JP2006182174A - サスペンション装置 - Google Patents

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誠司 篠遠
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【課題】車両の直進時と旋回時とでのキャンバ特性を変化可能にするとともに、例えばショックアブソーバ等のレイアウトの自由度を向上し得るサスペンション装置を提供する。
【解決手段】車両の左右に配置される2つの車輪2のそれぞれに、車輪2を回転可能に支持するナックル10と、ナックル10の下側と車体側部材とを揺動可能に連結するロアアーム20と、ナックル10の上側と車体側部材とを揺動可能に連結するアッパアーム30と、そのアッパアーム30および車体側部材の間に介装されて相互間を弾性的に支持するブッシュ50と、を備えるサスペンション装置1であって、アッパアーム30、30同士を相互に連結するスタビライザ40をさらに備え、ブッシュ50は、車両旋回時にスタビライザ40によって生じる反力によって旋回外側の車輪2のキャンバ角をネガティブ方向に変化させるようにその剛性に異方性を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両のサスペンション装置に係り、特に、ダブルウィッシュボーン式のサスペンション装置として好適に使用し得るサスペンション装置に関する。
車両のサスペンション装置として、左右の各車輪を独立して上下動させることのできる独立懸架式のサスペンション装置があり、この中の一つの形式として、ダブルウィッシュボーン式が知られている。
ところで、車両の旋回時において大きなコーナリングパワーを確保するためには、旋回に伴う横加速度が作用した際に確保できる各タイヤの接地面積が大きいことが望ましい。そのため、タイヤの弾性変形を考慮すれば、各車輪がそれぞれ旋回中心側に傾いたキャンバ角を維持すること、すなわち旋回外輪がネガティブキャンバ状態、旋回内輪がポジティブキャンバ状態となることが望ましい。ネガティブキャンバ状態とは、車両正面視において、タイヤの車両上下方向上側が、車両上下方向下側に対して、車幅方向内側になる向きにタイヤが傾いている状態をいう。ポジティブキャンバ状態は、ネガティブキャンバ状態の逆の向きにタイヤが傾く状態をいう。
ここで、車両の旋回時には旋回外方への荷重移動が伴うため、旋回内輪の接地状態と旋回外輪の接地状態とを、車両の旋回性に与える影響について比較すると、旋回外輪の接地状態の寄与度が大きくなる。したがって、簡易な構成で高いコーナリングパワーを確保するためには、車両の左右輪を共にネガティブキャンバ状態に維持しておくことが有効である。一方、車両の旋回方向は常に一方向ではないため、このようなキャンバ角を実現するためには、車両の旋回方向に応じて左右輪のキャンバ角を積極的に、かつ比較的大きく変化させる必要が生じる。
そこで、この種のサスペンション装置として、例えば特許文献1に記載の技術が開示されている。
特許文献1に記載の技術では、ダブルウィッシュボーン式のサスペンション装置において、アッパアームが内側と外側とで二分割されるとともに、分割部で屈折可能なようにトーションバーで相互に連結されている。そして、分割された内側のアッパアーム同士をスタビライザで相互に繋いだ構成としている。
これにより、車両の直進時と旋回時とでのキャンバ特性を変化可能になっている。すなわち、直進時には、2つの車輪はほぼ同位相でストロークをするので、キャンバ特性の変化は小さい。なお、その特性はネガティブキャンバ方向に設定されている。一方、旋回時には、車体にロールが発生して、スタビライザに反力が生じる。これにより、スタビライザは分割された内側のアッパアームを引っ張る。そのため、二分割されたアッパアームが分割部で屈折して、キャンバ特性をネガティブキャンバ方向により大きく変化させることを可能としている。
特開平5−229326号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、アッパアームを二分割構造にするとともに、トーションバーで相互に連結しているため、構造が複雑であり、コストが高いものになっている。
