JP2006118099A - カラーライナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐光性に優れ、地合の良いカラーライナーを提供する。
【解決手段】2層以上の紙層からなるライナーにおいて、少なくとも一の表層が質量比2:8〜8:2の染料及び顔料を含有し、耐光性試験(波長340nmのキセノン光を照射強度0.4W/m2で4時間照射)においてフェードメーターにより測定した前記表層面のΔEが1.5以下であるカラーライナー。前記表層は、顔料100質量部に対して0.5〜30質量部の顔料定着剤、又はパルプ固形分100質量部に対して0.5〜4質量部の紙力剤を含有することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】2層以上の紙層からなるライナーにおいて、少なくとも一の表層が質量比2:8〜8:2の染料及び顔料を含有し、耐光性試験(波長340nmのキセノン光を照射強度0.4W/m2で4時間照射)においてフェードメーターにより測定した前記表層面のΔEが1.5以下であるカラーライナー。前記表層は、顔料100質量部に対して0.5〜30質量部の顔料定着剤、又はパルプ固形分100質量部に対して0.5〜4質量部の紙力剤を含有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐光性に優れ、地合の良いカラーライナー及びその製造方法に関する。
ライナーは、段ボールシートの表裏に使用される板紙である。段ボールシートは、例えば段ボールケースとして包装箱等に古くから用いられている。ライナーは、通常2層以上の紙層から成り、中層には脱墨していない古紙パルプが用いられる。表層には印刷時の発色性、映えをよくするため、バージンパルプ又は上白古紙又は脱墨された古紙パルプ等が用いられ、通常は染料により着色されている。
ライナーに耐光性が要求される場合には染料に代えて顔料が使用される。表層の着色に顔料を用いる場合には、顔料がパルプに自己定着しないため、通常は硫酸バンド、澱粉等を使用することにより顔料を繊維に定着させている。しかしながら、顔料を繊維に定着させるに十分な硫酸バンド等を添加するとパルプが凝集してフロック(塊)になりやすく、抄紙して得られる紙の地合が悪くなる。
なお、本発明に関連する技術としては、染料や顔料で着色したフィブリル化セルロースを紙料に添加して抄紙することにより染色紙を製造する方法がある(特許文献1参照)。
特開平7−324300号公報(請求項1)
本発明の目的は、着色剤として顔料と染料とを使用することにより耐光性に優れ、しかも地合の良いカラーライナーを提供することにある。
本発明者等は鋭意研究の結果、ライナーの少なくとも一の表層に所定の割合で染料と顔料とを配合することにより、後述する耐光性試験において測定したΔEが一定値以下となり、着色剤として顔料を使用した場合であっても地合の良好なカラーライナーが得られることを見出し本発明を完成するに到った。
上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 2層以上の紙層からなるライナーにおいて、少なくとも一の表層が質量比2:8〜8:2の染料及び顔料を含有し、耐光性試験(波長340nmのキセノン光を照射強度0.4W/m2で4時間照射)においてフェードメーターにより測定した前記表層面のΔEが1.5以下であることを特徴とするカラーライナー。
〔2〕 前記表層が、顔料100質量部に対して0.5〜30質量部の顔料定着剤を含有する〔1〕に記載のカラーライナー。
〔3〕 前記表層が、パルプ固形分100質量部に対して0.5〜4質量部の紙力剤を含有する〔1〕又は〔2〕に記載のカラーライナー。
〔4〕 少なくとも一の表層用紙料に染料及び顔料を添加して抄紙することを特徴とする〔1〕に記載のカラーライナーの製造方法。
本発明のカラーライナーは表層に着色剤として染料と顔料とを所定の割合で含有するので、耐光性に優れ、地合が良好である。本発明のカラーライナーは、段ボール家具、文具等に有用である。
本発明のカラーライナーは、少なくとも2層からなり、第1の表層(以下、単に「表層」ということがある)と第2の表層(以下、単に「裏層」ということがある)の間に必要により中層を設ける。カラーライナーを構成する層は、表層と裏層の間に1の中層を有する3層であってもよいが、強度や厚さが要請される用途には中層を2〜7層設けた合計で4〜9層であることが好ましい。
