JP2006212879A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットプリンタ、特にライン方式のインクジェットプリンタにおいて、インクの加圧に起因する水分の蒸発やそれによるインクの増粘を長期間にわたって防止し、記録ヘッドにインクを安定的に供給可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、記録媒体Pに対してインク4を吐出するためのノズル5が設けられた記録ヘッド3と、記録ヘッド3のノズル5に対し背圧を発生させる中間タンク9と、中間タンク9に保湿された空気を送って中間タンク9内を加圧するための加圧保湿手段14、15、20とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、記録媒体Pに対してインク4を吐出するためのノズル5が設けられた記録ヘッド3と、記録ヘッド3のノズル5に対し背圧を発生させる中間タンク9と、中間タンク9に保湿された空気を送って中間タンク9内を加圧するための加圧保湿手段14、15、20とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェットプリンタに係り、特にインクの増粘を防止可能なインクジェットプリンタに関する。
近年、種々の記録媒体に対して高精細な記録が可能な記録装置として、インクジェット方式を用いたインクジェットプリンタが広く普及している。インクジェットプリンタは、記録媒体に対向する記録ヘッドを有し、記録ヘッドに設けられた多数のノズルからインクを吐出し、記録媒体に着弾させて記録を行う。
インクジェットプリンタに採用される記録方式は、主に、記録媒体の搬送方向に直交する方向への記録ヘッドの走査と記録媒体の搬送とを交互に繰り返しながら記録を行うシリアル方式と、記録媒体上に位置固定された記録ヘッドから搬送される記録媒体に対して記録を行うライン方式とに大別される。
ライン方式のインクジェットプリンタでは、記録媒体の記録幅分のノズルを幅方向に並べる必要があるため、通常、シリアル方式のインクジェットプリンタに比べてノズルや記録ヘッドの数が多くなる。また、それに伴って、インクタンクから記録ヘッドへのインク流れに対する流路抵抗がシリアル方式の場合に比べて大きくなる。
そのため、ライン方式のインクジェットプリンタでは、記録ヘッドやノズルのメンテナンス時などのように記録ヘッドに比較的大量にインクを送る必要がある場合には、インクタンク内をポンプで加圧してインクを記録ヘッドに圧送することが行われる(例えば、特許文献1等参照)。
特開平10−151761号公報
ところで、インクジェットプリンタにおいては、インク中の水分が一定量以上蒸発するとインクが増粘し、記録画像の画質の低下やインクの供給不良が生じ易くなる。特にライン方式のインクジェットプリンタでは、前述したようにノズルや記録ヘッドの数が多く、シリアル方式に比べて単位時間あたりのインク供給量が多くなるが、一旦このようなインクの増粘が生じると、インクの供給が困難になり、インクの吐出不良が生じ易くなる。
前述したように、メンテナンス時などに記録ヘッドにインクを圧送するために、ポンプでインクタンクに外部の乾いた空気を送り込み、あるいは圧縮空気を送り込んで加圧すると、インク中の水分が蒸発してしまい、前記のようなインクの増粘およびそれに伴う不具合が生じてしまう。
また、ライン方式のインクジェットプリンタでは、インクタンクから記録ヘッドへのインク流路中に、記録ヘッドのノズルに対し背圧を発生させるための中間タンク等の構造が設けられる場合があり、単にインクタンク内を加圧するだけでは記録ヘッドに安定してインクを圧送できない場合がある。
そこで、本発明は、インクジェットプリンタ、特にライン方式のインクジェットプリンタにおいて、インクの加圧に起因する水分の蒸発やそれによるインクの増粘を長期間にわたって防止し、記録ヘッドにインクを安定的に供給可能なインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
前述の問題を解決するために、請求項1に記載のインクジェットプリンタは、
記録媒体に対してインクを吐出するためのノズルが設けられた記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの前記ノズルに対し背圧を発生させる中間タンクと、
前記中間タンクに保湿された空気を送って前記中間タンク内を加圧するための加圧保湿手段と
を備えることを特徴とする。
記録媒体に対してインクを吐出するためのノズルが設けられた記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの前記ノズルに対し背圧を発生させる中間タンクと、
