JP2006193460A - 第4級アンモニウム塩、電解液及び電気化学デバイス - Google Patents

第4級アンモニウム塩、電解液及び電気化学デバイス Download PDF

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亮浩 鍋島
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Hiroaki Tokuda
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Abstract

【課題】 耐電圧、電気伝導性が高い電解液及びそれを使用した電気デバイスを提供する。
【解決手段】 式(1)で表される第4級アンモニウム塩、これを含む電解液及びその電解液を使用した電気化学デバイス。
Figure 2006193460

(式中、R〜Rは、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基又はイソプロポキシメチル基を示す。XはPF を示す。)
【選択図】 図1

Description

本発明は、第4級アンモニウム塩、電解液及び電気化学デバイスに係る。詳しくは、耐電圧、電気伝導性が高い電解液及びそれを使用した電気化学デバイスに関する。
近年、バッテリーやキャパシタをはじめとする電気化学デバイスの出力密度、エネルギー密度向上の要求が高まっており、耐電圧性の観点から電解液は水系よりも有機系が多用されてきている。有機電解液としてはプロピレンカーボネートなどの有機溶媒にアルカリ金属塩や固体アンモニウム塩を溶解させた例が挙げられ、前者はリチウムイオン電池用の電解液として、後者は電気二重層キャパシタ用の電解液として使用されている。有機電解液は水系に比べて電気伝導性が劣っており、電気伝導性を向上するために有機溶媒や電解質に関する研究が数多くおこなわれてきた。
固体状電解質を溶媒に溶解させた非水電解液では、電解液の電気伝導性は電解質の濃度とともに変化する。濃度の上昇とともに電解液中のイオン濃度が増加することによって電気伝導度が増加するがやがて極大点に達する。電気伝導度が極大点に達し減少し始めるのは電解液中にイオンの数が増すにつれて、溶媒−イオン、イオン−イオン間の相互作用の増大によって電解質が解離しにくくなり、同時に電解液の粘度が増加するためと考えられている。電解質濃度がさらに増加するとそれ以上解離できなくなり、電解質濃度が飽和する。したがって電解質濃度を高めようとした場合には電解質が溶解しにくくなるといった問題があった。また高濃度の電解質を溶解させた電解液を低温環境下で使用すると塩の析出が生じ、電解液の電気伝導性が悪くなってしまうといった問題も生じる。電解質の解離度を高めるには通常高誘電率溶媒が好まれ、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等が使われてきた。また電解質にはテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートやN,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムテトラフルオロボレート等が好適に用いられてきたが、これらの電解質は高誘電率溶媒には比較的溶解するものの、常温において2M程度が限界であり、それ以上の濃度、又は低温域では結晶の析出が生じるといった不具合があった。また低誘電率溶媒にはほとんど溶解せず、電解液としては使用できないレベルであった。
また高電圧を求める使用において、溶媒にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等を使用した場合、電解質を高耐電圧タイプに変換しても溶媒の分解電圧に支配されてしまい、従来のキャパシタの動作電圧は2.5V程度が上限であった。2.5Vを超える電圧で動作させると電解液(主に溶媒)の電気化学的分解が起こり性能の著しい劣化、ガス発生等の好ましくない現象が発生する。ハイブリッド自動車、電気自動車のような移動体のエネルギーストレージデバイスとしてのキャパシタの応用においてはエネルギー密度の向上が求められており、動作電圧の向上はエネルギー密度を向上させる有効な手段であるが、従来の電解液では耐電圧を向上することが不可能であり、より耐電圧の高い、電解質、溶媒が求められていた。キャパシタの静電エネルギーは、耐電圧の2乗に比例するので、少しの耐電圧の向上であっても切望されている。より耐電圧の高い溶媒としてエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートが挙げられるが、誘電率の低いこれらの溶媒には従来のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートやN,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムテトラフルオロボレート等といった電解質は溶解度が低く、電解液としては使用できないレベルであった。
近年、融点を常温近傍にもつ塩、或いは融点が常温以下である塩(常温溶融塩)が見出されている。こうした塩は常温において固体であっても通常の電解質に比べて高濃度に有機溶媒に溶解することが知られている。また常温溶融塩は特定の有機溶媒とは任意の割合でまざり合う。それゆえ、従来の固体状電解質を有機溶媒に溶解しても達成できなかった高濃度の電解液が得られ、しかも高濃度でありながら低温環境下でも塩が析出するといった問題が生じにくい。さらに常温溶融塩は塩そのものが液体であるため、塩単体を電解液として使用することも可能である。しかしながらこれら常温溶融塩でも、誘電率の低い溶媒への溶解性は大きくなく、二層に分離するものが多い。エチルメチルイミダゾールといった耐電圧の低い芳香族系常温溶融塩ではなく、耐電圧の高い脂肪族系常温溶融塩は鎖状カーボネートの持つ高い耐電圧を有効利用できるポテンシャルを持ちながら、溶解性が低く満足できる電解液にはなり得ていない。
例えば、テトラアルキルアンモニウム塩と電気伝導性に関して開示されている(非特許文献1参照)。しかし、より電気伝導度や耐電圧の満足できるものが望まれている。
Ue et al., J. Electrochem. Soc. 141(2989) 1994
本発明の課題は、低温での信頼性に優れ、耐電圧の高い電解液及び電気化学デバイスを提供することにある。
本発明は以下の発明に係る。
1.式(1)で表される第4級アンモニウム塩。
Figure 2006193460
(式中、R〜Rは、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基又はイソプロポキシメチル基を示す。XはPF を示す。)
2.式(1)で表される第4級アンモニウム塩の少なくとも1種と、有機溶媒とを含んでなることを特徴とする組成物。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩及びこれを含有する電解液は、有機溶媒への溶解性に優れ、低温での信頼性に優れ、電気伝導度が高く、電気化学デバイスの電解液として好適である。
本発明は、式(1)で表される第4級アンモニウム塩に係り、またこれを含む電解液に係る。
Figure 2006193460
(式中、R〜Rは、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基又はイソプロポキシメチル基を示す。XはPF を示す。)
〜Rで示される炭素数1から3の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基を挙げることができる。好ましくは、メチル基又はエチル基が良い。
で示される基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基及びイソプロポキシメチル基を挙げることができる。好ましくは、メトキシメチル基又はエトキシメチル基が良い。
