JP2004205190A - 調理器用トッププレート - Google Patents
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Abstract
【目的】文字や図形が、二重写りすることがなく、陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、印刷層が削れることがない調理器用トッププレートを提供することである。
【構成】調理器用トッププレート10は、透明結晶化ガラス(日本電気硝子社製のN−0、30〜500℃における平均線熱膨張係数が−5×10−7/℃)からなる基板11の裏面11b(非使用面)に、文字および図形を構成するガラスフリットと顔料とからなる印刷層12(膜厚:5μm)をスクリーン印刷法によって形成し、その上に、スパッタ法によって遮光層13を形成して作製した。尚、遮光層13は、印刷層12の上に形成される100μmのTiの遮光膜13aと、その上に形成される150μmのSiNの酸化防止膜13bから構成されている。
【選択図】 図1
【構成】調理器用トッププレート10は、透明結晶化ガラス(日本電気硝子社製のN−0、30〜500℃における平均線熱膨張係数が−5×10−7/℃)からなる基板11の裏面11b(非使用面)に、文字および図形を構成するガラスフリットと顔料とからなる印刷層12(膜厚:5μm)をスクリーン印刷法によって形成し、その上に、スパッタ法によって遮光層13を形成して作製した。尚、遮光層13は、印刷層12の上に形成される100μmのTiの遮光膜13aと、その上に形成される150μmのSiNの酸化防止膜13bから構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性低膨張ガラス板の裏面に文字又は図形が形成された調理器用トッププレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用や業務用の調理器として、従来のガスコンロを用いたガス調理器だけでなく、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターを用いた赤外線加熱調理器、電磁加熱(IH)調理器が用いられるようになってきた。
【0003】
これらの調理器に使用されるトッププレートには、有色で、可視光をほとんど通さない有色低膨張結晶化ガラス(例えば、日本電気硝子社製のGC−190やショット社製のセラン)や、無色で、可視光をよく通す低膨張結晶化ガラス(日本電気硝子社製のN−0)からなる基板が使用される。
【0004】
近年、赤外線加熱調理器や電磁加熱調理器は、温度や火力が一目でわかるように、液晶や発光ダイオードからなるインジケータをトッププレートの裏面に設け、トッププレートの表面から、それらのインジケータが見えるように、無色で、可視光をよく通す低膨張結晶化ガラスからなる基板を使用することが増えている。この場合には、インジケータ以外の部分には、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽できるように、遮光層を設ける必要がある。
【0005】
このような遮光層として、貴金属と卑金属からなり、光沢を有するラスター膜等を採用した調理器用トッププレートが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。このラスター膜は、膜厚が薄くても、遮光性に優れ、膜厚が1μm以下と薄いため、基板とラスター膜の熱膨張係数に大きな差が生じても、ラスター膜が剥がれることなく、耐熱衝撃強度や機械的強度が低下しない。
【0006】
また、これらの調理器用トッププレートには、通常、使用の際の注意文や警告文、温度や火力を表示するインジケータの説明文等の文字や、図形を構成する印刷層が、トッププレートの表面(使用面)に形成されている。
【0007】
【特許文献1】
特公平7−17409号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のように、光沢を有する遮光層を裏面に形成した透光性低膨張結晶化ガラスからなる調理器用トッププレートの表面(使用面)に、文字や図形を形成すると、使用面から見た際に、文字や図形が、それらの遮光層での反射像により二重写りして見にくくなるという問題を有していた。また、陶器のような硬い材料の調理器具を使用すると、これがトッププレートの表面に形成された印刷層と接触して、印刷層が削れ、文字が読めなくなったり、図形が判別できなくなったりするという問題も有していた。
【0009】