前記中間タンクに保湿された空気を送って前記中間タンク内を加圧するための加圧保湿手段と
を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、インクジェットプリンタは、記録ヘッドのノズルに対して背圧を発生させる中間タンクに保湿された空気を送って中間タンク内を加圧し、中間タンクから記録ヘッドにインクを圧送するための加圧保湿手段を有している。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記保湿された空気は、塩の飽和水溶液の水蒸気を含むことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、加圧保湿手段により、塩化カリウムや塩化ナトリウム等の塩の飽和水溶液から生成される平衡湿度の水蒸気を含む保湿された空気が中間タンクに送られる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記加圧保湿手段は、塩の飽和水溶液よりなる保湿液と、前記保湿液を貯留する保湿液タンクと、前記保湿液タンクから中間タンクに前記保湿された空気を送るためのポンプとを備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、加圧保湿手段は、塩の飽和水溶液よりなる保湿液が貯留された保湿液タンクで保湿された空気を常時生成させ、ポンプでその保湿された空気を中間タンクに送って中間タンクを加圧する。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記加圧保湿手段は、インクの初期導入時または前記記録ヘッドのメンテナンス時に前記保湿された空気を送ることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、記録ヘッドへのインクの圧送が必要な初期状態のインクジェットプリンタにインクを導入する際や記録ヘッドのメンテナンス時に加圧保湿手段が駆動され、保湿された空気が中間タンクに送られる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記記録ヘッドがライン方式であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、ライン方式のインクジェットプリンタにおいて、加圧保湿手段により中間タンクに保湿された空気が送られ、中間タンクが加圧されて記録ヘッドにインクが圧送される。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記インクは、25℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、インクジェットプリンタでは、25℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であるインクが使用される。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記インクは、カチオン重合系紫外線硬化型インクであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、インクジェットプリンタでは、カチオン重合系紫外線硬化型インクが使用される。
請求項1に記載の発明によれば、インクジェットプリンタに加圧保湿手段が設けられ、加圧保湿手段から中間タンクに保湿された空気を送って中間タンク内を加圧し、中間タンクから記録ヘッドにインクを圧送する。この保湿された空気の湿度を、中間タンク内のインク上方の空間における平衡湿度に等しいあるいは同程度の湿度とすることで、中間タンクの上方空間におけるインクからの水分の蒸発と上方空間の水蒸気のインクへの吸収との平衡が保たれた状態を維持することができる。
そのため、インクの圧送の際に供給された空気によりインクからの水分の蒸発量が増加してインクが増粘することを有効に防止することが可能となり、また、中間タンクの上方空間における平衡湿度が常時保たれるため、インクの増粘に起因するインクの供給不良や吐出不良、インク出射性の低下等の発生を長期間にわたって防止することが可能となる。
一方、記録ヘッドにインクを供給する種々の部材のうち、記録ヘッドに直近の中間タンクにおいてインクを加圧して記録ヘッドに圧送することで、種々のタンク等を介してインクを圧送する場合に比べて効率良くかつ安定的にインクを圧送して供給することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、加圧保湿手段により、塩化カリウムや塩化ナトリウム等の塩の飽和水溶液から生成される平衡湿度の水蒸気を含む保湿された空気が中間タンクに送られる。密閉空間における飽和水溶液の上方空間の平衡湿度は塩の成分によって決まる。
