JP2006188842A - 建物躯体の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレキャスト部材から構成される建物躯体の構築を効率良く行い、その工期を短縮する。
【解決手段】マストを既施工階のプレキャスト部材に固定し、マストを継ぎ足して所定高さまで延長し、このマストに沿ってクレーン本体を所定高さまで上昇させ、クレーン本体周りの建て方し、この建て方したプレキャスト部材に走行架台を走行レールを介して設置し、マストの固定を解除して引上げ、継ぎ足したマストを取り外してクライミングさせる。クライミングした位置から端部へ向かって走行レールを敷設しながらこの走行レールを前進して、または端部からクライミングする位置へ向かって敷設された走行レールを後退しながらこの走行レールを取り外して、施工階を建て方する。これらを繰り返して建物躯体を下層階から上層階へ順次構築する。
【選択図】図13
【解決手段】マストを既施工階のプレキャスト部材に固定し、マストを継ぎ足して所定高さまで延長し、このマストに沿ってクレーン本体を所定高さまで上昇させ、クレーン本体周りの建て方し、この建て方したプレキャスト部材に走行架台を走行レールを介して設置し、マストの固定を解除して引上げ、継ぎ足したマストを取り外してクライミングさせる。クライミングした位置から端部へ向かって走行レールを敷設しながらこの走行レールを前進して、または端部からクライミングする位置へ向かって敷設された走行レールを後退しながらこの走行レールを取り外して、施工階を建て方する。これらを繰り返して建物躯体を下層階から上層階へ順次構築する。
【選択図】図13
Description
本発明は、プレキャスト部材から構成される建物躯体の構築方法に関する。
従来、鉄筋コンクリート造等の建物躯体の建設は、一般的に、建物の外部に配置した移動式クレーンで、あるいは建物の外部または内部に設置した固定式クレーンで、その構築資材を揚重して行なわれている。
都市部では、狭隘地で敷地一杯に建物を建設せざるを得ない、または敷地の道路との接続部(接道部)が少ないため、建物の外部に揚重機を設置するスペースがなく、建物の内部に揚重機を設置することになる。これにより、揚重機が設置された躯体部分は後施工することになり、工期、コストの増加が問題となっている。これを避けるために、揚重機を周辺に配置すると、吊り荷までの距離が大きく、能力の過大な揚重機が必要となり、揚重機のコストが高くなる。
また、工期短縮に寄与する工法として構造部材のプレキャスト化があるが、プレキャスト部材は荷重が大きく、揚重機を周辺において施工する場合は、能力の過大な揚重機が必要となり、揚重機のコストがさらに高くなる。
ここで、クレーンの作業範囲を拡大でき、地上部の搬送路などに制約を受けない建築物の構築方法が提案されている。すなわち、この方法に用いるクレーンは、本体を脚部材で保持し、本体に対して昇降可能に設けられるとともに、本体を昇降するクライミング機構を有するクレーン用の加重受け部材を備えている。そして、このクレーンを用いて、構築過程で新たに構築された柱や梁などの建築主要構造部材に水平レールを固定するレール設置工程と、建築主要構造部材を利用して加重受け部材を下降して保持するクライミング準備工程と、クライミング機構によりクレーンを上昇移動して水平レールにクレーンの脚部材を摺動可能に嵌合するクライミング工程と、加重受け部材を元の状態に戻す復帰工程とにより、構築過程でクレーンを順次に上昇移動させ、かつ水平レールに沿って移動させることによって建築主要構造を構築していくものである。(例えば、特許文献1参照。)。
特許第2942054号公報
しかしながら、上記のような構築方法では、クライミングする際に脚部材で支持しているため、クライミングの高さが制限され、またクライミングの位置も制限されるという問題がある。そして、このような問題があるため、建物躯体を構築する効率が悪く、工期の短縮が図りづらい。
本発明の課題は、プレキャスト部材から構成される建物躯体の構築を効率良く行い、その工期を短縮することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図1から11に示すように、プレキャスト部材(PCa柱2、PCa梁3)から構成される建物躯体1を下層階から上層階へ順次構築する建物躯体の構築方法であって、クレーン本体8がマスト11に対して相対的に昇降可能なクレーン装置7を用い、このクレーン装置7には敷設された走行レール13を走行可能な走行架台9が設けられ、マスト11を既施工階1bのプレキャスト部材に固定し、マスト11を継ぎ足して所定高さまで延長し、このマスト11に沿ってクレーン本体8を所定高さまで上昇させ、クレーン本体8周りの建て方し、この建て方したプレキャスト部材に前記走行架台9を走行レール13を介して設置し、マスト11の固定を解除して引上げ、継ぎ足したマスト11を取り外してクライミングするクライミング工程と、前記クライミングした位置から端部へ向かって走行レール13を敷設しながらこの走行レール13を前進して、または端部から前記クライミングする位置へ向かって敷設された走行レール13を後退しながらこの走行レール13を取り外して、施工階1aを建て方する建て方工程と、を繰り返すことを特徴とする。
