JP2006190807A - シリコンカーバイド静電誘導トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドリフト層(電圧保持層)10を共通化して逆並列ダイオードを内蔵したシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ(SiC−SIT)を実現する。
【解決手段】 ソース領域11の第1側面の溝19の底面から側面に沿ってゲート領域12を形成し、第1側面(片側)からの空乏層の伸縮のみでチャネル17の幅を制御し、トランジスタ電流Itをオン/オフ制御するスイッチング素子を構成する。一方、第2側面の溝20の底面から側面に沿いソース領域11の表面に亘ってソース電極18を形成し、このソース電極18とドリフト層10との間にショットキー接合21を形成し、このショットキー接合21からドレイン領域15へ、ドリフト層10を共通化して電流Idを流すダイオードを形成する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、静電誘導トランジスタ(SIT)、特に、シリコンカーバイド静電誘導トランジスタ(SiC−SIT)に関するものである。
大電力をスイッチングし制御するパワー半導体デバイスを構成する材質の中で、シリコンカーバイド(SiC)は以下の特長を有する。破壊電解強度は2.8MV/cmと、Siの0.3MV/cmよりも一桁程度大きいため、電圧保持層の厚さを大幅に薄くでき、Siパワー半導体デバイスと比べて飛躍的な低損失化・高速化が可能である。さらに、動作可能温度は、Siの200℃程度に対して600℃程度と、けた外れに高く、ハイブリッド自動車等、今後、その用途が増大する有望な耐高温デバイスである。このSiCデバイスの中で、縦型の静電誘導トランジスタ(SiC−SIT)は、上記SiCデバイスの低損失性を最大限に発揮できる構造である。
パワー半導体デバイスとして一般的な縦型MOSFETの場合、チャネルと称するMOS反転層がデバイス表面のゲート酸化膜下のベース領域に横方向に存在する。この領域が電流経路を増大し、デバイスのオン抵抗を増大させてしまう。また、SiCの場合、MOS構造を形成する良質なゲート酸化膜を形成することが困難なため、チャネル中のキャリア移動度が低下し、ますますオン抵抗が増大してしまう。さらには、ゲート酸化膜の高温信頼性を確保するのも困難であり、耐高温デバイスの特長を害してしまう。
これに対して、特許文献1に開示されたSiC−SITの場合、ゲート酸化膜を有することもなく、電流パスも完全に縦型で極めて低オン抵抗、即ち、低損失化できる特長を持っている。その動作原理は次の通りである。第1導電型のソース領域の両側に配置した、ソースと逆導電型の第2導電型のゲート領域から、電圧保持領域である、第1導電型のドリフト層へ空乏層を伸ばすことによりソース電極からドレイン電極への電流を制御する。空乏層幅の制御は、ソース領域とゲート領域間に印加する電圧で制御する。即ち、電流を遮断する場合には、空乏層でチャネル領域をピンチオフするのである。
パワー半導体デバイスがインバータ等に実際に使用される場合、フリーホイルダイオード( Free Wheeling Diode :FWD)又は環流ダイオードと呼ばれる逆並列接続されたダイオードが必須である。このフリーホイルダイオード(以下、環流ダイオード、ダイオード又はFWDと記す)は、前述のパワーMOSFETの場合、ベース領域がアノード領域、ドレイン領域がカソード領域となり、電圧保持層であるドリフト層を共通化して、逆並列ダイオードの内蔵を自動的に実現している。即ち、MOSFET動作する場合と、FWD動作する場合とで、同じ電圧保持領域を電流が流れる。
特開2004−134547号公報(全体)
しかしながら、特許文献1に開示されたSiC−SITの場合、FWDは内蔵されておらず、実使用においては、必ず、FWDを別チップとして逆並列接続する必要がある。あるいは、SiC−SITチップの一部に、電圧保持領域であるドリフト層を共通化しないで、ダイオードを形成する必要がある。
SiCの最大の欠点は、大口径の高品質単結晶の製造が、現在、実現できていないことであり、実現できたとしても、SiCウエハのコストはSiと比べて高コストになることが予測されることである。このことが、SiCデバイス実現を妨げている最大の原因である。従って、高コストのSiCデバイスにおいて、チップ面積を増大させるFWDの別チップ化や、別領域への形成の必要性は、その実用化にとって極めて大きな障害となる。
