JP2006192634A - インク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクの乾燥が速く、光沢に優れ、空気中の湿気によるベタツキが生じにくいインク受容層を形成できるインク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物を提供することである。
【解決手段】9.0〜16.0[cal/cm31/2の溶解度パラメーター(SP値)を持つアクリル単量体(a)、
第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニオ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するエチレン性不飽和単量体単位を必須構成単位として含有する高分子(b)、
無機微粒子(c)、
並びに9.0〜16.0[cal/cm31/2のSP値を持つエチレン性不飽和単量体(dd)からなる単位を必須構成単位として含有する架橋有機微粒子(d)
からなることを特徴とするインク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
従来、紙やガラス、金属、合成樹脂などの基材にインクジェット印刷などを施す場合、インクジェットインクの乾燥を速め(乾燥性)、光沢を高め(光沢性)、さらに空気中の湿気によるベタツキ(粘着性)を少なくするために、基材にインク受容層を形成することが行われており、それに用いるインク受容層形性用組成物としては、親水性アクリル単量体、親水性高分子及び微粒子とからなるもの(特許文献1)、及び水溶性単量体、親水性高分子及び染料固着剤とからなるもの(特許文献2)等が知られている。
特開平07−40649号公報 特開2003−25710号公報
しかしながら、従来のインク受容層形成用組成物を用いて形成したインク受容層には、「乾燥性」、「光沢性」、「粘着性」の3つの機能を同時に満足するものはない。例えば、特許文献1に記載の組成物を用いて形成したインク受容層は、「光沢性」が不十分であり、特許文献2に記載の組成物を用いて形成したインク受容層は「乾燥性」と「粘着性」に関しては問題がある。すなわち、本発明の目的は、インクの乾燥が速く、光沢に優れ、空気中の湿気によるベタツキが生じにくいインク受容層を形成できるインク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物を提供することである。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成物が「乾燥性」、「光沢性」及び「粘着性」の3つの機能を同時に満足するインク受容層が形成できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明のインク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物の特徴は、9.0〜16.0[cal/cm31/2の溶解度パラメーター(SP値)を持つアクリル単量体(a)、
第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニオ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するエチレン性不飽和単量体単位を必須構成単位として含有する高分子(b)、
無機微粒子(c)、
並びに9.0〜16.0[cal/cm31/2のSP値を持つエチレン性不飽和単量体(dd)からなる単位を必須構成単位として含有する架橋有機微粒子(d)
からなることを要旨とする。
本発明のインク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物を用いて形成したインク受容層は、優れた光沢を有するだけでなく、インクを素早く吸収し、また、空気中の湿気によってもベタツキは極めて生じにくい。すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いると、「光沢性」、「乾燥性」及び「粘着性」に極めて優れたインク受容層を容易に形成できる。
アクリル単量体(a)としては、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有し、9.0〜16.0(好ましくは9.5〜15.5、さらに好ましくは9.6〜14.0、特に好ましくは10.0〜13.0)[cal/cm31/2の溶解度パラメーター(SP値)を持つ単量体が含まれる。
なお、本発明において、(メタ)アクリ・・・は、アクリ・・・及び/又はメタクリ・・・を意味する。また、SP値は、PolymerEngineer Science,vol.14,p.152に記載のFedorsの方法によって計算される値である。
アクリル単量体(a)としては、特開平10−330693号公報に記載されたSP値が11以上の不飽和単量体のうち(メタ)アクリロイル基を有するもの、及び特開平10−053608号公報に記載された極性基含有ビニルモノマー等が使用できる。
これらのアクリル単量体のうち、乾燥性の観点等から、一般式(1)で表されるN置換(メタ)アクリルアミドが好ましい。
式中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は水素原子又は炭素原子数1〜12の有機基を表し、R2とR3とは同じであっても異なっていてもよいが、同時に水素原子であることはなく、R2とR3は互いに結合し環を形成していてもよい。
一般式(1)において、炭素原子数1〜12の有機基としては、一般式(2)で表される(N置換)アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アルコキシアルキル基、環状飽和炭化水素素基及びヘテロ原子含有環状飽和炭化水素基等が含まれる。
式中、nは1〜4の整数を表し、R4及びR5は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R4とR5とは同じであっても異なっていてもよい。
一般式(2)で表される(N置換)アミノアルキル基としては、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル及びジメチルアミノプロピル等が挙げられる。なお、(N置換)アミノアルキルは、アミノアルキル、又はN置換アミノアルキルを意味する。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル及び12−ヒドロキシドデシル等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル及びドデシル等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシメチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシプロピル、2−エチルヘキシルオキシメチル、2−ジメトキシエチル、メトキシイソプロピル、メトキシイソブチル及びドデシルオキシ等が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−シクロヘキシルヘキシル及び3,5−ジプロピルヘキシル等が挙げられる。
