JP2006212961A - 記録装置 - Google Patents

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JP2006212961A JP2005029034A JP2005029034A JP2006212961A JP 2006212961 A JP2006212961 A JP 2006212961A JP 2005029034 A JP2005029034 A JP 2005029034A JP 2005029034 A JP2005029034 A JP 2005029034A JP 2006212961 A JP2006212961 A JP 2006212961A
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Abstract

【課題】 キャリッジの振動を抑制するための防振装置を有する記録装置を提供する。
【解決手段】 記録ヘッドを搭載したキャリッジと、モータと、モータとキャリッジとを連結する第1のベルトと、防振装置を有し、該防振装置は、回転体と、モータと回転体とを連結する第2のベルトとから構成されることを特徴とする記録装置である。
【選択図】 図1

Description

本発明はインクジェットプリンタなどの記録装置に関する。特に、記録ヘッドを搭載したキャリッジの駆動に関するものである。
エレクトロニクス技術の著しい発展に伴い、計算機の処理能力は格段な進歩を遂げている。特に、カラー画像処理を行なうためには大量のデータを短時間で処理しなくてはならない。従来では処理速度の面で困難があったが、近年の計算機の能力向上は、このようなカラー画像処理をごく一般的なものとするまでになっている。
また、カラー画像を出力するための記録装置も利用範囲が急速に拡大している。従来の写真印刷にとってかわり、インクジェットプリンタに代表される記録装置を用いてカラー画像を出力する場面が増えている。小は名刺サイズから大はB0以上のポスターサイズに至るまでインクジェットプリンタの活用範囲は拡大している。
また、記録装置の普及に伴って、装置に対する画質向上とスループット向上の要求は高まる一方である。一般に記録装置では記録ヘッドを記録媒体に対して走査させながら印字を行なう。このため、記録ヘッドを搭載するキャリッジに対しては、さらなる高精度化と高速化が求められている。
このような要求に対して、記録装置では、キャリッジの移動量をエンコーダで検出して、別途定めた目標移動量と該移動量との差に応じてキャリッジを駆動するという、いわゆるサーボ機構が採用されている。外部の計算機から記録データを受信すると、サーボ機構によりキャリッジが駆動されて、所定の走査速度に達した時点で印字が開始される。一回の走査に相当する記録データの記録が終了するとキャリッジは停止する。さらに記録データがある場合はキャリッジの駆動と記録が繰り返される。
このようなキャリッジの駆動パターンを図示すると、典型的には図4のようなパターンとなる。まず、加速区間で所定の走査速度までキャリッジが加速される。次に、等速区間において、キャリッジが所定の走査速度で駆動されている間に記録が実行される。そして、記録終了後の減速区間では、キャリッジの減速と停止が行なわれる。この駆動パターンが一回の走査に相当する。さらに記録データがある場合には、同様な駆動パターンが繰り返される。サーボ機構の動作は、印字を行なうための適切な駆動パターンを生成することと、駆動パターンに追従するようにキャリッジを駆動することである。動作に何らかの不具合があると、キャリッジに振動が発生して記録媒体への印字が乱れてしまう。
振動を発生させる主要因の一つはアクチュエータの出力変動である。記録装置ではキャリッジを駆動するためのアクチュエータにモータを採用している。モータには磁石と鉄心との吸引力に起因した、コギングトルクと呼ばれる出力変動が知られている。コアレスモータなど一部の高価なモータを除いてコギングトルクの存在は回避困難である。このコギングトルクによりキャリッジに振動が発生して印字が乱れるという問題がある。