本発明の第4級アンモニウム塩としては、N−メトキシメチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エチル−N−メトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N−ジエチル−N−メトキシメチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N−トリエチル−N−メトキシメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メトキシメチル−N,N−ジメチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メトキシメチル−N,N−ジメチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エチル−N−メトキシメチル−N−メチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エチル−N−メトキシメチル−N−メチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、
N−エトキシメチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N,N―ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N,N−ジメチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N,N−ジメチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N−エチル−N−メチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N−エチル−N−メチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、
N−n−プロポキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−n−プロポキシメチル−N,N―ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−n−プロポキシメチル−N,N−ジメチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−n−プロポキシメチル−N,N−ジメチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−n−プロポキシメチル−N−エチル−N−メチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−n−プロポキシメチル−N−エチル−N−メチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−iso−プロポキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−iso−プロポキシメチル−N,N―ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−iso−プロポキシメチル−N,N−ジメチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−iso−プロポキシメチル−N,N−ジメチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−iso−プロポキシメチル−N−エチル−N−メチル−N−n−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−iso−プロポキシメチル−N−エチル−N−メチル−N−iso−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを挙げることができる。
好ましくは、N−エチル−N−メトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N−ジエチル−N−メトキシメチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N,N―ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートが良い。
より好ましくは、N−エチル−N−メトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N−ジエチル−N−メトキシメチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシメチル−N,N―ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートが良い。
本発明で使用する第4級アンモニウム塩は種々の方法で製造される。その代表的な合成方法を下記反応式で示す。
Figure 2006193460
式(4)で表される3級アミン(R〜Rは上記と同じ)と式(5)で表される化合物(Rは上記と同じでXはCl、Br、Iなどを示す)を反応させることにより、式(1a)で表される4級アンモニウム塩が製造され、次に式(1a)で表される第4級アンモニウム塩と式(6)で表される化合物との塩交換反応により、式(1)で表される第4級アンモニウム塩が製造できる。
式(6)において、Mは、H又はNa、K、Li等のアルカリ金属原子、Ca、Mg、Ba等のアルカリ土類金属原子、Ag等の金属原子を含む。
出発原料として用いられる式(4)で表される第3級アミン及び式(5)で表される化合物は、いずれも公知物質である。
式(4)で表される第3級アミンとしては、エチルジメチルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、ジメチルiso−プロピルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルメチルn−プロピルアミン、エチルメチルiso−プロピルアミン等を挙げることができる。
式(5)で表される化合物としては、クロロメチルメチルエーテル、ブロモメチルメチルエーテル、ヨードメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、ブロモメチルエチルエーテル、ヨードメチルエチルエーテル、クロロメチル−n−プロピルエーテル、ブロモメチル−n−プロピルエーテル、ヨードメチル−n−プロピルエーテル、クロロメチル−iso−プロピルエーテル、ブロモメチル−iso−プロピルエーテル、ヨードメチル−iso−プロピルエーテル等を挙げることができる。
式(4)で表される第3級アミンと式(5)で表される化合物の反応は、適当な溶媒中で行われる。
用いられる溶媒としては、式(4)で表される第3級アミン及び式(5)で表される化合物を溶解し得、反応に悪影響を及ぼさない溶媒である限り、公知のものを広く使用できる。このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等を挙げることができる。
好ましくは、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセトン等のケトンが良い。斯かる溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
これらの溶媒は、好ましくは、無水溶媒(水分1000ppm以下)が良い。
式(5)で表される化合物は、式(4)で表される第3級アミン1モルに対して、通常0.5〜5モル、好ましくは0.9〜1.2モル使用する。該反応は、通常−30〜100℃において行われ、好ましくは−10〜40℃にて行われる。一般に数時間〜24時間程度反応させる。
