JP2006183192A - 印刷用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 白色顔料として酸化チタン及び/又は炭酸カルシウムを含む、木材パルプを主成分とし、塗工層を設けない印刷用紙であって、JIS P−8148に準拠した測光器の光路に420nmカットオフフィルタを設けて測定した白色度が90%以上であり、JIS P−8251に準拠して測定した灰分が6〜30質量%であり、かつ、前記印刷用紙を、固形分濃度が1.5質量%となるようにJIS−P8220に準拠して離解した離解物を、目開き100μm〜150μmのフィルタを使用してろ過して得られたろ液のカチオン要求量が−0.1〜0.1meq/Lの印刷用紙とした。
【選択図】 なし
Description
この画像部と非画像部との色のコントラストは、非画像部を高白色にすると明確になるため、これらの分野に使用する印刷用紙としては、高白色であることが望まれている。
このため、印刷用紙においては、例えば特許文献1などに開示されるように、一般的に蛍光増白剤を用いて、白色性を向上させている。
このため、パルプスラリーに白色顔料を添加して、定着させることにより、不透明性を向上させることが通常行われている。また、上記白色顔料は、白色性を向上させる手段として一般的に使用することが知られている。
ところが、塗工法を採用した場合には、不透明性を向上させるために添加した白色顔料が、無機的な冷たさを奏するため風合いを阻害する。
このため、風合いを追求する場合には、非塗工や微塗工を採用している。なお、上述の白色顔料を添加しても、紙質を柔らかくして風合いを出すことができる。
この風合いとは、紙本来の繊維を感じるといった手触り感のほかに、紙の腰といった紙全体の紙質の柔らかさも含むものである。
特に蛍光増白剤は、400nm以下の紫外領域において紫外線を吸収し、これより長波長の青色領域で反射する性質があることから、増白効果が非常に高いが、反面、紫外線量により蛍光放射が異なり、見た目の白さが異なるため、白さの評価方法として、紫外線量を規定したJIS P−8148におけるISO白色度が採用されている。しかしながら、この測定方法は一定の光源における白さの評価方法としては有効であるが、日常の光源としては、青、緑、赤の三波長蛍光灯に代表されるような、ISO白色度の測定に用いる光源よりも、紫外線量が十分ではない光源が用いられており、用紙のISO白色度が高くてもこのような光源においては、見た目に高白色と感じるとは限らないという問題がある。
また、カチオン性物質は、蛍光増白剤と併用すると、蛍光増白剤と凝集して増白効果が低減する。その上、多量に添加すると、蛍光増白剤を含まない場合においても黄変が見られるため、白色顔料を定着させるためのカチオン性物質の使用については制限がある。したがって、白色顔料の定着は、その制御が繁雑で白色性に影響を及ぼすものであり、日常の光源において、高白色に感じる印刷用紙を提供することは極めて困難であった。
更に、微塗工することにより印刷発色性が高められた印刷用紙を提供することができる。更にまた、蛍光増白剤との併用によって、紫外線量の多い光源下においては、非常に高白色な印刷用紙を提供することができる。従って、本発明における印刷用紙は、印刷物に高級という付加価値を与えることができ、美術的価値が極めて高い。更に、本発明における印刷用紙は、高白色で不透明性に優れるため、塗工原紙として汎用的に使用でき、工業的価値が極めて高い。
本発明の印刷用紙に使用する木材パルプとして、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ、溶解パルプ等の針葉樹及び広葉樹の化学パルプの中から少なくとも1種類以上のものを用いることができる。好ましくは、上記パルプの中から充分に漂白の進んでいるパルプ、すなわちアルカリ処理、塩素漂白、次亜塩素酸漂白、二酸化塩素漂白、過酸化水素漂白、酸素漂白、オゾン漂白や、二酸化チオ尿素漂白等の単独若しくは併用による漂白過程が多段階のものを選定する。さらに好ましくは、JIS P−8148又はJIS−8212に規定される測光器を用いて、420nmカットオフフィルタを光路に置き、紫外線をカットして測定した白色度(以下、「パルプUV−CUT白色度」と称する。)が90%以上であるものを用いる。これにより、得られた印刷用紙の白色度を一層向上させることができる。
