JP2006206640A - 水性インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも着色剤と水とを含有する水性インキ組成物であって、更に溶剤として(a)低級アルコールと(b)グリコール類とを含有し、該低級アルコールとグリコール類の合計含有量がインキ組成物全量に対して10〜18重量%であり、その含有比率〔(b)/(a)〕が重量比で0.9〜9であることを特徴とする水性インキ組成物。
【選択図】なし
Description
このような筆記具用の水性インキ組成物において、特殊なインキを除いては、−10℃の低温下ではインキが凍結してしまい筆記不良を起こしてしまうことがある。
また、グリコール類を単独で水性インキ組成物にノンドライ剤、インキ安定剤として用いることがあるが、インキが凍結しないようにするにはその含有量をインキ中へ10重量%以上と多くする必要があるが、この場合には、描線乾燥性の悪化を招くなどの課題を生じる。
(1) 少なくとも顔料と水とを含有する水性インキ組成物であって、更に溶剤として(a)低級アルコールと(b)グリコール類とを含有し、該低級アルコールとグリコール類の合計含有量がインキ組成物全量に対して10〜18重量%であり、その含有比率〔(b)/(a)〕が重量比で0.9〜9であることを特徴とする水性インキ組成物。
(2) インキ粘度が30mPa・s/50rpm以下である上記(1)記載の水性インキ組成物。
(3) 軸筒内のインキ吸蔵体に含浸された上記(1)又は(2)記載の水性インキ組成物が視認性を有するインキ誘導管を介して筆記部となるペン先に供給されると共に、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを軸筒に形成した視認部を介して上記インキ誘導管を視認することにより検知することを特徴とする筆記具。
また、本発明の筆記具によれば、−10℃下の極低温化にあってもインキは凍結防止性能に優れるので、極低温化にあってもインキ誘導管を視認することによりインキ終了サインを簡単に検知することができると共に、筆記性にも優れた筆記具が提供される。
本発明の水性インキ組成物は、少なくとも顔料と水とを含有する水性インキ組成物であって、更に溶剤として(a)低級アルコールと(b)グリコール類とを含有し、該低級アルコールとグリコール類の合計含有量がインキ組成物全量に対して10〜18重量%であり、その含有比率〔(b)/(a)〕が重量比で0.9〜9であることを特徴とするものである。
また、(b)成分のグリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ブタンジオールなどの少なくとも1種(各単独又は2種以上の組み合わせ、以下同様)が挙げられる。
これらの中で、好ましくは、本発明の効果の更なる向上、コスト、安全性、インキ安定性の点から、エタノールとプロピレングリコール、エタノールとエチレングリコールとの組み合わせが望ましい。
本発明では、(a)成分の低級アルコールと、(b)成分のグリコール類との合計含有量は、インキ組成物全量に対して10〜18重量%とし、かつ、その含有比率〔(b)/(a)〕を重量比で0.9〜9に設定することが必要であり、好ましくは、更なる本発明の向上の点から、その合計含有量を10〜15重量%、並びに、その含有比率〔(b)/(a)〕を重量比で1.4〜5とすることが望ましい。
これらの着色剤は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの着色剤の含有量は、インキの描線濃度に応じて適宜増減することが可能であるが、インキ組成物全量に対して、0.1〜40重量%程度とすることが好ましい。
これらの水の含有量は、インキ組成物全量に対して、30〜80重量%とすることが好ましい。
この水の含有量が30重量%未満であると、インキの吐出性が劣る場合があり、筆記流量の低下を招くことがある。一方、80重量%を越えてより多いと、耐乾燥性の低下や筆記感の低下、インキの経時安定性の低下を招くことがある。
顔料の分散樹脂としては、例えば、スチレンマレイン酸のアンモニウム塩、スチレンアクリル酸のアンモニウム塩などの水溶性高分子など;粘度調整剤としては、例えば、アクリル系合成高分子、天然ガム、セルロース、多糖類等;水溶性液体媒体としては、例えばグリセリン、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物およびトリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド付加物およびこれらの混合物など;界面活性剤としては、カリ石けん、リシノール酸カリウム、フッ素系界面活性剤など;防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、サポニン類等;pH調整剤としては水酸化カリウム、リン酸カリウム、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等;防腐・防菌剤としてはナトリウムオマジン、1,2−ベンゾイソチアゾリン等をそれぞれ必要に応じて適宜量使用することができる。
このインキ粘度が30mPa・s/50rpm超過では、インキ流量が極端に少なくなり、好ましくない。
すなわち、本発明の水性インキ組成物は、上述した各成分をミキサー等によって混合攪拌することによって、各種用途の水性インキ組成物、例えば、マーキングペン用インキ、サインペン用インキなどを製造することができる。
また、本発明の水性インキ組成物のpHは、使用性、安全性、インキ自身の安定性、防菌力の点からpH調整剤などにより、7〜11に調整されることが好ましく、更に好ましくは、8〜10とすることが望ましい。