そのため、中間タンクのインクの上方空間における平衡湿度に等しいあるいは同程度の湿度となる塩の成分を適宜選択することで、中間タンク内でインクからの水分の蒸発量が増加してインクが増粘したり、逆に上方空間の水蒸気がインクに吸収されてインクの濃度が薄まったりする事態を的確に防止することができ、前記請求項1に記載の発明の効果をより的確に発揮させることが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、加圧保湿手段は、塩の飽和水溶液よりなる保湿液が貯留された保湿液タンクで保湿された空気を常時生成させ、ポンプでその保湿された空気を中間タンクに送り、中間タンクを加圧してインクを圧送する。そのため、ポンプの駆動を制御することで適時に適切な圧送が可能となるとともに、インクジェットプリンタに使用される種々のインクにそれぞれ対応させて加圧保湿手段を設けることで、インクごとに適切にその増粘を防止することが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、記録ヘッドへのインクの圧送が必要な初期状態のインクジェットプリンタにインクを導入する際や記録ヘッドのメンテナンス時に加圧保湿手段が駆動され、保湿された空気が中間タンクに送られる。そのため、インクの初期導入時や記録ヘッドのメンテナンス時に前記各請求項に記載の発明の効果が発揮されると同時に、通常の画像記録時には保湿された空気を再生成させることが可能となり、次の圧送に備えることができる。
請求項5に記載の発明によれば、前述したように、ライン方式のインクジェットプリンタではノズルや記録ヘッドの数が多くなり、その分記録ヘッドへのインク流れに対する流路抵抗が大きくなるため、比較的大量のインクの圧送が必要となり、その増粘による不具合の発生が問題となっていた。しかし、このようなライン方式のインクジェットプリンタに本発明を適用して前記各請求項に記載の発明の効果を発揮させることで、それらの不具合を効果的に回避することができる。
請求項6に記載の発明によれば、インクジェットプリンタに、25℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であるインクを使用することで、前記各請求項に記載の発明の効果に加え、インクの粘度が小さ過ぎて記録媒体上で滲んだり粘度が大き過ぎて画質の平滑性が失われたりせず、また、前記の表面張力の範囲内であれば、記録媒体に着弾したインクが記録媒体上で適度に広がるため、高精細で鮮明な画像記録を行うことが可能となる。
請求項7に記載の発明によれば、インクジェットプリンタでは、カチオン重合系紫外線硬化型インクが使用される。そのため、前記各請求項に記載の発明の効果を、紫外線に対する感度が高くしかも酸素による重合反応の阻害を受け難く空気中の使用に適したカチオン重合系紫外線硬化型インクを用いた場合にも有効に発揮されることができる。
以下、本発明に係るインクジェットプリンタの実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のインクジェットプリンタ1は、図1に示されるようにライン方式のインクジェットプリンタである。なお、インクジェットプリンタ1の記録部の部分については、図1では、記録ヘッド3を記録媒体Pの搬送方向上流から見た図を、また、後述する図2では、記録ヘッド3を横方向から見た図をそれぞれ示す。
インクジェットプリンタ1の記録部には、画像が記録される記録媒体Pを裏面側から支持する平板状のプラテン2が配設されており、プラテン2の両端側には、記録媒体Pを図中矢印Xで示される搬送方向に搬送するための図示しない搬送ローラがそれぞれ配設されている。
プラテン2の上方には、ライン方式の記録ヘッド3が記録媒体Pの幅方向に延在するように配設されており、記録ヘッド3の記録媒体Pに対向する面には、記録媒体Pに対してインク4を吐出するためのノズル5が設けられている。
記録ヘッド3は、画像記録に用いられるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の色インクに対応して複数設けられており、通常、それぞれ色インクごとにさらに複数の記録ヘッド3が用いられる。図1および後述する図2では、4つの記録ヘッド3a〜3dが同一の色インクを吐出する記録ヘッドであり、他の色インクを吐出する記録ヘッドが各色ごとに4つずつ設けられている。各色ごとの記録ヘッドの数や記録ヘッドごとのノズルの数は適宜決められる。