このように、クレーン本体8がマスト11に対して昇降可能なクレーン装置7に、敷設された走行レール13を走行可能な走行架台9を設けている。そして、このクレーン装置7を用いて、クレーン本体8を上昇させるクライミング工程と走行架台9により前進または後退して施工階1aを建て方する建て方工程とを繰り返すことで建物躯体を構築する。そして、クライミング工程において、マスト11を既施工階1bのプレキャスト部材に固定し、クレーン本体8を上昇させる際にマスト11を継ぎ足して所定高さまで延長し、その後、マスト11の固定を解除して引き上げる際に継ぎ足したマスト11を取り外して行われことにより、クライミングする高さ、位置が制限されることなく、建て方工程に移ることができ、建物躯体1の構築を効率良く行い、その工期を短縮することができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図1から11に示すように、請求項1に記載の建物躯体の構築方法において、前記クライミング工程において、前記走行架台9が予め走行レール13の一部を装着していることを特徴とする。
このように、走行架台9に予め走行レール13の一部を装着させることにより、クライミング工程において、レールを設置する作業手間を軽減することができる。
なお、建物躯体1としては、柱、梁、床、外壁、内壁などがプレキャスト部材から構成され、例えば、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造などのものが考えられる。
また、施工階1aとは、建物躯体1を下層階から上層階へクライミングして順次構築する際に、クレーン装置7が水平方向に移動して建て方を行なおうとする階であり、既施工階1bとは、このとき既に建て方が行なわれた階を意味する。これらの施工階1a、既施工階1bには、1つの階のみならず、複数の階も含むものである。施工階1aが建物の最下階に該当し、既施工階1bが存在しない場合には、地上または基礎部を既施工階1bとみなす。
本発明によれば、プレキャスト部材から構成される建物躯体を下層階から上層階へ順次構築する建物躯体の構築方法において、クレーン本体がマストに対して相対的に昇降可能なクレーン装置を用い、このクレーン装置には敷設された走行レールを走行可能な走行架台が設けられている。そして、マストを既施工階のプレキャスト部材に固定し、マストを継ぎ足して所定高さまで延長し、このマストに沿ってクレーン本体を所定高さまで上昇させ、クレーン本体周りの建て方し、この建て方したプレキャスト部材に走行架台を走行レールを介して設置し、マストの固定を解除して引上げ、継ぎ足したマストを取り外してクライミングさせる。そして、クライミングした位置から端部へ向かって走行レールを敷設しながらこの走行レールを前進して、または端部からクライミングする位置へ向かって敷設された走行レールを後退しながらこの走行レールを取り外して、施工階を建て方する。このように、クライミングする際に、マストを継ぎ足したり、取り外したりすることで、クライミングする高さ、位置が制限されることなく、建て方工程に移ることができ、建物躯体の構築を効率良く行い、その工期を短縮することができる。
さらに、クライミング工程において、走行架台が予め走行レールの一部を装着することで、レールを設置する作業手間を軽減することができる。
さらに、クライミング工程において、走行架台が予め走行レールの一部を装着することで、レールを設置する作業手間を軽減することができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本実施の形態において構築される建物は、プレキャスト(PCa)部材の柱、梁(以下、PCa柱2、PCa梁3という。)によって構成され、多層階かつ多スパンのものである。
本実施の形態において構築される建物は、プレキャスト(PCa)部材の柱、梁(以下、PCa柱2、PCa梁3という。)によって構成され、多層階かつ多スパンのものである。
PCa柱2の上下両端部にはそれぞれ上下階のPCa柱2と接続するための柱間継手部2aが設けられ、また側部の所定位置にはPCa梁3と接続するための柱梁間継手部2bが設けられている。PCa梁3の左右両端部には、配置されるスパンの左右のPCa柱2と接続するための梁柱間継手部3aが設けられている。ここで、一般に、スパンとは、建物の柱間隔を意味するものであるが、建て方を説明する場合には、上記プレキャスト部材を組み立てる範囲を示すものとする。
