JP2006189570A - 液浸光学系および光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液浸光学系において、NAを最終レンズに用いられる硝材の屈折率の屈折率近傍以上まで高める。
【解決手段】 光源からの光10を第1の面13aに向かって集束させる光学系であり、該第1の面に最も近いレンズ面11aが凹面であるレンズ11と、該レンズ面と第1の面との間の光の透過領域を満たす液体12とを有する。さらに、以下の条件を満足する。
d>L/[2×tan{arcsin(NA/ni)}]
但し、第1の面に対して略直交する方向において該レンズ面上の第1の点11bと第1の面上の第2の点13bとの間の距離が最大となる場合に、dは第1の点と第2の点との間の距離、L/2は第2の点から第1の面上での光の照射領域Lの端までの最大距離、NAは該光学系の開口数、niは該液体の屈折率である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光源からの光を物体上に収束させる光学系であって、最終レンズ面と物体との間に液体を満たした液浸光学系およびこれを備えた光学装置に関するものである。
顕微鏡や半導体露光装置等の光学系の解像度を高めるために、物体と光学系の最終レンズ面との間に、屈折率が1より大きい液浸媒質を満たし、実効的な開口数(NA:Numerical Aperture)を高める液浸法が用いられている。この種の液浸法を用いた光学系の最終レンズ面は、液浸媒質の充填しやすさから平面形状とされることが多い。
図18には、従来の液浸法を用いた光学系を示すものである。該光学系は、最終レンズ201と、液浸媒質202とを有して構成され、光束200は、レンズ201に入射し、液浸媒質202を透過しながら物体203上に最大入射角度θiで集束される。この場合の光学系のNAは、液浸媒質の屈折率をniとすると、
NA=ni×sinθi
となる。また、解像度Rと焦点深度DOFは、波長をλとすると、
R=k1×λ/NA
DOF=k2×λ/[2×ni×{1−(1−(NA/ni)1/2}]
と表される。ここで、k1,k2はプロセスや照明条件に依存する比例定数である。
したがって、NAを高めることで解像度Rは値が小さくなり、より微細な光学像を得ることが可能となる。
また、NAを高めることで焦点深度DOFは増大するため、物体位置の誤差やフォーカス位置の誤差による光学像の劣化を低減することが可能となる。
ここで、レンズと物体間が空気であるとし、空気の屈折率を1.0、空気中の最大入射角をθ0とすると、θ0の最大角が90°であるため、NAの最大値は1となり、解像度Rを小さくすることが不可能となる。しかし、レンズと物体間に屈折率niが1より大きい液浸媒質を満たすことで、NAを1より高めることが可能となり、より小さい解像度(高い解像力)の光学系でありながらも焦点深度DOFの増大が可能となる。
また、最終面が平面の光学系を用いる場合には、液浸媒質が有る場合と無い場合とでは液浸媒質の厚みによる球面収差が発生する。この収差の発生を低減するために、半導体露光装置における液浸投影光学系の最終面の曲率半径を規定していた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図19には、従来の液浸投影光学系の最終レンズの周辺を示している。この図に示すように、液浸投影光学系は、最終レンズ201と、液浸媒質202と、液浸媒質を満たす槽204とから構成されている。光束200は、レンズ201に入射し、液浸媒質202を透過しながら物体203上に最大入射角θiで集束される。このとき、レンズ201の最終面は、物体203上の一点を中心とした凹面状の球面形状となっている。この形状を用いることで、レンズ201の最終面と液浸媒質202との境界面に垂直に光が入射することになるため、屈折率差があっても光が屈折することなく物体203上に集光する。このため、液浸媒質を取り除いても、平行平板で生じるような球面収差は生じない。
特開2000−58436公報(段落0009〜0011、図2等)
しかしながら、図18に示すように、最終レンズ面が平面の場合は、該レンズの硝材の屈折率をnl、液浸媒質の屈折率をni0としたときに、ni0<nlという条件でのNAの最大値NA0は、液浸媒質の屈折率niと液浸媒質中への最大入射角θiとで決定され、
NA0=ni0×sinθi
となる。sinθiの理論上の最大値は1であるが、実際にはsinθiが1に近づくにつれて最終レンズ面での反射率が急激に高くなるため、NAを液浸媒質の屈折率ni0近傍まで高めることができない。
さらに、NAを高めるために、硝材の屈折率nlより高い屈折率niを有する液浸媒質を用いた場合、NAの最大値NA1は、硝材の屈折率nlと硝材への最大入射角θlとで決定され、
NA1=nl×sinθl
となる。
この場合、ni0<nl<niであり、sinθlの理論上の最大値は1であるから、NAをni0以上に高めることはできるものの、硝材の屈折率nlの近傍以上に高めることができない。つまり、レンズ硝材の屈折率より高い屈折率を有する液浸媒質を用いた場合においても、最終レンズ面に入射した光のうち入射角度が大きい光が最終レンズ面で全反射し、その光は物体まで到達しないため、光学系のNAを硝材の屈折率近傍まで高めることができず、さらに理論的にNAを硝材の屈折率以上に高めることができない。