ヘテロ原子含有環状飽和炭化水素基としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、ピペラジノ、ピペリジノ及びピロリジノ等が挙げられる。
一般式(1)において、R2とR3とが互いに結合し、形成される環としては、含窒素飽和ヘテロ環並びに、酸素及び窒素を含む飽和へテロ環等が含まれる。
含窒素飽和ヘテロ環としては、アジリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環及びイミダゾリジン環等が挙げられる。
酸素及び窒素を含む飽和へテロ環としては、オキサゾリジン環及びモルホリン環等が挙げられる。
これらのヘテロ環を与えるR2とR3とが互いに結合して構成される二価の有機基としては、エチレン、ブチレン、ペンチレン、プロピレンアミノ、N−メチレンーN−エチレンアミン、エチレンオキシメチレン及びビス(エチレン)オキシ等が挙げられる。
一般式(1)で表されるN置換(メタ)アクリルアミドのうち、R2及び/又はR3が(N置換)アミノアルキル基であるアミドとしては、N−{N’,N’−ジメチルアミノプロピル}(メタ)アクリルアミド(SP値:10.2又は10.3)、N−{N’,N’−ジメチルアミノエチル}(メタ)アクリルアミド(SP値:10.4又は10.5)、N,N−ビス{N’,N’−ジメチルアミノエチル}(メタ)アクリルアミド(SP値:9.7)、及びN−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:12.2又は12.5)等が挙げられる。なお、括弧内のSP値のうち前者はN置換メタクリルアミドのSP値、後者はN置換アクリルアミドのSP値であり、これらが同じ場合1つの数値のみ記載してある(以下同じ)。
2及び/又はR3がヒドロキシアルキル基であるアミドとしては、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド(SP値:14.6又は15.5)、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド(SP値:13.8又は14.5)及びN,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド(SP値:14.8又は15.4)等が挙げられる。
2及び/又はR3がアルキル基であるアミドとしては、N−エチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.8又は11.1)、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.4又は10.6)、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.6又は10.8)、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド(SP値:9.6)、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.2又は10.3)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.4又は10.6)、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.0又は10.1)、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.0又は10.1)、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:9.9又は10.0)及びN−エチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:9.8)等が挙げられる。
2及び/又はR3がアルコキシアルキル基であるアミドとしては、N−メトキシメチル(メタ)アクリクリルアミド(SP値:10.9又は11.2)、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.7又は10.9)、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.5又は10.6)、N,N−ジ(エトキシエチル)(メタ)アクリルアミド(SP値:9,8又は9.9)、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.3又は10.4)、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.3又は10.4)、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.0又は10.1)、N−1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.3又は10.5)及びN−1−メトキシメチルプロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.2又は10.3)等が挙げられる。
2又はR3が環状飽和炭化水素素基であるアミドとしては、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド(SP値:10.2又は10.7)、N−シクロブチル(メタ)アクリルアミド(SP値:11.7又は12.1)、及びN−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド(SP値:11.1又は11.3)等が挙げられる。
2又はR3がヘテロ原子含有環状飽和炭化水素基であるアミドとしては、N−(1,3−ジオキソラン−2−イル)(メタ)アクリルアミド(SP値:12.4又は12.8)、N−(1,4−ジオキサン−2−イル)(メタ)アクリルアミド(SP値:11.9又は12.3)、及びN−(ピペラジン−2−イル)(メタ)アクリルアミド(SP値:12.7又は13.1)等が挙げられる。
2とR3とが互いに結合し環を形成しているアミドとしては、N−(メタ)アクリロイルピペリジン(SP値:11.2又は11.4)、N−(メタ)アクリロイルピロリジン(SP値:11.5又は11.8)、N−(メタ)アクリロイルモルホリン(SP値:11.6又は12.0)、N−(メタ)アクリロイル−2,6−ジメチルモルホリン(SP値:10.7又は10.9)及びN−(メタ)アクリロイルイミダゾリジン(SP値:12.5又は13.0)等が挙げられる。