本発明の目的は、上記問題に鑑みなされたものであり、文字や図形が、二重写りすることがなく、陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、印刷層が削れることがない調理器用トッププレートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の調理器用トッププレートは、透光性低膨張ガラス板の裏面に遮光層が形成されてなり、透光性低膨張ガラス板と遮光層の間に、文字又は図形が形成されてなることを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明の調理器用トッププレートは、透光性低膨張ガラス板の裏面に光沢を有する遮光層が形成されてなるが、透光性低膨張ガラス板と遮光層の間に、文字又は図形が形成されてなるため、文字や図形が二重写りすることがなく、しかも陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、文字や図形が削れることがない。すなわち、文字や図形が遮光層と接して形成されてなるため、文字や図形の遮光層での反射像が生成されず、また、文字や図形がトッププレートの裏面に形成されてなるため、陶器のような硬い材料の調理器具と文字や図形が直接接触することがないからである。
【0012】
また、文字又は図形が、遮光層と異なる色、もしくは遮光層と異なる光沢を有すると、文字又は図形が見やすくなるため好ましい。
【0013】
また、文字又は図形は、蒸着法や印刷法のいずれの方法を用いて形成しても構わないが、スクリーン印刷法を用いると、メッシュ(孔版)の種類やインクを変えるだけで、多種類の文字や図形を形成でき、製品の品種を容易に増やすことができるため好ましい。
【0014】
本発明の調理器用トッププレートは、遮光層が、スパッタ膜からなる遮光膜を含むと、平滑で、より緻密な構造を有し、また、ガラス表面に強固に形成され、遮光膜が剥がれ難くなるため好ましい。
【0015】
また、本発明の調理器用トッププレートは、波長0.45〜0.75μmにわたって、透過率が、0.25%以上、好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上であると、印加される電力量等を表示するインジケータをトッププレートの非使用面側に設けても、青色、緑色、黄色、赤色等の全ての色のインジケータの光が遮光層を透過し、それを視認できるため好ましい。
【0016】
また、本発明の調理器用トッププレートは、波長1〜2.5μmにおける平均透過率が10%以上、好ましくは、20%以上であると、赤外線による加熱が可能となるため、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターを用いた赤外線加熱調理器のトッププレートとして好適である。
【0017】
スパッタ膜が、Si、Ti、Al、Nb、W、Mo、Sn、Cr、Pt及びAuからなる群より選ばれた1種の金属、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びニクロムからなる群より選ばれた1種の合金、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びニクロムからなる群より選ばれた1種の合金の窒化物、又はTi、Nb、W、及びMoからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属の窒化物を含むと、遮光能力に優れるため、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽することができ、正反射率が高く、金属光沢を有する外観となるため調理器周囲にあるステンレス等の金属製の調理台や壁と良く調和する。
【0018】
また、遮光層が遮光膜と酸化防止膜を含み、遮光膜の上に、あるいは低膨張ガラスと遮光膜との間に、酸化防止膜が形成されてなると、遮光膜が酸化されにくく、熱による遮光膜の変質を抑制できる。すなわち、酸化防止膜が遮光膜の上(空気側)に形成されている場合は、空気中の酸素によって遮光膜が酸化されるのを阻止し、また、酸化防止膜が低膨張ガラスと遮光膜との間に形成されている場合は、酸化防止膜は、低膨張ガラス中の酸素によって遮光膜が酸化されるのを阻止する働きを有するからである。特に、トッププレートの非使用面に酸化防止膜を形成し、その上に遮光膜を形成してなると、膜材質や膜厚を調整することによって、光の干渉を利用した種々の色調を得ることができる。
【0019】
酸化防止膜が、Si、Ti、Al、Nb、W、Mo、Ta及びSnからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属の窒化物又は、Si、AlもしくはTiの酸化物を含むと、遮光膜の酸化防止能力が高いため好ましい。
【0020】
また、遮光膜や酸化防止膜が、結晶化ガラス中に含まれる成分、具体的には、Ti、SiあるいはAlの金属、それらの窒化物、もしくは酸化物からなると、ガラス材料を原料として再溶融する際、ガラスを着色させたり、ブツ等のガラス欠陥を発生させたりすることがないため好ましい。