図20には、硝材の屈折率nl=1.50、液浸媒質の屈折率ni=1.63、入射光がP偏光の場合における、最終レンズ面における光強度反射率のNA依存性、すなわち光束の最大入射角依存性を示す。図21には、同様に、入射光がS偏光の場合における、反射率のNA依存性を示す。これらの図より、NAが硝材の屈折率nl=1.50に近づいた場合、例えばNA=1.48での最大入射角の光のうち、P偏光では16.5%、S偏光では22.4%の光が反射してしまい、結像特性が急激に劣化する。このため、NAを硝材の屈折率近傍まで高めることができない。さらに、NAを硝材の屈折率と等しい値まで高めると、最大入射角の光はすべて反射してしまうため、光学系のNAを硝材の屈折率以上にすることが不可能となる。
このように最終レンズ面が平面の場合に光学系のNAを硝材の屈折率近傍以上に高めることができないという課題は、最終レンズ面をNAに応じた曲率半径を有した形状にすれば解決できる。しかし、この場合でも、特許文献1にて提案されている、最終レンズ面の曲率半径を規定した構成では、物体に光が照射される領域の広がりを考慮していないため、焦点位置の1点ではλ/NAに比例した良好なスポット像が得られるものの、光照射領域全面で良好な光学像を形成できない。
本発明は、NAを最終レンズに用いられる硝材の屈折率の屈折率近傍以上まで高めることが可能な液浸光学系およびこれを備えた光学装置を提供することを目的の1つとする。
一側面としての本発明は、光源からの光を第1の面に向かって集束させる光学系であり、該第1の面に最も近いレンズ面が凹面であるレンズと、該レンズ面と第1の面との間の光の透過領域を満たす液体とを有し、さらに、以下の条件を満足することを特徴とする。
d>L/[2×tan{arcsin(NA/ni)}]
ここで、第1の面に対して略直交する方向において該レンズ面上の第1の点と第1の面上の第2の点との間の距離が最大となる場合に、dは第1の点と第2の点との間の距離、L/2は第2の点から第1の面上での光の照射領域の端までの最大距離、NAは該光学系の開口数、niは該液体の屈折率である。
本発明によれば、液浸法を用いた光学系において、該光学系のNAを最終レンズの屈折率近傍以上に高めることができる。これにより、例えば該光学系を半導体露光装置の投影光学系に用いた場合には、開口数を高めつつ良好な結像性能を得ることができ、従来に比べて、より微細なパターン転写を高速で行うことができるようになる。
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である液浸光学系の要部構成を示す。該光学系は、不図示の光源からの光束10を、不図示の屈折系および反射系のうち少なくとも一方によって、物体13が配置された第1の面(像面)13aに最も近い最終レンズ11まで導き、さらに該最終レンズ11の物体側のレンズ面(すなわち、該光学系において最も物体13に近いレンズ面:以下、最終レンズ面という)11aから射出した光を、該最終レンズ面11aと物体13との間の領域を満たす液体としての液浸媒質12を透過させて該第1の面13a上に所定の光照射領域Lを形成する。最終レンズ11を透過した光束10は、最終レンズ面11aと液浸媒質12との境界面で透過又は屈折し、集束するように物体13上に進む。
入射光束10のうち光束L0は、物体13上の光照射領域Lの中央に集光し、光束L1は光照射領域Lの端に集光する。
最終レンズ面11aは、物体側に向かって凹形状を有する。また、最終レンズ面11aのうち第1の面13aに対して略直交する方向において、該最終レンズ面11a上の第1の点11bと第1の面13a上の第2の点13bとの間の距離が最大となる場合に、該距離をdとする。
ここで、第1の点11bは、一般には最終レンズ11の光軸(但し、該光軸上を光線が通る必要はない)若しくは回転対称軸上の点であり、別の表現を用いれば、最終レンズ面11aの中心である。また、上記光軸又は回転対称軸と物体13上の第1の面との交点は、光照射領域Lの中心である。なお、本実施例において、第1の面13aは平面とし、収差がなく平面として形成された理想的な像面に相当する。
また、「第1の面13aに対して略直交する方向」とは、第1の面13aに対して正確に直交する方向だけでなく、最終レンズ11や物体13の偏心や傾き等に起因する、光学性能に影響を与えない誤差の許容範囲内で該直交方向に対して傾きを有する場合も含む意味である。また、この方向の直線を、以下の説明においては単に物体の法線と称する場合がある。
このような構成の液浸光学系を、光学装置の1つである半導体露光装置の投影光学系に適用した場合について、図14を併せ用いて説明する。
図14において、本発明の一側面としての露光装置について説明する。ここで、図1は、露光装置の概略構成を示すブロック図である。
露光装置100は、回路パターンが形成された原版(マスク又はレチクル:以下、マスクという)101を照明する照明装置102と、被露光体であるウェハ等のプレート(以下、ウェハという)103を支持するステージ104と、照明されたマスク101のパターンからの光(回折光)をウェハ103に投影する、上述した液浸光学系としての投影光学系105とを有する。なお、投影光学系105は、その最終レンズ面とウェハ103との間に満たされた液浸媒質12を含み、該液浸媒質12は漕14内に満たされている。これについては詳しく後述する。
露光装置100は、例えばステップアンドリピート方式やステップアンドスキャン方式でマスク101に形成された回路パターンをウェハ103に露光する投影露光装置である。この露光装置100は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィ工程に好適であり、以下、本実施例ではステップアンドスキャン方式の露光装置(「スキャナ」とも呼ばれる)を例に説明する。