まず、本実施の形態において用いるクレーン装置7について説明する。図1から7に示すように、このクレーン装置7は、クレーン本体8がマスト11に対して昇降手段12によって相対的に昇降可能なものである。そして、このクレーン装置7には、PCa柱2上に敷設された走行レール13を走行可能な走行架台が設けられている。また、マストの下端には、クライミングする際にクレーン本体8を昇降自在にPCa梁3で支持可能なベース架台10が設けられている。
クレーン本体8、走行架台9および昇降手段12は一体的に取り付けられ、ベース架台10上に立設されたマスト11を挿通させることが可能となっている。さらに、マスト11をその上部に継ぎ足して挿通することが可能となっている。
走行架台9には、その左右両側の前後に、それぞれ一対の車輪9aが回動自在に取り付けられている。そして、走行架台9は、その車輪9aが走行レール13上に設置されて走行モータなどで駆動されることにより、敷設された走行レール13に沿って水平方向に移動可能になっている。さらに、走行架台9は、予め、敷設される走行レール13の一部(例えば、1スパン分の長さの走行レール)を装着して、その走行レール13を係止して保持したままクライミングすることが可能になっている。
ベース架台10には、その前後方向に伸縮自在な支持脚10aが設けられている。そして、支持脚10aは既に組み立てられたPCa梁3上に設置され、クレーン装置7全体の荷重を支持可能になっている。
昇降手段12は、クレーン本体8の下端に取り付けらており、この昇降手段12に走行架台9が固定されている。すなわち、クレーン本体8と走行架台9は昇降手段12を介して一体となっている。そして、この昇降手段12の機能は、従来一般のいわゆる尺取虫方式の昇降手段12のものと同様であり、例えば、マスト11の周囲を包囲するガイドフレームに油圧シリンダ及び複数の係止手段を備えて、ガイドローラをマスト11に当接しながら、尺とり虫のごとく伸縮させることを繰り返して、マスト11を上下方向に昇降させたり、またはマスト11に対して昇降したりすることが可能になっている。
次に、本実施の形態における建物躯体1の構築方法について説明する。建物躯体1の構築方法は、大きく分けると、クレーン装置7を下層階から上層階へクライミングさせるクライミング工程と、クレーン装置7を前進、またはクレーン装置7を後退させながら施工階1aの建て方を行なう前進建て方工程、後退建て方工程とから構成される。
ここで、前進(前方)とは、クレーン装置7が位置するスパンから建て方が行おうとするスパンに向かう移動(方向)をいい、後退(後方)とは、その反対方向(への移動)をいう。
まず、クライミング工程は、以下の手順で行なわれる。ここで、図1は、ある施工階1aの建て方が終了して、クレーン装置7がPCa柱2の上端部間に架け渡された左右一対の走行レール13上で水平方向の前後に移動可能な状態を示している。そこで、走行架台9の車輪9aを走行レール13に対して固定し、クレーン装置7の移動を拘束する。
次に、図2に示すように、昇降手段12を駆動して、既施工階1bのPCa梁3上端の高さまでベース架台10を降下させ、ベース架台10の支持脚10aを前後両外方に伸ばして、前後方向に対向するPCa梁3上に据え付けて固定する。これにより、クレーン装置7全体の荷重を、ベース架台10を介して既施工階1bのPCa梁3で支持することが可能となる。
そして、図3に示すように、ベース架台10に立設しているマスト11の上部に、新たなマスト11をクレーン本体8により吊込み、ボルト等で接続して継ぎ足す。その後、PCa柱2に対する走行レール13の固定を解除して、走行レール13を保持したままマスト11に沿ってクレーン本体8を昇降可能な状態にする。
走行レール13の固定を解除したら、図4に示すように、クレーン本体8をベース架台10で支持しながら、昇降手段12を駆動してマスト11に沿って上昇させる。クレーン本体8の上昇は、走行架台9が保持している走行レール13が施工階1aにおいて組み立ての予定されるPCa柱2上端部の高さを超えたところで止める。
クレーン本体8の上昇を止めた後、図5に示すように、クレーン本体8によりPCa柱2、PCa梁3を揚重、搬送して、施工階1aにおけるクレーン装置7周りのスパンの建て方を行なう。このとき、建て方は、既施工階1bのPCa柱2の上端部の柱間継手部2aと施工階1aのPCa柱2の下端部の柱間継手部2aとを接続し、施工階1aのPCa柱2の柱梁間継手部2bとPCa梁3の梁柱間継手部3aとを接続して行なう。なお、クレーン周りの建て方は、1スパンの範囲のみならず、クレーン本体8の作業半径内で複数スパンの範囲を行なってもよい。
