JP3704140B2 - ウーロン茶飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、缶、紙パック、プラスチックボトルなどの容器に詰めて上市するウーロン茶飲料(ドリンク)及びその製造方法に関する。特に高級ウーロン茶特有の花香を強く引き出すウーロン茶飲料及びその製造方法に関する。
一口にお茶と言っても、緑茶(不発酵茶)、紅茶(発酵茶)、ウーロン茶(半発酵茶)の三つに大別される。これらはいずれも、ツバキ科ツバキ属の茶樹(学名:Camellia sinensis )の葉を原料とするものであるが、原料茶葉の加工方法、主に酸化発酵させる程度の違いによって全く違った色、香、味のお茶になる。
ウーロン茶は、茶葉の発酵を途中で止めて製造する半発酵茶であり、ウーロン茶飲料(ドリンク)の原料茶は一般的に、摘んだ茶葉を日干及び陰干してしおらせた後、竹篭等の内部で酸化発酵させ、酸化発酵が30%〜70%進んだところで釜で炒って発酵を止め、その後揉捻、熱風乾燥などを施して製造されている。
ウーロン茶の特徴の一つは、重厚な花の香り(花香)にある。この花香は、リナロール、ゲラニオール、ネロリドールなどのテルペン系アルコール、ジャスミンラクトン、メチルジャスモネート、シス−ジャスモン、インドールなどの香気成分が貢献していると言われている。
ここで、従来提案されているウーロン茶の製造方法について列挙する。
特許文献1(特開平5−236876号公報)は、アスコルビン酸、サイクロデキストリンおよび澱粉の1種以上を添加した熱湯中にウーロン茶葉を入れて沸騰させてウーロン茶成分を抽出し、この抽出液を濾布、濾紙、カートリッジ等のフィルターにより濾過してオリを除去し、濾過した抽出液から逆浸透により濃縮液を分離回収して濃縮ウーロン茶を製造する方法を開示している。
特許文献2(特開平11−289983号公報)は、高温高圧殺菌釜によるレトルト殺菌に代る殺菌方法により、烏龍茶の味覚を維持しつつ経済的にも向上された缶入り烏龍茶の製造方法を提供すべく、烏龍茶抽出液を超高温瞬間殺菌によりFo=10以上とする第一殺菌工程と、缶に封入後に缶を反転させて90℃以上20秒間程度保温し、次いで85℃以上4〜5分間保温する第二殺菌工程と、を含む缶入り烏龍茶の製造方法を開示している。
特許文献3(特開平11−113491号公報)は、レトルト殺菌処理などの加熱処理によっても不快な加熱臭(レトルト臭)を生成することなく、茶類本来の良質な香気香味を保持した、香気変化の少ない高品質の茶類飲料の製造方法を提供すべく、茶類飲料の製造に際し、茶類を20℃以下の冷水で抽出して得た冷水抽出液を除去した後、該残渣の茶類を30℃〜95℃の温水で再抽出することを特徴とする茶類飲料の製造方法を開示している。
特開平5−236876号公報 特開平11−289983号公報 特開平11−113491号公報
ウーロン茶飲料を製造する際、花香成分をより多く抽出するためには高温で抽出する必要がある。しかし、高温で抽出すると苦渋味成分までもが多く抽出され、しかも液劣化を起こす可能性もある。
そこで本発明の目的は、ウーロン茶特有の花香成分を多く含み、それでいて苦渋味成分が抑えられ、液劣化も生じないウーロン茶飲料及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、原料茶を約25℃以下でpHを約4〜6に調整した冷温水と約30秒〜3分未満接触させることにより、原料茶からカフェインを約11〜26%溶出除去して処理済茶を回収する冷温水処理工程と、ビタミンCを添加すると共にpH約4〜6に調整してなる約90〜95℃の熱水で、処理済茶を約10分〜15分間抽出してネロリドールを含む抽出液を回収する熱水抽出工程とを備えたウーロン茶飲料の製造方法を提案する。
本発明はまた、本発明の製造方法によって得られるウーロン茶飲料であって、ネロリドールを通常よりも多く含有することを特徴とするウーロン茶飲料を提案する。
原料茶を約25℃以下でpHを約4〜6に調整した冷温水と約30秒〜3分未満接触させることにより、原料茶からカフェインを約11〜26%溶出除去することができ、苦渋味の原因物質であるカフェインを原料茶から適度に除くことができる。同時に原料茶に付着している異物等を除去することもできる。
