JP2006210161A - 電解質および電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電池特性を向上させることができる電池およびそれに用いる電解質を提供する。
【解決手段】 正極21と負極22とが電解質層24を介して積層されている。電解質層24は、電解液と高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となった電解質により構成されている。電解液は、ハロゲン原子を有する炭酸エチレン誘導体あるいはハロゲン原子を有する炭酸プロピレン誘導体と、γーブチロラクトンあるいはγ−ヴァレロラクトンなどの環式カルボン酸エステルとを含んでいる。これにより、電池の膨れが抑制されつつ、サイクル特性などの電池特性が改善される。
【選択図】 図2
【解決手段】 正極21と負極22とが電解質層24を介して積層されている。電解質層24は、電解液と高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となった電解質により構成されている。電解液は、ハロゲン原子を有する炭酸エチレン誘導体あるいはハロゲン原子を有する炭酸プロピレン誘導体と、γーブチロラクトンあるいはγ−ヴァレロラクトンなどの環式カルボン酸エステルとを含んでいる。これにより、電池の膨れが抑制されつつ、サイクル特性などの電池特性が改善される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、炭酸エチレン誘導体,炭酸プロピレン誘導体あるいは環式カルボン酸エステルを含む電解質、およびそれを用いた電池に関する。
携帯電話あるいは携帯情報端末などの携帯型電子機器の電源として、産業上電池が重要な位置を占めている。これらの機器では、小型軽量化が要求され、電池についても軽量化、あるいは機器内の収納スペースを効率的に利用できる形状等にすることが求められている。このような要求に応える電池としては、例えば、エネルギー密度あるいは出力密度の大きなリチウムイオン二次電池が最も適格である。
中でも、薄型大面積のシート型電池、薄型小面積のカード型電池あるいは形状自由度の高い電池などが求められているが、外装部材に従来より用いられている金属製の缶を用いると、例えば、液状の電解質が液漏れを起こすので、このような電池を作製することは困難であった。
そこで、液状の電解質に接着作用を有する物質を添加したり、あるいは液状の電解質に高分子化合物を混合してゲル化したゲル電解質を用いることが提案されてきた。これにより、電極と電解質との間に密着力が生じ、例えば、フィルム状の外装部材を用いても、電解質の液漏れを防止することができるので、電池を薄型化することができ、実用化されてきた(例えば、特許文献1参照)。
ところで、リチウムイオン二次電池に用いられる非水電解質は、アルカリ電池やニッカド電池などの水溶液電解質よりもイオン伝導性が低い。水溶液電解質に用いられる水は、粘性が小さいので、イオンが移動し易く、また、誘電率が高いので、塩をたくさん溶かすことができるという類い稀なる優れた性質を有しているからである。そこで、非水電解質では、イオン伝導性を向上させるために、粘性が小さな低粘度溶媒と、誘電率が高い高誘電率溶媒とを混合した混合溶媒が用いられている。例えば、低粘度溶媒には、炭酸ジメチル,炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの直鎖状の炭酸エステルが用いられ、高誘電率溶媒には、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環式炭酸エステルがよく用いられる。
しかながら、フィルム状の外装部材を用いた電池に、このような混合溶媒を用いるようにすると、高温保存状況下、例えば、真夏の炎天下における自動車のダッシュボード(100℃〜150℃)に放置されると、特に、低粘度溶媒が分解して、電池内部にガスが発生し、膨れてしまうという問題があった。低粘度溶媒は、分子間の相互作用が低く、沸点が低いからである。表1に一般的に用いられる溶媒の物性値を示す。
表1から分かるように、直鎖状の炭酸エステルは、いずれも沸点が150℃以下であり、フィルム状の外装部材を用いた電池には不適切であるという問題があった。一方、環式炭酸エステルである炭酸エチレンは、融点が高く低温での単独使用が困難であるという問題があり、また、炭酸プロピレンについても、粘度が高く、大電流放電,急速充電性能が不十分であり、特に、それらの特性は低温環境下では著しく不十分であるという問題があった。
特開2001−167797号公報
これに対して、これらの諸問題を両立して解決することができる溶媒として、γ−ブチロラクトンが挙げられる。しかしながら、γ−ブチロラクトンはサイクル特性を低下させてしまうので、電池の溶媒としては、ほとんど実用化されていなかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性,負荷特性あるいは低温特性などの電池特性を向上させることができると共に、電池の膨れを抑制をすることができる電解質およびそれを用いた電池を提供することにある。
本発明の電解質は、溶媒と高分子化合物とを含むものであって、溶媒は、化1に示した炭酸エチレン誘導体および化2に示した炭酸プロピレン誘導体からなる群のうちの少なくとも1種と、環式カルボン酸エステルとを含むものである。
本発明の電池は、正極,負極および電解質をフィルム状の外装部材の内部に備えたものであって、電解質は、化3に示した炭酸エチレン誘導体および化4に示した炭酸プロピレン誘導体からなる群のうちの少なくとも1種と、環式カルボン酸エステルとを含む溶媒を含有するものである。
本発明の電解質および電池によれば、化1,化3に示した炭酸エチレン誘導体および化2,化4に示した炭酸プロピレン誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにしたので、負極における溶媒の分解反応を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができる。また、環式カルボン酸エステルを含むようにしたので、電池の膨れを抑えつつ、低温特性および負荷特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る二次電池の一構成例を分解して表すものである。この二次電池は、正極リード11および負極リード12が取り付けられた巻回電極体20をフィルム状の外装部材31の内部に収納した構成を有している。
正極リード11および負極リード12は、それぞれ例えば短冊状であり、外装部材31の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード11は、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料により構成されており、負極リード12は、例えばニッケル(Ni)あるいは銅(Cu)などの金属材料により構成されている。
