JP2006199548A - ヒドロキシルアミンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
ヒドロキシルアミンの塩とアルカリ化合物との反応によりヒドロキシルアミンを製造するに際して、安全にヒドロキシルアミンを高収率で製造する方法を提供すること。
【解決手段】
本発明のヒドロキシルアミンの製造方法は、芳香環上の連続する2以上の炭素原子の各々に水酸基を有する芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種の安定剤の存在下に、ヒドロキシルアミンの塩とアルカリ化合物とを反応させてヒドロキシルアミンを製造することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
。
(1) 芳香環上の連続する2以上の炭素原子の各々に水酸基を有する芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種の安定剤の存在下に、ヒドロキシルアミンの塩とアルカリ化合物とを反応させてヒドロキシルアミンを得る反応工程を含むことを特徴とするヒドロキシルアミンの製造方法。
(2) 前記安定剤が、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、1,2,4−ベンゼントリオール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記(1)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(3) 前記安定剤が、1,2,4−ベンゼントリオール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記(1)または(2)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(4) 前記反応工程が、アルカリ化合物を含む反応液にヒドロキシルアミンの塩を添加することにより行われる上記(1)〜(3)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(5) 前記反応工程が、反応液のpHを7以上に保ちながら行われる上記(1)〜(4)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(6) 前記反応工程の反応温度が0℃〜80℃の範囲内である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(7) 前記反応工程が、水および/またはアルコールを含む溶媒の存在下に行われる上記(1)〜(6)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(8) 前記ヒドロキシルアミンの塩が、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミンおよびリン酸ヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(9) 前記アルカリ化合物が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニアおよびアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記(1)〜(8)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(10) ヒドロキシルアミンをイオン交換により精製する精製工程、および蒸留により塔底部でヒドロキシルアミンを濃縮する濃縮工程を含む上記(1)〜(9)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(11) 前記精製工程が0℃〜70℃の範囲内で行われる上記(10)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(12) 前記精製工程により得られたヒドロキシルアミン溶液の少なくとも一部を、反応原料であるヒドロキシルアミンの塩および/またはアルカリ化合物を溶解もしくは懸濁させる溶媒として用いる上記(10)または(11)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(13) 前記濃縮工程が0℃〜70℃の範囲内で行われる上記(10)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(14) 前記濃縮工程により得られたヒドロキシルアミン溶液の少なくとも一部を、反応原料であるヒドロキシルアミンの塩および/またはアルカリ化合物を溶解もしくは懸濁させる溶媒として用いる上記(10)または(13)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(15) 前記各工程が、前記反応工程、前記精製工程、前記濃縮工程の順に行われる上記(10)〜(14)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(16) ヒドロキシルアミンと不溶性物質とを分離する分離工程を含む上記(1)〜(15)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(17) 前記分離工程が0℃〜80℃の範囲内で行われる上記(16)に記載のヒドロ