本発明のカラーライナーは、表層と裏層の少なくともいずれか1の層に染料及び顔料を所定の割合で内添したものである。
本発明において、染料とは、紙料に添加した際に水に溶解し、パルプ繊維を染色することにより紙材を着色する物質をいう。顔料とは、紙料に添加した際に溶解することなく固体粒子が水中に分散し、粒子がパルプ繊維に付着することにより紙材を着色する物質をいう。
本発明において用いることができる染料としては、特に制限はなく、塩基性染料、酸性染料、アニオン系直接染料、カチオン性直接染料等の公知の染料が使用できる。
本発明においては、顔料として無機顔料、有機顔料のいずれも使用することができる。例えば、赤色系顔料としては、ベンガラ(Fe2O3)、モリブデートオレンジ(PbCrO4・nPbMoO4・mPbSO4)、パーマネントレッド(不溶性アゾ系)、カーミンFB(不溶性アゾ系)、ウォッチングレッド(アゾキレート系)、ボンマルーンライト(アゾレーキ系)、ピグメントバイオレッド19(キナクリドン系)、ピグメントレッド112(キナクリドン系)等;黄色系顔料としては、黄鉛(PbCrO4・nPbSO4)、オキサイドイエロー(FeO(OH)・nH2O)、チタンイエロー(TiO2・NiO2・Sb2O3)、ハンザイエロー(アゾ系)、ベンジジンイエロー(ジスアゾ系)、グリーンゴールド(金属錯体系)、ピグメント・イエロー95(縮合アゾ系)、フラバンスロンイエロー(スレン系)、アンスラピリミジンイエロー(スレン系)、ピグメント・イエロー109・110(イゾインドリノン系)等;緑色系顔料としては、酸化クロム(Cr2O3)、フタロシアニングリーン(フタロシアニン系)等;青色系顔料としては、紺青(Fe4[Fe(CN)6]・nH2O)、群青(2(Na2O・Al2O3・2SiO2)Na2S3)、フタロシアニンブルー(フタロシアニン系)、インダンスレンブルー(スレン系)等;紫色系顔料としては、ジオキサジバイオレット(ジオキサジン系)等;白色顔料としては、酸化チタン(TiO2)、亜鉛華(ZnO)、リトポン(ZnO+BaSO4)、鉛白(2PbCO3・Pb(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、クレー(Al2O3・2SiO2・H2O)、シリカ(SiO2またはSiO2・nH2O)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等を挙げることができる。
上記の染料及び顔料は、それぞれ単独で使用しても良いし、2種以上の染料又は顔料を混合して使用しても良い。
染料と顔料の配合割合としては、質量比で2:8〜8:2とするが、3:7〜7:3とすることがより好ましい。染料に対する顔料の割合が前記範囲より少なくなるとライナーの耐光性が不十分となる傾向があり、多くなるとライナーの地合が悪くなる。
染料の含有量としては、表層のパルプ固形分100質量部に対して0.5〜30質量部とすることが好ましく、2〜15質量部とすることがより好ましい。顔料の含有量としては、表層のパルプ固形分100質量部に対して0.5〜30質量部とすることが好ましく、2〜15質量部とすることがより好ましい。
本発明のカラーライナーは、染料及び顔料を所定の割合で含有する表層の耐光性試験(波長340nmのキセノン光を照射強度0.4W/m2で4時間照射)においてフェードメーターにより測定したΔEを1.5以下とする。ΔEの値は低いほど好ましいが、通常の条件で地合を良好に保ちながら製造できるカラーライナーのΔEは1.5より高い値となる。地合が良く、かつΔEが1.5以下のカラーライナーは染料及び顔料の含有量を上記範囲内で調整することにより得ることができる。
染料及び顔料を所定の割合で含有する表層は、顔料定着剤と紙力剤のいずれか一方又は両方を含有することが好ましい。
顔料定着剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジウム塩、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアミドアミン系化合物(ポリアクリルアミドを除く)等を挙げることができる。
前記表層における顔料定着剤の含有量は、顔料100質量部に対して0.5〜30質量部とすることが好ましく、2〜15質量部とすることがより好ましい。顔料定着剤の含有量が0.5質量部未満であると、顔料が繊維に十分定着しにくく、30質量部を超えると、顔料定着剤を紙料に添加した際にフロックが生じて得られるライナーの地合が悪いものとなりやすい。
