JP2006182815A - 塗布フィルム - Google Patents

塗布フィルム

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JP2006182815A JP2004375166A JP2004375166A JP2006182815A JP 2006182815 A JP2006182815 A JP 2006182815A JP 2004375166 A JP2004375166 A JP 2004375166A JP 2004375166 A JP2004375166 A JP 2004375166A JP 2006182815 A JP2006182815 A JP 2006182815A
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Abstract

【課題】 塗膜の透明性、光沢に優れ、強い接着性、耐固着性に優れ、かつ平面性などの二次加工性に優れたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムであって、当該塗布層の赤外分光法による2275cm−1でのピーク強度(I2275)と3350cm−1でのピーク強度(I3350)との比(I2275/I3350)が0.05〜1.0の範囲であることを特徴とするポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明性、光沢、耐固着性、接着性に優れた新規な塗布層を持つ、延伸ポリエステルフィルムに関する。
延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平面性、平滑性、耐熱性、耐薬品性、透明性等において優れた特性を示すことから、磁気記録媒体のベースフィルム、製版用フィルム、磁気カード、包装用フィルム、合成紙をはじめとして幅広い用途に使用されている。
ポリエステルフィルムは、このように優れた特性をもつ反面、プラスチックフィルム共通の問題として接着性に劣る。例えば、印刷インク(セロハン用印刷インク、塩素化PPインク、UV硬化インク、磁性インク等)、感熱転写インク、磁性塗料、接着剤(ラミネーション用接着剤、木材貼合用接着剤等)、上塗り剤(離型剤、インク受像層、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、蒸着された金属・無機物(アルミニウム、銀、金、ITO、酸化珪素、酸化アルミニウム等)に対する接着性が劣る。
上記のような問題点を解決する方法の一つに、ポリエステルフィルムの表面に塗布層を設けることが知られている。塗布層は塗布液をフィルムに塗布後、乾燥して形成されるが、塗布はポリエステルフィルムの製造後行ってもよいし、ポリエステルフィルム製造工程内で行ってもよい。後者の方法は、いわゆるインラインコーティングと呼ばれる方法である。典型的な例としては、縦延伸後横延伸前に塗布を行い、横延伸および熱固定する。但し、これらの塗布処理により、接着性が向上する反面、フィルム同士が貼り付く現象(いわゆるブロッキングまたは固着)という新たな問題が生じる。固着を抑止し、かつ接着性の向上のために、さらに架橋剤を添加する場合が多い。
一方、近年、環境負荷低減を目的として、水性塗料との接着性がポリエステルフィルムに求められるようになっており、水性塗料としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等が挙げられる。例えば、銀塩とゼラチンを利用する感光層を設ける場合、現像定着工程で多くの薬品にさらされ、長期保存等の耐久性も必要であり、ポリエステルフィルムとの強固な接着力が要求される。この用途には、従来、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、これらの共重合体が下引き層として使用されていた。また、さらに接着力を向上させる場合には、ゼラチンを含有する下引き層をこの上に設けている。しかし、塩素を含む塗布フィルムは、焼却時に有害なダイオキシン化合物が発生する懸念がある。また、銀塩塗布したフィルムは市中から回収され銀を回収再利用する場合がある。しかし、この場合でも、銀を回収した後に残るポリエステルフィルムには塩素系ポリマーが残留しており、焼却せずに回収再利用するとしても、加熱溶融時に塩化水素が発生する。そこで塩素を使用しない下引きポリエステルフィルムが求められている。
ところで、一般に、架橋剤を添加すると塗膜強度が上昇し耐久性が上昇する。しかし、架橋剤を加えた後、熱履歴を加えすぎると水性塗料に対する接着性の低下が問題となることが多い。
そこで、ポリエステルフィルムの塗布延伸用途には、特に上記のような、相反する要求を満足する架橋剤量あるいは接着性を低下させない熱条件を探し出すことが求められている。