外装部材31は、例えば、絶縁層、金属層および最外層をこの順に積層しラミネート加工などにより張り合わせた構造を有している。外装部材31は、例えば、絶縁層の側を内側として、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。
絶縁層は、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレン,変性ポリプロピレンあるいはこれらの共重合体などのポリオレフィン樹脂により構成されている。水分透過性を低くすることができ、気密性に優れているからである。金属層は、箔状あるいは板状のアルミニウム, ステンレス,ニッケルあるいは鉄(Fe)などにより構成されている。最外層は、例えば絶縁層と同様の樹脂により構成されていてもよいし、ナイロンなどにより構成されていてもよい。破れや突き刺し等に対する強度を高くすることができるからである。外装部材31は、絶縁層、金属層および最外層以外の他の層を備えていてもよい。
外装部材31と正極リード11および負極リード12との間には、正極リード11および負極リード12と、外装部材31の内側との密着性を向上させ、外気の侵入を防止すると共に、正極リード11および負極リード12と、外装部材31のバリなどとの接触によるショートを防止するための密着フィルム32が挿入されている。密着フィルム32は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード11および負極リード12が上述した金属材料により構成される場合には、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
図2は、図1に示した巻回電極体20のII−II線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体20は、正極21と負極22とをセパレータ23および電解質層24を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
正極21は、例えば、正極集電体21Aと、この正極集電体21Aの両面あるいは片面に設けられた正極活物質層21Bとを有している。正極集電体21Aには、例えば長手方向における一方の端部に正極活物質層21Bが設けらず露出している部分があり、この露出部分に正極リード11が取り付けられている。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウムなどの金属材料により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されている。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウムと遷移金属とを含むリチウム複合酸化物あるいはリチウムリン酸化合物が好ましい。これらは高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、高容量化を図ることができるからである。
リチウム複合酸化物としては、遷移金属として、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn),鉄,バナジウム(V)、チタン(Ti)、クロム(Cr)および銅からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましく、特に、コバルト,ニッケルおよびマンガンからなる群のうちの少なくとも1種を含むものがより好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 ,LiNiO2 ,LiNi0.5 Co0.5 O2 ,LiNi0.8 Co0.2 O2 あるいはLiMn2 O4 などが挙げられる。また、リチウムリン酸化合物としては、例えばLiFePO4 が挙げられる。
正極活物質層21Bは、また、例えば導電剤を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンあるいはポリテトラフルオロエチレンなどの高分子材料が挙げられ、1種または2種以上が混合して用いられる。
負極22は、例えば、正極21と同様に、負極集電体22Aと、この負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極活物質層22Bとを有している。負極集電体22Aには、例えば長手方向における一方の端部に負極活物質層22Bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極リード12が取り付けられている。負極集電体22Aは、例えば、銅などの金属材料により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデンあるいはスチレンブタジエンゴムなどの結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛類,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。黒鉛類としては、メソフェーズカーボンマイクロビーズ,カーボンファイバーあるいはコークスなどの人造黒鉛、または天然黒鉛など挙げられる。
リチウムなどを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えばリチウムと合金を形成可能なマグネシウム(Mg),ホウ素(B),アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),スズ(Sn),鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモン(Sb),およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、酸化鉄,酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどの酸化物や、あるいはLiN3 などが挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン,ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
セパレータ23は、例えば、ポリオレフィン,ポリテトラフルオロエチレンあるいはポリエステルなどの不織布または多孔質フィルムが挙げられ、中でも、ポリエチレンあるいはポリプロピレンの多孔質フィルムが好ましい。ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるからである。