紙力剤としては、植物性ガム、セルロース誘導体、澱粉(リン酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉等の各種変性澱粉を含む)、ポリアクリルアミド等を挙げることができる。
前記表層における紙力剤の含有量は、パルプ固形分100質量部に対して0.5〜4質量部とすることが好ましく、0.5〜3質量部とすることがより好ましい。紙力剤を配合することにより、抄紙機のワイヤー上でのパルプ歩留まりが向上し、その結果、染料と顔料の歩留まりが向上する。紙力剤の含有量が0.5質量部未満ではその効果が十分でなく、4質量部を超えると紙料に添加した際にフロックが生じて得られるライナーの地合が悪いものとなりやすい。
染料及び顔料を所定の割合で含有する表層には、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、機械パルプ、古紙パルプ等を要求される強度や見栄え等に応じて用いることができる。更に、他の薬剤も本発明の効果を損なわない範囲内で必要に応じて種々のものが使用できる。他の薬剤としては、例えば、ロジン等のサイズ剤;ポリアミドアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤;消泡剤等を挙げることができる。
本発明のライナーを構成する上記表層以外の層については、公知のパルプ、添加剤等を制限することなく使用することができる。
本発明のカラーライナーのJISP−8124に基づく坪量としては、70〜300g/m2とすることが好ましく、150〜250g/m2とすることがより好ましい。カラーライナーの厚さとしては特に制限はないが、100〜300μmとすることが好ましく、150〜250μmとすることがより好ましい。
本発明のカラーライナーは、以下の工程により、公知の多層抄き抄紙機を用いて製造できる。
(1) パルプを水に分散させて得た紙料に、染料及び顔料と、顔料定着剤、紙力剤等の薬剤を必要に応じて添加して混合することにより表層、中層、裏層用の紙料を製造する。
(2) それぞれの紙料をワイヤー上で抄紙し、抄き合わせる。
(3) 加圧ロールによりプレスし、水分を除去する。
(4) ドライヤーシリンダーにて乾燥し、必要によりカレンダーにより撥水剤を塗工する。
(5) リールに巻き取り、カラーライナーを得る。
(1) パルプを水に分散させて得た紙料に、染料及び顔料と、顔料定着剤、紙力剤等の薬剤を必要に応じて添加して混合することにより表層、中層、裏層用の紙料を製造する。
(2) それぞれの紙料をワイヤー上で抄紙し、抄き合わせる。
(3) 加圧ロールによりプレスし、水分を除去する。
(4) ドライヤーシリンダーにて乾燥し、必要によりカレンダーにより撥水剤を塗工する。
(5) リールに巻き取り、カラーライナーを得る。
実施例1〜12、比較例1〜4
叩解したパルプ(広葉樹晒クラフトパルプ100質量%、フリーネス300mlCSF)を水中に分散させ、染料(クラリアント社製、デルマカーボンBFN)、顔料(三国色素社製、グランドブラックYT−100)、顔料定着剤(クラリアント社製、カルタレチンFリキッド)、紙力剤(ハリマ化成社製、ハーマイドRB32)、硫酸バンド、サイズ剤(ハリマ化成社製、ハーサイズNES780−H:添加量10kg/t)を添加して第1層用紙料とした。
叩解したパルプ(広葉樹晒クラフトパルプ100質量%、フリーネス300mlCSF)を水中に分散させ、染料(クラリアント社製、デルマカーボンBFN)、顔料(三国色素社製、グランドブラックYT−100)、顔料定着剤(クラリアント社製、カルタレチンFリキッド)、紙力剤(ハリマ化成社製、ハーマイドRB32)、硫酸バンド、サイズ剤(ハリマ化成社製、ハーサイズNES780−H:添加量10kg/t)を添加して第1層用紙料とした。
段ボール古紙パルプ(フリーネス380mlCSF)を水中に分散させ、添加剤として硫酸バンド(添加量30kg/t)、サイズ剤(ハリマ化成社製、ハーサイズNES780−H:添加量8kg/t)を添加して第2〜第5層用の紙料を調製した。なお、添加量の単位である「kg/t」は、絶乾パルプトンあたりの有姿での薬品添加量を表す。
これらの紙料を円網多層抄き方式の抄紙機に供給し、抄紙速度を450m/分として5層抄きライナーを抄紙した。
抄紙したライナーをプレス、乾燥した後、リールに巻き取った。得られたライナーの第1層における染料、顔料、顔料定着剤、紙力剤の含有量と、染料及び顔料の合計の質量に対する顔料の比率を表1〜3に示す。ライナーはいずれも坪量220g/m2(各層の坪量44g/m2)、厚さ256μmであった。