さらに、二分割されたアッパアーム間には、トーションバーによるねじりばね機構が配設されているため、ショックアブソーバを車体側取付部と車軸取付部との間を貫通させて設けることができない。したがって、レイアウト効率が悪いという問題点がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、車両の直進時と旋回時とでのキャンバ特性を変化可能にするとともに、例えばショックアブソーバ等のレイアウトの自由度を向上し得るサスペンション装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、車両の左右に配置される2つの車輪のそれぞれに、車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、前記車輪支持部材の下側と車体側部材とを上下方向揺動可能に連結するロアアームと、前記車輪支持部材の上側と車体側部材とを揺動可能に連結するアッパアームと、該アッパアームの上下方向変位の向きが、左右において逆向きのときに、該上下方向変位を規制する規制部材と、前記アッパアームおよび車体側部材の間に介装されて相互間を弾性的に支持する支持体と、を備えるサスペンション装置であって、前記支持体は、車両旋回時に前記規制部材によって生じる規制力によって旋回外側の車輪のキャンバ角をネガティブ方向に変化させるようにその剛性に異方性を有することを特徴としている。
ここで、剛性とは、物体に、ある向きに力を加えて、同じ向きに変位が発生するときに、加えた力を発生した変位で除した値をいう。
本発明のサスペンション装置は、各アッパアームの上下方向変位を規制する規制部材を備えている。ここで、車両が直進時には、2つの車輪はほぼ同位相でストロークをするので、規制部材は、上下方向変位の規制力に左右差をほとんど生じない。そのため、左右の車輪相互のキャンバ特性の変化は小さい。一方、車両が旋回時には、その規制力に左右差を生じる。ここで、アッパアームは、前記支持体を介して車体側部材に連結されている。この支持体は、規制部材に生じる規制力によって旋回外側の車輪のキャンバ角をネガティブ方向に変化させるようにその弾性支持力に異方性を有するものである。そのため、この異方性によって旋回外側の車輪をネガティブキャンバ方向に規制することができる。さらに、このアッパアームの構成は、分割構造やねじりばね機構等を途中部分に備えていない一体構造である。そのため、例えばショックアブソーバ等のレイアウトをする上での特段の制約が生じることもない。
したがって、本発明によれば、車両の直進時と旋回時とでのキャンバ特性を変化可能にするとともに、例えばショックアブソーバ等のレイアウトの自由度を向上し得るサスペンション装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1および図2は本発明の一実施形態に係るサスペンション装置を説明する概略構成図であり、図1はその斜視図、また、図2は車両前後方向後方から見た図で示している。なお、図1ではショックアブソーバの図示は省略している。
このサスペンション装置1は、不図示の車体に対し、その両側の2つの車輪を独立して懸架するダブルウィッシュボーン式のサスペンション装置である。
このサスペンション装置1は、図1および図2に示すように、ナックル10、ロアアーム20、およびアッパアーム30等を備えて構成されている。これらは車両の左右2つの車輪のそれぞれに対し設けられている。
各ナックル10は、車輪2を回転可能に支持する車輪支持部材であり、スピンドル11によって車輪2を回転自在に支持している。
ロアアーム20は、ナックル10の上下方向での下側と不図示の車体側部材とを揺動可能に連結しており、ほぼ車両幅方向に延びている。このロアアーム20は、図1に示すように、車輪2の側端より二つに分岐して延出する2つのアームを有する、いわゆるAアーム形状をなしている。2つのアームの一方は、車輪側端より車両前方に向けて斜めに延びている。また、他方は、車輪側端より車両後方に向けて斜めに延びている。そして、これら2つのアームをもつロアアームは、ナックル10側ではボールジョイント22を介してナックル10に連結されている。また、車体側部材側では分岐した2つのアームの端部それぞれがブッシュ24を介して車体側部材に連結されている。
