JP2022096798A - 低カフェイン紅茶葉の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 茶葉中のタンニン含量および可溶性固形分ならびに紅茶らしく嗜好性の高い香味を維持しつつカフェインを低減された紅茶葉を製造する技術を提供すること。【解決手段】 紅茶葉を、予めカフェインを低減した低カフェイン紅茶エキスで抽出した後に、さらに茶葉を水で抽出する。これら抽出液を合一してから活性炭で処理してカフェインを低減し、この低カフェイン抽出液を前記の水抽出後の茶葉に吸収させた後に、茶葉を乾燥させることによって、低カフェイン化された紅茶葉を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、カフェインが低減された紅茶葉の製造方法に関する。
茶やコーヒーなどの飲料に含まれるカフェインは覚醒作用、利尿作用等の生理効果を示す一方、過剰摂取すると悪心、不眠、心悸亢進等の有害作用を引き起こす原因にもなるとされており、カフェインが低減された茶葉が従来から求められてきた。また、近年では睡眠の質の改善や向上に注目が集まり、就寝前に茶を嗜みたい一方でカフェインの摂取は避けたいという需要も増えている。
これまでに、茶葉からカフェインを低減する方法として、荒茶の製造時に生葉を熱水に浸漬してカフェインを溶脱させる方法(特許文献1)、超臨界二酸化炭素により抽出除去する方法(特許文献2)などが提案されている。
他方でコーヒーに関しても同様の需要により、カフェインを低減したコーヒー豆に関する手段が検討されている。例えば、コーヒー生豆から水を使用してカフェインを低減する方法として、スイスウォータープロセスとフレンチウォータープロセスと呼ばれる方法が提案されている(非特許文献1)。スイスウォータープロセスは、コーヒー生豆の熱水抽出液を活性炭フィルターでカフェインを吸着除去したフレーバー水を用いて、新たなコーヒー生豆を抽出することでカフェインのみを選択的に除去する方法である。また、フレンチウォータープロセスは、コーヒー生豆を熱湯に24時間以上抽出してから豆と抽出液を分離し、豆を乾燥させ、一方で抽出液は天然フィルターでカフェインを低減してから乾燥したコーヒー豆に吸収させる方法である。これら手法では処理後の生豆を乾燥し、焙煎することによって飲用に供するコーヒー豆の状態にするものである。
上記のコーヒー生豆に対する処理に近い手段を茶葉に適用した特許文献3には、茶葉を熱水で抽出して固液分離する工程に続き、抽出液を活性炭処理してカフェインを低減してカフェイン除去抽出物溶液とする工程と、前記固液分離した茶葉を、前記のカフェイン除去抽出物溶液に接触させて固液分離する工程を繰り返し行うカフェイン低減茶葉の製造方法が開示されている。
特開平7-135902公報 特開平1-289448号公報 特表2017-510256号公報
Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 2010 Jun. 03,Vol.39,No.5,p.441-456
茶葉を低カフェイン化する手段に関し、熱水処理法では、カフェインと共に渋みの構成成分であるカテキンなどのタンニン分(本発明においては茶ポリフェノールと同様に扱う)や旨みの構成成分であるアミノ酸などの有用成分の損失が起こる上に、カフェインの除去効率も十分ではなかった。さらに、生葉を熱水処理する場合は、発酵の工程を踏まない緑茶には適用できるが、熱によって茶葉中の酵素が失活してしまうため、熱水処理後の生茶葉から紅茶を製造しようとしても、紅茶の香味や水色の形成にもっとも重要な萎凋や発酵といった酵素反応を伴う工程が進行しないため、この方法を用いて紅茶葉を得ることは不可能である。一方で、乾燥紅茶葉を原料として熱水処理する場合には、乾燥茶葉は生葉やコーヒー生豆などと比較して内容成分の溶出速度が速いため、紅茶特有の香気やタンニンなどが容易に浸出してしまい、これら有用成分の損失が避けられない。
また、超臨界二酸化炭素によりカフェインを抽出除去する方法では、タンニンやアミノ酸などの有用成分の損失が少なく、カフェインの選択除去という点においては非常に優れた手段であるといえる。しかしながら、この方法では、カフェインと共に揮発性の香気成分が損失してしまう問題や工業的にカフェイン除去を実施するためには大規模な専用設備の導入が必要となり、コスト面での問題などがあった。
さらに、コーヒー生豆に対する処理法であるスイスウォーター式やフレンチウォーター式のカフェイン低減方法を生茶葉に適用しようとした場合、茶の生葉を熱水で処理した際の熱によって茶葉中の酵素が失活してしまう。そのため、カフェイン低減後の生茶葉から紅茶を製造しようとしても、紅茶の香味や水色の形成にもっとも重要な萎凋や発酵といった酵素反応を伴う工程が進行しないため、この方法で生茶葉から紅茶を得ることは不可能である。一方、生茶葉ではなく、加工された紅茶葉に適用しようとした場合には、選択的にカフェインを溶脱させることが困難となり、カフェインとともに香味形成に重要な呈味成分や香り成分が損失してしまう。コーヒー豆ではカフェイン低減後の焙煎工程によってコーヒー本来の焙煎香が形成されるため、コーヒー本来の嗜好性を維持することができるが、紅茶葉では乾燥工程で紅茶本来の香りを形成することはできない。したがって、これら方法で香味の優れた紅茶葉を得ることは困難であり、この点での課題解決が求められる。
さらに、特許文献3に記載の方法では、カフェインを低減するために茶抽出液を複数回にわたり活性炭と接触させるため、カフェインと共に茶葉から抽出されるタンニンや香気成分が活性炭に吸着され、最終的に紅茶成分が乏しい茶葉となってしまうため、紅茶としての嗜好性低下が避けられない。