本発明の目的は、環流ダイオードを内蔵したシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ(SiC−SIT)を実現することである。
本発明はその一面において、シリコンカーバイド静電誘導トランジスタ(SiC−SIT)において、ソース領域の第1側面にゲート領域とゲート電極とを備え、ドレイン領域からソース領域へ縦方向に流れる電流を、第1側面のゲート領域からソース領域直下のドリフト層へ伸縮する空乏層によってオン/オフ制御するスイッチング素子を形成するとともに、ソース領域の表面からこのソース領域の第2側面に亘ってソース電極を形成し、この第2側面部のソース電極とドリフト層との間にダイオード接合を形成し、第2側面のソース電極からドレイン領域へ、ドリフト層を共通化して電流を流すダイオードを形成したことを特徴とする。
本発明は他の一面において、SiC−SITにおいて、ソース領域の第1側面に形成された第2導電型領域にゲート電極を形成してゲート領域となし、ソース領域の第2側面に形成された第2導電型領域をソース領域と電気的に接続するようにソース電極を形成し、ソース電極が接続された第2側面の第2導電型領域から第1導電型のドレイン領域へ、第1導電型のドリフト層を共通化して電流を流すダイオードを形成したことを特徴とする。
本発明はさらに他の一面において、SiC−SITにおいて、ソース領域の第2側面のドリフト層に溝を形成し、この溝の底面から側面に沿いソース領域の表面に亘ってソース電極を形成するとともに、このソース電極とドリフト層との間でショットキー接合を形成し、このショットキー接合からドレイン領域へ、ドリフト層を共通化して電流を流すダイオードを形成したことを特徴とする。
本発明の望ましい実施態様によれば、環流ダイオード(FWD)をチップ面積の増大なしでシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ(SiC−SIT)に内蔵させることができる。
また、本発明の望ましい実施態様によれば、内蔵した環流ダイオードを大幅に低損失化できる。
さらに、ショットキー接合の内蔵ダイオードを形成した本発明の望ましい実施態様によれば、ショットキー接合による固定の空乏層をソース領域下に生成させ、一方のゲート領域から伸縮する空乏層によってチャネル幅の制御を可能とし、電流のオン/オフ制御を確実にする効果がある。
本発明のその他の目的と特徴は、以下に述べる実施形態の説明の中で明らかにする。
電力変換装置を構成するために用いられるスイッチング素子には、逆並列にダイオードを接続することが必須であるため、半導体スイッチング素子自体に、逆並列ダイオードを内蔵することが望ましい。高品質単結晶基板を製造することが困難なシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ(SiC−SIT)に、電力変換装置として利用する場合に必須の環流ダイオード(FWD)を、チップ面積を増大させず内蔵したSITを実現した。
第1の実施例:
図1は、本発明の第1の実施例によるSiC−SITの1実施例の断面構造模式図である。第1導電型nのドリフト層10の一面(図の上面)に高濃度の第1導電型nのソース領域11が形成されている。このソース領域11の第1及び第2側面(両側)には、従来のゲート領域である高濃度の第2導電型p領域12,13が形成されている。その一方は、この実施例においてもゲート領域12として機能し、ゲート電極14が形成されている。nドリフト層10の他面(図の下面)には、第1導電型nドレイン領域15を形成し、このドレイン領域15の他面にドレイン電極16を形成している。
さて、ソース領域11の拡散深さD1は1μm以下で、幅W1も1μm以下である。第2導電型p領域12,13の拡散深さD2は1.5μm程度である。ゲート領域12の拡散深さD2は、ソース領域深さD1よりも深くする必要がある。電子がソース領域11からドレイン領域15へ流れる量を制御する領域である、電流制限領域であるチャネル17の幅(概略ソース領域11の幅)W1を、ゲート領域12からドリフト層10へ広がる空乏層によって制御するためである。ゲート領域12が、ソース領域11の深さ程度しかなく、あるいは、浅い場合には、空乏層がソース領域11の下方へ拡がることができず、チャネル17の幅を制御することはできない。従って、ソース領域11の幅W1も同じ理由で、ドレイン電流のオン/オフ制御性を良くするためには重要であり、オン電圧を上昇させない範囲で、可能な限り狭くしなければならない。ソース/ゲート間に負電圧を印加しなくてもドレイン電流を遮断できるノーマリオフを実現するための、チャネル17の幅W1の値が上記した1μm程度以下である。すなわち、ゼロバイアスで、ソース領域11の下方へゲート領域12からの空乏層を広げて電子電流の通路を完全に遮断してしまうのである。