なお、ボールジョイント22は、特定範囲内での揺動を許容しつつ、その他の実質的な相対変位を許容することなく、ロアアーム20とナックル10とを連結している。また、各ブッシュ24は、車両前後方向(図2での紙面に垂直方向)を軸方向とする内筒および外筒を備えている。そして、それらの間に介装され、ある程度の相対変位を許容しつつ内筒と外筒とを連結する弾性体を備えて構成される。なお、このブッシュ24はその径方向のいずれの方向にも同様の剛性を有しており、その弾性支持力に異方性をもたない。
一方、アッパアーム30は、図1に示すように、ロアアーム20の上方に所定間隔をあけて配設されるサスペンションアームであり、ナックル10の上側と不図示の車体側部材とを揺動可能に連結している。このアッパアーム30は、例えば分割構造やねじりばね機構等を備えていない一体構造である。すなわち、ロアアーム20同様にAアーム形状をなしており、ほぼ車両幅方向に延びて、車輪2の側端より二つに分岐して延出する2つのアームを有する。2つのアームの一方は、車輪側端より車両前方に向けて斜めに延びている。また、他方は、車輪2の側端より車両後方に向けて斜めに延びている。そして、これら2つのアームをもつアッパアーム30は、ナックル10側ではロアアーム20同様のボールジョイント32を介してナックル10に連結されている。また、車体側部材では分岐した2つのアームの端部それぞれがブッシュ50を介して車体側部材に連結されている。
そして、各アッパアーム30、30は、車両後方に向けて斜めに延びているアームの途中部分を、端部にそれぞれ継手部材42を有するリンク41を介して、スタビライザ40によって相互に連結されている。スタビライザ40は、一部が車体側部材に支持される。なお、この継手部材42は、特定範囲内での揺動を許容しつつ、その他の実質的な相対変位を許容することなく相互を連結可能になっている。ここで、本実施形態の例では、上記規制部材には、各リンク41と、その各リンク41を介して、各アッパアーム30、30同士を相互に連結するスタビライザ40とが対応する。
そして、本実施形態のサスペンション装置1では、図2に示すように、ショックアブソーバ100が、アッパアーム30の二つに分岐して延出する2つのアーム同士の間を貫通して、ショックアブソーバ100の下端をロアアーム20に連結するとともに、ショックアブソーバの上端が車体に固定されている。
次に、各アッパアーム30、30の分岐した2つのアームの端部それぞれと車体側部材との間に介装される上記ブッシュ50について詳しく説明する。なお、左右2つの車輪2の各ブッシュ50は、車両に対して左右対称に形成されているので、以下の説明では図2での右車輪2のブッシュ50について説明し、左側車輪2のブッシュ50については説明を省略する。
図3は、ブッシュ50を説明する図であり、同図では図2での右側のブッシュを拡大するとともに、その軸直方向の断面で示している。なお、図3は、車両非旋回時の状態、つまりスタビライザ40に反力が生じていない初期状態を示している。
このブッシュ50は、アッパアーム30および車体側部材の間にのみ介装されて相互間を弾性的に支持する支持体である。図3に示すように、ブッシュ50は、車両前後方向(同図での紙面に垂直方向)を軸方向とする円筒状の外筒52と、その外筒52に内装する円筒状の内筒51とを備えている。なお、外筒52はその外周面が上記車体側部材に連結され、内筒51は、不図示の軸部材を介してアッパアーム30の車体側部材側の端部に連結されている。そして、ブッシュ50は、これら外筒52の内周面52bと内筒51の外周面51bとの間に介装される弾性体53を備えて構成されている。この弾性体53は、内筒51と外筒52とをある程度の相対変位を許容しつつ連結するとともに、特に、所定の方向ではその剛性に異方性を有して構成されている。
詳しくは、このブッシュ50の剛性の異方性は、上記所定の方向において、車両旋回時にスタビライザ40によって生じる反力によって旋回外側の車輪2のキャンバ角をネガティブ方向に変化させる方向になっており、当該所定の方向で、他の方向に比べて容易に弾性変形することで異方性をもたせている。特に、このブッシュ50の剛性の異方性は、車両上下方向下側かつ車両幅方向内側に向かう方向で、他の方向に比べて剛性が小さいというものである。