キシルアミンの製造方法。
(18) 前記分離工程で不溶性物質を分離した反応液の少なくとも一部を、反応原料であるヒドロキシルアミンの塩および/またはアルカリ化合物を溶解もしくは懸濁させる溶媒として用いる上記(16)または(17)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(19) 前記各工程が、前記反応工程、前記分離工程、前記精製工程、前記濃縮工程の順に行われる上記(16)〜(18)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(20) 前記濃縮工程の後にヒドロキシルアミンをイオン交換により精製する精製工程をさらに含む上記(19)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(21) 前記濃縮工程の後の精製工程が0℃〜70℃の範囲内で行われる上記(20)に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
(22) 前記各工程が安定剤の存在下に行われる上記(10)〜(21)のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
反応工程;
本発明のヒドロキシルアミンの製造方法は、芳香環上の連続する2以上の炭素原子の各々に水酸基を有する芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種の安定剤の存在下に、ヒドロキシルアミンの塩と、アルカリ化合物とを反応させてヒドロキシルアミンを得る反応工程を含む。
O4)、塩酸塩(NH2OH・HCl)、硝酸塩(NH2OH・HNO3)およびリン酸塩(NH2OH・1/3H3PO4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩が好ましい。
適宜選択すればよく、通常、溶媒とヒドロキシルアミンの塩との質量比(溶媒/ヒドロキシルアミンの塩)は0.1〜1000、好ましくは1〜100の範囲内である。
アミンとしては、第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミンを用いることができる。また、アミンはモノアミンでも、分子内に2以上のアミノ基を有するジアミン、トリアミンなどのポリアミンでもよく、さらに、環式アミンでもよい。
、1,6−ジアミノヘキサン、3,3−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、ベンジジンなどが挙げられる。
環式アミンとしては、たとえば、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、プリン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3−ピロリン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ピペラジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,5−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,4−トリアゾール、モルホリンなどが挙げられる。
う。)から選ばれる。
本発明のヒドロキシルアミンの製造方法における反応工程は、アルカリ化合物を溶媒に
溶解もしくは懸濁させた反応液に、ヒドロキシルアミンの塩を添加することにより行われるのが好ましい。このように、アルカリ化合物を含む反応液に、ヒドロキシルアミンの塩を添加していく方法を用いることにより、生成したヒドロキシルアミンが、副生した塩と錯体を形成しにくくなり、また副生した不溶性の塩に吸着されにくくまたは取り込まれにくくなる。
さらに、前記反応工程を以下の工程と組み合わせることによって、さらに高濃度で高純度のヒドロキシルアミンを得ることができる。
分離工程;
本発明のヒドロキシルアミンの製造方法は、ヒドロキシルアミンと不溶性物質とを分離する分離工程を含むことが好ましい。
不溶性物質としては、たとえば上記反応工程でヒドロキシルアミンの塩とアルカリ化合物との反応により生成した塩、ヒドロキシルアミンの塩、アルカリ化合物等が挙げられる。
とにより不溶性物質として析出した場合には、不溶性物質を分離する分離工程を含むことが好ましい。
分離の方法としては、濾過、圧搾、遠心分離、沈降分離、浮上分離などの公知の方法を用いることができる。たとえば、濾過による分離では、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過のいずれの方法で行ってもよく、沈降分離による分離では、清澄分離、沈殿濃縮のいずれの方法で行ってもよく、浮上分離による分離では、加圧浮上、電離浮上のいずれの方法で行ってもよい。