ここで、「ステップアンドスキャン方式」は、マスクに対してウェハを連続的にスキャンしてマスクパターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露光終了後にウェハをステップ移動して、次のショットの露光領域に移動する露光方法である。一方、「ステップアンドリピート方式」は、ウェハのショットの一括露光ごとにウェハをステップ移動して次のショットを露光領域に移動する露光方法である。
照明装置102は、光源部と照明光学系とを有し、転写用の回路パターンが形成されたマスク101を照明する。
光源部は、例えば、レーザ光源により構成される。レーザは、波長約193nmのArFエキシマレーザ、波長約248nmのKrFエキシマレーザ、波長約157nmのF2エキシマレーザなどを使用することができるが、レーザの種類はエキシマレーザに限定されず、例えば、YAGレーザを使用してもよいし、そのレーザの個数も限定されない。
例えば、独立に動作する2個の固体レーザを使用すれば固体レーザ間相互のコヒーレンスはなく、コヒーレンスに起因するスペックルはかなり低減する。さらにスペックルを低減するために光学系を直線的又は回動的に揺動させてもよい。また、光源部 にレーザが使用される場合、レーザ光源からの平行光束を所望のビーム形状に整形する光束整形光学系、コヒーレントなレーザ光束をインコヒーレント化するインコヒーレント化光学系を使用することが好ましい。また、光源部に使用可能な光源はレーザに限定されるものではなく、一又は複数の水銀ランプやキセノンランプなどのランプも使用可能である。
照明光学系は、光源部からの光でマスク101上を照明するための光学系であり、レンズ、ミラー、ライトインテグレータ、絞り等を含む。例えば、光源側から順に、コンデンサーレンズ、ハエの目レンズ、開口絞り、コンデンサーレンズ、スリット、結像光学系により構成される。照明光学系は、軸上光、軸外光を問わず使用することができる。ライトインテグレータは、ハエの目レンズや2組のシリンドリカルレンズアレイ(又はレンチキュラーレンズ)板を重ねることによって構成されるインテグレーター等を含むが、光学ロッドや回折素子に置換される場合もある。
マスク101は、例えば石英により形成され、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成されている。マスク101は、図示しないマスクステージにより支持され、駆動される。マスク101から発せられた回折光は投影光学系105を通り、ウェハ103上に投影される。プレート103は被処理体であり、その被照射面側にはレジストが塗布されている。マスク101とウェハ103とは共役の関係にある。
走査型投影露光装置の場合は、マスクとウェハを走査することによりマスクのパターンをウェハ上に転写する。ステッパ(ステップアンドリピート露光方式の露光装置)の場合はマスクとウェハを静止させた状態で露光が行われる。
なお、投影光学系105において、色収差の補正の必要な場合には、互いに分散値(アッベ値)の異なるガラス材からなる複数のレンズ素子を使用したり、回折光学素子をレンズ素子と逆方向の分散が生じるように使用したりする。
ウェハ103上にはフォトレジストが塗布されている。フォトレジスト塗布工程は、前処理と、密着性向上剤の塗布処理と、フォトレジストの塗布処理と、プリベーク処理とを含む。前処理は洗浄、乾燥などを含む。
密着性向上剤の塗布処理は、フォトレジストと下地との密着性を高めるための表面改質(即ち、界面活性剤塗布による疎水性化)処理であり、HMDS(Hexamethyl-disilazane)などの有機膜をコート又は蒸気処理する。プリベークはベーキング(焼成)工程であるが、現像後のそれよりもソフトであり、溶剤を除去する。
ステージ104は、ウェハ103を支持する。ステージ104は、当業界で周知のいかなる構成をも適用することができるので、ここでは詳しい構造及び動作の説明は省略する。例えば、ステージ104はリニアモータを利用してXY方向(例えば、水平方向)にウェハ103を移動することができる。例えば、マスク101とウェハ103は同期走査され、ステージ104と図示しないマスクステージの位置は、レーザ干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。また、ステージ104は、例えば、ダンパを介して床等の上に支持されるステージ定盤上に設けられ、マスクステージおよび投影光学系105は、例えば、床等に載置されたベースフレーム上にダンパ等を介して支持される図示しない鏡筒定盤上に設けられる。
露光工程において、照明装置102の光源部から発せられた光束は、照明光学系によりマスク 101を、例えばケーラー照明する。マスク101に入射してマスクパターンを反映する光は、投影光学系105によりウェハ103上に結像される。この際、マスクパターンの像は、投影光学系105により縮小されてウェハ103上に形成される。
以下、投影光学系105に注目してより詳しく図1を用いて説明する。光源から照明光学系102およびマスク101を介した光(ここでは、波長193nmのレーザ光とする)は、投影光学系105に入射し、該投影光学系105の最終レンズ11に到達する。
