及び比較例)
実際に平均走行速度が100km/時間以上で走行する高速鉄道車両として使用され、廃車となった車両表面に近赤外線反射性能を有する塗膜を形成させ、この車両を日中、野外に設置し、室内の温度変化を一時間ごとに測定した。測定は、一日の最高気温が31℃となった9月初旬の晴天日に9時〜16時まで7時間にわたって温度変化の測定を行った。実施例としては、屋根部、2つの側面部の全面積に対して近赤外線反射性能を有する塗膜の形成を行った場合(実施例1)、屋根部のみ近赤外線反射性能を有する塗膜の形成を行い、2つの側面部は通常の塗装のままとした場合(実施例2)、従来使用されていた通常の塗装のままである場合(比較例)の3つの場合について試験を行い、それぞれ温度変化を測定した。
なお、この試験によって形成された塗膜は、白色で図1に示した近赤外線反射率を有するものである。この色相は、従来の高速鉄道車両の色相と実質的な相違のないものであった。図1の結果から、780〜2100nmの範囲における日射反射率を算出すると、84%である。また、試験に使用した車両は、上記側面部に有する複数の開口部の総面積が、上記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%の割合であった。
結果を図2に示す。図2からも明らかなように、本発明の近赤外線反射性能を付与する方法を適用した高速鉄道車両は、顕著に室内温度が低下していることが明らかになった。その温度低下幅は、日中の最も高温な時間である14時の時点で約3度であった。この結果から大幅に車内の空調に要するエネルギー消費量を大幅に削減できることは明らかである。
上記温度低下による使用エネルギー量の低減割合を以下の計算によって推測する。高速鉄道車両の冷房負荷は、車体伝熱による負荷、日射による負荷、換気・すきま風による負荷、室内機器の発熱による負荷、乗客の発熱による負荷の合計として表すことができる。本発明によって低減されるのは、上記負荷のうち車体伝熱による負荷である。上記車体伝熱による負荷は、高速鉄道車両における全冷房負荷のうち、約19%を占めると言われている。
車体負荷Qは、
=K・A・Δ
K:車体の熱通過率(kcal/m・h・℃)
A:車体の表面積(m
Δ:車内外乾球温度差(℃)
で表されることが知られている。
本発明によって近赤外線反射性能を付与した高速鉄道車両は、上記実験結果から明らかなように、車両中で約39℃から約36℃と、約3℃の温度低下が観察された。冷房は、室内温度26℃とするものであることから、温度差が約39℃から約36℃に低減されることによって、冷房負荷としては、13℃から10℃へと低減し、Δが約20%低減され、これによってQも20%低減されるものである。以上の結果より、上記実施例1,2においては大幅に冷房に使用されるエネルギー量が低減されることが明らかである。
本発明の近赤外線反射性能を付与する方法及び高速鉄道車両は、使用エネルギー量を大幅に削減することができるものである。
実施例において形成した塗膜の近赤外線反射性能を示す図である。 実施例における車内での温度変化を示す図である。

Claims (10)

  1. 高速鉄道車両の表面に近赤外線反射性能を付与する方法であって、
    表面に近赤外線反射性能を有する塗膜を形成することによるものであって、
    前記塗膜は、色調を変えずに780〜2100nmの波長域における日射反射率を9%以上増大させるものである
    ことを特徴とする近赤外線反射性能を付与する方法。
  2. 塗膜は、高速鉄道車両の屋根部と2つの側面部に形成されたものであり、前記側面部に有する複数の開口部の総面積が、前記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下の割合であって、
    前記高速鉄道は、平均走行速度が100km/時間以上である請求項1記載の方法。
  3. 車体塗膜の色彩は白色系である請求項1又は2記載の方法。
  4. 高速鉄道車両の表面に近赤外線反射性能を付与する方法であって、
    表面に近赤外線反射性能を有する塗膜を形成することによるものであって、
    前記塗膜は、色調を変えずに780〜2100nmの波長域における日射反射率を9%以上増大させるものである
    ことを特徴とする高速鉄道車両の車内温度上昇を低減する方法。
  5. 塗膜は、高速鉄道車両の屋根部と2つの側面部に形成されたものであり、前記側面部に有する複数の開口部の総面積が、前記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下の割合であって、
    前記高速鉄道は、平均走行速度が100km/時間以上である請求項4記載の方法。
  6. 車体塗膜の色彩は白色系である請求項4又は5記載の方法。
  7. 請求項1、2又は3のいずれかの方法により近赤外線反射性能を付与させた塗膜を有する高速鉄道車両。
  8. 白色系塗膜が形成された高速鉄道車両であって、
    前記白色系塗膜は、780〜2100nmの波長域における日射反射率が84%以上であることを特徴とする高速鉄道車両。
  9. 白色系塗膜は、高速鉄道車両の屋根部と2つの側面部の少なくとも一部に形成されており、前記側面部に有する複数の開口部の総面積が、前記屋根部と2つの側面部の総面積に対して、12%以下の割合であって、前記高速鉄道の平均走行速度が100km/時間以上である、請求項8記載の高速鉄道車両。
  10. 近赤外線反射性能を有する塗膜上に、更に、シリケート化合物を含有する塗料組成物によって形成された低汚染性塗膜を有する請求項7、8又は9記載の高速鉄道車両。
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