JP2006188682A - 高トランス構造ポリマーを合成するための触媒 - Google Patents

高トランス構造ポリマーを合成するための触媒 Download PDF

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チャッド・アーロン・ジャシュナス
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Abstract

【課題】優れた摩耗特性と引裂き特性、曲げ特性を示すタイヤトレッドとサイドウォールゴムに使用する共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとのホモポリマー及びコポリマーを提供する。
【解決手段】(a)有機アルミニウム化合物;(b)有機リチウム化合物;ならびに(c)(i)ジ(エチレングリコール)エチルエーテルのバリウム塩、(ii)ジ(エチレングリコール)プロピルエーテルのバリウム塩、(iii)ジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテルのバリウム塩、(iv)ジ(N,N-ジメチルアミノグリコール)エチルエーテルのバリウム塩、及び(v)メントールとチモールのバリウム塩から選択されるバリウム化合物を、水、アルコール、アミン、チオール、ホスフェート、及びホスファイトからなる極性変性剤の存在下にて含む触媒系を使用して共重合における高いスチレン含量、高トランス含量、及び高い分子量が得られる共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとのコポリマーである。
【選択図】なし

Description

結晶化度のレベルが高いことから、トランス-1,4-ポリブタジエン(TPBD)は一般には熱可塑性樹脂である。ポリマー主鎖中に多くの二重結合を含有するので、TPBDは、ゴムとブレンドして同時硬化することができる。TPBDは、この点においてシンジオタクチック-1,2-ポリブタジエンと類似している。高い融点を有するトランス-1,4-ポリブタジエンが熱可塑性樹脂であるにしても、単独で硬化するか、あるいは1種以上のゴムと一緒に同時硬化するとゴム弾性を有するようになる。
正確な分子量制御は通常、アニオン重合系を使用してTPBDを製造することによって達成することができる。アニオン重合系が使用される場合、触媒の使用量と得られる分子量とは、一般に逆の関係にある。このようなアニオン重合系が米国特許第4,225,690号に開示されている。該特許に開示の触媒系は、カリウムアルコキシドで活性化されるジアルキルマグネシウム化合物をベースとしている。しかしながら、このような触媒系は、商業的に成功していることが実証されていない。
TPBDは通常、遷移金属触媒または希土類触媒を使用して製造される。遷移金属触媒を使用するTPBDの合成が、「J.Boor Jr.,“Ziegler-Natta Catalysts and Polymerizations,”Academic Press,New York,1979,Chapters 5-6」に説明されている。希土類触媒を使用するTPBDの合成が、「D.K.Jenkins,Polymer,26,147(1985)」に説明されている。しかしながら、このような遷移金属触媒または希土類触媒を使用する場合は、分子量の制御を達成することが困難であり、モノマーの転化率はかなり低いことが多い。
日本特許出願67187-1967は、75〜80%のトランス-1,4-構造と20〜25%の1,2-構造からなるTPBDを合成するための触媒系と方法を開示している。該特許出願によって説明されている触媒系は、コバルト有機酸塩もしくはコバルト有機リガンドを有するコバルト化合物、有機アルミニウム化合物、及びフェノールもしくはナフトールからなる。こうした三成分触媒系をTPBDの合成に使用したときにしばしば起こる大きな問題がゲルの形成である。ゲル化は、連続重合において特に重大な問題である。該特許出願の触媒系と方法を使用することによって、ゲルの形成をごくわずかな量に抑えつつ連続プロセスにてTPBDを合成することができる。
米国特許第5,089,574号は、二硫化炭素が、有機コバルト化合物、有機アルミニウム化合物、及びp-アルキル置換フェノールを含有する三成分触媒系と組み合わさってゲル抑制剤として作用する、という発見に基づいている。米国特許第5,089,574号はさらに、約12〜約26個の炭素原子(好ましくは約6〜約20個の炭素原子)を有するp-アルキル置換フェノールを使用することによって転化率を実質的に向上させることができる、ということを示している。
米国特許第5,089,574号は特に、トランス-1,4-ポリブタジエンを連続的プロセスにて合成するための方法を示しており、前記方法は、1,3-ブタジエンモノマー、有機コバルト化合物、有機アルミニウム化合物、p-置換フェノール、二硫化炭素、及び有機溶媒を反応ゾーン中に連続的に仕込むこと;1,3-ブタジエンモノマーを前記反応ゾーン中で反応させて、トランス-1,4-ポリブタジエンを形成させること;及び前記反応ゾーンからトランス-1,4-ポリブタジエンを連続的に取り出すこと;を含む。
米国特許第5,448,002号は、1,3-ブタジエンモノマーのTPBDへの重合において、ジアルキルスルホキシド、ジアリールスルホキシド、及びジアルカリールスルホキシドをコバルトベースの触媒系と組み合わせて使用すると、これらのスルホキシドが分子量調整剤として作用する、ということを開示している。米国特許第5,448,002号は、分子量調整剤としてのジアルキルスルホキシド、ジアリールスルホキシド、またはジアルカリールスルホキシドの量が増大するにつれて、得られるTPBDの分子量が低下する、ということを説明している。
米国特許第5,448,002号は特に、ジアルキルスルホキシド、ジアリールスルホキシド、及びジアルカリールスルホキシドからなる群から選択される、分子量調整剤としての少なくとも1種のスルホキシド化合物の存在下にて、そして有機コバルト化合物、有機アルミニウム化合物、及びp-アルキル置換フェノールを含んだ触媒系の存在下にて、1,3-ブタジエンモノマーを溶液重合条件下で重合させることを含む、トランス-1,4-ポリブタジエンの合成法を開示している。
これらの先行技術の特許に記載の遷移金属触媒を使用する重合においては、分子量は、一般には調整するのが困難である。さらに、これら先行技術の文献のいずれも、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの共重合、あるいは共役線状ジエンモノマーと枝分かれ共役ジエンモノマーとの共重合に適した系を説明していない。
コバルトベースの触媒系を使用して製造したTPBD中に残留コバルトが存在するのは望ましくない。残留コバルトが酸化促進剤として作用し、貯蔵中にポリマーを不安定にするからである。このことは、TPBDが、使用前に“ホットハウス(hothouse)”に貯蔵される〔多くの工業(たとえばタイヤ工業)における標準的な処置である〕場合に特に問題となる。いずれにしても、TPBD中の残留コバルトの量が多いと、ポリマーの安定性に関して問題となる。
残念なことに、コバルトベースの触媒系を使用するTPBDの合成においては、一般には、二硫化炭素がゲル減少剤(a gel-reducing agent)として必要とされる。このことは、連続重合系の場合に特に当てはまる。しかしながら、このような系中に二硫化炭素が存在すると、触媒活性のレベルが低下し、一般には、触媒系中のコバルトの量を増大させることが必要になる。したがって、ゲルを抑制するのに二硫化炭素が求められる場合は、必要とするコバルトの量をさらに増大させる。このため、ポリマーはより不安定になる。