不溶性物質を洗浄する溶媒(以下「洗浄溶媒」ともいう。)としては、反応工程で用いた溶媒と同じ溶媒を使用してもよく、別の溶媒を使用してもよい。このような洗浄溶媒としては、水および/または有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、たとえば、炭化水素、エーテル、エステル、アルコールなどが挙げられるが、ヒドロキシルアミンの回収に影響がなければこれらに限定されるものではない。これらの中では、水および/またはアルコールを洗浄溶媒として用いることが好ましい。また、洗浄溶媒の量は、不溶性物質の種類および量、分離などの条件に応じて適宜選択することができる。
トラキノン、1,2,6−トリオキシアントラキノン、1,2,7−トリオキシアントラキノン、1,2,5,8−テトラオキシアントラキノン、1,2,4,5,8−ペンタオキシアントラキノン、1,6,8−ジオキシ−3−メチル−6−メトキシアントラキノン、キナリザリン、フラバン、ラクトン、2,3−ジヒドロヘキソノ−1,4−ラクトン、8−ヒドロキシキナルジン、6−メチル−8−ヒドロキシキナルジン、5,8−ジヒドロキシキナルジン、アントシアン、ペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペツニジン、マルビジン、カテキン、チオ硫酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール、チアミンの塩酸塩、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド、1,2−ジメチル−3−ヒドロキシピリジン−4−オン、4−メチルピリジン−N−オキシド、6−メチルピリジン−N−オキシド、1−メチル−3−ヒドロキシピリジン−2−オン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトシクロヘキシルチアゾール、2−メルカプト−6−t−ブチルシクロヘキシルチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルチアゾリン、2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプト−5−t−ブチルチアゾリン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラ−n−ブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジエチルチウラムジスルフィド、テトラフェニルチウラムジスルフィド、チウラムジスルフィド、チオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、ジ−o−トリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、チオセトアミド、2−チオウラシル、チオシアヌル酸、チオホルムアミド、チオアセトアミド、チオプロピオンアミド、チオベンズアミド、チオニコチンアミド、チオアセトアニリド、チオベンズアニリド、1,3−ジメチルチオ尿素、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、1−フェニル−2−チオ尿素、1,3−ジフェニル−2−チオ尿素、チオカルバジド、チオセミカルバジド、4,4−ジメチル−3−チオセミカルバジド、2−メルカプトイミダゾリン、2−チオヒダントイン、3−チオウラゾール、2−チオウラミル、4−チオウラミル、チオペンタノール、2−チオバルビツール酸、チオシアヌル酸、2−メルカプトキノリン、チオクマゾン、チオクモチアゾン、チオサッカリン、2−メルカプトベンズイミダゾール、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
安定剤は、固体のまま使用してもよく、溶媒に溶解させて使用してもよい。このような溶媒としては、水および/または有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、たとえば、炭化水素、エーテル、エステル、アルコールなどが挙げられるが、反応に影響がなければこれらに限定されるものではない。これらの中では、水および/またはアルコールを用いることが好ましい。溶媒の量は使用する安定剤の種類および量、反応温度などの条件に応じて適宜選択することができる。
用いることが適している。上記質量比が1.0×10-9よりも小さい場合、金属不純物によるヒドロキシルアミンの分解反応を抑制する効果が得られないことがあり、質量比が1.0よりも大きい場合、過剰の安定剤の除去や回収が必要になることがある。
精製工程;
本発明のヒドロキシルアミンの製造方法は、たとえば、上記のようにして得られたヒドロキシルアミンをイオン交換により精製する精製工程を含むことが好ましい。
陽イオン交換による精製は、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂などを使用する公知の方法により行うことができる。陽イオン交換樹脂は、予め酸処理を行い、H型にして使用することが好ましい。
