JP2006192639A - 光沢インクジェット記録シート - Google Patents

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Abstract

【課題】キャスト処理等の表面処理を光沢発現層に施すことなく高い表面光沢を実現でき、さらに、顔料インクに対して高い発色性を実現することができる光沢インクジェット記録シートを提供する。
【解決手段】吸水性支持体の一方の面に、顔料と結着剤を含有するインク吸収層を少なくとも1層以上設け、さらにその上に顔料と結着剤を含有する光沢発現層を設けた、該光沢発現層をキャスト処理しない光沢インクジェット記録シートにおいて、該光沢発現層が設けられるインク吸収層の最上層の塗層表面pHが8.0以下であり、該光沢発現層を構成する主たる顔料がアルミナ水和物であり、かつ光沢発現層塗液の塗液pHが5.0以下であることを特徴とする光沢インクジェット記録シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光沢インクジェット記録シートに関し、さらに詳しくは、キャスト処理を最上層塗層表面に施すことなく高い表面光沢を実現でき、さらに、顔料インクに対して高い発色性を実現することができる光沢インクジェット記録シートに関する。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
記録シートに要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
インクジェット記録方式に使用される記録シートとして、通常の紙やインクジェット記録シートと称される、支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録シートが知られている。
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化、高性能化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなインクジェットプリンタの進歩に伴って、インクジェット記録シートも各種開発されてきている。このインクジェット記録シートに要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インク吸収性が高い)、(2)インクのニジミのないこと(インク吸収性が高い)、(3)インクドットの真円性が高いこと、(4)色濃度が高いこと、(5)印字部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
そのような光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合いを実現すべく、現在写真ライクな高画質画像をインクジェットプリンタで印字するために用意されているインクジェット記録シートとしては、基材に写真印画紙と同じ上質紙の両面に熱可塑性樹脂層を設けた樹脂被覆紙(いわゆるRC紙)あるいはバライタ紙を用いて、超微細顔料と透明性バインダー樹脂を主成分とする透明性の高いインク受理層を設けた光沢インクジェット記録シートと、上質紙等一般的な吸水性支持体を基材として、少なくともインク受理層と光沢発現層を設け、該光沢発現層を設けた後に、まだ該光沢発現層が湿潤状態にあるか、あるいは、水等により再湿潤状態にされた後、加熱された鏡面ドラムに圧接して強光沢を発現させるキャスト処理を施した光沢インクジェット記録シートの2種類が市場の大半を占めている。しかし、前記インクジェット記録シートは、非吸収性支持体であるRC紙あるいは吸水性が非常に低いバライタ紙を基材としているためインクの吸収容量を上げるためインク受理層の厚みを厚くしなければならず、また該インク受理層の厚みを厚くするために発生する塗層の亀裂を防ぐため、該インク受理層塗設後の乾燥を弱めにし時間をかけて乾燥する必要があり、その生産性は低くなってしまう。また、インクの吸収容量を上げる手段として、非吸水性支持体の上に同一のインク受理層を2層以上積層したり、あるいは非吸水性支持体上にインク吸収層を設けてからインク受理層を塗設する手段も考えられるが塗工行程が増える上、乾燥を弱めにすることはかわらず生産性が低いことにはかわりがないといった課題が残る。一方、後者のキャスト処理による光沢インクジェット記録シートでは、最上層の光沢発現層に亀裂が発生してしまうため、顔料インクを用いて印字をおこなった場合、インク顔料の亀裂への落ち込みが発生して印字濃度が低くなってしまう。また、加熱した鏡面ドラムの表面を光沢発現層へ転写するため、その生産速度も低く、また、鏡面ドラムの表面の状況によりピンホール等の塗層欠点が発生しやすいといった課題がある。
一方、その保存特性の高さにより、最近では、微細な顔料を水などの溶媒に分散させた顔料インクが用いられるようになってきている。顔料インクを用いた記録物は退色、変色が小さいなど耐久性に優れるため、写真館等での従来の写真の代替としての使用あるいはポスター等の掲示物としての使用などが広がっている。しかし、従来のインクジェット記録シートでは、顔料インクの発色性、吸収性と定着性の点で問題があった。そこで、吸水性支持体を基材としたインクの吸収容量が高く、顔料インクでの発色性も良好なキャスト処理によらない光沢インクジェット記録シートが望まれていた。