最終レンズに到達した光10は、最終レンズ11から液浸媒質12を経て、物体に相当するウェハ13に照射される。ウェハ13上には、光と相互作用が生じるレジストが塗布してあり、ウェハ13上に、マスクのパターンが結像され、レジストにパターンが転写される。この場合、半導体露光のスループットを向上させるために、ウェハ13に転写されるパターン領域は、一定以上の大きさをもつことが必要である。ArFレーザを用いたスキャン方式の半導体露光装置では、マスクに光が照射される領域は、ある大きさを有するスリットにより決定され、ウェハ13上では、その領域の大きさに投影光学系の倍率を乗じた大きさの領域に光が結像される。
通常、レチクルは6inch角であり、投影光学系の倍率が1/4の場合、ウェハ13上に一度に光を照射する領域の最大長さは26mm程度である。
ここで、前述したように、最終レンズ面が平面である構成では、硝材の屈折率nlと液浸媒質の屈折率ni0とがni0<nlの場合、NAの最大値NA0は、液浸媒質の屈折率ni0と液浸媒質への最大入射角θiとで決定され、
NA0=ni0×sinθi
となる。sinθiの理論上の最大値は1であるが、実際にはsinθiが1に近づくにつれて最終レンズ面での反射率が急激に高くなるため、NAを液浸媒質の屈折率ni0の近傍にまで高めることができない。この問題を解決するためには、最終レンズ面の形状を凹面形状にすればよいが、該凹面形状を単純にウェハ13上の一点を中心とした曲率半径の形状を有する形状にした場合、物体に光が照射される領域全面で良好な結像特性を得ることが難しい。
図2に、ウェハ13上の一点を中心とした曲率半径を持つ球面形状を有した最終レンズ面を用いた場合の液浸光学系を示す。図2には、曲率半径dの凹球面形状を有する最終レンズ面11a′を有した最終レンズ11′と、液浸媒質12と、最終レンズ11′から距離dだけ離れた位置に配置されたウェハ13とを示している。不図示の光源から最終レンズ11′に導かれた入射光束10は、最終レンズ11′を透過し、最終レンズ面11a′と液浸媒質12との境界面で透過又は屈折してウェハ13上の露光領域Lに光を照射する。
入射光束10のうち、光束L0は露光領域Lの中央に集光し、光束L1は露光領域Lの端に集光する。光束L0は、最終レンズ面11a′の曲率半径の中心に集光するため、最大入射角度θの光線も、最終レンズ面11a′と液浸媒質12との境界面に垂直に入射する。したがって、反射率の増加、つまり透過率の減少は生じない。
光束L1のうち最大入射角度の光線L1maxは、液浸媒質12中において、入射角度θで露光領域Lの端へ照射される。
ここで、例えば、露光領域Lの中心を通る物体(ウェハ)13の法線が最終レンズ11′の中心を通る場合には、該法線と該物体13とが交差する点(第2の点)から物体13上の光照射領域(露光領域)Lまでの距離の最大値はL/2となる。
この場合に、
d×tanθ<L/2
であると、最大入射角度を持つ光線L1maxは、最終レンズ面が平面である方が、凹面である場合に比べて、最終レンズ面と液浸媒質との境界面に入射する角度が大きくなり、透過率が減少し、さらには、光線が全反射して光照射領域Lの端での結像性能が劣化する。
このような場合には、光照射領域Lの全面で良好な結像特性を得ることができないため、該光学系を半導体露光装置に適用した場合、露光領域内で転写パターンが大きく変動し、また解像できないパターンが発生することになり、半導体回路パターンの作製には向かなくなる。
一方、図1に示すように、
d×tanθ>L/2
とすることで、最終レンズ面が平面の場合に比べて凹面の場合の方が、最大入射角度を持つ光線L1maxの上記境界面への入射角度を小さくすることが可能となる。したがって、光線最大入射角度を最終レンズ面が平面である場合に比べて大きくすることができる。つまり、露光領域Lの端においても、NAを高くすることが可能となる。
このとき、距離dの範囲は、NAをNAの値(開口数)とするとき、
d>L/[2×tan{arcsin(NA/ni0)}]
で表される。なお、arcsinはsinの逆三角関数である。
このように構成された液浸光学系を用いることで、光照射領域の端においても、NAを液浸媒質の屈折率ni0の近傍まで高めることが可能となる。すなわち、露光装置においては、露光領域全域で良好な結像特性が得られ、かつ高NAの装置を実現することが可能となる。
ところで、硝材の屈折率nlと液浸媒質の屈折率ni0が、ni0<nlの関係を満たす場合、NAをni0より高めることが理論上不可能である。そこで、硝材の屈折率nlより高い屈折率niを有する液浸媒質を用いる、つまり、
(ni0<)nl<ni …(1)
の関係を満たす場合を考える。
この場合において、最終レンズ面が平面であると、NAの最大値NA1は、硝材の屈折率nlと硝材への最大入射角度θlで決定され、
NA1=nl×sinθl
となる。この式からわかるように、最終レンズ面が平面である場合は、NAをni0以上に高めることはできるものの、硝材の屈折率nl以上に高めることができない。
一方、nl<niを満たした上で最終レンズ面を凹面形状とし、かつdの範囲を、
d>L/[2×tan{arcsin(NA/ni)}] …(2)
で表される範囲とすれば、光照射領域Lの端においても、NAを硝材の屈折率nlより高めることが可能となる。これにより、露光装置においては、露光領域全面で良好な結像特性が得られ、かつ、従来よりも高NAとすることが可能となる。