さらには、コットン、リンター、竹、バンブー、ケナフ、楮、三椏、雁皮、麻灯の非木材パルプや、SWP、レーヨン、ポリエステル等の合成繊維や、セミケミカルパルプ、ケミメカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ、古紙等を適宜併用することができるが、化学パルプと混合し、これらパルプを複合したUV−CUT白色度が充分高い必要がある。
炭酸カルシウムについても、同様に種類を限定せずに用いることができ、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸を使用することができる。
なお、カチオン性物質には、例えばカチオン性及び/又は両性ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、カチオン澱粉、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられるが、UV−CUT白色度を低下させやすいため90%以上となるように使用量等に留意する必要がある。特に、ポリエチレンイミンは、黄色に着色し易いために内添薬品として使用することは好ましくない。
なお、印刷用紙に塗工した場合の上述の灰分は、6.1〜35質量%になるように抄紙原料の白色顔料及び塗工原料を調整する。6.1質量%より低い場合には、不透明性や風合いのある印刷用紙を得られず、35質量%を超える場合には、風合いのある印刷用紙であっても、印刷時における断裁紙粉、ブランケットの汚染、紙剥け等のトラブルが発生し易いためである。
また、この蛍光増白剤の使用方法としては、パルプスラリーに添加する方法、塗工液に添加して塗工する方法、あるいはこれらを併用する方法等の公知の方法を使用することができるが、いずれの方法であっても用紙表面に蛍光増白剤を存在させることが蛍光増白効果を高める。
灰分は、灰化温度を525℃としてJIS P−8251に準拠して測定した。
カチオン要求量は、抄造後の印刷用紙を、標準パルプ離解機(熊谷理機工業(株)製)により、固形分濃度が1.5質量%となるようにJIS P−8220に準拠して離解し、目開き125μmのフィルタによりろ過して得られたろ液について、PCD−03型((株)ミューテック製)を使用して測定した。
風合い(腰)は、得られた印刷用紙を210mm×210mmの大きさに切り取り、印刷用紙の流れ(MD)方向及び幅(CD)方向の2方向から素手で直接印刷用紙を触り、紙全体の紙質の柔らかさを、(5;優)、(4;良)、(3;可)、(2;不可)、(1;不可)の5段階で評価し、3以上を本発明の印刷用紙とした。
さらに、風合い(手触り)は、得られた印刷用紙を210mm×210mmの大きさに切り取り、印刷用紙のMD(流れ)方向、CD(幅)方向の2方向から、素手で直接印刷用紙を触り、その触感を(5;優)、(4;良)、(3;可)、(2;不可)、(1;不可)の5段階で評価し、3以上を本発明の印刷用紙とした。
表面強度は、タック値20の墨インク(東洋インキ製造(株)製)0.6gを、RIテスターによって紙に印刷した場合の紙剥けの程度を、視覚的に(5;優)、(4;良)、(3;可)、(2;不可)、(1;不可)の5段階で評価し、3以上を本発明の印刷用紙とした。
歩留まり(%)=印刷用紙灰分(%)/原料中の灰分(%)
パルプUV−CUT白色度91.5%の高漂白NBKP20質量%及び高漂白LBKP80質量%を、ダブルディスクリファイナーにて400mLcsfに叩解した。次いで、叩解後の紙料固形分に対し白色顔料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製 TP−121)20質量%及び酸化チタン(堺化学工業(株)製 TITONE A―110)5質量%を添加した。さらに、カチオン化澱粉(敷島スターチ(株)製 マーメイドC−50H)1.0質量%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株)製 サイズパインK−931)0.2質量%、ヘッドボックスにてカチオン性ポリアクリルアミド(三井化学(株)製 ホープロン650M)0.05質量%を添加して、紙料を調製した。
なお、高漂白NBKPは、塩素漂白、アルカリ処理、次亜塩素酸漂白、二酸化塩素漂白、アルカリ処理、次いで二酸化塩素漂白を順に行う6段階漂白により、漂白が充分に進んだパルプを選定した。また、高漂白LBKPは、二酸化塩素漂白、アルカリ処理、二酸化塩素漂白を2段、アルカリ処理、次いで二酸化塩素漂白を順に行う6段階漂白により、漂白が充分に進んだパルプを選定した。
