JP2006205904A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】主溝のグルーブクラックを抑制できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する主溝2と、主溝2により区画されて成るショルダーリブ3と、主溝2の溝底に形成される突起部4とを含み構成される。そして、突起部4によりタイヤ幅方向に分断された主溝部分21、22のうち、タイヤ幅方向外側に位置する主溝部分21の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分22の溝深さGに対してG1≦0.90×Gとなるように、構成されること。
【選択図】 図1

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、主溝のグルーブクラックを抑制できる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤでは、ショルダーリブを区画する主溝の溝底にグルーブクラックが発生するという課題がある。このグルーブクラックは、ショルダー部の走行成長(使用によるタイヤ径の拡大)によりトレッド部の外溝(ショルダーリブを区画する主溝)が拡幅され、その溝底における接地時と非接地時との歪みの振幅が大きくなることにより、発生する。また、グルーブクラックは、摩耗中期(摩耗率が30[%]〜60[%]程度)にて発生し易く、また、周方向あるいは溝深さ方向に成長し易い。
かかる課題において、従来の空気入りタイヤには、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の空気入りタイヤは、一対のビードコア間に跨がってラジアル方向に配置したコードによるプライからなるカーカスを骨格とし、該カーカスの径方向外側に、少なくとも2層のベルトおよびトレッドを順に配置し、該トレッドの表面に複数本の周方向溝を有する。そして、従来の空気入りタイヤは、タイヤショルダー部に隣接する周方向溝のタイヤ径方向内側に、タイヤの赤道面に沿って延びる補強素子による周方向ベルト層の少なくとも1層を配置し、当該周方向溝の底部にタイヤ径方向外側に延びる突起を設けたことを特徴とする。従来の空気入りタイヤは、かかる構成により、溝底におけるグルーブクラックの発生を抑制していた。
特開2001−63315号公報
この発明は、主溝のグルーブクラックを抑制できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する主溝と、前記主溝により区画されて成るショルダーリブと、前記主溝の溝底に形成される突起部とを含み、且つ、前記突起部によりタイヤ幅方向に分断された前記主溝の部分(以下、主溝部分という。)のうち、タイヤ幅方向外側に位置する主溝部分の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分の溝深さGに対してG1≦0.90×Gとなるように構成されることを特徴とする。
この空気入りタイヤでは、突起部の両側の主溝部分が相互に異なる溝深さを有し、且つ、タイヤ幅方向外側の主溝部分の溝深さG1とタイヤ幅方向内側の主溝部分の溝深さGとがG1/G≦0.90(G1≦0.90×G)となるように構成される。かかる構成とすれば、主溝部分の溝深さG1,Gが等しい(G1/G=1.0)構成と比較して、耐グルーブクラック性が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ幅方向外側の前記主溝部分の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側の前記主溝部分の溝深さGに対してG1≧0.50×Gとなるように構成される。
この空気入りタイヤでは、主溝部分の溝深さ比G1/GがG1/G≧0.50であるので、タイヤ幅方向内側の主溝が開き難いという利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記主溝部分の溝幅が4[mm]以下である。
この空気入りタイヤでは、主溝部分の溝幅が4[mm]以下となるように、突起部が主溝に対して形成されるので、主溝部分における石などの異物の噛み込みが防止される。これにより、異物の噛み込みに起因するリブティアが抑制される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ転動時にてショルダーリブが接地したときに、前記突起部が接地する。
この空気入りタイヤでは、タイヤ転動時にてショルダーリブが接地したときに、突起部が接地するので、突起部がショルダーリブの犠牲リブとして機能する。これにより、ショルダーリブの偏摩耗が効果的に低減される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突起部が突起状の先端形状を有する。