特開2004−35761号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、塗膜の透明性、光沢に優れ、強い接着性、耐固着性に優れ、かつ平面性などの二次加工性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討した結果、特定の塗布層を採用すれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムであって、当該塗布層の赤外分光法による2275cm−1でのピーク強度(I2275)と3350cm−1でのピーク強度(I3350)との比(I2275/I3350)が0.05〜1.0の範囲であることを特徴とするポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返し構造単位の通常70%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位または1,4−シクロヘキサンテレフタレート単位またはエチレンイソフタレート単位またはトリメチレンテレフタレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であれば、他の成分を含有していてもよい。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等の一種または二種以上を用いることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチレングリコール等の一種または二種以上を用いることができる。
かかるポリエステルの極限粘度は、通常0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が0.45未満ではフィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりするという問題が生ずることがある。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、極限粘度は1.0を超えないことが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムに滑り性を与えて取扱い性を向上させる目的で、ポリエステルに粒子を含有させ、フィルム表面に適度な突起を形成させてもよい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることができる。
本発明において、フィルムに含有させる粒子の粒径と量は、その用途にもよるが、平均粒径は、好ましくは0.005〜5.0μm、さらに好ましくは0.01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えると、フィルム表面が粗面化しすぎる傾向がある。また、薄いフィルムでは絶縁性が低下したりすることがある。さらに粒子がフィルム表面から脱落しやすくなり、フィルム使用時の、いわゆる粉落ちの原因となる恐れがある。平均粒径が0.005μm未満では、この粒子による突起形成が不十分なため、滑り性改良効果が弱くなる傾向がある。すなわち、粒子を大量に添加しないと滑り性改良効果が現れなくなることがあり、粒子を大量に添加すると、逆にフィルムの機械的特性が損なわれることになる。
また、ポリエステル中の粒子含有量は、好ましくは0.0000〜30.0重量%であり、さらに好ましくは0.010〜20.0重量%である。粒子量が多くなるとフィルムの機械的特性が損なわれる傾向がある。粒子含有量はフィルムの使用用途により異なり、高透明フィルムでは少ないほど好ましく、適度な滑り性を与えるため含まれる粒子も少ないほど好ましい。磁気記録用途ではフィルムの滑り性が重要な特性であり、添加する粒子径にも依存するが、通常0.1重量%以上は必要である。また、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの白色顔料を添加して製造する白色フィルムでは、2重量%以上は必要である。ただし、これは遮光率の高いフィルムを製造する場合であり、半透明のフィルムではこの下限はより小さくてもよい。
フィルム中に、かかる粒子を2種類以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよい。いずれにしても、フィルムに含有する粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満足することが好ましい。
粒子を含むポリエステルの製造に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加してもポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させたスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとして、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよい。
粒子の含有量を調節する方法としては、上記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効である。
また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、例えば、着色フィルムであっても差し支えないし、多数の微小気泡を含有している発泡フィルムであっても構わない。
本発明のポリエステルフィルムは、最終的に得られる特性が本発明の要件を満足する限り、多層構造となっていても構わない。例えば、共押出し積層フィルムであってもよい。この場合、ベースフィルムに関する上記の記述は、最表面層のポリエステルに適用される。それ以外の内層のフィルムは、いかなるポリエステル、プラスチック、紙、布でも差し支えない。例えば、多数の微小気泡を含有している発泡フィルム等であってもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、延伸されたポリエステルフィルムであれば、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、いずれでも差し支えない。しかし、工業的には、二軸延伸フィルムの方が広く使用されている。