本実施形態では、インク4としてカチオン重合系紫外線硬化型インクが用いられているため、記録ヘッド3の搬送方向下流側には、紫外線照射装置6が記録ヘッド3と平行に、すなわち記録媒体Pの幅方向に延在するように配設されている。紫外線照射装置6は、下方に搬送されてきた記録媒体P上のインク4に対して紫外線を照射してインクを硬化させる光源7を内蔵している。
紫外線照射装置6の光源7は、紫外線を照射するものであればよく、例えば、高圧水銀ランプや低圧水銀ランプ、冷陰極殺菌ランプ、熱陰極殺菌ランプ、無電極ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)等の種々の光源を用いることができる。
なお、本発明のインクジェットプリンタに使用されるインク4は、前記のようなカチオン重合系紫外線硬化型インクに限定されず、前記光源7の代わりにインクの硬化に適した光源を用いたりあるいはインクの種類によっては照射装置を用いない場合もある。しかし、紫外線硬化型インクであれば、取り扱いが容易で硬化速度が速い等の利点がある。また、ラジカル重合系インクの場合、ラジカル重合反応が酸素によって阻害されないため、空気中で記録が行われる通常のインクジェットプリンタに適するという利点がある。
また、インク4の粘度は、25℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であることが好ましい。インク4の粘度がこの範囲内であれば、粘度が10mPa・s未満の場合のようにインクが記録媒体に滲んで明瞭な記録を行えないといったことがなく、また、粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われる事態を回避することができる。
さらに、インク4は、その表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。インク4の表面張力がこの範囲内であれば、記録媒体Pに着弾したインク4が記録媒体上で適度に広がるため、高精細で鮮明な画像記録を行うことが可能となる。
次に、インクジェットプリンタ1のインク供給系として、同じ色インクを吐出する複数の記録ヘッド3a、3b、3c、3dに単数または複数のディストリビュータ8が連結されており、ディストリビュータ8は、各記録ヘッド3に対して各ヘッドへの流量抵抗が均一になるようにインク4を分配して供給するようになっている。なお、各色インクごとに、ディストリビュータ8や後述する中間タンク9、インクカートリッジ11等よりなるインク供給系がそれぞれ設けられている。
ディストリビュータ8には、記録ヘッド3のノズル5に対して背圧を発生させるための中間タンク9が第1供給管10を介して連通されている。ここで、背圧とは、本実施形態のようにノズル5からインク4を下方に吐出する構成においては、ノズル5内部のインク4に対して上方にかかる力をいい、背圧は、通常、図1に示されるように、中間タンク9中のインク4の液面と記録ヘッド3のノズル5との高さの差yで発生する。この差yで発生する背圧により通常の状態ではインクがノズル5から流れ出ないようになっており、また、中間タンク9は、その内部のインク液面とノズル5との高さの差yが一定範囲に収まるように調整されるようになっており、この背圧を一定の範囲の規定値に調整することで記録ヘッド3に印加される駆動波形によりインク4を安定に吐出することができるようになっている。なお、ディストリビュータ8は、同一色のインク4を吐出する各ノズル5の背圧を均一にする機能を有している。
中間タンク9には、インク4の供給源であるインクカートリッジ11が第2供給管12を介して連通されており、第2供給管12には、電磁弁13が設けられている。第1供給管10および第2供給管12の一端側は、中間タンク9のインク液面より下方で開口するように位置固定されている。なお、本実施形態では、ディストリビュータ8、中間タンク9およびインクカートリッジ11はすべて外気に開放されないクローズ型とされている。
次に、インクジェットプリンタ1の加圧保湿系として、中間タンク9には、塩の飽和水溶液よりなる保湿液14を貯留する保湿液タンク15が通気管16を介して連通されており、通気管16の一端側は、中間タンク9のインク液面より上方の中間タンク9の上面付近で開口するように位置固定されている。また、通気管16の他端側は、保湿液タンク15内の保湿液14の上方空間17で開口するように位置固定されている。なお、保湿液タンク15には、保湿液14や水、空気等を補充するための補充管18が取り付けられている。
通気管16には、電磁弁19が設けられており、また、通気管16の電磁弁19と保湿液タンク15との間には、保湿液タンク15に蓄えられた保湿液14の液面上方の保湿された空気を中間タンク9に送るためのポンプ20が設けられている。本実施形態では、この保湿液タンク15、保湿液14およびポンプ20により中間タンク9に前記塩の飽和水溶液の水蒸気を含む保湿された空気を送り中間タンク9の内部を加圧するための加圧保湿手段が構成されている。