一般式(1)で表されるN置換(メタ)アクリルアミドのうち、乾燥性の観点等から、R2及び/又はR3がヒドロキシアルキル基であるアミド、並びにR2及び/又はR3がアルキル基であるアミドが好ましく、さらに好ましくはR2及び/又はR3がアルキル基であるアミド、特に好ましくはN−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド及びN−エチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、最も好ましくはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドである。
これらのアクリル単量体(a)は、1種又は2種以上の混合物でもよい。
2種以上の混合物の場合、一般式(1)で表されるN置換(メタ)アクリルアミドを含むことが好ましく、さらに好ましくはこのアミドを(a)の重量に基づいて1〜95重量%含有すること、さらに好ましくは10〜90重量%含有すること、特に好ましくは50〜85重量%含有することである。一般式(1)で表されるN置換(メタ)アクリルアミドを含むと、乾燥性がさらに良好となる。
第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニオ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するエチレン性不飽和単量体単位を必須構成単位として含有する高分子(b)としては、特開平05−106190号公報に記載されたカチオン性姓水溶性高分子、特開平10−211764号公報に記載されたピロリドン系ポリマー及びイミダゾール基含有ポリマー等が使用できる。
これらの高分子のうち、乾燥性及び粘着性の観点等から、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾール共重合体、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体、ポリ(ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルイミダゾール)、ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸共重合体、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸共重合体及びビニルピロリドン/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに好ましくはビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾール共重合体及びビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
ビニルピロリドンと、酢酸ビニル、N−ビニルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸又はビニルカプロラクタムとの共重合体{ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾール共重合体、ビニルピロリドン/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸共重合体及びビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体等}の場合、共重合モル比率{(ビニルピロリドン):(酢酸ビニル、N−ビニルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸又はビニルカプロラクタム)}は、10:90〜90:10が好ましく、さらに好ましくは20:80〜70:30、特に好ましくは25:75〜60:40、最も好ましくは30:70〜55:45である。また、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸共重合体の場合、共重合モル比率{ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド:ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸}は、10:90〜90:10が好ましく、さらに好ましくは20:80〜85:15、特に好ましくは25:75〜80:20、最も好ましくは40:60〜75:25である。また、ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸共重合体の場合、共重合モル比率{ビニルカプロラクタム:ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド:ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸}は、10〜90:5〜80:5〜80が好ましく、さらに好ましくは20〜80:10〜70:7〜70、特に好ましくは30〜75:15〜60:8〜50、最も好ましくは35〜70:20〜45:10〜45である。この範囲であると粘着性が更に少なくなり好ましい。
高分子(b)は1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合、乾燥性の観点等から、高分子のうち上記において好ましいと指摘したものを含むことが好ましく、さらに好ましくはビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾール共重合体を含むこと、特に好ましくはビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾール共重合体を高分子(b)の重量に基づいて5〜90重量%含むことである。
高分子(b)の重量平均分子量は、500〜500,000が好ましく、さらに好ましくは700〜300,000、特に好ましくは800〜50,000である。この範囲であると、乾燥性及び粘着性がさらに良好となる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質として測定される。
高分子(b)の25℃における10重量%水溶液粘度(mPa・s)は、10〜10000が好ましく、さらに好ましくは50〜7000、特に好ましくは100〜5000である。この範囲であると、粘着性がさらに少なくなり好ましい。
無機微粒子(c)としては、特開2004−030769号公報に記載された無機微粒子等が使用できる。無機微粒子のうち、シリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子としては、気相法シリカ微粒子及び湿式法シリカ微粒子のいずれでもよいが、乾燥性及び光沢性の観点等から、気相法シリカ微粒子が好ましく、さらに好ましくは50nm以下(好ましくは3〜40、さらに好ましくは4〜20、特に好ましくは5〜10)の平均1次粒子径を有する気相法シリカ微粒子である。