ライナーの耐光性、地合を下記の方法により評価した。結果を併せて表1〜3に示す。
〈耐光性〉
得られたライナーの第1層表面に、照射強度0.4W/m2、ブラックパネル温度63℃、照射時間4時間の条件で、波長340nmのキセノン光を照射した。JIS−Z8722に基づく明度L、a値、b値より照射前後の色相をフェードメーター(スガ試験機社製、FAL−3)を用いて測定し、下記式から色差ΔEを算出した。耐光性の評価は、下記の評価基準で行った。
ΔE=[(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2]1/2
ここに、L0、a0及びb0はキセノン光照射前の色相、L1、a1及びb1はキセノン光照射後の色相である。
評価基準
◎:ΔEが1.0以下である。
○:ΔEが1.0より大きく1.5以下である。
×:ΔEが1.5より大きい。
得られたライナーの第1層表面に、照射強度0.4W/m2、ブラックパネル温度63℃、照射時間4時間の条件で、波長340nmのキセノン光を照射した。JIS−Z8722に基づく明度L、a値、b値より照射前後の色相をフェードメーター(スガ試験機社製、FAL−3)を用いて測定し、下記式から色差ΔEを算出した。耐光性の評価は、下記の評価基準で行った。
ΔE=[(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2]1/2
ここに、L0、a0及びb0はキセノン光照射前の色相、L1、a1及びb1はキセノン光照射後の色相である。
評価基準
◎:ΔEが1.0以下である。
○:ΔEが1.0より大きく1.5以下である。
×:ΔEが1.5より大きい。
〈地合〉
ライナーの第1層側表面の地合を目視により判定し、下記の基準で評価した。
判定基準
◎:地合むらがない。
○:地合むらがあるが、問題のない程度である。
×:地合むらが目立つ。
ライナーの第1層側表面の地合を目視により判定し、下記の基準で評価した。
判定基準
◎:地合むらがない。
○:地合むらがあるが、問題のない程度である。
×:地合むらが目立つ。
Claims (4)
- 2層以上の紙層からなるライナーにおいて、少なくとも一の表層が質量比2:8〜8:2の染料及び顔料を含有し、耐光性試験(波長340nmのキセノン光を照射強度0.4W/m2で4時間照射)においてフェードメーターにより測定した前記表層面のΔEが1.5以下であることを特徴とするカラーライナー。
- 前記表層が、顔料100質量部に対して0.5〜30質量部の顔料定着剤を含有する請求項1に記載のカラーライナー。
- 前記表層が、パルプ固形分100質量部に対して0.5〜4質量部の紙力剤を含有する請求項1又は2に記載のカラーライナー。
- 少なくとも一の表層用紙料に染料及び顔料を添加して抄紙することを特徴とする請求項1に記載のカラーライナーの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004308284A JP2006118099A (ja) | 2004-10-22 | 2004-10-22 | カラーライナー及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2006118099A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010229575A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | Daio Paper Corp | 色落ちの少ない着色層を有する多層抄き紙 |
JP2014043653A (ja) * | 2012-08-24 | 2014-03-13 | Daio Paper Corp | 着色板紙 |
JP2015137433A (ja) * | 2014-01-21 | 2015-07-30 | 日本製紙クレシア株式会社 | 衛生薄葉紙 |
JP2015148025A (ja) * | 2014-02-06 | 2015-08-20 | 北越紀州製紙株式会社 | 黒色板紙 |
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2004
- 2004-10-22 JP JP2004308284A patent/JP2006118099A/ja active Pending
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