すでに述べたように、保湿液14には、塩の飽和水溶液が用いられている。保湿液14に用いられる塩としては、例えば、塩化カリウムや塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム等を挙げることができる。
塩の飽和水溶液は、密閉容器内に放置すると蒸発と吸収が平衡に達し、飽和水溶液上部の空気の湿度が一定温度で一定値、すなわち平衡湿度になるという特性を有する。この平衡湿度は塩の成分によって異なり、例えば、前述した塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウムでは下記の表1に示すような平衡湿度になる。
本実施形態では、インク4の成分に応じて中間タンク9のインク液面の上方空間21も平衡湿度に達しており、保湿液14を構成する塩は、保湿液タンク15の上方空間17の平衡湿度が中間タンク内の上方空間21の平衡湿度に等しいあるいは同程度の湿度になるような塩が適宜選択されて用いられる。なお、保湿液タンク14やポンプ20等よりなる加圧保湿系は各色インクごとのインク供給系に対応して、それぞれ各色インクごとに設けられる。
次に、メンテナンス系として、インクジェットプリンタ1には、図2に示されるような主に平板状の基台23と基台上に並設された複数の吸引キャップ24とを備えたメンテナンス機構22が設けられている。
本実施形態では、記録ヘッド3や紫外線照射装置6には図示しない昇降機構が取り付けられており、また、メンテナンス機構22の基台23には図示しない移動機構が取り付けられていて、メンテナンス時には昇降機構の駆動により記録ヘッド3等を上昇させてその下方にメンテナンス機構22を移動させるようになっている。なお、記録ヘッド3や紫外線照射装置6を昇降させる代わりに、プラテン2を下降、上昇させるように構成することも可能である。
吸引キャップ24は、図3に示されるように、上方に開放された筐状とされており、記録ヘッド3と同数設けられ、各記録ヘッド3のノズル5から吐出されたインク4が対応する吸引キャップ24に落下するようになっている。吸引キャップ24には吸引ポンプ25が設けられた排液管26が取り付けられており、吸引キャップ24に落下したインクは吸引ポンプ25により吸引されて排液管26を通って廃液タンク27に回収されるようになっている。
次に、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1の作用について説明する。
本実施形態のライン方式のインクジェットプリンタ1では、初期状態では、中間タンク9やディストリビュータ8、記録ヘッド3にはインク4が導入されていない。インク4の初期導入時には、あらかじめ保湿液タンク15に所定の塩の飽和水溶液である保湿液14を注入しておいてその上方空間17の湿度を平衡湿度になるようにしておく。
そして、プリンタ内の所定位置にインクカートリッジ11を装填し、電磁弁13を開放して第2供給管12を介して中間タンク9にインク4を導入する。続いて、通気管16の電磁弁19を開放してポンプ20を駆動させ、保湿液タンク15から通気管16を介して中間タンク9に保湿された空気を送り、中間タンク9内を加圧して中間タンク9から第1供給管10およびディストリビュータ8を介して記録ヘッド3にインク4を圧送して導入する。
中間タンク9、ディストリビュータ8および記録ヘッド3へのインク4の導入が完了すると、ポンプ20の駆動を停止し、電磁弁19を閉じる。この時点で、中間タンク9内の上方空間21は、保湿液タンク15から供給された保湿された空気で充填された状態になる。
画像記録時には、搬送ローラの回転駆動によりプラテン2の上面側で記録媒体Pを搬送させながら、記録ヘッド3の内部の図示しない液体室にピエゾ素子等の圧電素子アクチュエータを作動させたり、液体室に加熱装置を設けてバブルを発生させたりしてノズル5からインク4を吐出させ、記録媒体Pにインク4を着弾させる。そして、記録媒体Pが紫外線照射装置6の下方に搬送され、インク4が硬化されて記録媒体上に定着することで画像が記録される。
インク4は、ディストリビュータ8から各記録ヘッド3に供給され、ノズル5からのインク4の吐出により記録ヘッド3やディストリビュータ8の内部が負圧になると、第1供給管を介して中間タンク9からインク4が吸い上げられる。中間タンク9のインク4が記録ヘッド3側に供給されると、インクカートリッジ11から第2供給管12を介して中間タンク9にインク4が供給される。前述したように、中間タンク9では、インク4の液面と記録ヘッド3のノズル5との高さの差yが一定の範囲に収まるようになっているから、中間タンク9で記録ヘッド3やノズル5に背圧が発生され、背圧が一定の範囲に維持される。その間、電磁弁13は適宜開閉される。