次に、処理済茶を、pH約4〜6に調整してなる約90〜95℃の熱水で約10分〜15分間抽出することにより、高級ウーロン茶特有の花香成分であるネロリドールをより多く抽出することができる。この際、ビタミンCを添加した熱水で抽出することにより、熱水抽出時の液劣化を防ぐことができる。さらに、ビタミンC及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH調整するようにすれば、味に影響を与えずにウーロン茶の旨味を増すことができる。
よって、本発明の製造方法によって得られるウーロン茶飲料は、適度な苦渋味と、ネロリドールに起因する特有の花香とが残り、香味豊かでしかも劣化臭などのないウーロン茶飲料とすることができる。
なお、ネロリドールは、高級ウーロン茶、例えば鉄観音系品種及び黄金桂系品種などに含まれる特有の花香成分である。
本発明において「原料茶」とは、ウーロン茶飲料の原料とする茶葉、すなわちウーロン茶用の荒茶加工を終えた茶葉の意である。「冷温水」とは、冷水及び温水を包含する意であり、「ビタミンC」とは、アスコルビン酸及びアスコルビン酸ナトリウムを包含する意である。
また、本発明において「所定の冷温水処理工程と所定の熱水抽出工程とを備えたウーロン茶飲料の製造方法」とは、これらの工程以外の工程が付加されたウーロン茶飲料の製造方法を包含する意であり、これらの工程以外の工程では一般的なウーロン茶飲料の製造における工程を採用することも、或いは特殊な工程を採用することもできる。
また、「原料茶からカフェインを約11〜26%溶出除去して」とは、原料茶中のカフェインの約11〜26%を処理済水中に溶出させて原料茶からその分除去することと同じ意味であり、かかる溶出率(%)は、(処理済水中のカフェイン量/原料茶中のカフェイン量)×100により算出することができる。
さらにまた、本発明のウーロン茶飲料であるか否かは、ウーロン茶飲料中のネロリドールの含有量を測定し、ネロリドール量が、SPME法において、内部標準物質(0.1%シクロヘキサノール5μl)の面積を1とした時の相対比にで0.42〜0.65の範囲に属していれば本発明のウーロン茶飲料と推定することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明の範囲がこの実施形態に制限されるものではない。
本実施形態では、原料茶を冷温水と接触させて処理済茶及び処理済水を回収する冷温水処理工程、及び、回収した処理済茶を熱水で抽出して抽出液及び抽出済茶を回収する熱水抽出工程を経た後、回収した抽出液を、従来或いは現在行われているウーロン茶飲料の製造方法と同様に処理してウーロン茶飲料を製造する。
以下、この製造方法について詳述する。
原料茶は、茶種などを問わず、ウーロン茶用に荒茶加工を終えた茶葉を用いることができる。ただし、鉄観音や黄金桂など、ネロリドールを多く含む品種を用いるのが好ましい。又、異なる品種をブレンドして用いてもよいし、仕上加工がされた茶を使用することも可能である。
なお、原料茶をそのまま用いることもできるが、切断、粉砕、磨砕など原料茶をより細かくして用いてもよい。
冷温水処理工程では、原料茶を約25℃以下でpHを約4〜6に調整した冷温水と約30秒〜3分未満接触させ、固液分離して処理済茶及び処理済水を回収する。この冷温水処理によって、原料茶から苦渋味成分であるカフェインを溶出除去できると共に、原料茶に付着している異物等を洗い流すことができる。
原料茶と冷温水とを接触させる方法としては、例えば、原料茶を冷温水に浸漬させるようにすればよい。具体的には、抽出釜(ニーダー)などの貯水槽に原料茶を充填し、所定量の水を入れ、必要に応じて攪拌しながら、所定時間浸漬させるなど、所謂ニーダー抽出の如く処理して洗い流すようにしてもよいし、又、カラムに原料茶を充填し、当該カラムに水を所定時間順次送水するなど、所謂ドリップ抽出の如く処理して洗い流すようにしてもよい。その他、従来或いは現在行われている抽出方法を採用することができる。冷温水との接触方法に格別の制約はなく、所望又は目的により選択することができる。
また、固液分離方法に格別の制約はなく、従来或いは現在行われている抽出方法に付帯する固液分離方法を採用することができる。