TPBDは融点が高いことから、従来の混合装置(たとえば、バンバリーミキサーやミルミキサー)を使用してTPBDを処理するためには、一般にはTPBDを加熱する必要がある。この加熱工程は一般に、トランス-1,4-ポリブタジエンを、使用前に“ホットハウス”中に数日間貯蔵することによって行われる。この貯蔵期間中に、ポリマーのベイル(bails)が約104°F(40℃)以上の温度に徐々に加熱される。このような温度において、ポリマーは、標準的な混合装置で容易に処理することができる。しかしながら一般には、TPBDが望ましくない酸化架橋を受け、この結果、この長い加熱時間中にゲル化が起こる。この酸化は、標準的な混合法では処理することができないほどにTPBDを架橋させることがある。言い換えると、生じる酸化ゲル化がポリマーをだめにすることがある。
米国特許第5,854,351は、プロセスオイルを含有するTPBDを高周波電磁放射線によって速やかに加熱することができる、ということを開示している。このような加熱プロセスにおいて使用される高周波は、一般には約2〜80MHz(メガヘルツ)の範囲内の周波数を有する。このような方法を使用することによって、80ポンド(30kg)ベイルのTPBDを、ほんの数分間で104°F(40℃)以上の温度に速やかに加熱することができる。この急速加熱プロセス時に酸化ゲル化はそれほど起こらない。当然ながら、このことは、TPBDのベイルを必要とする温度に、対流加熱によって数日間にわたってゆっくり加温する、という従来の加熱法とは対照的である。この長い加熱時間中に、TPBDが極めて望ましくない酸化架橋を受ける。米国特許第5,854,351号はさらに、トランス-1,4-ポリブタジエンと少なくとも1種のゴム状ポリマーとを混合する方法を開示しており、前記方法は、(1)約2MHz〜約80MHzの範囲の周波数を有する電磁放射線にトランス-1,4-ポリブタジエンを曝露することによって、トランス-1,4-ポリブタジエンを105°F(41℃)〜200°F(93℃)の範囲内の温度に加熱すること、このときトランス-1,4-ポリブタジエンを、少なくとも10phrのプロセスオイルを使用して油展する(oil-extended);及び(2)トランス-1,4-ポリブタジエンのいずれかの部分が104°F(41℃)以下の温度になる前に、トランス-1,4-ポリブタジエンと前記ゴム状ポリマーとを混合すること;を含む。
米国特許第5,100,965号は、有機溶媒と少なくとも1種の共役ジエンモノマーとを含んだ重合媒体に、(a)少なくとも1種の有機リチウム開始剤、(b)有機アルミニウム化合物、(c)バリウムアルコキシド、及び(d)リチウムアルコキシドを加えることを含む、高トランスポリマーの合成法を開示している。
米国特許第5,100,965号はさらに、高トランスポリマーを使用してタイヤトレッド用のゴムコンパウンドの特性を改良することができる、と開示している。タイヤトレッド用ゴムコンパウンド中に高トランスポリマーを使用することによって、改良された摩耗特性、引裂き抵抗、及び低温性能を有するタイヤを製造することができる。
リチウム化合物の存在下でのバリウム化合物と有機アルミニウム化合物の使用を開示している上記特許は、アルコールの存在下にて液体アンモニア中でバリウム金属から作製されるバリウム塩を使用する。
再利用が求められる工業用アプリケーションにおいては、バリウムアルコキシドを使用すると、特定の問題が生じることがある。たとえば、ポリマーの最終処理工程におけるスチームストリッピング時に、バリウムt-アミレート(barium t-amylate)が水と反応して、t-アミルアルコールが生じることがある。t-アミルアルコールはヘキサンと共沸混合物を形成するので、ヘキサンと同時に留出し、したがって供給流れを汚染する。
発明の概要
本発明は、芳香族溶媒中でのジ(エチレングリコール)エーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルエーテル、ジ(N,N-ジメチルアミングリコール)エチルエーテル、及びジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテルとの反応において、極めて安価で且つ安全な物質である水酸化バリウムを使用する。これらのバリウム塩は全て芳香族溶媒に対して混和性(misable)である。本発明はさらに、(1)反応温度を調節するために、(2)より高い温度にてポリマーのトランス含量を増大させるために、及び(3)ポリマーの数平均分子量を抑え、重量平均分子量を増大させるために、水、アルコール、アミン、チオール、スルフィド、ホスフェート、及びホスファイト等の極性化合物を使用する。さらに、本発明の触媒を使用して製造される芳香族ビニルモノマー含有コポリマーは、テイパード・マクロ構造(a tapered macrostructure)を有する。
本発明は、水、第一アルコール、第二アルコール、第三アルコール、環状第一アミン、環状第二アミン、環状第三アミン、キレート形成ジアミン、ホスフェート、ホスフェートスルフィド(phosphate sulfide)、ホスフェートサルフェート(phosphate sulfate)、またはチオール等の極性変性剤の存在下にて、(a)有機リチウム化合物、(b)有機アルミニウム化合物、及び(c)(i)ジ(エチレングリコール)エチルエーテルのバリウム塩、(ii)ジ(エチレングリコール)プロピルエーテルのバリウム塩、(iii)ジ(N,N-ジメチルエチレングリコール)エチルエーテルのバリウム塩、または(iv)ジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテルのバリウム塩、を含む触媒系を使用して製造されるポリマーのトランスミクロ構造含量が、という発見に基づいている。
このような変性剤の存在下にて重合を行うことによって、モノマーの転化率と重合速度も増大する。環状アルコールのバリウム塩を触媒系におけるバリウム化合物として使用することによって、再循環流れの汚染の問題が解消される。極めて好ましいのはバリウムメントレート(barium mentholate)とバリウムジ(エチレングリコール)エーテルである。なぜなら、これらは、ヘキサンと同時留出しないか、あるいはスチームストリッピング中に、ヘキサンと同時留出するような化合物を生成しないからである。これら金属塩の加水分解で生じる環状アルコールの沸点がかなり高いので、これらの環状アルコールはヘキサンと同時留出せず、また再循環流れを汚染しない。さらに、このような環状アルコールは環境面から安全であると見なされている。実際、メントール(バリウムメントレートの加水分解生成物)は、食品添加剤として一般的に使用されている。
このようなバリウム含有触媒系を使用して製造されるトランスポリマー(たとえば、トランス-1,4-ポリブタジエンやトランス-スチレン-ブタジエンゴム)は、約−30℃〜約+30℃の範囲内の融点を有する。本発明の触媒系を使用して合成されるポリマーのトランス-1,4-ポリブタジエン部分が高い融点を有するので、他のゴム状ポリマーとブレンドする前に、あるいはゴム製品(たとえばタイヤ)の製造において使用する前に“ホットハウス”中にて加熱する必要がない。さらに、トランス-1,4-ポリブタジエンは、歪みによって結晶化可能であり、摩耗特性を示すタイヤトレッド用ゴムコンパウンドを製造するのに使用することができる。トランスポリマー及びトランスコポリマーはさらに、一般には、約−97℃〜約−40℃の範囲内のガラス転移温度、約30,000〜約200,000の範囲内の数平均分子量、及び約20〜約120の範囲内のムーニーML1+4粘度を有する。