用いることが適している。上記質量比が1.0×10-9よりも小さい場合、金属不純物によるヒドロキシルアミンの分解反応を抑制する効果が得られないことがあり、質量比が1.0よりも大きい場合、過剰の安定剤の除去や回収が必要になることがある。
濃縮工程;
さらに、本発明のヒドロキシルアミンの製造方法は、ヒドロキシルアミンを蒸留により塔底部で濃縮する濃縮工程を含むことが好ましい。
たとえば、単蒸留または多段蒸留により、塔底部からヒドロキシルアミン濃度の高いヒドロキシルアミン溶液を得ることができる。
蒸留の温度は、塔底部の温度で0〜70℃が好ましく、さらに好ましくは5〜60℃の範囲内であることが望ましい。塔底部の温度が70℃より高いと、ヒドロキシルアミンの分解などの問題が生じることがある。一方、塔底部の温度が0℃より低いと、多量の冷却エネルギーが必要になるなどの問題が生じることがある。
上記濃縮工程により得られたヒドロキシルアミン溶液の一部は、反応原料であるヒドロキシルアミンの塩および/またはアルカリ化合物を溶解もしくは懸濁させる溶媒として用いてもよい。
用いることが適している。上記質量比が1.0×10-9よりも小さい場合、金属不純物によるヒドロキシルアミンの分解反応を抑制する効果が得られないことがあり、質量比が1.0よりも大きい場合、過剰の安定剤の除去や回収が必要になることがある。
さらに本発明のヒドロキシルアミンの製造方法は、上記濃縮工程によって得られたヒドロキシルアミンをイオン交換により精製する精製工程を含んでもよい。
陽イオン交換による精製は、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂などを使用する公知の方法により行うことができる。陽イオン交換樹脂は、予め酸処理を行い、H型にして使用することが好ましい。
イオン交換の温度としては、0℃〜70℃が好ましく、さらに好ましくは5℃〜50℃の範囲内であることが望ましい。イオン交換の温度が70℃より高いと、ヒドロキシルアミンの分解などの問題が生じることがある。一方、イオン交換の温度が0℃より低いと、冷却に要するエネルギーが大きくなるなどの問題が生じることがある。
用いることが適している。上記質量比が1.0×10-9よりも小さい場合、金属不純物によるヒドロキシルアミンの分解反応を抑制する効果が得られないことがあり、質量比が1.0よりも大きい場合、過剰の安定剤の除去や回収が必要になることがある。
(1)芳香環上の連続する2以上の炭素原子の各々に水酸基を有する芳香族化合物から選
ばれる少なくとも1種の安定剤の存在下に、ヒドロキシルアミンの塩とアルカリ化合物とを反応させてヒドロキシルアミンを得る反応工程を含み、その他の工程として、
(2)ヒドロキシルアミンをイオン交換により精製する精製工程、
(3)ヒドロキシルアミンを蒸留により塔底部で濃縮する濃縮工程、
を含むことができ、上記工程は、上記反応工程、上記精製工程、上記濃縮工程の順に行うことが好ましい。
また本発明のヒドロキシルアミンの製造方法は、
(4)ヒドロキシルアミンと不溶性物質とを分離する分離工程を含んでいてもよく、この工程は、好ましくは上記反応工程と精製工程との間で行うことが望ましい。
本発明の方法を用いることにより得られるヒドロキシルアミン溶液中のヒドロキシルアミンの濃度は10質量%以上である。また、20質量%以上の濃度のヒドロキシルアミン溶液を得ることができ、40質量%以上の濃度のヒドロキシルアミン溶液を得ることもできる。
<実施例>
以下、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1−1]
CaO 30.8g(0.550モル)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸0.0206
g(0.133ミリモル)およびH2O 175g(9.70モル)を1Lのガラス製反応器に仕込み、20℃で攪拌した。このときの反応液のpHは12.8であった。この反応液を撹拌しながら、硫酸ヒドロキシルアミン 82.1g(1.0モル)をH2O 123
g(6.83モル)に溶解させた液を、反応液のpHを7以上に保ちながら添加していった。添加に要した時間は約40分であった。添加後、さらに20℃で3時間反応させた。反応液の最終的なpHは12.2であった。
2.7g(0.99モル)であり、硫酸ヒドロキシルアミンを基準としたヒドロキシルアミンの収率は99%であった。
[実施例1−2]
CaO 30.8g(0.550モル)およびH2O 175g(9.70モル)を1L
のガラス製反応器に仕込み、20℃で攪拌した。このときの反応液のpHは12.8であった。この反応液を撹拌しながら、硫酸ヒドロキシルアミン 82.1g(1.0モル)
と、3,4−ジヒドロキシ安息香酸0.0205g(0.133ミリモル)とをH2O 123g(6.83モル)に溶解させた液を、反応液のpHを7以上に保ちながら添加していった。添加に要した時間は約40分であった。添加後、さらに20℃で3時間反応させた。反応液の最終的なpHは12.2であった。
[実施例1−3]
CaO 30.8g(0.550モル)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸0.0206