この空気入りタイヤでは、タイヤ子午線方向の断面視にて、突起部が突起状の先端形状を有するので、接地時における摩擦エネルギーが突起形状の先端に集中して、突起部が積極的に磨耗する。これにより、突起部がショルダーリブの犠牲リブとしてより好適に機能するので、ショルダーリブの偏磨耗がより効果的に抑制される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記主溝部分が、タイヤ子午線方向の断面視にて、溝深さ方向に向かって突起部側に屈曲する。
この空気入りタイヤでは、主溝部分が、タイヤ子午線方向の断面視にて、溝深さ方向に向かって突起部側に屈曲する。かかる構成では、主溝部分が突起部側に屈曲している分だけ、隣接する陸部(ショルダーリブが含まれる。)が主溝部分の溝深さ方向に拡幅される。これにより、陸部の剛性が増加するので、陸部の偏磨耗がより効果的に抑制される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記主溝部分が、溝深さ方向に向かって溝幅を狭める。
この空気入りタイヤでは、主溝部分が、溝深さ方向に向かって溝幅を狭めるように構成されるので、タイヤ加硫後にて、主溝部分を形成するための金型をモールドから容易に引き抜き得る利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、トレッド部の接地面積に対する主溝の面積比率が20[%]以上である。
この空気入りタイヤでは、トレッド部の接地面積に対する主溝(主溝部分が含まれる。)の面積比率が20[%]以上である。これにより、タイヤ接地時におけるトレッド部の排水性能が確保されるので、空気入りタイヤのウェット性能が必要十分に維持される利点がある。
この発明にかかる空気入りタイヤによれば、突起部の両側の主溝部分が相互に異なる溝深さを有し、且つ、タイヤ幅方向外側の主溝部分の溝深さG1とタイヤ幅方向内側の主溝部分の溝深さGとがG1/G≦0.90(G1≦0.90×G)となるように構成されるので、主溝部分の溝深さG1,Gが等しい(G1/G=1.0)構成と比較して、耐グルーブクラック性が向上する利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。
図1および図2は、この発明の実施例1にかかる空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図(図1)およびタイヤ子午線方向の断面図(図2)である。図3は、図1に記載したトレッド部の要部を示す説明図である。図4〜図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。図7は、この発明にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の主溝2と、これらの主溝2により区画されて成るショルダーリブ3とを含み構成される。したがって、この空気入りタイヤ1は、リブを基調としたトレッドパターン(リブ基調パターン)を有する(図1および図2参照)。
また、空気入りタイヤ1は、突起部4を有する(図1〜図3参照)。突起部4は、複数の主溝2のうち、トレッド展開幅TDWに対してタイヤ幅方向外側の1/4TDWの範囲にある左右の主溝2(、2)に対して形成される。具体的には、突起部4は、ショルダーリブ3に隣接する主溝2に対して形成される。また、突起部4は、主溝2の溝内に形成されており、トレッド部の平面視にて、ショルダーリブ3(主溝2)に沿ってタイヤ周方向に連続的に(リブ状に)形成されている。また、突起部4は、主溝2の略中央に位置しており、一つの主溝2を二つの部分(以下、主溝部分という。)21,22にタイヤ幅方向に分断している。このため、突起部4は、主溝2内に形成された一本の幅狭リブ(細リブ)のように見える。また、見方を変えれば、タイヤ周方向に並走する一対の細溝(主溝部分21,22)が、トレッド部の陸部に形成されているようにも見える。
また、突起部4は、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ幅方向外側(ショルダーリブ3側)に位置する主溝部分21の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側(センタークラウン側)に位置する主溝部分22の溝深さGよりも浅くなるように、形成される(図3参照)。具体的には、主溝部分21、22の溝深さG1,Gが、G1≦0.90×Gとなるように、突起部4が形成される。なお、タイヤ幅方向外側の主溝部分22の溝深さGは、センタークラウン側にある他の主溝2の溝深さGと等しい。また、かかる溝深さGは、突起部4を有さない(ショルダーリブ3を区画する主溝2に突起部が形成されていない場合における)主溝2の溝深さでもある。