二軸延伸ポリエステルフィルムの製造は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれかで実施されるが、特に逐次二軸延伸が多く行われている。すなわち、溶融押し出ししたポリエステルを冷却ドラムの上で冷却して未延伸フィルムを作成し、これを周速差のある一群のロールで延伸(縦延伸)し、この後、フィルムの長手方向と垂直な方向にクリップで保持しつつ延伸(横延伸)する。この変形として、縦延伸、横延伸を何回かに分割して実施してもよい。また延伸工程を分割し、その一部ずつを交互に実施してもよい。例えば、高強度フィルムを再延伸法で製造する方法がこれに相当する。
次に、本発明において塗布剤として用いる、イソシアネートについて説明する。本発明において、イソシアネートは塗布フィルムとなった後も一部は未反応の状態で残存しているものであり、自己乳化型イソシアネートもしくはブロックイソシアネート化合物が挙げられる。例えば、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネートから形成される環状三量体骨格のイソシアヌレート構造を分子内に有するポリイソシアネートや、ビュレット構造、ウレタン構造等を分子内に有するポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとし、これに片末端エーテル化したポリエチレングリコール等をポリイソシアネート基の内一部のみに付加させて得られる自己乳化型ポリイソシアネート化合物が好ましい例として挙げられる。また、上記のエチレンオキサイド繰り返し単位数は、5〜50程度が好ましい。これ以下では、自己乳化性が乏しく水中で安定な分散体にならない場合がある。反面、これ以上では結晶化して固体になりやすい。自己乳化性イソシアネートにおけるイソシアネート基含有率は特に制限はないが、上記の理由により8〜25重量%の範囲が好ましい。
本発明の塗布剤は、上記イソシアネートの他に、ポリエステル、アクリル系ポリマーおよびポリウレタンの中から選ばれた少なくとも1つのポリマーを通常は併用する。上記のポリマーは、それぞれそれらの誘導体をも含むものとする。誘導体とは、他のポリマーとの共重合体、官能基に反応性化合物を反応させたポリマーを指す。なお、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリオレフィン等も強靱な被膜を形成し、上塗り剤と良好な接着性を示すが、これらは塩素を含有するため、燃焼時に塩素を含む有害なダイオキシン化合物を発生する可能性があり、この点で好ましくない。また、塗布フィルムのスクラップを再利用する際に、着色、腐食性ガスの発生と言う問題があり、この点でも好ましくない。
上記のポリエステル、アクリル系ポリマー、ポリウレタンを以下に詳しく説明する。まず、本発明で塗布剤として用いるポリエステル系樹脂を構成する成分として、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、p−キシリレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA−エチレングリコ−ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ−ル、ジメチロ−ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジメチロ−ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ−ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。常法の重縮合反応によってポリエステル樹脂を合成する。
なお、上記のほか、特開平1−165633号公報に記載されている、いわゆるアクリルグラフトポリエステルや、ポリエステルポリオールをイソシアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタンなどのポリエステル成分を有する複合高分子も本発明のポリエステル系樹脂に含まれる。
本発明で用いるポリエステル系樹脂は、水を媒体とする塗布剤であり、界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤であってもよいが、好ましくはポリエ−テル類のような親水性のノニオン成分や、四級アンモニウム塩のようなカチオン性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好ましくは、アニオン性基を有する水溶性または水分散性ポリエステル系樹脂塗布剤である。アニオン性基を有するポリエステルとは、アニオン性基を有する化合物を共重合やグラフトなどによりポリエステルに結合させたものであり、スルホン酸、カルボン酸、リン酸およびそれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等から、適宜選択される。
ポリエステル系樹脂のアニオン性基の量は、0.05〜8重量%の範囲が好ましい。アニオン性基量が0.05重量%未満では、ポリエステル系樹脂の水溶性あるいは水分散性が悪く、アニオン性基量が8重量%を超えると、塗布層の耐水性が劣ったり、吸湿してフィルムが相互に固着したりすることがある。
本発明で塗布剤として用いるアクリル系ポリマーとは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
上記炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物を例示すると以下のようになる。