上記反応で得られる式(1a)で表される第4級アンモニウム塩と式(6)で表される化合物との反応は、通常の塩交換反応により行われる。
原料として用いられる式(6)で表される化合物は、公知化合物である。例えば、HPF、LiPF、NaPF、KPF、AgPF等を挙げることができる。
この塩交換反応は、適当な溶媒中で行われる。使用される溶媒としては、式(1a)で表される第4級アンモニウム塩及び式(6)で表される化合物を溶解し得、反応に悪影響を及ぼさない溶媒である限り、公知のものを広く使用できる。
このような溶媒としては、例えば、水;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル:ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
好ましくは、メタノール等の低級アルコール類;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素:水が良い。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
塩交換反応は、イオン交換樹脂を用いて行うこともできる。イオン交換樹脂としては、例えば、アニオン交換樹脂を挙げることができる。
塩交換反応は、該樹脂中のアニオンを予め目的とするアニオンへ交換しておき、式(1a)で表される第4級アンモニウム塩を溶解した溶液を該樹脂中に通すことで達成できる。ここで使用される溶媒は、式(1a)を溶解でき、且つ塩交換反応に悪影響を及ぼさない限り公知のものを広く使用できる。このような溶媒としては、例えば、水、アルコール類等を挙げることができる。
式(6)で表される化合物は、式(1a)で表される第4級アンモニウム塩1モルに対して、通常0.3〜5モル、好ましくは0.9〜1.2モル使用する。該反応は、通常速やかに進行するので、例えば、両者を溶媒に溶解した溶液を5℃〜150℃で10分〜24時間程度反応させる。
上記各反応で得られる目的物は、通常の分離手段、例えば、遠心分離、濃縮、洗浄、有機溶媒抽出、クロマトグラフィー、再結晶等の慣用の単離及び精製手段により、反応混合物から容易に単離、精製される。
またハロゲンの混入を嫌う用途の場合、一度ハロゲン塩を中和、塩交換した後、更に目的に応じた塩に変換することで、ハロゲンの混入を削減することもできる。
中和剤としては、各種アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アルカリ金属塩、銀塩等を挙げることができる。具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、硫酸銀、硝酸銀、過塩素酸銀等を挙げることができる。
反応形式は、先の式(1)で表される第4級アンモニウム塩を合成する手法にて行うことができ、更に続く目的に応じた塩へ変換する手法も式(1)で表される第4級アンモニウム塩を合成する手法を適用できる。
塩交換反応は、イオン交換樹脂を用いて行うこともできる。イオン交換樹脂としては、例えば、アニオン交換樹脂を挙げることができる。
塩交換反応は、該樹脂中のアニオンを予め目的とするアニオンへ交換しておき、式(1a)で表される第4級アンモニウム塩を溶解した溶液を該樹脂中に通すことで達成できる。ここで使用される溶媒は、式(1a)を溶解でき、且つ塩交換反応に悪影響を及ぼさない限り公知のものを広く使用できる。このような溶媒としては、例えば、水、アルコール類等を挙げることができる。
式(1a)で表される第4級アンモニウム塩からXがPFを示す式(1)で表される第4級アンモニウム塩を製造する場合の反応条件を具体的に示す。
式(1a)で表される第4級アンモニウム塩をジクロロメタンに溶解し、この溶液に所定量のソディウムヘキサフルオロホスフェート水溶液を添加し、5℃〜150℃で30分程度反応させる。反応により生成する有機層を抽出し、水にて洗浄を繰り返す。抽出層を減圧濃縮し、乾燥することにより、目的化合物を単離することができる。
上記式(1)で表される第4級アンモニウム塩の含水分量は、100ppm以下であることが好ましい。より好ましくは50ppm以下、さらにより好ましくは30ppm以下であり、特に好ましいのは10ppm以下である。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩の中で、常温で液状を示す常温溶融塩は、該塩そのものを電解液として好適に使用され得る。この場合、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
また、本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩は、適当な有機溶媒に混合することにより電解液として好適に使用され得る。この場合、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒としては、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
具体的には、例えば、以下の化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられ、好ましくは、プロピレンカーボネートが良い。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルノルマルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ノルマルブチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルノルマルプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ノルマルブチルエチルカーボネート、ジノルマルプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジノルマルブチルカーボネートなどが挙げられ、好ましくは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが良い。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチルなどが挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシエタンなどが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
鎖状エステルとしては、メチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルホルメートなどが挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリルなどが挙げられる。
アミド化合物としては、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
スルホン化合物としては、スルホラン、メチルスルホランなどが挙げられる。
好ましくは、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ニトリル化合物、スルホン化合物が良い。
これらの溶媒は1種類でも2種類以上を混合してもよい。
混合有機溶媒としては、例えば、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステル、鎖状炭酸カーボネート同士、スルホラン化合物同士を挙げることができる。
環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート等を挙げることができる。