g(0.133ミリモル)およびH2O 175g(9.70モル)を1Lのガラス製反応器に仕込み、20℃で攪拌した。このときの反応液のpHは12.8であった。この反応液を撹拌しながら、硫酸ヒドロキシルアミン 82.1g(1.0モル)と、3,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸0.0205g(0.133ミリモル)とをH2O 123g(6.83モル)に溶解させた液を、反応液のpHを7以上に保ちながら添加していった。添加に要した時間は約40分であった。添加後、さらに20℃で3時間反応させた。反応液の最終的なpHは12.2であった。
[実施例1−4]
実施例1−1と同様に反応を行い、得られた反応終了後の20℃の反応液を減圧濾過し、反応液から不溶性の固体を分離した。さらにこの固体を、20℃のH2O 33.0g(1.83モル)で5回洗浄した。
[実施例1−5]
Na型の強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IR120B)
をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−HCl水溶液を流通させてH型に変換し、さらに、H2Oにより十分に洗浄を行った。この強酸性陽イオン交換樹
脂に実施例1−4と同様の方法を用いて得られたヒドロキシルアミンの水溶液を、空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。得られた水溶液をICP−MS(セイコーインスツルメンツ(株)製SPQ−900型)により分析した結果、不純物のNa、Caの各濃度は10質量ppb以下であった。
1N−HCl水溶液の代わりに1N−H2SO4水溶液を使用した以外は実施例1−5と同様の操作を行ったところ、同様の結果が得られた。
Cl型の強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IRA900
J)をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−NaOH水溶液を流通させてOH型に変換し、さらに、H2Oにより十分洗浄を行った。この強塩基性陰イオ
ン交換樹脂に実施例1−5と同様の方法を用いて得られた不純物の陽イオンを除去したヒドロキシルアミンの水溶液を空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。
濃度は、1.0質量ppm以下であった。同様に得られた水溶液をICP−MS(セイコーインスツルメンツ(株)製SPQ−900型)により分析した結果、不純物のFeの濃度は10質量ppb以下であった。
[実施例1−8]
実施例1−7と同様の方法を用いて得られたヒドロキシルアミンの水溶液に3,4−ジヒドロキシ安息香酸をヒドロキシルアミンに対して600質量ppmとなるように添加し、さらに減圧蒸留により濃縮させた。塔底部温度が30℃以下となるように減圧度を調整し、塔頂より水を抜き出し、塔底部よりヒドロキシルアミン濃度が高い水溶液を回収した。
[実施例1−9]
Na型の強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IR120B)
をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−HCl水溶液を流通させてH型に変換し、さらに、H2Oにより十分洗浄を行った。この強酸性陽イオン交換樹脂
に実施例1−8と同様な方法で得られたヒドロキシルアミンの水溶液を、空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。
[実施例1−10]
Cl型の強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IRA900
J)をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−NaOH水溶液を流通させてOH型に変換し、さらに、H2Oにより十分洗浄を行った。この強塩基性陰イオ
ン交換樹脂に実施例1−9と同様の方法を用いて得られた不純物の陽イオンを除去したヒドロキシルアミンの水溶液を空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。
各濃度は1.0質量ppm以下であった。同様に得られた水溶液をICP−MS(セイコーインスツルメンツ(株)製SPQ−900型)により分析した結果、不純物のFeの濃度は10質量ppb以下であった。
[実施例1−11]
モノベッド樹脂(オルガノ(株)製超純水級アンバーライト ESG−1)をポリテト
ラフルオロエチレン製カラムに充填し、H2Oにより十分洗浄を行った。このモノベッド
樹脂に実施例1−8と同様な方法で得られたヒドロキシルアミンの水溶液を、空間速度(
SV)=1[h-1]で流通させた。
析した結果、不純物の硫酸イオン、塩素イオンの各濃度は1.0質量ppm以下であった。
[実施例2−1]
20質量%NaOH水溶液220g(NaOH 1.1モル)および3,4−ジヒドロキシ安息香酸0.0220g(0.143ミリモル)を1Lのガラス製反応器に仕込み、20℃で攪拌した。この反応液を撹拌しながら、硫酸ヒドロキシルアミン 82.1g(