クレーン装置7周りのスパンの建て方を終了したら、図6に示すように、クレーン本体8を昇降手段12を駆動してマスト11に沿って降下させ、走行架台9が保持する走行レール13がクレーン周りの建て方の行なわれたPCa柱2間に架け渡されるように設置して固定する。これにより、クレーン装置7全体の荷重を、走行架台9及び走行レール13を介して施工階1aのPCa柱2で支持することが可能となる。
そして、図7に示すように、既施工階1bのPCa梁3に対するベース架台10の支持脚10aの固定を解除し、支持脚10aを内方に縮め、昇降手段12を駆動してベース架台10を上昇させる。ベース架台10の上昇は、クレーン周りの建て方の行なわれたPCa梁3の高さを超えたところでまで引き上げる。このとき、継ぎ足したマスト11がクレーン本体8より突出するため、これをクレーン本体8により吊り下げて取り外す。
継ぎ足したマスト11を取り外し、走行レール13に対する走行架台9の車輪9aの固定を解除すれば、クレーン装置7が走行レール13上を移動可能な状態となる。これにより、クレーン装置7のクライミング工程が完了する。
このように、クライミング工程において、マスト11を既施工階1bのプレキャスト部材に固定し、クレーン本体8を上昇させる際にマスト11を継ぎ足して所定高さまで延長し、その後、マスト11の固定を解除して引き上げる際に継ぎ足したマスト11を取り外して行われことにより、クライミングする高さ、位置が制限されることなく、建て方工程に移ることができ、建物躯体1の構築を効率良く行い、その工期を短縮することができる。また、走行レール13を保持したままクライミングするので、クライミングするスパンにおける走行レール13の設置作業を軽減することができる。
次に、前進建て方工程は、以下の手順で行なわれる。ここで、図8は、1、2階部分の建て方を行なおうとしており、上記したクライミング工程が既に完了した状態を示している。クライミングは、建物の一端部側(図面において右側)から1スパン内側で行なっている。なお、クライミングするスパンに隣接するスパンのPCa柱2、PCa梁3は、クライミング工程の際に既に組み立てておいてもよい。
そして、図9に示すように、クライミングしたスパンから端部のスパンへ向かって、すなわち建物の一端部側から他端部側のスパンへ向かって、施工階1aの建て方を行なう。まず、クレーン本体8によりPCa柱2、PCa梁3を揚重、搬送して、施工階1aにおける隣接する前方のスパンの建て方を行なう。建て方は、既施工階1bのPCa柱2の上端部の柱間継手部2aと施工階1aのPCa柱2の下端部の柱間継手部2aとを接続し、施工階1aのPCa柱2の柱梁間継手部2bとPCa梁3の梁柱間継手部3aとを接続して行なう。
組み立てられたPCa柱2の上端部間に走行レール13を架け渡すように新たに継ぎ足して敷設し、この敷設された走行レール13上に走行モータ等を駆動して走行架台9によりクレーン装置7を前進させる。クレーン装置7を前進させたら、再びPCa柱2、梁を揚重搬送して、隣接する前方の建て方を行なって、走行レール13を継ぎ足して敷設する。
このような作業を建物の他端部側まで繰り返すことにより、施工階1aの前進建て方工程が完了する。
なお、この前進建て方工程の際に、走行レール13が既施工階1bのPCa柱2に既に敷設されている場合は、その走行レール13を施工階1aにおいて組み立てられるプレキャスト部材に盛り替えることができる。これにより、走行レール13の搬送作業を低減することができる。
次に、後退建て方工程は、以下の手順で行なわれる。ここで、図10は、3,4階部分の建て方を行なおうとしており、既施工階1b(2階部分)上に既に走行レール13が敷設されている状態を示している。なお、クライミングは、建物の一端部側(図面において右側)から1スパン内側で行なうことを予定している。
そして、図11に示すように、端部のスパンからクライミングするスパンへ向かって、すなわち建物の一端部側から他端部側のスパンへ向かって、施工階1aの建て方を行なう。まず、後方のスパンに敷設された走行レール13上に走行モータ等を駆動して走行架台9によりクレーン装置7を後退させる。
クレーン装置7を後退させたら、それまでクレーン装置7がいた1スパン分前方のスパンのレールを取り外して、2スパン分前方の建て方を行なう。建て方は、前進建て方工程のものと同様である。
このような作業を建物の他端部側まで繰り返すことにより、施工階1aの後退建て方工程が完了する。なお、この後、クライミングを予定するスパンにおいてクライミングを行なえば、クレーン装置7周りの建て方が行なわれて、施工階1aの建て方が完成する。