本発明はさらに、共役ジオレフィンモノマーを、及び所望により共役ジオレフィンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの混合物を、高トランス含量を有するゴム状ポリマーに重合させるのに特に有用な触媒系を開示しており、前記触媒系は、(a)有機リチウム化合物;(b)(i)環状アルコールのバリウム塩(たとえば、バリウムメントレートやバリウムグリコールエーテル)、及び(ii)バリウムチモール、からなる群から選択されるバリウム化合物;(c)有機アルミニウム化合物;ならびに(d)アルコール、アミン、チオール、ホスフェート、ホスファイト、及び水からなる群から選択される極性調節剤;を含む。
本発明はさらに、トランス-1,4-ポリブタジエン、及びスチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマーを合成するための方法を開示しており、前記合成法は、(a)有機リチウム化合物、(b)バリウム化合物、(c)有機アルミニウム化合物、ならびに(d)アルコール、アミン、チオール、ホスフェート、ホスファイト、及び水からなる群から選択される極性調節剤、を含む触媒系の存在下にて1,3-ブタジエンモノマーを重合させることを含む。
発明の詳細な説明
本発明の重合は、一般には、1種以上の芳香族化合物、パラフィン系化合物、またはシクロパラフィン系化合物であってよい炭化水素溶媒中で行われる。これらの溶媒は通常、1分子当たり4〜10個の炭素原子を含有し、重合の条件下にて液体である。適切な有機溶媒の幾つかの代表的な例としては、ペンタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、石油エーテル、ケロシン、ペトロリウムスピリット、及び石油ナフサ等があり、単独であっても、混合物であってもよい。
本発明の溶液重合においては、通常は5〜30重量%のモノマー(1,3-ブタジエンと必要に応じてスチレン)が重合媒体中に存在する。当然のことながら、このような重合媒体は有機溶媒とモノマーを含む。殆どの場合、重合媒体が10〜25重量%のモノマーを含有するのが好ましく、一般には、重合媒体が15〜20重量%のモノマーを含有するのがさらに好ましい。
本発明の触媒系と方法を使用して製造されるトランスホモポリマーとトランスコポリマーは、1,3-ブタジエンから誘導される反復構造単位を含む。トランスポリマーは一般に、コポリマーのブタジエン部分を基準として約60%〜約80%のトランス-ミクロ構造含量を有する。本発明に従って製造されるトランスポリマーは低い多分散性を示す。このようなトランスポリマーの重量平均分子量と数平均分子量との比は、一般には1.5未満である。トランスポリマーの重量平均分子量と数平均分子量との比は約1.3未満であるのがより一般的である。本発明の高トランスポリマーに対しては、重量平均分子量と数平均分子量との比は約1.2未満であるのが一般には好ましい。
本発明に従って製造されるトランスポリマーは、一般には約−20℃〜約40℃の範囲内の融点を有する。これらのトランスポリマーはさらに、一般には約−97℃〜約−40℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
本発明の重合は、共役ジオレフィンモノマーを含有する重合媒体に、有機リチウム開始剤、有機アルミニウム化合物、及び環状アルコールのバリウム塩を加えることによって開始させる。本発明の重合は、環状アルコールのバリウム塩、ジ(エチレングリコール)エーテルのバリウム塩、ジ(エチレングリコール)プロピルエーテルのバリウム塩、またはジ(N,N-ジメチルアミノエチレングリコール)エーテルのバリウム塩である有機アルミニウム化合物を含んだプレアルキル化バリウム塩(pre-alkylated barium salts)によって、約70℃にて約30分にわたって開始させるのが好ましい。プレアルキル化バリウム化合物を有機リチウム化合物で処理し、約70℃にて約10分加熱する。この触媒系を反応混合物に加え、次いで極性変性剤を加える。極性変性剤は、触媒系と別個にモノマープレミックスに加えてもよいし、あるいは触媒系と一緒にモノマープレミックスに加えてもよい。本発明の重合は、有機リチウム開始剤、有機アルミニウム化合物、環状アルコールのバリウム塩、ならびにアルコール、アミン、ホスフェート、ホスファイト、及びチオールからなる群から選択される変性剤を加えることによって開始させるのが好ましい。本発明の重合はさらに、環状アルコールのリチウム塩の存在下にて行うのが好ましく、バッチ法、半連続的な方法、または連続的な方法を使用して行うことができる。
本発明の方法において使用される有機リチウム開始剤は、本明細書に記載のモノマーを重合させる上で公知の単官能タイプと多官能タイプを含む。多官能の有機リチウム開始剤は、特定の有機リチウム化合物であってもよいし、あるいは必ずしも特定の化合物である必要はないが、調節可能な官能価をもつ再現性のある組成を示すような多官能タイプであってもよい。
有機リチウム開始剤の使用量は、合成しようとするトランスポリマーに対して求められる分子量にしたがって変わる。しかしながら一般には、0.01〜3phm(モノマー100重量部当たりの重量部)の有機リチウム開始剤が使用される。殆どの場合、0.01〜3phmの有機リチウム開始剤が使用され、0.025〜0.07phmの有機リチウム開始剤を使用するのが好ましい。
使用できる多官能開始剤は、有機モノリチウム化合物とマルチビニルホスフィンもしくはマルチビニルシランとを反応させることによって得られる開始剤を含み、このような反応は、炭化水素または炭化水素と極性有機化合物との混合物等の不活性希釈剤中で行うのが好ましい。マルチビニルシランもしくはマルチビニルホスフィンと有機モノリチウム化合物との間の反応により沈殿物が生じることがあり、この沈殿物は、必要であれば、主要な成分と反応させた後に、可溶化モノマー(a solubilizing monomer)(たとえば、共役ジエンや芳香族モノビニル化合物)を加えることによって可溶化することができる。これとは別に、反応は、少量の可溶化モノマーの存在下で行うこともできる。有機モノリチウム化合物とマルチビニルシランもしくはマルチビニルホスフィンの相対量は、使用するマルチビニルシランもしくはマルチビニルホスフィン中に存在するビニル基の1モル当たり、有機モノリチウム化合物が約0.33〜4モルの範囲であるのが好ましい。理解しておかなければならないことは、このような多官能開始剤は、特定の個々の化合物としてよりむしろ化合物の混合物として使用されるのが一般的である、という点である。
代表的な有機モノリチウム化合物としては、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-エイコシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、4-トリルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、及びシクロヘキシルリチウム等がある。
代表的なマルチビニルシラン化合物としては、テトラビニルシラン、メチルトリビニルシラン、ジエチルジビニルシラン、ジ-n-ドデシルジビニルシラン、シクロヘキシルトリビニルシラン、フェニルトリビニルシラン、ベンジルトリビニルシラン、及び(3-エチルシクロヘキシル)(3-n-ブチルフェニル)ジビニルシラン等がある。
代表的なマルチビニルホスフィン化合物としては、トリビニルホスフィン、メチルジビニルホスフィン、ドデシルジビニルホスフィン、フェニルジビニルホスフィン、及びシクロオクチルジビニルホスフィン等がある。