以上の通り、紅茶葉からカフェインを低減する手段には多くの課題があり、依然としてさらなる改良技術が求められている。そこで本発明の課題は、茶葉中のタンニンなどの茶固形分ならびに紅茶らしく嗜好性の高い香味を維持しつつ、カフェインが低減された紅茶葉を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、紅茶葉に対しての抽出操作でカフェインを低減する方法において、茶葉の初回抽出時に低カフェイン紅茶抽出物溶液を用いること、および初回抽出以降に低カフェイン紅茶抽出物溶液と水を用いた抽出を組み合わせることで、紅茶成分の溶出が大きい初回の抽出時に茶葉と抽出溶液の濃度勾配を最小限に抑え、タンニン分や香気成分などの紅茶成分を茶葉内に留めながら茶葉内のカフェインを低減でき、嗜好性の高い紅茶らしい香味を有する紅茶葉が調製できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]紅茶葉を低カフェイン紅茶抽出物溶液で抽出した後に固液分離して茶葉と抽出液を得る第一の工程と、
第一の工程後の茶葉をさらに水で抽出し、固液分離して茶葉と抽出液を得る第二の工程と、
第一の工程で得られる抽出液と第二の工程で得られる抽出液を合一し、活性炭に接触させてカフェインを低減する第三の工程と、
第二の工程で得られる茶葉に第三の工程で得られる低カフェイン化した紅茶抽出液を吸収させ、固液分離して茶葉と残液を得る第四の工程と、
第四の工程で得られる茶葉を乾燥させる第五の工程と、を有する低カフェイン紅茶葉の製造方法。
[2]第一の工程から第五の工程を経ることによって、茶葉中のカフェイン含有率を0.5%以下とすることを特徴とする[1]に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
[3]第二の工程を1~3回行うことを特徴とする[1]または[2]に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
[4]第四の工程における低カフェイン化した紅茶抽出液の可溶性固形分濃度が1.0~7.0%であることを特徴とする[1]から[3]に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
[5]第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物溶液の可溶性固形分濃度が2.0~10.0%であることを特徴とする[1]から[4]に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
[6]第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物中のカフェイン含有率が1.0%以下であり、さらに第四の工程における低カフェイン化した紅茶抽出液の可溶性固形分中のカフェイン含有率が0.5%以下であることを特徴とする[1]から[5]に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
[7]さらに、第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物中のタンニン含有率が15~35%であることを特徴とする[6]に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
本発明によれば、カフェインが十分に低減されながらも、タンニンなどの茶固形分(本明細書では可溶性固形分ともいう)が殆ど失われておらず、紅茶らしく嗜好性の高い香味を有する紅茶葉を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、特別な記載がない場合、「%」は質量%を示す。また、「下限値~上限値」の数値範囲は、特に他の意味であることを明記しない限り、「下限値以上、上限値以下」の数値範囲を意味する。
本発明において、第一、第二、第四の工程で茶葉と溶液を接触させる方法としては、ニーダーや抽出用タンク等を用いたバッチ式処理方法や抽出塔を用いたカラム式処理方法等の公知の方法が挙げられる。このうち、カラム式処理方法が接触処理を連続的に操作することができるため、製造効率に優れている点で好適である。
上記茶葉と溶液を接触させる工程後には茶葉と溶液とを分離する。分離の手段としては、メッシュフィルター等で濾過する方法や遠心力分離を用いた分離方法等の公知の方法が挙げられる。例えば、抽出操作にニーダーを用いる場合には、デカンテーションする際にニーダーの蓋や受けタンクにメッシュフィルターを設置して固液分離する方法などが挙げられる。また、抽出用タンクや抽出塔を使用する場合は抽出タンク下部や抽出液を抜き出す配管にメッシュフィルターを設置することで固液分離することができる。さらに、メッシュフィルターで固液分離した後の抽出液を連続式遠心機で処理することで、フィルターを通過した細かな茶葉を回収することもできる。
本発明の第一の工程では、紅茶葉を低カフェイン紅茶抽出物溶液で抽出した後に固液分離して茶葉と抽出液を得る。この工程において、抽出溶液として低カフェイン紅茶抽出物溶液を用いることによって、水で抽出した場合と比較してカフェインの抽出(低減)効率を高めることができる。
本発明の製造方法における原料茶葉としては、チャノキ(学名:Camellia sinensis)の葉や茎などの摘採物を原料として発酵を含む工程で製造された紅茶葉(荒茶や仕上げ茶)である。紅茶葉の種類としては、ダージリン、アッサム、ニルギリ、ディンブラ、ウバ、ヌアラエリア、ケニア、キーモン等の紅茶葉を1種あるいは2種以上の茶葉をブレンドしたものを原料として使用できる。また、やぶきた、べにほまれ、べにひかり、べにふじ、べにふうきなどの品種から加工された日本産紅茶葉を使用してもよい。また、紅茶等の完全発酵茶以外にも、烏龍茶等の半発酵茶、プアール茶などの後発酵茶なども紅茶同様に用いることができる。なお、本発明においては一般に流通している市販の茶葉を使用してもよい。
茶葉の形状については特に限定されず、使用する設備に適したものを適宜選択すればよい。例えば、カラム式抽出機を用いる方法では、細かい形状の茶葉であると抽出の際に茶葉が膨潤して抽出液の液抜けが悪くなり処理効率が低下する原因なるため、大きな形状の茶葉を用いたり、形状の異なる茶葉を組み合わせたりするのがよい。一方で、抽出タンクやニーダーなどのバッチ式の方法では抽出による茶葉形状の影響は少ない。