また、突起部4は、タイヤ子午線方向の断面視にて、タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分22の溝幅W2が、タイヤ幅方向外側に位置する主溝部分21の溝幅W1に対して1.0×W1≦W2≦2.0×W1となるように、形成される(図3参照)。
[効果]
この空気入りタイヤ1では、主溝2の溝底に突起部4が形成されているので(図3参照)、主溝2に突起部が形成されていない構成と比較して、溝底における耐グルーブクラック性が向上する利点がある(図7の従来例および発明例1参照)。
また、この空気入りタイヤ1では、突起部4により分断された主溝部分21、22のうちタイヤ幅方向外側に位置する主溝部分21の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分22の溝深さGに対してG1≦0.90×Gとなるように、構成されている(図3参照)。言い換えると、主溝2の溝底に突起部4が形成されており、この突起部4に対してタイヤ幅方向外側に位置する主溝部分21の溝深さG1と、タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分22の溝深さGとの比G1/Gが、G1/G≦0.90となるように構成される。かかる構成とすれば、主溝部分21、22の溝深さG1,Gが等しい(G1/G=1.0)構成と比較して、耐グルーブクラック性が向上する利点がある(図7の比較例および発明例5参照)。また、ショルダーリブ3の耐リブティア性および耐偏摩耗性が向上する利点がある。
[適用例]
なお、この空気入りタイヤ1は、特に、トラックやバス等の重荷重用空気入りタイヤとして使用されることが好ましい。重荷重用空気入りタイヤでは、一般のタイヤと比較してより大きな荷重が負荷されるため、グルーブクラックの発生が特に顕著である。この点において、この空気入りタイヤ1は、グルーブクラックの発生を効果的に低減できるので、かかる重荷重用空気入りタイヤとして使用された場合に、特に有益である。
また、グルーブクラックは、リブを基調としたトレッドパターン(リブ基調パターン)を有すると共に扁平率が70[%]〜60[%]である空気入りラジアルタイヤにおいて発生し易い。したがって、この空気入りタイヤ1は、かかる空気入りラジアルタイヤ(小扁平タイヤ)に対して適用されることが好ましい。これにより、より顕著な耐グルーブクラック性の向上効果を得られる利点がある。
[変形例1]
また、この空気入りタイヤ1では、突起部4のタイヤ幅方向外側に位置する主溝部分21の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分22の溝深さGに対して、G1≧0.50×Gとなるように構成されることが好ましい。言い換えると、主溝部分21、22の溝深さ比G1/GがG1/G≧0.50であることが好ましい。かかる構成では、主溝部分21、22間の開口し易さのバランスが好適に確保されるので(タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分22の開口し易さが低減されるので)、タイヤ転動時における溝底の振幅が低減するという利点がある。また、主溝部分21、22の溝深さ比G1/GがG1/G≧0.70であることがより好ましい。これにより、WET性が維持される利点がある。
[変形例2]
また、この空気入りタイヤ1では、主溝部分21,22の溝幅W1,W2がいずれも4[mm]以下となるように、突起部4が主溝2に対して形成されることが好ましい(図3参照)。かかる構成では、突起部4が主溝2の開口部を略塞いでいるので、主溝2(主溝部分21,22)における石などの異物の噛み込みが防止される。これにより、異物の噛み込みに起因するリブティアが抑制される利点がある。なお、主溝部分21,22の溝幅W1は、4[mm]以下であることが好ましく、2[mm]以下であることがより好ましい。これにより、主溝部分21,22での異物の噛み込みがより効果的に防止される利点がある。
[変形例3]
また、この空気入りタイヤ1では、主溝部分21,22の溝幅W1,W2が、いずれも1[mm]以上となるように、突起部4が主溝2に対して形成されることが好ましい(図3参照)。これにより、溝底にクラックが入り難いという利点がある。
[変形例4]
また、この空気入りタイヤ1では、ショルダーリブ3に隣接する主溝2に対して突起部4が形成されている(図1参照)。ショルダーリブ3に隣接する主溝2ではグルーブクラックの発生が顕著なので、かかる構成とすれば、耐グルーブクラック性がより顕著に向上する利点がある。しかし、これに限らず、突起部4は、ショルダーリブ3を区画する主溝2以外の主溝2に対して形成されても良い(図示省略)。
[変形例5]