電解質層24は、例えば、電解液と、この電解液を保持する高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となった電解質により構成されている。電解液は、例えば、非水溶媒などの溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含有している。
溶媒には、環式カルボン酸エステルと、ハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体とを含んでいる。環式カルボン酸エステルを含むことにより、電池の膨れを抑えつつ、負荷特性あるいは低温特性を向上させることができるからである。また、環式カルボン酸エステルのみでは、サイクル特性が低下してしまうが、ハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体を含むことにより、これらの特性が低下する前に、負極22の表面に安定な被膜を形成し、負極22における溶媒の分解反応を抑制することができるからである。環式カルボン酸エステルおよび環式炭酸エステル誘導体には、それぞれ1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
環式カルボン酸エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトンあるいはγ−ヴァレロラクトンが挙げられる。
ハロゲン原子を有する環式炭酸エステル誘導体としては、化5に示した炭酸エチレン誘導体あるいは化6に示した炭酸プロピレン誘導体が好ましく、中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4−(フルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましい。高い効果が得られるからである。
また、溶媒には、これらの環式カルボン酸エステルおよび環式炭酸エステル誘導体に加えて、種々の電池特性を向上させる目的で、例えば、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンを混合して用いてもよい。
これらの溶媒の割合、例えば、炭酸エチレン誘導体または炭酸プロピレン誘導体と、γ−ブチロラクトンと、炭酸エチレンとの質量比による割合は、図3に示したように、各溶媒を頂点とした三角図40において、炭酸エチレン誘導体または炭酸プロピレン誘導体をx、γ−ブチロラクトンをy、炭酸エチレンをzとすると、数1に示したA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値であることが好ましい。この範囲内の値であればより高い電池特性が得られるからである。なお、図3では、A,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内を右斜上線で示している。
(数1)
A(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
B(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
C(x,y,z)=(0.10,0.50,0.40)
D(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20)
A(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
B(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
C(x,y,z)=(0.10,0.50,0.40)
D(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20)
また、炭酸エチレン誘導体とγ−ブチロラクトンと炭酸エチレンと炭酸プロピレンとの質量比による割合は、図4に示したように、炭酸エチレン誘導体と、γ−ブチロラクトンと、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンの合計と、を頂点とした三角図50において、炭酸エチレン誘導体をx、γ−ブチロラクトンをy、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンの合計をzとすると、数2に示したE,F,GおよびHの各点を結んだ範囲内の値であることが好ましい。この範囲内の値であればより高い電池特性が得られるからである。なお、図4では、E,F,GおよびHの各点を結んだ範囲内を左斜上線で示している。
(数2)
E(x,y,z)=(0.44,0.20,0.36)
F(x,y,z)=(0.28,0.20,0.52)
G(x,y,z)=(0.08,0.40,0.52)
H(x,y,z)=(0.08,0.56,0.36)
E(x,y,z)=(0.44,0.20,0.36)
F(x,y,z)=(0.28,0.20,0.52)
G(x,y,z)=(0.08,0.40,0.52)
H(x,y,z)=(0.08,0.56,0.36)
また、炭酸エチレン誘導体とγ−ヴァレロラクトンと炭酸エチレンとの質量比による割合は、図5に示したように、各溶媒を頂点とした三角図60において、炭酸エチレン誘導体をx、γ−ヴァレロラクトンをy、炭酸エチレンをzとすると、数3に示したI,J,KおよびLの各点を結んだ範囲内の値であることが好ましい。この範囲内の値であれば、より高い電池特性が得られるからである。なお、図5では、I,J,KおよびLの各点を結んだ範囲内を網目地で示している。
(数3)
I(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
J(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
K(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20)
L(x,y,z)=(0.35,0.55,0.10)
I(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
J(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
K(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20)
L(x,y,z)=(0.35,0.55,0.10)
