JP2006205203A - はんだ付け用フラックス組成物およびはんだペースト - Google Patents
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Abstract
はんだ付け性を損ずに印刷作業性に優れたはんだペーストを得るためのはんだ付け用フラックス組成物を提供する。とくに、ローリング性、版ぬけ性、連続印刷性を著しく改善したはんだペーストを提供する。
【解決手段】
下記の化合物Pを開始剤として、下記の化合物Qおよび化合物Tを交互に付加反応させることにより得られるポリへミアセタールエステル樹脂を含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物、およびこれにはんだ粉末を配合してなるはんだペースト。
。
P;1分子あたりカルボキシル基を2個以上有する化合物
Q;ヒドロキシビニルエーテル化合物、
T;1分子あたり環状酸無水物基を1個有する化合物。
【選択図】 なし
Description
従って、はんだペーストに要求される性能は、低毒性、良好なはんだ付け性、高絶縁性、非腐食性、良好な経時安定性等の一般的な性能の他、印刷特性に優れていることが要求される。
一方、はんだ金属としては、従来、ぬれ性に優れ、良好な機械的金属物性を有する鉛含有はんだが用いられてきた。しかしながら、鉛は人体に対して非常に毒性が高く、さらに、酸性雨により廃棄されたプリント配線板からはんだ中の鉛が溶出し地下水を汚染することから、はんだの鉛フリー化が求められている。
しかしながら、鉛フリーはんだは、鉛含有はんだと比較し酸化されやすいため、鉛フリーはんだに使用するフラックス組成物には、酸強度の強い有機酸成分が配合されている。しかしながら、一般的に、酸強度の強い有機酸成分は、その強固な水素結合性のために結晶性の固体であり、樹脂や溶剤に対する溶解性が低い。従って、フラックス組成物が分離したり、活性剤が析出してきたりするといった問題があり、この影響で、はんだペーストが粘度特性的には問題ないものの、パサつきやすくローリングしにくくなることから、スキージに付着、印刷できないといった問題があった。また、メタルマスク版の開口部にはんだが目詰まりを頻繁に起こし、マスクの洗浄回数が増えるといった問題があった。
すなわち、このフラックス組成物およびはんだペーストは、ロジン樹脂や活性剤成分のカルボキシル基がビニルエーテルにより一時的に保護されているため、樹脂や溶剤に対する溶解性を向上させることができ、フラックス組成物の分離、結晶析出の問題を改善することができる。しかしながら、熱潜在化されたカルボン酸誘導体は、未処理のカルボン酸誘導体と比較して、確かに樹脂や溶剤に対する溶解性は向上するものの、熱潜在化されたカルボン酸誘導体を複数種配合し、それら誘導体どうしの極性差が大きい場合には、相溶しにくいといった問題がある。特に、極性が大きい熱潜在性カルボン酸誘導体は、鉛フリーはんだに対して用いて溶融特性上効果的であり、その結果、ベース樹脂との極性差が大きくなり、フラックス組成物の分離を引き起こす場合がある。フラックス組成物の分離は、はんだ付け後の性能には問題ないものの、印刷特性が低下するので、プリント配線板等の製造時の生産効率が低下するので好ましくない。
一方で、印刷特性を改善するために、チクソトロピー性(構造粘性)付与剤(以下チクソ剤と略記)を最適化する試みがなされてきた。例えば、特許文献2においては、置換尿素化合物をチクソ剤として用いる技術が開示されている。この開示技術によって、印刷形状、版ぬけ性、ローリング性等の印刷特性が向上する。しかしながら、連続印刷枚数は最大で30枚程度であり、実使用上さらに改良が必要である。また、置換尿素化合物は加熱により着色しやすいといった問題があり、リフロー後のフラックス残渣が着色するため、外観上好ましくない。
また、特許文献3においては、ヒドロキシステアルアミド系化合物をチクソ剤として用いる技術が開示されている。しかしながら、実施例においてはんだ接合後のブリッジ発生率の低減効果が確認されているが、連続印刷性、印刷形状、版ぬけ性、ローリング性等についての記載は無く、実際にこの技術によって、これら印刷特性の向上までを望むのは難しい。
さらに、特許文献5では、メタルマスクに対して、シリコン変性フッ素系樹脂をコートすることで、はんだペーストの印刷特性を改善する技術が開示されている。この開示技術により、はんだペーストの印刷特性の向上が見られるが、メタルマスクへのコートは、コート剤を塗布後、乾燥・硬化条件を必要とするため、製造コストが上昇する可能性がある。また、メタルマスク上に均一にコート剤がコートすることが難しく、特に、微細ピッチパターンに関しては、メタスマスクの開口径が大きく変化し、はんだの印刷量にも影響を与えることが懸念される。
〔1〕下記の化合物Pを開始剤として、下記の化合物Qおよび化合物Tを交互に付加反応させることにより得られるポリへミアセタールエステル樹脂(A)を含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
P;1分子あたりカルボキシル基を2個以上有する化合物
