JP2006207726A - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】斜め荷重を負荷されても、軸方向での屈曲を招くことなく、軸方向へ安定して蛇腹状に座屈することによって所定の衝撃吸収量を確保する。
【解決手段】筒体からなる外部部材10と、閉断面である横断面形状を有し、外部部材10の内部に配置されて曲げ剛性を高めるための内部部材20とを備え、軸方向の一方の端部から軸方向又は軸方向と交差する方向へ向けて衝撃荷重を負荷されて座屈することにより衝撃エネルギを吸収するための衝撃吸収部材1である。外部部材10の軸方向の少なくとも一部の横断面形状は、複数の頂点を有する閉断面であり、閉断面の外側にフランジを具備しないとともに、複数の頂点のうちの一部を直線で連結して得られる最大の輪郭からなる基本断面の少なくとも一の辺の一部の領域でかつ辺の端点を除く位置に輪郭の内側へ凹んだ溝部を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、衝撃吸収部材に関する。具体的には、本発明は、例えば自動車等の車両の衝突時に発生する衝撃エネルギを吸収することができる衝撃吸収部材に関する。
周知のように、現在の多くの自動車の車体は、軽量化と高剛性とを両立するために、フレームと一体化したボディ全体により荷重を支えるモノコックボディによって構成される。自動車の車体は、車両の衝突時には、車両の機能の損傷を抑制し、かつキャビン内の乗員の生命を守る機能を有さなければならない。車両の衝突時の衝撃エネルギを吸収してキャビンへの衝撃力を緩和することによってキャビンの損傷をできるだけ低減するためには、例えばエンジンルームやトランクルームといったキャビン以外のスペースを優先的に潰すことが有効である。
このような安全上の要請から、車体の前部、後部あるいは側部等の適宜箇所には、衝突時の衝撃荷重が負荷されると圧壊することによって衝撃エネルギを積極的に吸収するための衝撃吸収部材が設けられている。これまでにも、このような衝撃吸収部材として、フロントサイドメンバ、サイドシルさらにはリアサイドメンバ等が知られている。
近年には、クラッシュボックスといわれる衝撃吸収部材をフロントサイドメンバの先端に例えば締結や溶接等の適宜手段によって装着することによって、車体の安全性の向上と、軽衝突による車体の損傷を略解消することによる修理費の低減とをともに図ることが、行われるようになってきた。クラッシュボックスとは、軸方向(本明細書ではこの衝撃吸収部材の長手方向を意味する)へ負荷される衝撃荷重によって軸方向へ蛇腹状(アコーデオン状)に優先的に座屈することにより衝撃エネルギを吸収する部材である。
この衝撃吸収部材に要求される衝撃吸収性能とは、具体的には、衝撃荷重が軸方向へ負荷されると軸方向へ繰り返し安定して座屈することにより蛇腹状に変形すること、圧壊時の平均荷重が高いこと、さらには、圧壊の際に発生する最大反力がこの衝撃吸収部材の近傍に配置された他の部材を破壊しない範囲に抑制されることである。
これまでにも、衝撃吸収部材の衝撃吸収性能を向上させるための材質や形状が多数開発されている。一般的に広く用いられてきた衝撃吸収部材は、例えば特許文献1に開示されるような、ハット形の横断面形状の部材の縁に設けられたフランジを介して裏板をスポット溶接することによって横断面が四角形の箱状部材としたものである。なお、本明細書において「フランジ」とは、横断面における輪郭から外部へ向けて突出した平板状部を意味する。
これに対し、特許文献2には、一端から他端へ向けての横断面形状が四角形以上の凸多角形からこの凸多角形よりも辺の数が多い他の凸多角形へと連続的に変化する閉断面構造を有することによって、衝突の初期の荷重を低減しながら衝撃吸収量を向上させた衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。なお、本明細書において「凸多角形」とは、内部に存在する任意の二点を結んで得られる線分の全てがその内部に存在する多角形を意味する。
また、特許文献3には、内部に隔壁を有し、輪郭の横断面形状が凸多角形である衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。
また、特許文献4には、四角形の横断面を有する素材の4つの頂点を含む4つの角部に、内部へ向けた略直角二等辺三角形状の溝部を形成することによって、強度を高めた衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。
さらに、特許文献5には、フランジを有するハット形の横断面形状のフロントサイドフレームの側面に、軸方向へ延在するビードを形成することによって、衝撃荷重が負荷された際のフロントサイドフレームの折れ曲がりを抑制する発明が開示されている。
特開平8−128487号公報 特開平9−277953号公報 特開2003−48569号公報 特開2002−284033号公報 特開平8−108863号公報
しかし、これらの従来のいずれの発明によっても、衝撃荷重、特に、衝撃吸収部材の軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれる方向へ向けての衝撃荷重(本明細書では、「斜め荷重」という)が入力された場合に、軸方向での屈曲を生じることなく安定して軸方向へ蛇腹状に座屈することによって所定の衝撃エネルギの吸収量を確保することができ、安定した高性能を発揮し得る衝撃吸収部材を提供することはできない。
すなわち、実際の車両衝突時に衝撃吸収部材に負荷される衝撃荷重は、衝撃吸収部材の軸方向と平行な方向ではなく、衝撃吸収部材の軸方向からずれた方向へ負荷されることのほうが多い。しかし、上述した特許文献1〜5に記載された発明が想定する衝撃荷重の負荷方向は、いずれも、衝撃吸収部材の軸方向と平行な方向である。このため、特許文献1〜5に開示された衝撃吸収部材に、斜め荷重が負荷されると、軸方向での屈曲を生じて安定して軸方向へ蛇腹状に座屈することができなくなり、所定の衝撃エネルギの吸収量を確保できないおそれが高い。
なお、自動車の車体に用いられる衝撃吸収部材の横断面形状は、殆どの場合、扁平である。このため、特許文献1により開示されたような単純な正多角形等の凸多角形の横断面形状を有する衝撃吸収部材を用いることは、そもそも難しい。
また、特許文献2により開示された発明では、衝撃吸収部材の横断面形状が略全長に渡って徐々に変化する。このため、軸方向の位置によっては、衝撃吸収部材の横断面形状が不可避的に安定した座屈には適さない形状になる。したがって、この衝撃吸収部材は、衝撃荷重が軸方向と平行な方向へ負荷される場合であっても、軸方向へ繰り返し安定して座屈することが難しく、蛇腹状に変形しないおそれがある。
また、特許文献3により開示された発明では、隔壁を設けられた部分の強度が過剰に上昇するおそれがある。このため、この発明では、座屈が不安定となってかえって衝撃エネルギの吸収量が不足するおそれがあるとともに、圧壊の特に初期に衝撃吸収部材に生じる最大反力が、この衝撃吸収部材の近傍に存在する他の部材の強度を超え、衝撃吸収部材が圧壊される前に他の部材が先に圧壊されるおそれもある。したがって、この衝撃吸収部材は、衝撃荷重が軸方向と平行な方向へ負荷される場合であっても、軸方向へ繰り返し安定して座屈することができず、蛇腹状に変形しないおそれがある。
また、特許文献4により開示された発明では、もともと強度が高いコーナ部にさらに加工を行って切欠き部を設けるため、この切欠き部の強度が過剰に上昇し、安定して座屈することができないおそれがある。したがって、この発明では、特許文献3により開示された発明と同様に、衝撃エネルギの吸収量が不足するおそれがあるとともに、この衝撃吸収部材が圧壊される前に他の部材が先に圧壊してしまうおそれがあり、衝撃荷重が軸方向と平行な方向へ負荷される場合であっても、軸方向へ繰り返し安定して座屈することができず、蛇腹状に変形しないおそれがある。
さらに、特許文献5により開示された発明では、衝撃吸収部材がフランジを有するハット形の横断面形状を有する。このため、この発明によれば、負荷された衝撃荷重による折れ曲がりを抑制することは確かに可能になると考えられる。しかし、この発明によっては、衝撃荷重が軸方向と平行なへ負荷される場合であっても、軸方向へ繰り返し安定して座屈することができず、蛇腹状に変形しないおそれがある。
したがって、本発明の目的は、軸方向への衝撃荷重が負荷された場合のみならず、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれる方向へ向けての衝撃荷重が負荷された場合においても、軸方向での屈曲を生じることなく安定して軸方向へ蛇腹状に座屈することによって所定の衝撃エネルギの吸収量を確保することができ、安定した高性能を発揮し得る衝撃吸収部材を提供することである。
本発明者らは、上述した従来の技術が有する課題に鑑みて種々検討を重ねた結果、以下に列記する新規かつ重要な知見(I)〜(V)を得て、本発明を完成した。