そこで、例えば、インク受容層を設けた基材の上に、酸化物粒子を含みかつpH3〜11である塗工液からなる層を積層したインクジェット記録シートが上記課題を解決する手段として提案されている(特許文献1)。しかし、本発明者らが確認したところ、特許文献1に記載されるpHの範囲は非常に広く、さらに、該塗工層を設けるインク受理層の塗層の表面pHに、上記顔料インクの発色性、吸収性と定着性が大きく影響されるといった課題が残ることが判明した。
一方、例えば、特開2004−330729号公報には、支持体に少なくとも2層のインク受容層を有するインクジェット記録シートであって、下層のインク受容層の膜面pHが6.5〜8.5であり、下層に接するすぐ上のインク受容層が、平均粒子径が1μm以下のシリカ、カチオン性樹脂、及びバインダー樹脂を含有し、かつ膜面pHが2〜5.5であるインクジェット記録シートが、写真印画紙調の光沢を有するインクジェット記録シートとして提案されている(特許文献2)。しかし、顔料インクという観点からは、乾燥時に発生するひび割れのレベルは不十分であり、特許文献2で問題にしている長さ50μmより短いひび割れがあると発色性が低下してしまう。
また、特開2003−159862号公報には、コロイダルシリカを含有する層の塗布液のpHを3.3〜6.0に規定したインクジェット記録シートが(特許文献3)、さらに、特開2001−347750号公報には、インク受容層表面の表面pHが3.0〜7.5であるインクジェット記録シートが提案されているが(特許文献4)、両者とも光沢性、特に後者にあっては、キャスト処理なしでの光沢性に課題が残っている。
特開2000−351267号公報 特開2004−330729号公報 特開2003−159862号公報 特開2001−347750号公報
本発明の目的は、キャスト処理を最上層である光沢発現層に施すことなく高い表面光沢を実現でき、さらに、顔料インクに対して高い発色性を実現することができる光沢インクジェット記録シートを提供することである。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)吸水性支持体の一方の面に、顔料と結着剤を含有するインク吸収層を少なくとも1層以上設け、さらにその上に顔料と結着剤を含有する光沢発現層を設けた、該光沢発現層をキャスト処理しない光沢インクジェット記録シートにおいて、該光沢発現層が設けられるインク吸収層の最上層の塗層表面pHが8.0以下であり、該光沢発現層を構成する主たる顔料がアルミナ水和物であり、かつ光沢発現層塗液の塗液pHが5.0以下であることを特徴とする光沢インクジェット記録シート。
(2)該光沢発現層の塗層表面pHを4.5以上に調整したことを特徴とする上記(1)記載の光沢インクジェット記録シート。
(3)該光沢発現層と接するインク吸収層を構成する主たる顔料が気相法シリカであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の光沢インクジェット記録シート。
本発明によれば、キャスト処理を最上層塗層表面に施すことなく高い表面光沢を実現でき、さらに、顔料インクに対して高い発色性を実現することができる光沢インクジェット記録シートを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光沢インクジェット記録シートは、吸水性支持体の一方の面に、顔料と結着剤を含有するインク吸収層を少なくとも1層以上設け、さらにその上に顔料と結着剤を含有する光沢発現層を設けた、該光沢発現層をキャスト処理しない光沢インクジェット記録シートにおいて、該光沢発現層が設けられるインク吸収層の最上層の塗層表面pHが8.0以下であり、該光沢発現層を構成する主たる顔料がアルミナ水和物であり、かつ光沢発現層塗液の塗液pHが5.0以下であることを特徴とする光沢インクジェット記録シートである。本発明における光沢インクジェット記録シートとは、JIS P 8142に規定される「紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法」に則って測定された表面光沢度が50%を超えるインクジェット記録シートをいう。
本発明における吸水性支持体としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗工紙、クラフト紙、含浸紙などを挙げることができるが、特に制限されず、好ましくは、いわゆる原紙を用いることができる。例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、と従来公知の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙である。該原紙をそのまま本発明の光沢インクジェット記録シートに係わる吸水性支持体としても良いし、さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていても良い。また、この様な原紙に、そのまま本発明に係るインク吸収層を設けてもよいし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を利用して平坦化処理をした後にインク吸収層を設けてもよい。さらに好ましくは、原紙のインク吸収層を設ける面の、JIS P 8140に規定されるコッブ法による吸水度Cobb30が10〜18g/m2である。