原料茶と接触させる冷温水には、硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他の水であって、約25℃以下、特に約15〜25℃の冷温水を用いるのが好ましい。約15℃以上の冷温水であれば、冷却設備が必要でないから製造コストを抑えることができる。
原料茶と冷温水とを接触させる時間は、約30秒〜3分未満、特に約30秒〜1分とするのが好ましい。約30秒〜3分未満の処理時間であれば、苦渋味を抑えることができる。
また、原料茶と接触させる冷温水は、そのpHを約6以下、好ましくは約4〜6に調整する。pHが約6以下であれば好ましい官能評価を得ることができ、pH4以上であればビタミンCの添加量を抑えることができるから製造コストを抑えることができる。
この際、冷温水のpH調整には、酸成分としてビタミンC(アスコルビン酸)などを使用するのが好ましく、アルカリ成分としては重炭酸水素ナトリウムなどを使用するのが好ましい。ただし、味に悪影響を与えなければ、他の酸成分やアルカリ成分も使用可能である。
冷温水処理工程では、原料茶からカフェインを約11〜26%溶出除去することができ、この範囲がウーロン茶飲料の香味、特に苦渋味が好ましい範囲である。
なお、処理済水は廃棄すればよいが、カフェインを精製して別途利用することもできる。
熱水抽出工程では、回収した処理済茶を約90〜95℃の熱水で約10分〜15分間抽出し、固液分離して抽出液を回収する。
このように極めて高温の熱水で抽出することにより、高級ウーロン茶、特に鉄観音系品種及び黄金桂系品種に特有の花香成分であるネロリドールを多く抽出することができる。
抽出方法としては、現在行われている抽出方法を採用することができる。例えば、抽出釜(ニーダー)などの貯水槽に処理済茶を充填し、所定量の水を入れ、必要に応じて攪拌しながら、所定時間浸漬させるなど、所謂ニーダー抽出の如く抽出してもよいし、又、カラムに処理済茶を充填し、当該カラムに水を所定時間順次送水するなどして、所謂ドリップ抽出の如く抽出してもよい。抽出方法に格別の制約はなく、所望又は目的により選択することができる。
また、固液分離方法に格別の制約はなく、従来或いは現在行われている抽出方法に付帯する固液分離方法を採用することができる。
抽出温度(すなわち抽出する熱水の温度)及び抽出時間は、上記範囲が好ましいが、上記範囲を基礎として、原料茶の茶種、原料茶の量、その他の条件に応じて適宜変更することも可能である。
抽出する熱水には、硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他の水を用いることができ、ビタミンC(アスコルビン酸)を添加すると共に、pHを約4〜6に調整するのが好ましい。pHを約6以下に抑えることにより、水色への影響を無くすことができる。
熱水のpH調整は、酸成分としてのビタミンC(アスコルビン酸)を添加し、アルカリ成分としては炭酸カリウム、重炭酸水素ナトリウムなど、特に炭酸カリウム及び重炭酸水素ナトリウムを併用して所望のpHに調整するのが好ましい。これらのpH調整剤は人体に悪影響がないばかりか、炭酸カリウムを使用すると旨味が増し、重炭酸水素ナトリウムを使用するとpHを安定させることができる。但し、味に悪影響を与えなければ、他のアルカリ成分も使用可能である。
熱水抽出工程で回収した抽出液は、従来或いは現在行われているウーロン茶飲料の製造方法と同様に処理すればよい。
例えば、抽出液を濾過する濾過工程、抽出液の濃度及びpHを調製する調合工程、調合液を加熱殺菌する殺菌工程、容器充填工程を経て、市販し得るウーロン茶飲料(ドリンク)を製造することができる。ただし、前記各工程の順序変更、工程の削除、工程の追加などは適宜可能である。
以下に、各工程について説明する。
熱水抽出工程で回収した抽出液は、必要に応じて5〜40℃程度に冷却する。同時に又はその前後に、必要に応じて、抽出液にアスコルビン酸やアスコルビン酸ナトリウムなどを加えて酸性(pH4〜5)に調整してもよい。抽出液の冷却或いは酸性調整によって抽出成分の酸化を防ぐことができると共に、一次オリ原因成分を沈殿させて後工程の遠心分離の効率を高めることができる。