本実施形態では、この画像記録時には通気管16の電磁弁19は閉じられており、保湿された空気が保湿液タンク15から中間タンク9に供給されることはない。前記インク4の初期導入時や先のメンテナンス時に保湿液タンク15から中間タンク9に保湿液タンク15の上方空間17の保湿された空気が送られ、保湿液タンク15の内部が負圧になり、補充管18から外部の空気が流入したり、あるいは保湿液14が新たに補充される場合があるが、この画像記録の間に閉鎖空間とされた保湿液タンク15の内部で、保湿液14から上方空間17への水分の蒸発と上方空間17の水蒸気の保湿液14への吸収とが平衡に達し、上方空間17の湿度が保湿液14を構成している塩の成分および温度に応じた平衡湿度に達し、保湿された空気が生成される。
記録ヘッド3のメンテナンス時には、昇降機構の駆動により記録ヘッド3や紫外線照射装置6等を所定高さまで上昇させ、移動機構を駆動させてメンテナンス機構22を記録ヘッド下方の所定位置に移動させる。
そして、インク4の初期導入時と同様に電磁弁19を開放してポンプ20を駆動させ、保湿液タンク15から通気管16を介して中間タンク9に保湿された空気を送り、中間タンク9内を加圧して中間タンク内のインク4を中間タンク9から第1供給管10およびディストリビュータ8を介して記録ヘッド3に圧送する。
インク4の圧送により記録ヘッド3のノズル5から吐出されたインク4をメンテナンス機構22の吸引キャップ24で受け止め、吸引ポンプ25の駆動により排液管26を介して廃液タンク27に回収する。
このメンテナンス時においても、インク4の初期導入時と同様に、中間タンク9内の上方空間21が保湿液タンク25から供給された保湿された空気で充填された状態になり、メンテナンス作業後、ポンプ20の駆動を停止し電磁弁19を閉じた状態で、保湿液タンク15の内部で保湿された空気が再生成される。
なお、画像記録時に保湿液タンク15から中間タンク9に保湿された空気を送る場合もあり得るが、その場合も、前記と同様にして保湿された空気が中間タンク9に送られ、保湿液タンク15の内部で保湿された空気が再生成される。
また、中間タンク9の上方空間21における平衡湿度より低い湿度の空気が送られるとインク4からの水分の蒸発量が増加してインク4が増粘してしまうが、逆に、上方空間21における平衡湿度より著しく高い湿度を有する空気が送られてくると、上方空間21の水蒸気のインク4への吸収量が増大してインク4の濃度が薄まってしまう。そのため、塩の成分は、使用されるインク4の種類に応じて適宜選択される必要がある。
前述したように、インク4は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の顔料や染料の違いや紫外線硬化型か否か、カチオン重合系かラジカル重合系か等により構成する成分が種々に異なる。本実施形態のインクジェットプリンタ1では、各色インクに対してそれぞれ中間タンク9等のインク供給系が用意されるが、各色インク供給系にそれぞれ保湿液14等の加圧保湿系が接続され、各色インクに応じて塩の成分がそれぞれ選択される。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、保湿液14を構成する塩の成分として、中間タンク9の上方空間21におけるインク種および温度に対応した平衡湿度に等しいあるいは同程度の平衡湿度を与える成分を適宜選択して、インク導入時やメンテナンス時の記録ヘッド3へのインク4の圧送の際に、中間タンク9にインク4における平衡湿度に等しいあるいは同程度の湿度に保湿された空気を送る。
そのため、中間タンク9の上方空間21におけるインク4からの水分の蒸発と上方空間21の水蒸気のインク4への吸収との平衡が保たれた状態を維持することが可能となり、インク4からの水分の蒸発量の増加が抑制され、インク4の増粘を有効に防止することができる。また、中間タンク9の上方空間21における平衡湿度が常時保たれることでインクの増粘に起因するインクの供給不良や吐出不良、インク出射性の低下等の発生を長期間にわたって防止することが可能となる。
一方、本実施形態のように、記録ヘッド3やそれに直結されるディストリビュータ8にインク4を供給する種々の部材のうち、記録ヘッド3等に直近の中間タンク9においてインク4を加圧して記録ヘッド3等に圧送することで、種々のタンク等を介してインク4を圧送する場合に比べて効率良くかつ安定的にインク4を圧送して供給することが可能となる。
また、本発明によれば、前記のように既存の中間タンク9に対して保湿液タンク15等を連結し、保湿液14の塩の成分を適宜選択するだけであり、中間タンク9に特別なセンサ等を設置する必要もないのでコスト的にも安価であるという効果もある。
