JP2006177628A - 調理器用トッププレート - Google Patents
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Abstract
【課題】 遮光膜の色と質感を維持しつつ、色や図柄の表現力に富み、しかも調理器具によって装飾膜が剥れない調理器用トッププレートを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の調理器用トッププレートは、透明低膨張ガラスからなり、調理器の外部側に臨む第1面と内部側に臨む第2面とを有する基板と、前記基板の第2面に遮光膜とを備えた調理器用トッププレートであって、
前記基板と前記遮光膜の間に、形成部分と非形成部分とからなる装飾膜を備えてなることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の調理器用トッププレートは、透明低膨張ガラスからなり、調理器の外部側に臨む第1面と内部側に臨む第2面とを有する基板と、前記基板の第2面に遮光膜とを備えた調理器用トッププレートであって、
前記基板と前記遮光膜の間に、形成部分と非形成部分とからなる装飾膜を備えてなることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、調理器用トッププレート(以下、トッププレートともいう。)に係り、特に透明低膨張ガラスの第2面(内部側)に遮光膜を備えた調理器用トッププレートに関する。
近年においては、家庭用や業務用の調理器として、従来のガスコンロを用いたガス調理器等に代えて又はこれと共に、ラジアントヒータやハロゲンヒータを用いた赤外線加熱調理器、並びにIHと称される電磁加熱調理器が用いられるに至っている。
この赤外線加熱調理器や電磁加熱調理器に使用されるトッププレートとしては、可視光に対する遮光性を有する有色の低膨張結晶化ガラス(例えば、日本電気硝子社製のGC−190並びにショット社製のセラン)や、可視光に対する透光性に優れた無色の低膨張結晶化ガラス(日本電気硝子社製のN−0)からなるガラス板(基板)が使用される。
後者の場合には、加熱装置や配線等の調理器の内部構造を隠蔽できるように、ガラス板の裏面(調理器の内部側)に遮光膜が形成してある。
この遮光膜は、印刷法やスパッタ法等の蒸着法によって形成され、印刷法で遮光膜を形成した調理器用トッププレートの具体例として、下記の特許文献1には、透明な低膨張結晶化ガラスからなる基板の表面に、貴金属と卑金属とからなるラスター彩の皮膜(メタリック調)を設けたトッププレートが開示されている。
また、他の印刷法によるトッププレートの具体例として、下記の特許文献2には、透明な低膨張結晶化ガラスからなる基板の表面に、パール調絵具層(パール調)を設けたトッププレートが開示されている。
また、蒸着法によるトッププレートの具体例として、下記の特許文献3には、透明な低膨張結晶化ガラスからなる基板の表面に、金属、合金、金属の窒化物及び合金の窒化物の中から選ばれた1の成分を含むメタリック調の遮光膜が蒸着法によって形成されたトッププレートが開示されている。この遮光膜は、印刷法に比して、ガラス板との密着性が高いことから、ガラス板から剥がれ難いという利点がある。
これらの遮光膜は、メタリック調又はパール調の質感を有し、付帯設備との意匠上の調和や付加価値の向上といった意匠上のメリットがあるため、近年主流となりつつある。
特公平7−17409号公報
特開2001−233636号公報
国際公開第03/098115号パンフレット
しかしながら、上記特許文献1、3で示した遮光膜は、印刷法では、貴金属と卑金属との組合せにより、蒸着法では、膜材質や膜厚により種々の色調を表現しているものの、表現できる色や図柄に制限があり、その表現力に乏しいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遮光膜の色と質感を維持しつつ、色や図柄の表現力に富み、しかも調理器具によって装飾膜が剥れない調理器用トッププレートを提供することを目的とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明の調理器用トッププレートは、透明低膨張ガラスからなり、調理器の外部側に臨む第1面と内部側に臨む第2面とを有する基板と、前記基板の第2面に遮光膜とを備えた調理器用トッププレートであって、
前記基板と前記遮光膜の間に、形成部分と非形成部分とからなる装飾膜を備えてなることを特徴とする。
前記基板と前記遮光膜の間に、形成部分と非形成部分とからなる装飾膜を備えてなることを特徴とする。
このような構成によれば、トッププレートは、遮光膜の色や質感を維持しつつ、色や図柄の表現力に富み、しかも調理器具によって装飾膜が剥れない。すなわち、装飾膜の非形成部分から遮光層の色や質感が透明な基板を通して視認でき、同時に、色や図柄を備えた装飾膜の形成部分も透明な基板を通して視認できるため、トッププレートは、遮光膜の色や質感を維持しつつ、色や図柄の表現力に富むようになる。また、この装飾膜は、透明基板の第2面に形成されており、調理器具(例えば、なべ、フライパン、やかん等)と接触することがないため、調理器具で擦れて剥れることがない。
この場合、「透明低膨張ガラス」とは、無色であっても有色であっても良く、可視光線がよく透過する、例えば波長400〜800nmの可視光線の平均透過率が50%以上となる低膨張ガラスを意味する。勿論、上記低膨張ガラスが有色である場合は、ガラスの色と装飾膜との色とがミックスされた色を表現できる。