濾過工程では、例えば、茶葉や大きな微粉などの抽出残渣を除去する粗濾過を行うと共に、一次オリの原因物質を除去する濾過を行うのが好ましい。但し、これらの粗濾過及び一次オリ原因物質除去濾過を製造工程中のどこに挿入するかは任意である。
粗濾過は、ネル、ステンレスフィルター、ストレーナーその他抽出残渣を除去するために現在採用されている濾過方法を任意に採用することができる。
一次オリの原因物質を除去する濾過方法としては、遠心分離に続いて珪藻土濾過或いは適当な膜濾過を行うなどの方法がある。
ちなみに、遠心分離は、例えば5000〜10000rpmの回転数で行えばよく、遠心分離するに当たっては上記の如く予め抽出液又は調合液を5〜40℃程度に冷却するのが好ましい。
なお、珪藻土濾過を行う場合には必ずしも遠心分離を挿入する必要はないが、前工程に遠心分離を挿入することにより珪藻土濾過の負担軽減、例えば透過流量の増加により濾過時間を短縮することができる。
膜濾過としては、微細濾過、精密濾過、限外濾過、逆浸透膜濾過、電気透析、生物機能性膜などの膜分離を挙げることができ、上記珪藻土濾過などの濾過助剤を用いた濾過と組合わせて行うようにしてもよい。
上記遠心分離、珪藻土濾過及び膜濾過の方法及び設定条件などは任意に調整可能である。
調合工程では、従来或いは現在行われているウーロン茶飲料の製造方法と同様、水(硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重曹、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤、或いはその他の呈味原料などのいずれか或いはこれらのうち二種以上の組合わせを添加し、主にpH調製、濃度調製、味の調整を行うようにすればよい。
加熱殺菌工程は、缶飲料とする場合には、必要に応じて再加熱した後、調合液を充填し、レトルト殺菌(例えば、適宜加圧下(1.2mmHgなど)の下、121℃で7分間加熱殺菌する。)を行い、プラスチックボトル飲料や紙パック飲料とする場合にはUHT殺菌(調合液を120〜150℃で1秒〜数十秒保持する。)を行うようにすればよい。
なお、本発明により得られるウーロン茶飲料は、容器詰め飲料として利用できるばかりでなく、抽出液を濃縮してフレーバリング原料としたり、さらに濃縮物に適当な添加剤を加えて粉末茶類としたり、各種飲食品に広く利用することもできる。また、ウーロン茶特有の花香を付与することができるウーロン茶花香付与剤としても利用可能である。
(実施例1)
原料茶(鉄観音系品種)8gを、ビタミンC(以下「VC」という。)及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH5に調整した20℃の冷水1000mLに、1分間撹拌しながら浸漬し、処理した原料茶(処理済茶)を回収した。浸漬した処理液(処理済水)は廃棄した。
その後、VC及び炭酸カリウムを添加してpH6に調整した95℃の熱水1000mLで、処理済茶を12分間抽出し、抽出液を回収した。
得られた抽出液を、粗濾過後20℃以下に冷却し、VC及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH6に調整すると共に、飲用濃度であるBx0.3度に調整し、缶に充填して121℃、7分間殺菌しウーロン茶飲料を得た。
(比較例1)一般的なウーロン茶飲料の製造方法
原料茶(鉄観音系品種)8gを、80℃の熱水1000mLで7分間抽出して抽出液を回収した。
得られた抽出液を、上記同様に粗濾過し、次いで20℃以下に冷却し、その液にVC及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH6に調整すると共に、飲用濃度であるBx0.3度に調整し、缶に充填して121℃、7分間殺菌しウーロン茶飲料を得た。
(比較例2)
原料茶(鉄観音系品種)50gを、1000mL容量の抽出カラムに仕込み、カラム上部より15℃の冷水250gを流して30分後にBx6度の冷水抽出液を得た。
次いで、当該カラム上部より90℃の熱水500gを流して90分後にBx4度の熱水抽出液を得た。
熱水抽出液を、飲用濃度であるBx0.3度に調整し、缶に充填して121℃、7分間殺菌してウーロン茶飲料を得た。
(香味成分の比較)