溶媒には、更に、これらの溶媒に加えて、種々の電池特性を向上させることを目的として、他の溶媒を混合して用いてもよい。他の溶媒としては、炭酸ジメチル,炭酸ジエチル,炭酸エチルメチル,炭酸ジプロピル,炭酸エチルプロピルあるいはこれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したものなどが挙げられる。他の溶媒には、1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
電解質塩としては、例えば、LiPF6 ,LiBF4 ,LiN(CF3 SO2 )2 ,LiN(C2 F5 SO2 )2 あるいはLiClO4 などのリチウム塩が挙げられ、いずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.4mol/kg以上2.0mol/kg以下の範囲内であることが好ましい。この範囲外ではイオン伝導度の極端な低下により十分な電池特性が得られなくなる場合があるからである。
高分子化合物は、溶媒を吸収してゲル化するものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリアクリロニトリルあるいはポリメタクリニトリルを繰返し単位として含むものが挙げられる。中でも、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が好ましく、ポリフッ化ビニリデン、あるいはヘキサフルオロプロピレンの共重合量が7.5質量%以下であるビニリデンフルオロライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体が望ましい。なお、これらのフッ素系高分子化合物の数平均分子量が50万以上70万以下の範囲内、あるいは重量平均分子量が21万以上31万以下の範囲内で、固有粘度が1.7〜2.1の範囲内であれば望ましい。高分子化合物には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極活物質と、必要に応じて導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させることにより正極合剤スラリーを作製する。次いで、ドクターブレード法などによりこの正極合剤スラリーを正極集電体21Aの両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製する。続いて、例えば、正極集電体21Aに正極リード11を、例えば超音波溶接あるいはスポット溶接により接合する。そののち、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を用意し、正極活物質層21Bの上、すなわち正極21の両面あるいは片面に塗布し、混合溶剤を揮発させて、電解質層24を形成する。
また、例えば、負極活物質と結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンあるいはメチルエチルケトンなどの溶剤に分散させることにより負極合剤スラリーを作製する。次いで、ドクターブレード法などによりこの負極合剤スラリーを負極集電体22Aの両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。続いて、負極集電体22Aに負極リード12を、例えば超音波溶接あるいはスポット溶接により接合すると共に、負極活物質層22Bの上、すなわち負極22の両面あるいは片面に、正極21と同様にして電解質層24を形成する。
そののち、電解質層24が形成された正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体20を形成する。最後に、例えば、外装部材31に巻回電極体20を挟み込み、外装部材31の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード11および負極リード12と外装部材31との間には密着フィルム32を挿入する。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
また、上述の二次電池は次のように作製してもよい。まず上述したようにして正極21および負極22を作製し、正極21および負極22に正極リード11および負極リード12を取り付けたのち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して、巻回電極体20の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材31で挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材31の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材31の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材31の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密閉する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層24を形成し、図1に示した二次電池を組み立てる。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解質を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解質を介して正極21に吸蔵される。ここでは、電解質に環式カルボン酸エステルを含んでいるので、電池の膨れが抑制されつつ、負荷特性あるいは低温特性が改善される。また、化5に示した炭酸エチレン誘導体あるいは化6に示した炭酸プロピレン誘導体を含んでいるので、負極22に被膜が形成され、負極22における溶媒の分解反応が抑制される。
このように本実施の形態に係る二次電池によれば、化5に示した炭酸エチレン誘導体および化6に示した炭酸プロピレン誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにしたので、負極22における溶媒の分解反応を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができる。また、環式カルボン酸エステルを含むようにしたので、電池の膨れを抑えつつ、低温特性および負荷特性を向上させることができる。
なお、ゲル状の電解質に代えて、液状の電解質である電解液を用いてもよい。電解液の構成は上述した通りである。この二次電池は、上述した二次電池と同様の作用および効果を有し、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、上述したように正極21および負極22に正極リード11および負極リード12を取り付けたのち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して、巻回電極体20の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材31に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材31の内部に収納する。続いて、電解液を外装部材31の内部に注入する。そののち、外装部材31の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。これにより図1に示した二次電池が完成する。