また、この空気入りタイヤ1では、突起部4がショルダーリブ3に沿ってタイヤ周方向に連続的に(リブ状に)形成されている(図1参照)。かかる構成では、突起部4が、ショルダーリブ3の犠牲リブとして機能する。したがって、突起部4がタイヤ周方向に不連続に(ブロック状に分断されて)形成されている構成と比較して、ショルダーリブ3の偏磨耗が効果的に抑制される点で好ましい。しかし、これに限らず、突起部4は、タイヤ周方向に不連続に形成されても良い(図示省略)。
[変形例6]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ転動時にてショルダーリブ3が接地したときに、突起部4が接地するように構成されることが好ましい。具体的には、突起部4の先端がトレッド部の略プロファイルライン上に位置するように、構成されることが好ましい(図3参照)。言い換えると、突起部4の先端がショルダーリブ3の踏面に対して略面一となるように、構成されることが好ましい。さらに詳しくは、突起部4の先端とトレッド部のプロファイルラインとの距離が±0.1[mm]以下の範囲にあるように、構成されることが好ましい。かかる構成では、突起部4(の先端)がショルダーリブ3の接地時にて接地して、ショルダーリブ3の犠牲リブとして機能する。これにより、ショルダーリブ3の偏摩耗が効果的に低減される利点がある。
[変形例7]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、突起部4の先端形状が突起形状を有することが好ましい(図4参照)。具体的には、タイヤ子午線方向の断面視にて、突起部4の先端形状がテーパ形状を有する凸型の断面形状に形成されることが好ましい。かかる構成では、接地時における摩擦エネルギーが突起形状の先端に集中して、突起部4が積極的に磨耗する。これにより、突起部4がショルダーリブ3の犠牲リブとしてより好適に機能するので、ショルダーリブ3の偏磨耗がより効果的に抑制される利点がある。
[変形例8]
また、この空気入りタイヤ1では、主溝部分21,22が、タイヤ子午線方向の断面視にて、溝深さ方向に向かって突起部4側に屈曲するように構成されることが好ましい(図5参照)。かかる構成では、主溝部分21,22が突起部4側に屈曲している分だけ、隣接する陸部(ショルダーリブ3が含まれる。)が主溝部分21,22の溝深さ方向に拡幅される。これにより、陸部の剛性が増加するので、陸部の偏磨耗がより効果的に抑制される利点がある。なお、少なくともショルダーリブ3側の主溝部分22が溝深さ方向に向かって突起部4側に屈曲する構成が好ましい。これにより、ショルダーリブ3の剛性が増加するので、ショルダーリブ3の偏磨耗がより効果的に抑制される利点がある。
[変形例9]
また、この空気入りタイヤ1では、主溝部分21,22が、溝深さ方向に向かって溝幅を狭めるように構成されることが好ましい(図6参照)。これにより、タイヤ加硫後にて、主溝部分21,22を形成するための金型をモールドから容易に引き抜き得る利点がある。
[変形例10]
また、この空気入りタイヤ1では、トレッド部の接地面積に対する主溝2(主溝部分21,22が含まれる。)の面積比率が20[%]以上であることが好ましい(図示省略)。すなわち、主溝2の開口面積がトレッド部の接地面積の20[%]以上を占めるように、溝と陸部との比が規定されることが好ましい。これにより、タイヤ接地時におけるトレッド部の排水性能が確保されるので、空気入りタイヤ1のウェット性能が必要十分に維持される利点がある。
[性能試験]
この実施例1では、条件が異なる複数の空気入りタイヤについて、耐グルーブクラック性、耐リブティア性、耐偏摩耗性およびウェット性(WET性)の性能試験が行われた(図7参照)。この性能試験では、タイヤサイズ315/60R22.5の空気入りタイヤが、JATMA規定の標準リムに組み込まれて標準空気圧を負荷され、試験車両である2−Dトラクター車のSTEER軸に装着される。そして、試験車両が舗装路100[%]のテストコースを15万[km]走行する。
耐グルーブクラック性にかかる性能試験では、走行後における各空気入りタイヤについて、ショルダーリブを区画する主溝に発生したグルーブクラックの総長さ(個々の長さの総和)が測定され、この測定値に基づいて比較例を基準(100)とした指数値により評価が行われる。この指数値は、大きいほど好ましい。また、指数値が+5以上あれば、有益な効果が得られていると判断される。
耐リブティア性にかかる性能試験では、走行後における各空気入りタイヤについて、総長さ(個々の長さの総和)が測定され、この測定値に基づいて比較例を基準(100)とした指数値により評価が行われる。この指数値は、大きいほど好ましい。また、指数値が+5以上あれば、有益な効果が得られていると判断される。
耐偏摩耗性にかかる性能試験では、走行後における各空気入りタイヤについて、ショルダー部の肩落ち磨耗量が測定され、この測定値に基づいて比較例を基準(100)とした指数値により評価が行われる。この指数値は、大きいほど好ましい。また、指数値が+5以上あれば、有益な効果が得られていると判断される。