実施例1、比較例1及び2で得られたウーロン茶飲料を、SPME法(固相マイクロ抽出法)で香気成分量を測定し、図1の結果を得た。
SPME法では、サンプル10mlをバイアル瓶に取り、80℃で30分間ヘッドスペース中の香気成分をSPMEファイバーに吸着させた。定量として内部標準0.1%シクロヘキサノールを5μl添加した。詳細条件は次の通りである。
SPMEファイバー:スペルコ社 DVB/carboxen/PDMS
装置:アジレント社 9573N GC-MSシステム
カラム:アジレント社製 DB-WAX、60m×0.25mm、35〜240℃、6℃/min
比較例1の値を1とした場合に、比較例2は、実施例1及び比較例1に比べて香気成分は減少する傾向を示した。
これに対して、実施例1は、全体的に香気成分が増加し、特にネロリドールは著しく増加した。
以上の結果から、実施例1の製造方法によれば、香りを多く抽出でき、特に鉄観音や黄金桂等の上級品のウーロン茶に多く含まれるネロリドールを多く抽出することができることが分った。
(官能評価の比較)
実施例1、比較例1及び比較例2で得られたウーロン茶飲料のそれぞれについて官能評価を行い、結果を表1にまとめた。
官能評価は、10名のパネラーがブラインドテストを行い、香り及び味について評価を行った。
Figure 0003704140
比較例1は、香りはあるが味も苦渋味が強いため、一般的なウーロン茶飲料の製造には適しているようである。
比較例2は、高温で長時間抽出するため、香りが弱く異質なものになっていた。味も苦渋味が強かった。
これに対して、実施例1は、ウーロン茶特有の花香が非常に強く口の中に残り、味も適度に渋くすっきり感があり、良好であった。
(内容成分の比較)
HPLC法でカテキン及びカフェイン(CAF)の含有量を測定し、結果は下記表2に示した。
なお、カテキンの含有量は、(−)エピカテキン(EC)、(−)エピガロカテキン(EGC)、(−)エピカテキンガレート(ECg)及び(−)エピガロカテキンガレート(EGCg)の4種類のカテキンの合計含有量である。
(HPLC条件)
装置:日立製作所製 D-7000
カラム:YMC JH-303(250×4.6mm I.D.)
流速:1ml/min
注入量:20μl
グラジエント: Aポンプ#;アセトニトリル5%、 Bポンプ;アセトニトリル50%、 0〜5min;95:5、5〜25min;90:10、25〜42min;80:20、60min
Figure 0003704140
この結果、比較例2では、苦渋味成分であるカテキン類及びカフェインが著しく抽出され、官能結果との相関性が見られた。
これに対し、実施例1では、カテキン類及びカフェインの抽出量が適度に抑制され、香味にもその効果が現れていた。
(冷温水処理工程の条件設定試験)
実施例1における冷温水処理工程の条件を変えて、冷温水処理工程の条件と、官能評価及びカフェイン溶出除去率との相関を考察した。
原料茶(鉄観音系品種)8gを、VC及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH4〜6.5に調整した15〜30℃の各冷温水1000mLに、0.5〜3分間撹拌しながら浸漬し、処理した原料茶(処理済茶)を回収した。浸漬した処理液(処理済水)もカフェイン溶出率の分析のため回収した。その後、VC及び炭酸カリウムを添加してpH6に調整した95℃の熱水1000mLで、処理済茶を12分間抽出し、抽出液を回収した。
得られた抽出液を、粗濾過後20℃以下に冷却し、VC及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH6に調整すると共に、飲用濃度であるBx0.3度に調整し、缶に充填して121℃、7分間殺菌しウーロン茶飲料を得た。得られたウーロン茶飲料を官能評価した結果を表3に示した。
官能評価は、10名のパネラーがブラインドテストを行い、香り及び味について評価を行った。
浸漬した処理液(処理済水)はHPLC測定にて分析し、カフェイン溶出率を表4に示した。
また、カフェイン溶出率は、(HPLC測定による処理済水中のカフェイン量/原料茶中のカフェイン量)×100により算出した。
(HPLC条件)
装置:日立製作所製 D-7000
カラム:YMC JH-303(250×4.6mm I.D.)