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有ビニル系モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、チッソ(株)製「サイラプレーンFM−07」(メタクリロイロシリコンマクロマー)等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロルエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類。
上記アクリル系モノマーからのポリマーの製造には特に制限はなく、常法によって製造できる。例えば、有機溶剤と上記の各種モノマーおよび重合開始剤を混合して、加熱攪拌し重合できる。あるいは、有機溶媒を加熱攪拌しながら上記の各種モノマーおよび重合開始剤を滴下して重合を行ってもよい。さらには、有機溶剤、上記の各種モノマーおよび重合開始剤をオートクレーブ内で高圧で重合してもよい。また、上記有機溶剤の代わりに水を用い、必要に応じて界面活性剤を併用して、乳化重合や懸濁重合してもよい。
これらのモノマーを反応させるのに要する重合開始剤は特に限定はない。ただし、それらのうちで代表的な化合物を例示すれば以下のとおりである。
過硫酸アンモニウム、過酸化水素等のような無機のパーオキサイド;過酸化ベンゾイル等のようなアシルパーオキサイド;第3級ブチルヒドロパーオキサイド;p−メンタンヒドロパーオキサイドのような種々のアルキルヒドロパーオキサイド;ジ−tert−ブチルパーオキサイドのような種々のジアルキルパーオキサイド、さらには有機パーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジ−tert−ブタンのような種々のアゾ系化合物。
また上記の有機または無機のパーオキサイドは、還元剤と組み合わせて、いわゆるレドックス系触媒として使用することもできる。この場合、各成分を一つの化合物で行ってもよいし、複数を併用してもよい。上記の還元剤として代表的な化合物としては以下のとおりである。
有機アミン類、L−アスコルビン酸、L−ソルビン酸、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、ナフテン酸鉄、オクテン酸鉄。
本発明におけるポリウレタン系樹脂としては、例えば、特公昭42−24194号公報、特公昭46−7720号公報、特公昭46−10193号公報、特公昭49−37839号公報、特開昭50−123197号公報、特開昭53−126058号公報、特開昭54−138098号公報等に開示された公知のポリウレタン系樹脂またはそれらに準じたポリウレタン系樹脂を使用することができる。
例えば、ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
また、ポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール類、アクリル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ひまし油等を挙げることができる。通常、分子量300〜2000のポリオールが使用される。
また、鎖長延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水等を挙げることができる。
上記のポリウレタン系樹脂は、水を主たる媒体とする溶媒への溶解性を良くする目的で、アニオン性の置換基、例えば、−SOH基、−OSOH基、−COOH基およびこれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を有していることが好ましい。かかるポリウレタン系樹脂の製造方法としては、例えば、次の(1)〜(3)の製法を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)ポリイソシアネート、ポリオール、鎖長延長剤などにアニオン性の置換基を有する化合物を用いる製法
例えば、アニオン性の置換基を有するポリイソシアネートは、芳香族イソシアネート化合物をスルホン化する方法で得ることができる。また、アミノアルコール類の硫酸エステル塩またはジアミノカルボン酸塩を有するイソシアネート化合物を用いることもできる。
(2)アニオン性の置換基を有する化合物と生成したポリウレタンの未反応イソシアネート基とを反応させる製法
アニオン性の置換基を有する化合物としては、アニオン性の置換基として、例えば、重亜硫酸塩、アミノスルホン酸およびその塩類、アミノカルボン酸およびその塩類、アミノアルコール類の硫酸エステルおよびその塩類、ヒドロキシ酢酸およびその塩類などを有する化合物を用いることができる。
(3)ポリウレタンの活性水素含有基(OH,COOH等)と特定の化合物とを反応させる製法
特定の化合物としては、例えば、ジカルボン酸無水物、テトラカルボン酸無水物、サルトン、ラクトン、エポキシカルボン酸、エポキシスルホン酸、2,4−ジオキソ−オキサゾリジン、イサト酸無水物、ホストン等を用いることができる。また、硫酸カルビルなどの塩型の基または開環後に塩を生成できる基を示す3員環から7員環の環式化合物を用いることもできる。
本発明においては、塗布層中のイソシアネート基(N=C=O)がバインダーもしくはイソシアネートの反応により生成したポリウレタン中のN−H結合に対し、一定の含有量以上である必要がある。