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−15)
まず、正極活物質であるリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )と、導電剤である粉状黒鉛と、結着剤である粉状ポリフッ化ビニリデンとを混合して正極合剤を調製しし、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとしたのち、アルミニウム箔よりなる正極集電体21Aに均一に塗布し、100℃で24時間減圧乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成した。その際、LiCoO2 と、粉状黒鉛と、粉状ポリフッ化ビニリデンとは、LiCoO2 :粉状黒鉛:粉状ポリフッ化ビニリデン=92:5:3の質量比で混合した。次いで、正極活物質層21Bが形成された正極集電体21Aを50mm×300mmの帯状に切り出し、正極21を作製した。そののち、正極集電体21Aにアルミニウムリボンよりなる正極リード11を取り付けた。
まず、正極活物質であるリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )と、導電剤である粉状黒鉛と、結着剤である粉状ポリフッ化ビニリデンとを混合して正極合剤を調製しし、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとしたのち、アルミニウム箔よりなる正極集電体21Aに均一に塗布し、100℃で24時間減圧乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成した。その際、LiCoO2 と、粉状黒鉛と、粉状ポリフッ化ビニリデンとは、LiCoO2 :粉状黒鉛:粉状ポリフッ化ビニリデン=92:5:3の質量比で混合した。次いで、正極活物質層21Bが形成された正極集電体21Aを50mm×300mmの帯状に切り出し、正極21を作製した。そののち、正極集電体21Aにアルミニウムリボンよりなる正極リード11を取り付けた。
また、負極活物質である人造黒鉛と、結着剤である粉状ポリフッ化ビニリデンとを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとしたのち、銅箔よりなる負極集電体22Aに均一に塗布し、120℃で24時間乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層22Bを形成した。その際、人造黒鉛と粉状ポリフッ化ビニリデンとは、91:9の質量比で混合した。次いで、負極活物質層22Bが形成された負極集電体22Aを52mm×320mmの帯状に切り出し、負極22を作製した。そののち、負極集電体22Aにニッケルリボンよりなる負極リード12を取り付けた。
続いて、化5に示した炭酸エチレン誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、炭酸エチレンと、環式カルボン酸エステルであるγ−ブチロラクトンとを表2および図6に示した割合で混合した混合溶媒に、電解質塩であるLiPF6 およびLiBF4 を溶解して電解液を作製した。その際、LiPF6 の濃度は、0.8mol/kgになるようにし、LiBF4 の濃度は、0.2mol/kgになるようにした。この電解液と、高分子化合物であるヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの共重合体と、混合溶剤である炭酸ジメチルとを、電解液:高分子化合物:混合溶剤=6:1:12の質量比になるように混合し、溶解させゾル状の前駆溶液を作製した。共重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの割合は、6.9質量%とした。
得られた前駆溶液を正極21および負極22のそれぞれにバーコーターを用いて塗布し、50℃で3分間加熱することにより混合溶剤を揮発させてゲル状の電解質層24を形成した。
そののち、電解質層24をそれぞれ形成した正極21と負極22とを、厚み10μm、空孔率33%のポリエチレンフィルムからなるセパレータ23を介して積層し、巻回して巻回電極体20を作製した。
得られた巻回電極体20をラミネートフィルムよりなる外装部材31に挟み込み、減圧封入することにより図1および図2に示した二次電池を作製した。
実施例1−1〜1−15に対する比較例1−1〜1−3として、溶媒に、炭酸エチレンと、γ−ブチロラクトンとを、表2および図6に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−15と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例1−1〜1−15および比較例1−1〜1−3の二次電池について、容量,初回充放電効率,サイクル特性,低温特性,負荷特性および保存特性を調べた。結果を表3に示す。
なお、容量は、次のようにして調べた。まず、23℃の環境下において、上限電圧4.2V、電流値0.15Cの条件で、充電時間の総計が12時間に達するまで、あるいは電流値が0.002Cになるまで、定電流定電圧充電を行ったのち、23℃の環境下において、電流値0.2C、終止電圧3Vの条件で定電流放電を行った。容量は、このときの放電容量とし、800mh以上のものを特に優良品とした。なお、0.15C,0.002Cおよび0.2Cは、定格容量をそれぞれ20/3時間、500時間および5時間で放電しきる電流値である。
また、初回充放電効率およびサイクル特性は、次のようにして調べた。まず、23℃の環境下において、上限電圧4.2V、電流値1Cの条件で、充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、23℃の環境下において、電流値1C、終止電圧3Vの条件で定電流放電を行い、この充放電を500サイクル行った。初回充放電効率は、1サイクル目の充電容量(初回充電容量)に対する1サイクル目の放電容量(初回放電容量)の維持率、すなわち(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100(%)から求めた。また、サイクル特性は、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の維持率、すなわち(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)から求めた。初回充放電効率は値が小さいほど充填した負極活物質が活用されず無駄になっていることを表しているので、特に90%以上を良品とした。また、サイクル特性は、現況の携帯電子機器のスペックにおいて一般的に必要十分とされる値、特に70%以上を優良品とした。なお、1Cは、定格容量を1時間で放電しきる電流値である。