本発明の製造方法における低カフェイン紅茶抽出物としては、チャノキの葉や茎などの摘採物から製造された紅茶葉を原料に抽出して得られる抽出物であって、カフェインが十分に低減されているものであればその形態や製造方法は特に限定されない。低カフェイン紅茶抽出物を得る手段としては、超臨界二酸化炭素抽出や熱水抽出によってカフェインを予め除去した紅茶葉から抽出物を製造する方法、熱水抽出によって得られる紅茶抽出物を活性炭や酸性白土、活性白土などの吸着材により吸着除去する方法、茶葉抽出液をセラミック膜、限外ろ過膜、逆浸透膜、ナノろ過膜を組み合わせた膜処理による製造方法で製造されたものが挙げられ、いずれも本発明に用いることができる。なお、低カフェイン紅茶抽出物は乾燥状態の粉末品であってもよい。
低カフェイン紅茶抽出物はカフェインが十分に低減されているものであればよく、抽出物固形分中のカフェイン含有率は1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。このような紅茶抽出物の市販品としては例えば、三井農林(株)製の「紅茶エキスパウダーBCL」(カフェイン含有率0.1%以下)が好適に挙げられる。
第一の工程における処理条件として、低カフェイン紅茶抽出物溶液の液量は使用する茶葉量に対して5~20倍が好ましく、より好ましくは6~15倍、さらに好ましくは7~12倍である。抽出液が5倍より少ないと抽出液が茶葉に吸収され抽出や回収の操作が困難になり、20倍より多いと香味成分の損失が大きいため適さない。また、低カフェイン紅茶抽出物溶液の可溶性固形分濃度としては2.0~10%、より好ましくは3~10%、さらに好ましくは5.0~10%である。2.0%以下だとカフェイン低減時の香味保持が十分にできず、10%以上だとカフェイン低減後の茶葉に低カフェイン紅茶抽出物が大量に残存し、呈味が損なわれるため好ましくない。抽出時の温度は好ましくは20~100℃、より好ましくは30~100℃、さらに好ましくは40~100℃である。20℃以下ではカフェインの除去が十分にできず、100℃以上では茶葉の香味損失が大きいため適さない。また、抽出時間は好ましくは1~50分、より好ましくは2~30分、さらに好ましくは3~15分である。1分以下ではカフェインの除去量が不十分となり、50分以上では茶葉の香味損失が大きいため適さない。抽出後には上述した方法によって抽出液と抽出後の茶葉を固液分離する。
本発明の第二の工程では、第一の工程後の茶葉をさらに水で抽出し、固液分離して茶葉と抽出液を得る。この工程では、第一の工程後の茶葉に残存するカフェインやその他可溶性固形分を回収することが目的であり、カラム式の処理では所望する茶固形分量が得られるまで連続処理すれば良く、バッチ式の処理でも抽出と固液分離の操作を繰り返し行えばよい。繰り返しの回数は好ましくは1~3回であり、繰り返し行うことによって茶葉中のカフェイン残存量を低くすることができるが、3回を超える回数で繰り返した場合には、紅茶らしい香りが弱まり、異臭を伴う恐れがあることに加え、作業工程が煩雑になるため好ましくない。そのため、本発明における第二の工程は2回繰り返して行うのがより好ましい。なお、カラム式設備で本工程を行う場合、乾燥茶葉量の5倍量の溶出液を得る単位を1回とし、2回繰り返すとは10倍量の溶出液を回収する場合を意味する。第二の工程における茶葉と水との倍率、温度、抽出時間は第一の工程と同様である。抽出に用いる水は、飲用に適した水であれば良く、好ましくはイオン交換水である。
本発明の第三の工程では、第一の工程で得られる抽出液と第二の工程で得られる抽出液を合一し、活性炭に接触させてカフェインを低減する。第一の工程と第二の工程で得られる抽出液はカフェインを含有しており、この抽出液からカフェインを低減することによって、最終的な茶葉中のカフェイン含有量を低く抑えることができる。また、第二の工程を繰り返し実施する場合には、その抽出液の全量を合一させる必要は無く、カフェイン含量や茶固形分含量によって、適宜判断すればよい。活性炭処理の方法としては、活性炭を充填したカラム塔に抽出液を通液させる方法や、抽出タンクやニーダー内で抽出液と活性炭を接触撹拌する方法など、従来公知の方法を用いることができる。活性炭処理時の温度は好ましくは20~80℃、より好ましくは20~70℃、さらに好ましくは20~60℃である。20℃より低いと活性炭へのカフェイン吸着が不十分になり、80℃より温度が高いと香味が劣化する原因となる。また、処理(接触)時間は、20~90分が好ましい。20分より短いと活性炭へのカフェイン吸着が不十分になり、90分より長いと香味の劣化が無視できなくなるため、好ましくない。この活性炭処理後における紅茶抽出物溶液の可溶性固形分中のカフェイン含有率は好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。また、活性炭処理後の活性炭の分離方法としては、メッシュフィルターを用いた方法やカートリッジフィルターやろ布、ろ紙、ろ過板、濾過助剤を併用したフィルタープレスなどのろ過方法や遠心分離を用いた方法などの従来公知の方法が挙げられる。
本発明における第三の工程で使用できる活性炭としては、カフェインを吸着できるものであれば良いが、カフェインを選択的に吸着できる性質のものがより好ましい。活性炭の種類としては、例えば、粒状炭、粉末炭、顆粒炭、破砕炭等を使用することができる。活性炭の起源としてはヤシ殻や木質材料を原料としたものが好ましく、賦活方法についてはガス処理によって賦活されたものが好ましい。また、平均粒径は1.5mm以下のものが好ましい。本発明に使用することのできる活性炭の市販品としては、(株)クラレ製「クラレコール」シリーズのGW、GW-H、PW、PK、フタムラ化学(株)製「太閤活性炭」シリーズのCW6100SZ、CW6100A、CW360AR、CW360A、CW360SZ、SG、SGAなどの銘柄が例示できる。