なお、平均1次粒子径は、測定試料を適当な分散媒(例えば、水、メタノール及びこれらの混合物)に分散させ、JIS Z8825−1−2001「粒子径解析−レーザー回折法−第1部」:測定原理に記載された測定原理を有するレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば(株)島津製作所製SALD−1100、(株)堀場製作所製LA−920、日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置UPA−ST150等)等により測定される。
気相法シリカ微粒子としては、アエロジルシリーズ(日本アエロジル(株)製)、レオロシールシリーズ((株)トクヤマ製)及びCab−O−Silシリーズ(Cabot Corporation製)等が好ましく挙げられる。
架橋有機微粒子(d)の必須構成単位である9.0〜16.0[cal/cm31/2のSP値を持つエチレン性不飽和単量体(dd)としては、アクリル単量体(a)、N−ビニルアミド(dd1)、ビニルエーテル(dd2)、N−ビニルアミン(dd3)及びビニルエステル(dd4)等が含まれる。
N−ビニルアミド(dd1)としては、ビニルピロリドン(SP値:12.4)及びビニルカプロラクタム(SP値:11.4)等が挙げられる。
ビニルエーテル(dd2)としては、エチレングリコールビニルエーテル(SP値:11.8)及びトリメチロールプロパンビニルエーテル(SP値:13.8)等が挙げられる。
N−ビニルアミン(dd3)としては、2−又は4−ビニルピリジン(SP値:9.3)及び2−メチル−5−ビニルピリジン(SP値:9.1)等が挙げられる。
ビニルエステル(dd4)としては、酢酸ビニル(SP値:9.0)等が挙げられる。
これらのエチレン性不飽和単量体のうち、アクリル単量体(a)及びN−ビニルアミド(dd1)が好ましく、さらに好ましくは(dd1)、特に好ましくはN−ビニルピロリドンである。
架橋有機微粒子(d)の構成単位として、エチレン性不飽和単量体の他に、他の共重合単量体(e)及び架橋剤(f)を含むことができる。
他の共重合単量体(e)としては、特開2004−082729号公報に記載された不飽和二重結合を有する単量体等が使用でき、2種類以上の単量体を併用することが出来る。なかでも芳香族ビニル類、及び(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
架橋剤(f)としては、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和炭化水素基を有する単量体(f1)、エチレン性不飽和単量体(dd)又は共重合単量体(e)に含まれる架橋性官能基(エチレン性不飽和炭化水素基を含まない)と架橋反応可能な単量体(f2)等が含まれる。
1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和炭化水素基を有する単量体(f1)としては、特開2003−082191号公報に記載された架橋性ビニル単量体の他、二官能ビニルモノマー(メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス及び(メタ)アクリルアミド等)、三官能ビニルモノマー(1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、N,N−ジアリルアクリルアミド、及びトリアリルイソシアヌレート等)及び四官能ビニルモノマー(N,N,N′,N′−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、及びN,N,N’,N’−テトラアリルテレフタルアミド等)等が挙げられる。
架橋性官能基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボキシル基及びアルコキシ基等が挙げられる。これらの架橋性官能基を用いた架橋反応としては、イソシアナト基又はエポキシ基と、アミノ基、カルボキシル基又はヒドロキシル基との付加反応を伴う架橋反応、及びアルコキシ基同士の縮合(脱水)反応による架橋反応等が挙げられる。架橋性官能基と架橋反応可能な単量体(f2)としては、特開2003−313305号公報に記載された架橋性モノマー等が挙げられる。
構成単位として他の共重合体(e)を含む場合、他の共重合体(e)単位の含有量(モル%)は、エチレン性不飽和単量体(dd)単位のモル数に基づいて、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜75、特に好ましくは10〜50である。この範囲であると、乾燥性及び粘着性がさらに良好となる。
構成単位として架橋剤(f)を含む場合、架橋剤(f)単位の含有量(重量%)は、エチレン性不飽和単量体(dd)単位の重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜7、最も好ましくは0.5〜5である。この範囲であると、乾燥性及び粘着性がさらに良好となる。
架橋有機微粒子(d)の体積平均粒子径(μm)は、5〜300が好ましく、さらに好ましくは7.5〜100、特に好ましくは10〜50である。この範囲であると、粘着性がさらに良好となる。
架橋有機粒子(d)は、公知の乳化重合法(特開2002−133722号公報等)で製造できる。また、架橋性有機微粒子(dd)は、市場から容易に入手でき、たとえば、BASF Corporationの商品{Luvicross (架橋ポリビニルピロリドン粒子)、Luvicross M(架橋ポリビニルピロリドン粒子)、Luvicross VI(架橋ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール共重合体粒子)及びLuv
icross VI−M(架橋ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール共重合体粒子)等
}、International Specialty Productsの商品{Polyplasdone(架橋ポリビニルピロリドン粒子)、Polyclar(架橋ポリビニルピロリドン粒子)、及びDivergan(架橋ポリビニルピロリドン粒子)等}等が好ましく挙げられる。
アクリル単量体(a)の含有量(重量%)は、(a)、高分子(b)、無機微粒子(c)及び架橋有機微粒子(d){(a)〜(d)と略記する}の合計重量に基づいて、40〜95が好ましく、さらに好ましくは45〜90、特に好ましくは47〜85、最も好ましくは50〜80である。
高分子(b)の含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは2.5〜45、特に好ましくは5〜40、最も好ましくは7〜35である。