(I)衝撃吸収部材の横断面形状を、(a)筒体からなる外部部材と、この外部部材の内部に配置されて外部部材の曲げ剛性を向上する曲げ剛性向上部材とを少なくとも備える多層構造とすることにより衝撃吸収部材の横断面の曲げ剛性をさらに高めるとともに(b)上記の外部部材が、複数の頂点を有する閉断面をなし、外向きのフランジを有さないとともに、複数の頂点のうちの一部を直線で連結して得られる最大の輪郭からなる基本断面の少なくとも一の辺の一部の領域であってこの辺の端点を除く位置に、この輪郭の内側へ凹んだ溝部を有することという要素(a)及び(b)を備える形状とすることによって、実際の衝撃吸収部材では多用される扁平な横断面形状を呈する場合であっても、軸方向への衝撃荷重や斜め荷重が負荷されても、軸方向での屈曲変形を招くことなく軸方向へ安定して蛇腹状に座屈することにより所定の衝撃吸収性能を確保できること。
(II)軸方向での屈曲変形を招くことなく軸方向へ安定して蛇腹状に屈曲するためには、曲げ剛性向上部材が、軸方向の横断面形状が複数の頂点を有する閉断面である形状を有する内部部材であることが望ましく、この内部部材と外部部材との間の距離が13mm以上であるとともに内部部材の横断面積が外部部材の横断面積の20%以上であることがさらに望ましいこと。
(III)軸方向での屈曲変形を招くことなく軸方向へ安定して蛇腹状に屈曲するためには、曲げ剛性向上部材が板状部材であってもよいこと。
(IV)FEM解析を行った結果、曲げ剛性向上部材を外部部材に固定する位置には、座屈の安定化を図るために選択すべき好適な条件が存在し、この条件を逸脱してしまうと座屈の挙動が不安定となって、衝撃吸収性能が低下するおそれがあること。及び
(V)FEM解析を行った結果、外部部材に設けられる上述した溝部の形状には、座屈の安定化を図るために選択すべき好適な条件が存在し、この条件を逸脱してしまうと座屈の挙動が不安定となって、衝撃吸収性能が低下するおそれがあること。
本発明は、筒体からなる外部部材と、この外部部材の内部に配置されて曲げ剛性を向上する曲げ剛性向上部材とを少なくとも備え、筒体の軸方向の一方の端部からこの軸方向又はこの軸方向と交差する方向へ向けて衝撃荷重を負荷されて座屈することにより蛇腹状に変形することによって衝撃エネルギを吸収するための衝撃吸収部材であって、外部部材の軸方向の少なくとも一部の横断面形状が、複数の頂点を有する閉断面であり、この閉断面の外側にフランジを具備しないとともに、複数の頂点のうちの一部を直線で連結して得られる最大の輪郭からなる基本断面の少なくとも一の辺の一部であってかつこの辺の端点を除く領域が、輪郭の内側へ凹んだ溝部を形成するように、屈曲して形成されることを特徴とする衝撃吸収部材である。
本発明に係る衝撃吸収部材では、曲げ剛性向上部材が、軸方向の横断面形状が複数の頂点を有する閉断面を有する内部部材であることが望ましい。この場合に、この内部部材と外部部材との間の距離が13mm以上であるとともに、内部部材の横断面積が、外部部材の横断面積の20%以上であることが、望ましい。
また、本発明に係る衝撃吸収部材では、曲げ剛性向上部材が、例えば平板や波板等の板状部材であっても、上述した内部部材と同様の効果を得ることができる。
これらの本発明に係る衝撃吸収部材では、負荷された衝撃荷重により座屈して蛇腹状に変形することによって衝撃エネルギを吸収することを阻害しないためには、曲げ剛性向上部材が外部部材の複数の頂点を含まない領域を介して外部部材の内面に固定されることが、望ましい。
これらの本発明に係る衝撃吸収部材では、外部部材に設けられる溝部を有する辺の前記一部の領域を除いた辺の残余の領域が、直線状に又は曲線状に、形成されることが望ましい。
本発明に係る衝撃吸収部材では、外部部材に設けられる溝部が、この溝部を有する辺の幅をaとし、一つの溝部の開口幅をWiとし、外部部材の板厚をtとし、辺に設けられた溝部の個数をnとし、辺に設けられたn個の溝部によって分割されて残った(n+1)個の残余の領域のそれぞれの幅をXjとした場合に、下記(1)式及び(2)式を満足するように、設けられることが望ましい。
4t<Wi<65t i=1〜n ・・・・・(1)
4t<Xj<65t j=1〜(n+1) ・・・・・(2)
ただし、ΣWi+ΣXj=aであり、かつΣWiは、幅aの辺に形成された溝部の開口幅Wiの総和であり、溝部の開口幅は、幅aの辺と溝部の輪郭線との2つの交点の間の距離であり、ΣXjは幅Xjの総和である。
これらの本発明に係る衝撃吸収部材では、外部部材の軸方向の全長をTとした場合に(a)溝部を、一方の端部から軸方向へ距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の全部又は一部には、設けないこと、又は(b)外部部材の横断面積が、一方の端部から軸方向へ距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の少なくとも一部において、他の部位よりも小さいことが、それぞれ望ましい。
これらの本発明に係る衝撃吸収部材は、外部部材に設けられる溝部を有する幅aの辺と溝部の輪郭線との交点の内角(α)が、辺の端点の内角(β)以上であることが望ましい。
さらに、これらの本発明に係る衝撃吸収部材では、外部部材に設けられる溝部の断面形状が、台形状、曲線を有する形状、三角形状若しくは四角形状、又はこれらの形状を二つ以上組み合わせた形状であることが望ましい。
本発明により、軸方向と平行な方向のみならず、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれる方向へ衝撃荷重(斜め荷重)が入力された場合であっても、軸方向での屈曲を生じることなく安定して軸方向へ蛇腹状に座屈することによって所定の衝撃吸収量を確保することができ、安定した高性能を発揮し得る衝撃吸収部材を提供することができる。
(実施の形態1)
本発明に係る衝撃吸収部材を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳述する。なお、この説明では、曲げ剛性向上部材が、軸方向の横断面形状が複数の頂点を有する閉断面を有する内部部材20である場合を例にとる。
図1は、本実施の形態の衝撃吸収部材1の横断面を模式的に示す説明図である。図1に示すように、この衝撃吸収部材1は、外部部材10と、曲げ剛性向上部材である内部部材20とを備えるため、以下、外部部材10及び内部部材20について順次説明する。なお、この実施の形態1の説明では、外部部材10に設けられる溝部14が、横断面において、複数の頂点A〜Pのうちの一部A、B、C、D、I、J、K、Lを直線で連結して得られる最大の輪郭A−B−C−D−I−J−K−L−Aからなる基本断面の少なくとも一の辺D−I、L−Aの一部の領域であってこの辺の端点D、I、L、Aを除く位置に、最大の輪郭A−B−C−D−I−J−K−L−Aの内側へ凹んだ形状に設け、かつ、一の辺からこの領域を除いた残余の領域D−E、H−I、L−M、P−Aが直線状に形成される場合を例にとる。
[外部部材10]
図1に示すように、本実施の形態の衝撃吸収部材1を構成する外部部材10は、軸方向の少なくとも一部の横断面形状が、複数の頂点A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O及びPを有する閉断面であり、かつ、この閉断面の外側へ向けたフランジを具備しない形状の筒体である。さらに、軸方向の少なくとも一部の横断面形状が、複数の頂点A〜Pのうちの一部A、B、C、D、I、J、K、L及びAを直線で連結して得られる最大の輪郭A−B−C−D−I−J−K−L−Aからなる基本断面の少なくとも一の辺D−I、L−Aの一部の領域であってこの辺の端点D、I、L、Aを除く位置に、最大の輪郭A−B−C−D−I−J−K−L−Aの内側へ凹んだ溝部を有する形状である。
つまり、この外部部材10の横断面形状は、(i)複数の頂点A〜Pを有する閉断面であること、(ii)この閉断面の外側へ向けたフランジを具備しないこと、及び(iii)複数の頂点A〜Pのうちの一部A、B、C、D、I、J、K、L及びAを直線で連結して得られる最大の輪郭A−B−C−D−I−J−K−L−Aからなる基本断面の少なくとも一の辺D−I、L−Aの一部の領域でかつこの辺の端点D、I、L、Aを除く位置に最大の輪郭A−B−C−D−I−J−K−L−Aの内側へ凹んだ溝部14を有する形状であることという3要素(i)〜(iii)を全て備える形状である。
本実施の形態の衝撃吸収部材1は、上記3要素(i)〜(iii)を全て備える外部部材10を備えることにより、衝撃荷重を負荷されると、軸方向での屈曲を招くことなく軸方向へ蛇腹状に安定して座屈することによって所定の衝撃吸収性能を確保する。そこで、本実施の形態の外部部材10の原理を説明する。
説明を行うための対象材料として、590MPa級の1.6mm厚の鋼板からなり、長さが200mmである外部部材10を用いた。この外部部材の横断面形状は、(a)長辺の長さが80mm、短辺の長さが60mmの四角形、又は、一辺の長さが35mmの正八角形をなし、(b)外向きのフランジを有さないとともに(c)台形形状の溝部14を有する多角形形状とし、そのうちの対向する2辺の長さを延ばすことによって八角形の扁平度を様々に変更して、これらの外部部材10についてFEM数値解析を行うことにより、座屈安定性に対する溝部14の形状の効果を調査した。なお、本明細書において「扁平度」とは、衝撃吸収部材の横断面における輪郭に外接する長方形のうちで短辺長さが最も短い長方形における長辺及び短辺の長さの比(長辺長さ/短辺長さ)を意味する。
その結果、以下に列記する本実施の形態の外部部材の変形安定化に関する知見(知見1)〜(知見3)を得た。
(知見1)