更に、低温特性は、次のようにして調べた。まず、23℃の環境下において、上限電圧4.2V、電流値0.5Cの条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、23℃の環境下において、電流値0.5C、終止電圧3Vの条件で定電流放電を行った。次いで、23℃の環境下において、上限電圧4.2V、電流値0.5C条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、−20℃の環境下において、電流値0.5C、終止電圧3Vの定電流放電を行った。低温特性は、(−20℃での放電容量/23℃での放電容量)×100(%)として求めた。また、低温特性は、冬の北欧などの極寒冷地において携帯電話で緊急通話を最低1回行うのに必要な値、あるいはスキー場などの寒冷地でビデオカメラを使用できる値、特に40%以上を優良品とした。なお、1Cは、定格容量を1時間で放電しきる電流値である。
更にまた、負荷特性は、次のようにして調べた。まず、23℃の環境下において、上限電圧4.2V、電流値0.5Cの条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、23℃の環境下において、電流値0.5C、終止電圧3Vの条件で定電流放電を行った。次いで、23℃の環境下において、上限電圧4.2V、電流値3C条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、23℃の環境下において、電流値3C、終止電圧3Vの定電流放電を行った。低温特性は、(3Cでの放電容量/0.5Cでの放電容量)×100(%)として求めた。また、低温特性は、パルス放電で電力を消費する携帯電話を考慮して、これに要求される大電流性能、特に85%以上を優良品とした。なお、0.5C,3Cは、定格容量をそれぞれ2時間,1/3時間で放電しきる電流値である。
加えて、保存特性は、次のようにして調べた。まず、23℃の環境下において、上限電圧4.2V、電流1Cの条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、保存前の厚みを測定した。次いで、この電池を温度90℃の恒温槽に0.5時間、または4時間保存し、恒温槽から取り出して保存後の厚みを測定した。高温特性は、(保存後の電池の厚み)−(保存前の電池の厚み)として求めた。また、高温特性は、0.5mm以下を特に良品とした。
表2,3および図6から分かるように、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、γ−ブチロラクトンとを含む溶媒を用いた実施例1−1〜1−15によれば、放電容量維持率,低温特性,負荷特性および保存特性について高い値が得られ、特に、各溶媒の割合が図3に示した三角図40において、数1に示したA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値である実施例1−3,1−6,1−8,1−9,1−11,1−13,1−14において、より高い値が得られた。また、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いていない比較例1−1〜1−3よりも、放電容量維持率について高い値が得られた。
すなわち、化5に示した炭酸エチレン誘導体と、γ−ブチロラクトンとを含むようにすれば、電池の膨れを抑えつつ、サイクル特性,負荷特性および低温特性を向上させることができ、特に、炭酸エチレン誘導体とγ−ブチロラクトンと炭酸エチレンとの割合を、図3に示した三角図40において、数1に示したA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値にするようにすれば、好ましいことが分かった。
(実施例2−1〜2−10)
溶媒に炭酸プロピレンを加え、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、炭酸エチレンと、炭酸プロピレンと、γ−ブチロラクトンとを、表4および図7に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−15と同様にして二次電池を作製した。得られた二次電池についても、実施例1−1〜1−15と同様にして、容量,初回充放電効率,サイクル特性,低温特性,負荷特性および保存特性を調べた。結果を表5に示す。
溶媒に炭酸プロピレンを加え、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、炭酸エチレンと、炭酸プロピレンと、γ−ブチロラクトンとを、表4および図7に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−15と同様にして二次電池を作製した。得られた二次電池についても、実施例1−1〜1−15と同様にして、容量,初回充放電効率,サイクル特性,低温特性,負荷特性および保存特性を調べた。結果を表5に示す。
表4,5および図7から分かるように、実施例1−1〜1−15と同様の結果が得られ、特に、炭酸エチレン誘導体とγ−ブチロラクトンと炭酸エチレンと炭酸プロピレンとの割合を、図4に示した三角図50において、数2に示したE,F,GおよびHの各点を結んだ範囲内の値とした実施例2−2,2−5,2−6,2−7,2−8,2−9,2−10において、より高い値が得られた。
すなわち、化5に示した炭酸エチレン誘導体と、γ−ブチロラクトンとを含むようにすれば、電池の膨れを抑えつつ、サイクル特性,低温特性および負荷特性を向上させることができ、特に、炭酸エチレン誘導体とγ−ブチロラクトンと炭酸エチレンと炭酸プロピレンとの割合を、図4に示した三角図50において、数2に示したE,F,GおよびHの各点を結んだ範囲内の値にするようにすれば、好ましいことが分かった。
(実施例3−1〜3−8)
溶媒として、化6に示した炭酸プロピレン誘導体である4−(フルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンと、環式カルボン酸エステルであるγ−ブチロラクトンと、炭酸エチレンとを、表6および図8に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−15と同様にして二次電池を作製した。