無機微粒子(c)の含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.3〜30が好ましく、さらに好ましくは0.5〜27.5、特に好ましくは1.5〜20、最も好ましくは2.5〜10である。
架橋有機微粒子(d)の含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.3〜30が好ましく、さらに好ましくは0.5〜27.5、特に好ましくは1.5〜20、最も好ましくは2.5〜10である。
これらの範囲であると、光沢性と乾燥性がさらに良好となる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物には、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和炭化水素基を有する単量体(f1)、光重合開始剤(g)、熱重合開始剤(i)、溶剤(j)及び/又は添加剤(k)を含むことができる。
単量体(f1)を含む場合、この含有量(重量%)は、(a)の合計重量に基づいて、0.1〜40が好ましく、さらに好ましくは0.3〜20、特に好ましくは0.5〜10である。この範囲であると、粘着性がさらに良好となる。
光重合開始剤(g)としては、ラジカル開始剤(g1)及びカチオン開始剤(g2)等が含まれる。
ラジカル開始剤(g1)及びカチオン開始剤(g2)としては、特開2004−352781号公報に記載されたラジカル開始剤及びカチオン開始剤等が使用できる。
これらの光重合開始剤(g)のうち、乾燥性及び粘着性の観点等から、ラジカル開始剤(g1)が好ましく、さらに好ましくはベンゾイル基含有ラジカル開始剤、モルフォニル基含有ラジカル開始剤及びリン原子含有ラジカル開始剤、特に好ましくはモルフォニル基含有ラジカル開始剤及びリン原子含有ラジカル開始剤である。
光重合開始剤(g)を含む場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは2〜20、特に好ましくは3〜15である。この範囲であると、活性エネルギー線として波長200〜800nmの光を使用する場合、粘着性がさらに良好となる。
光重合開始剤(g)を含む場合、光増感剤(h)を併用してもよい。
光増感剤(h)としては、特開2004−352781号公報に記載された光増感剤の他、トリn−ブチルホスフィン等のりん化合物等が使用できる。
これらの光増感剤(h)のうち、トリアルキリアミン及びジアルキルアミノフェニル光増感剤が好ましく、さらに好ましくはジアルキルアミノフェニル増感剤、特に好ましくは4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
光増感剤(h)を含有する場合、この含有量(重量%)は、光重合開始剤(g)の重量に基づいて、5〜100が好ましく、さらに好ましくは10〜80、特に好ましくは20〜50である。この範囲であると、活性エネルギー線として波長200〜800nmの光を使用する場合、粘着性がさらに良好となる。
熱重合開始剤(i)としては、特開2004−352781号公報に記載された過酸化物(i1)及びアゾ化合物(i2)等が使用できる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良く、これらの熱重合開始剤(i)のうち、過酸化物(i1)が好ましい。
なお、熱重合開始剤(i)は、単独で含有してもよく、光重合開始剤(g)と共に含有してもよい。
熱重合開始剤(i)を含有する場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.03〜5、特に好ましくは0.05〜3である。この範囲であると、粘着性がさらに良好となる。
溶剤(j)としては、水(j0)、アルコール(j1)、ケトン(j2)、エステル(j3)、エーテル(j4)、芳香族炭化水素(j5)、脂環式炭化水素(j6)及び脂肪族炭化水素(j7)等が含まれる。なお、溶剤(j)を含むと、アクリル単量体(a)と高分子(b)との相溶性を向上する。
水(j0)としては、脱イオン水、蒸留水、水道水及び工業用水等が挙げられる。
アルコール(j1)としては、炭素数1〜10のアルコール等が使用でき、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
ケトン(j2)としては、炭素数3〜6のケトン等が使用でき、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等が挙げられる。
エステル(j3)としては、炭素数4〜10のエステル等が使用でき、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
エーテル(j4)としては、炭素数4〜10のエーテル等が使用でき、エチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
芳香族炭化水素(j5)としては、炭素数6〜9の芳香族炭化水素等が使用でき、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びトリメチルベンゼン等が挙げられる。
脂環式炭化水素(j6)としては、炭素数5〜10の脂環式炭化水素等が使用でき、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロペプタン、シクロオクタン、シクロノナン及びシクロデカン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素(j7)としては、炭素数5〜10の脂肪族炭化水素等が使用でき、ペンタン、ヘキサン、ペプタン、オクタン、ノナン及びデカン等が挙げられる。
これらの溶剤(j)のうち、アクリル単量体(a)と高分子(b)との相溶性の観点等から、水(j0)、アルコール(j1)、ケトン(j2)及びエーテル(j4)が好ましく、さらに好ましくは水(j0)、アルコール(j1)及びケトン(j2)、特に好ましくは水(j0)及びアルコール(j1)である。
これらの溶剤は単独で用いてもよいし、また2種類以上を併用してもよい。併用する場合は水(j0)、アルコール(j1)及びケトン(j2)からなる群より選ばれる少なくとも2種が好ましい。
なお、溶剤(j)を含有する場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、1〜400が好ましく、さらに好ましくは10〜300、特に好ましくは20〜200である。
添加剤(k)としては、レベリング剤、消泡剤、保存安定化剤、着色剤及び抗菌剤等が含まれる。添加剤を含むことにより、これらの機能を付与することができる。
レベリング剤としては、塗料用として一般に使用されるレベリング剤が使用でき、そのようなレベリング剤としては、ポリオキシアルキレン化合物、シリコーンオイル等が挙げられる。