例えば、光源を波長λ=193nmのArFレーザ、最終レンズの硝材をCaF2(蛍石)とすると、屈折率nl=1.50となる。液浸媒質としては、例えば、「Bruce W. Smith, Anatoly Bourov, Yongfa Fan, Lena Zavalova, Neal Lafferty and Frank Cropanse, “Approaching the numerical aperture of water-Immersion lithography at 193nm“, Proc. SPIE. Vol. 5377, P. 281 (2004)」に記載された17%リン酸(HPO)を用いると、波長193nmにおいてni=1.63の屈折率が得られる。
このように、液浸媒質の屈折率niが最終レンズの硝材の屈折率nlより高い場合でも、本実施例の光学系を用いることで、NAを硝材の屈折率nl=1.50の近傍以上にすることが可能となり、露光領域全体でNA=1.50の近傍以上となる露光装置を実現できる。このとき、図1において、NAとウェハ13上の露光領域Lの中心から最終レンズ面11aの中心までの距離dとの関係は、露光領域(の長さ)Lを26mmとすれば、図3に示す関係となる。この図から分かるように、NA=1.60の光学系を実現する場合、d>2.5mmであればよい。
また、液浸媒質が光を吸収することによって、光の透過率が減少する。そして、透過率の減少によって、ウェハに照射される光強度が低下するため、露光処理時間ETが長くなる。このため、単位時間で露光処理できるウェハの枚数、つまりスループットの低下を招く。スループットが低下すると、半導体集積回路チップのコストアップに繋がるため、できる限りスループットを高くしなければならない。スループットは、ウェハ搬送や、ウェハスキャン、アライメント、露光処理時間ET等で決定される。
露光処理時間ETの増加を通常の2倍まで許すとすれば、露光処理時間ETは透過率Tに反比例して短くなるため、透過率Tは50%以上必要となる。
ここで、透過率Tは、液浸媒質の吸収係数をα、最終レンズ面からウェハ面までの距離をdとすると、
T=10−α×d
と表すことができる。ここで、吸収係数αは、入射光の強度が1/10となる距離の逆数である。よって、T>50%とするためには、
d<0.30/α …(3)
とすればよい。この関係を満たす距離dであれば、スループットの低下を実用的な範囲内に抑えることが可能となる。例えば、液浸媒質が水である場合、「M.Switkes, R.R.Kunz, R.F.Sinta, M.Rothchild, P.M.Gallagher-Wetmore, V.J.Krukonis and K.Williams,“Immersion Liquids for Lithography in the Deep Ultraviolet“,Proc.SPIE,Vol.5040,P.690(2003)」によれば、波長193nmの場合には、α=0.036cm−1程度となり、d<8.3cmとなる。
ここで、最終レンズ面を凹面形状にすることで、最終レンズ面の周囲にノズルを配置して最終レンズ面とウェハとの間の光照射領域のみにノズルを介して液浸媒質を挿入し、循環させると、気泡が発生し、発生した気泡が最終レンズ面の下側に残留し易くなる。この場合には、例えば、特公昭63−49893号公報にて開示された、液浸媒質をレンズとウェハ間の光照射領域のみに満たす方式、いわゆるローカルフィル方式より、最終レンズ面とウェハとを、槽内に満たした液浸媒質中に配置するのが望ましい。
この場合の構成を図4に示す。図4には、液浸媒質12を満たした槽14と、該漕14内において最終レンズ面11aの中心が液浸媒質12の漕内高さよりも低い位置になるように配置された最終レンズ11と、漕14内の液浸媒質12内において最終レンズ面11aから距離dだけ離れた位置に配置されたウェハ13とを示している。このような構成を採ることで、不図示のウェハステージによってウェハ13をスキャン動作させ、逐次露光を行う場合においても、スキャン動作により気泡が発生せず、凹面である最終レンズ面11aに気泡が付着することがない。したがって、露光領域全域に欠陥無くパターン転写することができる。
槽14中の液浸媒質12は、ウェハ13上のレジストからの溶出成分や、光とレジストの反応によって生じる溶出成分や、ウェハステージの動作により生じる微粒子などによって、経時的に汚染されるおそれがある。これに対し、液浸媒質12を循環させることにより、常に一定の光学特性を保ち、かつレンズ面へのコンタミネーション付着を低減させることが可能となる。
この場合の構成を図5に示す。図5には、図4に示した構成に加え、液浸媒質12をケミカルフィルタや通常のフィルタにより浄化する貯蔵装置17と、該貯蔵装置17によって浄化された液浸媒質12を漕14内に注入する注入装置15aと、これら貯蔵装置17と注入装置15aとを接続する配管16aと、漕14内から液浸媒質12を回収する回収装置15bと、該回収装置15bと貯蔵装置17とを接続する配管16bとを示している。
回収装置15bにより貯蔵装置17へ回収された液浸媒質12は、上記フィルタなどで微粒子や化学物質などが除去され、貯蔵される。貯蔵された液浸媒質は、注入装置15aによって槽14内に注入される。これにより、液浸媒質12は物性値が一定純度に保たれるように循環する。したがって、最終レンズ面11aへの不純物の付着を抑制することが可能となり、ウェハ13上での結像性能が劣化することの少ない液浸光学系を実現することができる。
さらに、液浸媒質12は、光吸収により温度が上昇し、その屈折率が変動する。これにより、結像性能が劣化する問題も生じる。この場合、図6に示すように、例えば図5に示した構成に加えて、槽14内の液浸媒質12の温度を測定する温度測定器18と、貯蔵装置17の内部にそれぞれ設けられた、温度測定器18と電気的に接続された温度調整器19および流量調整器20とを設けるとよい。