すなわち、本発明において塗布層中のイソシアネート基については、赤外分光法により、N=C=Oに帰属する2275cm−1付近をピークとする吸収強度(I2275)がN−Hに帰属する3350cm−1付近をピークとする吸収強度(I3350)との相対吸収強度(I2275/I3350)として0.05〜1.0である必要があり、好ましくは0.07〜0.9、さらに好ましくは0.1〜0.8である。相対強度が0.05未満の場合、水溶性塗布剤に対する接着性が十分でなく、使用上困難である。また、1.0を超えるようにするには初期イソシアネート量を多量に残存させることとなり、架橋が不十分で、塗膜強度が十分でなく、使用中に剥がれや脱落などが問題となる。
本発明でいうポリエステルポリウレタンとは、ポリエステルをポリオールとして使用したポリウレタンであり、本願の自己乳化性イソシアネートと併用してインラインコーティングに使用した時に、総合的に優れた皮膜を形成する。具体的には、上塗り剤との強い接着性、透明な被膜、優れた耐固着性を示す。ポリウレタンには、工業的には、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン等も知られているが、本願の自己乳化型イソシアネートと組み合わせるに際しては、ポリエステル系ポリウレタンが総合的に好ましい。
上記以外のバインダーとしては任意のポリマーを添加して使用できる。その際、自己乳化性イソシアネートと反応しうるポリマーが好ましい。例えば、水酸基をもつポリマーであり、この例としては、ポリオール、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂の加水分解物、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの(共)重合体等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
バインダーとしてのポリマーは、エポキシ基を持つポリマーも好ましい。この例としては、いわゆるエポキシ樹脂が全て該当するが、中でも水溶性エポキシ樹脂、水分散性エポキシ樹脂が好ましい。
バインダーとしてのポリマーは、カルボキシル基を持つポリマーも好ましい。ここで言うカルボキシル基を持つポリマーとは、カルボキシル基が一部分でも中和されていても構わない。例えば、カルボキシメチルセルロース、このナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。また、アクリル系ポリマーと重複するが、ポリアクリル酸(共)重合体、ポリ(メタ)アクリル酸(共)重合体、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩が挙げられる。また、同じくポリウレタンと重複するが、水性ポリウレタンの中には、カルボキシル基を導入し、これをナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩にして、水溶性、水分散性を出させる例があるが、これらも上記の例として挙げられる。
バインダーとしてのポリマーは、オキサゾリン基を持つポリマーも好ましい。本発明におけるオキサゾリン基を持つポリマーとは、あるいは生成したポリマー中に少なくとも一つのオキサゾリン環を持つポリマーである。オキサゾリン化合物としては、2−オキサゾリン、3−オキサゾリン、4−オキサゾリン化合物があり、いずれを用いてもよいが、特に2−オキサゾリン化合物が反応性に富みかつ工業的にも実用化されている。
バインダーとしてのポリマーは、アミノ樹脂も好ましい。アミノ樹脂とは、アミノ化合物またはアミド化合物とアルデヒド類との反応により生成するポリマー、プレポリマーおよびそれらの誘導体である。骨格となるアミノ化合物、アミド化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
すなわち、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジヒドロキシエチレン尿素、トリアゾン類、メラミン、イソメラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、アセトグアナミン、グアニルメラミン、ジシアンジアミド、ジシアンジアミドの単独重合体、ジシアンジアミドの共重合体、アミノアクリル(アミノ基を含有するアクリル系モノマー)、アミノアクリルの単独重合体、アミノアクリルの共重合体、アニリン等である。
一方、アルデヒド化合物としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
アミノ化合物またはアミド化合物とアルデヒド類の反応により生成するポリマー、プレポリマーとしては、以下の例が挙げられる。この一部は、いわゆるメチロール化アミノ樹脂と言われることもある。
モノメチロール尿素、ジメチロール尿素、トリメチロール尿素、テトラメチロール尿素、メチレン尿素、メチロールメチレン尿素、メチロールメチレン尿素三量体、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、モノメチロールベンゾグアナミン、ジメチロールベンゾグアナミン、トリメチロールベンゾグアナミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、モノメチロールグリコールウリル、ジメチロールグリコールウリル、トリメチロールグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリル、N−メチロールアクリルアミドの単独重合体、N−メチロールアクリルアミドの共重合体
さらに、上記の誘導体も好ましく、例えばアルキルエーテル化アミノ樹脂等が挙げられる。