1.0モル)をH2O 465g(25.8モル)に溶解させた液を、約40分かけて添加していった。添加後、さらに20℃で3時間反応させた。
[実施例2−2]
20質量%NaOH水溶液220g(NaOH 1.1モル)を1Lのガラス製反応器に仕込み、20℃で攪拌した。この反応液を撹拌しながら、硫酸ヒドロキシルアミン 8
2.1g(1.0モル)と、3,4−ジヒドロキシ安息香酸0.0547g(0.355ミリモル)とをH2O 465g(25.8モル)に溶解させた液を、約40分かけて添加していった。添加後、さらに20℃で3時間反応させた。
[実施例2−3]
20質量%NaOH水溶液220g(NaOH 1.1モル)および3,4−ジヒドロキシ安息香酸0.0220g(0.143ミリモル)を1Lのガラス製反応器に仕込み、20℃で攪拌した。この反応液を撹拌しながら、硫酸ヒドロキシルアミン 82.1g(
1.0モル)と、3,4−ジヒドロキシ安息香酸0.0547g(0.355ミリモル)とをH2O 465g(25.8モル)に溶解させた液を、約40分かけて添加していった。添加後、さらに20℃で3時間反応させた。
[実施例2−4]
Na型の強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IR120B)
をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−HCl水溶液を流通させてH型に変換し、さらに、H2Oにより十分洗浄を行った。この強酸性陽イオン交換樹脂
に実施例2−1と同様の方法を用いて得られたヒドロキシルアミンの水溶液を、空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。得られた水溶液をICP−MS(セイコーインスツルメンツ(株)製SPQ−900型)により分析した結果、不純物のNa、Caの各濃度は10質量ppb以下であった。
[実施例2−5]
1N−HCl水溶液の代わりに1N−H2SO4水溶液を使用した以外は実施例2−4と同様の操作を行ったところ、同様の結果が得られた。
[実施例2−6]
Cl型の強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IRA900
J)をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−NaOH水溶液を流通させてOH型に変換し、さらに、H2Oにより十分洗浄を行った。この強塩基性陰イオ
ン交換樹脂に実施例2−4と同様の方法を用いて得られた不純物の陽イオンを除去したヒドロキシルアミンの水溶液を空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。
の各濃度は1.0質量ppm以下であった。同様に得られた水溶液をICP−MS(セイコーインスツルメンツ(株)製SPQ−900型)により分析した結果、不純物のFeの濃度は10質量ppb以下であった。
[実施例2−7]
実施例2−6と同様の方法を用いて得られたヒドロキシルアミンの水溶液に3,4−ジヒドロキシ安息香酸をヒドロキシルアミンに対して600質量ppmとなるように添加し、さらに減圧蒸留により濃縮させた。塔底部温度が30℃以下となるように減圧度を調整し、塔頂より水を抜き出し、塔底部よりヒドロキシルアミン濃度が高い水溶液を回収した。
[実施例2−8]
Na型の強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IR120B)
をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−HCl水溶液を流通させてH型に変換し、さらに、H2Oにより十分洗浄を行った。この強酸性陽イオン交換樹脂
に実施例2−7と同様の方法を用いて得られたヒドロキシルアミンの水溶液を、空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。
[実施例2−9]
Cl型の強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト IRA900
J)をポリテトラフルオロエチレン製カラムに充填し、これに1N−NaOH水溶液を流通させてOH型に変換し、さらに、H2Oにより十分洗浄を行った。この強塩基性陰イオ
ン交換樹脂に実施例2−8と同様の方法を用いて得られた不純物の陽イオンを除去したヒドロキシルアミンの水溶液を空間速度(SV)=1[h-1]で流通させた。
各濃度は1.0質量ppm以下であった。同様に得られた水溶液をICP−MS(セイコーインスツルメンツ(株)製SPQ−900型)により分析した結果、不純物のFeの濃度は10質量ppb以下であった。
[実施例2−10]
モノベッド樹脂(オルガノ(株)製超純水級アンバーライト ESG−1)をポリテト
ラフルオロエチレン製カラムに充填し、H2Oにより十分洗浄を行った。このモノベッド
樹脂に実施例2−7と同様な方法で得られたヒドロキシルアミンの水溶液を、空間速度(
SV)=1[h-1]で流通させた。
析した結果、不純物の硫酸イオン、塩素イオンの各濃度は1.0質量ppm以下であった。
[比較例1]
CaO 30.8g(0.550モル)、1,10−フェナントロリン・1水和物0.