温度測定器18により測定された液浸媒質12の温度が変動すると、温度調整器19によって一定の温度に保たれた貯蔵装置17内の液浸媒質12が注入装置15aから注入され、また温度が変化した液浸媒質12を漕14内から回収装置15bを介して回収する。これにより、漕14内の液浸媒質12を循環させる。
この際、循環させる液浸媒質12の流量は、液浸媒質12の温度変動が一定の範囲内に収まるように流量調整機構20によって調整される。このような構成を採ることにより、液浸媒質12の屈折率を一定に保つことが可能となり、結像性能が補償される。さらに、漕14内の液浸媒質12の温度がほぼ一定となることにより、最終レンズ11とウェハ13の温度も一定とすることができ、熱によるウェハ13の変形を防ぐことができるため、ウェハ13上の正確な位置にパターン転写を行うことができる。
ここで、液浸媒質12を異なる物質に交換すると、屈折率が変化し、ウェハ13上での結像特性も変動する。この場合、液浸媒質12の屈折率を測定し、その屈折率に応じて発生する収差を補正する光学系を用いればよい。
図7には、図4に示した光学系と、槽14に設けられた屈折率測定器21と、収差を補正する波面収差補正光学系23と、屈折率測定器21で測定された屈折率に応じて波面収差補正光学系23をコントロールするコントローラ22とを示している。
屈折率測定器21は、液浸媒質12にレーザ光を照射し、液浸媒質12を透過するレーザ光の屈折角を測定する方法などによって液浸媒質12の屈折率を測定する。コントローラ22は、既知の光学系の設計値と屈折率測定器21により測定された屈折率とに基づいて、補正すべき波面収差量を算出し、波面収差補正光学系23を動作させる。
波面収差補正系光学系23は、エキスパンダ構造や機械的又は熱的に光学系を変形させることなどによって収差補正を行う。また、収差補正系光学系23を、ミラーを機械的に微小変動させることによって波面補正を行う光学系としてもよい。
このような構成を採ることにより、物性値が異なる液浸媒質を用いても、ウェハ13上で良好な結像特性が得られる。さらに、液浸媒質の温度変化や化学変化などによって屈折率変動が生じても、それに応じて発生する収差を補正することができるため、これらの要因による結像性能の劣化も低減することができる。
さらに、従来は、ウェハを安定的に保持し、かつ安定的にステージを駆動するために、最終レンズ面を下側、つまりは重力方向である光学系全体の設置面方向に向けており、ウェハの露光面は最終レンズ面と対向していた。これに対し、最終レンズ面の向きを従来とは上下反対とし、最終レンズ面が光学系の設置面とは反対側(上側)を向くようにすることで、レンズ面形状が凹面であっても、液浸媒質を最終レンズ面とウェハとの間に容易に満たすことが可能となる。図8には、この場合の構成を示す。なお、図4と共通する構成要素には、図4と同符号を付す。図8において、最終レンズ11は最終レンズ面11aを上側に向けて配置され、ウェハ13は該最終レンズ11の上方に露光面を下側、つまりは重力方向に向けて設置されている。ウェハ13は不図示のウェハチャックにより保持され、ウェハステージにより駆動される。また、液浸媒質12は、表面張力により最終レンズ面11a上に保持されている。
このような構成を採ることで、最終レンズ面形状が凹面であっても、液浸媒質を最終レンズとウェハとの間に容易に満たすことが可能となり、凹レンズ面上に気泡が溜まることを防げる。したがって、露光領域全域に欠陥無くパターン転写することができる。
また、最終レンズ面11aに、疎水性の薄膜や微細加工を付加して表面張力を高めるような構成にすることで、図8中に示す最終レンズ11の周辺部(最も上側の部分)とウェハ13との間に所定値以上の距離d1を確保することができる。これにより、ウェハ13と液浸媒質12とを確実に接触させることができ、さらにはウェハと最終レンズ11との接触を防止したり、フォーカス検出装置の配置スペースを確保したりすることができる。
もちろん、図8のようにウェハ13の露光面を下側に向けた場合においても、液浸媒質12を満たす槽14′を設けることは可能である。この構成を図9に示す。図9において、槽14′における光が透過する部分は、光学的に透明な物質で構成されている。
この構成を採ることで、ウェハ13の露光面を下側に向けた場合でも、最終レンズ面11aとウェハ13との間は1より高い屈折率を持った液浸媒質12で満たされるため、光学系のNAを高めることが可能となり、微細なパターンを転写できる。
以上説明したように、本実施例によれば、最終レンズ面を凹面形状とし、距離dに関する所定の条件を満足することにより、平面形状の最終レンズ面を持つ場合に比べて、光学系のNAを高めることが可能となり、露光装置の投影光学系として用いた場合には、露光領域全域において入射角最大光線の反射率を低減させることができる。
特に、硝材の屈折率より高い屈折率を有する液浸媒質を用いた場合に、硝材の屈折率よりもNAを高めることができ、入射角最大光線の反射率をより低減することが可能となる。
さらに、距離dと液浸媒質の吸収係数αとが所定の関係を満たすことにより、光の吸収を抑えることができる。したがって、露光装置において、ウェハの露光処理時間の増加を抑えることができ、液浸法であるにもかかわらずスループットを高めることができる。
(数値例)
以下、液浸媒質の屈折率niが最終レンズの硝材の屈折率nlよりも大きい場合に、最大NAが硝材の屈折率nlよりも大きくできる最終レンズ面(凹面)の曲率半径rと距離(液厚)dの数値例を示す。