他の多官能重合開始剤は、有機モノリチウム化合物を、さらに、芳香族マルチビニル化合物及び共役ジエンもしくは芳香族モノビニル化合物と共に使用することによって、あるいは芳香族マルチビニル化合物及び共役ジエン及び芳香族モノビニル化合物と共に使用することによって製造することができる。これらの成分は、通常は、希釈剤としての炭化水素または炭化水素と極性有機化合物との混合物の存在下にて、最初に仕込むことができる。これとは別に、多官能重合開始剤は、有機モノリチウム化合物と共役ジエン添加剤もしくは芳香族モノビニル化合物添加剤とを反応させ、次いで芳香族マルチビニル化合物を加えることによって、二段階プロセスで製造することもできる。本明細書に記載の共役ジエンまたは芳香族モノビニル化合物のいずれも使用することができる。使用する共役ジエン添加剤もしくは芳香族モノビニル化合物添加剤の割合は、有機リチウム化合物1モル当たり重合化合物が約2〜15モルの範囲であるのが好ましい。芳香族マルチビニル化合物の使用量は、有機モノリチウム化合物1モル当たり約0.05〜2モルの範囲であるのが好ましい。
代表的な芳香族マルチビニル化合物としては、1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルベンゼン、1,2,4-トリビニルベンゼン、1,3-ジビニルナフタレン、1,8-ジビニルナフタレン、1,3,5-トリビニルナフタレン、2,4-ジビニルビフェニル、3,5,4’-トリビニルビフェニル、m-ジイソプロペニルベンゼン、p-ジイソプロペニルベンゼン、及び1,3-ジビニル-4,5,8-トリブチルナフタレン等がある。1分子当たり最大で18個の炭素原子を含有するジビニル芳香族炭化水素が好ましく、特に、ジビニルベンゼン(オルト異性体、メタ異性体、またはパラ異性体として)、工業用ジビニルベンゼン(3種の異性体の混合物)、及びエチルスチレン等の他の化合物も極めて満足できる炭化水素である。
他のタイプの多官能開始剤〔sec-有機モノリチウム化合物またはtert-有機モノリチウム化合物と1,3-ブタジエンとを、1,3-ブタジエン1モル当たり有機モノリチウム化合物が約2〜4モルの割合にて、極性物質の非存在下で接触させることによって得られる開始剤(接触は、不活性の炭化水素希釈剤中で行うのが好ましいが、必要であれば、希釈剤なしでの接触も行うことができる)〕も使用することができる。
これとは別に、本発明によるポリマーの製造において、必要であれば、特定の有機リチウム化合物を開始剤として使用することもできる。これらの有機リチウム化合物はR(Li)xで示され、このときRは1〜20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基であり、xは1〜4の整数である。代表的な有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、p-トリルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4-ブチルシクロヘキシルリチウム、4-シクロヘキシルブチルリチウム、ジリチオメタン、1,4-ジリチオブタン、1,10-ジリチオデカン、1,20-ジリチオエイコサン、1,4-ジリチオシクロヘキサン、1,4-ジリチオ-2-ブタン、1,8-ジリチオ-3-デセン、1,2-ジリチオ-1,8-ジフェニルオクタン、1,4-ジリチオベンゼン、1,4-ジリチオナフタレン、9,10-ジリチオアントラセン、1,2-ジリチオ-1,2-ジフェニルエタン、1,3,5-トリリチオペンタン、1,5,15-トリリチオエイコサン、1,3,5-トリリチオシクロヘキサン、1,3,5,8-テトラリチオデカン、1,5,10,20-テトラリチオエイコサン、1,2,4,6-テトラリチオシクロヘキサン、及び4,4’-ジリチオビフェニル等がある。
使用できる有機アルミニウム化合物は、一般には構造式
Figure 2006188682
〔式中、R1は、アルキル基(シクロアルキルを含む)、アリール基、アルカリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基、及び水素からなる群から選択され;R2とR3は、アルキル基(シクロアルキルを含む)、アリール基、アルカリール基、及びアリールアルキル基からなる群から選択される〕を有する。使用できる有機アルミニウム化合物の幾つかの代表的な例としては、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ-n-プロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライド、ジ-p-トリルアルミニウムハイドライド、ジベンジルアルミニウムハイドライド、フェニルエチルアルミニウムハイドライド、フェニル-n-プロピルアルミニウムハイドライド、p-トリルエチルアルミニウムハイドライド、p-トリルn-プロピルアルミニウムハイドライド、p-トリルイソプロピルアルミニウムハイドライド、ベンジルエチルアルミニウムハイドライド、ベンジルn-プロピルアルミニウムハイドライド、ベンジルイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジイソプロピルアルミニウムメトキシド、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ-p-トリルアルミニウム、エチルベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチルp-トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、及び他のトリ有機アルミニウム化合物等がある。好ましい有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム(TEAL)、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)、トリヘキシルアルミニウム、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBA-H)がある。
使用できる環状アルコールのバリウム塩は、単環式であっても、二環式であっても、もしくは三環式であってもよく、また脂肪族であっても、もしくは芳香族であってもよい。これらのバリウム塩は、1〜5個の炭化水素部分で置換されていてもよく、さらに必要に応じてヘテロ原子を含有してもよい。たとえば、環状アルコールのバリウム塩は、ジアルキル化シクロヘキサノール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノールや2-t-ブチル-5-メチルシクロヘキサノール等)の金属塩であってよい。これらのバリウム塩は、ヘキサンに対して溶解性なので好ましい。ジ置換シクロヘキサノールのバリウム塩は、ヘキサンに対して溶解性なので極めて好ましい。本発明を実施する上で使用できる、最も好ましい環状アルコールのバリウム塩はバリウムメントレートである。チモールのバリウム塩も使用することができる。環状アルコールのバリウム塩は、環状アルコールとバリウムもしくは他のバリウム源(たとえば水素化バリウム)とを、脂肪族溶媒または芳香族溶媒中にて直接反応させることによって製造することができる。