鎖状炭酸カーボネート同士としては、例えば、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等を挙げることができる。
スルホラン化合物同士としては、例えば、スルホランとメチルスルホラン等を挙げることができる。
好ましくは、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等を挙げることができる。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩からなる電解質を上記有機溶媒と混合して使用する場合、電解質濃度は、0.1M以上、より好ましくは0.5M以上、さらに好ましくは1M以上とするのが良い。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩や該塩を上記有機溶媒に溶解した溶液は、電気化学デバイス用電解液として使用することができる。
電気化学デバイスとしては、例えば、電気二重層キャパシタ、二次電池等を挙げることができる。本発明の電解質又は電解液は、公知の電気二重層キャパシタ及び二次電池に使用されている電解質又は電解液と同じように使用できる。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩からなる電解質を上記有機溶媒と混合し、電気化学デバイス用電解液として使用する場合、電解質濃度は、0.1M以上、より好ましくは0.5M以上、さらに好ましくは1M以上とするのが良い。電解質濃度が0.1Mに満たない場合には、電気伝導性が低くなり、電気化学デバイスの性能を低下させてしまう虞がある。電解質濃度の上限は、常温で液体の第4級アンモニウム塩については、有機溶媒と分離する濃度であり、有機溶媒と分離しない場合は100%である。また、常温で固体の第4級アンモニウム塩については、該塩が有機溶媒に飽和する濃度を上限である。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩を用いて電気化学デバイス用電解液を調製することができる。本発明で得られる電解液は、電気エネルギーを物理的な作用又は化学的な作用により蓄電できる電気化学デバイスに使用でき、例えば、電気二重層キャパシタ及び二次電池に好適に使用できる。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩を用いた電気二重層キャパシタ用電解液の調製方法を以下に説明する。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩が液体の場合には、それ自身を電解液として使用でき、また、該塩を適当な有機溶媒と混合して使用することができる。電気二重層キャパシタ用電解液を調製するに当っては、水分が電気二重層キャパシタの性能に悪影響を与える為、大気が混入しない環境、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気のグローブボックス内において調製することが好ましい。作業環境の水分を露点計で管理することができる。露点が−60℃以下になるように、作業環境を設定するのが好ましい。露点が−60℃を超えた場合、作業時間が長くなると、電解液が雰囲気中の水分を吸収する為、電解液中の水分が上昇するので好ましくない。電解液中の水分は、カールフィッシャー水分計で測定することができる。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩を有機溶媒に溶解した溶液を電気化学デバイス用電解液として使用する場合、上述した通り電解質濃度は、電解液の電気伝導性の観点から、好ましくは0.1M以上、より好ましくは0.5M以上、特に好ましくは1M以上である。電解質濃度の上限は、電解質の析出及び分離を生じない限り限定されない。
有機溶媒としては、上述した種々の溶媒を使用することができるが、溶媒の種類によって誘電率、粘性、融点等の物性が異なるため、使用する有機溶媒の種類と本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩の種類に応じて、これらの混合組成を決定するのが好ましい。
例えば、N−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネートからなる電解液の場合、N−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの組成は30〜80重量%が好ましく、更に好ましくは35〜70重量%である。N−エトキシメチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネートからなる電解液の場合、N−エトキシメチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの組成は25〜100重量%が好ましく、更に好ましくは30〜90重量%である。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩は、二次電池用電解液、特にリチウム二次電池用電解液に使用することもできる。電気二重層キャパシタ用電解液の調製時と同様に、水分がリチウム二次電池特性に悪影響を与えるため、調製作業をおこなう作業環境としては、露点が管理されたグローブボックス内が好ましい。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩は、それ自体が液体の場合は、第4級アンモニウム塩にリチウム塩を溶解させることにより電解液が得られる。また、本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩を適当な有機溶媒と混合し、この混合物にリチウム塩を溶解させることにより電解液が得られる。
リチウム塩は、六フッ化リン酸リチウム、硼フッ化リチウム、過塩素酸リチウム、トリフロロメタンスルホン酸リチウム、スルホニルイミドリチウム、スルホニルメチドリチウムなど、種々のリチウム塩を使用できる。リチウム塩の析出が生じない限り、その種類は特に限定されない。
リチウム塩濃度は、通常0.1〜2.0モル、好ましくは0.15〜1.5モル、さらに好ましくは0.2〜1.2モル、特に好ましくは0.3〜1.0である。リチウム塩濃度が0.1モルに満たない場合は、充放電レートが大きい場合に電極近傍においてリチウムイオンの枯渇が生じ、充放電特性が低下する虞がある。また、リチウムイオン濃度が2.0モルを超えると電解液の粘度が高くなり、電気伝導性が低くなってしまう虞がある。
本発明においては、リチウム塩を形成するアニオンに、BF が含まれていることが好ましい。理由は定かではないが、テトラフルオロボレートを含む場合には正極集電体として使用されるアルミニウムの表面に不働態皮膜が形成され、アルミニウムの溶出を抑制できるためではないかと考えられる。BF の含有量イオン数は、電解液中の全アニオン数の0.5%以上になるように調製するのが好ましく、0.8%以上になるように調製するのがより好ましい。上限濃度は、BF の含有イオン数が電解液中の全アニオン数の100%である。
また、第4級アンモニウム塩は、適当な有機溶媒に混合することにより電解液として好適に使用され得る。この場合、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒としては、前記と同様の環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
また、電解液は、有機溶媒である鎖状炭酸エステルに混合することにより特に好適に使用され得る。この場合、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられ、好ましくは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが良い。
これらの溶媒は1種類でも2種類以上を混合してもよい。