Q;ヒドロキシビニルエーテル化合物、
T;1分子あたり環状酸無水物基を1個有する化合物、
〔2〕さらに、カルボキシル基と化学結合を形成しうる反応性官能基を1分子中に2個以上有する化合物(B)を含むことを特徴とする前記の〔1〕に記載のはんだ付け用フラックス組成物。
〔3〕前記の反応性官能基がオキセタン基である前記の〔2〕に記載のはんだ付け用フラックス組成物。
〔4〕前記の〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス組成物とはんだ粉末とを含むはんだペースト。
そのため、プリント配線板等の電子部品材料として好適に使用できる。
本発明のフラックス組成物およびはんだペーストは、次に述べる方法によって得られるポリへミアセタールエステル樹脂(A)を含有することを特徴とする。
一般に、ヒドロキシビニルエーテル化合物と環状酸無水物基を有する化合物からのポリヘミアセタールエステルの生成は、次の2つの素反応から進行することが知られている。
(1)ヒドロキシビニルエーテル化合物のヒドロキシル基が環状酸無水物基を有する化合物の酸無水物基を開環させ、ハーフエステル結合と新たなカルボキシル基を生成する反応
(2)ヒドロキシビニルエーテル化合物のビニルエーテル基に、カルボキシル基が付加し、ヘミアセタールエステル結合を生成する反応
本発明に用いるポリへミアセタールエステル樹脂(A)は、これら2つの素反応からなる定序的連鎖生長反応を開始する開始剤として、カルボキシル基を2個以上有する化合物(P)を用いることによって生成することを特徴とする。すなわち、本発明に用いるポリへミアセタールエステル樹脂(A)はその分子構造に、1分子あたりカルボキシル基を2個以上有する化合物(P)の開始剤セグメントと、ヒドロキシビニルエーテル化合物(Q)と1分子あたり環状酸無水物基を1個有する化合物(T)からなるセグメントとの2つの構造セグメントを有することにより、はんだ付け用フラックス組成物およびはんだペーストの成分として優れた特性を発現するのである。
前記のポリへミアセタールエステル樹脂(A)としては、好ましくは、式(1)で示される構造を有する。
前記の式(1)において、有機基R1は、より詳しくは、炭素数2〜9の直鎖状アルキレン基、4〜7員の脂肪族環を有してもよい炭素数6〜9の脂環式アルキレン基、縮合度2〜4のポリアルキレングリコール残基等が挙げられる。
前記の式(1)中の( )nで表される部分は、次式(4)で表されるヒドロキシビニルエーテル化合物(Q)と、次式(5)で表される1分子あたり環状酸無水物基を1個有する化合物(T)とを付加反応させることにより得られるポリへミアセタールエステル樹脂の構成単位である。
本発明に用いるポリへミアセタールエステル樹脂(A)は、式(5)で表される1分子あたりカルボキシル基を2個以上有する化合物(P)を開始剤として用いて、該カルボキシル基に前記のポリへミアセタールエステル樹脂の構成単位を付加成長させることを特徴とする。
本発明に用いるポリへミアセタールエステル樹脂(A)の末端は、1分子あたり環状酸無水物基を1個有する化合物(T)に対して、ヒドロキシビニルエーテル化合物(Q)を過剰に用いることにより、前記式(2)で表される構造で得られる。
また、本発明に用いるポリへミアセタールエステル樹脂(A)の末端は、反応の終末に、ヒドロキシビニルエーテル化合物(Q)に替えて、次式(7)で表されるビニルエーテル化合物を添加して反応を完結させ、前記式(3)で表される構造を有する末端としてもよい。
1分子あたりカルボキシル基を2個以上有する化合物(P)としては、
ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸の無水物;
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の脂環式多価カルボン酸無水物;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水メチルナジック酸)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水ハイミック酸;日立化成(株)の商品名)等の橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物);
無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物が挙げられる。
前記の酸無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの酸無水物の中でも、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸は、入手性、作業性、反応性、得られる樹脂の溶剤に対する溶解性、樹脂に対する相溶性の点から好ましく挙げられる。
3−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等の4〜7員の脂肪族環を有してもよい炭素数6〜9の脂環式アルキレン基を有するヒドロキシビニルエーテル化合物;
ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル等の縮合度2〜4のポリアルキレングリコール残基を有するヒドロキシビニルエーテル化合物等が挙げられる。
前記のヒドロキシビニルエーテル化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルが入手性や、酸無水物との反応性の点から好ましく挙げられる。
さらに、5官能基以上のポリオールと酸無水物とのハーフエステル体(多官能性)等も使用することができる。
反応に際しては、反応を促進するために、有機アミン化合物などの触媒を使用することができる。具体的には、そのような触媒としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルアミン、オクチルアミン、シクロへキシルアミン、ビニルメチルアミン、アリルアミン、エトキシメチルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジヘキシルアミン、ジドデシルアミン等の第2級アミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の第3級アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;フェニルプロピルアミン、フェニルエチルアミン、メトキシベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、ベンジルアミン、ジメチルベンジルアミン等のベンゼン環を有する脂肪族アミン類;モルホリン、メチルモルホリン等のモルホリン誘導体;t−ブチルアニリン等のアニリン誘導体;ジメチルトルイジン等の芳香族アミン類;2−ヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン等のピリジン誘導体;ピペリジン、メチルピペリジン、ベンジルピペリジン等のピペリジン誘導体;メチルピロリジン等のピロリジン誘導体;ピロール等のピロール誘導体;2−ヒドロキノリン、3−ヒドロキノリン、4−ヒドロキノリン、2−メチルキノリン、4−メチル−8−ヒドロキノリン等のキノリン誘導体;ベンゾイミダゾール、メチルイミダゾール、イミダゾール等のイミダゾール誘導体;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
また、ジブチルすずラウレートやブチルチンオキシアセテートなどの有機スズ化合物も反応を促進させる触媒として使用することができる。
前記の触媒は、1種単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
前記の触媒の使用量は、原料である1分子あたり環状酸無水物基を1個有する化合物(T)とヒドロキシビニルエーテル化合物(Q)との合計量100重量部に対して、好ましくは0.005〜10重量部であり、より好ましくは0.01〜5重量部である。
この場合のビニルエーテル化合物の使用比率は、目的に応じて、任意に選択することができるが、通常、前段階の付加反応物の残存カルボキシル基1モル当たり、ビニルエーテル基が1〜10モル、特に3〜5モルになるようにビニルエーテル化合物を用いるのが適している。
より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類、およびイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
前記の触媒は、1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
本発明に用いるポリへミアセタールエステル樹脂(A)の酸価は、本発明のフラックス組成物およびはんだペーストに用いる場合、保存安定性の面から、30mgKOH/g以下が好ましい。より好ましくは、10mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは、3mgKOH/g以下である。
より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
前記の有機溶剤は、1種単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。前記の有機溶剤の使用量は、特に限定されないが、各反応段階における反応原料100重量部に対して、通常、5〜95重量部、好ましくは、20〜80重量部である。
5重量部未満では、はんだのぬれ性が悪くなり、80重量部を超えるとフラックス組成物自体の粘度が高くなり、必要な印刷特性が得られなくなるので好ましくない。
化合物(B)を配合することにより、はんだ付け後にポリへミアセタールエステル樹脂(A)や活性剤等が残存した場合でも、これらのカルボキシル基が化合物(B)と反応し、カルボキシル基が残存することによる悪影響を防止できるため、フラックス残渣の洗浄工程を必要としない。