【0021】
本発明の調理器用トッププレートにおける遮光層の膜構成の第1の実施形態は、低膨張ガラスの表面から順に、10〜1000nm、好ましくは15〜700nmの幾何学的厚みを有する遮光膜からなる第1の層と、10〜1000nm、好ましくは15〜700nmの幾何学的厚みを有する酸化防止膜からなる第2の層を備えてなる。
【0022】
また、本発明の調理器用トッププレートにおける遮光層の膜構成の第2の実施形態は、低膨張ガラスの表面から順に、10〜1000nm、好ましくは20〜700nmの幾何学的厚みを有する酸化防止膜からなる第1の層と、10〜1000nm、好ましくは15〜700nmの幾何学的厚みを有する遮光膜からなる第2の層と、10〜1000nm、好ましくは20〜700nmの幾何学的厚みを有する酸化防止膜からなる第3の層を備えてなる。
【0023】
上記した第1及び第2の実施形態において、特に、遮光膜が、TiN、Si、Ti、AlTiN、WあるいはWNを含むと、耐熱性に優れるため好ましい。また、酸化防止膜が、SiN、AlN、SiO2、Al2O3、もしくはTiO2を含むと、遮光膜の酸化防止効果に優れるため好ましい。
【0024】
低膨張ガラスとしては、600℃からの急冷に耐える、いわゆる耐熱衝撃性の高い材料が使用でき、具体的には50×10−7/℃以下の熱膨張係数を有する材料が好適であり、低膨張の硼珪酸ガラス、石英ガラスあるいはβ−石英固溶体を主結晶とする低膨張結晶化ガラスが使用可能である。特に、30〜500℃における平均熱膨張係数が、−10〜+30×10−7/℃、さらに好ましくは−10〜+20×10−7/℃のガラスは、耐熱衝撃性がさらに高く、燃焼時に、低膨張ガラス板内での温度分布が大きくなってもストレスが発生しにくく割れにくいため好ましい。また、低膨張ガラスは、インジケータ、文字または図が見難くなければ、着色していても構わない。
【0025】
【実施例】
本発明の調理器用トッププレートを、実施例に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、実施例の調理器用トッププレート10は、透明結晶化ガラス(日本電気硝子社製のN−0、30〜500℃における平均線熱膨張係数が−5×10−7/℃)からなる基板11の裏面11b(非使用面)に、文字および図形を構成するガラスフリットと顔料とからなる印刷層12(膜厚:5μm)をスクリーン印刷法によって形成し、その上に、スパッタ法によって遮光層13を形成して作製した。尚、遮光層13は、印刷層12の上に形成される100nmのTiの遮光膜13aと、その上に形成される150nmのSiNの酸化防止膜13bから構成されている。
【0027】
図2に示すように、比較例の調理器用トッププレート20は、透明結晶化ガラスからなる基板21の表面21a(使用面)に、文字および図形を構成するガラスフリットと顔料とからなる印刷層22(膜厚:5μm)をスクリーン印刷した以外は、実施例と同様にして作製した。尚21bは基板21の裏面、23は遮光層、23aは遮光膜、23bは酸化防止膜である。
【0028】
図1に示すように、実施例は、印刷層12が基板11の裏面11bに形成されてなるため、調理器用トッププレート10の使用面11a側から見ても、文字や図形の遮光層13での反射像が生成されず、二重写りすることがないため、文字や図形が見やすい。また、陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、印刷層12が削れることがない。
【0029】
一方、図2に示すように、比較例は、印刷層22が基板21の表面21aに形成されてなるため、調理器用トッププレート20の使用面21a側からみると、文字や図形の遮光層13での反射像が生成され、二重写りするため、字や図形が見にくい。また、陶器のような硬い材料の調理器具を使用すると、印刷層22が削れる。
【0030】
【効果】
以上説明したように、本発明の調理器用トッププレートは、透光性低膨張ガラス板の裏面に遮光層が形成されてなるため、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽することができる。また透光性低膨張板と遮光層の間に文字や図形が形成されてなるため、トッププレートの使用面から見ても、使用の際の注意文や警告文、温度や火力を表示するインジケータの説明文、図形などの印刷層が二重写りすることがなく、しかも陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、印刷層が削れることがない。よって、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターを用いた赤外線加熱調理器、電磁加熱(IH)調理器、ガス調理器のトッププレートとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例の調理器用トッププレートの説明図である。