一方、振動を低減させるための技術としては動吸振器が知られている。動吸振器とは慣性体と弾性体から構成された構造物であり、振動吸収の作用を有する。従来の記録装置でも、キャリッジに動吸振器を搭載したものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような従来技術にみられる記録装置を図7により説明する。図7において、キャリッジ101はガイドシャフト102およびガイドレール103に沿って駆動される。動吸振器106は弾性体104と慣性体105とから構成される。弾性体104の具体的な実現手段はゴム材であり、慣性体105は錘である。動吸振器106はキャリッジ101の振動を吸収するように作用するが、問題点は、吸振作用が単一方向かつ局所的に限定されることである。
一般にキャリッジ101のような構造物では剛体としての振動に6自由度が存在する。吸振作用は弾性体104の伸縮可能な方向にのみ現れるため、6自由度の全てに対して振動を吸収することは出来ない。さらに、キャリッジ106を構成する部材の柔軟性が無視できない場合は、吸振作用が動吸振器106の取り付けられた近傍の局所的振動にとどまってしまうため、印字の乱れを十分に抑制することが出来なかった。
また、従来技術による記録装置では回転軸に作用を与えるような動吸振器がみられる(例えば、特許文献2参照)。図8を用いてこのような従来技術を説明する。
図8において、回転軸110は記録装置の駆動系における一つの駆動軸である。回転軸110には第1の回転体111が取り付けられている。第1の回転体111は一般にフライホイールと呼ばれるものであり、回転軸110と一体となって回転する。第2の回転体113は弾性体112を介して第1の慣性体に接続されている。第2の回転体113と弾性体112が動吸振器を構成しており、回転軸110および第1の回転体111の振動を吸収するように作用する。しかしながら、このような従来技術では、動吸振器を備えることが却って回転軸110の振動を誘発してしまうという問題点を有する。なぜなら、防振装置が回転系に偏心をもたらすこと、および回転軸110をたわませることが避けられないためである。
特開平10−337942号公報(第5頁、図1) 特開2000−085206号公報(第5頁、図2)
これまで述べたように振動抑制の手段として動吸振器が知られているが、従来技術では、記録装置の振動問題を解決するまでには至っていない。以下、図3を用いて、記録装置における振動問題の困難性をさらに詳しく説明する。
図3はキャリッジ1とキャリッジ1を駆動するための機構を示した斜投影図である。
不図示な記録ヘッドを搭載するキャリッジ1は2本のガイドシャフト2に案内されて走査方向に往復運動をする。タイミングベルト3はベルトホルダ4を介してキャリッジ1に固定されている。また、タイミングベルト3は駆動プーリ6とアイドルプーリ7に弛みなく懸架されている。駆動プーリ6とアイドルプーリ7はキャリッジ1の走査方向の両端にそれぞれ配置されている。駆動プーリ6にはアクチュエータであるモータ5が連結されている。モータ5が発生するトルクはプーリ6、アイドルプーリ7、タイミングベルト3を介してキャリッジ1に推力として伝達される。すなわち、モータ5の回転運動はこれらの機構を介してキャリッジ1の並進運動に変換される。
また、エンコーダ8はキャリッジ1の走査方向の移動量を検出ための検出器である。サーボ機構はエンコーダ8からの信号に応じてモータ5にトルクを発生させるが、図3においてサーボ機構は不図示である。
前述したように、モータ5には、磁石と鉄心との吸引力に起因した、コギングトルクと呼ばれるトルク変動が存在する。コギングトルクはキャリッジ1に伝播してキャリッジ1の振動と印字の乱れを誘発する。キャリッジ1の振動抑制が困難である理由は、コギングトルクのような1つの振動要因が、キャリッジ1に少なくとも6つの方向で振動を発生させることである。
図3に示すように、キャリッジ1は直交座標系の軸方向並進と軸まわり回転で6つの運動自由度を有する。ガイドシャフト2はキャリッジ1を走査方向に運動させるべく支持しているが、その支持構造にはある程度の隙間が存在する。よって、コギングトルクがキャリッジ1に伝播されると、キャリッジ1には全ての自由度で振動が誘発される。また、キャリッジ1を構成する部材の結合剛性や部材自体の柔軟性も考慮すると、振動の自由度はさらに増える。キャリッジ1に動吸振器を搭載する場合は、自由度の数だけ動吸振器を用意しなくてはならない。これはスペースの逼迫とキャリッジ1の重量増大を招くため現実には実施困難である。