特に、本発明の水性インキ組成物は、繊維芯等からなるペン先を備えた中綿式の筆記具に好適に用いることができ、殊に、インキの終了サインを視認することができるペン先を備えた筆記具、具体的には、軸筒内のインキ吸蔵体に含浸された上記構成の水性インキ組成物が視認性を有するインキ誘導管を介して筆記部となるペン先に供給されると共に、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを軸筒に形成した視認部を介して上記インキ誘導管を視認することにより検知する筆記具に好適に用いることができる。
図1は、本発明の筆記具の実施形態の一例を示すものである。本実施形態の筆記具Aは、図1に示すように、先軸20に取り付けられた繊維芯からなるペン先10と、尾栓部21を一体に有する後軸22からなる軸筒(筆記具本体)23と、軸筒23内に収容されるインキ吸蔵体(図示せず)、該インキ吸蔵体に接続される中継芯及び上記インキ吸蔵体及び中継芯を保持する保持部材(図示せず)と、インキ誘導管24とを備え、インキ吸蔵体に含浸された本発明の水性インキ組成物が中継芯を介して上記インキ誘導管24内をとおり、ペン先10に浸透して筆記が可能となるものである。
このように構成される筆記具Aでは、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを先軸20に形成した視認部を介して視認性を有するインキ誘導管24を視認することにより検知することができるものであるので、従来のインキではインキが一度凍結した場合には、インキ誘導管が機能しなくなり筆記ができなくなることがあるが、本発明の水性インキ組成物を用いれば、−10℃下の極低温化にあっても凍結防止性能に優れるので、筆記不良等を起こすことなく使用でき、ぺン先でのインキのカスレがペン先での乾燥によるものか、または、インキの消費による本来の終了によるのかを視覚により明確に、かつ簡単に判断することができるものとなる。
すなわち、低級アルコールとグリコール類の併用により、インキを不凍液化でき、しかも、インキが紙の裏面に浸透するよりも早く低級アルコールが蒸発する結果、溶剤分が少なくなり描線乾燥性にも優れた機能を発現しているものと推察される。
下記表1に示す配合組成により各水性インキ組成物を調製した。なお、インキのpH〔25℃、HORIBA pH/ION METER F−23(HORIBA社製)により測定〕は、9〜10に調整されたものである。
得られた各水性インキ組成物について、下記測定方法により、インキ粘度を測定すると共に、下記各評価方法により、−10℃での筆記性、インキ経時安定性、裏抜け性、乾燥性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
E型粘度計(東機産業社製)により、25℃、50rpmでの条件下において測定した。
得られた各水性インキ組成物を中綿式筆記具(三菱鉛筆社製、インキ終了サインを視認により確認できる筆記具、PWB−120、以下同様)に搭載し、該筆記具を−10℃環境下に24時間以上保管し、−10℃条件下で筆記して、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:カスレなく、良好な筆記性能を有する。
○:ややカスレ気味であるが、筆記性能に問題のないレベル。
△:カスレ気味であり、筆記性能にやや問題があるレベル。
×:筆記不良。
得られた各水性インキ組成物をガラス製サンプルに30g収容して、50℃に2週間保存した後、粘度変化、粒子径変化を夫々粘度計(E型粘度計、東機産業社製)、粒度分布測定機(N4プラス、COULTER社製)により下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:保管前とほとんど変化なし。
○:若干変化あり(若干粘度及び粒子径アップ)。
△:変化あり(粒子径アップ、増粘)。
×:大きな変化あり(ゲル化または沈殿物あり)。
得られた各水性インキ組成物を中綿式筆記具(三菱鉛筆社製、PWB−120)に搭載し、該筆記具を用いて、再生PPCに筆記して、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:紙の裏面にインキが浸透していない。
○:紙の裏面に若干インキが浸透。
△:紙の裏面にインキが浸透。
×:紙の裏面に筆記された箇所が全て浸透。
得られた各水性インキ組成物を中綿式筆記具(三菱鉛筆社製、PWB−120)に搭載し、該筆記具を用いて、PETに筆記(25℃/65%環境下)して、下記評価基準で描線の乾燥性を評価した。
評価基準:
◎:90秒未満で描線乾燥
○:90秒以上〜150秒未満で描線乾燥
△:150秒以上〜270秒未満で描線乾燥
×:270秒以上で描線乾燥
これに対して、比較例を個別的に見ると、比較例1及び2は、(b)成分のグリコール類を含有しない場合であり、比較例2は(a)成分の低級アルコールを含有しない場合であり、比較例3〜5は、(a)成分の低級アルコール及び(b)成分のグリコール類を含有しても合計含有量が6重量%(<10重量%)、20重量%(>18重量%)、8重量%(<10重量%)となる場合であり、これらの場合、本発明の効果が発揮できないことが判った。
10 ペン先
20 先軸
23 軸筒
24 インキ誘導管
Claims (3)
- 少なくとも顔料と水とを含有する水性インキ組成物であって、更に溶剤として(a)低級アルコールと(b)グリコール類とを含有し、該低級アルコールとグリコール類の合計含有量がインキ組成物全量に対して10〜18重量%であり、その含有比率〔(b)/(a)〕が重量比で0.9〜9であることを特徴とする水性インキ組成物。
- インキ粘度が30mPa・s/50rpm以下である請求項1に記載の水性インキ組成物。
- 軸筒内のインキ吸蔵体に含浸された請求項1又は2記載の水性インキ組成物が視認性を有するインキ誘導管を介して筆記部となるペン先に供給されると共に、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを軸筒に形成した視認部を介して上記インキ誘導管を視認することにより検知することを特徴とする筆記具。
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