工業的に入手できるアミノ樹脂として、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、これらの共縮合物、これらと他の樹脂(例えばアルキッド樹脂)との共縮合物(アミノアルキッド樹脂)等が挙げられる。例えばメラミン樹脂では、工業的に生産する一例としては、メラミン−ホルムアルデヒド−メタノール(またはブタノール)の共縮合物として製造される。したがって、メラミン、ホルムアルデヒド、メタノール(またはブタノール)の比率により各種のメラミン樹脂成分が出来上がる。さらにメタノールとブタノールを混合併用する場合もある。工業的に入手できるメラミン樹脂は、厳密には上記化合物群から選ばれた幾つかの混合物、(共)縮合物と言える。
アミノ樹脂の自己硬化反応および他の官能基との反応は、熱、触媒により促進される。触媒は、有機酸あるいは無機酸が有効である。例えば以下の例が挙げられるが、これらに限定されるものではない;燐酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホ酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、これらの部分塩、これらの部分エステル、これらのアンモニウム塩、これらのアミン塩が挙げられる。
本発明の塗布フィルムは、上塗り剤との強固な接着性を示しつつ、固着性が小さい。これは本発明の大きな特徴である。例えば、銀塩とゼラチンを利用する感光層を設ける用途では、従来、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、これらの共重合体が下引き層として使用されていた。またさらに接着力を向上させる場合には、ゼラチンを含有する下引き層をこの上に設けていた。これらのフィルムは固着しやすく、ロールフィルムの取り扱いは多大の注意が必要であった。本発明の自己乳化性イソシアネートとバインダーを使用した場合は、固着性は軽減されうる。
剥離強度が大きいほど、固着性が大きく、このようなフィルムをロールに巻き上げるとブロッキングが発生しやすく、工業製品として不適当である。厚手のフィルムでも、固着性が大きいと、フィルムを巻出す際にフィルムが破断する場合がある。
本発明で用いる塗布剤は、安全衛生上、水を主な媒体とするものが望ましいが、既に記載したように水に溶解する範囲で、有機溶剤を含有してもよい。
本発明における塗布剤の固形分濃度については特に制限はないが、好ましくは0.4〜65重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは2〜20重量%以下である。
上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、(株)総合技術センター、1990年発行、「コ−ティング装置と操作技術入門」に示されるような塗布装置を用いることができる。例えば、正回転ロールコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、エアドクタコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、キスコータ、キスロールコータ、ビードコータ、浸漬コータ、スクリーンコーティング、キャストコーティング、スプレイコーティング、含浸機、LB法のようなコータまたはコーティング方式を使用することができるが、これに限定されるものではない。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前のフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布層の接着性、塗布性などを改良するために、塗布層形成後に塗布層に放電処理を施してもよい。
塗布工程は、ポリエステルフィルム製造工程中の種々の場所で実施可能であるが、塗布後に延伸してもよいし、延伸後に塗布を行ってもよい。本発明の塗布層は、単層であっても多層であってもよいし、多層中の単層または複層として設けられてもよい。
近年は作業環境の保全のため、水系の塗料が注目されている。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の水系バインダーは製版用途で広く使用されるバインダーでもある。反面、水を乾燥させるためにどうしても多大な熱量が必要とされ、基材フィルムにとっては厳しい状況である。
次に、本発明のフィルムの典型的な製造法を、より具体的に説明する。
ポリエステル原料を、押出装置に供給し、ポリエステルの融点以上の温度で溶融押出してスリット状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
このようにして得られた塗布処理未延伸シートをまず縦方向に延伸する。延伸温度範囲は70〜150℃、延伸倍率は2.5〜6倍の範囲とするのが好ましい。延伸は一段階または二段階以上で行うことができる。本発明においては、任意の段階で上述の塗布液を少なくとも一つの面に塗布後乾燥処理を施すことができるが、最も好ましい段階は、この縦延伸後横延伸前である。次に横方向(TD)、すなわち、縦方向(MD)と直交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷却するか、または冷却することなく、例えば90〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の下で2.5〜5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二軸に配向したフィルムを得る。必要に応じて予熱を補強してもよい。