前記の反応性官能基については、カルボキシル基と反応する性質を有するものであればよく、特に制限はないが、例えば、オキセタン基、エポキシ基、オキサゾリン基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基、ケタール基などが好ましく挙げられる。B成分中には、これらの反応性官能基は、1種含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。より好ましくはオキセタン基、エポキシ基が、さらに好ましくはオキセタン基が挙げられる。
前記のオキセタン基を含有する化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することできる。
このような好ましくない組み合わせとしては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル、シクロカーボネ−ト基およびシラノ−ル基の中から選ばれる官能基とアミノ基またはイミノ基との組み合わせ、イソシアネ−ト基またはビニルエーテル基とヒドロキシル基との組み合わせなどが挙げられる。
5重量部未満では、樹脂硬化性が不十分なためリフロー残渣のタック性、電気的信頼性が悪くなり、40重量部を超えるとはんだの濡れ性が悪くなる。
前記の樹脂としては、天然物由来の樹脂、および合成の樹脂が挙げられ、天然物由来の樹脂としては、天然ロジン、不均化ロジン、重合ロジンが挙げられる。またさらに、前記の合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、1種または2種以上を配合して用いることができる。前記樹脂を配合する場合、通常、はんだ付け用フラックス組成物全量のうち、0〜70重量%の割合で配合される。
有機ハロゲン化合物の添加量としては、はんだ付け用フラックス組成物全量に対して通常0.001〜20重量%であり、好ましくは、0.01〜10重量%である。有機ハロゲン化合物の添加量が0.001重量%より少ないとリフロー時に部品の各種メッキに対するはんだのぬれ性が十分に発揮されず、20重量%より多いと絶縁抵抗が悪化(信頼性が悪化)する。
これらの溶剤を配合する場合、通常、はんだ付け用フラックス組成物全量のうち、0.1〜50重量%の割合で使用される。
前記のはんだ粉末の中では、本発明のフラックス組成物の特徴の1つである優れたはんだぬれ性の点から、鉛フリーのはんだ粉末が好ましく挙げられる。
はんだ粉末の配合量は、はんだペースト全量に対して、80〜95重量%であり、より好ましくは87〜92重量%である。はんだ粉末の配合量が、80重量%未満または95重量%を超える場合は、はんだペーストに必要な印刷特性を満足できない。
なお、例中の酸価はJIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の第3項の方法に準じて、テトラヒドロフラン(THF)溶液に試料を溶解させ、測定を行った。
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、協和発酵工業(株)製
XBSA:m−キシリレンビスステアリン酸アミド
EBSA:エチレンビスステアリン酸アミド
HMBSU:ヘキサメチレンビスステアリル尿素
TEGDME:テトラエチレングリコールジメチルエーテル
DEGMBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DBPF:フタル酸ビス(2,3−ジブロモプロピル)
水添ロジン:荒川化学工業(株)製「パインクリスタルKE−604」(商品名)
重合ロジン:イーストマンケミカル(株)製「ダイマレックス」(商品名)
セロキサイド2021P:3,3’−エポキシシクロへキシル−3’,4’−シクロヘキサンカルボキシレート、ダイセル化学工業(株)製の脂環式エポキシ樹脂(商品名)
OXBP:4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、宇部興産(株)製「ETERNACOLL OXBP」(商品名)
Sn−9.0Zn
Sn−8.0Zn−3.0Bi
Sn−3.0Ag−0.5Cu
(いずれも、平均粒径25μm、三井金属鉱業(株)製)
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた容量200mLの4つ口フラスコに、無水コハク酸23.4g、シクロへキサン−1,3,4−トリカルボン酸(水添トリメリット酸)4.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)22.5gを仕込み、温度を65℃に昇温し、ヒドロキシエチルビニルエーテル25.4g、トリエチルアミン0.6gの混合液を1時間かけて等速滴下した。同温度で2時間反応を続けた後、ヒドロキシエチルビニルエーテル5.1gを投入し、系内の温度を110℃に昇温し、さらに2時間反応を続けた。
その後、系内の温度を70℃に下げて、イソプロピルビニルエーテル18.2gを30分かけて等速滴下し、同温度で4時間反応を続け、混合物の酸価が5mgKOH/g以下になった時点で反応を終了した。放冷後、ロータリーエバポレーターで、未反応のイソプロピルビニルエーテルと溶媒(PMA)を留去し、さらに真空ポンプで真空乾燥することにより、ポリヘミアセタールエステル樹脂(A−1)を得た。