混合有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等を挙げることができる。
本発明で使用される電解液は、特定の有機添加剤を含有するのが好ましい。
特定の有機添加剤としては、例えば、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチレントリチオカーボネート、ビニレントリチオカーボネート、エチレンサルファイト等を挙げることができる。これらの中で、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネートが好ましい。これらの有機添加剤は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
上記特定の有機添加剤を含むことにより、リチウム二次電池負極表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)として知られるリチウムイオン選択的透過膜が形成され、第4級アンモニウム塩を形成するアンモニウムカチオンの分解及び負極材料への挿入を抑制でき、その結果、リチウム二次電池に安定した充放電特性を与えることができる。
上記特定の有機添加剤は、希釈剤としての機能も併せ持つ物質が含まれている。
これら特定の有機添加剤の含有量は、全電解液重量に対する該有機添加剤の割合が、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%である。特定の有機添加剤の含有量が1重量%未満の場合、負極表面に十分な皮膜が形成されず、第4級アンモニウム塩を形成するアンモニウムカチオンの分解及び負極材料への侵入を抑制できなくなる虞がある。
上記で得られる本発明の電解液を用いて電気二重層キャパシタを好適に作製できる。この電気二重層キャパシタの一例としては、例えば、図1に示すようなものを挙げることができる。電気二重層キャパシタの形状は図1のようなコイン型に限定されるものではなく、缶体中に電極を積層して収納されてなる積層型、捲回して収納されてなる捲回型、又はアルミラミネート中にパッキングされてなるラミネート型と称されるものであってもよい。以下、一例としてコイン型電気二重層キャパシタの構造について説明する。
図1は、コイン型電気二重層キャパシタの断面を示す図面である。電極1、2がセパレータ3を介して対向配置され、容器体4、5に収納されている。電極は、活性炭等の炭素材料からなる分極性電極部分と集電体部分とからなる。容器体4、5は、電解液によって腐食されなければよく、例えば、ステンレス鋼、アルミ等からなる。容器体4、5は、絶縁性のガスケット6により電気的に絶縁されており、同時に金属製缶体内部を密封し、缶体外部からの水分や空気が浸入しないようになっている。電極1の集電体及び容器体4、並びに電極2の集電体と金属製のスペーサー7は、それぞれ金属製のスプリング8の存在により適度な圧力で接触しており、電気的接触を保っている。電気伝導性を高めるために、集電体をカーボンペースト等の導電性ペーストを用いて接着してもよい。
分極性電極材料は、比表面積が大きく、電気伝導性が高い材料であることが好ましく、また使用する印加電圧の範囲内で電解液に対して電気化学的に安定であることが必要である。このような材料としては、例えば、炭素材料、金属酸化物材料、導電性高分子材料等を挙げることができる。コストを考慮すると、分極性電極材料は、炭素材料であるのが好ましい。
炭素材料としては、活性炭材料が好ましく、具体的には、おがくず活性炭、やしがら活性炭、ピッチ・コークス系活性炭、フェノール樹脂系活性炭、ポリアクリロニトリル系活性炭、セルロース系活性炭等を挙げることができる。
金属酸化物系材料としては、例えば、酸化ルテニウム、酸化マンガン、酸化コバルト等を上げることができる。
導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール膜、ポリチオフェン膜、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)膜等を挙げることができる。
電極は、上記分極性電極材料を結着剤と共に加圧成型するか、又は上記分極性電極材料を結着剤と共にピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものをアルミニウム箔等の集電体に塗工後、乾燥して得ることができる。
セパレータとしては、電子絶縁性が高く、電解液の濡れ性に優れイオン透過性が高いものが好ましく、また、印加電圧範囲内において電気化学的に安定である必要がある。セパレータの材質は、特に限定は無いが、レーヨンやマニラ麻等からなる抄紙;ポリオレフィン系多孔質フィルム;ポリエチレン不織布;ポリプロピレン不織布等が好適に用いられる。
上記で得られる本発明の電解液を用いてリチウム二次電池を好適に作成できる。本発明のリチウム二次電池の形態は、コイン型、円筒型、角型、ラミネート等を挙げることができる。本発明のリチウム二次電池の一例としては、例えば、図2に示すコイン型セルの形態を挙げることができる。以下、図2に基づいてリチウム二次電池を説明する。
正極缶14と負極缶15とで形成される内部空間に、正極缶14側から正極11、セパレータ13、負極12、スペーサー17の順に積層された積層体が収納されている。負極缶15とスペーサー17との間にスプリング18を介在させることによって、正極11と負極12を適度に圧着固定している。電解液は、正極11、セパレータ13及び負極12の間に含浸されている。正極缶14及び負極缶15の間にガスケット16を介在させた状態で、正極缶14及び負極缶15をかしめることによって両者を結合し、上記積層体を密閉状態にしている。
正極活物質として、例えば、LiCoO、LiNiO、LiNi1−xCo、LiNi1−y−zCoMn、LiNi0.5Mn0.5、LiMnO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等のリチウムと遷移金属との複合酸化物;TiO、V等の酸化物;TiS、FeS等の硫化物等を挙げることができる。電池容量・エネルギー密度の観点からリチウムと遷移金属との複合酸化物が好ましい。
上記において、1>x>0、1>y>0、1>z>0、y+z<1である。
正極は、これらの正極活物質を、公知の導電助剤及び結着剤と共に加圧成型することにより、又は正極活物質を公知の導電助剤及び結着剤と共にピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものをアルミニウム箔等の集電体に塗工後、乾燥することにより得ることができる。
負極活物質には、リチウム金属、リチウム金属と他金属との合金、リチウムイオンが挿入脱離する材料が使用される。リチウム金属と他金属との合金としては、Li−Al、Li−Sn、Li−Zn、Li−Si等を挙げることができる。リチウムイオンが挿入脱離する材料としては、樹脂及びピッチ等を焼成したカーボン材料、これらのカーボン材料にホウ素化合物を添加したカーボン材料、天然黒鉛等を挙げることができる。これらの負極材料は、1種単独で、又は2種以上を混合して使用される。
負極は、これらの負極活物質を、公知の導電助剤及び結着剤と共に加圧成型することにより、又は負極活物質を公知の導電助剤及び結着剤と共にピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものを銅箔等の集電体に塗工後、乾燥することにより得ることができる。
セパレータとしては、電解液が通過しやすく、絶縁体で、化学的に安定な材質である限り、特に限定はない。
本発明の式(1)で表される第4級アンモニウム塩及びこれを含有する電解液は、電気伝導性が高く、有機溶媒に対する溶解性が高く、電気化学デバイスの電解液として好適である。電気化学デバイスとしては、例えば、電気二重層キャパシタ、二次電池、色素増感型太陽電池、エレクトロクロミック素子、コンデンサ等が例示されるが、これらに限定されない。特に好適な電気化学デバイスは、電気二重層キャパシタ及び二次電池である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。