また、遮光膜がスパッタ膜等の蒸着膜やラスター膜であると、遮光膜はメタリック調の色や質感を表現でき、遮光膜がパール調絵具膜であると、遮光膜はパール調の色や質感を表現できる。
また、遮光膜が印刷膜である場合、印刷膜のみで二種以上の無機顔料を使って所望の色を表現できるが、上記した装飾膜があると、さらに色の表現力が増すため好ましい。
上記構成において、装飾膜が、形成部分と非形成部分とによって構成される模様を備えてなることが好ましい。
このようにすれば、トッププレートの外観が単調ではなく、変化に富んだ意匠にできる。
上記構成において、模様が散点模様及び/又は幾何学的模様であり、基板の略全領域にわたって形成されていることが好ましい。
このようにすれば、トッププレートが全体として略均一に着色された外観を有するようになる。尚、散点模様及び/又は幾何学的模様が一部の領域のみに、あるいは複数の領域に分かれて形成されていても構わない。
上記構成において、散点模様は、模様が点部で表現され、点部が装飾膜の形成部分と非形成部分のどちらであってもよい。また、点部の形状としては、特に制限無く、不定形、略丸形、略多角形、図形、文字等の形状が使用可能である。点部の径は、1.5mm以下であることが好ましい。点部の径が1.5mmよりも大きいと、装飾膜が形成されている領域において、点部が強調され、均質な色調が得られ難くいからである。点部の径の好ましい範囲は、1mm以下である。
この場合、「幾何学的模様」とは、直線、あるいは曲線を基本に構成した抽象的模様であり、たとえば、格子模様、ストライプ模様、波紋等を指す。線部(直線又は曲線)が装飾膜の形成部分と非形成部分のどちらであってもよい。
上記構成において、装飾膜の膜密度が10〜80面積%であることが好ましい。
このようにすれば、メタリック調の質感を維持しつつ、色や図柄の表現力に富むという効果を確実に享受できる。すなわち膜密度が10面積%よりも低いと、装飾膜による色を充分に表現できず、膜密度が80面積%よりも高いと、遮光膜の質感を維持できなくなる。装飾膜の膜密度の好ましい範囲は、20〜70面積%である。
なお、「膜密度」とは、単位面積当たりの膜形成面積を意味している。例えばトッププレートの或る領域1cm2当たりの膜形成部分の総面積が0.5cm2である場合、膜密度は50%である。
上記構成において、装飾膜の膜密度を変化させた図柄を形成してなることが好ましい。
装飾膜の膜密度を変化させれば、色の濃淡が表現でき、この手法により、種々の図柄を表現できるため、トッププレートの意匠性を一層向上させることができる。
上記構成において、装飾膜の膜厚が4〜12μmであることが好ましい。
このようにすれば、装飾膜による色を確実に表現できる。すなわち、膜厚が、4μmよりも薄いと、装飾膜による色を充分に表現できず、12μmよりも厚くても、それより濃色にすることはできないため不経済である。
上記構成において、装飾膜の形成部分が、ガラスと無機顔料とを含有することが好ましい。
このようにすれば、ガラスにより基板に無機顔料を強固に固定することができ、無機顔料により多彩な色を表現できる。
この場合、形成部分がガラスを10〜40質量%含有すると、上記した効果を確実に享受できる。
装飾膜を構成する無機顔料としては、TiO2、ZrO2、ZrSiO4の他、Co−Al−Zn系、Co−Al−Si系、Co−Al−Ti系、Co−Al−Cr系、Co−Ni−Ti−Zn系、Ti−Sb−Cr系、Ti−Ni系、Co−Si系、Ti−Fe−Zn系、Fe−Zn系、Fe−Ni−Cr系、Zn−Fe−Cr−Al系、Co−Cr−Fe系、Cu−Cr系、Cu−Cr−Fe系、Cu−Cr−Mn系の酸化物顔料等を単独又は混合して用いることができる。ガラスとしては、B2O3−SiO2系、Na2O−CaO−SiO2系、Li2O−Al2O3−SiO2系、ZnO−Al2O3−P2O5系等のガラスが使用できる。
なお調理器の上面となる面にも、意匠性向上やヒーター位置の表示等のために、必要に応じて装飾膜を印刷形成することができる。この装飾膜も無機顔料粉末とガラス粉末からなる材料を用いて形成できるが、擦れても剥がれないように、また汚れが付着しにくいように、強固で平滑な膜にすることが必要である。
また調理器の上面となる面には、フッ素コート等の防汚処理を施してもよい。
また、遮光膜が蒸着膜(例えば、スパッタ膜等)からなる場合、蒸着膜が、平滑且つ緻密な構造を有しているのみならず、ガラス又は装飾層に高い密着性で強固に形成されることになるため、その基本的特性として、遮光膜が剥がれ難くなるという利点を有する。
この場合、蒸着膜が、Si、Ti、Al、Nb、W、Mo、Sn、Cr、Pt及びAuからなる群より選択された一種の金属、または、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びニクロムからなる群より選択された一種の合金、もしくは、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びニクロムからなる群より選択された一種の合金の窒化物、または、Ti、Nb、W及びMoからなる群より選択された一種或いは二種以上の金属の窒化物を含むと、着色がなされ且つ優れた遮光能力が得られるため、加熱装置や配線等の調理器の内部構造を適切に隠蔽することができる。しかも、このような蒸着膜は、正反射率が高く、且つ金属光沢を有するため、外観上、調理器周囲にあるステンレス等の金属製の調理台や壁と良好に調和するという利点を享受できる。