チップ他面(図の下方)に形成された高濃度n層であるドレイン領域15は、チップ他面全体に形成され、その拡散深さはソース領域11と同様に、1μm以下である。本実施例の定格電圧(デバイス耐圧)は600Vであり、ソース/ドレイン間に印加される電圧を保持する低濃度n層であるドリフト層10の厚さT1は10μm程度である。一般のSiデバイスの場合、この厚さは60μm程度であり、この実施例のSiCでは大幅に薄くすることができた。このことが、SiCデバイスにおいて、Siデバイスと比較して大幅に低オン電圧化(低損失化)できる大きな理由である。
以上で述べた範囲では、従来の非トレンチ型のSiC−SITの構造と基本的に同じである。
この実施例が、従来のSiC−SITと異なるのは、第1に、ソース領域11の両側の第2導電型p領域のうち、第1側面のp領域12のみにゲート電極14を接続して、片側のみにゲート領域12を形成したことである。第2に、第2側面側のp領域13を、ソース領域11と電気的に接続するように、ソース電極18を形成したことである。これによって、ソース電極18が接続された第2導電型p領域13からドレイン領域15へ、ドリフト層10を共通化して電流を流すダイオードを形成している。
図2は、本実施例におけるトランジスタ電流と環流ダイオード電流の流れを示した図である。本構造とすることで、ゲート電極14とソース電極18間に正バイアス電圧を印加することにより、SiC−SIT動作時の主電流であるドレイン電流Itは、従来と同様にドレイン領域15からソース領域11へと通流する。一方、第2側面側の第2導電型p領域13は、ドリフト層10,ドレイン領域15とpn接合ダイオード(又はpinダイオード)を形成しており、ソース電圧がドレイン領域15に比べて正電圧になると、ダイオード電流Idが通流可能になる。即ち、環流ダイオード動作が可能になる。本図で明らかなように、SIT電流Itと環流ダイオードFWD電流Idは、同じドリフト層10を流れており、チップ面積を増大させないことが分かる。
ソース電極18、ゲート電極14、及びドレイン電極16は、低接触抵抗及び低抵抗に十分配慮し、SiCとのオーミック接続は、薄いニッケル層で実現し、その上層にアルミを堆積する二層電極配線としている。また、図に示したのは基本ユニットセルの断面構造模式図であり、実際のデバイスでは、図の構造がミラー反転される形で連続的に形成され、一つのチップを構成する。さらに、図の奥行き方向のユニット両端部では、ソース領域11、ゲート領域12ともに、印加電圧による電界が集中してブレークダウンすることがないように、電界緩和に配慮された構造としている。
第2の実施例:
図3は、本発明の第2の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図である。本実施例では、高濃度n層であるソース領域11の両側のドリフト層の一面から、溝19,20を形成している。溝19,20の深さD3は、1.5μm程度である。この溝19,20の底面及び側面に沿って、高濃度p領域12,13を形成している。これら高濃度p領域12,13の深さD4は1μm程度である。そのうち、ソース領域11の第1側面(図の右側)の高濃度p領域は、ゲート領域12としてゲート電極14が形成されている。一方、ソース領域11の第2側面(図の左側)の高濃度p領域13は、溝20の底面及び側面に沿い、かつソース領域11の表面に亘ってソース電極18が形成されている。片側の高濃度p領域13をソース領域11と接続し、同電位化することにより、第1の実施例と同様、ゲート領域12をアノード領域とした環流ダイオードFWDを内蔵したSiC−SITを実現している。
第1の実施例では、ソース領域11の深さよりも深く拡散させたゲート領域12及び対向する高濃度p領域13間に、チャネル17を形成していた。この場合、ゲート領域12、高濃度p領域13及びソース領域11とも、表面から不純物を拡散させて形成するため、チャネル17は、ドレイン領域15へ向かって広くなる構造になることは避けられない。このことは、チャネル17を遮断しにくく、ノーマリオフを実現するためには、結果的にチャネル17の幅となるソース領域11の幅W1を狭くせざるを得ず、低オン電圧を実現するには不利な構造であった。