消泡剤としては塗料用として一般に使用される消泡剤が使用でし、そのような消泡剤としては、ソルビタンあるいはその脂肪酸エステルなどのノニオン活性剤、オクタノール,シクロヘキサノール,アセチレングリコールなどの高級アルコールやグリコール、シリカシリコーン,シリコーンコンパウンドなどのシリコーン消泡剤等が挙げられる。
保存安定化剤としては、ハイドロキノン、モノ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、2,5−ジ−tert−ブチルベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、N‐ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N‐ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの金属塩、(ジ,トリス)ノニルフェニルフォスファイト等の重合禁止剤が挙げられる。
着色剤としては、酸化チタン、群青、紺青、亜鉛華、ベンガラ、黄鉛、鉛白、カーボンブラック、透明酸化鉄、アルミニウム粉などの無機顔料、アゾ顔料、トリフェニルメタン顔料、キノリン顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料などの有機顔料などの顔料等が挙げられる。
抗菌剤としては、トリクロサン、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン、クロルキシレノール等の有機抗菌剤や、銀ゼオライト、抗菌ガラス,リン酸ジルコニウム銀、銀錯体等の無機抗菌剤及び、キトサン、カテキン、ヒノキチオール、孟宗竹等の天延抗菌剤が挙げられる。
レベリング剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.03〜2、特に好ましくは0.05〜1である。消泡剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.05〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.5〜1である。保存安定化剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の重量に基づいて、0.005〜0.5が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.4、特に好ましくは0.03〜0.3である。着色剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.03〜2、特に好ましくは0.05〜1である。抗菌剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、(a)〜(d)の合計重量に基づいて、0.1〜15が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10、特に好ましくは1〜5である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、アクリル単量体(a)、高分子(b)、無機微粒子(c)及び架橋有機微粒子(d)、並びに必要に応じて、少なくとも2個のラジカル重合性二重結合を有する単量体(f1)、光重合開始剤(g)、光増感剤(h)、熱重合開始剤(i)、溶剤(j)及び/又は添加剤(k)を、均一撹拌混合することにより得られる。これらの(a)〜(k)の撹拌混合する順番には熱重合開始剤(i)を除き特に制限がなく、均一に撹拌混合できればよい。熱重合開始剤(i)は、(a)〜(k){(i)を除く}を均一混合した後、20℃以下(好ましくは−10〜20℃、さらに好ましくは−5〜15℃、特に好ましくは0〜10℃)に冷却し、(i)を加え、均一に攪拌混合することが好ましい。撹拌混合温度としては熱重合開始剤(i)を除き均一撹拌混合できれば特に制限はないが、25〜60℃が好ましく、さらに好ましくは30〜50℃、特に好ましくは35〜45℃である。撹拌混合時間としては熱重合開始剤(i)を除き均一撹拌混合できれば特に制限はないが、0.5〜100時間が好ましく、さらに好ましくは1〜80時間、特に好ましくは1.5〜60時間である。熱重合開始剤(i)の撹拌混合時間としては均一撹拌混合できれば特に制限はないが、0.5〜5時間が好ましく、さらに好ましくは1〜4時間、特に好ましくは2〜3である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を攪拌混合する為の方法としては、任意の方法をとることができる。混合撹拌設備としては、通常使用される混合拡販設備が使用でき、羽型撹拌機、高速ホモミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ボールミル、ニーダー、サンドミル、三本ロール、超音波分散機等が使用できる。これらのうち、保存安定性及び無機微粒子(c)の過剰な粉砕防止の観点等から、高速ホモミキサー及びホモジナイザーが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、紙、木材、石、ガラス、コンクリート、金属、プラスチック及び/又は金属蒸着プラスチック等にコーティングすることにより、インク受容層形成を形成することができる。これらのうち、プラスチック及び/又は金属蒸着プラスチック等のインク受容層形成に好適であり、特にプラスチックのインク受容層形成に好適である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を基材の所定部に、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷及びインクジェット方式等の各種の印刷方式、並びにハケ塗り、浸漬塗り、スピンコーティング、スプレー塗装及びロールコーティング等の印刷法によりコーティングし、コーティング層に活性エネルギー線を照射して硬化膜とすることすることによって、本発明のインク受容層付き基材を得ることができる。
これらの種々のコーティング方法で得られるインク受容層付き基材のうち、乾燥性の観点等から、スクリーン印刷によって得られるインク受容層付き基材が好ましい。
インク受容層の厚みは、5〜100μmが好ましく、さらに好ましくは10〜80μm、特に好ましくは20〜50μmである。