コギングトルクによる振動誘発を防止するには、コギングトルクの発生源であるモータ5に防振対策を施すことが望ましい。キャリッジ1に伝播する前の段階で防振対策を施せば、キャリッジ1の運動自由度の数だけ動吸振器を用意するような不都合は回避することが出来る。しかしながら、従来技術では、モータ5に代表される回転駆動系に対して実効性の高い防振装置が提案されていない。モータ5の回転軸に動吸振器を備えることが考えられるが、前述したように、これでは却ってモータ5の振動を誘発してしまう。動吸振器が回転軸に偏心をもたらすこと、および回転軸をたわませることが避けられないためである。
また、動吸振器を効果的に作用させるためには、吸振周波数の調整が必須である。調整には、弾性体の硬度もしくは剛性と、慣性体の質量を変更しなくてはならない。従来技術の動吸振器はゴム材のような弾性体を貼り付ける構成であり、組み立てと分解を繰り返すことは容易でない。吸振周波数の調整はほとんど不可能である。よって、調整の容易な動吸振器の出現が望まれている。
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、モータのコギングトルクに代表されるような振動要因に対して、キャリッジへの振動誘発を抑制するための防振装置を提供することである。また、本発明の目的は、このようなキャリッジの防振装置を搭載することで印字の乱れを抑制できるような記録装置を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明による記録装置は、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジと、モータと、モータとキャリッジとを連結する第1のベルトと、防振装置を有し、該防振装置は、回転体と、モータと回転体とを連結する第2のベルトとから構成されることを特徴とする記録装置である。
本発明の効果を以下にまとめて記す。
(1)モータ要因の振動を効果的に抑制することができる。これにより印字の乱れを回避できる。防振装置はモータに作用するので、振動がキャリッジに伝播する前の段階で振動抑制が可能である。
(2)防振装置によるスペース増大もしくは重量増大といった問題を回避することができる。キャリッジの振動は多自由度系であることが特徴であるが、本発明によれば自由度の数だけ防振装置を用意する必要はない。
(3)防振装置を記録装置に組み込むための設計が容易となる。防振装置をキャリッジに直接搭載する必要がないからである。
(4)防振装置の搭載が新たな振動要因とならない。防振装置とモータとは回転軸を共有しない。モータに対して偏心や軸のたわみといった問題発生を回避することができる。
(5)吸振周波数の調整が容易である。ベルトの材質、形状を変更すること、もしくは回転体の慣性モーメントを変更することで吸振周波数を調整可能である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明による記録装置の実施例を好適に示した図である。
不図示な記録ヘッドを搭載するキャリッジ1はガイドシャフト2に案内されて走査方向に往復運動をする。タイミングベルト3はベルトホルダ4を介してキャリッジ1に固定されている。また、タイミングベルト3は駆動プーリ6とアイドルプーリ7に弛みなく懸架されている。駆動プーリ6とアイドルプーリ7はキャリッジ1の走査方向の両端にそれぞれ配置されている。駆動プーリ6にはアクチュエータであるモータ5が連結されている。モータ5が発生するトルクは駆動プーリ6、アイドルプーリ7、タイミングベルト3を介してキャリッジ1に推力として伝達される。すなわち、モータ5の回転運動はこれらの機構を介してキャリッジ1の並進運動に変換される。
次に防振装置14の構成を説明する。モータ5のロータにはプーリ9が、そして回転体13には類似なプーリ10が取り付けられている。ベルト11はこれらプーリ9、10を連結する。回転体13は回転運動を可能とするようにブラケット12に支持されている。ブラケット12はフレーム15に取り付けられている。図2は防振装置の構成をさらに説明した図面である。ブラケット12の内側に破線で示した回転体13がある。回転体13とプーリ10は一体として回転運動可能である。
防振装置の作用は以下のようである。モータ5を駆動すると防止装置14の回転体13はモータ5のロータと共に回転する。コギングトルクに代表されるようなトルク変動は主として回転体13を振動させる。モータ5に振動はほとんど発生しない。すなわち、防振装置14がモータ5の振動を吸収する。キャリッジ1に振動が伝播されないのは言うまでもない。