例えばプレス成形等によって成形された2つ以上の部材を、例えばスポット溶接等により接合する際の接合代となるフランジを具備する外部部材と、このフランジを具備しない外部部材とのそれぞれに衝撃荷重を負荷したときの圧壊の挙動を、FEM数値解析によって分析した。
図2は、FEM数値解析による四角形の横断面を有する外部部材の圧壊の様子を示す説明図であり、図2(a)はフランジを具備する衝撃吸収部材30を示し、図2(b)はフランジを具備しない衝撃吸収部材31を示す。
図2(a)に示すように、衝撃吸収部材30がフランジを具備すると、衝撃荷重を負荷された衝撃吸収部材30に生じる座屈が極めて不安定になり、衝撃吸収部材30は圧壊の途中で長手方向で折れ曲がる。これに対し、図2(b)に示すように、衝撃吸収部材31がフランジを具備しないと、衝撃吸収部材31は長手方向で折れ曲がることなく安定して蛇腹状に座屈する。
(知見2)
正八角形の横断面形状を有する衝撃吸収部材32を用い、正八角形から対向する2辺の長さを徐々に大きくした扁平な形状の八角形の圧壊の様子を図3に模式的に示す。衝撃吸収部材32の扁平度を増していくと、圧壊時の座屈が安定しなくなって複雑な形状となり、次第に圧壊時の座屈が不安定になる。
(知見3)
この際、座屈が不安定となる扁平な八角形の長辺部に溝部を設けることにより、衝撃吸収部材32の座屈を安定にすることができる。
図4は、衝撃吸収部材1の扁平な八角形の横断面を有する外部部材10の長辺部12の一部に、台形状に溝部14を設けた状況を示す説明図である。この例では、溝部14は、幅W及び深さdの寸法で対称な位置に二つ設けられている。
本実施の形態の衝撃吸収部材1の外部部材10の横断面形状を図4に示す形状とすること、具体的には(i)複数の頂点A〜Pを有する閉断面とすること、(ii)この閉断面の外側へ向けたフランジを具備しないこと、及び(iii)複数の頂点A〜Pのうちの一部A、B、C、D、I、J、K、L及びAを直線で連結して得られる最大の輪郭からなる基本断面(図4における図形A−B−C−D−I−J−K−L−A)の内側へ凹んだ溝部14を、この基本断面A−B−C−D−I−J−K−L−Aを構成する辺12(A−L)及び辺12(D−I)のそれぞれの一部の領域であって頂点A、D、I、Lをいずれも含まない位置に一つ有すること、の3要素(i)〜(iii)を全て備える形状とすることにより、衝撃吸収性能を発揮でき、安定して座屈が起こり、外部部材10は蛇腹状に座屈する。すなわち、この外部部材10は、衝撃荷重を受けて座屈することにより、溝部14とこの溝部14によって分割されて残った直線部分とが交互に変形することにより、蛇腹状に座屈する。
外部部材10を備える本実施の形態の衝撃吸収部材1がこのような優れた作用効果を奏する機構は、前述のFEM数値解析の結果等を勘案して総合的に判断すると、以下のように考えられる。
辺12に設ける溝部14は、上述した基本断面(図4における図形A−B−C−D−I−J−K−L−A)の内側へ凹んでいる。このため、衝撃荷重が負荷された際に溝部14、14を構成する頂点E、F、G、H、M、N、O及びPの変位は、図形A−B−C−D−I−J−K−L−Aの内側を指向する方向となる。
これに対し、基本断面(図形A−B−C−D−I−J−K−L−A)を構成する頂点A、B、C、D、I、J、K及びLの変位は、図形A−B−C−D−I−J−K−L−Aの外側を指向する方向となる。
このため、頂点E、F、G、H、M、N、O及びPの変位方向と、頂点A、B、C、D、I、J、K及びLの変位方向とは、互いに反対向きとなり、それぞれの変位が互いに打ち消され合う。
このため、外部部材10が座屈の途中で一方向へ折れ曲がるといった大きな崩れを生じ難い。さらに、溝部14を構成する頂点E、F、G、H、M、N、O及びPにおいて座屈が発生する時期と、基本断面(図形A−B−C−D−I−J−K−L−A)を構成する頂点A、B、C、D、I、J、K及びLにおいて座屈が発生する時期とが、相違する。このため、座屈の挙動が安定する。
そして、この溝部14が形成される範囲についての好適条件をFEM解析により調査した。この調査では、正四角形、正六角形、正八角形、正十角形の圧壊時のFEM解析を行って、各多角形を構成する辺の長さの好適な範囲を検討した。
FEM解析の結果を図5にグラフで示す。図5のグラフにおける横軸はl(外部部材10の辺の長さ)/t(外部部材10の板厚)を示し、縦軸Sは70%圧壊での単位断面周長当りの平均荷重(kN/mm)を示す。
図5にグラフで示すように、外部部材10の一つの辺の長さlがその板厚tに対して、4<(l/t)<65の範囲を満足すれば、多角形の角数には関係なく安定した変形が得られ、衝撃吸収性能が安定して確保される。すなわち、図5に示すグラフにおいて、(l/t)が4を僅かに下回る3.6であると、外部部材10が蛇腹状に座屈せずに折れ曲がりを生じ、吸収エネルギを確保できなくなることがある。一方、(l/t)が4を僅かに上回る4.7であると、外部部材10は折れ曲がりを生じることなく蛇腹状の望ましい座屈が得られ、吸収エネルギを十分に確保できる。
一方、同図に示すグラフにおいて、(1/t)が65を僅かに下回る64であると、蛇腹状の座屈が得られ吸収エネルギを十分に確保できる。一方、(l/t)が65以上であると外部部材10の全体の曲がりを生じるために吸収エネルギ量は低下する。
以上の結果から、外部部材10に設ける溝部14が、この溝部14を有する辺の幅をaとし、一つの溝部14の開口幅をWiとし、外部部材10の板厚をtとし、上記辺に設けられた溝部14の個数をnとし、距離aの辺がn個の溝部14によって分割されて残った(n+1)個の残余の領域の一つの領域の幅をXjとした場合に、下記(1)式及び(2)式を満足するように、設けられることが望ましい。
4t<Wi<65t i=1〜n ・・・・・(1)
4t<Xj<65t j=1〜n+1 ・・・・・(2)
ただし、ΣWi+ΣXj=aであり、かつΣWiは、幅aの辺に形成された溝部の開口幅Wiの総和であり、溝部の開口幅は、幅aの辺と溝部の輪郭線との2つの交点の間の距離であり、ΣXjは前記幅Xjの総和である。
より好ましくは、図5のグラフにおいて、顕著に平均荷重が増加する範囲として、
4t<Wi<35t i=1〜n ・・・・・(1a)
4t<Xj<35t j=1〜n+1 ・・・・・(2a)
である。
なお、溝部14の深さdは、この溝部14の開口幅Wiの0.3未満と小さ過ぎる場合には、溝部14の強度が溝部14を構成しない他の頂点の強度に対して弱くなり、座屈が不安定となり易い。このため、溝部14の深さdは、溝部14の開口幅Wiの0.3倍以上であることが望ましい。
すなわち、一つの溝部14の開口幅Wiは、外部部材10の板厚をtとしたとき、4t<Wi<65tを満足する。Wiが4t以下である場合には、溝部14の座屈に対する強度が、多角形をなす他の頂点A、B、C、D、I、J、K及びLよりも過剰に高くなり、圧壊中に曲がり等の座屈不安定を生じるおそれがある。一方、Wiが65t以上である場合は、逆に溝部14を設けることの効果が弱まるおそれがある。このような関係はn個数のいずれについても満足される。
また、本実施の形態における溝部14は、多角形のいずれの辺に設けても良いし、溝部14の個数は一の辺に2以上であってもよい。ただし、溝部14を、基本断面の頂点A、B、C、D、I、J、K及びLのいずれかを含む位置に設けると、上述した特許文献4に記載された発明と同様に、その頂点の強度が過剰に上昇する。このために座屈が不安定となって、かえって衝撃吸収量が不足するおそれがあるとともに、圧壊の特に初期に外部部材10に生じる最大反力が他の部材の強度を超え、他の部材が損傷するおそれもある。
次に、溝部14が形成された一部の領域を除いた残余の領域について説明する。
図4において、辺12にn個の溝部14を設けた場合、この辺は溝部14によって(n+1)個の新たな直線部分に分割されることになる。このとき、(n+1)個の分割された各直線部分の幅をXjとすると、(2)式を満足する。
4t<Xj<65t j=1〜n+1 ・・・・・(2)
この幅Xjが、4t以下又は65t以上である場合には、十分な吸収エネルギが得られない。
これらの関係を図6に具体的に示す。図6には幅aを有する辺12上に、溝部14を3つ設けた場合を示す。各溝部14の開口幅W1、W2、W3が、いずれも、外部部材10の板厚tの4倍より大きいとともに板厚tの65倍よりも小さい。同時に、幅aの辺12が分割されて残存する4つの直線部分の幅X1、X2、X3、X4のいずれもが板厚tの4倍より大きいとともに板厚tの65倍よりも小さい。
以上の説明では、溝部14の横断面形状が台形である形態を例にとった。しかし、本発明はこの形態に限定されるものではない。この形態以外に、溝部の横断面形状は、曲線を有する形状、三角形状若しくは四角形状又はこれらの形状を二以上組み合わせた形状であってもよい。
また、この溝部14の底部の形状は平坦面でなくともよい。溝部14の断面形状の幾つかの例を図7(a)〜図7(d)にまとめて示す。図7(a)は円弧を有する形状に形成された場合を示し、図7(b)は四角形状に形成された場合を示し、図7(c)は三角形状に形成された場合を示し、さらに、図7(d)は三角形の一部と円弧を有する形状とを組み合わせた形状に形成された場合を示す。
図8は、図4と同様の図面であって、同一符号は同一部材を示す。
