JP2007005318A - 調理器用トッププレートの製造方法 - Google Patents

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【課題】 本発明の目的は、光沢のある平滑な調理面を有し、しかも内部構造を隠蔽することが可能な調理器用トッププレートの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の調理器用トッププレートの製造方法は、低膨張透明結晶化ガラス板の一方の面に、遮光層用のペーストを印刷し、焼成して多孔質な無機顔料層を形成した後、低膨張透明結晶化ガラス板のもう一方の面に、装飾層用のペーストを印刷し、焼成して緻密な無機顔料層を形成することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁誘導加熱装置を備えた調理器のトッププレートの製造方法に関するものである。
電気調理器の加熱系には、ラジエントヒーターや、高出力タイプで知られるハロゲンヒーターなどの赤外線加熱装置や、インダクションヒーター(IH)を用いた電磁誘導加熱装置が用いられている。
従来、赤外線加熱装置を備えた調理器のトッププレートには、可視光を遮断して赤外光を透過する濃色結晶化ガラス板が利用されている。可視光の遮断は、常温時に加熱装置等の内部構造を見えにくくすることや、ハロゲンヒーターからの強力な可視発光を軽減し、眩しくないようにするためである。なおこの種の調理器は、赤熱したヒーター部が濃色結晶化ガラス板を通して視認できるため、それを加熱時の目印としている。
一方、近年インダクションヒーター(IH)を用いた電磁誘導加熱による電磁調理器が普及しつつある。
電磁誘導加熱装置を備えた調理器は、赤外線加熱装置のように可視光の発生をともなわないため、加熱時の目印となるヒーター部の点灯がない。そこで電磁調理器では、発光ダイオードなどを用いて電磁加熱パワーを別途表示するようになってきている。この加熱パワー表示体は、調理器の側部に設けられるものもあるが、加熱部の近傍に設置してトッププレートを通して加熱パワーを確認できるものが主流となりつつある。ところが発光ダイオードの光は、従来の赤外線加熱ヒーターから発せられる光ほど強くないため濃色結晶化ガラス板ではダイオードの光が目立たず、見にくいという難点がある。そこでこのようなトッププレートには、透明結晶化ガラス板が用いられつつある。
特開平10−273342号公報 特開平9−238841号公報
透明結晶化ガラス板を調理器用トッププレートとして用いる場合、意匠上の理由により、トッププレート下部にある加熱装置等の内部構造を隠す必要がある。そのため、透明結晶化ガラス板には、発光ダイオードなどの表面箇所を除き、全域に遮光層を塗布する必要がある。更にトッププレートには、この遮光層に加えてヒーター箇所や注意書きを示す装飾層が必要であるが、一般的手法により調理面側に遮光層を塗布し、その上に装飾層を重ね塗りすると、塗布層の厚みが増して基板との間に生じる熱膨張差による応力が過大となりクラックや剥離の問題が生じる。
これについては、遮光層を多孔質にしてクラックを防止する方法があるが、この場合、光沢がなくなり意匠上好ましくない、平滑でないため洗浄性が悪くなるといった欠点がある。また、多孔質膜は調理器具等の接触による磨耗損傷が激しくなって好ましくない。
本発明の目的は、光沢のある平滑な調理面を有し、しかも内部構造を隠蔽することが可能な調理器用トッププレートの製造方法を提供することである。
本発明の調理器用トッププレートの製造方法は、低膨張透明結晶化ガラス板の一方の面に、遮光層用のペーストを印刷し、焼成して多孔質な無機顔料層を形成した後、低膨張透明結晶化ガラス板のもう一方の面に、装飾層用のペーストを印刷し、焼成して緻密な無機顔料層を形成することを特徴とする。
本発明では、トッププレートの調理面側(表側)と加熱装置側(裏側)の塗布層の機能を分離し、表側に装飾層、裏側に遮光層を形成することによって、光沢のある平滑な調理面を有し、しかも内部構造を十分に隠蔽することができる。
本発明の調理器用トッププレートは、次のようにして作製される。
まず所定のサイズに成形、加工された低膨張透明結晶化ガラス板を用意する。また無機顔料とガラス粉末とを所定の割合で混合した混合粉末をペースト化し、遮光層用ペーストを作製する。
次いで結晶化ガラス板の加熱装置側(裏側)に遮光層用ペーストを例えばスクリーン印刷等の方法で印刷し、乾燥後、焼成して遮光層を形成する。
さらに、無機顔料とガラス粉末とを所定の割合で混合した混合粉末をペースト化し、装飾層用ペーストを作製する。次いで調理面側(表側)にこのペーストを印刷し、乾燥焼成して、装飾層を形成する。このようにして、本発明の調理器用トッププレートを得ることができる。
トッププレートの裏側に、遮光層として多孔質の無機顔料層を形成することにより、擦れによる剥離、重ね塗りによるクラック等の問題を回避することができ、かつ内部構造を十分に隠蔽することができる。