本発明による防振装置14はこれまでに説明してきた動吸振器の一種である。動吸振器を構成する弾性体にはベルト11が相当する。同じく慣性体には回転体13が相当する。吸振周波数を調整するためには、ベルト3の材質あるいは厚み、幅などの形状を変更するか、回転体13の慣性モーメントを変更する。ベルト3はプーリ9、10に懸架されているため取り外しが極めて容易である。よって、吸振周波数の調整も簡単に実施することができる。
防振装置14の作用を理論的にさらに詳しく説明する。まず、駆動系の力学モデルを図5および図6に示す。同図および以下の説明で使用する記号をまとめる。
:モータ5の並進換算の質量 [kg]
cr:キャリッジ1の質量 [kg]
:回転体13の並進換算の質量 [kg]
:モータ5の並進換算の変位 [m]
cr:キャリッジ1の変位 [m]
:回転体13の並進換算の変位 [m]
cr:タイミングベルト3のばね定数 [N/m]
:ベルト11のばね定数 [N/m]
F:モータ5に作用する外力 [N]
ω:防振装置を具備しない場合の自然角周波数 [rad/s]
ω:吸振作用を与える角周波数 [rad/s]
ω:角周波数 [rad/s]
s:ラプラス演算子
図5は防振装置を具備しない場合の力学モデルである。キャリッジ1とモータ5は質点、タイミングベルト3は、ばねとしてモデル化される。モータ5は回転運動を行なうものであるが、説明の煩雑さを避けるために、キャリッジ1の並進運動に合わせて、モデル化は並進系に統一して行っている。Mは、駆動プーリ6の径を考慮してモータ5の慣性モーメントを並進系の質量に換算したものである。同様にして、Xもモータ5の回転角を変位に換算している。並進系か回転系かは防振装置の作用を議論する上で本質的な問題ではない。また、モータ5のトルク変動はモータ5に作用する外力Fとしてモデル化される。
図6は防振装置を具備した場合である。質点である回転体13がばね定数Kのベルトを介してモータ5に連結される。回転体13を並進系に換算したうえでモデル化しているのはモータ5の場合と全く同様である。防振装置14の作用は、外力Fからキャリッジ1の加速度scrまでの伝達関数で示すことができる。同伝達関数は図6の力学モデルより数1式、数2式のようである。
Figure 2006212961
Figure 2006212961
数1式からわかるように、伝達関数は、
Figure 2006212961
の角周波数で反共振点を有する。すなわち、防振装置14は角周波数ωの振動に対して吸振作用を有する。同角周波数でキャリッジ1の振動を効果的に抑制することができる。
防振装置14の作用をさらに数値解析で示す。外力Fからキャリッジ1の加速度scrまでの周波数特性を試算すると図9に示すような結果を得る。同図において横軸は自然角周波数uで正規化している。ωはキャリッジ1とモータ5の間に存在する共振現象を示しており、解析的に示すならば次の数3式のようである。
Figure 2006212961
図9(a)〜図9(c)に示すように角周波数ωで振幅が低減している。これが防振装置14の作用である。
本発明の好適な実施形態を示す図 本発明による防振装置の構造を示す図 キャリッジ駆動系機構を示す図 キャリッジの駆動パターンを示す図 防振装置を具備しない場合の力学モデルを示す図 防振装置を具備する場合の力学モデルを示す図 従来技術による記録装置を示す図 従来技術による防振装置を示す図 本発明による防振装置の作用を示す図
符号の説明
1 キャリッジ
2 ガイドシャフト
3 タイミングベルト
4 ベルトホルダ
5 モータ
6 駆動プーリ
7 アイドルプーリ
8 エンコーダ
9 プーリ
10 プーリ
11 ベルト
12 ブラケット
13 回転体
14 防振装置
15 フレーム

Claims (1)

  1. 記録ヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させて記録を行なう記録装置において、
    前記記録ヘッドを搭載したキャリッジと、モータと、前記モータと前記キャリッジとを連結する第1のベルトと、防振装置を有し、
    前記防振装置は、回転体と、前記モータと前記回転体とを連結する第2のベルトとから構成されることを特徴とする記録装置。
JP2005029034A 2005-02-04 2005-02-04 記録装置 Withdrawn JP2006212961A (ja)

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