本発明における第四の工程では、第二の工程で得られる茶葉に第三の工程で得られる低カフェイン化した紅茶抽出液を接触させて茶葉中に吸収させ、固液分離して茶葉と残液を得る。この工程によって第二の工程までの工程でカフェインやその他茶固形分が十分に取り除かれた茶葉中へ第三の工程で得られる低カフェイン化された紅茶抽出液中の成分を茶葉中に取り込ませることができる。この工程での処理方法も、第一、第二の工程と同様にバッチ式やカラム式の方法を用いることができる。接触時の茶葉の状態は、水分を含んだままでも一度乾燥させた状態でもよい。接触時の茶葉に対する抽出液の比率は好ましくは5~20倍、より好ましくは6~15倍、さらに好ましくは7~12倍である。抽出液中の可溶性固形分濃度は好ましくは1.0~7.0%、より好ましくは2.5~7.0%、さらに好ましくは2.5~6.0%である。茶固形分濃度が1%以下だと香味の還元が十分にできず、7%以上だと茶葉内への茶成分の浸透が緩慢になり好ましくない。第四の工程時の抽出液濃度を適切に調整することで、抽出後の茶葉にカフェイン以外の紅茶成分を含ませられ、香味に優れた低カフェイン紅茶葉を得ることができる。本工程での処理温度は好ましくは20~80℃、より好ましくは20~70℃、さらに好ましくは20~60℃である。20℃以下ではカフェインの低減が十分にできず、80℃以上では茶葉の香味損失が大きいため、好ましくない。抽出液と茶葉との接触時間は、好ましくは1~50分、より好ましくは2~30分、さらに好ましくは3~15分である。1分以下ではカフェインの低減が不十分となり、50分以上では茶葉の香味損失が大きいため適さない。接触後の茶葉の分離は第一工程と同様にして行えばよい。この際、分離される残液は第三の工程と同様にして活性炭処理などでカフェインを低減することによって、次回製造での第一工程に使用される低カフェイン紅茶抽出物溶液として再利用することができる。その場合、溶液中の茶固形分濃度はこの溶液の濃縮や、別途低カフェイン紅茶抽出物を添加するなどして調整すればよい。
本発明の第五の工程では、第四の工程で得られる茶葉を乾燥させる。乾燥には、熱風乾燥機、ドラムドライヤー、コンベア式熱風乾燥機、スチームチューブドライヤー、凍結乾燥機又は気流式乾燥機等の装置を用いた公知の乾燥方法が挙げられる。これらの中でも熱風乾燥機が運用面、コスト面から容易であり、茶葉を周囲の雰囲気温が60~100℃の条件下で茶葉中の水分含量が6%以下になるまで乾燥するのが好ましい。
本発明の低カフェイン紅茶葉は上記の第一の工程から第五の工程を経ることによって製造することができる。本発明において低カフェイン紅茶葉とは、茶葉中のカフェイン含有率が通常の茶葉よりも低減されている紅茶葉を意味する。一般的には紅茶葉中のカフェイン含有率は2.9%程度であり(参考文献2:文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会編集、「日本食品標準成分表2015年度版(七訂)」、全国官報販売協同組合、平成27年12月25日、p.242-243)、本発明においては少なくともカフェインが半減された状態を低カフェイン紅茶葉とするが、8割以上低減された状態がより好ましい。具体的には茶葉中のカフェイン含有率は0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましい。また、茶葉中の可溶性固形分含量は10~30%が好ましく、18~28%がより好ましい。
本発明で製造することのできる低カフェイン紅茶葉は一般的な紅茶葉と同様に使用できる。例えば、茶葉そのものを主体として利用する例としては、各種容器に茶葉を包装して製品とするほか、ティーバッグ等の形態として、またインスタント茶や容器詰め茶飲料の原料として利用することもできる。また、果皮やハーブなどの茶以外の植物原料をブレンドしても良く、香料を用いて香りを付与した形態としてもよい。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<茶葉中の可溶性固形分量、タンニン量の測定方法>
茶葉2.0gを熱湯150mLにて2分間抽出し200メッシュフィルターでろ過したものを分析に用いた。この溶液について、密度比重計(メーカー:京都電子工業社製、型番:D300)を用いて可溶性固形分(茶固形分)を測定した。タンニンは酒石酸鉄吸光光度法により測定した(参考文献1:文部科学省科学技術・学術政策局政策課資源室監修、「日本食品標準成分表2015年度版(七訂)分析マニュアル・解説」、建帛社2016年2月、p.242-243)。
<茶葉中のカフェイン測定方法>
粉砕した乾燥茶葉約200mgに80%メタノール40mLを加えて超音波洗浄機で60分間抽出した後、1N塩酸400μLを加え、水で100mLに定容した溶液を細孔0.2μmのメンブレンフィルター(アドバンテック)を通過させた濾液をカフェイン測定に用いた。
カフェインの定量はHPLC法にて以下の条件で行った。
・標準物質:カフェイン(関東化学(株)製)
・装置:Acquity UPLCシステム(ウォーターズ社製)
・カラム:Meteoric Core C18(3.0×150mm,粒子径2.7μm、YMC社製)
・カラム温度:50℃
・移動相:A液 0.05%リン酸水/アセトニトリル=1000/25(体積比)、B液 メタノール
・グラジエント条件:
0~1分:B液5% → 1~8.46分:B液5~35% → 8.46~9.31分:B液35% → 9.31~9.81分:B液35~90% → 9.81~10.67分:B液90% → 10.67~11.19分:B液90~5% → 11.19~14.07分:B液5%
・流速:0.8mL/min
・検出:UV275nm
<試験例1>
[比較例1]
特許文献4(特表2017-510256号公報)の記載内容を参考にした以下の方法によって比較例1となる紅茶葉を調製した。
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを水50gにて20分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の抽出液中に含まれる茶固形分量に対して80重量%相当となる活性炭((株)クラレ製「クラレコールGW-H」、以下GW-Hとして示す)を45℃条件下で40分間接触させてカフェインを低減する第二工程を実施した。