本発明の光沢インクジェット記録シートでは、吸水性支持体の一方の面に、顔料と結着剤を含有するインク吸収層が少なくとも1層以上設けられている。該顔料としては、従来公知の如何なるものも用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、チサンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、気相法シリカ、α,β,γ,δ−等のアルミニウム酸化物、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリスチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂の有機顔料等の白色顔料を一種類以上用いることができる。中でも、インク吸収性を向上させるには多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容量の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。通常これら顔料の平均粒子径は0.1〜20μmの範囲が好ましい。一方、光沢発現層まで設けた光沢インクジェット記録シートの光沢性をより向上させるには、該インク吸収層に含有する顔料として、平均一次粒子径が3〜40nmの無機微粒子が好ましく用いられる。該無機微粒子は、好ましくは平均二次粒子径が400nm以下のものである。
平均一次粒子径が3〜40nmであり、かつ平均二次粒子径が400nm以下の無機微粒子としては、例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、特開平10−181191号、特開平10−272833号、特開2001−199158号及び特開2002−331747号公報に記載されているような、機械的に粉砕した湿式法シリカ、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
インク吸収性と光沢性のバランスをとるためには、細孔容量の大きい多孔性無機微粒子と平均一次粒子径が3〜40nmの無機微粒子をバランスよく用いることが好ましく、両者を同一インク吸収層内で用いても良いし、それぞれを主たる顔料とする別々のインク吸収層として積層しても良い。積層する場合、多孔性無機微粒子含有インク吸収層の上に平均一次粒子径が3〜40nmの無機微粒子含有インク吸収層を積層することが、光沢性の向上のためにより好ましい。
該結着剤としては、例えば、天然高分子物質として、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、及びコーンスターチ等の澱粉類、ラミナラン、海藻マンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天、及びアルギン酸塩等の藻類から得られるもの、とろろあおい、やまいも、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、キャロブガム、及びベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、並びにサクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ糖類等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼイン、及びコラーゲン等のタンパク質等が挙げられる。
また、半天然物(半合成品)としては、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の繊維素誘導体、カルボキシメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びヒドロキシエチルグアーガム等の変性ガム、並びに前記天然高分子物質の加工或いは誘導体が挙げられる。
半合成品である加工澱粉としては、例えば、白色デキストリン、黄色デキストリン、及びブリディシュガム等の培焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可溶化澱粉等の酸分解澱粉、ジアルデヒドスターチ等の酸化澱粉、変性及び無変性アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、リン酸澱粉、脂肪酸澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉、及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、カルボキシアルキル澱粉、スルホアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、及びジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、及びジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリルアミド共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カチオン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉スチレンマレイン酸共重合体、及び澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体等の澱粉グラフト共重合体等が挙げられる。