なお、走行レール13は、一度に既施工階1b上に敷設してもよく、後退しながら敷設してもよい。なお、クライミングするスパンに隣接するスパンの建て方は、クライミング工程の際に組み立てることとして、後退建て方工程から除いてもよい。
また、この後退建て方工程の際に、既施工階1bのPCa柱2に既に敷設されている走行レール13を、施工階1aにおいて組み立てられるPCa柱2に盛り替えることができる。これにより、走行レール13の搬送作業を低減することができる。
以上のような、クレーン装置7を用いて、クライミング工程、前進建て方工程及び後退建て方工程を行なう建物躯体1の構築方法を詳細に説明する。構築される建物躯体1は、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造でラーメン構造のマンションである。このマンションの躯体は、PCa柱2とPCa梁3とから構成される。このマンションは、10階建てで、長辺方向に8スパン、短辺方向に2スパンのものである。
このマンションの施工階1aの建て方は、2階(2層)毎に行なわれる。そこで、PCa柱2は、2階分の高さに応じた長さに予め製作されている。このPCa柱2の上下両端部には、それぞれ上下階のPCa柱2と接続するための柱間継手部2aが設けられ、また側部の所定位置には、2階分のPCa梁3と接続するための柱梁間継手部2bが設けられている。PCa梁3は、長辺方向、短辺方向のそれぞれの方向の各スパンに応じた長さに予め製作されている。このPCa梁3の左右両端部には、配置されるスパンの左右のPCa柱2と接続するための梁柱間継手部3aが設けられている。
クレーン装置7の走行架台9は、長辺方向のPCa柱2間に架け渡され、短辺方向のスパンを挟んで平行に敷設してある一対の走行レール13上を走行可能となっている。また、このようにクレーン装置7が水平方向に移動できることにより、図18に示すように、その作業範囲は、マンション全体に及ぶものとなる。
ここで、図12は、地上部分からクライミング工程を行い、1,2階部分を施工階1aとして前述した前進建て方工程に従って建て方が行なわれ、端部のスパンを除くスパンのPCa柱2の上端部には走行レール13が敷設されている状態を示している。
この状態から前述した後退建て方工程に従い、3、4階部分を施工階1aとして、クレーン装置7を後方に後退させながら、前方のスパンのレールを取り外して、PCa柱2、PCa梁3を組み立てて順次隣接するスパンの建て方を行なう。このとき、図13に示すように、既施工階1b上に敷設されていた走行レール13を、施工階1a上の同位置のスパンに盛り替える。なお、クライミングは、マンションの右端部側から1スパン内側で行なうことを予定している。
左端部側から3スパン分まで建て方が進んだら、クレーン装置7により次に隣接する後方の2スパン分の建て方を行なうとともに、前方の3スパン分のスラブ4及び柱間、柱梁間接続部5、6の型枠の組立て、配筋、配管等を行う。
さらに、図14に示すように、先の3スパン分のスラブ4及び柱間、柱梁間接続部5、6の型枠の組立て、配筋、配管等が終わったら、型枠内にコンクリートを打設する。また、後の2スパン分の建て方が終わったら、そのスラブ4及び柱間、柱梁間接続部5、6の型枠の組立て、配筋、配管等を行う。そして、これらの作業と並行して、他端部側から1スパン内側のスパンをクライミング位置としてクライミング工程を開始する。なお、コンクリート打設時には、クレーン稼動は停止しておく。
図15に示すように、後の2スパン分のスラブ4及び柱間、柱梁間接続部5、6の型枠の組立て、配筋、配管等が終わったら、型枠内にコンクリートを打設する。そして、クライミング
そして、図16に示すように、並行して行なっていたクライミング工程が完了し、同様にクライミング工程において建て方を行なったスパンのスラブ4及び柱間、柱梁間接続部5、6の型枠の組立て、配筋、配管等を行い、コンクリートを打設する。図17に示すように、所定期間経過して型枠を取り外せば、施工階1aの建物躯体1が完成する。
以上のように、クレーン装置7をクライミングさせるクライミング工程と、クライミングしたスパンから端部のスパンへ前進しながら施工階1aの建て方を行なう前進建て方工程と、端部のスパンからクライミングするスパンへ後退しながら施工階1aの建て方工程とを繰り返して、建物躯体1を下層階から上層階へ順次構築する。このような施工階1aの建て方を行なうことにより、クレーン装置7の移動、資材の揚重、搬送の無駄を省き、建物躯体1の効率的な構築が可能となり、工期の短縮が可能である。