上記の透明低膨張ガラスからなる基板としては、600℃からの急冷に耐えることが可能な所謂耐熱衝撃性の高い材料を使用することができ、具体的には50×10-7/℃以下の熱膨張係数を有する材料が好適であり、低膨張の硼珪酸ガラス、石英ガラス或いはβ―石英固溶体を主結晶とする低膨張結晶化ガラスが使用可能である。特に、30〜500℃における平均熱膨張係数が、−10〜+30×10-7/℃、更に好ましくは−10〜+20×10-7/℃のガラスは、耐熱衝撃性が更に高く、燃焼時に、低膨張ガラスからなるガラス板内で温度分布が大きくなっても、ストレスが発生し難く割れ難いという観点から好ましい。
本発明に係る調理器用トッププレートによれば、メタリック調やパール調といった遮光膜の色や質感を維持しつつ、色や図柄の表現力に富み、しかも調理器具によって装飾膜が剥れない。
以下、本発明の実施形態に係る調理器用トッププレート(以下、単にトッププレートともいう)を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例1に係るトッププレートを表面側より見た上面図、図2は、図1のa−a線の一部拡大した断面図である。図3は、本発明の実施例1に係るトッププレートを表面側より見た一部拡大図である。図4は、本発明の実施例2に係るトッププレートを表面側より見た一部拡大図である。
図1に示すように、実施例1のトッププレート1は、ガスコンロ(ガス調理器)の天板として使用されるものであって、透明結晶化ガラス(日本電気硝子株式会社製N−0、30〜500℃における平均線熱膨張係数が−5×10-7/℃)からなる厚み4mmのガラス板2を基板とし、このガラス板2に、コンロ本体を設置するための3つの開孔部3、3、3を形成してある。
図2に示すように、このガラス板2の調理器内部側の第2面2aには、ガラス板2側から順に、装飾膜4と遮光膜5が積層してある。
遮光膜5は、ガラス板2の第2面2a側の全面に形成されており、ガラス板2側から順に、40nmのTi層と100nmのSiN層からなり、メタリック調のシルバー色を呈している。尚、Ti層とSiN層における膜厚は、幾何学的膜厚である。
また、図3に示すように、装飾膜4は、60質量%の市販のCo−Al−Cr系青色無機顔料粉末と40質量%のB2O3−SiO2系ガラス(日本電気硝子株式会社製BHW)とを含有する形成部分4aと非形成部分4bからなり、形成部分4aが水玉状に形成された散点模様を形成している。なお水玉状の形成部分4aの径は、0.5mmである。また、装飾膜4の膜厚は8μmであり、膜密度は、40面積%であった。
また、図4に示すように、本発明の他の実施形態に係るトッププレートの装飾膜11は、形成部分11aと非形成部分11bからなり、形成部分11aが直線状に形成されたストライプ様の幾何学的模様を形成している以外は、実施例1と同様に構成されている。なお直線状の形成部分11aの線幅は0.7mmであり、膜密度は45面積%であった。
実施例1、2の調理器用トッププレートは、いずれも遮光膜のシルバーメタリック調の質感を有し、しかも装飾膜の青色が全体にわたって均質に発現した外観を呈していた。
1 調理器用トッププレート
2 ガラス板
2a 第2面
3 開孔部
4、11 装飾膜
4a、11a 形成部分
4b、11b 非形成部分
5 遮光膜
2 ガラス板
2a 第2面
3 開孔部
4、11 装飾膜
4a、11a 形成部分
4b、11b 非形成部分
5 遮光膜
Claims (8)
- 透明低膨張ガラスからなり、調理器の外部側に臨む第1面と内部側に臨む第2面とを有する基板と、前記基板の第2面に遮光膜とを備えた調理器用トッププレートであって、
前記基板と前記遮光膜の間に、形成部分と非形成部分とからなる装飾膜を備えてなることを特徴とする調理器用トッププレート。 - 前記装飾膜が、形成部分と非形成部分とによって構成される模様を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の調理器用トッププレート。
- 前記模様が、散点模様及び/又は幾何学的模様であることを特徴とする請求項2に記載の調理器用トッププレート。
- 前記装飾膜の膜密度が10〜80面積%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
- 前記装飾膜の膜密度を変化させた図柄を形成してなることを特徴とする請求項4に記載の調理器用トッププレート。
- 前記装飾膜の膜厚が4〜12μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
- 前記形成部分が、ガラスと無機顔料とを含有する印刷膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調理器用トッププレート。
- 遮光膜が蒸着膜又はラスター膜であることを特徴とする請求項1に記載の調理器用トッププレート。
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- 2004-12-24 JP JP2004372574A patent/JP2006177628A/ja active Pending
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