第一工程後の茶葉を第二工程後のカフェイン低減紅茶抽出物溶液にて20分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第三工程を実施した。
第三工程後の抽出液中に含まれる茶固形分量に対して80重量%相当となる活性炭(GW-H)を45℃条件下で40分間接触させてカフェインを低減する第四工程を実施した。
第三工程後の茶葉を第四工程後のカフェイン低減紅茶抽出物にて20分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第五工程を実施した。
第五工程後の抽出液中に含まれる茶固形分量に対して80重量%相当となる活性炭(GW-H)を45℃条件下で40分間接触させてカフェインを低減する第六工程を実施した。
第五工程後の茶葉を第六工程後のカフェイン低減紅茶抽出物にて20分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第七工程を実施した。
第七工程後の茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例1の紅茶葉を得た。
[比較例2]
非特許文献1(Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 2010 Jun. 03,Vol.39,No.5,p.441-456)に記載のスイスウオーター式デカフェ方法の記載内容を参考に、コーヒー生豆を紅茶葉に置き換えた以下の方法によって比較例2となる紅茶葉を調製した。
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを常温の水50gに16時間浸漬させて抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の茶葉を低カフェイン紅茶抽出物(三井農林(株)製「紅茶エキスパウダーBCL」、以下BCLとして示す)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(i)を実施した。
第二工程(i)後の茶葉をさらに低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(ii)を実施した。
第一工程後の抽出液と第二工程(i)後の抽出液を合一し、合一液中の茶固形分量に対して80重量%相当となる活性炭(GW-H)を45℃条件下で40分間接触させてカフェインを低減する第三工程を実施した。
第二工程(ii)後の茶葉を第三工程後の低カフェイン紅茶抽出液50gに7.5分間60℃条件下で接触させ、200メッシュフィルターにて固液分離して茶葉と抽出液を得る第四工程を実施し、得られた茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例2の紅茶葉を得た。
[比較例3]
比較例2の第一工程における浸漬時間を7.5分、温度を60℃とした以外は比較例2と同様に操作し、比較例3の紅茶葉を調製した。
[比較例4]
比較例4となる紅茶葉を以下の方法で調製した。
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを水50gにて7.5分間60℃条件下で抽出した後に200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の茶葉を50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程を実施した。
第二工程後の茶葉をさらに50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第三工程を実施した。
第三工程後の茶葉をさらに50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第四工程を実施した。
第四工程を実施し得られた茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例4の紅茶葉を得た。
[比較例5]
比較例5となる紅茶葉を以下の方法で調製した。
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出した後に200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の茶葉を低カフェイン紅茶抽出物溶液(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程を実施した。
第二工程後の茶葉をさらに低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第三工程を実施した。
第三工程後の茶葉をさらに低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第四工程を実施した。
第四工程を実施し得られた茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例5の紅茶葉を得た。
[実施例1]
実施例1となる紅茶葉を以下の方法で調製した。
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出した後に200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一の工程を実施した。
第一の工程後の茶葉を50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二の工程(i)を実施した。
第二の工程(i)で得られた茶葉をさらに50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二の工程(ii)を実施した。
第一の工程で得られた抽出液と第二の工程(i)で得られた抽出液を合一し、合一液中の茶固形分量に対して80重量%相当となる活性炭(GW-H)を45℃条件下で40分間接触させてカフェインを低減する第三の工程を実施した。