WET性のかかる性能試験では、散水された舗装路を試験車両が60[km/h]の速度にて走行して急制動を行った場合における制動距離が測定され、この測定値に基づいて比較例を基準(100)とした指数値により評価が行われる。この指数値は、大きいほど好ましい。また、指数値が±5以内あれば、WET性が同程度と判断される。
この性能試験において、従来例は、主溝2に突起部4が形成されていない空気入りタイヤである。一方、比較例および発明例1〜7は、主溝2に突起部4が形成されている空気入りタイヤである。試験結果に示すように、主溝2に突起部4が形成されていることにより、耐グルーブクラック性、耐リブティア性および耐偏摩耗性が向上している。
また、比較例と発明例1〜3とは、主溝部分21、22の溝深さ比G1/Gが相異する。試験結果に示すように、溝深さ比G1/GがG1/G≦0.90(G1≦0.90×G)となるように構成されることにより、耐グルーブクラック性、耐リブティア性および耐偏摩耗性がより向上することが分かる。
さらに、発明例1〜3同士では、溝深さ比G1/Gが相異する。試験結果に示すように、溝深さ比G1/Gは、G1/G≧0.70であることが好ましい。これにより、WET性が比較例と同レベル(±5以内)に維持される利点がある。
つぎに、発明例4〜7同士では、主溝部分21、22の溝幅比W2/W1が相異する。試験結果に示すように、1.0≧W2/W1≧2.0であることが好ましい。これにより、耐リブティア性が向上する利点がある。なお、かかる構成では、主溝部分21、22の溝幅W1、W2は、4[mm]以下であることを要する。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤは、主溝のグルーブクラックを抑制できる点で有用である。
この発明の実施例1にかかる空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。 この発明の実施例1にかかる空気入りタイヤのトレッド部を示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図1に記載したトレッド部の要部を示す説明図である。 図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 この発明にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
2 主溝
21、22 主溝部分
3 ショルダーリブ
4 突起部
41 接地面
42 最大幅部
W1,W2 主溝部分の溝幅
C 突起部の接地幅
X 突起部の幅
ga,gb 段差
W 主溝の幅
α 傾斜角

Claims (8)

  1. タイヤ周方向に延在する主溝と、前記主溝により区画されて成るショルダーリブと、前記主溝の溝底に形成される突起部とを含み、且つ、
    前記突起部によりタイヤ幅方向に分断された前記主溝の部分(以下、主溝部分という。)のうち、タイヤ幅方向外側に位置する主溝部分の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側に位置する主溝部分の溝深さGに対してG1≦0.90×Gとなるように、構成されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ幅方向外側の前記主溝部分の溝深さG1が、タイヤ幅方向内側の前記主溝部分の溝深さGに対してG1≧0.50×Gとなるように構成される請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記主溝部分の溝幅が4[mm]以下である請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ転動時にてショルダーリブが接地したときに、前記突起部が接地する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ子午線方向の断面視にて、前記突起部が突起状の先端形状を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記主溝部分が、タイヤ子午線方向の断面視にて、溝深さ方向に向かって突起部側に屈曲する請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記主溝部分が、溝深さ方向に向かって溝幅を狭める請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. トレッド部の接地面積に対する主溝の面積比率が20[%]以上である請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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