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた容量200mLの4つ口フラスコに、無水コハク酸21.3g、水添ロジン14.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)20.4gを仕込み、温度を65℃に昇温し、ヒドロキシエチルビニルエーテル22.7g、トリエチルアミン0.6gの混合液を1時間かけて等速滴下した。同温度で2時間反応を続けた後、ヒドロキシエチルビニルエーテル5.1gを投入し、系内の温度を110℃に昇温し、さらに2時間反応を続けた。
その後、系内の温度を70℃に下げて、イソプロピルビニルエーテル15.8gを30分かけて等速滴下し、同温度で4時間反応を続け、混合物の酸価が5mgKOH/g以下になった時点で反応を終了した。放冷後、ロータリーエバポレーターで、未反応のイソプロピルビニルエーテルと溶媒(PMA)を留去し、さらに真空ポンプで真空乾燥することにより、ポリヘミアセタールエステル樹脂(A−2)を得た。
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた容量200mLの4つ口フラスコに、アジピン酸32.5重量部、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル67.5重量部を仕込み、30分かけて常温から110℃まで昇温させた。続いて、110℃を維持して反応を続け、混合後の酸価が10mgKOH/g以下になった時点で反応を終了した。放冷後、ヘキサン/アセトン=9/1(重量比)の混合溶剤により、ポリマー分の再沈精製を行った。さらに、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から溶剤を留去して、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより淡黄色透明のポリヘミアセタールエステル樹脂(A’−1)を得た。
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた容量200mLの4つ口フラスコに、水添ロジン32.5g、イソプロピルビニルエーテル23.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)24.0gを仕込み30分かけて常温から100℃まで昇温させた。続いて、100℃を維持して反応を続け、混合後の酸価が3mgKOH/g以下になった時点で反応を終了した。次いで、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から未反応のイソプロピルビニルエーテルと溶剤を留去し、さらに、真空ポンプにより真空乾燥することにより淡黄色透明のブロック化ロジン(A−1)を得た。
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた容量200mLの4つ口フラスコに、無水コハク酸24.0g、ヒドロキシエチルビニルエーテル25.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)16.8gを仕込み、温度を60℃に保ちながら3時間撹拌しながら反応した。その後、温度を100℃に上昇させ、100℃に保ちながら2時間撹拌しながら反応した。反応後の酸価が20mgKOH/g以下になった時点で、n−ブチルビニルエーテル13.2gを添加し、さらに、100℃で3時間撹拌しながら反応した。その後、混合後の酸価が5mgKOH/g以下であることを確認し、反応を停止させた。この後、生成物を分液ロートに移し、ヘキサン/アセトン=9/1(重量比)の混合溶剤により、ポリマー分の再沈精製を行った。さらに、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から溶剤を留去して、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより淡黄色透明のポリヘミアセタールエステル樹脂(A’−2)を得た。
次に、フラックス組成物およびはんだペーストの評価において用いた試験方法を示す。
1.[フラックス組成物の保存安定性]
5℃で3ヶ月冷蔵保存後のフラックス組成物の状態を目視により判定した。
○:フラックス組成物の分離なし。
×:フラックス組成物の分離有り。
2.[ぬれ効力]
JIS Z 3284:1994「ソルダペースト」の附属書10に準じた。
評価は、次のとおりであり、以下の1〜4の4段階の広がり度合いの区分表示に従った。
1;はんだペーストから溶解したはんだが試験板をぬらし、ペーストを塗布した面積以上に広がった状態、
2;はんだペーストを塗布した部分はすべて、はんだがぬれた状態、
3;はんだペーストを塗布した部分の大半は、はんだがぬれた状態(ディウエッティングも含まれる。)、
4;試験板ははんだがぬれた様子はなく、溶融したはんだは1つまたは複数のはんだボールとなった状態(ノンウエッティング)