図10は、最終レンズの硝材の屈折率がnl、液浸媒質の屈折率がni(>nl)で、最終レンズ面の曲率半径がrである場合の該最終レンズ面による光の屈折について説明する図である。
界面での光の屈折は、スネルの法則によって規定されている。図10には、レンズ内から光線ray1が最終凹面に該最終凹面の面法線に対して角度θ1で入射し、該最終凹面で屈折して面法線に対して角度θ2の光線ray2となって像面(第1の面)上の点Aに到達する様子を示している。この場合、スネルの法則
nl・sin(θ1)=ni・sin(θ2) …(4)
が成り立っている。また、光線ray2が像面の法線となす角をβとし、光線ray2が光束の最も外側でNAを規定する光線である場合、光学系のNAは、
NA=ni・sin(β)
で表される。
光線には、光線逆行の法則と呼ばれる法則があり、ある光線が存在するときその進行経路をまったく逆向きに進行する光線も存在することができることが知られている。
今、像面上の点Aを光学系の最も像高が大きい点とする。この点Aを通り、レンズ側に逆行する光線が存在すれば、逆にレンズ側から点Aに到達する光線が存在することになる。
NAの限界を評価するためには、点Aから像面の法線に対して角度βで像面側からレンズ側へ逆行する光線を考え、(4)式より、ni・sin(θ2)/nl=Sとおき、この値を点Aを通ってレンズ側に逆行する光線について値を計算すればよい。
Sの値が1以下であるときは該逆行する光線はレンズ側に進行し、レンズ側から該逆行光線とまったく同一経路を逆向きに進行して点Aに到達する光線も存在し、ni・sin(β)で与えられるNAをこの光学系が持つことが分かる。
図11は、上記Sを計算して、与えられたNAが有効かどうかを評価する方法を説明するための図であり、図10と共通する要素には共通の符号を付している。
与えられたNAに対して像面上の最大像高にある点Aから光軸に平行な軸A′に対して角度β(ni・sin(β)=NA)だけ傾いてレンズ側に進む光線に関して、方位角φ0°〜180°でSを計算し、全方位角φに対してS<1ならば、その与えられたNAが有効である。
図12は、図11にて説明した方法により、nl=1.56,ni=1.64,r=−150mm,NA=1.6,最大像高L/2=20mmの条件で上記Sを、液厚dおよび方位角φを変数にして計算した結果を示す。図中のS=1のラインの左上の領域(ハッチング領域)ではS>1であり、右下の領域ではS<1となっている。S<1のとき、その領域に対する光線が実在することになる。この結果によれば、d>8.2mmの場合に全ての方位角φに対してS<1であり、NA=1.6が有効であることを示している。
また、(2)式で示した条件に当てはめると、液厚dの条件は、
d>4.5mm
であり、図12の計算結果によれば、d<4.5mmでは全ての方位角φに対してS<1を満たすdの値が無いことが明らかである。
図13は、nl=1.56,ni=1.64,r=−150mm,液厚d=9mm,最大像高L/2=20mmの条件で、方位角φとNAを変数として上記Sを計算した結果であり、NA=1.6が上記の条件で有効であることが示されている。
次に、図15および図16を用いて、上述した露光装置100を利用したデバイスの製造方法について説明する。図15は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。
ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスク101を製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハ103を製造する。
ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスク101とウェハ103を用いてリソグラフィ技術によってウェハ103上に実際の回路を形成する。
ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハ103を用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。
ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図16には、ステップ4のウェハプロセスでの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハ103の表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハ103の表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ103上に電極を蒸着などによって形成する。
ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハ103にイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハ103に感光剤を塗布する。
ステップ16(露光)では、露光装置100によってマスク101の回路パターンをウェハ103に露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハ103を現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらのステップを繰り返し行うことによって、ウェハ103上に多重に回路パターンが形成される。