本実施の形態では、図8に示すように、溝部14の輪郭線と辺との交点Mの内角αが、辺の端点Lの内角β以上であること、すなわち図8においてα≧βであることが好ましい。αがβ未満では、溝部14の強度が基本断面の頂点A、D、I、Lの強度を上回り、座屈が不安定になり易い。
この外部部材10を備える本実施の形態の衝撃吸収部材1は、十分な吸収エネルギを確保できるが、圧壊開始時の初期荷重が高くなり問題となることがある。このため、他の部材との関係によっては、高い初期最大荷重により他の部材を損傷するおそれがある。そこで、本実施の形態では、初期最大荷重を低減するために、外部部材10の軸方向の全長をTとした場合に、外部部材10の横断面積が距離(T×0.3)離れた位置までの範囲において他の部位よりも小さいように設ける。例えば、一方の端部から軸方向へ距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の少なくとも一部の領域において、距離(T×0.3)離れた位置から一方の端部15へ向かうにつれて横断面積が徐々に減少するように、設ける。
次に、横断面積を減少させる軸方向の長さと、初期最大荷重の低減効果との関係を説明する。
図9は、本実施の形態の衝撃吸収部材1を構成する外部部材10を示す説明図である。同図に示すように、扁平度が2.0で全長がTである八角形断面の筒体に、開口幅Wが37.5tである溝部14を設けて、衝撃吸収部材とした。本例では、衝撃荷重が負荷される一方の端部15における横断面積を、他方の端部16における横断面積の60%とした。そして、一方の端部15から(T×0.3)以下の長さの範囲でこの横断面積を徐々に増加させ、この範囲を脱する位置の横断面積を、他方の端部16における横断面積と同じとした。そして、軸方向へ部材長の70%を圧壊する条件で解析を行って、初期最大荷重の大小を検討した。
検討結果を図10にグラフで示す。図10のグラフにおける横軸Uは、外部部材10の断面積を減じる部位の長さ/外部部材10の長さTを示す。また、左側の縦軸Vは、初期最大荷重比(断面積を減じない場合を1とする)を示し、右側の縦軸Zは、70%圧壊時の吸収エネルギ比(断面積を減じない場合を1とする)を示す。また、図10のグラフでは、黒四角印は初期最大荷重比を示し、黒丸印は吸収エネルギ比を示す。
図10にグラフで示すように、一方の端部15の断面積を減少させない場合に比較すると、一方の端部15から軸方向へ距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の少なくとも一部において、所定の位置から一方の端部に向かうにつれて横断面積を徐々に減少させることにより、初期最大荷重の低減効果が得られ、かつ、衝撃エネルギ吸収量の大幅な低下を抑制できる。
また、図9に示す例とは異なり、図11に示すように、この範囲では、一方の端部15から軸方向へ距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の少なくとも一部には、溝部14を設けないようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、初期最大荷重を低減するとともに衝撃エネルギ吸収量の大幅な低下を抑制するために、一方の端部15から軸方向へ距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の全部又は一部において、(1)図9に示すように、一方の端部15の横断面積を他方の端部16における横断面積の60%とし、一方の端部15から(T×0.3)以下の長さの範囲でこの横断面積を徐々に増加させ、この範囲を脱する位置の横断面積を、他方の端部16における横断面積と同じとすること、または(2)図11に示すように、安定座屈のための溝部14を設けないことによって、この範囲の外部部材10をあえて不安定座屈として初期最大荷重を低減すること、のいずれかによって、初期最大荷重の低減効果が得られるとともに、衝撃エネルギ吸収量の大幅な低下を抑制できる。
なお、図9では、距離(T×0.3)を超える範囲の横断面積は、他方の端部の横断面積と同じとしたが、必ずしも一定の断面積でなくてもよい。
これら(1)又は(2)の手段を部材長Tの30%を超える範囲にまで施してしまうと、初期座屈以後の座屈にまで影響し、安定座屈が得られなくなる。換言すれば、本発明で規定する溝部14は、外部部材10に衝撃荷重が作用する一方の端部15の反対の他方の端部16から軸方向の70%以上の領域にわたって設けられることが望ましい。
なお、図9、11に示す例では、他方の端部16から軸方向へ70%以上の領域の全域において溝部14を連続して設けたが、溝部14はこの領域の全域に連続して設ける必要はなく、この領域内に断続的に設けるようにしてもよい。
なお、図9に示す(1)の手段は、図9からも分かるように、外部部材10の軸方向の全長をTとした場合にこの外部部材10の横断面積が距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の少なくとも一部において他の部位よりも小さい限り、横断面積を急激に又は徐々に減じるように構成してもよい。また、これら(1)又は(2)の手段の他に、距離(T×0.3)離れた位置までの範囲の少なくとも一部に、連続的又は断続的につぶれの起点となるビードを形成してもよい。
本実施の形態における外部部材10は、周知慣用の適宜手段により製造すればよく、特定の製造法には限定されない。例えば、中空材に押出、ハイドロフォーム(液封成形)若しくはロールフォーミング等の加工をいずれか一つあるいは複数行うことや、所定厚さの鋼板にプレス曲げ、絞り、巻き若しくはロールフォーミング等の加工をいずれか一つあるいは複数行うことにより、多角形の横断面形状を有する筒体としてから適宜箇所を接合することにより閉断面形状としてもよい。この際の接合方法としては、例えばスポット、カシメ若しくはスポット摩擦攪拌接合等の断続接合や、アーク(プラズマ)、レーザー若しくは摩擦攪拌接合等の連続接合等を用いればよい。
また、成形された後の外部部材10に高周波焼き入れ、レーザ焼き入れ、浸炭、窒化等の後処理を行えば、外部部材10の強度をさらに高めることができるため、望ましい。なお、テーラードブランク、さらには軽量化のために薄鋼板、アルミニウム合金以外の素材等を利用して本例の外部部材10を構成すれば高荷重化を図ることもできる。
なお、この外部部材10の扁平度は、1.0以上3.5以下であることが例示される。扁平度が3.5超であると、座屈が不安定となって衝撃吸収量が不足する恐れがあるとともに、圧壊の特に初期に筒体に生じる最大反力が他の部材の強度を超え、他の部材が損傷する恐れがある。
次に、この外部部材10の変形例10−1を説明する。
この変形例10−1は、最大の輪郭からなる基本断面の少なくとも一の辺の一部の領域で、かつこの辺の端点を含まない位置に、輪郭の内側へ凹んだ溝部を有する点では、上述した外部部材10と共通する。
しかし、変形例10−1では、この一部の領域を除いた残余の領域を、外部部材10のように直線状に形成するのではなく、輪郭の外側に凸となる曲線、又は輪郭の内側に凹となる曲線を有する形状に形成することにより、外部部材10をさらに発展・改良するものである。
そこで、以降の説明では、上述した外部部材10に対する相違点を中心に説明し、共通する部分については、重複する説明を適宜省略する。
一般的に、衝撃吸収部材の衝突性能は、衝撃吸収部材が座屈する荷重(座屈荷重)によって支配される。この座屈荷重は、衝撃吸収部材の横断面において剛性が高い頂点が座屈変形する際の荷重によって、略支配される。
一方、荷重が上昇するときは頂点に圧縮のひずみが蓄積され、座屈するまでに頂点には圧縮変形が進行する。その後、この頂点の座屈が発生すると荷重は急激に低下する。この荷重の低下を抑制するためには、頂点の座屈をより局所的に小さいエリアに限定して発生させること、及び、頂点の間に形成される面部に座屈しわが発生及び成長する際に発生する曲げ変形の変形応力を増大させることが、ともに重要である。
そこで、座屈時の荷重を上昇させるためには、頂点以外の面部を、容易に座屈せずに圧縮変形を促進することができる形状とし、圧縮変形が発生している領域を拡大することが望ましい。また、曲げ変形時の変形応力を高めるために、座屈しわが発生及び成長する面部に加工硬化を生じさせておけば、座屈開始までに圧縮変形を促進して曲げ変形時の変形応力を高めることができ、これにより、座屈時における上述した荷重の急激な低下を抑制できる。
つまり、上述した外部部材10における残余の領域を、輪郭の外側に凸となる形状、又は輪郭の内側に凹となる形状に形成する理由は、面部の剛性を高め、座屈の開始までにこの面部にも圧縮ひずみを蓄積させることである。これにより、座屈荷重を高めて圧縮ひずみを蓄積すること(加工硬化)により座屈しわの発生及び成長時の変形抵抗を高めて、座屈時における荷重の低下を抑制することができる。
しかし、外部部材10の横断面形状によっては、残余の領域を曲線状に形成することにより、面部の剛性が高まり、これにより、面部と頂点との間の剛性バランスが崩れ、頂点の座屈が不安定となる場合がある。したがって、残余の領域に曲線状の形状を形成して面部の剛性を高める場合には、頂点の剛性がもともと高い横断面形状を有する外部部材10に適用することが望ましい。
図12は、変形例の外部部材10−1の横断面を示す説明図である。
