JP2006183066A - ニッケル粉分散有機スラリー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 積層セラミックコンデンサーの内部電極用ペーストの作製に好適であり、有機溶媒として一般的に広く使用される脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素を用いても、ビヒクルと混練したとき粘度変化の少ないニッケルペーストを得ることができる、ニッケル分散有機スラリーを提供する。
【解決手段】 ニッケル粉に水を加えて高圧磨砕し、大部分の水を分離した後、残ったニッケル粉分散水スラリーに有機溶剤とCH−(CH)−COOHで表される炭素数6〜16の飽和脂肪酸を加えて撹拌し、更に遊離した水を分離してニッケル粉分散有機スラリーを得る。このニッケル粉分散有機スラリー中の残存水分量が0.5重量%以下となり、ニッケルペーストの粘度が安定する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電膜形成用のニッケルペースト材料として好適なニッケル粉分散有機スラリー、及びその製造方法に関する。
一般に、導電膜形成用のニッケルペーストは、ビヒクル中にニッケル粉を混練して製造され、多くのニッケル粉の凝集体を含んでいる。即ち、ニッケル粉の製造過程の最終段階には乾燥工程を有するのが通常であり、この乾燥工程がニッケル粒子の凝集を促すため、ニッケル粉は乾燥時に生じた凝集体を含んでいるのが一般的である。
特に、積層セラミックコンデンサー(以下、MLCCと略記する)の内部電極用ペーストには、サブミクロンのニッケル微粒子が用いられる。このような微粒子は比表面積が大きく、従って表面エネルギーが大きいために、ニッケル粉製造過程の篩分け工程、混合工程、梱包工程、輸送工程等において、数十μmの二次粒子の凝集体を形成してしまう。
このように凝集体を多く含むニッケル粉末を用いてペーストを製造する場合、ビヒクルとの混練方法を工夫することにより凝集体をなくすか又は少なくして、ニッケル粉を完全に元のサブミクロンの一次粒子のみ状態で分散させることが、ペースト作製技術の重要な課題となっている。
特にMLCCの内部電極用ペーストにおいては、近年の電子機器の小型化に伴い、一層あたりの電極厚みは1μm又はそれ以下が必要となってきている。このような高積層領域においては、粒径1μmの微粒子ですら、その存在が問題となる。ところが、ビヒクルとの単なる混練方法の工夫だけで、1μm以上の凝集体を全く含まないペーストを作製することは非常に困難であった。
そこで、ニッケルペースト作製の際に、混練力を強化し、孔径の小さなフィルターを通過させる方法が一般的に用いられている。しかしながら、フィルター処理工数の増加や、フィルター濾過による歩留まりの低下によるコストアップなど新たな問題が発生するうえ、凝集体を溶剤中で強制的に粉砕することによって破断面が新たに発生し、フィルター濾過しても濾過後のペースト中で再凝集してしまうため、印刷面上に凝集粒子が全く無い状態を実現することは極めて難しかった。
本発明者等は、このような問題を解決するために、ニッケル粉を凝集体のない状態で有機溶剤中に分散させたニッケル粉分散有機スラリーを生産性よく製造する方法を提案した(特開2003−201505号公報、特開2003−147414号公報)。その好ましい方法の一つは、ニッケル粉に水を加えて高圧磨砕し、大部分の水を分離した後、残ったニッケル粉分散水スラリーに有機溶剤を加えて撹拌し、更に遊離した水を分離することによって、ニッケル粉分散有機スラリーを得るものである。
特開2003−201505号公報 特開2003−147414号公報
前記した方法によれば、高圧磨砕したニッケル粉の水スラリーから、各種の有機溶剤を用いて水を置換し、ニッケル粉分散有機スラリーを得ることができる。しかしながら、有機溶剤として一般的に広く使用されている脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素を使用した場合には、得られたニッケル粉分散有機スラリーをビヒクルと混練してニッケルペーストを作製すると、得られるニッケルペーストの粘度が経時的に変化しやすく、品質が安定しないという問題があった。