使用できる環状アルコールのリチウム塩は、単環式であっても、二環式であっても、もしくは三環式であってもよく、また脂肪族であっても、もしくは芳香族であってもよい。これらのリチウム塩は、1〜5個の炭化水素部分で置換されていてもよく、さらに必要に応じてヘテロ原子を含有してもよい。たとえば、環状アルコールのリチウム塩は、ジアルキル化シクロヘキサノール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノールや2-t-ブチル-5-メチルシクロヘキサノール等)のリチウム塩であってよい。これらのリチウム塩は、ヘキサンに対して溶解性なので好ましい。ジ置換シクロヘキサノールのリチウム塩は、ヘキサンに対して溶解性なので極めて好ましい。本発明を実施する上で使用できる、最も好ましい環状アルコールのバリウム塩はリチウムメントレートである。チモールのリチウム塩も使用することができる。環状アルコールのリチウム塩は、環状アルコールとリチウムもしくは他のリチウム源(たとえば水素化リチウム)とを、脂肪族溶媒または芳香族溶媒中にて直接反応させることによって製造することができる。
本発明の方法を実施する上で使用される変性剤は、アルコール、ホスフェート、ホスファイト、アミン、チオール、及び水からなる群から選択される。変性剤は、脂肪族であっても、あるいは芳香族であってもよい。使用できるアルコールの幾つかの代表的な例としては、フェノール、n-ブチルアルコール、及びイソブチルアルコール等がある。n-ブチルチオールは、本発明を実施する上で変性剤として使用できるチオールの代表的な例である。
有機アルミニウム化合物と有機リチウム化合物とのモル比は約0.3:1〜約8:1の範囲内である。約0.5:1〜約5:1の範囲内であるのが好ましく、約1.2:1〜約2:1の範囲内であるのが最も好ましい。環状アルコールのバリウム塩と有機リチウム化合物とのモル比は約0.1:1〜 の範囲内であり、環状アルコールの塩と有機リチウム化合物との は、好ましくは約0.15:1〜約1.2:1の範囲内であり、最も好ましくは約0.2:1〜約0.6:1の範囲内である。環状アルコールのリチウム塩と有機リチウム化合物とのモル比は約0.15:1〜約4:1の範囲内である。環状アルコールのリチウム塩と有機リチウム化合物とのモル比は約0.25:1〜約2.5:1の範囲内であるのが好ましく、約0.6:1〜約1:1の範囲内のモル比であるのが最も好ましい。変性剤とバリウム化合物とのモル比は、一般には約0.1:1〜約20:1の範囲内である。変性剤とバリウム化合物とのモル比は、約0.5:1〜約10:1の範囲内であるのが好ましい。変性剤とバリウム化合物とのモル比は、約0.8:1〜約4:1の範囲内であるのが最も好ましい。
使用する重合温度は、約20℃〜約120℃の広い温度範囲にわたって変化してよい。殆どの場合、約40℃〜約100℃の範囲内の温度が使用される。重合温度は、約60℃〜約90℃の範囲内であるのが一般には最も好ましい。重合温度がより低いと、一般にはポリマーの融点がより高くなる。しかしながら、トランス-1,4-ポリブタジエンのガラス転移温度は、重合温度の関数として変化しない。使用する圧力は通常、重合反応の条件下で実質的に液相を保持するに足る圧力である。
重合は、モノマーの実質的に完全な重合を起こさせるに足る時間にわたって行われる。言い換えると、重合は一般に、高い転化率が達成されるまで行われる。重合は、標準的な方法を使用して終了させることができる。重合は、従来の非カップリングタイプの停止剤(たとえば、水、酸、及び低級アルコール等)を使用して、あるいはカップリング剤を使用して終了させることができる。たとえば、カップリング剤は、トランス-1,4-ポリブタジエンゴムの低温フロー特性及びトランス-1,4-ポリブタジエンゴムから製造されるタイヤの転がり抵抗を改良するために使用することができる。カップリング剤はさらに、より良好な加工性や他の有用な特性をもたらす。このような目的に適した種々の化合物を使用することができる。適切なカップリング剤の幾つかの代表的な例としては、芳香族マルチビニル化合物、マルチエポキシド、マルチイソシアネート、マルチイミン、マルチアルデヒド、マルチケトン、マルチハライド、マルチ無水物、多価アルコールとモノカルボン酸とのエステルであるマルチエステル、及び一価アルコールとジカルボン酸とのエステルであるジエステル等がある。
重合が終了した後、有機溶媒からトランス-1,4-ポリブタジエンを回収することができる。トランス-1,4-ポリブタジエンは、デカンテーション、濾過、及び遠心分離等の方法によって、有機溶媒と残留物から回収することができる。約1〜約4個の炭素原子を含有する低級アルコールをポリマー溶液に加えることによって、有機溶媒からトランス-1,4-ポリブタジエンを沈殿させるのが望ましいことが多い。ポリマーセメント(polymer cement)からセグメント化ポリマー(segmented polymer)を沈殿させるのに適した低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、及びt-ブチルアルコール等がある。ポリマーセメントからトランス-1,4-ポリブタジエンを沈殿させるのに低級アルコールを使用することはさらに、リチウム末端基を不活性化することによってリビングポリマーを“消滅(kill)させる”。溶液からトランス-1,4-ポリブタジエンを回収した後、スチームストリッピングを使用して、セグメント化ポリマー中の揮発性有機化合物のレベルを減少させることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。これらの実施例は単に説明のためのものであって、本発明の範囲または本発明を実施できる態様がこれらの実施例によって限定されることはない。特に明記しない限り、部とパーセントは重量基準である。
実施例1
本実施例においては、温度計、ディーンシュタルク水トラップの付いた水凝縮器、及び窒素入口を取り付けた三つ口フラスコに、3リットルの無水エチルベンゼンを仕込んだ。次いで、フラスコに1モルの水酸化バリウム一水和物を絶えず攪拌しながら加えた。この不均一溶液に、(a)ジ(エチレングリコール)エチルエーテル、(b)ジ(N,N-ジメチル/アミノエチレングリコール)エチルエーテル、または(c)ジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテルのうちの1種を2モル加えた。エチルベンゼン溶液を還流温度にし、2モルの水が除去されるまでこの温度に保持した。こうして得られた有機化合物のバリウム塩はエチルベンゼンに対して溶解性であり、得られた均一溶液を、以下の実施例のそれぞれにおいて使用した。
実施例2
本実施例においては、高トランスミクロ構造を有するスチレン-ブタジエンゴムを、本発明の触媒系を使用して製造した。使用した手順においては、500ガロン(1893リットル)の反応器に、ヘキサン中に1,3-ブタジエンとスチレンを含有するモノマープレミックス溶液1900ポンド(862kg)を仕込んだ。モノマープレミックス溶液は、65%の1,3-ブタジエンと35%のスチレンモノマーを含有した。反応器中に仕込んだモノマープレミックス溶液の水分含有量はわずか(0.5ppmの水)であった。反応器を170°F(77℃)に加熱し、触媒を、モノマー100g当たり0.35ミリモルにて反応器中に仕込んだ。バリウムジ(エチレングリコール)エチルエーテルをトリオクチルアルミニウムでアルキル化し、そしてn-ブチルリチウムと混合して、触媒をあらかじめ作製した。反応器の温度が徐々に245°F(118℃)に上昇し、冷却用バイパスを完全に開放して反応器の温度を制御した。3時間の反応時間後、反応器を冷却し、セメント(cement)から溶媒を除去して、形成されたポリマー生成物を回収した。ポリマー生成物をNMRによって分析し、スチレンの転化率が76%であることが決定された。残留スチレンモノマーを工業的操作で回収して、プロセスの経済性を高めることができる。