図12に示すように、変形例の外部部材10−1では、頂点(A−L、D−I)間に高性能かつ安定した座屈を図るために溝部14、14を設け、かつ面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)に各種曲率ρを有する曲線形状を付与した横断面形状を有する外部部材10−1について、FEM解析を行った。
このFEM解析では、外部部材10−1の材料を590MPa級の1.0mm厚の鋼板とし、ひずみ速度依存性はCowper−Symonds則により考慮した。また、曲率の付与条件は、図12に示した対象部位において頂点(A−L、D−I)間の幅28mmの面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)に対して、外側又は内側に向けて高さhが0.5〜15.0mmの曲線形状を形成するように曲率を付与し、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)が直線状に形成された場合に対する衝突性能を解析した。
性能は、部材の単位重量に対し、部材長の70%圧壊変位までの吸収エネルギ比で比較した。解析に用いた部材長Tは200mmである。各条件間の比較は、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)が直線状に形成された場合に対して相対的に行った。結果を図13にグラフでまとめて示す。
図13のグラフにおける横軸はh/Xを示し、縦軸Yは単位重量当たりの衝突性能(%)を示しており、面部が直線状に形成された場合には100%である。また、このグラフでは、黒丸印は面部の外側へ向けて凸形状を設けた場合を示し、白丸印は面部の内側へ向けて凹形状を設けたことを示す。
図13のグラフから理解されるように、(h/X)が0.075以下の領域では内側に凹んだ形状(凹形状)を設け、(h/X)が0.075〜0.375の領域では外側に凸の形状(凸形状)を設け、さらに、(h/X)が0.26以上の領域では内側に凹形状を設けることにより、単位重量当たりの衝突性能を向上できる。
このように、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)に曲率を付与することにより、衝突性能をさらに向上させることができる。
図14は、溝部14を有する外部部材10−1の面部に曲率を付与した場合の頂点及び面部の弾性座屈によるたわみの状況を模式的に示す説明図であり、図14(a)は外側に凸となる曲率を付与した場合を示し、図14(b)は内側に凹となる曲率を付与した場合を示す。
図14(a)に示すように、外側に凸となる曲率を付与すると、付与した曲率が小さい場合は衝突の初期における断面の広がりが大きくなる。このため、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)が直線である場合に比較すると、断面が外側へ広がる弾性座屈を生じて頂点(A〜P2)において軸方向へ作用する圧縮ひずみ量が小さくなり、座屈荷重が低下する。
しかし、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)に付与した曲率がある程度大きくなると、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)自体の剛性が高まり、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)においても圧縮のひずみが高まり、座屈荷重が上昇する。また、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)に付与する凸の高さを、h/Xで0.075〜0.375程度と大きくすることにより、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)の塑性変形も促進されることから、座屈しわの成長時の変形抵抗が高まって座屈発生後の荷重低下が抑制される。これにより、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)が直線である場合よりも衝突性能が向上する。
一方、図14(b)に示すように、内側に凹となる曲率を付与すると、付与した曲率が小さい場合は衝突の初期における頂点(A〜P2)及び面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)それぞれにおける弾性座屈の方向が異なる。これにより、頂点(A〜P2)の広がりが抑制され、より大きい圧縮のひずみが蓄積される。これによって、座屈荷重が大きくなり、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)が直線である場合よりも衝突性能が向上する。
しかし、付与する曲率がさらに大きくなると、外部部材10−1の全体において繰り返し発生する座屈モードが不安定となり、衝突性能は低下する。これは、頂点(A〜P2)及び面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)へ付与する凹の高さが、h/Xで0.075〜0.26程度と大きくなることにより、成長する座屈しわを巻き込んで座屈が進行するような形態となるため、繰り返し発生する座屈が不安定となり、外部部材10−1の全体での衝突性能の悪化を招くことになる。
しかしながら、付与する凹の高さを、h/Xで0.26〜0.55程度とさらに大きくすると、外側へ向けて凸となる曲率を付与した場合と同様に、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)の塑性変形が促進され、座屈発生までの座屈荷重を上昇させるとともに、座屈しわの成長時の変形抵抗も高まるため、座屈発生後の荷重低下も抑制でき、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)が直線である場合よりも衝突性能が向上する。
本実施の形態のように、頂点(A〜P2)の座屈強度を制御するとともに面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)に対しても適度な曲率を付与することにより、衝突性能をさらに向上することができる。
なお、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)に付与する曲率の最適値は、外部部材10−1の全体の断面剛性と、面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)の剛性、すなわち面部(D−E1、H1−E2、H2−I、L−M1、P1−M2、P2−A)の長さによって、変化すると考えられる。
一方、この外部部材10−1を備える自動車の車体用の衝撃吸収部材は、他の部材との寸法の取り合いの関係で、適用でき得る断面積には上限がある。また、他の部材を接合する際の基準平面を形成することも考慮する必要がある。
このため、高さhは50mm以下とすることが望ましい。
このように、変形例の外部部材10−1は、衝突時における軸方向への圧壊過程での頂点以外の部位である面部においても、軸方向の圧縮ひずみの蓄積と、その部位において座屈しわの形成時における変形応力とをともに高めることによって、優れた衝撃吸収性能を得るものである。このためには、面部においても形状(曲率)を付与し、この面部の剛性を向上させることが望ましい。
このように、本実施の形態の衝撃吸収部材1は、外部部材10又は10−1を備えるため、軸方向に衝撃荷重が作用した際に安定した圧壊挙動が実現することができる。
[内部部材20]
本実施の形態の衝撃吸収部材1は、図1に示すように、上述した外部部材10の内部に内部部材20を備える。この内部部材20の軸方向の横断面形状は、複数の頂点を有する閉断面である。
この内部部材20は、上述したように、上述した外部部材10の内部に配置されて衝撃吸収部材1の曲げ剛性を向上するための曲げ剛性向上部材として機能する。
すなわち、本実施の形態の衝撃吸収部材1は、この内部部材20を備えることにより外部部材10の曲げ剛性を高め、これにより、軸方向と平行な方向のみならず、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれる方向へ衝撃荷重(斜め荷重)が入力された場合であっても、軸方向での屈曲を生じることなく安定して軸方向へ蛇腹状に塑性座屈することによって所定の衝撃吸収量を確保でき、優れた衝撃吸収性能を発揮できる。内部部材20の変形安定化に関する知見を以下に説明する。
(知見4)
本実施の形態の衝撃吸収部材1は、図1に示すように、外部部材10の内部に配置された内部部材20を有する。すなわち、本実施の形態では、外部部材10(A−B−C−D−E−F−G−H−I−J−K−L−M−N−O−P)の内部に、外部部材10に対して相似比0.65の相似形の内部部材20を配置している。内部部材20は、接合部材21によって、外部部材10の辺F−G、O−Nを介して外部部材10に接合されている。
このように、外部部材10の内部に内部部材20を配置すると、衝撃吸収部材1の横断面の曲げ剛性が高まるため、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれるあらゆる方向の衝撃荷重に対しても、屈曲変形を生じることなく安定した圧壊変形を示すようになる。