実施例1 N−エトキシメチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの合成
トリメチルアミン(試薬:Aldrich製)40.2gを無水アセトン(試薬:関東化学製)342gに溶解し、窒素置換した。5℃下クロロメチルエチルエーテル(試薬:東京化成製を蒸留精製)64.0gを1時間で滴下した。次いで、15℃以下にて4時間攪拌し、反応を終了した。5℃まで冷却し、生成した固体を窒素下濾別した。650gのアセトンにて洗浄した後、減圧乾燥し、88.0gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.30(t 3H),3.11(s 9H),3.92(q 2H),4.69(s 2H)
続いて、上記で製造したN−エトキシメチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド50.0gを50.0gの脱イオン水に溶解した。室温にてヘキサフルオロリン酸ナトリウム55.64gを添加し、塩交換を行った。室温にて1時間攪拌し反応を終了した。反応液にジクロロメタン50.0gを添加し、抽出した。脱イオン水50gにて15回洗浄を行った後、乾燥し、68.51gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.29(t 3H),3.04(s 9H),3.89(q 2H),4.58(s 2H)
実施例2 N−エチル−N−メトキシメチル−N、N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの合成
エチルジメチルアミン(試薬:東京化成製)82.84gを脱水アセトン(試薬:和光純薬製)522gに溶解し、窒素置換した。5℃下クロロメチルメチルエーテル(試薬:東京化成製を蒸留精製)92.42gを2時間で滴下した。次いで、15℃以下にて5時間攪拌し、反応を終了した。5℃まで冷却し、生成した固体を窒素下濾別した。350gのアセトンにて洗浄した後、減圧乾燥し、165.49gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.36(m 3H),3.04(s 6H),3.41(q 2H),3.68(s 3H),4.63(s 2H)
続いて、上記で製造したN−エチル−N−メトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド50.0gを50.0gの脱イオン水に溶解した。室温にてヘキサフルオロリン酸ナトリウム54.7gを添加し、塩交換を行った。室温にて1時間攪拌し反応を終了した。反応液にジクロロメタン50.0gを添加し、抽出した。脱イオン水50gにて15回洗浄を行った後、乾燥し、68.5gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.33(m 3H),2.98(s 6H),3.36(q 2H),3.65(s 3H),4.54(s 2H)
実施例3 N−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの合成
エチルジメチルアミン(試薬:東京化成製)24.7gを脱水2−ブタノン(試薬:和光純薬製)220gに溶解し、窒素置換した。5℃下クロロメチルエチルエーテル(試薬:東京化成製を蒸留精製)31.6gを1時間で滴下した。次いで、15℃以下にて5時間攪拌し、反応を終了した。5℃まで冷却し、生成した固体を窒素下濾別した。200gのアセトンにて洗浄した後、減圧乾燥し、52.1gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.33(m 6H),3.03(s 6H),3.41(q 2H),3.89(q 2H),4.67(s 2H)
続いて、上記で製造したN−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド50.0gを50.0gの脱イオン水に溶解した。室温にてヘキサフルオロリン酸ナトリウム50.09gを添加し、塩交換を行った。室温にて1時間攪拌し反応を終了した。反応液にジクロロメタン50.0gを添加し、抽出した。脱イオン水50gにて15回洗浄を行った後、乾燥し、66.13gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.31(m 6H),2.98(s 6H),3.36(q 2H),3.87(q 2H),4.59(s 2H)
実施例4 N,N−ジエチル−N−メトキシメチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの合成
N,N−ジエチル−N−メチルアミン(試薬:東京化成製を精留により精製)52.3gを307gの脱水2−ブタノン(試薬:和光純薬製)に溶解し、窒素置換した。5℃下クロロメチルメチルエーテル(試薬:東京化成製を精留精製)48.2gを1.75時間で滴下した。5〜10℃にて5時間攪拌し反応を終了した。反応液を濾別し、得られた個体を300gの冷2−ブタノンにて洗浄した。減圧乾燥し、88.3gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.33(m 6H),2.97(s 3H),3.38(m 4H),3.65(s 3H),4.59(s 2H)
続いて、上記で製造したN,N−ジエチル−N−メトキシメチル−N−メチルアンモニウムクロライド50.1gを50.2gの脱イオン水に溶解した。室温にてヘキサフルオロリン酸ナトリウム50.8gを添加し、塩交換を行った。室温にて1時間攪拌し反応を終了した。反応液にジクロロメタン50.0gを添加し、抽出した。脱イオン水50gにて15回洗浄を行った後、乾燥し、58.3gの目的物(薄黄色液体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.30(m 6H),2.91(s 3H),3.33(m 4H),3.62(s 3H),4.50(s 2H)
実施例5 N−エトキシメチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの合成
N,N−ジエチル−N−メチルアミン(試薬:東京化成製を精留により精製)51.8gを327gの脱水2−ブタノン(試薬:和光純薬製)に溶解し、窒素置換した。5℃下クロロメチルエチルエーテル(試薬:東京化成製を精留精製)56.0gを1.5時間で滴下した。5〜10℃にて5.5時間攪拌し反応を終了した。5℃にて2−ブタノン層を分液し、得られた液体を120gの2−ブタノンで洗浄した。減圧乾燥し、39.7gの目的物(薄黄色液体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.33(m 9H),2.98(s 3H),3.38(m 4H),3.86(q 2H),4.66(s 2H)
続いて、上記で製造したN−エトキシメチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド50.1gを50.2gの脱イオン水に溶解した。室温にてヘキサフルオロリン酸ナトリウム46.3gを添加し、塩交換を行った。室温にて1時間攪拌し反応を終了した。反応液にジクロロメタン50.0gを添加し、抽出した。脱イオン水50gにて15回洗浄を行った後、乾燥し、59.6gの目的物(薄黄色液体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.30(m 9H),2.92(s 3H),3.33(m 4H),3.83(q 2H),4.57(s 2H)