JIS Z 3197:1999「はんだ付用フラックス試験方法」に準じて、はんだペーストを用いた試験片のはんだ付けにおけるはんだの広がり率を測定した。試験片には、通常の銅板を使用した。
JIS Z 3284:1994「ソルダペースト」の附属書3に準じて、次の2条件で試験した。
条件A:温度40℃、相対湿度90%、200時間
条件B:温度85℃、相対湿度85%、200時間
○:1011Ω以上〜、
△:109 Ω以上〜1011Ω未満、
×: 〜109 Ω未満。
JIS Z 3284:1994「ソルダペースト」の附属書14に準じて、次の2条件で試験した。
条件A:温度40℃、相対湿度90%、1000時間
条件B:温度85℃、相対湿度85%、1000時間
はんだペースト製造後、5℃および25℃で粘度の保存安定性の試験を行った。はんだペースト製造直後の粘度と3ヶ月保存後の粘度の比を指標とした。粘度の測定は、(株)マルコム製スパイラル粘度計で測定した。測定条件は、JIS Z 3284:1994「ソルダペースト」のスパイラル方式に基づいて行った。
○:粘度上昇比 1.00以上〜1.20未満
△:粘度上昇比 1.20以上〜1.30未満
×:粘度上昇比 1.30以上
QFP−100部品用ランドパターン(ランドサイズ:2.3mm×0.35mm、ピッチ幅:0.5mm)へ、はんだペーストを印刷し、途中メタルマスクを洗浄することなく、カスレ、スキージ付着等の問題がなく印刷できた枚数をカウントした。尚、印刷に使用した装置、印刷条件は以下のとおりである。
<印刷機および印刷条件>
・ 印刷機:(株)ソノコム製SC−450II
・ メタルマスク厚:0.15mm
・ スキージ:ウレタンスキージ、硬度70、角度60度
・ スキージ速度:20mm/sec
・ 印刷圧:0.20MPa(2.0kgf/cm2)
・ 環境温度:温度25±2℃、湿度60±10%
◎:200枚以上
○:100枚以上200枚未満
△:30枚以上100枚未満
×:30枚未満
印刷後のはんだペーストの形状を目視により観察した。
○:印刷後エッジが、1時間後でもピンと立っている。
△:印刷後エッジが、1時間以内でまるくなる。
×:印刷直後、すでにエッジがまるい。
メタルマスクからのはんだのぬけやすさについて目視により観察した。
○:完全にペーストが版からぬけている。
△:ペーストが版に残るが印刷できる。
×:ペーストが版穴につまって印刷できない。
メタルマスク上で、はんだペーストのローリングのスムーズ度合いについて目視により観察した。
○:ローリングが良好。
△:ローリングが不安定。
×:ローリングしない。
表1に示す配合で、はんだ付け用フラックス組成物を調製し、さらにこのはんだ付け用フラックス組成物に金属粉末を添加してはんだペーストを調製し、前記の試験方法に基づき、フラックス組成物について保存安定性を、はんだペーストについて、ぬれ効力、広がり率、絶縁性、マイグレーション性、粘度の経時安定性、連続印刷性、印刷形状、版ぬけ性、およびローリング性を調べた。結果を表1に併せて示す。
[比較例1〜5]
実施例1〜7と全く同様にして、はんだ付け用フラックス組成物とはんだペーストの評価を行った。配合および結果を表2に−示す。
一方、比較例1においては、ぬれ効力や銅板上での広がり性、絶縁抵抗性、マイグレーション性といったはんだペーストの一般特性に関しては、問題のないことが確認できたが、はんだ付け用フラックス組成物が保存中に分離し、この影響で連続印刷性とローリング性が低下することがわかった。比較例2においてはぬれ性、はんだ付け用フラックス組成物の保存安定性、はんだペーストの保存安定性、連続印刷性等実用レベルのペースト特性を示していたが絶縁性、マイグレーション性に問題があった。比較例3、4においては、はんだが溶融せず、はんだ付けができないことが確認できた。印刷特性に関しても、実用レベルには到達していないことが確認できた。比較例5に関しては、作製したはんだペーストの印刷性が悪く、実用上使用不可能であることが確認された。
Claims (4)
- 下記の化合物Pを開始剤として、下記の化合物Qおよび化合物Tを交互に付加反応させることにより得られるポリへミアセタールエステル樹脂(A)を含有することを特徴とするはんだ付け用フラックス組成物。
P;1分子あたりカルボキシル基を2個以上有する化合物
Q;ヒドロキシビニルエーテル化合物、
T;1分子あたり環状酸無水物基を1個有する化合物、 - さらに、カルボキシル基と化学結合を形成しうる反応性官能基を1分子中に2個以上有する化合物(B)を含むことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け用フラックス組成物。
- 前記の反応性官能基がオキセタン基である請求項2に記載のはんだ付け用フラックス組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のはんだ付け用フラックス組成物とはんだ粉末とを含むはんだペースト。
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