第二の工程(ii)で得られた茶葉を第三の工程で得られた低カフェイン化した紅茶抽出液50gに7.5分間60℃条件下で接触させ、200メッシュフィルターにて固液分離して茶葉と抽出液を得る第四の工程を実施し、得られた茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、実施例1の低カフェイン紅茶葉を得た。
[試験例1:比較例1~5、実施例1の評価]
比較例1~5および実施例1にて調整した茶葉2.0gを150gの熱湯にて2分間抽出し、官能評価した。また、前述の方法にて茶葉中のタンニン、茶固形分、カフェインを測定した。また、比較例・実施例にて使用した茶葉(ケニヤ産、CTC茶葉)を比較例6として、比較評価に供した。
官能評価における評価は、香味や異臭についての識別やそれらの濃度識別についてトレーニングされた専門パネラー5名で実施した。評価は、香り(紅茶らしい香りが感じられるか)、味(紅茶らしい味が感じられるか)、異味異臭(紅茶本来の香味以外の香味が存在しないか)の3項目について着目し、1点(低評価)~5点(高評価)で評点させた。5名の評価点は平均化し、平均点が2.0未満を×、2.0以上で3.0未満を△、3.0以上で4.0未満を○、4.0以上を◎とした。総合評価では、カフェイン含有量、タンニン含有量、茶固形分含有量と官能評価における全体的な評価について総合的に評価した。また、評価した際のパネラーのコメントを取り纏め、代表的なコメントを抽出した。これら評価点とコメントを成分分析値と併せて表1に示した。
Figure 2022096798000001
比較例1では茶葉中のカフェインは低減されているものの、飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分に乏しく、香味においても紅茶特有の呈味が感じられず、嗜好性の高い茶葉ではなかった。比較例2および3においては茶葉中のカフェイン低減や飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分については十分な値となっているが、香味についてはエグ味や苦みが強く紅茶らしい呈味に乏しいものであった。
比較例4については飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分に乏しく、香味においても紅茶特有の呈味が感じられないものであった。比較例5においては茶葉中のカフェインは低減され飲用抽出液中の茶固形分についても低カフェイン処理を施していない通常の茶葉と同レベルであったが、タンニン値が高く、香味においても渋みやエグ味が強く紅茶の香味バランスが損なわれていた。実施例1においては、茶葉中のカフェインが十分に低減され、飲用抽出液中の茶固形やタンニン分についても低カフェイン処理を施していない茶葉と遜色ない。また香味においても紅茶葉特有の香りを有し、雑味のない苦みや渋みなど紅茶らしい香味を有していた。
以上の結果より、先行技術と本発明の違いである初回の抽出に低カフェイン紅茶抽出物溶液を用いること、および初回抽出以降に低カフェイン紅茶抽出物溶液と水を用いた抽出を組み合わせることで、紅茶成分の溶出が大きい初回の抽出時に茶葉と抽出溶液の濃度勾配を最小限に抑えることによって紅茶成分を茶葉内に留めながらも茶葉内のカフェインを低減し、紅茶らしい香りや味を維持できることを確認した。すなわち、実施例1のように低カフェイン紅茶抽出物溶液にて茶葉を抽出し、茶葉と抽出液を得る第一の工程と第一の工程後の茶葉を水で抽出し茶葉と抽出液を得る第二の工程を得て製造するカフェイン低減茶葉は先行文献などと比較し、優れた香味を持った茶葉を製造できることが確認された。
<試験例2>
試験例1の結果より、初回抽出の処理に低カフェイン紅茶抽出物溶液を用いること、初回抽出以降の抽出に低カフェイン紅茶抽出物溶液と水を組み合わせて用いることが重要であることが分かった。この結果を踏まえ、初回抽出以降の抽出に低カフェイン紅茶抽出物溶液と水を組み合わせ用いることを検討するため、試験例2として比較例7~10を実施した。
[比較例7]
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを水50gにて7.5分間60℃条件下で抽出した後に200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の茶葉を低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(i)を実施した。
第二工程(i)後の茶葉をさらに50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(ii)を実施した。
第二工程(ii)後の茶葉をさらに低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第三工程を実施した。
第三工程後の茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例7の紅茶葉を得た。
[比較例8]
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出した後に200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の茶葉を50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(i)を実施した。
第二工程(i)後の茶葉をさらに50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(ii)を実施した。
第二工程(ii)後の茶葉をさらに50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第三工程を実施した。
第三工程後の茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例8の紅茶葉を得た。
[比較例9]