また、前進建て方工程において施工階1a上に敷設した走行レール13を利用して、後退建て方工程を行なうことができるため、走行レール13の敷設、取外し作業を低減して、さらに建物躯体1の効率的な構築が可能となり、工期の短縮が可能である。鉄筋コンクリート構造による在来工法を用いたマンション建設工期が14.5ヶ月程度なのに比べ、本発明に係る躯体の構築方法を用いたマンション建設工期は12ヶ月程度となり、約2.5ヶ月の工期短縮が可能となる。
なお、以上の実施の形態においては、クライミング工程を行なうスパンを建物躯体1の端部側に配置し、その一端部側から他端部側に向けて一方向に建物躯体1の構築を行なっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、クライミング工程を行なうスパンを建物躯体1の中央付近の任意のスパンに配置し、この位置から両端部に向けて2方向に建物躯体1の構築を行なってもよい。また、躯体の全体形状等に応じて、施工階1a毎にクライミング工程を行なうスパンを変更してもよい。
また、走行レール13をPCa柱2の上端部に設置するようにしたが、クレーン装置7の走行方向に直角方向のPCa梁3の上部に設置するようにしてもよい。その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
1 建物躯体
1a 施工階1a
1b 既施工階1b
2 プレキャスト(PCa)柱
2a 柱間継手部
2b 柱梁間継手部
3 プレキャスト(PCa)梁
3a 梁柱間継手部
4 スラブ
5 柱間接続部
6 柱梁間接続部
7 クレーン装置
8 クレーン本体
9 走行架台
9a 車輪
10 ベース架台
10a 支持脚
11 マスト
12 昇降手段
13 走行レール
1a 施工階1a
1b 既施工階1b
2 プレキャスト(PCa)柱
2a 柱間継手部
2b 柱梁間継手部
3 プレキャスト(PCa)梁
3a 梁柱間継手部
4 スラブ
5 柱間接続部
6 柱梁間接続部
7 クレーン装置
8 クレーン本体
9 走行架台
9a 車輪
10 ベース架台
10a 支持脚
11 マスト
12 昇降手段
13 走行レール
Claims (2)
- プレキャスト部材から構成される建物躯体を下層階から上層階へ順次構築する建物躯体の構築方法であって、
クレーン本体がマストに対して相対的に昇降可能なクレーン装置を用い、このクレーン装置には敷設された走行レールを走行可能な走行架台が設けられ、
マストを既施工階のプレキャスト部材に固定し、マストを継ぎ足して所定高さまで延長し、このマストに沿ってクレーン本体を所定高さまで上昇させ、クレーン本体周りを建て方し、この建て方したプレキャスト部材に前記走行架台を走行レールを介して設置し、マストの固定を解除して引上げ、継ぎ足したマストを取り外してクライミングするクライミング工程と、
前記クライミングした位置から端部へ向かって走行レールを敷設しながらこの走行レールを前進して、または端部から前記クライミングする位置へ向かって敷設された走行レールを後退しながらこの走行レールを取り外して、施工階を建て方する建て方工程と、を繰り返すことを特徴とする建物躯体の構築方法。 - 前記クライミング工程において、前記走行架台が予め走行レールの一部を装着していることを特徴とする請求項1に記載の建物躯体の構築方法。
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JP2005000149A JP2006188842A (ja) | 2005-01-04 | 2005-01-04 | 建物躯体の構築方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104563506A (zh) * | 2014-12-09 | 2015-04-29 | 济南轨道交通集团有限公司 | 预制升柱升梁组合框架结构的施工方法 |
KR102483679B1 (ko) * | 2021-10-05 | 2023-01-11 | 주식회사 동성중공업 | 대형 구조물의 트러스 지붕 설치방법 |
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2005
- 2005-01-04 JP JP2005000149A patent/JP2006188842A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104563506A (zh) * | 2014-12-09 | 2015-04-29 | 济南轨道交通集团有限公司 | 预制升柱升梁组合框架结构的施工方法 |
KR102483679B1 (ko) * | 2021-10-05 | 2023-01-11 | 주식회사 동성중공업 | 대형 구조물의 트러스 지붕 설치방법 |
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