本発明のインク受容層付き基材に、溶剤(水、アルコール及び/又は有機溶剤等)、着色剤(染料又は顔料)、並びに必要に応じて浸透剤、乾燥防止剤、pH調整剤、防腐剤及び/又は防かび剤等を構成成分として含有する液体状インクで印字することにより、本発明であるインク受容層付き基材に極性溶媒を含むインクで印字してなる印刷体が得られる。上記の液体状インクは、本発明の組成物の硬化によって得られたインク受容層付き基材上に、スクリーン印刷、オフセット印刷、フェルトペン等の筆記具で書き込む方法、インクジェットプリンターによって書き込む方法によって印刷される。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インク受容層形成用として適しているが、その他用のコーティング剤としても使用できる。その他のコーティング剤としては、プラスチックハードコーティング剤、インク用バインダー、プラスチック用接着剤又は建築材料用成型体ハードコーティング剤等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。
表1に記載した材料を同表に記載した使用量で次のように均一混合して実施例1〜15及び比較例1〜4の活性エネルギー線硬化型組成物を得た。すなわち、c01〜c04及び/又はd01〜d04を除く各材料を空気雰囲気下40℃に温調し、この温度で混合攪拌(4時間)したのち、c01〜c04及び/又はd01〜d04を仕込み、空気雰囲気下40℃以下に保ちながら、高速ホモミキサー(日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザー)を用いて回転数600rpmで2時間攪拌混合して、活性エネルギー線硬化型組成物1〜19を得た。なお、表1中のa01〜j01は以下の材料を意味し、使用量(数値)は重量部を意味する。
a01:2−ヒドロキシエチルアクリレート
a02:4−ヒドロキシブチルアクリレート
a03:N−アクリロイルモルホリン
a04:2−ヒドロキシエチルアクリルアミド
a05:N−イソプロピルアクリルアミド
a06:N,N−ジメチルアクリルアミド
b01:BASF Corporation製Luvitec K−90(ポリビニルピロリドン)
b02:International Specialty Products製Viviprint300(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体の30重量%水溶液)
b03:BASF Corporation製LuvitecVPI55K72W(ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール共重合体の20重量%水溶液)
b04:BASF Corporation製LuvitecVPC55K65W(ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体の30重量%水溶液)
c01:(株)トクヤマ製ファインシールX−37B(湿式法シリカ微粒子)
c02:CABOT Corporation製SpectrAl(アルミナ微粒子)
c03:日本アエロジル(株)製Aerosil50(気相法シリカ微粒子、一次平均粒子径:50nm)
c04:日本アエロジル(株)製Aerosil300(気相法シリカ微粒子、一次平均粒子径:7nm)
d01:BASF Corporation製Luvicross(架橋ポリビニルピロリドン粒子、体積平均粒子径:250μm)
d02:BASF Corporation製LuvicrossVI(架橋ビニルピロ
リドン/ビニルイミダゾール共重合体粒子、体積平均粒子径:250μm)
d03:BASF Corporation製LuvicrossM(架橋ポリビニルピロリドン粒子、体積平均粒子径:15μm)
d04:BASF Corporation製LuvicrossVI−M(架橋ビニル
ピロリドン/ビニルイミダゾール共重合体粒子、体積平均粒子径:15μm)
f11:共栄社化学(株)製ライトアクリレート4EG−A(PEG200#ジアクリレート)
f12:BASF Corporation製Laromer8812(アミン変性3官能アクリレート単量体)
g01:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
j01:エタノール
j02:イオン交換水
k01:ハイドロキノンモノメチルエーテル
実施例1〜15及び比較例1〜4で得た活性エネルギー線硬化型組成物を用いて、以下のようにしてインク受容層を調製し、これらのインク受容層について、以下の評価方法により、「粘着性」、「光沢性」、「乾燥性」、「にじみ」及び「耐水性」を評価し、表3に示した。
<インク受容層の調製>
コクヨ(株)製インクジェットプリンタ用OHPフィルム(品番VF−1100N)に、JIS K5400(1990)「3.3試験片の作成(7.5)バーコーター塗り」に記載されたバーコーターNo.18と同等のバーコーター(コーティングテスター工業製バーコーター18番)を用いて、インク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物を塗工し、塗工面に紫外線(メタルハライドランプ)を照射することによって硬化した後(硬化条件は以下の通りである)、50℃の循風乾燥機で15分間乾燥することによって(実施例7で得た活性エネルギー線硬化型組成物については乾燥することなく、紫外線照射による硬化のみにより)、インク受容層を調製した。
紫外線硬化条件:コンベア式露光機{ウシオ電機(株)製ユニキュアUVC−02516S1AGM01}と超高圧水銀ランプ(ウシオ電機(株)製UVL−4001−N)とを用い、コンベア速度3m/分で500mJ/cm2の紫外線を照射した。
<粘着性>
インク受容層の上にコクヨ製インクジェットプリンタ用OHPフィルム(品番VF−1100N)の裏面を重ね、円筒状の重り(重量:2kg、大きさ:直径15cmφ×高さ20cm)を乗せて気温40±2℃、湿度65±3%RHの調整された部屋に24時間放置した後、重りを外し、OHPフィルムの剥離度合いを以下の基準で評価し、これを粘着性とした。
○:インク受容層への粘着が全く無い。
△:インク受容層に弱く粘着はしているが、すぐに剥離する。
×:インク受容層に強く粘着しており、剥離する際に音をたてて剥離する。
<光沢性>
インク受容層の60度鏡面光沢度を、JIS Z8741−1997に準拠して{日本電色工業(株)製、光沢計VGA−300A型}、入射角60度のときの光沢度を求めた。
<乾燥性>
レックスマーク社製のZ11カラープリンタ及び同プリンター用の純正インクを使用し、ブラックインクのベタ画像をインク受容層に印画し、印画部にPPC用紙を重ねて指で軽く圧着し、印刷されてからPPC用紙にインクが転写されなくなるまでの時間を計測した。なお、印字モードはOHPモードで、23℃、55%RHの環境の部屋で行った。
<にじみ>
レックスマーク社製のZ11カラープリンタ及び同プリンター用の純正インクを使用し、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを用いてそれぞれの色のベタ画像を隣接してインク受容層に印字し、隣接する各2色のベタ画像境界線の混色の度合い(にじみ)を目視観察し、以下の基準により評価し、これをにじみとした。なお、印字モードはOHPモードで、23℃、55%RHの環境の部屋で行った。
