JP2002103918A - 空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した偏摩耗抑制効果の得られる空気入り
タイヤを提供すること。 【解決手段】 タイヤ幅方向最外側の周方向溝１６の溝
底に偏摩耗抑制用の偏摩耗犠牲突起２８を設ける。偏摩
耗犠牲突起２８の上部に、周方向に沿って延びるサイプ
３０を設けて剛性を低下させる。悪路等を走行した際、
偏摩耗犠牲突起２８と周方向溝１６の溝壁との間の溝部
分に石３２を噛み込むことがあるが、偏摩耗犠牲突起２
８の上部の剛性がサイプ３０によって低減されているの
で、石３２の保持力は弱く、噛み込んだ石３２を走行中
に容易に排出することができる。したがって、安定した
偏摩耗の抑制効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トレッドに周方向
に沿って延びる周方向溝を備え、周方向溝の溝底に偏摩
耗犠牲突起を設けた空気入りタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の空気入りタイヤ、特にトレッド部
に周方向に沿った溝（周方向溝）が形成された重荷重用
用の空気入りタイヤにおいて、ショルダー側の陸部に偏
摩耗を生じないように、また、図６（Ａ）に示すよう
に、ショルダー側の陸部に生じた摩耗をセンター側へ進
展させないようにするための偏摩耗犠牲突起２８をショ
ルダー側の周方向溝１６の溝底に設けた空気入りタイヤ
がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、周方向
溝１６の溝底に偏摩耗犠牲突起２８を設けると、図６
（Ｂ）に示すように、偏摩耗犠牲突起２８と周方向溝１
６の溝壁との間に石３２を噛み込む問題がある。

【０００４】石３２が噛み込んだままであると、石３２
の周辺の偏摩耗犠牲突起２８の剛性が変化したり、偏摩
耗犠牲突起２８が変形したままの状態となり、適性な偏
摩耗抑制効果が得られなくなる問題がある。また、石３
２を噛み込んだままでは、タイヤとしての見栄えも悪
い。

【０００５】石３２を噛むのは、狭い溝部分での石３２
の保持力が大きくなることが問題である。

【０００６】偏摩耗犠牲突起１８の剛性が高いことによ
り、石３２の保持力が高くなることから、偏摩耗犠牲突
起２８の剛性を下げることが必要となる。

【０００７】そこで、偏摩耗犠牲突起２８の剛性を下げ
るために、偏摩耗犠牲突起２８の幅を薄くすることが考
えられるが、石噛みの保持力を低下させることはできる
が、偏摩耗犠牲突起２８の本来の機能であるブレーキン
グフォースの集中に必要な剛性を確保することが出来な
くなる。

【０００８】特に、サイドフォース入力時に偏摩耗犠牲
突起２８の変形が大きくなるため、偏摩耗犠牲突起２８
の重要な機能である隣接陸部との段差（径差）を保った
摩耗ができなくなり、偏摩耗抑制機能を果たさなくな
る。

【０００９】本発明は上記事実を考慮し、安定した偏摩
耗抑制機能を得ることのできる空気入りタイヤを提供す
ることが目的である。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、トレッドに周方向に沿って延びる周方向溝を備え、
前記周方向溝の溝底に、頂部の位置が踏面より低く設定
され、接地時に路面と接触する偏摩耗犠牲突起を設けた
空気入りタイヤであって、前記偏摩耗犠牲突起の上部に
は、剛性低減用の剛性低下手段が設けられていることを
特徴としている。

【００１１】次に、請求項１に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。

【００１２】トレッドの径と偏摩耗犠牲突起の頂部での
径とに径差があるので、空気入りタイヤが回転して路面
と接地した時に、偏摩耗犠牲突起が路面に対して引きず
られて摩耗し、該周方向溝に隣接する偏摩耗を抑制す
る。また、陸部の偏摩耗がセンター側に進展することも
抑制する。

【００１３】複数の周方向溝をトレッドに備えた空気入
りタイヤの場合、特に、ショルダー側の陸部に偏摩耗を
生じ易い。

【００１４】したがって、ショルダー側の陸部を区画す
るタイヤ幅方向最外側の周方向溝の溝底に偏摩耗犠牲突
起を設ければ、ショルダー側の陸部の偏摩耗を効果的に
抑制でき、また、ショルダー側の陸部の偏摩耗がセンタ
ー側に進展することを効果的に抑制できる。

【００１５】ところで、悪路等を走行した際、偏摩耗犠
牲突起と周方向溝の溝壁との間の溝部分に石を噛み込む
ことがあるが、偏摩耗犠牲突起の上部の剛性が剛性低下
手段によって低減されているので、石の保持力（挟持
力）は弱く、噛み込んだ石を走行中に容易に排出するこ
とができる。したがって、安定した偏摩耗の抑制効果が
得られる。