合成品としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、及びポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合物、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルブタジエン共重合体(NBR)、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、及び塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。以上のバインダーは単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
本発明に係わるインク吸収層に含有される結着剤の配合量は、該インク吸収層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば特に制限されない。好ましくは、顔料100質量部に対して2〜100質量部である。
本発明のインク吸収層には、インクの定着性を向上させるためカチオン性化合物を含有することができる。カチオン性化合物としては、例えば、水溶性インク染料分である水溶性直接染料や水溶性酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミン基等と不溶な塩を形成する2級アミン、3級アミノ或いは4級アンモニウム塩を含有する化合物が挙げられる。カチオン性化合物は単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
本発明のインク吸収層には、更に、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明において、光沢発現層が設けられるインク吸収層の最上層、すなわち光沢発現層と接するインク吸収層の塗層表面pHが8.0以下であることが必須であり、好ましくは7.0以下であり、かつ4.0以上である。塗層表面pHを8.0以下とする手段としては、インク吸収層塗液の塗液pHを酸性側にするのが一般的であるが、塗層表面pHを決める要因としては塗液pH以外にも、吸水性支持体表面、あるいは、既設のインク吸収層の表面pHがある。故に、塗液pHと吸水性支持体表面、あるいは、既設のインク吸収層の表面pHとのバランスにより光沢発現層と接するインク吸収層の塗層表面pHを8.0以下とすることができる。具体的には、吸水性支持体表面あるいは既設のインク吸収層の表面pHがpH8以上のアルカリ側にあるときには塗液pHを5.0以下とかなり酸性側にする必要があるし、逆に吸水性支持体表面あるいは既設のインク吸収層の表面pHがpH8.0以下であるときには、塗液pHを極端に酸性側にする必要はない。インク吸収層塗液の塗液pHを酸性側とする手段としては、カチオン性化合物を添加してもよいし、硝酸等の無機酸あるいは乳酸等の有機酸などを添加してもよく、その手段は特に限定されない。しかし、無機酸の中でも2価の金属イオンを含むものは、金属イオンが顔料インクの発色性を阻害する可能性があり、添加することは必ずしも好ましくない。
さらに、塗設されたインク吸収層にカチオン性化合物、無機酸あるいは有機酸等酸性化合物の水溶液を直接適当量塗布し、乾燥して、インク吸収層の表面pHを8.0以下に調整してもよく、特に手段は限定されない。
本発明の光沢インクジェット記録シートにおいて、インク吸収層を2層以上積層することができる。その際、塗層の表面pHが8.0以下である必要があるインク吸収層は、その上に光沢発現層が設けられる最上層のインク吸収層であり、最上層より下のインク吸収層の表面pHの値は特に制限されない。
本発明において、インク吸収層あるいは光沢発現層の表面pHはJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.49−2:2000に規定される「紙−表面pH測定方法−第2部:指示薬法」に則って測定されたものであり、本発明者らは、(株)共立理化学研究所製「pH指示薬による紙面用pH測定セット」を用い、試験液、変色標準計を使用して表面pHを測定した。
本発明のインク吸収層の塗工量としては、1層あたり5〜40g/mの範囲であることが好ましい。この範囲にあれば、塗層の平滑性が確保され良好な光沢性を実現できるだけではなく、光沢発現層を設けた際、該光沢発現層に亀裂が入ることなく良好な発色性を実現する。
本発明に係わるインク吸収層の塗工方法としては、スライドホッパーコーティング方式、カーテンコーティング方法、エクストルージョンコーティング方式、エアーナイフコーティング方式、ブレードコーティング方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、及びグラビアコーティング方式、サイズプレスコーティング方式、スプレーコーティング方式等が挙げられる。これらコーティング方式は、オンマシン或いはオフマシンで行うことができる。また、塗工後にはカレンダーを用いて仕上げても良いが、その条件は、インク吸収性を阻害しない程度に留めるべきである。カレンダーの方法としては、マシンカレンダー方式、TGカレンダー方式、スーパーカレンダー方式、ソフトカレンダー方式、エンボスカレンダー方式等が挙げられる。