より具体的には、このブッシュ50は、同図に示すように、弾性体53の外周面53bと外筒52の内周面52b、および、弾性体53の内周面53cと内筒51の外周面53cをそれぞれ加硫接着によって連結して一体に構成されている。ここで、内筒51と外筒52との相対位置は車両上下方向に所定の距離だけ偏心した位置で連結されている。すなわち、同図に示すように、外筒52の中心を通る水平線HLに対して内筒51の中心C1を通り水平線HLに平行な直線CLは、車両上下方向上側に所定の距離ΔLだけ離れた位置になっている。
さらに、このブッシュ50は、車両上下方向では内筒51の下側の領域および上側の領域に対して弾性体53が非連続構造をそれぞれ有する。すなわち、この弾性体53は、その肉厚部分の車両上下方向それぞれに、いわゆるスグリ部(空隙)を有しており、これらのスグリ部により非連続構造を構成し、もって所定の方向でその剛性に異方性を有するようになっている。
詳しくは、同図に示すように、内筒51の両側の略中央から左右にそれぞれ張り出した弾性体53は、外筒52の両内側の略中央部に対しそれぞれ連結されている。このとき、上述の所定の距離ΔLだけ内筒51が上側に偏心した分だけ弾性体53が略逆U字状に跨設している。これにより、各スグリ部が、内筒51の上下の領域に空隙として形成され、これら空隙がそれぞれ上スグリ部54と下スグリ部55として水平線HLに対し非対称に形成されている。
そして、上スグリ部54側は、上スグリ部54を形成する弾性体53の略中央に上向きの凸部53aを有している。さらに、この凸部53aが、僅かな隙間57を有する程度に外筒52の内側52aに接近して配置されている。すなわち、弾性体53の凸部53aと外筒52の内側52aとの間には移動空間がほとんどない。そのため、内筒51は車両上下方向上側には僅かしか移動できないようになっている。
これに対し、下スグリ部55側は、下スグリ部55を形成する弾性体53略中央に下向きの凸部55aを有して形成されているが、この凸部55aは、上記凸部53aより小さくその車両上下方向での肉厚も相対的に薄い。そのため、下スグリ部55は、車両非旋回時では、上側に比べて大きな空隙として設けられ、車両上下方向下側は広い空間になっている。つまり、弾性体53の車両上下方向下側は、弾性体53の体積が、それ以外の向きの弾性体の体積に対して小さいため、剛性も、それ以外の向きに対して小さくなる。ここで、弾性体の体積とは、ある向きにおいて、内筒51と外筒52との間にある弾性体53の体積をいう。したがって、内筒51は車両上下方向下側には大きな変位をもって容易に移動可能になっている。
このように、このブッシュ50は、車両上下方向下側での剛性が、車両上下方向上側および車両幅方向の剛性よりも小さくなっている。
さらに、弾性体53の剛性は、内筒51の車両幅方向の外側と内側とでは、内筒51を車両上下方向下側かつ車両幅方向内側に向かわせる方向で相対的に小さくなるように非対称になっている。すなわち、このブッシュ50は、同図に示すように、車両幅方向の外側には、外筒52の内側52aと弾性体53との間に溝56を形成している。これに対し、車両幅方向の内側には、このような溝等を形成しておらず、各スグリ部54、55のつくる周壁面がなだらかに連続する稜線で形成され、上記略逆U字状に跨設する弾性体53は、内筒51の車両幅方向の外側より車両幅方向の内側において周方向での肉厚が相対的に厚くなっている。
次に、本実施形態のサスペンション装置の作用・効果について説明する。
上記サスペンション装置1を備えた車両は、直進時には、図4に示すように、左右2つの車輪2が、ほぼ同位相でストロークをするので、スタビライザ40には反力の左右差が発生しない。そのため、各アッパアーム30、30と車体側部材との間に介装される支持体であるブッシュ50には、左右差を生じるような弾性変形がほとんど生じない。したがって、車輪のキャンバ角の変化が少なく、直進性、タイヤの偏摩耗性に優れる。なお、同図では、車輪がほぼ同位相でストロークするイメージを符号Aを附した矢印で示している。
これに対し、車両が旋回時には、図5に示すように、旋回外輪側では、車体に対して上側に車輪2がストロークする。なお、同図では、車輪2が上側にストロークするイメージを符号Aを附した矢印で、車輪2が下側にストロークするイメージを符号Bを附した矢印で、それぞれ示している。