白色顔料として、炭酸カルシウムの添加量を26質量%とし、酸化チタンの添加量を6.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用紙を得た。
[比較例1]
パルプUV−CUT白色度86.8%のNBKP20質量%及びLBKP80質量%を用いた以外は、実施例1と同様にして、印刷用紙を得た。
[比較例2]
炭酸カルシウムの添加量を26質量%とし、酸化チタンの添加量を6.5質量%とした以外は、比較例1と同様にして、印刷用紙を得た。
一方、比較例1は、UV−CUT白色度が88.3%と劣り、白色顔料が高配合である比較例2においてもUV−CUT白色度が88.5%と良好な結果が得られなかった。
白色顔料として、炭酸カルシウムの添加量を15質量%とし、酸化チタンの添加量を0質量%とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用紙を得た。
[実施例4]
白色顔料として、炭酸カルシウムの添加量を25質量%とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用紙を得た。
白色顔料として、炭酸カルシウムの添加量を8質量%とし、酸化チタンの添加量を0質量%とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用紙を得た。
[比較例4]
白色顔料として、炭酸カルシウムの添加量を70質量%とし、酸化チタンの添加量を17.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして、印刷用紙を得た。
一方、比較例3は、灰分が5.3及び風合いが2と低く、比較例4は、表面強度2と低い。このため、比較例3の印刷用紙は、不透明度及び風合いについて劣っており、比較例4の印刷用紙は、表面強度が弱く、印刷時に紙剥け等が発生した。
重質炭酸カルシウム((株)ファイマテック製 FMT−90)を50質量%、軽質炭酸カルシウム(白石工業(株)製 Brilliant−S15)を50質量%として混合し、顔料スラリーを得た。
この顔料スラリー100質量%に対して、リン酸エステル化澱粉(日本食品化工(株)製 MS−4600)を5質量%、スチレンーブタジエン共重合ラテックス(日本エイアンドエル(株)製 SN−307)を12質量%、ステアリン酸カルシウム((株)日新化学研究所製 DEF−922)を1質量%、炭酸ジルコニウムアンモニウム(サンノプコ(株)製 AZコート5800MT)を0.5質量%添加し、固形分濃度20質量%の塗料を得た。
実施例5の塗料を、固形分濃度42質量%に調整して、実施例1で得られた印刷用紙を原紙として、エアーナイフコーターにて片面当たり11.0g/m2(固形分質量)の塗工量で両面塗工し、印刷用紙を得た。
一方、比較例5は、UV−CUT白色度が89.8%と劣っており、また印刷発色性が5と良好であるが、風合い(触感)が1と低い。よって、比較例5の印刷用紙は、白色性に劣り、塗工量が多いため繊維を被覆し、印刷発色性が優れているが、その反面、触感に劣るものであった。
2.5質量%濃度のノニオン系ポリビニルアルコール及び2.5質量%濃度の酸化デンプン(日本食品化工(株)製 MS−3800)のサイズプレス液を用いた以外は、実施例1と同様にして、印刷用紙を得た。
[実施例7]
5質量%濃度の酸化澱粉であるサイズプレス液を用いた以外は、実施例3と同様にして、印刷用紙を得た。
[実施例8]
実施例1により得られた印刷用紙を損紙として30質量%、高漂白NBKPを14質量%、及び、高漂白LBKPを56質量%用意して、ダブルディスクリファイナーにて400mLcsfに叩解した。これにより得られた紙料の固形分に対し、炭酸カルシウムを18質量%、酸化チタンを4.5質量%添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用紙を得た。
[実施例9]
実施例5により得られた印刷用紙を損紙として5質量%、高漂白NBKPを19質量%、及び、高漂白LBKPを76質量%用意して、ダブルディスクリファイナーにて400mLcsfに叩解して、紙料を得た。この紙料を、実施例1と同様にして抄紙し(歩留まり68.8%)、得られた印刷用紙を原紙として、実施例5と同様にして両面塗工した印刷用紙を得た。
[実施例10]
