JP2006180715A - タバコ固有のニトロソアミンを低減するためのタバコ抽出液の処理方法、再生タバコ材の製造方法および再生タバコ材 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然タバコ材から得たタバコ抽出液から比較的簡便な手法により、ニコチン量を有意に減少させることなくTSNA量を減少させるためのタバコ抽出液の処理方法を提供する。
【解決手段】天然タバコ材(11)を抽出溶媒(12)で抽出することによって得られた抽出液(13)をビフィズス菌と接触(S4)させ、それにより前記抽出液中のタバコ固有のニトロソアミンを減少させることを特徴とするタバコ抽出液の処理方法。
【選択図】 図1
【解決手段】天然タバコ材(11)を抽出溶媒(12)で抽出することによって得られた抽出液(13)をビフィズス菌と接触(S4)させ、それにより前記抽出液中のタバコ固有のニトロソアミンを減少させることを特徴とするタバコ抽出液の処理方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、タバコ固有のニトロソアミンを低減するためのタバコ抽出液の処理方法、再生タバコ材の製造方法および再生タバコ材に関する。
天然のタバコ葉、刻み、中骨、茎、根等のタバコ材には、ニコチン、ニトロソアミン類、炭化水素類、タンパク質等種々の成分が含まれている。天然のタバコ材からこれら成分を抽出し、タバコへの喫味添加剤として使用することが行われている。これら天然タバコ材成分には、喫味または他の理由から、その量を減少させるか、除去することが望ましいものがある一方、除去しないか、あるいは増加させる方が望ましいものもある。
例えば、特許文献1は、タバコ固有のニトロソアミン(TSNA)を減少させるために、タバコを溶媒で抽出して得られた抽出液を活性炭、ゼオライト等の吸着剤と接触させる方法を開示している。特許文献1は、ニトロソアミンが減少した抽出液を再生タバコ材に添加することも開示している。しかしながら、特許文献1で使用されている吸着剤は、TSNAを吸着するばかりでなく、ニコチンをも吸着する。
特許文献2は、タバコを超臨界二酸化炭素で処理してニトロソアミンを抽出し、その抽出物を吸着等のニトロソアミン除去プロセスに供することを開示している。特許文献2で使用されている吸着剤は、ニコチンをも吸着する。
さらには、特許文献3は、抽出に関するものではないが、葉タバコ自体をスフィンゴモナス・パウシモビリス種およびシュードモナス・フルオレッセンス種に属する特定の微生物で処理することにより葉タバコ中のTSNAを減少させる方法を開示している。
米国特許第6679270号明細書
米国特許第5119835号明細書
国際公開WO 03/094639 A1号公報
天然タバコ材に含まれるニトロソアミン類、特にTSNAは、除去することが望ましい物質である。しかしながら、TSNAは、除去しないことが望ましいニコチンと化学構造、性状が類似している化合物であり、上に記載したように吸着剤によっては両者を分離することが困難である。
従って、本発明は、天然タバコ材から得たタバコ抽出液から比較的簡便な手法により、ニコチン量を有意に減少させることなくTSNA量を減少させるためのタバコ抽出液の処理方法を提供することを目的とする。また本発明は、TSNA含有量が低減した再生タバコ材の製造方法および再生タバコ材を提供することを目的とする。
従って、本発明は、天然タバコ材から得たタバコ抽出液から比較的簡便な手法により、ニコチン量を有意に減少させることなくTSNA量を減少させるためのタバコ抽出液の処理方法を提供することを目的とする。また本発明は、TSNA含有量が低減した再生タバコ材の製造方法および再生タバコ材を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面によれば、天然タバコ材を抽出溶媒で抽出することによって得られた抽出液をビフィズス菌と接触させ、それにより前記抽出液中のタバコ固有のニトロソアミンを減少させることを特徴とするタバコ抽出液の処理方法が提供される。
また、本発明の第2の側面によれば、(a)天然タバコ材を抽出溶媒で抽出し、該天然タバコ材の成分を含む抽出液と抽出残渣を得る工程、(b)前記抽出液をビフィズス菌と接触させて前記抽出液中のタバコ固有のニトロソアミンを減少させる工程、(c)前記抽出残渣を用いて再生タバコウエブを調製する工程、(d)前記ビフィズス菌と接触させた抽出液の少なくとも一部を前記再生タバコウエブに添加する工程を包含する再生タバコ材の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第3の側面によれば、本発明の再生タバコ材の製造方法により製造された再生タバコ材が提供される。