このように露光装置100を使用するデバイスの製造方法並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
上記実施例1では、半導体露光装置の投影光学系に用いられる液浸光学系について説明したが、本発明の液浸光学系は、光による情報記録や記録情報の再生を行う光ディスクドライブ装置やレーザー顕微鏡など、他の光学装置の光学系としても用いることができる。
ここでは、レーザー顕微鏡における対物光学系を液浸光学系とした場合について図17を用いて説明する。レーザー顕微鏡300において、光源301から射出したレーザビーム310は、ビームスプリッタ302を透過して、X−Yスキャン光学系303によりスキャンされる。スキャンされたビーム310はミラー304で反射された後、対物光学系305を介して被検物(観察物)307に照射される。対物光学系305の最終レンズ面305aと被検物307との間には、液浸媒質306が満たされており、ビーム310は最終レンズ面305aから集束するように射出し、液浸媒質306を透過して被検物307に至る。
被検物307で反射したビーム光310′は、液浸媒質306を含む対物光学系305、ミラー304およびX−Yスキャン光学系303へと逆の光路を辿り、ビームスプリッタ302によって反射されて集光光学系308に導かれ、最終的に受光素子309上に照射される。受光素子309に照射されたビーム310′によって形成された像は、該受光素子309により電気信号に変換された後、不図示の画像データ処理回路によって画像データへと変換される。
なお、受光素子309の前に空間フィルタとしてのピンホールを配置してもよく、またビームスプリッタ302を偏光ビームスプリッタとしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形や変更が可能である。
本発明の実施例1における液浸光学系を示す断面図。 比較例としての液浸光学系を示す断面図。 光学系のNAとウエハ−レンズ間距離dとの関係を示すグラフ。 液浸媒質を満たした槽を備えた実施例1の液浸光学系の断面図。 液浸媒質を循環させる装置を備えた実施例1の液浸光学系の断面図。 液浸媒質の温度モニター装置を備えた実施例1の液浸光学系の断面図。 液浸媒質の屈折率モニター装置および波面補正装置を備えた実施例1の液浸光学系の断面図。 実施例1の液浸光学系の変形例を示す断面図。 図8の変形例において液浸媒質槽を備えた液浸光学系の断面図。 本発明の数値例を示す模式図。 本発明の数値例を示す模式図。 本発明の数値例の計算結果を示すグラフ。 本発明の数値例の計算結果を示すグラフ。 実施例1の液浸光学系を備えた半導体露光装置の構成を示す概略図。 半導体露光装置を用いたデバイス製造工程を示すフローチャート。 半導体露光装置を用いたデバイス製造工程を示すフローチャート。 本発明の実施例2である液浸光学系を備えたレーザー顕微鏡の構成を示す概略図。 従来の液浸光学系を示す断面図。 従来の液浸光学系を示す断面図。 従来の液浸光学系のNAと反射率との関係を示すグラフ。 従来の液浸光学系のNAと反射率との関係を示すグラフ。
符号の説明
10 入射光束
11 最終レンズ
11a 最終レンズ面
11b 最終レンズ面の中心(第1の点)
12 液浸媒質
13 物体(ウェハ)
13a 物体面(第1の面)
13b 光照射領域の中心(第2の点)
14 漕
100 半導体露光装置
101 マスク
102 照明装置
103 ウェハ
104 ステージ
105 投影光学系(液浸光学系)
300 レーザー顕微鏡
305 対物光学系(液浸光学系)
L 光照射領域(の長さ)

Claims (6)

  1. 光源からの光を第1の面に向かって集束させる光学系であり、前記第1の面に最も近いレンズ面が凹面であるレンズを有し、該レンズ面と前記第1の面との間の前記光の透過領域は液体で満たされ、以下の条件を満足することを特徴とする液浸光学系。
    d>L/[2×tan{arcsin(NA/ni)}]
    但し、前記第1の面に対して略直交する方向において前記レンズ面上の第1の点と前記第1の面上の第2の点との間の距離が最大となる場合に、dは前記第1の点と前記第2の点との間の距離、L/2は前記第2の点から前記第1の面上での前記光の照射領域の端までの最大距離、NAは該光学系の開口数、niは前記液体の屈折率である。
  2. 前記レンズが硝材により形成されており、さらに以下の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の液浸光学系。
    nl<ni
    但し、nlは前記硝材の屈折率である。
  3. さらに以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の液浸光学系。
    d<0.3/α
    但し、αは前記液体の吸収係数であり、該液体を透過する光の強度が1/10になる距離の逆数である。
  4. 光源と、
    請求項1から3のいずれか1つに記載の液浸光学系とを有することを特徴とする光学装置。
  5. 光源からの光で原版を照明する照明光学系と、該原版のパターンを被露光体に投影する請求項1から3のいずれか1つに記載の液浸光学系とを有することを特徴とする露光装置。
  6. 請求項5に記載の露光装置を用いて被露光体を露光する工程と、
    前記露光された被露光体を現像する工程とを有することを特徴とするデバイスの製造方法。
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