0226g(0.114ミリモル)およびH2O 175g(9.70モル)を1Lのガラス製反応器に仕込み、20℃で攪拌した。このときの反応液のpHは12.8であった。この反応液を撹拌しながら、硫酸ヒドロキシルアミン 82.1g(1.0モル)と、1
,10−フェナントロリン・1水和物0.0226g(0.114ミリモル)とをH2O 123g(6.83モル)に溶解させた液を、反応液のpHを7以上に保ちながら添加していった。添加に要した時間は約40分であった。添加後、さらに20℃で3時間反応させた。反応液の最終的なpHは12.2であった。
Claims (22)
- 芳香環上の連続する2以上の炭素原子の各々に水酸基を有する芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種の安定剤の存在下に、ヒドロキシルアミンの塩とアルカリ化合物とを反応させてヒドロキシルアミンを得る反応工程を含むことを特徴とするヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記安定剤が、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、1,2,4−ベンゼントリオール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記安定剤が、1,2,4−ベンゼントリオール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1または2に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記反応工程が、アルカリ化合物を含む反応液にヒドロキシルアミンの塩を添加することにより行われる請求項1〜3のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記反応工程が、反応液のpHを7以上に保ちながら行われる請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記反応工程の反応温度が0℃〜80℃の範囲内である請求項1〜5のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記反応工程が、水および/またはアルコールを含む溶媒の存在下に行われる請求項1〜6のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記ヒドロキシルアミンの塩が、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミンおよびリン酸ヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜7のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記アルカリ化合物が、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニアおよびアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜8のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- ヒドロキシルアミンをイオン交換により精製する精製工程、および蒸留により塔底部でヒドロキシルアミンを濃縮する濃縮工程を含む請求項1〜9のいすれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記精製工程が0℃〜70℃の範囲内で行われる請求項10に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記精製工程により得られたヒドロキシルアミン溶液の少なくとも一部を、反応原料であるヒドロキシルアミンの塩および/またはアルカリ化合物を溶解もしくは懸濁させる溶媒として用いる請求項10または11に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記濃縮工程が0℃〜70℃の範囲内で行われる請求項10に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記濃縮工程により得られたヒドロキシルアミン溶液の少なくとも一部を、反応原料であるヒドロキシルアミンの塩および/またはアルカリ化合物を溶解もしくは懸濁させる溶媒として用いる請求項10または13に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記各工程が、前記反応工程、前記精製工程、前記濃縮工程の順に行われる請求項10〜14のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- ヒドロキシルアミンと不溶性物質とを分離する分離工程を含む請求項1〜15のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記分離工程が0℃〜80℃の範囲内で行われる請求項16に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記分離工程で不溶性物質を分離した反応液の少なくとも一部を、反応原料であるヒドロキシルアミンの塩および/またはアルカリ化合物を溶解もしくは懸濁させる溶媒として用いる請求項16または17に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記各工程が、前記反応工程、前記分離工程、前記精製工程、前記濃縮工程の順に行われる請求項16〜18のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記濃縮工程の後にヒドロキシルアミンをイオン交換により精製する精製工程をさらに含む請求項19に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記濃縮工程の後の精製工程が0℃〜70℃の範囲内で行われる請求項20に記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
- 前記各工程が安定剤の存在下に行われる請求項10〜21のいずれかに記載のヒドロキシルアミンの製造方法。
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