さらに、本発明の第3の側面によれば、本発明の再生タバコ材の製造方法により製造された再生タバコ材が提供される。
本発明によれば、天然タバコ材から得た抽出液から比較的簡便な手法により、ニコチン量を有意に減少させることなく、TSNA量を減少させることができる。従って、有意量のニコチンを含有するが、TSNA量が低減された再生タバコ材を製造することができる。
以下、本発明を種々の態様に沿ってより詳しく説明する。
本発明は、ビフィズス菌を用いて、ニコチンの損失を極力抑えて、天然タバコ材から水系抽出溶媒による抽出で得られたタバコ抽出液中のTSNA(N’−ニトロソノルニコチン(NNN)、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)、N’−ニトロソアナバシン(NAB)、N’−ニトロソアナタビン(NAT)等)量を減少させるものであり、得られた抽出液を、抽出残渣を用いて調製された再生タバコウエブに添加することにより、再生タバコ材を製造するものである。
図1は、本発明の1つの態様により再生タバコ材を製造する方法を説明するためのフロー図である。この再生タバコ材の製造方法には、本発明のタバコ抽出液の処理方法が包含されている。
図1に示すように、まず、天然タバコ材11と抽出溶媒12を混合し、撹拌することにより天然タバコ材11を抽出処理S1に供する。
天然タバコ材11としては、タバコの葉、刻み、中骨、茎、根およびそれらの混合物を用いることができる。抽出溶媒としては、水系溶媒を用いることができる。水等の水系抽出溶媒は、アルカリ性であっても、酸性であってもよい。水系抽出溶媒として、水と水混和性有機溶媒との混合物も使用し得る。そのような有機溶媒の例を挙げると、エタノールのようなアルコール類である。これら抽出溶媒には、水酸化ナトリウムのような無機塩を溶解して用いることもできる。抽出処理S1は、通常、50〜100℃の温度で、5分〜6時間程度行われる。
抽出処理S1の終了後、得られた抽出混合物を例えばろ過等による分離操作S2に供し、抽出液13と抽出残渣14に分ける。抽出液13は、天然タバコ材中の水溶性成分、例えばニコチン、TSNA等を含む。
抽出残渣14は、実質的に繊維からなる。この抽出残渣14を用いて、常法により、再生タバコウエブ15を製造する。この再生タバコウエブ15は、その一部が抽出残渣14により構成されるものでもよいし、その全部が抽出残渣14により構成されるものでもよい。
抽出残渣14は、実質的に繊維からなる。この抽出残渣14を用いて、常法により、再生タバコウエブ15を製造する。この再生タバコウエブ15は、その一部が抽出残渣14により構成されるものでもよいし、その全部が抽出残渣14により構成されるものでもよい。
他方、分離操作S2から得られた抽出液13は、ビフィズス菌との接触工程(処理工程)S4に供する。ビフィズス菌とは、ビフィドバクテリウムと総称される菌株群を指す。かかるビフィズス菌には、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティスが含まれる。本発明において、この接触工程S4は、抽出液13にビフィズス菌を添加し、攪拌することにより行うことができる。ビフィズス菌は、適当な担体に担持させて使用することもできる。ビフィズス菌を用いることにより、タバコ抽出液中のニコチン量を有意に減少させることなく、TSNA量を低減させることができる。
用いるビフィズス菌の量は、抽出液13中の可溶性成分の重量の3000%以上または30倍以上に相当する量であることが好ましい。抽出液中の可溶性成分の量は、凍結乾燥法によって知ることができる。
また、抽出液13とビフィズス菌との接触時間は、使用するビフィズス菌の量にもよるが、長いほどビフィズス菌により除去されるTSNA量が多くなる。通常、この接触時間は、1〜50時間である。また、この接触は、20〜100℃の温度で行うことができる。
こうしてビフィズス菌による処理を行った抽出液を必要に応じてろ過等の分離工程(S5)に供してビフィズス菌を除去することができる。こうして得られる処理済抽出液は、比較的濃度が低いためこれを濃縮(S6)することが望ましい。こうして濃縮した抽出液の一部または全部を再生タバコウエブ15に添加(S5)することにより、再生タバコ材16が得られる。こうして得られる再生タバコ材16を用いて作製したシガレットは、燃焼時に生成する煙中のTSNAが有意に低減したものとなる。
以上、本発明を各種態様に沿って説明したが、本発明は上記態様に限定されるものではない。いうまでもなく、上記種々の態様を組み合わせることもできるし、種々の変形等を行うこともできる。例えば、タバコ抽出液をビフィズス菌と接触させる前または接触させた後に、タバコ抽出液を膜分離等の他の成分分離工程に供することができる。