このとき、スタビライザ40は、左右輪2のストローク方向が逆の場合には、ねじられて反力を発生する。この反力により、旋回外輪側のアッパアーム30(同図での右側)は、下側に引っ張られる(同図での符号C)。そのため、車体側のアッパアーム30の端部に連結されている内筒51は下向きに力を受ける(同図での符号D)。なお、上記規制部材によって生じる規制力には、スタビライザ40に生じる反力が対応している。
ここで、ブッシュ50は、上述のように、その弾性支持力に異方性を有しており、車両上下方向下側での剛性が、車両上下方向上側および車両幅方向の剛性よりも小さく設定されている。そのため、上記下向きの力Dによって弾性体53が弾性変形して内筒51が外筒52に対し下向きに移動する。これにより、アッパアーム30全体が車両幅方向の内側に移動し(同図での符号E)、旋回外輪側のキャンバ角をネガティブ方向に傾けることにより、車両を安定させる効果が生じる。
さらに、このサスペンション装置1によれば、内筒51と外筒52との相対位置は、車両上下方向に所定の距離ΔLだけ内筒51を車両上下方向上側に偏心した位置で相互に弾性体53を介して連結されている。このような構成によれば、旋回外輪側のキャンバ角をネガティブ方向に傾ける方向に内筒51を変位させるためのストロークを、より大きく確保することができるという効果がある。
また、他方の側である旋回内輪側では、車体に対して下側に車輪2がストロークする(同図での符号B)。このとき、旋回内輪側のアッパアーム30(同図での左側)は、スタビライザ40での反力により上側に押し上げられ(同図での符号G)、旋回内輪側のアッパアーム30は、上向きに力を受ける(同図での符号H)。しかし、ブッシュ50の弾性支持力の異方性は、車両上下方向上側の剛性が相対的に高いため、大きな弾性変形が生じることがない。
すなわち、このサスペンション装置1によれば、図6(a)に示すように、車両上下方向上側の剛性を相対的に高めることによって、アッパアーム30の上方向へはキャンバ角を傾けないようにその変位を規制することができる。なお、本願と異なり、上方向への規制を行なわない場合には、比較例として示す同図(b)のように、キャンバ角が車体内側に大きく傾いてしまい車両の安定性が悪くなる(旋回時内輪側のキャンバ角の方向は、外輪側と逆がよい。)。このように、このサスペンション装置1によれば、旋回外輪側のキャンバ角のみを好適に規制することができる。
さらに、このサスペンション装置1によれば、各アッパアームの上下方向変位を規制する規制部材としてのスタビライザ40をアッパアーム30、30同士を連結するように設けるとともに、上記異方性を有するブッシュ50は、アッパアーム30の車体側のアッパアーム30の端部にのみ設けている。
ここで、図7に示すように、旋回時にアッパアーム30のブッシュ50(車体側の端部)に入力される力f1と、ロアアーム20のブッシュ22に入力される力f2とは、下記式(1)〜(4)から、常にf2>f1の関係が成り立つ。
f2=F×(L1+L2)/L1 (1)
f1=F×L2/L1 (2)
(L1+L2)>L2 (3)
∴f2>f1 (4)
すなわち、タイヤへの横力により上下のサスペンションアームの車体側の端部に入力される力は、アッパアーム30の方がロアアーム20よりも小さい。したがって、上記サスペンション装置1の構成によれば、サスペンションアームの車体側の端部を車両上下方向に移動させる上で有利である。
さらに、このサスペンション装置1によれば、ブッシュ50を構成する弾性体53は、車両幅方向の外側と内側とではその剛性が、内筒51を車両上下方向下側かつ車両幅方向内側に向かわせる方向で相対的に小さくなるように非対称に形成される。これにより、図8に示すように、このブッシュ50は、スタビライザ40からの反力による内筒51の移動軌跡が、非線形となり、内筒51を外筒52に対して上下方向に移動させつつ、車両幅方向内側に向けても移動させることができる。なお、同図では、(a)〜(c)の順に、ブッシュ50の初期状態、移動状態、さらに移動した状態をそれぞれ示しており、また、図中の破線の矢印にて、非線形に内筒51が移動しているイメージを表している。
このような構成であれば、図9(a)に示すように、アッパアーム30の車体側の端部での内筒51の移動方向が同図での符号D1で示すように車両下側かつ車両幅方向内側に向かうから、ネガティブキャンバ方向への移動量E1を大きくできる。例えば比較例として示す同図(b)のように、単に上下方向にのみ内筒51を変位させるような構成のブッシュ50とした場合の移動量E2に比べて、旋回外輪側のキャンバ角をネガティブ方向に傾ける方向に内筒51を変位させるためのストロークを、より大きく確保することができるという効果がある。