本発明における光沢発現層は、顔料と結着剤を含有する。本発明において、該顔料は、50質量%以上がアルミナ水和物である必要がある。アルミナ水和物を用い、かつ光沢発現層塗液の塗液pHを5.0以下とすることにより、本発明の光沢インクジェット記録シートは優れた光沢性と顔料インクの発色性を実現できる。
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al・nH
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明の光沢インクジェット記録シートには、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化学工業製)、アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業製)、M−200(以上、水澤化学工業製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル製)などを挙げることができる。
本発明における光沢発現層に含有する結着剤としては、インク吸収層に含有する結着剤と同様なものを適宜用いることができる。本発明に係わる光沢発現層に含有される結着剤の配合量は、該光沢発現層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば特に制限されない。好ましくは、顔料100質量部に対して2〜100質量部である。さらに好ましくは、2〜50質量部である。
本発明の光沢インクジェット記録シートにおいて、光沢発現層塗液の塗液pHを5.0以下にすることが必須であり、さらに好ましくは4.0以下であり、かつ2.0以上である。塗液pHを5.0以下に調整した、アルミナ水和物を主たる顔料として含有する光沢発現層を、塗層表面pHが8.0以下に調整されたインク吸収層上に塗布し、乾燥することにより、本発明の光沢インクジェット記録シートは高い表面光沢性と顔料インクにおける高い発色性を実現することができる。本発明の光沢インクジェット記録シートにおいては、光沢発現層の表面pHを必ずしも調整する必要はないが、該表面pHを4.5以上とすることで顔料インクの吸収性をよりいっそう向上させることができることが判明した。なお、染料インクの定着性も考慮すれば該表面pHの上限値を6.5とすることが好ましい。該表面pHを4.5以上に調整する手段としては、光沢発現層塗液の塗液pHを、カチオン性化合物あるいは酸類、またはアルカリ類で調整することが挙げられるが、より簡便な手段として、塗設された光沢発現層上にアルカリ性水溶液を塗布することができる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等の水酸化物、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、硼砂などの水溶液を挙げることができる。
本発明の光沢発現層には、更にホウ酸あるいはホウ酸塩を含有するのが好ましい。また更に光沢発現層には、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明の光沢発現層の塗工量としては、3〜17g/m2が好ましく、さらに好ましくは5〜15g/m2である。
本発明に係わるインク吸収層上への光沢発現層の塗工方法としては、スライドホッパーコーティング方式、カーテンコーティング方法、エクストルージョンコーティング方式、エアーナイフコーティング方式、ブレードコーティング方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、及びグラビアコーティング方式、サイズプレスコーティング方式、スプレーコーティング方式等が挙げられる。これらコーティング方式は、オンマシン或いはオフマシンで行うことができる。また、塗工後にはカレンダーを用いて仕上げても良いが、その条件は、インク吸収性を阻害しない程度に留めるべきである。カレンダーの方法としては、マシンカレンダー方式、TGカレンダー方式、スーパーカレンダー方式、ソフトカレンダー方式、エンボスカレンダー方式等が挙げられる。
さらに、本発明における光沢インクジェット記録シートにおいて、光沢発現層と接するインク吸収層を構成する主たる顔料を気相法シリカとすることで、顔料インクの吸収性をより一層向上させることができる。気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。なお、配合において示す部数は実質成分の数量である。
坪量127g/m2の上質紙の一方の面に下記のインク吸収層1をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。乾燥した該インク吸収層1の表面pHを(株)共立理化学研究所製「pH指示薬による紙面用pH測定セット」を用いて測定したところ8.0であった(以下、表面pHは同様に測定する)。次に、下記の光沢発現層1を該インク吸収層1上にワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥して本発明の光沢インクジェット記録シートを得た。なお、光沢発現層1塗液の塗液pHは5.0であり、乾燥した該光沢発現層1の表面pHは4.0であった。該インク吸収層1の塗布量は15g/m2、該光沢発現層1の塗布量は10g/m2であった。
〈インク吸収層1〉