一般的に、衝撃吸収部材に斜め荷重が入力すると、衝突端側(斜め荷重入力側)の衝撃吸収部材には倒れ込みを誘発させるような荷重が作用する。この際に、外部部材10しか存在せず内部部材20を有さない構造であると、衝撃吸収部材の横断面の曲げ剛性が低いために、作用する荷重によって長手方向への倒れ込み(屈曲変形)が誘発されてしまい、軸方向への座屈変形を発生させるために必要となる圧縮ひずみが蓄積しない。このため、安定した座屈変形を示さずに衝撃吸収部材全体での屈曲変形を生じてしまい、衝撃エネルギの吸収量が所望の値に達しなくなる。
そこで、本実施の形態では、上述したように、外部部材10の内部に内部部材20を配置して、特に衝突端側(斜め荷重入力側)における衝撃吸収部材1の横断面の曲げ剛性を高める。これにより、外部部材10及び内部部材20が一体となって入力される斜め荷重を負担するようになり、衝撃吸収部材1を固定する支持点での剛性向上ならびに、斜め荷重の入力端側における外部部材10の倒れこみを誘発させる荷重(外部部材10を屈曲変形させようとするモーメント)を軽減することができる。このため、斜め方向の荷重に対しても安定した圧壊変形(座屈変形)を発生することが可能となり、斜め荷重に対する高い衝撃エネルギの吸収量を得ることができるようになり、衝突端側での座屈を確実に誘発させ、また反衝突端側の剛性を高め、衝撃吸収部材1を支える箇所(他部材との結合位置)を起点とした衝撃吸収部材1の倒れ込みを抑制することができるようになる。
次に、内部部材20を設けることにより、斜め荷重が負荷された場合であっても、安定した変形特性を実現することができることを、FEM解析結果を参照しながら具体的に説明する。
図15は、内部部材20を有する衝撃吸収部材、及び内部部材20を有さない衝撃吸収部材について、衝突変形時の荷重特性をFEM解析した結果を示すグラフである。
図15のグラフにおける条件1は、内部部材20が存在せず外部部材10のみからなる衝撃吸収部材の軸方向と略平行な方向へ衝撃荷重が入力した場合(荷重入力A)における荷重特性(変位と荷重との関係)を示しており、条件3は、条件1の衝撃吸収部材と同一の衝撃吸収部材に軸方向に対し10゜の方向から斜め荷重Faが入力した場合(荷重入力B)における荷重特性を示している。これに対し、条件2、4は、上述した図1に示す衝撃吸収部材1に、軸方向と平行な方向、斜め10゜方向から衝撃荷重が入力した場合(荷重入力A,B)の荷重特性を、それぞれ示す。
なお、このFEM解析において用いる衝撃吸収部材1の外部部材10及び内部部材20の材料特性は、板厚1.0mmの590MPa級高張力鋼板である。また、この外部部材10には、衝突時の初期荷重低下を図るために、衝撃荷重入力側のE−F−G−HとM−N−O−Pの頂点部を対象に、長手方向への長さ15mmの範囲に切り欠きを設けた。内部部材20にも同様に切り欠きを設けた。
図15にグラフで示すように、内部部材20を設けない条件1、条件3では、荷重入力Aの場合には変形変位110mmまで安定した荷重特性を示しているのに対し、荷重入力Bの場合には変位変位30mm以降荷重が急激に低下する傾向を示す。しかしながら、内部部材20を設けた条件2、4では、荷重入力AならびにBともに安定した荷重特性を示し、良好である。
つまり、内部部材20を設けない場合には、軸方向の荷重に対しては安定した荷重特性を示すものの、斜め荷重が作用すると倒れ込みが発生し、衝撃吸収部材全体での屈曲を生じ、変形荷重が低下する。しかしながら、内部部材20を設けると、軸方向の荷重のみならず斜め荷重が作用しても衝撃吸収部材全体での屈曲を生じることなく、安定した座屈変形を発生し、良好な衝突性能を得ることができる。
図15のグラフにおける条件3における変形荷重の急激な低下と、大きな荷重変動の原因は、斜め荷重が負荷されると外部部材10が倒れ込んでしまうことである。このため、条件4のように、外部部材10の内部に内部部材20を配置して、衝撃吸収部材1の横断面における剛性を高めることにより、斜め荷重が負荷されたことに起因した外部部材10の倒れ込みを抑制でき、これにより、衝撃吸収部材全体での屈曲を生じることなく、安定した座屈変形を発生し、良好な衝突性能を得ることができる。
この結果より、外部部材10の内部に内部部材20を設けることにより、軸方向のみならず軸方向と交差する方向から衝撃荷重が入力された場合においても、安定した性能を示し、所望の高性能な吸収エネルギを実現することが可能となることがわかる。
次に、この内部部材20についてさらに具体的に説明する。
内径部材20の最大サイズは、圧壊(座屈)していく際に生成するしわのサイズによって決定される。つまり、外部部材10と内部部材20とがそれぞれ座屈することによって生成される座屈しわ同士が干渉してお互いの座屈変形を阻害することがないようにするために、内部部材20は、その全周において、外部部材10から13mm以上の距離を持たせ配置されることが望ましい。
圧壊変形時に生成するしわのサイズは辺の長さに依存し、長い辺は大きい座屈しわが生成する。したがって、上述したように外部部材10と内部部材20のしわの干渉は、外部部材10及び内部部材20それぞれの長い辺同士の間の距離(後述する図22における距離SP)が重要であり、特にこの部位において13mm以上の時に部材の変形挙動を大きく支配する。
また、上述したように、内部部材20が外部部材10と一体になって入力される斜め荷重を負担するためには、内部部材20の横断面積が、外部部材10の横断面積の20%以上であることも望ましい。
また、内部部材20は、外部部材10が負担する斜め荷重を軽減してその倒れ込みを防止するとともに、外部部材10の稜線間平面部の剛性向上による長手方向での屈曲を抑制することであるため、内部部材20の形状ならびに配置は、特段の限定を要さない。例えば、内部部材20は外部部材10に対して相似形又は非相似形に構成されていてもよいし、内部部材20は外部部材10の対称線(図1における直線l、m)に対して対称となる位置又は非対称となる位置に設けてもよい。
なお、本実施の形態では、内部部材20を支持する接合部材21を、外部部材10の辺F−G、O−Nの内面側に固定した。しかし、FEM解析を行った結果、接合部材20を外部部材10の各頂点A〜Pの内面を含む位置に接合すると、接合された頂点A〜Pの剛性が高まることに起因して、座屈の挙動が不安定となって衝撃吸収性能が低下するおそれがある。このため、負荷された衝撃荷重により座屈して蛇腹状に変形することによって衝撃エネルギを吸収することを阻害しないためには、曲げ剛性向上部材である内部部材20は、外部部材10の各頂点A〜Pを含まない領域、具体的には外部部材10の隣接する各頂点A〜Pの間に形成される各直線部(各辺)を介して、外部部材10の内面に固定されることが、望ましい。
このように、内部部材20の寸法は、衝撃荷重が入力される方向に対応して適宜調整すればよく、本実施の形態では、図1に示すように、例えばFaの荷重が入力されることを想定して、外部部材10の辺F−Gと、辺O−Nとをつなぐように接合部材21を介して内部部材20を配置した。内部部材20の断面の大きさは、外部部材10の断面の大きさの80%程度とした。
さらに、本実施の形態の衝撃吸収部材1をクラッシュボックスとして自動車車体のフロントサイドメンバの先端に例えば締結や溶接等の適宜手段によって装着する場合、内部部材20の内部に、タイダウンフック取付用のナットを内蔵することが考えられる。この場合、内径部材20は、その面積がこのナットを内蔵するのに必要な面積を有する必要があるが、この面積は内蔵されるナットの寸法も勘案して適宜決定すればよく、例えば40×40mm以上の面積を確保することが例示される。なお、内部部材20がこの面積を確保できない場合には、タイダウンフック取付用のナットの取付位置を、内部部材20の内部以外の位置に変更すればよい。
内部部材20は、外部部材10と同様に、周知慣用の適宜手段により製造すればよく、特定の製造法には限定されない。例えば、中空材に押出、ハイドロフォーム(液封成形)又はロールフォーミング等の加工のいずれか一つ、あるいはこれらを複数組み合わせて行うことや、所定厚さの鋼板にプレス曲げ、絞り、巻き若しくはロールフォーミング等の加工をいずれか一つあるいは複数行うことによって、多角形の横断面形状を有する筒体に成形してから適宜箇所を接合することにより閉断面形状とすることが例示される。この際の接合方法として、例えばスポット、カシメ若しくはスポット摩擦攪拌接合等の断続接合や、アーク(プラズマ)、レーザー若しくは摩擦攪拌接合等の連続接合等を用いることが例示される。
また、内部部材20を接合部材21を介して外部部材10に接合する際にも、スポットやアーク等の溶接を用いて組み立てればよい。
さらに、さらなる高性能化を図るために、内部部材20に高周波焼き入れ、レーザ焼き入れ、浸炭、窒化等の後処理を行うことは有効である。また、内部部材20の素材には、テーラードブランク、さらには軽量化のために薄鋼板、アルミニウム合金以外の素材等を利用することも可能である。
本実施の形態の衝撃吸収部材1は、外部部材10と、この外部部材10の内部に配置される内部部材20とを備えるため、軸方向の一方の端部から、軸方向と平行な方向のみならず、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれるあらゆる方向へ向けて衝撃荷重を負荷されても、確実に座屈して蛇腹状に変形することにより衝撃エネルギを十分に吸収して、所定の衝撃吸収性能を確保することができる。このため、この衝撃吸収部材1を、上述したクラッシュボックスに適用してフロントサイドメンバの先端に、例えば締結や溶接等の適宜手段によって装着すれば、車体の安全性の向上と、軽衝突による車体の損傷を略解消することによる修理費の低減とを、ともに図ることができる。