さらに、このサスペンション装置1によれば、ロアアーム20およびアッパアーム30共に二つに分岐して延出する2つのアームを有する、一体構造のAアーム形状をなしている。そのため、上記実施形態のように、ショックアブソーバ100を、アッパアーム30の二つに分岐して延出する2つのアーム同士の間を貫通して、ショックアブソーバ100の下端をロアアーム20に連結するとともに、ショックアブソーバの上端を車体に固定するような構成とすることができる。すなわち、レイアウト上の特段の制約を生じることなく効率の良い、自由度の高い設計をすることを可能としている。
以上説明したように、このサスペンション装置によれば、車両の直進時と旋回時とでのキャンバ特性を変化可能にするとともに、例えばショックアブソーバ等のレイアウトの自由度を向上させることができる。
なお、本発明に係るサスペンション装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、アッパアームの上下方向変位を規制する規制部材を、スタビライザ40によって構成している例で説明したが、これに限定されず、規制部材を、スタビライザ40とは別途の部品として配置してもよい。しかし、構成をコンパクトにする上では、上記実施形態のように、スタビライザ40が規制部材を兼ねる構成とすることが好ましい。
また、上記実施形態では、ブッシュ50は、車両幅方向での剛性についても非対称に構成した例で説明したが、これに限定されず、ブッシュ50の剛性の異方性は、車両上下方向下側に向かう方向で、他の方向に比べて容易に弾性変形することで構成されていればよい。例えば図10(a)に変形例として示すように、ブッシュ50を、その中心を上下に通る軸VLに対し車両幅方向で対称に構成することができる。このような構成であっても、同図(b)のように、車両上下方向下向きには、他の方向に比べて容易に弾性変形することができる。しかし、旋回外輪側のキャンバ角をネガティブ方向に傾ける方向に内筒51を変位させるためのストロークを、より大きく確保する上では、上記実施形態のように、車両幅方向での剛性についても非対称に構成することが好ましい。
また、上記実施形態では、外筒52に対し内筒51を、車両上下方向上側に偏心した位置で相互に弾性体53を介して連結している例で説明したが、これに限定されず、外筒52と内筒51とを同心として偏心させない構成としてもよい。しかし、旋回外輪側のキャンバ角をネガティブ方向に傾ける方向に内筒51を変位させるためのストロークを、より大きく確保する上では、上記実施形態のように、外筒52に対し内筒51を、車両上下方向上側に偏心した位置で構成することが好ましい。
また、上記実施形態では、ブッシュ50に、所定の方向で剛性に異方性を有する構成を、スグリ部(空隙)による非連続構造によって構成しているが、これに限定されず、例えば材料自身の弾性係数の異なる弾性体を組み合わせて、スグリ部等の非連続構造を備えることなく所定の方向に異方性をもたせることも可能である。しかし、簡易な構成で異方性を構成する上では、上記実施形態のように、スグリ部による非連続構造を備える構成が好適である。
また、上記実施形態では、スグリ部による非連続構造は、内筒51の下側の領域および上側の領域ともに、隙間ないし空隙を有する構成例で説明したが、これに限定されず、例えば内筒51の上側の領域において、車両非旋回時の状態で、隙間57を設けることなく弾性体53の凸部53aと外筒52の内側52aとを接触(当接)させて非連続構造を構成してもよい。すなわち、この非連続構造とは接触(当接)状態をも含む意味である。