インク吸収層1の塗被組成物は、結着剤として平均重合度1700のポリビニルアルコール(PVA117:(株)クラレ)20部、顔料として合成非晶質シリカ(ファインシールX37B:(株)トクヤマ)100部、カチオン性化合物(スミレーズレジン1001:住友化学工業(株))15部からなる水溶液(固形分濃度18%)である。
〈アルミナ水和物の合成〉
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75gで24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の超微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。なお、該アルミナ水和物の平均二次粒子径は300nmであった。
〈光沢発現層1〉
光沢発現層1塗被組成物は、下記配合からなる水溶液(固形分濃度21%、塗液pH5.0)である。
アルミナ水和物 100部
硝酸 1部
ポリビニルアルコール(PVA235:(株)クラレ) 10部
ホウ酸 0.1部
坪量127g/m2の上質紙の一方の面に下記のインク吸収層2をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。次に、下記のインク吸収層3をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。乾燥した該インク吸収層3の表面pHを測定したところ6.0であった。さらに、下記の光沢発現層2を該インク吸収層3上にワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥して本発明の光沢インクジェット記録シートを得た。なお、光沢発現層2塗液の塗液pHは3.0であり、乾燥した該光沢発現層2の表面pHは3.2であった。該インク吸収層2の塗布量は10g/m2、該インク吸収層3の塗布量は5g/m2、該光沢発現層2の塗布量は10g/m2である。
〈インク吸収層2〉
インク吸収層2の塗被組成物は、結着剤として平均重合度1700のポリビニルアルコール(PVA117:(株)クラレ)20部、顔料として合成非晶質シリカ(ファインシールX37B:(株)トクヤマ)100部、カチオン性化合物(スミレーズレジン1001:住友化学工業(株))1部、水酸化ナトリウム0.5部からなる水溶液(固形分濃度18%)である。
〈気相法シリカ分散物〉
平均一次粒径7nmの気相法シリカ(トクヤマ社製、BET比表面積300m/g)25kgをカチオン性ポリマー(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、分子量9000)の5%水溶液131.25kgに添加しながら2軸分散機(容器径550mm、各軸のノコギリ歯状ブレード径150mm)により、ノコギリ歯状ブレードの周速が30m/秒で60分間分散して16%の気相法シリカの粗分散物を得た。次に、一次分散工程で得られた気相法シリカ粗分散物を高圧ホモジナイザーにより処理量40l/時間、圧力19.6MPaの条件で3回乳化分散して気相法シリカ分散物を得た。得られた分散物を60℃で1時間プロペラ羽根型分散機で低速撹拌しながら保存して気相法シリカ分散物を得た。
〈インク吸収層3〉
インク吸収層3の塗被組成物は、結着剤として平均重合度3500のポリビニルアルコール(PVA235:(株)クラレ)20部、顔料として上記気相法シリカ分散物100部からなる水溶液(固形分濃度14%)である。
〈光沢発現層2〉
光沢発現層2塗被組成物は、下記配合からなる水溶液(固形分濃度21%、塗液pH3.0)である。
アルミナ水和物 100部
硝酸 2.5部
ポリビニルアルコール(PVA235:(株)クラレ) 10部
ホウ酸 0.1部
坪量127g/m2の上質紙の一方の面に実施例2に記載のインク吸収層2をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。該インク吸収層2の表面pHを測定したところ8.8であった。次に、該インク吸収層2の上に、0.1%硝酸水溶液を、プレーンバーを用いて塗布し、乾燥したところ表面pHが7.5となった。さらに、実施例2に記載の光沢発現層2を該インク吸収層上にワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥して本発明の光沢インクジェット記録シートを得た。なお、光沢発現層2塗液の塗液pHは3.0であり、乾燥した該光沢発現層2の表面pHは3.1であった。該インク吸収層2の塗布量は15g/m2、該光沢発現層2の塗布量は10g/m2である。
実施例2で作製した本発明の光沢インクジェット記録シートの光沢発現層2上に水酸化ナトリウム0.5%水溶液を、プレーンバーを用いて塗布し、乾燥して本発明の光沢インクジェット記録シート得た。該光沢発現層2の表面pHを測定したところ4.7であった。
(比較例1)
坪量127g/m2の上質紙の一方の面に下記のインク吸収層4をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。乾燥した該インク吸収層4の表面pHを測定したところ9.0であった。次に、実施例1に記載の光沢発現層1を該インク吸収層4上にワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥して本発明の光沢インクジェット記録シートを得た。なお、乾燥した該光沢発現層1の表面pHは4.8であった。該インク吸収層4の塗布量は15g/m2、該光沢発現層1の塗布量は10g/m2である。