このようにして、本実施の形態により、特に斜め荷重が入力された場合であっても、軸方向での屈曲を生じることなく安定して軸方向へ蛇腹状に座屈することによって所定の衝撃吸収量を確保することができ、安定した高性能を発揮し得る衝撃吸収部材を提供できた。
(実施の形態2)
さらに、本発明を別の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の実施の形態2〜4の説明では、上述した実施の形態1と相違する部分を説明し、重複する部分については同一の図中符合を付することにより重複する説明を適宜省略する。
図16は、実施の形態2に係る衝撃吸収部材1−1の横断面を模式的に示す説明図である。なお、図16における三角印は、スポット溶接部を示す。
本実施の形態の衝撃吸収部材1−1が実施の形態1に係る衝撃吸収部材1と相違するのは、内部部材20−1の横断面形状である。
本実施の形態の衝撃吸収部材1−1における内部部材20−1は、ハットチャンネル部材20−1a、20−1bをふたつ重ねて鼓状に組み立てるとともに、各ハットチャンネル部材20−1a、20−1bそれぞれの端部をクランク状に屈曲させて、接合部材21−1を一体に構成した点である。
本例においても、内部部材20はその全周において外部部材10から13mm以上離間して配置したとともに、内部部材20の横断面積を外部部材10の横断面積の45%に設定した。
本例の衝撃吸収部材1−1によれば、実施の形態1の衝撃吸収部材1と同様に、外部部材10と、この外部部材10の内部に配置される内部部材20−1とを備えるため、軸方向の一方の端部から、この軸方向のみならずこの軸方向と交差するあらゆる方向へ向けて衝撃荷重を負荷されても、確実に座屈して蛇腹状に変形することにより衝撃エネルギを十分に吸収して、所定の衝撃吸収性能を確保することができる。このため、この衝撃吸収部材1−1を、上述したクラッシュボックスに適用してフロントサイドメンバの先端に、例えば締結や溶接等の適宜手段によって装着すれば、車体の安全性の向上と、軽衝突による車体の損傷を略解消することによる修理費の低減とを、ともに図ることができる。
また、本例の衝撃吸収部材1−1は、内部部材に関して、実施の形態1の衝撃吸収部材1よりも簡素な構造を有するために、低コストで製造することができる。
このようにして、本実施の形態により、特に斜め荷重が入力された場合であっても、軸方向での屈曲を生じることなく安定して軸方向へ蛇腹状に座屈することによって所定の衝撃吸収量を確保することができ、安定した高性能を発揮し得る衝撃吸収部材を、実施の形態1よりも安価に提供できる。
(実施の形態3)
図17は、実施の形態3に係る衝撃吸収部材1−2の横断面を模式的に示す説明図である。なお、図17における三角印は、スポット溶接部を示す。
本実施の形態の衝撃吸収部材1−2が実施の形態1、2に係る衝撃吸収部材1、1−1と相違する点も、内部部材20−2の横断面形状である。
本実施の形態の衝撃吸収部材1−1における内部部材20−2は、ハット形のチャンネル部材20−2aと底板20−2bとを接合してなるものであり、ハット形のチャンネル部材20−2a及び底板20−2bそれぞれの端部をクランク状に屈曲させて、接合部材21−2を一体に構成して、外部部材部材10の対称線mよりも左方へオフセットした非対称な位置に配置したものである。
なお、本例においても、内部部材20−2はその全周において外部部材10から13mm以上離間して配置したとともに、内部部材20−2の横断面積を外部部材10の横断面積の25%に設定した。
自動車車体の構成部材によっては、他の部材との形状上の要件や結合上の要件から、想定される衝撃荷重の入力方向が一方向に特定されるものがある。このような部材に本発明を適用する場合には、図17に示すように、面内で剛性の向上が必要とされる領域のみに頂点を多数有する内部部材20−2をオフセットして配置することにより、確実に座屈して蛇腹状に変形することにより衝撃エネルギを十分に吸収して、所定の衝撃吸収性能を確保することができるとともに、衝撃吸収部材1−2全体の軽量化を図ることができる。
このように、本発明によれば、想定される衝撃荷重の入力条件に応じて内部部材20の形状や配置を適宜調整することにより、所望の衝撃吸収性能を重量増を最小限に抑制しながら、得ることができる。
(実施の形態4)
図18は、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3の横断面を模式的に示す説明図である。同図に示すように、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3では、曲げ剛性向上部材として、実施の形態1で用いた内部部材20、実施の形態2で用いた内部部材20−1、さらには実施の形態3で用いた内部部材20−2に替えて、平板状の仕切り板40を用いた。
図18に示すように、この仕切り板40は、平板の素材の二つの縁部を互いに逆方向へ曲げる加工を行って二つのフランジ部40a、40bを形成したものである。本例では、荷重Faが入力されることを想定し、この仕切り板40を外部部材40の内部に挿入して仮止めし、図18に示す三角印の位置でスポット溶接等の接合を行うことにより、フランジ部40a、40bを介して外部部材10の辺F−Gと、辺O−Nとをつないだ。
仕切り板40の配置は、想定される荷重の入力方向に対応して決定すればよい。すなわち、上述したように、本例では荷重Faが入力されることを想定したために仕切り板40を外部部材10の辺F−Gと辺O−Nとをつなぐように配置したが、荷重Faの方向とは90°異なる方向から入力される荷重Fbを想定する場合には、仕切り板40を外部部材10の辺B−Cと辺K−Jとをつなぐように配置すればよい。
また、図19は、仕切り板40の別の設置方法を示す説明図である。図19に示すように、仕切り板40に相当する部分40’を備える閉じた断面形状を有する第1の外部部材10aと、開いた断面形状を有する第2の外部部材10bとを製作し、これらを図示するように重ね合わせて、図中における三角印の位置で、例えばスポット溶接等の適当な接合手段によって接合することが例示される。なお、外部部材10の構造や製作方法等は、上述した実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
本実施の形態の衝撃吸収部材1−3は、外部部材10と、この外部部材10の内部に外部部材10の曲げ剛性向上部材として配置される仕切り板40とを備えるため、軸方向の一方の端部から、軸方向と平行な方向のみならず、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれるあらゆる方向へ向けて衝撃荷重を負荷されても、確実に座屈して蛇腹状に変形することにより衝撃エネルギを十分に吸収して、所定の衝撃吸収性能を確保することができる。
図20は、図18に示す横断面形状を有する衝撃吸収部材1−3に、軸方向から衝撃荷重が負荷された場合(条件5)における変位−荷重線図と、軸方向と10度交差する方向から衝撃荷重が負荷された場合(条件6)における変位−荷重線図とをあわせて示すグラフである。
図20にグラフで示すように、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3は、上述した実施の形態1〜3の衝撃吸収部材1、1−1、1−2と同様に外部部材10を有するため、軸方向へ衝撃荷重が負荷されると、蛇腹状に安定して座屈変形でき、衝撃エネルギを十分に吸収することができる。
また、図20にグラフで示すように、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3は、外部部材10の内部に外部部材10の曲げ剛性向上部材として仕切り板40を配置されているために横断面の曲げ剛性が高められていることから、斜め荷重を入力されても、この入力の初期の時点における衝撃吸収部材1−3の倒れ込みが抑制され、軸方向へ安定して蛇腹状に座屈することにより所定の衝撃吸収量を確保でき、安定した衝撃吸収性能を示す。
このように、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3も、上述した実施の形態1〜3の衝撃吸収部材1、1−1、1−2と同様に、外部部材10の内部に曲げ剛性向上部材を有するため、軸方向の一方の端部から、軸方向と平行な方向のみならず、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれるあらゆる方向へ向けて衝撃荷重を負荷されても、確実に座屈して蛇腹状に変形することにより衝撃エネルギを十分に吸収して、所定の衝撃吸収性能を確保することができる。このため、この衝撃吸収部材1−3を、上述したクラッシュボックスに適用してフロントサイドメンバの先端に、例えば締結や溶接等の適宜手段によって装着すれば、車体の安全性の向上と、軽衝突による車体の損傷を略解消することによる修理費の低減とを、ともに図ることができる。