かくして得られたフィルムを、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間熱処理する。この際、熱処理工程内または熱処理後、縦方向に10%以内、好ましくは5%以内、弛緩処理する等の手法も、特に縦方向の熱収縮率を好適な範囲とするために採用することができる。これは横方向に関しても同様である。熱処理温度は、延伸条件にもよるが、好ましくは180〜250℃、さらに好ましくは200〜250℃の範囲である。熱処理温度が250℃を超えるとフィルム密度が高くなりすぎる。また、塗布層の一部が熱分解を生ずる場合がある。一方、180℃未満ではフィルムの熱収縮率が大きくなって好ましくない。この後、冷却ゾーンにて徐々に室温にまで冷却するが、この際に5%以下で横方向に幅出しすることが、収縮率と平面性のバランスをとるために有用である。
本発明の塗布フィルムを製造する際、ある程度の割合で不良品が発生する。そこで、これを再利用することが工業的に大きな価値が生ずる。再生原料を原料ポリエステル混入しなければ、製品価格が高くなり、不利になる。しかし、あまりに多量に混入すると、溶融押し出しの工程などで着色する。また、ポリエステルフィルムの力学的特性を損なう。混入量の割合は、ポリエステルフィルムの厚さ、塗膜の厚さ、塗布層の含有量、加工歩留まり等にも依存するが、塗布層が10重量%を超えると上記のような光学的特性、力学的特性を損なう恐れがある。
本発明のフィルムは、接着性、透明性、耐固着性に優れたフィルムである。したがって、透明性を要求される用途には特に好適である。しかし、本塗膜は、半透明、不透明のフィルムに関しても価値が高い。半透明、不透明のフィルムには塗膜の透明性は不要と解釈される場合もあるが、必ずしもそうではない。塗膜の透明性は、塗膜の光沢と関連しており、白濁した塗膜は光沢を低下させる。すなわち、ベースフィルムの光沢を保持したまま接着性を付与できることは、全てのポリエステルフィルムにとって価値の高いことだからである。光沢のある塗膜は、塗膜表面が平滑であり、したがって固着しやすい。本発明のフィルムは、この問題を解消したフィルムである。
本発明のフィルムは、冒頭に記載したように、各種の上塗り剤(特に水系上塗り剤)との接着性を要求される用途に好適に使用されるが、用途・上塗り剤による限定はない。例えば冒頭に挙げたゼラチンを用いる用途としては、写真用途等が挙げられる。写真用途では、表面技術 第45巻第5号第484頁(1994年)に記載されているように、レントゲン、リス、グラフィックアーツフィルム、ブローニーフィルム、映画用カラーポジ・ポジ、カラーネガ、カラーリバーサル、航空フィルム、マイクロポジ、間接レントゲンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、写真には、「写真工学の基礎―銀塩写真編―」日本写真学会編 (1979年、東京)によれば、インスタント写真で有名な拡散転写法もあり、こと務用複写、工業複写、軽印刷にも応用されている。
上塗り剤は、乳剤、バック層、親水性下塗り層等いずれでも構わない。また、上塗り剤のバインダー種類・構成も様々な例が挙げられる。例えば(特開昭51−114120号公報(上記雑誌の引用文献))には、以下の例が写真用のバインダーとして挙げられいるが、これらに限定されるものではない。
例えば、ゼラチン、フタル化ゼラチン、マレイン化ゼラチン等のアシル化ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル酸、メタクリル酸もしくはアミド等をゼラチンにグラフトさせたグラフト化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリビニルポロリドン、コポリ−ビニルピロリドン−酢酸ビニル、カゼイン、アガロース、アルブミン、アルギン酸ソーダ、ポリサッカライド、寒天、でんぷん、グラフトでんぷん、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンアシル化物、あるいはアクリル酸、メタクリル酸アクリルアミド、N−置換アクリルアミド、N−置換メタクリルアミドなどの単独もしくは共重合体、あるいはそれらの部分加水分解物等合成もしくは天然の親水性高分子化合物が用いられる。これらは単独もしくは混合で使用できる。また、これらのバインダーには、ハロゲン化銀あるいは拡散転写写真法で用いられる硫化銀等物理現像核、ジアゾ化合物などの感材をはじめ各種の添加剤、カプラー、乳化重合体、ラテックスポリマーなどが添加されうる。
上記は、写真技術の世界の例であったが、他の用途にも広く使用できる。例えば、ジアゾ感光フィルム、インクジェット受像体、水系接着剤による建材・ガラスとの接着用のフィルム、等。これらは、水系の例であるが、本発明のフィルムは、もちろん水系以外の上塗り剤にも優れた接着性を示す。
本発明によれば、塗膜の透明性、光沢に優れ、強い接着性、耐固着性に優れ、かつ平面性など二次加工性に優れたポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比較例中、「部」とあるのは「重量部」を示す。
(1)赤外分光法による吸収強度比の測定
DIGILAB JAPAN社製FTS6000にて定法として知られている、KBrを用いたジョンソン法により測定を行った。また、塗布層がうまくKBrに吸着されない場合は、クロロホルムなどの有機溶媒を用いて塗布層を溶解させ、これをKBrに接触させて、乾燥させたものを用いた。測定は23℃50%RHの条件下で行った。得られたIRチャートよりN=C=Oに帰属する2275cm−1付近をピークとする吸収強度(I2275)がN−Hに帰属する3350cm−1付近をピークとする吸収強度(I3350)との相対吸収強度(I2275/I3350)を求める。なお、帰属吸収ピークに関する文献としては、「赤外効果とラマン効果」共立全書(1958)などがある。