【００１６】また、偏摩耗犠牲突起全体の剛性は、剛性
低下手段の設けられていない部分（下部）での剛性が確
保されていることから、偏摩耗犠牲突起としての本来の
機能を損なうことは無い。石噛みは、比較的溝部分の上
部（開口付近）に集中する傾向があるため、偏摩耗犠牲
突起の上部の剛性を低下させれば十分である。

【００１７】請求項２に記載の発明は、前記請求項１記
載の発明において、前記偏摩耗犠牲突起は、タイヤ周方
向に沿って複数設けられていることを特徴としている。

【００１８】次に、請求項２に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。

【００１９】請求項２に記載の空気入りタイヤでは、偏
摩耗犠牲突起が、タイヤ周方向に沿って複数設けられて
いる。即ち、偏摩耗犠牲突起がある長さに分断されてい
ることにより、周方向に連続しているものに比較して剛
性が低下する。このため、周方向に連続した偏摩耗犠牲
突起よりも、噛んだ石を更に排出し易くなる。

【００２０】請求項３に記載の発明は、請求項１または
請求項２に記載の空気入りタイヤにおいて、前記剛性低
下手段は、タイヤ周方向に沿って延びるサイプであるこ
とを特徴としている。

【００２１】次に、請求項３に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。

【００２２】請求項３に記載の空気入りタイヤでは、タ
イヤ周方向に沿って延びるサイプにより偏摩耗犠牲突起
の上部付近の剛性が低下される。

【００２３】偏摩耗犠牲突起と周方向溝の溝壁との間の
溝部分に噛んだ石を排出するには、偏摩耗犠牲突起を溝
幅方向の曲げ剛性を低下させて石の保持力を十分に低減
する必要がある。

【００２４】そこで、偏摩耗犠牲突起の溝幅方向の剛性
を低減するには、周方向に沿って延びるサイプを形成す
ることが好ましい。

【００２５】

【発明の実施の形態】［第１の実施形態］本発明の空気
入りタイヤの第１の実施形態を図１及び図２にしたがっ
て説明する。

【００２６】図２には本実施形態に係る空気入りタイヤ
１０のトレッド１２のパターン（一部）が示されてい
る。

【００２７】トレッド１２には、タイヤ赤道面ＣＬの両
側にタイヤ周方向（矢印Ａ方向）に沿って延びる周方向
溝１４が形成され、その周方向溝１４のタイヤ幅方向
（矢印Ｂ方向）外側には同じくタイヤ周方向に沿って延
びる周方向溝１６が形成されている。

【００２８】周方向溝１４と周方向溝１４との間には、
これら周方向溝１４と折曲した複数の横溝１８とで区画
されたセンターブロック２０が設けられている。

【００２９】また、周方向溝１４と周方向溝１６との間
には、これら周方向溝１４、周方向溝１６とタイヤ幅方
向に対して傾斜した複数の横溝２２とで区画されたセカ
ンドブロック２４が設けられている。

【００３０】また、周方向溝１６のタイヤ幅方向外側に
は、タイヤ周方向に連続するショルダーリブ２６が設け
られている。

【００３１】周方向溝１４の溝底には、石噛防止用の複
数の突起２７がタイヤ周方向に沿って複数形成されてい
る。

【００３２】図１及び図２に示すように、タイヤ幅方向
最外側の周方向溝１６の溝底には、タイヤ周方向に連続
した偏摩耗犠牲突起２８が設けられている。

【００３３】偏摩耗犠牲突起２８の頂部２８Ａの位置
は、トレッド１２の踏面１２Ａよりも低いが、接地時に
路面とは接触する高さに設定されている。

【００３４】偏摩耗犠牲突起２８の上部には、タイヤ周
方向に沿って延びるサイプ３０が幅方向中央部分に形成
されている。

【００３５】図１（Ａ）に示すように、本実施形態の周
方向溝１６の溝壁はタイヤ径方向に対して平行である
が、傾斜していても良い。 （作用）以下に本実施形態の空気入りタイヤ１０の作用
を説明する。

【００３６】空気入りタイヤ１０が回転すると、トレッ
ド１２の踏面の径と偏摩耗犠牲突起２８の頂部２８Ａの
径との径差により、接地時に偏摩耗犠牲突起２８が路面
と滑り接触し、偏摩耗犠牲突起２８に隣接するショルダ
ーリブ２６に生ずべき偏摩耗を肩代わりして摩耗する。

【００３７】特に、偏摩耗し易いショルダーリブ２６を
区画する周方向溝１６内に偏摩耗犠牲突起２８を設ける
ことで、ショルダーリブ２６の偏摩耗を効果的に抑制す
ることができ、また、偏摩耗がセンター側に進展するこ
とを抑制する。

【００３８】また、悪路等を走行した際に、図１（Ｂ）
に示すように、偏摩耗犠牲突起２８と周方向溝１６の溝
壁との間の溝部分に石３２が噛み込むことが考えられる
が、偏摩耗犠牲突起２８の上部付近の剛性がサイプ３０
によって低減されてタイヤ幅方向に曲げ変形し易いよう
に柔軟にされているので、石３２の保持力は弱く、噛み
込んだ石３２を走行中に容易に排出することができる。