また、ビフィズス菌の変わりに、ビフィズス菌と同様にタバコ抽出液中でニトロソアミンを低減させる機能を備えた微生物を用いることもできる。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1〜2
温度25℃で、バーレー種タバコ葉刻み250gを蒸留水2000mLと混合し、撹拌することによりタバコ刻みの抽出を行った。得られた抽出混合物をろ過し、抽出液と、抽出残渣に分けた。
温度25℃で、バーレー種タバコ葉刻み250gを蒸留水2000mLと混合し、撹拌することによりタバコ刻みの抽出を行った。得られた抽出混合物をろ過し、抽出液と、抽出残渣に分けた。
得られた抽出液20mL(可溶成分量0.90mg)にビフィドバクテリウム・ロンガム50mgを添加し、25℃で3時間(実施例1)または20時間(実施例2)攪拌した。この処理後の抽出液中のニコチンと、ニトロソアミン(NNN、NNK、NABおよびNAT)の量を分析した。なお、TSNA量は、Aristaの刻み中TSNA測定法(Official Method T-309, Determination of Nitrosamines in Whole Tobacco, made by the Department of Health, dated December 31, 1999)に準じて測定した。すなわち、タバコ抽出液もしくはビフィズス菌処理抽出液をLC−MS/MSに供して測定した。また、ニコチン量は、ドイツ標準化機構DIN 10373に準ずる方法で行った。すなわち、タバコ抽出液もしくはビフィズス菌処理抽出液に水酸化ナトリウムを加えアルカリ性にし、ついでヘキサンを加えて混合し、ニコチンをヘキサン相に移行させ、ヘキサン相のみをGC/FIDに供して測定した。この分析結果からニコチンとニトロソアミンの低減率(%)を式[(処理前の量−処理後の量)÷処理前の量]×100により算出した。結果を下記表1に示す。表1には、ビフィズス菌による処理を行わなかった場合(対照)の結果も併せて示す
表1に示すように、ビフィズス菌による3時間の処理でも、NNNの低減率は55%、NATの低減率は36%、NNKの低減率は33%、NABの低減率は15%であり、TSNAが有意に低減されていることがわかる。ビフィズス菌による20時間の処理では、NNN、NNK、NABおよびNATのいずれも100%の低減率で低減されている。いずれの場合にも、ニコチンは全く減少していない。
実施例3〜4
温度50℃で、バーレー種タバコ刻み、黄色種タバコ刻み、バーレー種タバコ中骨および黄色種タバコ中骨の混合物30kgを水道水200Lと混合し、攪拌することによってタバコの抽出を行った。得られた抽出混合物を抽出液と、抽出残渣に分けた。
温度50℃で、バーレー種タバコ刻み、黄色種タバコ刻み、バーレー種タバコ中骨および黄色種タバコ中骨の混合物30kgを水道水200Lと混合し、攪拌することによってタバコの抽出を行った。得られた抽出混合物を抽出液と、抽出残渣に分けた。
得られた抽出液20mL(可溶成分量0.94mg)にビフィドバクテリウム・ロンガム10mgまたは30mgを加え、25℃で20時間攪拌した。この処理液の抽出液中のニトロソアミン量を、実施例1、2と同様に分析した。結果を表2に示す。表2には、ビフィズス菌による処理を行わなかった場合(対照)の結果も併せて示す。
表2に示すように、ビフィズス菌量が10mg(対可溶成分比1064%)でも、低減率は0〜30%であるが、TSNA低減が認められる。同30mg(対可溶成分比3191%)では、低減率は30〜100%でTSNA低減が認められる。
11…天然タバコ材、12…抽出溶媒、13…抽出液、14…抽出残渣、15…再生タバコウエブ、16…再生タバコ材、S1…抽出処理、S2…分離、S3…抄紙、S4…ビフィズス菌との接触、S5…分離、S6…濃縮、S7…添加
Claims (3)
- 天然タバコ材を抽出溶媒で抽出することによって得られた抽出液をビフィズス菌と接触させ、それにより前記抽出液中のタバコ固有のニトロソアミンを減少させることを特徴とするタバコ抽出液の処理方法。
- (a)天然タバコ材を抽出溶媒で抽出し、該天然タバコ材の成分を含む抽出液と抽出残渣を得る工程、
(b)前記抽出液をビフィズス菌と接触させて前記抽出液中のタバコ固有のニトロソアミンを減少させる工程、
(c)前記抽出残渣を用いて再生タバコウエブを調製する工程、
(d)前記ビフィズス菌と接触させた抽出液の少なくとも一部を前記再生タバコウエブに添加する工程
を包含する再生タバコ材の製造方法。 - 前記請求項2に記載の再生タバコ材の製造方法により製造された再生タバコ材。
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