実施例3
本実施例においては、プレミックスの水分が25ppmの水であること以外は、実施例2と同じ手順にしたがった。触媒の使用量は上記実施例の場合と同じであった。反応器の温度を170°F(77℃)に上げ、触媒を全て加えた。反応器の温度が224°F(107℃)に達し、実施例2において観察されたような温度の急上昇はなく、反応全体にわたって一定に保持された(このとき水分は0.5ppmであった)。25ppmの水の存在により、反応温度が抑制された。スチレンの転化率が27%から31%に増大し、このことは、全体としての転化率が77%〜88%に増大したことを示している。
実施例4
実施例2と同じ手順にしたがい、水分はこの場合も0.5ppmの水であった。温度挙動は実施例2の場合と同じであった。3時間の反応時間後、反応器を200°F(93℃)に冷却し、反応器の圧力を35psiに下げた。追加の1,3-ブタジエンモノマープレミックスを反応器に加え、温度を245°F(118℃)に上げた。1時間の反応時間後、スチレンの転化率が33%になった。スチレンの転化率が94%になり、これは17%の増大である。本実施例において示されている手順を使用することによって、実施例2に記載の系が実施された場合には必要となるような、残留スチレンモノマーの工業的操作での回収が必要なくなる。
実施例5
本実施例では、バリウムジ(エチレングリコール)エチルエーテルをアルキル化することによってアルキル化バリウム触媒を作製した。使用した手順おいては、28オンス(828.1ml)のボトルに、オクチル-アルミニウム/バリウムジ(エチレングリコール)エチルエーテルをエチルベンゼン中に混合して得た溶液を、バリウム/アルミニウムが1/4の比にて仕込み、引き続き70℃(158°F)で30分加熱した。使用した手順においては、28オンス(828.1ml)のボトルに、1.0モル濃度のトリ-オクチルアルミニウム400ml(400ミリモル)を仕込んだ。次いで、バリウムジ(エチレングリコール)エチルエーテルのエチルベンゼン中1.0モル溶液(Ba/Al=1:4)を100.0ml加えた。この均一混合物を充分に振盪し、容器を一定温度の浴中に置き、70℃(158°F)で30分保持した。こうして得られた0.20モル濃度のアルキル化バリウム均一赤橙色溶液を、1:3のBa/Li比にてn-ブチルリチウムと一緒にしてから反応器中に仕込み、トランス-SBR、トランス-BR、トランス-IBR、及びトランス-SIBRを製造するための触媒として使用した。極性変性剤(X)は通常、1:4:3:1のBa/Al/Li/X比にてプレミックスと一緒に加えられる。
実施例6
本実施例で使用した手順においては、20%のスチレンと80%のブタジエンを含有する2000.0gのプレミックスを1ガロン(3.80リットル)の反応器中に仕込んだ。次いで、0.2モル濃度のアルキル化バリウム溶液7mlと、1.0モル濃度のブチルリチウム溶液4.20mlを、1:3のBa:Li比にて反応器中に仕込んだ。重合は、90℃(194°F)にて3時間行った。ガスクロマトグラフィーによって残留モノマーに対する分析を行って、反応速度と転化率を決定した。GC分析によれば、3時間の反応時間後において、1,3-ブタジエンは95%が転化し、スチレンは65%が転化した。ポリマーセメントを酸化防止剤で安定化させ、そしてポリマーセメントをエアオーブン中に置いて、ヘキサン溶媒を全て除去した。乾燥したポリマーを、気相クロマトグラフィー(GPC)、核磁気共鳴分光分析(NMR)、及び示差走査熱量法(DSC)によって分析した。本方法によって得られたSBRのTgは12.5℃、そしてムーニーML-4粘度は89であった。NMR分析によれば、このポリマーは、得られたSBRのポリブタジエン部分を基準として、4.5%の1,2-ミクロ構造含量、95.5%の1,4-ミクロ構造含量、及び78%のトランス-ミクロ構造含量を有した。ポリマーの数平均分子量(Mn)は185,000であることがわかり、重量平均分子量(Mw)は264,000であることがわかった。
実施例7
連続した2つの1ガロン(3.80リットル)反応器チェーン(reactor chain)において、ヘキサン中にてブタジエン/スチレンプレミックスの重合を行った。チェーンの第1の反応器中に、プレミックスを200g/分の速度でポンプ送りし、そしてチェーンの第2の反応器中に、プレミックスを同じ速度で供給した。2つの反応器の温度を195°F(91℃)に保持した。下記の実施例8がこれら実験の結果を示している。
実施例8
本実施例においては、約20%のスチレンと約80%のブタジエンを含有するトランス-スチレンブタジエンゴムを、ドデシルフェノラートとバリウム塩とtert-ブチルアルコールとテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が、Ba/Al/Li/X/Yが1:4:3:1:1(XはTMEDAであり、Yはtert-ブチルアルコールである)の比にて存在する状態で製造した。使用した手順においては、機械的攪拌機を取り付けた1ガロン(3.80リットル)反応器に窒素雰囲気下にて、ヘキサン中20%スチレン溶液200g(スチレン40gは、21.2%プレミックスの198gに相当する)と80%ブタジエン溶液200g(ブタジエン160gは、22%プレミックスの727gに相当する)を仕込んだ。この溶液に、バリウムドデシルフェノラートの0.27モル濃度溶液1.85mlを加え、次いで2.25mlのヘキシルリチウム(0.98モル濃度)、4.0mlのトリ-N-オクチルアルミニウム(0.5モル濃度)、及び1.09mlのtert-ブチルアルコール(0.98モル濃度)を加えた。次いでこの溶液に1.0ミリモルのテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を加えた。反応混合物を99℃(210°F)に加熱すると明橙色に変わり、重合が起こっていることがわかった。反応を3時間進行させた。200分後、ブタジエンが全て転化し、76.9%のスチレンが転化した。反応混合物をイソプロパノールで中和し、ポリマーセメントを酸化防止剤で安定化し、50℃(122°F)に保持されたオーブン中に置いて全ての溶媒を除去した。C13-NMR分析によれば、1,2-ミクロ構造の含量は6.2%であって、1,4-ミクロ構造の含量は93.85%であり、そのうちトランス含量は74.3%、スチレン含量は15.3%(76.8%の転化率)であった。DSC分析によれば、ポリマーのTgは−85℃であり、ムーニーML-4粘度は47であった。GPC分析によれば、ポリマーのMnは70,000g/モルであり、Mwは214,000g/モルであった。ポリマーが融解ピークをもたないという事実は、全てのスチレンが完全にランダムであるということを示している。
実施例9
本実施例においては、約20%の結合スチレン含量を有するトランス-スチレンブタジエンゴムを脂肪族アルコールの存在下で製造した。Ba/Al/Li/X比は1:4:3:1であり、Xは脂肪族アルコールを示している。使用した手順においては、1ガロン(3.80リットル)の反応器に、21.2%のスチレンを含有するヘキサンプレミックスを189g、及び22.6%のブタジエンを含有するヘキサンプレミックスを717.5g仕込んだ。この均一混合物に、0.9mlのドデシルフェノラートバリウム塩(0.27モル濃度)を加え、次いで2.55mlのn-ブチルリチウム(0.098モル濃度)を加えた。次いでこの溶液に、0.98mlのトリオクチルアルミニウム(1.0モル濃度)と、tert-ブチルアルコールの1モル濃度溶液0.98mlを加えた。反応器の温度を90℃(194°F)に上げ、サンプルを採取して、反応速度と残留モノマーの転化率を測定した。200分後、ブタジエンの転化率は99%となり、スチレンの転化率は70%になった。ポリマーセメントを酸化防止剤で安定化し、ポリマーを高温のオーブン中で乾燥し、得られたポリマーを分析した。DSCによれば、このポリマーのガラス転移温度は−86℃、結晶融点(Tm)は−47℃、そして融解温度は12℃であった。GPCによれば、このポリマーのMnは69,000g/モルであった。