【図2】本発明における比較例の調理器用トッププレートの説明図である。
【符号の説明】
10、20 調理器用トッププレート
11、21 基板
11a、21a 表面(使用面)
11b、21b 裏面(非使用面)
12、22 印刷層
13、23 遮光層
13a、23a 遮光膜
13b、23b 酸化防止膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性低膨張ガラス板の裏面に文字又は図形が形成された調理器用トッププレートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用や業務用の調理器として、従来のガスコンロを用いたガス調理器だけでなく、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターを用いた赤外線加熱調理器、電磁加熱(IH)調理器が用いられるようになってきた。
【0003】
これらの調理器に使用されるトッププレートには、有色で、可視光をほとんど通さない有色低膨張結晶化ガラス(例えば、日本電気硝子社製のGC−190やショット社製のセラン)や、無色で、可視光をよく通す低膨張結晶化ガラス(日本電気硝子社製のN−0)からなる基板が使用される。
【0004】
近年、赤外線加熱調理器や電磁加熱調理器は、温度や火力が一目でわかるように、液晶や発光ダイオードからなるインジケータをトッププレートの裏面に設け、トッププレートの表面から、それらのインジケータが見えるように、無色で、可視光をよく通す低膨張結晶化ガラスからなる基板を使用することが増えている。この場合には、インジケータ以外の部分には、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽できるように、遮光層を設ける必要がある。
【0005】
このような遮光層として、貴金属と卑金属からなり、光沢を有するラスター膜等を採用した調理器用トッププレートが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。このラスター膜は、膜厚が薄くても、遮光性に優れ、膜厚が1μm以下と薄いため、基板とラスター膜の熱膨張係数に大きな差が生じても、ラスター膜が剥がれることなく、耐熱衝撃強度や機械的強度が低下しない。
【0006】
また、これらの調理器用トッププレートには、通常、使用の際の注意文や警告文、温度や火力を表示するインジケータの説明文等の文字や、図形を構成する印刷層が、トッププレートの表面(使用面)に形成されている。
【0007】
【特許文献1】
特公平7−17409号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のように、光沢を有する遮光層を裏面に形成した透光性低膨張結晶化ガラスからなる調理器用トッププレートの表面(使用面)に、文字や図形を形成すると、使用面から見た際に、文字や図形が、それらの遮光層での反射像により二重写りして見にくくなるという問題を有していた。また、陶器のような硬い材料の調理器具を使用すると、これがトッププレートの表面に形成された印刷層と接触して、印刷層が削れ、文字が読めなくなったり、図形が判別できなくなったりするという問題も有していた。
【0009】
本発明の目的は、上記問題に鑑みなされたものであり、文字や図形が、二重写りすることがなく、陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、印刷層が削れることがない調理器用トッププレートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の調理器用トッププレートは、透光性低膨張ガラス板の裏面に遮光層が形成されてなり、透光性低膨張ガラス板と遮光層の間に、文字又は図形が形成されてなることを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明の調理器用トッププレートは、透光性低膨張ガラス板の裏面に光沢を有する遮光層が形成されてなるが、透光性低膨張ガラス板と遮光層の間に、文字又は図形が形成されてなるため、文字や図形が二重写りすることがなく、しかも陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、文字や図形が削れることがない。すなわち、文字や図形が遮光層と接して形成されてなるため、文字や図形の遮光層での反射像が生成されず、また、文字や図形がトッププレートの裏面に形成されてなるため、陶器のような硬い材料の調理器具と文字や図形が直接接触することがないからである。
【0012】