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出した後に200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の茶葉を50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(i)を実施した。
第二工程(i)後の茶葉をさらに50gの水にて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(ii)を実施した。
第二工程(ii)後の茶葉をさらに低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第三工程を実施した。
第三工程後の茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例9の紅茶葉を得た。
[比較例10]
紅茶葉(ケニヤ産、CTC)5gを低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出した後に200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第一工程を実施した。
第一工程後の茶葉を低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(i)を実施した。
第二工程(i)後の茶葉をさらに低カフェイン紅茶抽出物(BCL)の5%溶液50gにて7.5分間60℃条件下で抽出し、200メッシュフィルターで固液分離して茶葉と抽出液を得る第二工程(ii)を実施した。
第一工程後の抽出液と第二工程(i)後の抽出液を合一し、合一液中の茶固形分量に対して80重量%相当となる活性炭(GW-H)を45℃条件下で40分間接触させてカフェインを低減する第三工程を実施した。
第二工程(ii)後の茶葉を第三工程後の低カフェイン化した紅茶抽出液50gに7.5分間60℃条件下で接触させ、200メッシュフィルターにて固液分離して茶葉と抽出液を得る第四工程を実施し、得られた茶葉を80℃の乾燥機にて茶葉水分含量が6%以下になるように乾燥し、比較例10の紅茶葉を得た。
[試験例2:比較例7~10の評価]
上記比較例7~10で調製した茶葉について、試験例1と同様に評価し、その結果を表2に示した。
Figure 2022096798000002
比較例7~10はいずれも抽出処理により茶葉に含まれるカフェインは十分に低減できていた。比較例7については、飲用抽出液中の茶固形分およびタンニン値については低カフェイン処理を施していない通常茶葉と同定の値であったが香味評価において紅茶らしい香りに乏しかった。比較例8においては飲用抽出液中の茶固形分およびタンニン値が低く、香味においても紅茶らしい苦みや香りが感じられないものであった。比較例9については飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分については通常茶葉と変わらない値であり香味についても紅茶らしい程よい苦みを有しているが、紅茶特有の香りが弱いものであった。また、比較例10については飲用抽出液中の茶固形分については通常茶葉と変わらない値であり香味についても紅茶らしい香りを有しているが、渋みが強く苦みやエグ味を感じるものであった。
試験例2の結果から、茶葉を低カフェイン紅茶葉抽出物溶液で抽出した後に水で抽出し、それら抽出液を低カフェイン処理してから再度抽出に用いることが、低カフェイン紅茶抽出物溶液から供給された過剰な紅茶成分と残存するカフェインを低減させるため、香味に優れた嗜好性の高い紅茶を得るために特に重要であると認められた。これらの結果から、本発明における茶葉抽出の第一工程では抽出溶液として低カフェイン処理茶抽出物を用いること、茶葉抽出の第二の工程では水を用いること、第四の工程では第一の工程と第二の工程後の抽出液の低カフェイン処理液を使用することで、より香味に優れた低カフェイン紅茶葉を製造できることが確認された。
<試験例3>
試験例1および試験例2の結果より茶葉を低カフェイン紅茶葉抽出物溶液で抽出した後に水で抽出し、抽出液を低カフェイン処理し再度抽出に用いることがカフェインを低減し香味に優れた嗜好性の高い紅茶を得るために特に重要であることが確認された。本試験例ではさらに、第二の工程の繰り返し数による低カフェイン紅茶葉製造への影響の違いを確認するために、実施例2~4となる紅茶葉を以下の方法で調整した。
[実施例2~4]
実施例1における第二の工程を表3に示す回数にて実施することと、カフェイン低減をおこなう第三の工程に第一の工程および第二の工程における一回目の抽出液を用いること以外は実施例1と同様に操作し、実施例2~4の低カフェイン紅茶葉を得た。これらの紅茶葉について試験例1と同様にして評価し、その結果を表3に示した。
Figure 2022096798000003
実施例2では飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分が通常の茶葉と同レベルであり、紅茶らしい香りや渋み・コクなどを感じることができる茶葉であった。実施例3では飲用抽出液中の茶固形分およびタンニン分については通常の茶葉と比べてやや少ないものの、紅茶らしい香りと適度な渋味を有していた。実施例4については紅茶の香りを感じることはできるが、呈味においては渋みやボティ感などの紅茶らしさがやや乏しく感じられた。これらの結果から本発明に記載されている第二の工程を1~3回実施することで香味に優れた低カフェイン紅茶葉を製造できることが確認でき、特に第二の工程を2回実施したものが香味において特に優れたものであった。
<試験例4>
第一の工程および第四の工程に用いる低カフェイン紅茶抽出物溶液のカフェイン濃度の違いによる低カフェイン紅茶葉製造への影響を確認するために、実施例5~8となる紅茶葉を以下の方法で調整した。
[実施例5~8]
カフェイン試薬(白鳥製薬株式会社)を用いて第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物中のカフェイン濃度および第四の工程に使用する低カフェイン抽出液の固形分中のカフェイン濃度を表4に示す濃度に調整した以外は実施例1と同様に操作し、実施例5~8の低カフェイン紅茶葉を得た。これらの紅茶葉について試験例1と同様にして評価し、その結果を表4に示した。