これに対して、本実施例では、溝19,20の側面に形成した高濃度p領域12,13によって、チャネル17は、深さ約1.5μmに亘って直線的に形成することができる。したがって、チャネル17を空乏化させるのは、第1の実施例よりも容易であり、チャネル17の幅W2をより大きくすることができる。即ち、低オン電圧化が可能となる。
ソース領域11の深さ、ドリフト層10の深さD5、ドレイン領域15の厚さ等は、第1の実施例と同じである。また、ソース電極18,ゲート電極14,及びドレイン電極16の層構成や、図示構造がミラー反転する形で連続的に形成され、1チップを構成すること、並びに、図の奥行き方向の両端部に電界緩和構造が形成されていることも第1の実施例と同じである。さらに、本実施例においては、ミラー反転されてチップ端の溝角部での電界緩和構造も形成されている。
第3の実施例:
図4は、本発明の第3の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図である。図1,図3に示した第1,第2の実施例において、環流ダイオードFWDは、pn(pin)接合ダイオードであった。SiCの場合、前述したようにSiと比べて破壊電界強度が大きいことが特徴で、このことは主としてバンドギャップが広いことで実現できている。Siのバンドギャップは1.1eVであるのに対し、SiCのバンドギャップは3.2eVである。この副作用として、pn接合の拡散電位が大きく、ダイオードの立ち上がり電圧が大きいため、ダイオードの損失が大きくなってしまう欠点がある。低損失性を要求されるパワー半導体デバイスでは、極めて不利な欠点である。SiCの場合、この欠点を改善し、さらには、ダイオードのリバースリカバリをpn接合ダイオードと比べて大幅に改善するため、環流ダイオードFWDをショットキーダイオードとすることが行われている。本実施例は、本発明構造にショットキーダイオードを複合させたものである。
ゲート電極14、ゲート領域12、ドリフト層10、ドレイン領域15、ドレイン電極16は、第1の実施例と同じである。高濃度n層であるソース領域11の拡散深さや幅も、第1の実施例とほぼ同様である。本実施例の特徴は、まず、ソース領域11の第2側面のドリフト層10に溝20を形成し、この溝20の底面から側面に沿いソース領域11の表面に亘ってソース電極18を形成したことである。そして、溝20の底面及び側面部のソース電極18とドリフト層10との間にショットキー接合を形成し、環流ダイオードを形成したことである。溝20の深さD6は、ゲート領域12の拡散深さと概略同じ1.5μ
mである。
溝20を形成したことが本実施例の大きな特徴である。即ち、通常、ショットキー接合は、チップ表面に形成されるが、それでは、ショットキー接合の空乏層はチャネル17の制御に寄与しない。これに対して、この実施例の構造では、ソース領域11の第1側面のゲート領域12から伸縮する空乏層に対向する位置に、ショットキー接合21の空乏層が存在し、チャネル17の制御に、ゲート領域12の空乏層とともに寄与することができる。
ショットキー接合21を形成するソース電極18の金属材料はニッケルであり、低抵抗化のための補助としてアルミニウムも堆積される。
図の奥行き方向の両端部に電界緩和構造が形成されていることや、ソース電極18、ゲート電極14、及びドレイン電極16の層構成も第1の実施例と同じである。
本実施例において、環流ダイオードとなるショットキーダイオードは、第1及び第2の実施例と比べ、極めて低損失で、リバースリカバリ電流も一桁ほど小さいものが実現できた。即ち、装置の低損失化、低ノイズ化に大きな効果がある環流ダイオードFWDを内蔵したSiC−SITを実現できた。
第4の実施例:
図5は、本発明の第4の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図である。本実施例は、第2の実施例(図3)と第3の実施例(図4)を融合した最も性能的に優れた実施例である。
まず、本実施例の基本構造を説明する。高濃度n層であるソース領域11の両側に溝19,20を形成し、ソース領域11の第1側面の溝19の底面及び側面に沿って高濃度p領域を拡散しゲート領域12を形成している。一方、ソース領域11の第2側面の溝20の底面から側面に沿いソース領域11の表面に亘ってソース電極18を形成している。このソース電極18は、溝20の底面及び側面部において、ドリフト層10との間にショットキー接合21を形成している。この構造により、図3に示す第2の実施例と同様、チャネル17を効率よく空乏層で制御することができ、デバイスの低損失化に寄与できる。すなわち、ショットキー接合21の空乏層と、ゲート領域12の空乏層とが直線的に対向し、チャネル17を効率よく制御できるのである。さらに、性能向上を図るために、溝19,20の深さを調整して、ショットキー接合21の深さと、ゲート領域12の深さを同じにすることも考えられる。