本発明の一実施形態に係るサスペンション装置を説明する概略構成図である。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置を説明する概略構成図である。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置のブッシュを説明する図である。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置の車両直進時での作用を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置の車両旋回時での作用を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置の作用を説明する図であり、同図(a)では、旋回内輪側での車輪が車体に対してストロークするイメージを示しており、また、同図(b)では、上方向への規制を行なわないブッシュを備えた比較例での同イメージを示している。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置の作用を説明する図であり、同図は、旋回時にアッパアームのブッシュ(車体側の端部)に入力される力f1と、ロアアームのブッシュに入力される力f2との関係の説明図である。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置の作用を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るサスペンション装置の作用を説明する図であり、同図では、アッパアームの車体側の端部での内筒の移動方向のイメージを示している。 ブッシュの構成の変形例を説明する図であり、同図(a)は初期状態を、同図(b)は移動状態を示している。なお、同図では剛性の高い方向のイメージを太い矢印で、また、剛性の低い方向のイメージを細い矢印でそれぞれ示している。
符号の説明
1 サスペンション装置
2 車輪
10 ナックル(車輪支持部材)
20 ロアアーム
22、32 ボールジョイント
24 ブッシュ
30 アッパアーム
40 スタビライザ(規制部材)
41 リンク
42 継手部材
50 ブッシュ(支持体)
51 内筒
52 外筒
53 弾性体
54 上スグリ部(非連続構造)
55 下スグリ部(非連続構造)
56 溝
57 隙間
100 ショックアブソーバ

Claims (6)

  1. 車両の左右に配置される2つの車輪のそれぞれに、車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、前記車輪支持部材の下側と車体側部材とを上下方向揺動可能に連結するロアアームと、前記車輪支持部材の上側と車体側部材とを揺動可能に連結するアッパアームと、該アッパアームの上下方向変位の向きが、左右において逆向きのときに、該上下方向変位を規制する規制部材と、前記アッパアームおよび車体側部材の間に介装されて相互間を弾性的に支持する支持体と、を備えるサスペンション装置であって、
    前記支持体は、車両旋回時に前記規制部材によって生じる規制力によって旋回外側の車輪のキャンバ角をネガティブ方向に変化させるようにその剛性に異方性を有することを特徴とするサスペンション装置。
  2. 前記支持体の剛性の異方性は、車両上下方向が他の方向に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。
  3. 前記支持体の剛性の異方性は、車両上下方向下側に向かう方向が他の方向に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション装置。
  4. 前記支持体の剛性の異方性は、車両幅方向内側に向かう方向が他の方向に比べて小さいことを特徴とする請求項3に記載のサスペンション装置。
  5. 前記支持体は、車両前後方向を軸方向とする円筒状の外筒と、該外筒に内装する内筒と、これら外筒の内周面と内筒の外周面との間に介装される弾性体とを備えて構成され、前記支持体の剛性の異方性は、剛性を小さくしたい向きの該弾性体の体積を、それ以外の向きの該弾性体の体積に対して小さくすることで実現することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のサスペンション装置。
  6. 前記規制部材は、前記アッパアーム同士を相互に連結し、かつ、車体側部材に支持されるスタビライザであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のサスペンション装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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