Figure 2022096798000004
実施例5の紅茶葉については飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分が通常の茶葉と同レベルであり、紅茶らしい香りや渋み・コクなどを感じることができた。実施例6の紅茶葉は飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分には通常茶葉と同レベルであり、紅茶らしい香りがあるものの、苦味と渋みのバランスがやや悪く感じられた。実施例7の紅茶葉においては飲用抽出液中の茶固形分やタンニン分が通常茶葉と同レベルであり、紅茶らしい香りや渋み・コクなどを感じることができる茶葉であった。実施例8の紅茶葉ではカフェインの低減が若干少なかった。これら結果から、本発明の第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物中のカフェイン含有率を1.0%以下、第四の工程における低カフェイン化した紅茶抽出物中のカフェイン含有率を0.5%以下にすることで香味に優れた低カフェイン紅茶葉を製造できることが確認できた。
<試験例5>
[実施例9~15]
第一の工程に用いる低カフェイン紅茶抽出物溶液および第四の工程に用いる低カフェイン抽出液の茶固形分濃度の違いによる低カフェイン紅茶葉製造への影響を確認するために、実施例9~15となる紅茶葉を以下の方法で調整した。
第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物溶液の茶固形分濃度はBCL添加量により調整し、第四の工程に用いた低カフェイン抽出液の茶固形分濃度は、実施例13および実施例14については第三の工程後の低カフェイン処理溶液に水を用いて茶固形分濃度を調整し、実施例15については第三の工程後の低カフェイン処理溶液にBCLを加え茶固形分濃度を調整した以外は実施例1と同様に操作した。これらによって得られた実施例9~15の低カフェイン紅茶葉について、試験例1と同様にして評価し、その結果を表5に示した。
Figure 2022096798000005
表5に示した結果のとおり、実施例9~15の紅茶葉はいずれも抽出処理により茶葉中のカフェインが十分に低減されていた。実施例9と10の紅茶葉については、飲用抽出液の茶固形分、タンニン分ともに通常抽出の茶葉と比較しても低く、紅茶らしい香りや渋み、劣化臭の点でやや劣っていた。実施例11については、飲用時の茶固形分、タンニン分共に通常の茶葉と比較して同レベルであり、紅茶らしい香りやバランスの良い苦味が感じられた。実施例12については、飲用抽出液の茶固形分、タンニン分ともに通常抽出の茶葉と比較し劣るものの、紅茶らしい香りやコク・ボディ感といった呈味を感じられるものであった。実施例13についても飲用時の茶固形分、タンニン分共に通常抽出の茶葉と比較しても同レベルであり、紅茶らしい香りやボディ感のある呈味や苦味を有していた。実施例14と15については通常抽出の茶葉と比較して飲用抽出液のタンニン分がやや高く、渋みがやや強く感じられ、他の呈味とのバランスが若干劣っていた。これらの結果から、本発明における第四の工程にて低カフェイン化した紅茶抽出液の茶固形分濃度を1.0~7.0%にすること、第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物溶液の茶固形濃度を2.0~10.0%にすることで、香味により優れた低カフェイン紅茶葉を製造できることが確認できた。

Claims (7)

  1. 紅茶葉を低カフェイン紅茶抽出物溶液で抽出した後に固液分離して茶葉と抽出液を得る第一の工程と、
    第一の工程後の茶葉をさらに水で抽出し、固液分離して茶葉と抽出液を得る第二の工程と、
    第一の工程で得られる抽出液と第二の工程で得られる抽出液を合一し、活性炭に接触させてカフェインを低減する第三の工程と、
    第二の工程で得られる茶葉に第三の工程で得られる低カフェイン化した紅茶抽出液を吸収させ、固液分離して茶葉と残液を得る第四の工程と、
    第四の工程で得られる茶葉を乾燥させる第五の工程と、を有する低カフェイン紅茶葉の製造方法。
  2. 第一の工程から第五の工程を経ることによって、茶葉中のカフェイン含有率を0.5%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
  3. 第二の工程を1~3回行うことを特徴とする請求項1または2に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
  4. 第四の工程における低カフェイン化した紅茶抽出液の可溶性固形分濃度が1.0~7.0%であることを特徴とする請求項1から3に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
  5. 第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物溶液の可溶性固形分濃度が2.0~10.0%であることを特徴とする請求項1から4に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
  6. 第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物中のカフェイン含有率が1.0%以下であり、さらに第四の工程における低カフェイン化した紅茶抽出液の可溶性固形分中のカフェイン含有率が0.5%以下であることを特徴とする請求項1から5に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。
  7. さらに、第一の工程における低カフェイン紅茶抽出物中のタンニン含有率が15~35%であることを特徴とする請求項6に記載の低カフェイン紅茶葉の製造方法。

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