高濃度n層であるソース領域11、高濃度p領域であるゲート領域12、低濃度n層であるドリフト層10、高濃度n層であるドレイン領域15、さらには、ソース電極18、ゲート電極14、及びドレイン電極16はこれまでの実施例と概略同じ構造である。さらに、図示の構造がミラー反転される形で連続的に形成され、一つのチップを構成すること、図の奥行き方向の両端で電界緩和構造が形成されていることも、これまでの実施例と同じである。
第5の実施例:
図6は、本発明の第5の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図である。この実施例は、図5で説明した第4の実施例において、表面のソース電極18及びゲート電極を、高性能化に配慮した構造としたものである。したがって、その他の構成は全て図5と同様である。
ソース領域11の概略半分と、ゲート領域12全体の表面上に、デポジッション酸化膜等からなる層間絶縁膜22を形成している。そして、この層間絶縁膜22によって、ゲート領域12と分離絶縁する形で、ソース電極18を、チップ表面の概略全面に堆積している。ゲート領域12には、図面の奥行き方向及び/又は手前方向のユニット端部にゲート電極(図示せず)が形成されている。本構造により、これまでの実施例と比較して、ソース電極18の抵抗を飛躍的に減少させ、デバイスの低損失化を図ることができる。
電力を制御するデバイスにおいて、低損失化は最重要課題である。本発明によるSiC−SITのように、低損失性に優れたデバイスの場合、電極(配線)抵抗による損失も考慮しなければならない。本実施例において、ゲート領域12の高抵抗化は、これまでの実施例と比較して避けられない。しかしながら、ゲート領域12は、主電流の流れる領域ではなく、主電流と比較して極めて小さい電流しか流れない領域であるため、デバイスの均一動作を妨げない程度まで高抵抗化しても何ら問題はない。
SiC−SITに、電圧保持領域を共通化して環流ダイオードを内蔵することにより、電力変換器を構成するSiCチップ数やチップ面積を減少させることができる。従って、良質な結晶を得ることが困難なSiCを利用し、装置を小型化でき、高温動作が可能なSiCの特長を生かした電力変換器の実現性を高めることができる。
本発明の第1の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図。 図1におけるトランジスタ電流と環流ダイオード電流の流れを示した図。 本発明の第2の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図。 本発明の第3の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図。 本発明の第4の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図。 本発明の第5の実施例によるSiC−SITの断面構造模式図。
符号の説明
10…ドリフト層、11…ソース領域、12…ゲート領域(第2導電型p領域)、13…第2導電型p領域、14…ゲート電極、15…ドレイン領域、16…ドレイン電極、17…チャネル、18…ソース電極、19,20…溝、21…ショットキー接合、22…層間絶縁膜。

Claims (10)

  1. 第1導電型のドリフト層の一面に形成された第1導電型のソース領域と、このソース領域の側方に形成された第2導電型のゲート領域と、前記ドリフト層の他面に形成された第1導電型のドレイン領域と、このドレイン領域の他面に形成されたドレイン電極とを備え、前記ドレイン領域から前記ソース領域へ縦方向に流れる電流を、前記ゲート領域から前記ソース領域の直下の前記ドリフト層へ伸縮する空乏層によってオン/オフ制御するシリコンカーバイド(SiC)静電誘導トランジスタ(SIT)において、前記ソース領域の第1側面に形成された前記ゲート領域と、このゲート領域に形成されたゲート電極と、前記ソース領域の表面からこのソース領域の第2側面に亘って形成したソース電極と、この第2側面部の前記ソース電極と前記ドリフト層との間に形成されたダイオード接合とを備え、前記ソース電極から前記ドレイン領域へ、前記ドリフト層を共通化して電流を流すダイオードを形成したことを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  2. 