例えば、有機溶剤として脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用し、水相から有機相への分離移行を促進するために不飽和脂肪酸を添加してニッケル粉分散有機スラリーを製造し、これを更にビヒクルと混練してニッケルペーストを製造する。このようにして得られたニッケルペーストは、密度が高く且つ表面粗さも小さく、高積層に適した導電膜の形成に有効であるが、時間の経過と共に粘度が十数%程度変化するという問題があった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、有機溶剤として一般的に広く使用されている脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を用いたニッケル粉分散有機スラリーであっても、ビヒクルと混練してニッケルペーストとしたとき、粘度の安定した高品質のニッケルペーストを得ることができるニッケル粉分散有機スラリーを提供することを目的とする。
発明者等は、上記目的を達成するため、ニッケル粉分散有機スラリーをビヒクルと混練して得たニッケルペーストの粘度が安定しない原因について鋭意研究を重ねた結果、ニッケルペースト中に残存する微量の水分が、粘度の経時変化に影響することを見出した。また、この知見に基づき、ニッケルペーストの原料となるニッケル粉分散有機スラリーについて、残存する水分を簡単に低減する方法を見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明が提供するニッケル粉分散有機スラリーは、少なくとも有機添加剤中にニッケル粉が分散したニッケル粉分散有機スラリーであって、その有機添加剤がCH−(CH)−COOHで表される炭素数6〜16の飽和脂肪酸であることを特徴とする。
また、上記本発明のニッケル粉分散有機スラリーは、前記有機添加剤と共に有機溶剤を含むことができ、その有機溶剤が脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
上記本発明によるニッケル粉分散有機スラリーにおいては、前記ニッケル粉分散有機スラリー中の残存水分量は0.5重量%以下であることが好ましい。また、前記飽和脂肪酸の量は、ニッケル粉に対して0.1〜5重量%の範囲であることが好ましい。
上記本発明によるニッケル粉分散有機スラリーにおいて、前記飽和脂肪酸は、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明は、ニッケル粉に水を加えて高圧磨砕し、大部分の水を分離した後、残ったニッケル粉分散水スラリーに少なくとも有機添加剤を加えて撹拌し、更に遊離した水を分離するニッケル粉分散有機スラリーの製造方法であって、その有機添加剤としてCH−(CH)−COOHで表される炭素数6〜16の飽和脂肪酸を用いることを特徴とするニッケル粉分散有機スラリーの製造方法を提供する。
上記本発明のニッケル粉分散有機スラリーの製造方法においては、前記有機添加剤と共に有機溶剤を添加することができ、その有機溶剤が脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
また、上記本発明のニッケル粉分散有機スラリーの製造方法においては、前記飽和脂肪酸をニッケル粉に対して0.1〜5重量%の割合で添加することが好ましい。更にまた、前記ニッケル粉分散有機スラリー中の残存水分量を0.5重量%以下とすることが好ましい。
本発明によれば、有機溶剤として一般的に広く使用されている脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素を用いたニッケル粉分散有機スラリーであっても、ビヒクルと混練してニッケルペーストとしたとき、経時的な粘度変化が少なく、安定した高品質のニッケルペーストを得ることができる。
特に、高圧磨砕したニッケル粉分散水スラリーから、有機溶剤で水を置換してニッケル粉分散有機スラリーとする際に、有機溶媒として脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を用いた場合でも、水分を極めて少ない残存率まで確実に分離することができ、従ってビヒクルと混練して得られるニッケルペーストの粘度を安定させることができる。
本発明のニッケル粉分散有機スラリーは、水にニッケル粉が分散したニッケル粉分散水スラリーから、その水を主に有機溶剤で置換して得られるものである。尚、最終的なペースト組成中において飽和脂肪酸が十分多く含まれる物質である場合には、有機溶剤を添加せずに、有機添加剤である飽和脂肪酸のみを添加して水の置換を行い、有機相が飽和脂肪酸のみからなるニッケル粉分散有機スラリーとすることが可能である。