〈インク吸収層4〉
インク吸収層4の塗被組成物は、結着剤として平均重合度1700のポリビニルアルコール(PVA117:(株)クラレ)20部、顔料として合成非晶質シリカ(ファインシールX37B:(株)トクヤマ)100部、カチオン性化合物(スミレーズレジン1001:住友化学工業(株))1部、水酸化ナトリウム1.5部からなる水溶液(固形分濃度18%)である。
(比較例2)
坪量127g/m2の上質紙の一方の面に実施例2に記載のインク吸収層2をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。次に、実施例2に記載のインク吸収層3をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。該インク吸収層2の塗布量は10g/m2、該インク吸収層3の塗布量は5g/m2であり、乾燥した該インク吸収層3の表面pHを測定したところ6.0であった。さらに、下記の光沢発現層3をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥して光沢インクジェット記録シートを得た。なお、光沢発現層3塗液の塗液pHは5.5であり、該光沢発現層3の表面pHは5.5であり、該光沢発現層3の塗布量は10g/m2であった。
〈光沢発現層3〉
光沢発現層3塗被組成物は、下記配合からなる水溶液(固形分濃度21%、塗液pH5.5)である。
アルミナ水和物 100部
ポリビニルアルコール(PVA235:(株)クラレ) 10部
ホウ酸 0.1部
(比較例3)
坪量127g/m2の上質紙の一方の面に比較例1に記載のインク吸収層4をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。乾燥した該インク吸収層4の表面pHを測定したところ9.0であり、該インク吸収層4の塗布量は15g/m2であった。さらに、比較例2に記載の光沢発現層3をワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥して光沢インクジェット記録シートを得た。なお、該光沢発現層3の塗布量は10g/m2であり、該光沢発現層3の表面pHは6.0であった。
〈試験方法〉
1)光沢度
実施例及び比較例で作製した光沢インクジェット記録シートの表面光沢度をJIS P 8142に準拠し、村上色彩技術研究所製デジタル光沢計GM−26D型を用いて入反射角度が75度でそれぞれ測定した。
2)印字濃度
実施例及び比較例で作製した光沢インクジェット記録シートをA4判に断裁した後、顔料インク使用インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製 PX−9000 MC光沢紙モード 推奨設定)ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%のベタ印字を行い、マクベスRD919で印字部の濃度を測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。
3)インク吸収性
インク吸収性の評価は、顔料インク使用インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製 PX−9000 MC光沢紙モード 推奨設定)を使い、実施例および比較例で作製した光沢インクジェット記録シートにシアン、マゼンタ、イエローで重色の矩形パターンを印字した。重ねるインク量が各色全て100%の時を300%とし、全て90%の時を270%とし、以下同様に240%、210%、180%、150%の矩形パターンを作成して印字した。この印字パターンを印字直後、印字部にPPC用紙を貼り付け、PPC用紙へのインクの転写を評価した。
◎:300%の印字部において転写されない。
○:270%未満の印字部では転写されない。
△:210%未満の印字部では転写されない。
×:180%未満の印字部では転写されない。
良好なインク吸収性を示すのは、◎であり、実用上問題ないレベルは○である。
Figure 2006192639
表1より明らかなように本発明の光沢インクジェット記録シートは、高い光沢性を有し、顔料インクでの印字濃度が高く発色性が良好である。さらに、光沢発現層と接するインク吸収層を構成する主たる顔料を気相法シリカとすることでインク吸収性が向上している。

Claims (3)

  1. 吸水性支持体の一方の面に、顔料と結着剤を含有するインク吸収層を少なくとも1層以上設け、さらにその上に顔料と結着剤を含有する光沢発現層を設けた、該光沢発現層をキャスト処理しない光沢インクジェット記録シートにおいて、該光沢発現層が設けられるインク吸収層の最上層の塗層表面pHが8.0以下であり、該光沢発現層を構成する主たる顔料がアルミナ水和物であり、かつ光沢発現層塗液の塗液pHが5.0以下であることを特徴とする光沢インクジェット記録シート。
  2. 該光沢発現層の塗層表面pHを4.5以上に調整したことを特徴とする請求項1記載の光沢インクジェット記録シート。
  3. 該光沢発現層と接するインク吸収層を構成する主たる顔料が気相法シリカであることを特徴とする請求項1または2記載の光沢インクジェット記録シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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