溶媒として、化6に示した炭酸プロピレン誘導体である4−(フルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オンと、環式カルボン酸エステルであるγ−ブチロラクトンと、炭酸エチレンとを、表6および図8に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−15と同様にして二次電池を作製した。
実施例3−1〜3−8に対する比較例3−1,3−2として、溶媒に、炭酸エチレンと、γ−ブチロラクトンとを、表6および図8に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例3−1〜3−8と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例3−1〜3−8および比較例3−1,3−2の二次電池について、実施例1−1〜1−15と同様にして、容量,初回充放電効率,サイクル特性,低温特性,負荷特性および保存特性を調べた。結果を表7に示す。
表6,7および図8から分かるように、実施例1−1〜1−15と同様の結果が得られ、特に、炭酸プロピレン誘導体とγ−ブチロラクトンと炭酸エチレンとの割合を、図3に示した三角図40において、数1に示したA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値とした実施例3−2,3−5,3−7,3−8において、より高い値が得られた。
すなわち、化6に示した炭酸プロピレン誘導体と、γ−ブチロラクトンとを含むようにした場合にも、電池の膨れを抑えつつ、サイクル特性,負荷特性および低温特性を向上させることができ、特に、炭酸プロピレン誘導体とγ−ブチロラクトンと炭酸エチレンとの割合を、図3に示した三角図40において、数1に示したA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値にするようにすれば、好ましいことが分かった。
(実施例4−1〜4−8)
溶媒として、化5に示した炭酸エチレン誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、環式カルボン酸エステルであるγ−ヴァレロラクトンと、炭酸エチレンとを、表8および図9に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−15と同様にして二次電池を作製した。
溶媒として、化5に示した炭酸エチレン誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、環式カルボン酸エステルであるγ−ヴァレロラクトンと、炭酸エチレンとを、表8および図9に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−15と同様にして二次電池を作製した。
実施例4−1〜4−8に対する比較例4−1,4−2として、γ−ヴァレロラクトンと、炭酸エチレンとを表8および図9に示した割合で混合した混合溶媒を用いたことを除き、他は実施例4−1〜4−8と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例4−1〜4−8および比較例4−1,4−2の二次電池について、実施例1−1〜1−15と同様にして、容量,初回充放電効率,サイクル特性,低温特性,負荷特性および保存特性を調べた。結果を表9に示す。
表8,9および図9から分かるように、実施例1−1〜1−15と同様の結果が得られ、特に、炭酸エチレン誘導体とγ−ヴァレロラクトンと炭酸エチレンとの割合を、図5に示した三角図60において、数3に示したI,J,KおよびLの各点を結んだ範囲内の値とした実施例4−2,4−4,4−5,4−7において、より高い値が得られた。
すなわち、他の環式カルボン酸エステルを用いた場合にも、電池の膨れを抑えつつ、サイクル特性,低温特性および負荷特性を向上させることができ、特に、炭酸エチレン誘導体とγ−ヴァレロラクトンと炭酸エチレンとの割合を、図5に示した三角図60において、数3に示したI,J,KおよびLの各点を結んだ範囲内の値にするようにすれば、好ましいことが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、巻回構造を有する二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は、コイン型,シート型,ボタン型あるいは角型などの外装部材を用いた他の形状を有する二次電池、または正極および負極を複数積層した積層構造を有する二次電池、または、正極と負極とを積層し、つづら折りにした構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、負極活物質と反応可能であればナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な正極活物質あるいは溶媒などは、その電極反応物質に応じて選択される。
更に、上記実施の形態および実施例では、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質、あるいは液状の電解質である電解液を用いる場合について説明したが、これらの電解質に代えて、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、イオン伝導性を有する固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。このとき、高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または分子中に共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはヨウ化リチウムなどを用いることができる。
更にまた、上記実施の形態および実施例では、外装部材31にフィルムを用いる場合について説明したが、本発明は外装部材に金属製容器を用いた例えば円筒型,角型,コイン型あるいはボタン型の二次電池にも適用することができ、その場合も、同様の効果を得ることができる。加えて、二次電池に限らず一次電池にも適用することができる。
11…正極リード、12…負極リード、20…巻回電極体、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、23…セパレータ、24…電解質層、25…保護テープ、31…外装部材、32…密着フィルム。
Claims (15)
- 前記環式カルボン酸エステルとして、γ−ブチロラクトンおよびγ−ヴァレロラクトンのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の電解質。