それぞれの吸収強度は、ベースの透過率T(%)と吸収ピークの透過率T(%)から、次式により求める。
I=log(T/T)
(2)接着性1
フィルム表面に紫外線硬化インクを塗布・硬化し、そのフィルムとの接着の程度を評価する。評価条件は、以下のとおりである。
インク:東洋インキ社製オフセット印刷インク"FDカルトンP"藍色
塗布:明製作所のオフセット印刷装置であるRIテスター"RI−2"にて5μm厚さに塗布した。
硬化:ウシオ電気社製UV照射装置"UVC−402/1HN:302/1M
H"にて硬化させた。メタルハライドランプ出力120W/cm、ラインスピー
ド10m/分、ランプ〜フィルム間隔100mmの条件で硬化させた。
接着性:セロテープ(登録商標)を用いた剥離試験を実施し、インクの剥離の程度を下記基準で評価した。
○:全く剥離せず、優秀
○△:僅かに、剥離し、良
△:多少剥離し、やや良
△×:かなり剥離し、悪い
×:セロテープ(登録商標)を貼り付けた部分が完全に剥離し、非常に悪い
(2)接着性2
水系上塗り剤の例として、以下のように塗布剤を塗布し、剥離試験に供した。
塗布剤組成:ポリビニルアルコール(けん化度88%)=100(重量部)
上記組成のポリビニルアルコール溶液を作成し、フィルム表面に塗布し80℃で5分乾燥し、10μm厚さの皮膜を得た。溶媒組成:水/エタノール=80/20wt%。これを以下のように剥離試験した。
接着性:セロテープ(登録商標)を用いた剥離試験を実施し、ポリビニルアルコール層の剥離の程度を下記基準で評価した。
○:全く剥離せず、優秀
○△:僅かに、剥離し、良
△:多少剥離し、やや良
△×:かなり剥離し、悪い
×:セロテープ(登録商標)を貼り付けた部分が完全に剥離し、非常に悪い
(3)接着性3
水系上塗り剤の例として、以下のように塗布剤を塗布し、剥離試験に供した。
塗布剤組成:ゼラチン=100(重量部)
上記組成のゼラチン温水溶液を作成し、フィルム表面に塗布し80℃で5分乾燥し、10μm厚さの皮膜を得た。これを以下のように剥離試験した。
接着性:セロテープ(登録商標)を用いた剥離試験を実施し、ゼラチン層の剥離の程度を下記基準で評価した。
○:全く剥離せず、優秀
○△:僅かに、剥離し、良
△:多少剥離し、やや良
△×:かなり剥離し、悪い
×:セロテープ(登録商標)を貼り付けた部分が完全に剥離し、非常に悪い
(4)加工適性
得られたフィルムロールに、ダイコーターで下記の黒色の塗料を塗布し、乾燥を行い、得られた製品の塗布外観を目視判定する。
塗布剤:ポリビニルアルコール5%、カーボンブラック1%を含む水溶液
塗布厚さ:水溶液として10μ
乾燥:180℃、10sec
評価基準は以下のとおりとした。
○:外観、フィルムの平面性、塗布均一性、いずれも良好。
×:外観が不良であり、フィルムの中央部に長手方向にすじ(しわ)がある
××:塗布厚さの濃淡が著しく、一部に、塗布抜け(スキップ)がある
(比較例1)
極限粘度0.65であり、粒子径1.5μmのSiO2を0.005重量%含むポリエチレンテレフタレートを常法により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得られた未延伸シートを、ロール延伸法を用いて縦方向に85℃で2.5倍延伸し、さらに95℃で1.3倍延伸した。このフィルムの片面に、下記表1の原材料を下記表3の組成で配合して得られた塗布剤(組成S1)を塗布した。次いで、得られた一軸延伸フィルムをテンターに導いて、横方向に120℃で4.0倍延伸し、235℃で3秒間熱処理を行い、熱固定ゾーンで幅方向に5%の収縮を行い、さらに冷却ゾーンで2%の幅出しを行い、冷却ゾーン出口での引き取り張力を0にして、その後巻き取りロールフィルムを得た。基材ポリエステルフィルムの厚さ100μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、極めて透明性に優れた平坦なフィルムであった。しかしながら、一部の接着性に劣り、実用上使用できなかった。
比較例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。ただし、フィルムの生産速度を20%低下させ、熱固定条件を225℃2秒とした。得られたフィルムの特性は下記表4に示すとおりで、各種上塗り剤との接着性にも優れ、二次加工しても均一に塗布でき、すじもなかった。
実施例1と同様にして、下記表1または2の原材料を下記表3の組成で配合して得られた各種塗布剤を塗布した。実施例3〜5はいずれも接着性、透明性、加工適性に優れたフィルムであった。一方、比較例2は、塗布剤に本願の自己乳化性イソシアネートを含まず、そのために接着性に劣るフィルムであった。なお、いずれの例も表面粗さRaは0.01μmであり、塗布層の厚さは0.04μmであった。
Figure 2006182815
Figure 2006182815
Figure 2006182815
Figure 2006182815
本発明のフィルムは、例えば、磁気記録媒体のベースフィルム、製版用フィルム、磁気カード、包装用フィルム、合成紙をはじめとして幅広い用途に利用することができる。


Claims (1)

  1. 少なくとも片面に塗布層を有するポリエステルフィルムであって、当該塗布層の赤外分光法による2275cm−1でのピーク強度(I2275)と3350cm−1でのピーク強度(I3350)との比(I2275/I3350)が0.05〜1.0の範囲であることを特徴とするポリエステルフィルム。
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