また、文字又は図形が、遮光層と異なる色、もしくは遮光層と異なる光沢を有すると、文字又は図形が見やすくなるため好ましい。
【0013】
また、文字又は図形は、蒸着法や印刷法のいずれの方法を用いて形成しても構わないが、スクリーン印刷法を用いると、メッシュ(孔版)の種類やインクを変えるだけで、多種類の文字や図形を形成でき、製品の品種を容易に増やすことができるため好ましい。
【0014】
本発明の調理器用トッププレートは、遮光層が、スパッタ膜からなる遮光膜を含むと、平滑で、より緻密な構造を有し、また、ガラス表面に強固に形成され、遮光膜が剥がれ難くなるため好ましい。
【0015】
また、本発明の調理器用トッププレートは、波長0.45〜0.75μmにわたって、透過率が、0.25%以上、好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上であると、印加される電力量等を表示するインジケータをトッププレートの非使用面側に設けても、青色、緑色、黄色、赤色等の全ての色のインジケータの光が遮光層を透過し、それを視認できるため好ましい。
【0016】
また、本発明の調理器用トッププレートは、波長1〜2.5μmにおける平均透過率が10%以上、好ましくは、20%以上であると、赤外線による加熱が可能となるため、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターを用いた赤外線加熱調理器のトッププレートとして好適である。
【0017】
スパッタ膜が、Si、Ti、Al、Nb、W、Mo、Sn、Cr、Pt及びAuからなる群より選ばれた1種の金属、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びニクロムからなる群より選ばれた1種の合金、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びニクロムからなる群より選ばれた1種の合金の窒化物、又はTi、Nb、W、及びMoからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属の窒化物を含むと、遮光能力に優れるため、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽することができ、正反射率が高く、金属光沢を有する外観となるため調理器周囲にあるステンレス等の金属製の調理台や壁と良く調和する。
【0018】
また、遮光層が遮光膜と酸化防止膜を含み、遮光膜の上に、あるいは低膨張ガラスと遮光膜との間に、酸化防止膜が形成されてなると、遮光膜が酸化されにくく、熱による遮光膜の変質を抑制できる。すなわち、酸化防止膜が遮光膜の上(空気側)に形成されている場合は、空気中の酸素によって遮光膜が酸化されるのを阻止し、また、酸化防止膜が低膨張ガラスと遮光膜との間に形成されている場合は、酸化防止膜は、低膨張ガラス中の酸素によって遮光膜が酸化されるのを阻止する働きを有するからである。特に、トッププレートの非使用面に酸化防止膜を形成し、その上に遮光膜を形成してなると、膜材質や膜厚を調整することによって、光の干渉を利用した種々の色調を得ることができる。
【0019】
酸化防止膜が、Si、Ti、Al、Nb、W、Mo、Ta及びSnからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属の窒化物又は、Si、AlもしくはTiの酸化物を含むと、遮光膜の酸化防止能力が高いため好ましい。
【0020】
また、遮光膜や酸化防止膜が、結晶化ガラス中に含まれる成分、具体的には、Ti、SiあるいはAlの金属、それらの窒化物、もしくは酸化物からなると、ガラス材料を原料として再溶融する際、ガラスを着色させたり、ブツ等のガラス欠陥を発生させたりすることがないため好ましい。
【0021】
本発明の調理器用トッププレートにおける遮光層の膜構成の第1の実施形態は、低膨張ガラスの表面から順に、10〜1000nm、好ましくは15〜700nmの幾何学的厚みを有する遮光膜からなる第1の層と、10〜1000nm、好ましくは15〜700nmの幾何学的厚みを有する酸化防止膜からなる第2の層を備えてなる。
【0022】
また、本発明の調理器用トッププレートにおける遮光層の膜構成の第2の実施形態は、低膨張ガラスの表面から順に、10〜1000nm、好ましくは20〜700nmの幾何学的厚みを有する酸化防止膜からなる第1の層と、10〜1000nm、好ましくは15〜700nmの幾何学的厚みを有する遮光膜からなる第2の層と、10〜1000nm、好ましくは20〜700nmの幾何学的厚みを有する酸化防止膜からなる第3の層を備えてなる。
【0023】
上記した第1及び第2の実施形態において、特に、遮光膜が、TiN、Si、Ti、AlTiN、WあるいはWNを含むと、耐熱性に優れるため好ましい。また、酸化防止膜が、SiN、AlN、SiO2、Al2O3、もしくはTiO2を含むと、遮光膜の酸化防止効果に優れるため好ましい。