- 前記溶媒として、更に、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の電解質。
- 前記溶媒は、前記炭酸エチレン誘導体または前記炭酸プロピレン誘導体と、前記γ−ブチロラクトンと、前記炭酸エチレンとを含み、これらの溶媒の質量比による割合は、各溶媒を頂点とした三角図において、炭酸エチレン誘導体または炭酸プロピレン誘導体をx、γ−ブチロラクトンをy、炭酸エチレンをzとすると、数1に示したA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値であることを特徴とする請求項3記載の電解質。
(数1)
A(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
B(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
C(x,y,z)=(0.10,0.50,0.40)
D(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20) - 前記溶媒は、前記炭酸エチレン誘導体と前記γ−ブチロラクトンと前記炭酸エチレンと前記炭酸プロピレンとを含み、これらの溶媒の質量比による割合は、炭酸エチレン誘導体と、γ−ブチロラクトンと、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンの合計と、を頂点とした三角図において、炭酸エチレン誘導体をx、γ−ブチロラクトンをy、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンの合計をzとすると、数2に示したE,F,GおよびHの各点を結んだ範囲内の値であることを特徴とする請求項3記載の電解質。
(数2)
E(x,y,z)=(0.44,0.20,0.36)
F(x,y,z)=(0.28,0.20,0.52)
G(x,y,z)=(0.08,0.40,0.52)
H(x,y,z)=(0.08,0.56,0.36) - 前記溶媒は、前記炭酸エチレン誘導体と前記γ−ヴァレロラクトンと前記炭酸エチレンとを含み、これらの溶媒の質量比による割合は、各溶媒を頂点とした三角図において、炭酸エチレン誘導体をx、γ−ヴァレロラクトンをy、炭酸エチレンをzとすると、数3に示したI,J,KおよびLの各点を結んだ範囲内の値であることを特徴とする請求項3記載の電解質。
(数3)
I(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
J(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
K(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20)
L(x,y,z)=(0.35,0.55,0.10) - 前記高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリアクリロニトリルおよびポリメタクリロニトリルからなる群のうちの少なくとも1種を繰り返し単位に含むことを特徴とする請求項1記載の電解質。
- 前記環式カルボン酸エステルとして、γ−ブチロラクトンおよびγ−ヴァレロラクトンのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項8記載の電池。
- 前記溶媒として、更に、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項8記載の電池。
- 前記溶媒は、前記炭酸エチレン誘導体または前記炭酸プロピレン誘導体と、前記γ−ブチロラクトンと、前記炭酸エチレンとを含み、これらの溶媒の質量比による割合は、各溶媒を頂点とした三角図において、炭酸エチレン誘導体または炭酸プロピレン誘導体をx、γ−ブチロラクトンをy、炭酸エチレンをzとすると、数4に示したA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値であることを特徴とする請求項10記載の電池。
(数4)
A(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
B(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
C(x,y,z)=(0.10,0.50,0.40)
D(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20) - 前記溶媒は、前記炭酸エチレン誘導体と前記γ−ブチロラクトンと前記炭酸エチレンと前記炭酸プロピレンとを含み、これらの溶媒の質量比による割合は、炭酸エチレン誘導体と、γ−ブチロラクトンと、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンの合計と、を頂点とした三角図において、炭酸エチレン誘導体をx、γ−ブチロラクトンをy、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンの合計をzとすると、数5に示したE,F,GおよびHの各点を結んだ範囲内の値であることを特徴とする請求項10記載の電池。
(数5)
E(x,y,z)=(0.44,0.20,0.36)
F(x,y,z)=(0.28,0.20,0.52)
G(x,y,z)=(0.08,0.40,0.52)
H(x,y,z)=(0.08,0.56,0.36) - 前記溶媒は、前記炭酸エチレン誘導体と前記γ−ヴァレロラクトンと前記炭酸エチレンとを含み、これらの溶媒の質量比による割合は、各溶媒を頂点とした三角図において、炭酸エチレン誘導体をx、γ−ヴァレロラクトンをy、炭酸エチレンをzとすると、数6に示したI,J,KおよびLの各点を結んだ範囲内の値であることを特徴とする請求項10記載の電池。
(数6)
I(x,y,z)=(0.55,0.25,0.20)
J(x,y,z)=(0.35,0.25,0.40)
K(x,y,z)=(0.10,0.70,0.20)
L(x,y,z)=(0.35,0.55,0.10) - 前記電解質は、高分子化合物を含むことを特徴とする請求項8記載の電池。
- 前記高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデン,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリアクリロニトリルおよびポリメタクリロニトリルからなる群のうちの少なくとも1種を繰り返し単位に含むことを特徴とする請求項14記載の電池。
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