原料となるニッケル粉分散水スラリーとしては、高圧磨砕したニッケル粉の水スラリーのほかにも、ニッケル塩を水溶液中においてヒドラジンなどの還元剤で還元して得られる水スラリー、これを液中不純物除去のため濾過、デカンテーションした後、乾燥することなく水に再分散して得られる水スラリー等を使用することができる。
上記したニッケル粉分散水スラリーの中でも、上述した特開2003−201505号公報記載の方法により得られた水スラリーが好ましい。即ち、乾燥したニッケル粉又は乾燥前のニッケル粉を出発物質とし、これに水を加えて高圧磨砕することにより、微細なニッケル粉が水に高分散したニッケル粉分散水スラリーが得られる。このニッケル粉分散水スラリーは、そのまま放置沈降しても固い凝集体を形成することがなく、撹拌すれば容易に再分散が可能である。
特に好ましい高圧磨砕によるニッケル粉分散水スラリーの作製方法としては、湿式カウンタージェットミル、又は、撹拌槽の内壁とほぼ同等な径の撹拌羽根が高速回転することによりスラリー中の粉体粒子表面を磨砕する湿式粉砕機、例えばアルティマイザー(スギノマシン株式会社製)やTKフィルミックス(特殊機化工業株式会社製)等がある。また、別の手段としては、ポンプにより加圧したスラリーを段階的に狭くした流路に通して加速し、ダイヤモンド等の固いプレートに衝突させて磨砕する装置、例えばマイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社製)やナノマイザー(吉田機械工業株式会社製)等を用いることができる。
次に、このようにして得られたニッケル粉分散水スラリー、即ち微細なニッケル粉が水に高分散したスラリーは、ニッケル粉の乾燥が起らないように、通常の濾過などの固液分離は避け、まず水の大部分を分離し、残った水中にニッケル粉がほぼ埋没した状態とする。尚、ニッケル粉分散水スラリーから大部分の水を分離する方法としては、デカンテーションが好ましいが、例えば、上方から水を吸引除去したり、加熱蒸発させたりすることもできる。
その後、大部分の水を分離して残ったニッケル粉分散水スラリーに、有機添加剤のみか又は有機溶剤と有機添加剤を加えて撹拌することにより、スラリー中の水を有機溶剤や有機添加剤で置換し、遊離した水を更にデカンテーションなどにより分離することで、ニッケル粉分散有機スラリーが得られる。
本発明における有機添加剤は、CH−(CH)−COOHで表される炭素数6〜16の飽和脂肪酸である。好ましい飽和脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸等があり、これらの少なくとも1種を使用することが好ましい。
飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸は親水基と疎水基を有し、ニッケル粉分散水スラリー中のニッケル粉を有機相に移行させる作用を果たす。即ち、飽和脂肪酸を単独で又は有機溶剤と共にニッケル粉分散水スラリーに加えると、初めは比重差により上層の有機相と下層の水スラリー相の2層に分離する。しかし、これを撹拌すると、飽和脂肪酸を含む有機相がニッケル粉の表面に接触し、ニッケル粉は有機溶剤に比較して親水的性質を有しているため、ニッケル粉表面には飽和脂肪酸の親水基が吸着され、飽和脂肪酸の疎水基がニッケル粉表面に現れる。その結果、ニッケル粉は親水性を失って有機相との親和性を増し、ニッケル粉が有機相に移行していくものと考えられる。
飽和脂肪酸の添加量は、ニッケル粉分散水スラリー中のニッケル粉の重量に対して0.1重量%以上が必要である。これより少ないと有機相へのニッケル粉の移行が不完全になり、水相に一部のニッケル粉が残留したり、有機相に一部の水分が残存したりして、歩留まりが低下する。また、ニッケル粉の有機相への移行に長時間を要することになり、効率が低下する。しかし、飽和脂肪酸の添加量が5重量%を超えても、その効果は頭打ちとなるうえ、コスト増の原因となるため好ましくない。
また、本発明において用いる有機溶剤は、一般的に広く使用されている脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1種である。尚、脂肪族炭化水素はC2n+2、C2n、C2n−2の構造式のいずれかで表されるもの、また芳香族炭化水素はC2n−6の構造式で表されるものであり、いずれも常温で液状であることが必要である。
上記脂肪族炭化水素としては、例えば、ノナン、ジメチルオクタン、エチルメチルシクロヘキサン、メチルプロピルシクロヘプタン、トリメチルヘキサン、ブチルシクロヘキサン、トリデカン、テトラデカン、メチルノナン、エチルメチルヘプタン、トリメチルデカン、ペンチルシクロヘキサン、デカン、ウンデカン、ドデカン等がある。また、上記芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、ナフタレン等を用いることができる。