実施例6 N−エトキシメチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートの合成
トリエチルアミン(試薬:東京化成製を精留精製)71.6gを459gの無水アセトン(試薬:関東化学製)に溶解し、窒素置換した。0℃下クロロメチルエチルエーテル(試薬:東京化成製を精留精製)66.6gを1時間で滴下した。5〜10℃にて5時間攪拌し反応を終了した。反応液を濾過し、得られた固体を650gのアセトンで洗浄した。減圧乾燥し、74.6gの目的物(白色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.31(m 12H),3.34(q 6H),3.83(q 2H),4.62(s 2H)
続いて、上記で製造したN−エトキシメチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロライド50.0gを50.0gの脱イオン水に溶解した。室温にてヘキサフルオロリン酸ナトリウム42.91gを添加し、塩交換を行った。室温にて1時間攪拌し反応を終了した。反応液にジクロロメタン50.0gを添加し、抽出した。脱イオン水50gにて15回洗浄を行った後、乾燥し、62.38gの目的物(薄黄色固体)を得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.29(m 12H),3.31(q 6H),3.81(q 2H),4.56(s 2H)
実施例7
実施例1で製造したN−エトキシメチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)とを、種々濃度で、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。混合濃度は表1に掲げる通りとし、各種組成物の電気伝導度を測定した。
<混合状態の観察>
上記各種組成物を、ドライボックス内で4ccずつ、スクリュー栓が付いたガラス容器に移し、ドライボックスの外に取り出した。各種溶液が入ったガラス容器を恒温槽に浸漬し、25℃、0℃、−30℃でそれぞれ5時間保持し、目視で状態を確認した。表において、「−」は二層分離を、「固」は固体状態を示す。
<電気伝導度の測定>
混合状態の観察後、分離していない、或いは固化していない液体状態の組成溶液について、再度ドライボックス内から溶液を取り出し電気伝導度を測定した。電気伝導度の測定には、導電率計(CDM210 Radiometer社製)を使用した。測定セルにはXE−100(Radiometer社製)を使用した。
Figure 2006193460
実施例8
実施例2で製造したN−エチル−N−メトキシメチル−N、N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)とを、種々濃度で、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。混合濃度は表2に掲げる通りとし、実施例7と同様に各種組成物の電気伝導度を測定した。
Figure 2006193460
実施例9
実施例4で製造したN,N−ジエチル−N−メトキシメチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)とを、種々濃度で、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。混合濃度は表3に掲げる通りとし、実施例7と同様に各種組成物の電気伝導度を測定した。
Figure 2006193460
実施例10
実施例5で製造したN−エトキシメチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)とを、種々濃度で、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。混合濃度は表4に掲げる通りとし、実施例7と同様に各種組成物の電気伝導度を測定した。
Figure 2006193460
実施例11
実施例6で製造したN−エトキシメチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)とを、種々濃度で、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。混合濃度は表5に掲げる通りとし、実施例7と同様に各種組成物の電気伝導度を測定した。
Figure 2006193460
実施例12
実施例1で製造したN−エトキシメチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートをジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:1(共にキシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)の混合溶液に濃度が1.5Mになるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。実施例7と同様に電気伝導度を測定し結果を表6に示す。
Figure 2006193460
実施例13
実施例2で製造したN−エチル−N−メトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートをジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:1(共にキシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)の混合溶液に濃度が1.5Mになるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。実施例7と同様に電気伝導度を測定し結果を表7に示す。
Figure 2006193460
実施例14
実施例3で製造したN−エトキシメチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートをジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:1(共にキシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)の混合溶液に濃度が1.5Mになるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。実施例7と同様に電気伝導度を測定し結果を表8に示す。
Figure 2006193460
実施例15
実施例4で製造したN,N−ジエチル−N−メトキシメチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートをジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:1(共にキシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)の混合溶液に濃度が1.5Mになるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。実施例7と同様に電気伝導度を測定し結果を表9に示す。
Figure 2006193460
実施例16
実施例5で製造したN−エトキシメチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートをジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:1(共にキシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)の混合溶液に濃度が1.5Mになるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。実施例7と同様に電気伝導度を測定し結果を表10に示す。