実施例10
本実施例においては、約20%の結合スチレン含量を有するトランス-スチレンブタジエンゴムを脂肪族アルコールの存在下で製造した(Ba/Al/Li/X比は1:4:3:2であった)。tert-ブチルアルコールの割合をバリウムのモル比の2倍に増大させたこと以外は、実施例9の場合と同じ手順にしたがった。200分の反応時間にて、スチレンの転化率は、反応をアルコールの非存在下で行ったときのわずか50%の転化率と比較して80%に増大した。この実験において達成された転化率はさらに、アルコールとバリウムとの比が等しいときの70%の転化率に匹敵した。ポリマーのガラス転移温度は−77℃であり、このことは、スチレンが完全にランダムであって、ポリマーが融解ピークを全くもたないということを示している。GPCによれば、ポリマーのMnは59,000g/モルであってMwは100,000g/モルであり、分子量分布はかなりシャープであった。
実施例11〜20
実施例11〜20は、本発明の一般的な重合手順を示している。実施例11〜20においては、予備作製した触媒系を使用した。予備作製触媒プロセスは、バリウム化合物であるビス[2-(2-エトキシエトキシ)エタノラート-O,O’,O”]バリウム(エチルベンゼン中37.33%)をアルミニウムアルキルであるトリ-n-オクチルアルミニウム(ヘキサン中50%)でアルキル化することからなった。ターゲットとするAl:Ba比は4:1であった。この比によってポリマーのミクロ構造のほとんどが決定され、触媒のこの部分が予備作製されるので、予備作製物を製造する際には充分に注意を払うことが大切である。
バリウムのアルキル化はバッチ法で行う。ブロセス流れ図を図1に示す。
このバッチは、攪拌機が装備されたジャケット付きの30ガロン(114リットル)反応器にて行った。ジャケット冷却液はグリコールであり、ポンプで循環させた。必要に応じて、グリコールをスチームで加熱した。触媒成分は、目盛り付きのベンダー・シリンダー(vendor cylinder)から反応器中に直接計量した。約2週間にわたって重合を行うための充分な予備作製触媒(約20ガロン(76リットル))が得られるよう、バッチサイズを算出した。
バリウム化合物を反応器に加えた後、反応器の温度を75°F(24℃)に設定して、トリ-n-オクチルアルミニウム(TNOA)とバリウム化合物との反応からの発熱を相殺した。ニードル弁を使用して、TNOAを反応器に徐々に(約1ポンド(0.45kg)/分)に加えた。前述したように、アルキル化のプロセスは発熱プロセスであるが、こうした発熱は、TNOAの約半分が加えられるまでにすぎない。発熱が弱まった時点で、TNOAをより速やかに加えることができる。TNOAを全て加えた後、温度を158°F(70℃)に設定して30分保持した。最後に、重合プロセスに使用するために、アルキル化バリウムをシリンダーに移した。
バッチ法の場合、バッチ開始の直前に、バリウム/TNOA触媒をより小形のシリンダー中に計量した。次いで15%のn-ブチルリチウムを、バリウムに対して3:1の比にてシリンダーに加えた。この比は最適であることが決定された。加えた後、シリンダーの内容物を5ガロン(18.93リットル)反応器に移し、70℃(158°F)で7分加熱した。次いで内容物をシリンダーに戻し、500ガロン(1893リットル)反応器中に仕込んだ。
これらの実験においては、ポリマーを500ガロン(1893リットル)バッチ反応器中で生成させた。反応器に、2つの軸流タービン(AFT)攪拌機を取り付けた。プレミックスは、スチレン/1,3-ブタジエンをヘキサン中に混合してなる希薄溶液を含有し、2層のシリカゲル上にて乾燥してから貯蔵容器に入れた。乾燥プレミックスの計量した量を反応器に移した。反応器を設定温度にまで加熱した後、触媒を反応器中に圧入した。次いで、バッチ反応によって発熱が始まるまで、反応器をゆっくりと加熱した。反応が進行し始めた。反応を、固体と残留物に関してモニターした。各バッチについての情報と採集したデータを下記に表記する。バリウム1モル当たり1.5モルのステアリン酸を使用して、全ての反応を停止させた。次いで、0.5phrのウイングステイ(Wingstay)(登録商標)K酸化防止剤を加えた。各反応からのセメントを、その後の仕上げ用に保存した。
Figure 2006188682
Figure 2006188682
実施例11
高トランス-SBRの最初のバッチにおいて、プレミックスの濃度を20%に設定し、35/65の比で仕込んだ。プレミッスの分析により、仕込んだ実際の濃度は18.66%であり、比は33/67であることがわかった。20%算出モノマー装入量を基準として0.4ミリモルのBa/100を仕込むことによって、バッチを185°F(85℃)で開始した。速やかに反応が開始し、発熱が起こって255°F(124℃)になった。DSCは最高で255°F(124℃)までの温度を記録しただけであり、したがって達した最高温度は不明である。圧力は83.7psig(678キロパスカル)にまで上昇した。発熱中に反応混合物をサンプリングすることは困難であった。このバッチは2時間実施してから、停止した。ポリマーのデータを下記の表IIIに示す。
実施例12
このバッチに対してはプレミックスの濃度を変えず、20%のまま装入した(分析によれば、濃度は20.42%であり、比は34/66であった)。このバッチは125°F(52℃)で開始し、触媒レベルは0.3ミリモルのBa/100であった。この温度では反応は起こらなかった。温度を徐々に上げ、160〜170°F(72〜77℃)に達したとき、反応が起こって発熱し始めた。反応混合物の温度が190°F(88℃)に達したとき、温度を制御するためにグリコールのバイパスを開いた。達した最高温度は262°F(128℃)であった。
実施例13
このバッチに対してはプレミックスの濃度を変えず、20%のまま装入した(分析によれば、濃度は19.15%であり、比は28/72であった)。反応器の容量レベルを2200ポンドから1900ポンドに(998kgから862kgに)下げた。このバッチは150°F(66℃)で開始し、触媒レベルは0.27ミリモルのBa/100であった。温度を徐々に上げ、160〜170°F(72〜77℃)に達したとき、反応が起こって発熱し始めた。反応が始まったとき、温度を制御するために直ちにグリコールのバイパスを開いた。これにより反応が止まった。バッチを再加熱するためには、スチームのバイパスを開く必要があった。反応温度が170°F(77℃)に達するとすぐに反応器のジャケットを局所制御にセットし、手操作で冷却の調整を行った。反応温度は上昇したが、242°F(117℃)までだけであり、圧力のピークは56.8psig(492キロパスカル)であった。
実施例14
本実施例においては、プレミックスの濃度を18%(分析によれば17.47%)に下げ、22/78の比のSBRプレミックスを使用した。触媒の装入量は0.325ミリモルのバリウム/100モノマーであった。実施例13の場合と同様に、反応プロセスを開始し、制御した。最高温度と最大圧力を表IIに示す。このバッチに対する反応を追跡するために、残留モノマーのサンプルを採取した。製造したポリマーの特性決定を行った。その分析結果を、表III、表IV、表V、及び表VIに示す。
実施例15