【0024】
低膨張ガラスとしては、600℃からの急冷に耐える、いわゆる耐熱衝撃性の高い材料が使用でき、具体的には50×10−7/℃以下の熱膨張係数を有する材料が好適であり、低膨張の硼珪酸ガラス、石英ガラスあるいはβ−石英固溶体を主結晶とする低膨張結晶化ガラスが使用可能である。特に、30〜500℃における平均熱膨張係数が、−10〜+30×10−7/℃、さらに好ましくは−10〜+20×10−7/℃のガラスは、耐熱衝撃性がさらに高く、燃焼時に、低膨張ガラス板内での温度分布が大きくなってもストレスが発生しにくく割れにくいため好ましい。また、低膨張ガラスは、インジケータ、文字または図が見難くなければ、着色していても構わない。
【0025】
【実施例】
本発明の調理器用トッププレートを、実施例に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、実施例の調理器用トッププレート10は、透明結晶化ガラス(日本電気硝子社製のN−0、30〜500℃における平均線熱膨張係数が−5×10−7/℃)からなる基板11の裏面11b(非使用面)に、文字および図形を構成するガラスフリットと顔料とからなる印刷層12(膜厚:5μm)をスクリーン印刷法によって形成し、その上に、スパッタ法によって遮光層13を形成して作製した。尚、遮光層13は、印刷層12の上に形成される100nmのTiの遮光膜13aと、その上に形成される150nmのSiNの酸化防止膜13bから構成されている。
【0027】
図2に示すように、比較例の調理器用トッププレート20は、透明結晶化ガラスからなる基板21の表面21a(使用面)に、文字および図形を構成するガラスフリットと顔料とからなる印刷層22(膜厚:5μm)をスクリーン印刷した以外は、実施例と同様にして作製した。尚21bは基板21の裏面、23は遮光層、23aは遮光膜、23bは酸化防止膜である。
【0028】
図1に示すように、実施例は、印刷層12が基板11の裏面11bに形成されてなるため、調理器用トッププレート10の使用面11a側から見ても、文字や図形の遮光層13での反射像が生成されず、二重写りすることがないため、文字や図形が見やすい。また、陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、印刷層12が削れることがない。
【0029】
一方、図2に示すように、比較例は、印刷層22が基板21の表面21aに形成されてなるため、調理器用トッププレート20の使用面21a側からみると、文字や図形の遮光層13での反射像が生成され、二重写りするため、字や図形が見にくい。また、陶器のような硬い材料の調理器具を使用すると、印刷層22が削れる。
【0030】
【効果】
以上説明したように、本発明の調理器用トッププレートは、透光性低膨張ガラス板の裏面に遮光層が形成されてなるため、加熱装置、配線等の調理器の内部構造を隠蔽することができる。また透光性低膨張板と遮光層の間に文字や図形が形成されてなるため、トッププレートの使用面から見ても、使用の際の注意文や警告文、温度や火力を表示するインジケータの説明文、図形などの印刷層が二重写りすることがなく、しかも陶器のような硬い材料の調理器具を使用しても、印刷層が削れることがない。よって、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターを用いた赤外線加熱調理器、電磁加熱(IH)調理器、ガス調理器のトッププレートとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例の調理器用トッププレートの説明図である。
【図2】本発明における比較例の調理器用トッププレートの説明図である。
【符号の説明】
10、20 調理器用トッププレート
11、21 基板
11a、21a 表面(使用面)
11b、21b 裏面(非使用面)
12、22 印刷層
13、23 遮光層
13a、23a 遮光膜
13b、23b 酸化防止膜
Claims (3)
- 透光性低膨張ガラス板の裏面に遮光層が形成されてなり、透光性低膨張ガラス板と遮光層の間に、文字又は図形が形成されてなる調理器用トッププレート
- 文字又は図形が、遮光層と異なる色、もしくは遮光層と異なる光沢を有する請求項1に記載の調理器用トッププレート。
- 遮光層が、スパッタ膜からなる遮光膜を含む請求項1に記載の調理器用トッププレート。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003060887A JP2004205190A (ja) | 2002-11-01 | 2003-03-07 | 調理器用トッププレート |
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