◎:すべての色について、2色が隣接しているベタ画像境界線が明瞭に判別でき、その境界線部分ににじみによる混色が全く見られない。
○:2色が隣接しているベタ画像境界線は明瞭に判別できるが、一部の色について、部分的に小さなにじみによる混色が見られる。
△:2色が隣接しているベタ画像境界線の判別できるが、すべての色について、にじみによって境界線がぼやけている。
×:すべての色について、にじみによる混色がひどく、2色が隣接しているベタ画像境界線が判別できない。
<耐水性>
レックスマーク社製のZ11カラープリンタ及び同プリンター用の純正インクを使用し、ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクにより単色のベタ画像をインク受容層に印刷し印刷体を調製し、印刷5分後に印画部にスポイトで蒸留水を一滴垂らし、一滴垂らしてから10秒後までの間にインクが水滴へ溶出したかどうかを観察した。ひきつづき、印刷体を23±2℃、40±5%RHに調整された部屋に静置して蒸留水を完全に乾燥させた後、蒸留水を垂らした部分の変色の度合いを目視で観察した。そして、以下の基準により評価し、これを耐水性とした。なお、印字モードはOHPモードで、23℃、55%RHの環境の部屋で行った。
◎:すべての色について、蒸留水を垂らした後の水滴へのインクの溶出が無く、乾燥後も蒸留水を垂らした部分に変色が無い
○:すべての色について、蒸留水を垂らした後の水滴へのインクの溶出が無いが、一部の色について、乾燥後に蒸留水を垂らした部分に変色がある
△:すべての色について、蒸留水を垂らした後の水滴へのインクの溶出が無いが、すべての色について、乾燥後に蒸留水を垂らした部分に変色がある
×:すべての色について、蒸留水を垂らした直後に水滴へのインクの溶出が有り、かつ乾燥後に蒸留水を垂らした部分に変色がある
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物(実施例1〜15)は、比較例1〜4の活性エネルギー線硬化型組成物に比較して、粘着性、光沢性、乾燥性、にじみ及び耐水性に遙かに優れており、特に光沢性と乾燥性に極めて優れていた。
また、実施例1〜4及び8〜13(一般式(1)で表されるアクリルアミドを9.0〜16.0[cal/cm31/2の溶解度パラメーター(SP値)を持つアクリル単量体(a)の重量に基づいて50〜85重量%含有する)の場合、印刷画像の耐水性が特に良好であった。中でも、実施例1〜3、及び11〜12(平均1次粒子径が5〜10nmである気相法シリカをアクリル単量体(a)、高分子(b)、無機微粒子(c)及び架橋有機微粒子(d)の合計重量に基づいて、2.5〜10重量%含有する)では、光沢性と乾燥性にバランスに極めて優れ、印刷画像ににじみも良好であった。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、種々の基材に塗工され、その基材に極性溶媒を含むインクによる印刷適正を付与することができる。そのような印刷適正を付与する基材としては、皮、布、プラスチック成型体、金属、紙、ダンボール、陶磁器等が挙げられる。また、印刷適正が付与された基材は、プリペイドカード、音楽用コンパクトディスク、CD−R、CD−RW、ディジタルビデオディスク(DVD)、ICカード、磁気カード、照明用アクリル樹脂板、ポリカーボネート板、看板、表示パネル、商品展示用パネル、表札、ネームプレート、銘板、包装容器、袋等に適用できる。

Claims (7)

  1. 9.0〜16.0[cal/cm31/2の溶解度パラメーター(SP値)を持つアクリル単量体(a)、
    第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニオ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するエチレン性不飽和単量体単位を必須構成単位として含有する高分子(b)、
    無機微粒子(c)、
    並びに9.0〜16.0[cal/cm31/2のSP値を持つエチレン性不飽和単量体(dd)からなる単位を必須構成単位として含有する架橋有機微粒子(d)
    からなることを特徴とするインク受容層形成用活性エネルギー線硬化型組成物。
  2. アクリル単量体(a)、高分子(b)、無機微粒子(c)及び架橋有機微粒子(d)の合計重量に基づいて、(a)の含有量が40〜95重量%、(b)の含有量が0.1〜50重量%、(c)の含有量が0.3〜30重量%、(d)の含有量が0.3〜30重量%である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. 架橋有機微粒子(d)の体積平均粒子径が5〜100μmである請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 高分子(b)がビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/N−ビニルイミダゾール共重合体、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体、ポリ(ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルイミダゾール)、ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸共重合体、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド/ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸共重合体及びビニルピロリドン/N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  5. アクリル単量体(a)が一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドを含んでなる請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
    (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2及びR3は水素原子又は炭素原子数1〜12の有機基を表し、R2とR3とは同じであっても異なっていてもよく、R2とR3は互いに結合し環を形成していてもよい。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて形成されたインク受容層付き基材。
  7. 請求項6に記載のインク受容層付き基材に極性溶媒を含むインクで印字してなる印刷体。

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