第1導電型のドリフト層の一面に形成された第1導電型のソース領域と、このソース領域の第1及び第2側面に形成された第2導電型領域と、前記ドリフト層の他面に形成された第1導電型のドレイン領域と、このドレイン領域の他面に形成されたドレイン電極とを備え、前記ドレイン領域から前記ソース領域へ縦方向に流れる電流を、前記第2導電型領域から前記ソース領域の直下のドリフト層へ伸縮する空乏層によってオン/オフ制御するシリコンカーバイド(SiC)静電誘導トランジスタ(SIT)において、前記ソース領域の第1側面の前記第2導電型領域に形成されたゲート電極と、前記ソース領域の第2側面の前記第2導電型領域を、前記ソース領域と電気的に接続するように形成したソース電極とを備え、前記ソース電極が接続された前記第2導電型領域から前記ドレイン領域へ、前記ドリフト層を共通化して電流を流すダイオードを形成したことを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  3. 請求項1又は2において、前記ソース領域と、このソース領域の第1及び第2側面に形成された第2導電型領域の表面をほぼ面一に形成し、前記ソース電極と前記ゲート電極を、実質的に同一平面上に形成したことを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  4. 請求項1又は2において、前記ソース領域の第1及び第2側面に前記ドリフト層の一面から形成された溝を備え、これらの溝の底面及び側面に沿って形成された第2導電型の不純物層を備えたことを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記ソース電極によって、前記ソース領域と電気的に接続される第2導電型領域は、チップ全体の第2導電型領域中の一部の領域であることを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  6. 第1導電型のドリフト層の一面に形成された第1導電型のソース領域と、このソース領域の側面に形成された第2導電型のゲート領域と、前記ドリフト層の他面に形成された第1導電型のドレイン領域と、このドレイン領域の他面に形成されたドレイン電極とを備え、前記ドレイン領域から前記ソース領域へ縦方向に流れる電流を、前記ゲート領域から前記ソース領域の直下の前記ドリフト層へ伸縮する空乏層によってオン/オフ制御するシリコンカーバイド(SiC)静電誘導トランジスタ(SIT)において、前記ソース領域の第1側面の前記ドリフト層に形成されたゲート領域と、このゲート領域に形成されたゲート電極と、前記ソース領域の第2側面の前記ドリフト層に形成された溝と、この溝の底面から側面に沿い前記ソース領域の表面に亘って形成されたソース電極と、このソース電極と前記ドリフト層との間に形成されたショットキー接合とを備え、このショットキー接合から前記ドレイン領域へ、前記ドリフト層を共通化して電流を流すダイオードを形成したことを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  7. 請求項1,2,4〜6のいずれかにおいて、前記ソース領域の第1側面の前記ドリフト層に形成された溝と、この溝の底面から側面に沿って形成された第2導電型のゲート領域と、前記溝内の基底部に形成されたゲート電極とを備えたことを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  8. 請求項6又は7において、前記ソース領域の両側に形成された2つの溝は、実質的に同一の深さであることを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  9. 請求項6〜8のいずれかにおいて、前記ショットキー接合は、チップ全体の一部の領域に形成されていることを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
  10. 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記第1導電型は電子を多数キャリアとするn型であり、前記第2導電型は正孔を多数キャリアとするp型であることを特徴とする環流ダイオード内蔵型のシリコンカーバイド静電誘導トランジスタ。
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