一般的には、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の混合物、例えば、ミネラルスピリット、0号ソルベント、スーパーゾール、ドライソルベント、ソルベッソ、アイソパー等として市販されている有機溶剤を好適に使用できる。例えば、0号ソルベントは、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の混合物である。スーパーゾール1500は、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン等の混合物である。また、ミネラルスピリットは、ノナン、デカン、ウンデカン、ジメチルベンゼン、ジメチルオクタン等の混合物である。
有機添加剤と共に有機溶剤を用いる場合、ニッケル粉分散水スラリーに対する有機溶剤の重量比は特に規定されないが、有機溶剤の重量比が大き過ぎると、ニッケル粉を含まない有機相が最上層になり、中層が水相、下層がニッケル粒子を含む有機相という形の3層に分離するため、後の水の分離操作が煩雑になる。この観点から、置換作業に用いる有機溶剤の重量比は、ニッケル粉分散水スラリーに対して0.1〜50重量%の範囲が好ましい。
有機添加剤や有機溶剤による水の置換が終了すると、ニッケル粉を含む有機相は下部に沈降する一方、上部に水が遊離する。この水をデカンテーションなど通常の方法で分離することによって、ニッケル粉分散有機スラリーが得られる。このようにして得られる本発明のニッケル粉分散有機スラリーでは、その残留水分率を0.5重量%以下とすることができる。
その結果、このニッケル粉分散有機スラリーを用い、ビヒクルと混練して作製したニッケルペーストは、経時的な粘度変化が少なく、例えば1日放置後の粘度変化率が±15%以下、好ましくは±10%以下となり、極めて安定した性質を有している。また、このニッケル粉分散有機スラリーを用いたニッケルペーストは、通常の3本ロールミルよりも遥かに解砕効果が高い高圧磨砕により完全に解砕され且つその後乾燥されていないニッケル粉のみを含むため、凝集粒子が極めて少なく、平滑な導電膜を形成することができる。
具体的は、上記ニッケルペーストをスクリーン印刷して得た導電膜は、その乾燥膜密度が5.5g/cm以上であり、且つその表面粗さ(Ra)を0.10μmより小さくすることが可能である。このような導電膜は、MLCCの内部電極として、特に一層当たりの誘電体厚みが1μm又はそれ以下の小型高積層化されたMLCC用内部電極として好適である。
まず、ニッケル粉に水を加えて高圧磨砕することにより、微細なニッケル粉が水に高分散したニッケル粉分散水スラリーを得た。即ち、平均粒径0.4μmのニッケル粉(住友金属鉱山株式会社製、YH−641)4kgに水16kgを加え、羽根撹拌型の撹拌機で懸濁させた。次に、アルティマイザー(スギノマシン株式会社製)により、2000気圧で対向衝突させる処理を5回繰り返した。得られた水スラリーを静置し、上澄み液をデカンテーションにより除去して、ニッケル粉分散水スラリーとした。
このようにして得たニッケル粉分散水スラリーに、下記表1に示すように有機添加剤と有機溶剤を加え、撹拌して静置した。ニッケル粉が有機相に移行して下部に沈降した後、上部に遊離した水をデカンテーションにより除去して、試料1〜16のニッケル粉分散有機スラリーを得た。尚、試料1〜11は本発明の実施例であり、そのうちの試料11はニッケル粉分散水スラリーに飽和脂肪酸のみを添加して(有機溶剤を添加せず)製造した例である。また、試料12〜16は比較例であり、そのうちの試料15〜16は有機添加剤として従来と同様に不飽和脂肪酸を用いた例である。
Figure 2006183066
上記試料1〜16の各ニッケル粉分散有機スラリーの評価として、スラリーの残存水分量をカールフィッシャー法により測定して、その結果を下記表2に示した。
また、各ニッケル粉分散有機スラリーを96時間静置した後、上澄みを更に除去してニッケル濃度を90重量%以上まで高め、これに高濃度にエチルセルロースを溶解したターピネオールを加え、3本ロールミルで混練することにより、ニッケル55重量部、ターピネオール39重量部、エチルセルロース6重量部の組成を有するニッケルペーストをそれぞれ作製した。