【００３９】したがって、偏摩耗犠牲突起２８を路面に
対して適性に接触させて適性に摩耗させることができ、
安定した偏摩耗抑制効果が得られる。 ［第２の実施形態］次に、本発明の空気入りタイヤの第
２の実施形態を図３にしたがって説明する。なお、上記
実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省
略する。

【００４０】第１の実施形態では、偏摩耗犠牲突起２８
はタイヤ周方向に連続した形状であったが、第２の実施
形態では、図３に示すように周方向溝１６の溝底に短尺
の偏摩耗犠牲突起２８をタイヤ周方向に複数設け、各偏
摩耗犠牲突起２８の全長に渡って第１の実施形態と同様
のサイプ３０（図１参照）を形成したものである。

【００４１】短尺のブロック状の偏摩耗犠牲突起２８の
方が、周方向に連続するリブ状の偏摩耗犠牲突起２８よ
りもタイヤ幅方向の曲げ剛性は低くなり、石３２（図３
では図示せず。）の保持力が更に低下し、噛み込んだ石
３２が更に排出し易くなる。

【００４２】なお、第１，２の実施形態において、サイ
プ３０は、偏摩耗犠牲突起２８の全長に渡って連続して
設けることが好ましいが、噛み込んだ石３２が排出し易
ければサイプ３０は連続していなくてもよい。 （試験例）本発明の効果を確かめるために、従来例のタ
イヤ１種、比較例のタイヤ１種及び本発明の適用された
実施例のタイヤ２種を用意し、実車走行試験を行った。

【００４３】試験は、タイヤを実車に取り付け、小石の
多い路面を走行した後、偏摩耗犠牲突起と周方向溝の溝
壁との間に保持された石の個数を数えた。

【００４４】実施例１のタイヤ：上記第１の実施形態の
タイヤである（図１，２参照）。

【００４５】実施例２のタイヤ：上記第２の実施形態の
タイヤである（図３参照）。

【００４６】比較例のタイヤ：上記第２の実施形態のタ
イヤの偏摩耗犠牲突起からサイプを除いたタイヤである
（図４参照）。

【００４７】従来例のタイヤ：上記第１の実施形態のタ
イヤの偏摩耗犠牲突起からサイプを除いたタイヤである
（図５参照）。

【００４８】試験結果は以下の表１に記載する通りであ
る。

【００４９】

【表１】

【００５０】試験の結果から、偏摩耗犠牲突起にサイプ
を設けることにより、保持する石の数が大幅に減少する
ことが分かる。また、連続した偏摩耗犠牲突起よりも短
尺の偏摩耗犠牲突起を複数設けた方が良いことが分か
る。

【００５１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の空気入り
タイヤは上記の構成としたので、安定した偏摩耗抑制効
果が得られる、という優れた効果を有する。

【００５２】また、請求項２に記載の空気入りタイヤは
上記の構成としたので、噛み込んだ石が更に排出され易
くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は図２に示すトレッドのタイヤ幅方向最
外の周方向溝付近の断面図である（図２の１（A)−１
（Ａ）線断面図）であり、（Ｂ）は石を噛んだ状態を示
す周方向溝付近の断面図である。

【図２】本発明の第１の実施形態に係る空気入りタイヤ
のトレッドの展開平面図（一部）である。

【図３】第２の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッ
ドの展開平面図（一部）である。

【図４】比較例に係る空気入りタイヤのトレッドの展開
平面図（一部）である。

【図５】従来例に係る空気入りタイヤのトレッドの展開
平面図（一部）である。

【図６】（Ａ）は従来例に係る空気入りタイヤのトレッ
ドの周方向溝付近の断面図であり、（Ｂ）は石を噛んだ
状態を示す周方向溝付近の断面図である。

【符号の説明】

１０ 空気入りタイヤ １２ トレッド １６ 周方向溝 ２８ 偏摩耗犠牲突起 ３０ サイプ（剛性低下手段）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トレッドに周方向に沿って延びる周方向
   溝を備え、前記周方向溝の溝底に、頂部の位置が踏面よ
   り低く設定され、接地時に路面と接触する偏摩耗犠牲突
   起を設けた空気入りタイヤであって、 前記偏摩耗犠牲突起の上部には、剛性低減用の剛性低下
   手段が設けられていることを特徴とする空気入りタイ
   ヤ。
2. 【請求項２】 前記偏摩耗犠牲突起は、タイヤ周方向に
   沿って複数設けられていることを特徴とする請求項１に
   記載の空気入りタイヤ。
3. 【請求項３】 前記剛性低下手段は、タイヤ周方向に沿
   って延びるサイプであることを特徴とする請求項１また
   は請求項２に記載の空気入りタイヤ。