流速:1ml/min
注入量:20μl
グラジエント: Aポンプ#;アセトニトリル5%、 Bポンプ;アセトニトリル50%、 0〜5min;95:5、5〜25min;90:10、25〜42min;80:20、60min
Figure 0003704140
Figure 0003704140
官能評価を見ると、冷温水処理の処理水の温度は25℃以下であるのが好ましいことが分る。但し、15℃より低くなると、冷却チラー等の設備が必要となってコスト高となることを考慮すると、15〜25℃が好ましい。
また、冷温水処理の処理水のpHについては、官能評価の面からpH6.5より低いことが好ましいことが分る。但し、4.0より低いと、VCの添加量が多くなってコスト高となるから、4〜6の範囲が好ましいと考えられる。
冷温水処理の処理時間については、3分を越えると苦渋味が出る傾向となるため、30秒〜3分未満、特に30秒〜1分が好ましいと考えられる。
官能評価を踏まえた総合評価で見ると、処理済水中にカフェインが10.66〜26.20%溶出、つまり約11〜26%溶出(処理済水中に出たカフェイン率)された時に香味が良いことが明らかとなった。特に、10.66〜13.95%溶出、つまり約11〜14%溶出された時に香りが強く適度な苦渋味があり香味が良好なものとなる。
(熱水抽出工程の条件設定試験)
実施例1における熱水抽出工程の条件を変えて、熱水抽出工程の条件と、官能評価及びネロリドールの抽出率との相関を考察した。
原料茶(鉄観音系品種)8gを、VC及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH4に調整した20℃の冷水1000mLに、1分間撹拌しながら浸漬し、処理した原料茶(処理済茶)を回収した。浸漬した処理液(処理済水)は廃棄した。
その後、VC及び炭酸カリウムを添加してpH4〜6.5に調整した80〜95℃の熱水1000mLで、処理済茶を5分〜20分間抽出し、抽出液を回収した。
得られた抽出液を、粗濾過後20℃以下に冷却し、VC及び重炭酸水素ナトリウムを添加してpH6に調整すると共に、飲用濃度であるBx0.3度に調整し、缶に充填して121℃、7分間殺菌しウーロン茶飲料を得た。
得られたウーロン茶飲料をそれぞれ、官能評価した。官能評価は、10名のパネラーがブラインドテストを行い、香り及び味について評価を行った。その結果を表5に示す。
また、官能評価で良好な結果の得られた熱水温度90及び95℃、pH4〜6について、上記同様にSPME法(固相マイクロ抽出法)にてネロリドールの含有量を測定した。なお、ネロリドールの量は、内部標準物質(0.1%シクロヘキサノール5μl)の面積を1とした時の相対比で求めた。その結果を表6に示す。
Figure 0003704140
Figure 0003704140
官能評価の結果、ウーロン茶飲料中のネロリドール量は、内部標準物質(0.1%シクロヘキサノール5μl)の面積を1とした時の相対比において、0.42〜0.65が好ましく、特に0.56〜0.65が香味共に良好であることが分った。
逆に、ウーロン茶飲料中のネロリドール量がそのような範囲に入るように熱水抽出工程の条件を調整すれば、香味を低下させることなく、ネロリドール特有の花香を多く含んだウーロン茶飲料を製造することができる。
即ち、熱水抽出工程において、抽出液をpH4〜6、抽出温度を90〜95℃、抽出時間を10分〜15分間に設定するのが好ましいことが分った。
実施例1、比較例1及び2で得られたウーロン茶飲料の香気成分の含有量を比較して示したグラフである。

Claims (5)

  1. 原料茶を25℃以下でpHを4〜6に調整した冷温水と30秒〜3分未満接触させることにより、原料茶からカフェインを11〜26%溶出除去して処理済茶を回収する冷温水処理工程と、ビタミンCを添加すると共にpH4〜6に調整してなる90〜95℃の熱水で、処理済茶を10分〜15分間抽出してネロリドールを含む抽出液を回収する熱水抽出工程とを備えたウーロン茶飲料の製造方法。
  2. 冷温水処理工程における冷温水のpH調整は、ビタミンC、重炭酸水素ナトリウムのいずれか、或いはこれらの二種類の組合わせによってpH調整することを特徴とする請求項1に記載のウーロン茶飲料の製造方法。
  3. 熱水抽出工程における熱水のpH調整は、ビタミンCを添加すると共に、炭酸カリウム、重炭酸水素ナトリウムのいずれか或いはこれらの二種類以上の組合わせを添加することによってpH調整することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のウーロン茶飲料の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの製造方法によって得られるウーロン茶飲料であって、ネロリドールを含有することを特徴とするウーロン茶飲料。
  5. ウーロン茶飲料中のネロリドール量が、SPME法において、内部標準物質(0.1%シクロヘキサノール5μl)の面積を1とした時の相対比で0.42〜0.65であることを特徴とする請求項4に記載のウーロン茶飲料。

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