Figure 2006193460
実施例17
実施例6で製造したN−エトキシメチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートをジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:1(共にキシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)の混合溶液に濃度が1.5Mになるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。実施例7と同様に電気伝導度を測定し結果を表11に示す。
Figure 2006193460
<電気二重層キャパシタの製造>
実施例18
実施例5で製造したN−エトキシメチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)とを、混合組成が重量比で50:50となるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。
上記電解液を使用して図1の構造を有する電気二重層キャパシタを製造した。電極1及び電極2は、活性炭を主成分とする電導性物質、バインダー、N−メチルピロリドンとともに混練して得られたペーストをアルミニウム箔に150μmの厚さで塗工後、乾燥して得られたシート状電極を円板状に切り出したものである。容器体1、容器体2、スペーサー、スプリングは共にステンレス鋼製であり、セパレータは、ポリプロピレン不織布である。電気二重層キャパシタの組み立てはアルゴンガスを満たしたグローブボックス内でおこなった。電極1、電極2、容器体1、容器体2、スプリング、スペーサーは120℃の加熱下、24時間真空乾燥した後、グローブボックス内に持ち込んだ。上記調製した電解液を電極1、電極2、セパレータに含浸させ、図1の構成で容器体1と容器体2をガスケットを介してかしめることによって電気二重層キャパシタを得た。
実施例19
実施例6で製造したN−エトキシメチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートとエチルメチルカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)とを、混合組成が重量比で50:50となるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。実施例18において使用した電解液に代えて、本実施例において上記調製した電解液を使用した以外は、実施例18と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
比較例1
N,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムクロライド(試薬:東京化成製)100gをメタノール100gに溶解し、30wt%HBFのメタノール溶液200.0gを添加した。30分攪拌するとN,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムテトラフルオロボレートの結晶が析出した。溶液を濾過後、結晶をイソプロピルアルコールで洗浄してから、130℃の加熱下、窒素気流中にて乾燥し、副生した塩化水素と過剰のHBFおよびメタノール、イソプロピルアルコールを除き目的物(白色固体)127.1gを得た。
H−NMR(CDOD)δppm:
1.31(m 9H),2.95(S 3H),3.34(q 6H)
上記で製造したN,N,N−トリエチル−N−メチルアンモニウムテトラフルオロボレートをプロピレンカーボネート(キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)に濃度が1.5Mになるように、露点が−60℃以下の窒素雰囲気ドライボックス内で混合調液した。混合後の溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。
実施例18において使用した電解液に代えて、本比較例において調製した上記電解液を使用した以外は、実施例18と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
Figure 2006193460
本発明の電気二重層キャパシタの断面図である。 本発明のリチウム二次電池の断面図である。
符号の説明
1 電極
2 電極
3 セパレータ
4 容器体
5 容器体
6 ガスケット
7 スペーサー
8 スプリング
11 正極
12 負極
13 多孔質セパレータ
14 正極缶
15 負極缶
16 ガスケット
17 スペーサー
18 スプリング

Claims (12)

  1. 式(1)で表される第4級アンモニウム塩。
    Figure 2006193460
    (式中、R〜Rは、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基又はイソプロポキシメチル基を示す。XはPF を示す。)
  2. 請求項1に記載の第4級アンモニウム塩の少なくとも1種と、有機溶媒とを含んでなることを特徴とする組成物。
  3. 有機溶媒が、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物及びスルホン化合物から選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
  4. 有機溶媒が、鎖状炭酸エステルであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  5. 鎖状炭酸エステルが、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートから選ばれる1種以上の鎖状炭酸エステルであることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
  6. 式(2)で表される電解質。
    Figure 2006193460
    (式中、R〜Rは、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基又はイソプロポキシメチル基を示す。XはPF を示す。)
  7. 式(3)で表される電解質。
    Figure 2006193460
    (式中、R〜Rは、炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基又はイソプロポキシメチル基を示す。XはPF を示す。但し、R〜Rが全て同一である場合を除く。)
  8. 請求項6〜7のいずれか1項記載の電解質の少なくとも1種と、有機溶媒とを含んでなることを特徴とする電解液。
  9. 有機溶媒が、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物及びスルホン化合物から選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とする請求項8に記載の電解液。
  10. 有機溶媒が、鎖状炭酸エステルであることを特徴とする請求項9に記載の電解液。
  11. 鎖状炭酸エステルが、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートから選ばれる1種以上の鎖状炭酸エステルであることを特徴とする請求項10に記載の電解液。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の電解液を用いたことを特徴とする電気化学デバイス。
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