また、本実施の形態を、上述した実施の形態1と比較すると、相違点は曲げ剛性向上部材40、20の横断面形状のみとなる。すなわち、衝撃吸収部材に作用する荷重は実施の形態1の衝撃吸収部材1のほうが大きいが、構造が簡素である点や軽量である点においては、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3のほうが有利である。このため、衝撃吸収部材に個別に要求されるスペックに応じて、曲げ剛性向上部材として仕切り板40を用いるか、あるいは内部部材20を用いるかを適宜決定すればよい。
なお、曲げ剛性向上部材として、実施の形態1では内部部材20を、実施の形態2では内部部材20−1を、実施の形態3では内部部材20−2を、さらに本実施の形態4では仕切り板40を、それぞれ例示した。しかしながら、本発明に係る衝撃吸収部材における曲げ剛性向上部材は、これら4例に限定されるものでないことはいうまでもなく、外部部材の内部に配置されてこの外部部材の蛇腹状の座屈変形を阻害することなくこの外部部材の曲げ剛性を高めることができる部材であれば、その形状や材質等には影響されずに、等しく適用可能である。
次に、本発明を実施例を参照しながらさらに具体的に説明する。
板厚1.0mmの590MPa級の高張力鋼板を素材として折り曲げ加工を行って多角形断面とし、突き合わせ面を溶接することによって、図21に示す横断面形状を有する筒体から成る外部部材10を構成した。外部部材10は、扁平八角形に溝部14を一つ導入し、各形状の寸法諸元は、W=60mm、深さd=11.5mm、辺X5=35mm、X6=35mm、内角α=100°、β=106°である。部材長さは180mmである。
さらに、図22に示すように、外部部材10の内部に、横断面積が外部部材10の横断面積の80%となるように製作した内部部材20を配置し、接合部材21を介して、辺14においてスポット溶接を行って外部部材10と接合することによって、本実施例の衝撃吸収部材1を製作した。
内部部材20の製作に用いた材料は、外部部材10と同様の、厚さ1.0mmの590MPa級の高張力鋼板である。
なお、図19における三角印は、スポット溶接部を示す。また、本例では、外部部材10と内部部材20との間の距離は、外部部材10の全周で13mmが確保されるようにした
また、表1には、外部部材10及び内部部材20それぞれの形状の寸法諸元を示す。
Figure 2006207726
そして、図23に示すように、斜め方向からの荷重入力を実現するために、製作した衝撃吸収部材1を、10°傾いた台40の上に搭載して固定した後、200kgfの重量の錘体41を11.9mの高さから自由落下させることにより衝撃吸収部材1の衝突端側に軸方向に55km/hの速度で衝突させた。
そして、衝撃吸収部材1の圧壊時の変型抵抗を、圧電式のロードセルで測定した。なお、部材長Tはいずれも180mmとし、130mm圧壊までの吸収エネルギを測定した。表2には、初期の最大荷重と70%圧壊時の吸収エネルギを示す。なお、表2には比較のために内部部材20を設けなかった衝撃吸収部材の測定値も併せて示す。
Figure 2006207726
表2に示す結果から、内部部材20を設けることにより、斜め荷重が負荷された場合であっても良好な吸収エネルギを示すことを確認できた。
板厚1.6mmの590MPa級の高張力鋼板を素材として折り曲げ加工を行って多角形断面とし、突き合わせ面を溶接することによって、図18に示す横断面形状を有する衝撃吸収部材1−3を製作した。また比較のため、図18に示す仕切り板40を設けていない衝撃吸収部材も製作した。
そして、これらの衝撃吸収部材をそれぞれ、図23に示す試験装置における10°傾いた台40の上に設置した後、200kgfの重量の錘体41を11.9mの高さからこれらの衝撃吸収部材に対して自由落下させ、55km/hの速度で衝撃吸収部材に軸方向へ衝突させ、衝撃吸収部材の圧壊時の変形抵抗を、圧電式のロードセルで測定した。なお、衝撃吸収部材の長さTはいずれも180mmとし、130mm圧壊までの衝撃エネルギの吸収量を比較した。表3には、初期最大荷重と、70%圧壊時の衝撃エネルギの吸収量(70(%)圧壊吸収エネルギ)とを示す。
Figure 2006207726
表3に示す結果から、仕切り板40を設けることにより、軸方向と交差する方向、例えば軸方向との交差角度が0度超15度以下に含まれるあらゆる方向へ向けて衝撃荷重を負荷されても、確実に座屈して蛇腹状に変形することにより衝撃エネルギを十分に吸収して、所定の衝撃吸収性能を確保することができることがわかる。
実施の形態1の衝撃吸収部材の横断面を模式的に示す説明図である。 FEM数値解析による四角形の横断面を有する外部部材の圧壊の様子を示す説明図であり、図2(a)はフランジを具備する衝撃吸収部材を示し、図2(b)はフランジを具備しない衝撃吸収部材を示す。 扁平な八角形の横断面形状を有する外部部材の圧壊の様子を模式的に示す説明図である。 扁平な八角形の横断面を有する外部部材の長辺部の一部に、台形状に溝部を設けた状況を示す説明図である。 溝部が形成される範囲についての好適条件をFEM解析した結果を示すグラフである。 外部部材の一例の横断面を示す説明図である。 溝の例を示す説明図である。 外部部材の一例の横断面を示す説明図である。 外部部材の入力端側を示す説明図である。 外部部材の断面積を減じる部位の長さ/外部部材の長さと、初期最大荷重比又は70%圧壊時の吸収エネルギ比との関係を示すグラフである。 外部部材の入力端側を示す説明図である。 外部部材の一例の横断面を示す説明図である。 比(h/X)と単位重量当たりの衝突性能(%)との関係を示すグラフである。 溝部を有する外部部材の面部に曲率を付与した場合の頂点及び面部の弾性座屈によるたわみの状況を模式的に示す説明図であり、図14(a)は外側に凸となる曲率を付与した場合を示し、図14(b)は内側に凹となる曲率を付与した場合を示す。 内部部材の効果についての試験結果を示すグラフである。 実施の形態2の衝撃吸収部材の横断面を模式的に示す説明図である。 実施の形態3の衝撃吸収部材の横断面を模式的に示す説明図である。 実施の形態4の衝撃吸収部材の横断面を模式的に示す説明図である。 仕切り板の別の設置方法を示す説明図である。 図18に模式的に示す横断面を有する衝撃吸収部材に、軸方向から衝撃荷重が負荷された場合(条件5)における変位−荷重線図と、軸方向と10度交差する方向から衝撃荷重が負荷された場合(条件t6)における変位−荷重線図とをあわせて示すグラフである。 実施例における外部部材の横断面形状を示す説明図である。 実施例における衝撃吸収部材の横断面形状を示す説明図である。 試験装置の構成を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 衝撃吸収部材
10 外部部材
20 内部部材
40 仕切り板

Claims (6)

  1. 筒体からなる外部部材と、該外部部材の内部に配置されて曲げ剛性を向上する曲げ剛性向上部材とを少なくとも備え、前記筒体の軸方向の一方の端部から該軸方向又は該軸方向と交差する方向へ向けて衝撃荷重を負荷されて座屈することにより蛇腹状に変形することによって衝撃エネルギを吸収するための衝撃吸収部材であって、
    前記外部部材の軸方向の少なくとも一部の横断面形状は、複数の頂点を有する閉断面であり、該閉断面の外側にフランジを具備しないとともに、前記複数の頂点のうちの一部を直線で連結して得られる最大の輪郭からなる基本断面の少なくとも一の辺の一部であってかつ該辺の端点を除く領域が、前記輪郭の内側へ凹んだ溝部を形成するように、屈曲して形成されること
    を特徴とする衝撃吸収部材。
  2. 前記曲げ剛性向上部材は、前記軸方向の横断面形状が複数の頂点を有する閉断面を有する内部部材である請求項1に記載された衝撃吸収部材。
  3. 前記内部部材と前記外部部材との間の距離は13mm以上であるとともに、前記内部部材の横断面積は前記外部部材の横断面積の20%以上である請求項2に記載された衝撃吸収部材。
  4. 前記曲げ剛性向上部材は、板状部材である請求項1に記載された衝撃吸収部材。
  5. 前記曲げ剛性向上部材は、前記外部部材の前記複数の頂点を含まない領域を介して、前記外部部材の内面に固定される請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
  6. 前記溝部は、該溝部を有する前記辺の幅をaとし、一つの前記溝部の開口幅をWiとし、前記外部部材の板厚をtとし、前記辺に設けられた前記溝部の個数をnとし、前記辺に設けられたn個の前記溝部によって分割されて残った(n+1)個の残余の領域のそれぞれの幅をXjとした場合に、下記(1)式及び(2)式を満足するように、設けられる請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された衝撃吸収部材。
    4t<Wi<65t i=1〜n ・・・・・(1)
    4t<Xj<65t j=1〜n+1 ・・・・・(2)
    ただし、ΣWi+ΣXj=aであり、かつΣWiは、幅aの辺に形成された溝部の開口幅Wiの総和であり、溝部の開口幅は、幅aの辺と溝部の輪郭線との2つの交点の間の距離であり、ΣXjは前記幅Xjの総和である。
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