本実施例においては、トランス-SBRの第5の500ガロン(1893リットル)バッチを製造した。使用した手順においては、18%モノマープレミックス溶液(スチレン/1,3-ブタジエン(25/75))を、0.325ミリモルのバリウム/100モノマーと共に反応器中に装入し、バッチの重合を150°F(66℃)で開始させた。反応器中のレベルは1900ポンド(862kg)であった。反応器を約170°F(77℃)に加熱し(これには約25分かかった)、この時点で反応温度が上昇し始めた。次いでジャケットの温度を間接的に調節した。最高温度と最大圧力は、60分においてそれぞれ263°F(128℃)及び87.6psig(704キロパスカル)に達した。このバッチ重合は、トータルで120分行った。製造したポリマーの特性決定を行った。その分析結果を、表III、表IV、表V、及び表VIに示す。
実施例16
本実施例では、トランス-SBRの第6の500ガロン(1893リットル)バッチを製造した。モノマープレミックス溶液を、40/60のスチレン/ブタジエン比に調節した。18%の濃度をターゲットとしたが、化学分析によれば濃度は16.5%であった。前記のバッチと同じ触媒量(0.325ミリモルのバリウム/100モノマー)を使用した。反応器中に装入した反応物の総重量は1900ポンド(862kg)であった。触媒を150°F(66℃)にて装入し、反応を実施例15のバッチの場合と同様に制御した。45分にて244°F(118℃)の最高温度に達し、38分にて63.9psig(541キロパスカル)の最大圧力に達した。このバッチ重合は、トータルで180分行った。
実施例17
本実施例においては、トランス-SBRの第7の500ガロン(1893リットル)バッチを製造した。このバッチ重合は、実施例12におけるバッチの繰り返しであった。プレミックス装入物は18%(分析によれば17.1%)の33/67SBRであった。バッチの温度と量は、実施例12の場合と同様に設定した。温度は手操作で調節した。このバッチに対するデータが表III〜VIに記載されている。これらの表からわかるように、本実施例において製造されたトランス-SBRの物理的特性は、実施例12において製造したポリマーの物理的特性と極めて類似していた。
実施例18
本実施例においては、トランス-SBRの第8の500ガロン(1893リットル)バッチを製造した。本実施例において試みた連続重合プロセスは、少量のTMEDAを使用した。このバッチでは、TMEDAを、バリウムと共に1:1のモル比でプレミックスに加えた。このバッチは反応を開始しなかった。最初の触媒量は0.325ミリモルのバリウム/100モノマーであった。反応を開始させるべく、180分にてさらに0.325ミリモルのバリウム/100モノマーを加えた。触媒を追加してから60分後に、反応が終わった。
実施例19
本実施例においては、トランス-SBRの第9の500ガロン(1893リットル)バッチを製造した。37/63SBRの組成及び17.2%の濃度に対してモノマープレミックス溶液をサンプル採取したとき、18ppmの水を含有していることが見出された。触媒量を、0.4ミリモルのバリウム/100モノマーに増やした。このバッチ重合は、反応物を反応器中に装入して〔総量が1800ポンド(816kg)〕150°F(66℃)にて開始させた。反応器を約170°F(77℃)の温度に加熱し、この時点で反応温度が上昇し始めた。次いでジャケットの温度を間接的に調節した。このバッチは、上記のバッチのようには発熱しなかった。温度が約215°F(102℃)にまで上昇し、そこで横ばいになった。反応を約5時間行ってから停止させた。製造したポリマーの特性決定を行った。その分析結果を、表III、表IV、表V、及び表VIに示す。
実施例20
本実施例においては、トランス-SBRの第10の500ガロン(1893リットル)バッチを製造した。反応器中に装入したモノマープレミックス溶液は、18%(分析によれば16.37%)のモノマー(38/62スチレン/1,3-ブタジエン)を含有した。上記のバッチでは旨く反応が進まなかったので、より多い量の触媒を使用した(0.4ミリモルのバリウム/100モノマー)。しかしながら、このバッチは速やかに反応を開始した。したがって、ジャケットの温度を調節した。このバッチは、41分にて240°F(116℃)の最高温度に達した。
このバッチの反応が旨く進んだので、反応プロセス時に30%ブタジエンプレミックスを作製し、乾燥した。次いで、バッチを165分処理した後に、100ポンド(45kg)の乾燥プレミックスをバッチに加えた。この時点において反応がほとんど完了し、温度が約200°F(93℃)になった。バッチをさらに90分処理してから、反応を停止させた。下記に挙げた残留物から、付加後により多くのスチレンが組み込まれたことがわかる。この処置は、この付加に対する最適の条件ではなかった。処理中にプレミックスを作製して加えたので、反応混合物の温度が240°F(116℃)から202°F(94℃)に低下した。30%プレミックスは、バッチに加える前に試験しなかった。しかしながら、条件が最適ではなかったとしても、さらに5%のスチレンの転化が達成された。この技術は、バッチ法と連続法のどちらに対しても、高レベルのスチレンが組み込まれる、という有益な形で実施することができる。
全バッチのデータを下記の表に示す。
Figure 2006188682
Figure 2006188682
Figure 2006188682
Figure 2006188682
本明細書に開示の説明を踏まえて、本発明に対する種々のバリエーションが可能である。本発明を説明するために、特定の代表的な実施態様とそれらの詳細について示してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更や改良を行うことができる、ということは当業者にとって言うまでもない。したがって、理解しておかなければならないことは、記載されている特定の実施態様に対して変更を施すことができ、これらの変更も、特許請求の範囲に規定されている本発明の意図する範囲内である、という点である。
図1は、実施例11〜20において使用されている予備作製バリウム触媒系を製造するためのプロセスを示している概略的なプロセス流れ図である。

Claims (3)

  1. 共役ジオレフィンモノマーを、又は及び共役ジオレフィンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの混合物を、高トランス含量を有するゴム状ポリマーへと重合させるのに特に有用である触媒系であって、
    (a)有機リチウム化合物;(b)(i)環状アルコールのバリウム塩、及び(ii)バリウムチモールよりなる群から選択されるバリウム化合物;(c)有機アルミニウム化合物;ならびに(d)アルコール、チオール、ホスフェート、ホスファイト及び水よりなる群から選択される極性調節剤
    を含む触媒系。
  2. 請求項1に記載の触媒系の存在下にて1,3-ブタジエンモノマーを重合させることを含み、重合温度が20℃〜120℃の範囲内である、トランス-1,4-ポリブタジエンの合成法。
  3. 前記触媒系が環状アルコールのリチウム塩をさらに含み、重合温度が40℃〜100℃の範囲内であり、有機アルミニウム化合物と有機リチウム化合物とのモル比が0.5:1〜5:1の範囲内であり、バリウム化合物と有機リチウム化合物とのモル比が0.15:1〜1.2:1の範囲内であり、そして環状アルコールのリチウム塩と有機リチウム化合物とのモル比が0.25:1〜2.5:1の範囲内である、請求項2に記載の合成法。
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