得られた試料1〜16の各ニッケルペーストについて、ブルックフィールド社製回転粘度計により、回転数10rpmでの粘度を測定した。この粘度測定は、ペースト作製直後と、ペースト作製後1日経過後の2回測定し、下記計算式によりペーストの粘度変化率を求めた。得られた結果を下記表2に示した。
粘度変化率(%)=(作製直後の粘度−1日経過の粘度)/作製直後の粘度
次に、これらのニッケルペーストを、PETフィルム上にアプリケータを用いて100μmの厚さに塗布し、90℃で180分間乾燥し、得られた導電膜の乾燥膜密度を測定した。また、これらのニッケルペーストを、スクリーン印刷により5μmの厚みに印刷し、90℃で180分間乾燥し、得られた導電膜の表面粗さ(Ra)を測定した。これらの結果を下記表2にまとめて示した。
Figure 2006183066
上記の結果から分かるように、本発明の実施例である試料1〜11では、ニッケル粉分散有機スラリーの残存水分量が全て0.5重量%以下であり、ニッケルペーストの粘度変化率も±10%以下に抑えられている。また、ニッケルペーストを用いて作製した導電膜についても、乾燥膜密度及び表面粗さは良好であった。
一方、比較例である試料12は、有機添加剤として用いた飽和脂肪酸の炭素数が6より少なく、その効果が弱いため、また有機溶剤との相溶性が低いために、有機溶剤と混ざらず、水からの置換が行えなかった。また、試料13では、有機添加剤として用いた飽和脂肪酸の炭素数が16より多く、有機溶剤に溶解せず固体のまま存在し続けるため、その効果が発揮できず、水からの置換を行えなかった。そのため、試料12〜13については、ペーストの作製は行えなかった。また、試料14では、有機添加剤である飽和脂肪酸の添加量が少なすぎるため、水相に一部のニッケル粉が残存して濁りを伴い、得られたニッケル粉分散有機スラリーの残存水分量も0.5重量%を超え、従ってニッケルペーストの粘度変化率が大きくなった。
更に、比較例の試料15〜16は、特開2003−201505号公報に記載の方法に従って、有機添加剤として不飽和脂肪酸のデセン酸を用いた従来例である。その試料16は有機溶剤がアルコール系であるため良好な結果が得られたが、試料15は有機溶剤が脂肪族炭化水素系であるため、ニッケル粉分散有機スラリーの残存水分量が0.5重量%を超え、ニッケルペーストの粘度変化率も極めて大きくなった。


Claims (9)

  1. 少なくとも有機添加剤中にニッケル粉が分散したニッケル粉分散有機スラリーであって、その有機添加剤がCH−(CH)−COOHで表される炭素数6〜16の飽和脂肪酸であることを特徴とするニッケル粉分散有機スラリー。
  2. 前記有機添加剤と共に有機溶剤を含み、その有機溶剤が脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のニッケル粉分散有機スラリー。
  3. 前記ニッケル粉分散有機スラリー中の残存水分量が0.5重量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のニッケル粉分散有機スラリー。
  4. 前記飽和脂肪酸の量がニッケル粉に対して0.1〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のニッケル粉分散有機スラリー。
  5. 前記飽和脂肪酸が、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のニッケル粉分散有機スラリー。
  6. ニッケル粉に水を加えて高圧磨砕し、大部分の水を分離した後、残ったニッケル粉分散水スラリーに少なくとも有機添加剤を加えて撹拌し、更に遊離した水を分離するニッケル粉分散有機スラリーの製造方法であって、その有機添加剤としてCH−(CH)−COOHで表される炭素数6〜16の飽和脂肪酸を用いることを特徴とするニッケル粉分散有機スラリーの製造方法。
  7. 前記有機添加剤と共に有機溶剤を添加し、その有機溶剤が脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6に記載のニッケル粉分散有機スラリーの製造方法。
  8. 前記飽和脂肪酸をニッケル粉に対して0.1〜5重量%の割合で添加することを特徴とする、請求項6又は7に記載のニッケル粉分散有機スラリーの製造方法。
  9. 前記ニッケル粉分散有機スラリー中の残存水分量を0.5重量%以下とすることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載のニッケル粉分散有機スラリーの製造方法。


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