なお、例えば、保湿液タンク15の温度を一定に保つため、保湿液タンク15の周りを恒温層で取り囲むように構成することも可能であり、複数の保湿液タンク15を同時に1つの恒温層で取り囲むように構成してもよい。
また、本実施形態では、保湿液タンク15の補充管18は外気に開放された管形状とされ、そこから保湿液14や外気が保湿液タンク内に適宜補充されるように構成されているが、さらに補充管18に他のタンクやポンプ等を接続し、保湿液タンク15への保湿液14や空気の補充を制御するように構成することも可能である。
1 インクジェットプリンタ
3 記録ヘッド
4 インク
5 ノズル
9 中間タンク
14 保湿液
15 保湿液タンク
20 ポンプ
P 記録媒体
3 記録ヘッド
4 インク
5 ノズル
9 中間タンク
14 保湿液
15 保湿液タンク
20 ポンプ
P 記録媒体
Claims (7)
- 記録媒体に対してインクを吐出するためのノズルが設けられた記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの前記ノズルに対し背圧を発生させる中間タンクと、
前記中間タンクに保湿された空気を送って前記中間タンク内を加圧するための加圧保湿手段と
を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記保湿された空気は、塩の飽和水溶液の水蒸気を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記加圧保湿手段は、塩の飽和水溶液よりなる保湿液と、前記保湿液を貯留する保湿液タンクと、前記保湿液タンクから中間タンクに前記保湿された空気を送るためのポンプとを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記加圧保湿手段は、インクの初期導入時または前記記録ヘッドのメンテナンス時に前記保湿された空気を送ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記記録ヘッドがライン方式であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記インクは、25℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であり、表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記インクは、カチオン重合系紫外線硬化型インクであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005026624A JP2006212879A (ja) | 2005-02-02 | 2005-02-02 | インクジェットプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005026624A JP2006212879A (ja) | 2005-02-02 | 2005-02-02 | インクジェットプリンタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006212879A true JP2006212879A (ja) | 2006-08-17 |
Family
ID=36976487
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005026624A Pending JP2006212879A (ja) | 2005-02-02 | 2005-02-02 | インクジェットプリンタ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006212879A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018051495A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | キヤノン株式会社 | 液体吐出装置、インプリント装置および方法 |
-
2005
- 2005-02-02 JP JP2005026624A patent/JP2006212879A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018051495A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | キヤノン株式会社 | 液体吐出装置、インプリント装置および方法 |
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