実施例6により得られた印刷用紙を損紙として30質量%、高漂白NBKPを14質量%、及び、高漂白LBKPを56質量%用意して、ダブルディスクリファイナーにて400mLcsfに叩解した。これにより得られた紙料の固形分に対し、炭酸カルシウムを18質量%、酸化チタンを4.5質量%添加した以外は、実施例6と同様にして印刷用紙を得た。
3質量%濃度のアニオン性ポリアクリルアミド(ハリマ化成(株)製 ハーマイドC−10)のサイズプレス液を用いた以外は、実施例4と同様にしてカチオン要求量0.395meq/Lの印刷用紙を得た。この印刷用紙を損紙として30質量%、高漂白NBKPを14質量%及び高漂白LBKPを56質量%用意して、ダブルディスクリファイナーにて400mLcsfに叩解し、紙料とした以外は、実施例4と同様にして印刷用紙を得た。
[比較例7]
3.5質量%濃度のアニオン系ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製 ゴーセナールT−330)のサイズプレス液を用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン要求量0.358meq/Lの印刷用紙を得た。この印刷用紙を損紙として30質量%、高漂白NBKPを14質量%及び高漂白のパルプ原料を56質量%用意して、ダブルディスクリファイナーにて400mLcsfに叩解し、紙料とした以外は、実施例4と同様にして印刷用紙を得た。
[比較例8]
損紙使用後の白色顔料の添加前に、紙料固形分に対しp−DADMAC系低分子カチオン性物質(ハイモ(株)製 SC−100)を、0.05質量%添加した以外は、比較例6と同様にして印刷用紙を得た。
[比較例9]
長網抄紙機のヘッドボックスにて、紙料固形分に対し、ポリエチレンイミド(バーディシェ・アニリン・ウント・ソーダ・ファブリク社(BASF社)製 ポリミンSN)を0.1質量%添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用紙を得た。
なお、UV−CUT白色度(%)、灰分(%)、カチオン要求量(meq/L)及び不透明度は、上述と同様の方法にて測定した。
一方、比較例6〜8は、カチオン要求量が規定外であり、イオン性に偏りがあり、歩留まりが非常に悪いものとなった。特に比較例8においては、低分子のカチオン性物質を多量に添加することによりカチオンリッチになり、歩留まりが悪化している。この歩留まりの悪化は、白色顔料を多量に使用しなければならないコストアップ、水質汚濁を悪化させる損紙の使用制限、製造上のバラツキが大きくなるといった弊害があり、工業的には極めて問題が大きい。
比較例9においては、UV−CUT白色度が89.7%と劣っており、カチオン性物質によるUV−CUT白色度の低下が見られる。
紙料固形分に対し、蛍光増白剤(日本化薬(株)製 カヤホールS−L)を0.8質量%添加した以外は、実施例1と同様にして印刷用紙を得た。
[実施例12]
サイズプレス液として、2質量%濃度の蛍光増白剤(日本槽達(株)製 ケイコールSPL)及び3.5質量%濃度のノニオン系ポリビニルアルコールを添加した以外は、実施例11と同様にして、印刷用紙を得た。
充分なUV−CUT白色度、灰分及び極めて高いISO白色度が得られており、カチオン要求量も規定値の範囲内であった。このため、実施例11及び12の印刷用紙は、白色度、不透明度及び風合いともに良好であり、とりわけ紫外線量の多い光源においては極めて高白色なものとなった。
Claims (3)
- 白色顔料として酸化チタン及び/又は炭酸カルシウムを含む、木材パルプを主成分とし、塗工層を設けない印刷用紙であって、
JIS P−8148に準拠した測光器の光路に420nmカットオフフィルタを設けて測定した白色度が90%以上であり、
JIS P−8251に準拠して測定した灰分が6〜30質量%であり、かつ、
前記印刷用紙を、固形分濃度が1.5質量%となるようにJIS−P8220に準拠して離解した離解物を、目開き100μm〜150μmのフィルタを使用してろ過して得られたろ液のカチオン要求量が−0.1〜0.1meq/Lであることを特徴とする印刷用紙。 - 請求項1に記載の印刷用紙の少なくとも片面に、白色顔料及び接着剤を主成分とする塗料を固形分質量で1〜6g/m2塗工した印刷用紙であって、JIS P−8251に準拠して測定した灰分が6.1〜35質量%であることを特徴とする印刷用紙。
- 請求項1又は2に記載の印刷用紙に蛍光増白剤が含有されていることを特徴とする印刷用紙。
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