一方、トッププレートの表側には、光沢のある平滑な面が求められる。一般に透明結晶化ガラス板は、本来これらの特性を十分に満足するものであるため、装飾層の形成領域を極少にする方が好ましい。本発明では遮光層を裏側に塗布しているので、表側の装飾層を極少にすることができる。さらに、装飾層は光沢を有するとともに平滑であることが要求されるので、本発明では緻密な無機顔料層を採用している。
装飾層を構成する無機顔料層は、無機顔料とガラスからなる。緻密な層を形成するためにガラスの割合が50質量%以上であることが好ましい。また遮光層を構成する無機顔料層は、無機顔料とガラスからなり、多孔質の無機顔料層を形成するためにガラスの割合が50質量%以下であることが好ましい。
無機顔料粉末としては、TiO2、ZrO2、ZrSiO4等の白色顔料の他、Co−Al−Zn系、Co−Al−Si系、Co−Al−Ti系の青色顔料、Co−Al−Cr系、Co−Ni−Ti−Zn系の緑色顔料、Ti−Sb−Cr系、Ti−Ni系の黄色顔料、Co−Si系の赤色顔料、Ti−Fe−Zn系、Fe−Zn系、Fe−Ni−Cr系、Zn−Fe−Cr−Al系の茶色顔料、Cu−Cr系、Cu−Cr−Fe系、Cu−Cr−Mn系の黒色顔料などを用いることができる。
ガラス粉末としては、B23−SiO2系、Na2O−CaO−SiO2系、Li2O−Al23−SiO2系、ZnO−Al23−P25系等のガラスが使用できる。
塗布層の厚みは、装飾層、遮光層とも0.1〜50μm、特に0.2〜40μmであることが好ましい。厚みが0.1μm以上であれば、装飾や加熱装置を隠すための可視光遮蔽を十分に行うことができる。また、50μm以下であれば、塗布層の剥離、コストアップ、結晶化ガラス板を再溶融してリサイクルする際の不純物増加によるガラス着色、といった問題が生じ難くなる。
なお、裏側の遮光層は、低膨張透明結晶化ガラス板の全面に形成してもよいが、必要に応じて未形成部分を設けてもよい。例えば加熱部分周辺に発光ダイオード表示領域を形成するための未形成部分を設けることができる。
本発明における透明結晶化ガラス板は、無色の透明低膨張結晶化ガラスであることが好ましいが、本発明の目的が達成されるのであれば有色の透明結晶化ガラスでも差し支えない。結晶化ガラス板は、加熱、冷却が繰り返されるため、低膨張であることが求められ、特に30〜750℃における平均線熱膨張係数が−10〜+30×10-7/℃、特に−10〜+20×10-7/℃の範囲にあるものを使用することが望ましい。熱膨張係数が上記範囲内にあれば、加熱時にトッププレート内部の温度分布により膨張差で割れることがない。この条件を満たす結晶化ガラスとして、例えば日本電気硝子株式会社製N−0がある。
本発明のトッププレートは、電磁誘導加熱装置と赤外線加熱装置を具備した調理器のトッププレートとしても使用することができる。
赤外線加熱装置を有する調理器の場合、トッププレートの赤外線加熱部分の赤外線透過率が高いことが求められる。それゆえ遮光層の赤外線透過率を高めるために、赤外線加熱部分の無機顔料層の印刷密度を低くするか、膜厚を薄くすることが好ましい。また無機顔料層に代えて、赤外線透過率の高いラスター層を形成してもよい。
印刷密度を低くする場合、赤外線加熱部分の印刷密度は、電磁加熱部分の印刷密度の40〜80%、特に50〜80%であることが好ましい。赤外線加熱部分の印刷密度が電磁加熱部分の40%以上であれば、加熱装置を完全に隠すための可視光遮蔽が可能となり、また印刷密度が80%以下であれば、赤外線透過量が十分となり、高い調理性能が得られる。
赤外線加熱部分の印刷密度を低くする方法としては、例えば多数の開孔(無印刷部分)を設ける方法がある。開孔を形成する場合、赤外線加熱部分全体に均一に分布させることが望ましい。各開孔の大きさは、直径0.05〜5mm程度、特に0.1〜3mm程度であることが好ましい。また1cm2当たり5〜500個程度、特に10〜500個程度の開孔を形成することが好ましい。
膜厚を薄くする場合、電磁加熱部分の無機顔料層の10〜50%程度、特に10〜40%程度の厚みとすることが好適である。10%以上であれば周囲とのコントラストが大きくならず、目立ちにくくなる。また50%以下であれば赤外線透過量が多くなり、十分な調理性能が得られる。
ラスター層を形成する場合、Au、Pt、Pd、Rh、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Mgなどの金属元素、及びそれらの複合体を含むものが使用可能である。特にAu、Pd、Bi、Sn、Fe、Ti等を含むものが好適に使用できる。
ラスター層の厚みは平均0.1〜10μm、特に0.1〜0.5μmであることが好ましい。厚みが0.1μm以上であれば赤外線加熱装置を隠すための可視光遮蔽が可能となり、また10μm以下であれば、コストアップや、結晶化ガラス板を再溶融してリサイクルする際に不純物が多くなりガラスが着色する、といった問題が生じ難くなる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
まず市販のCu−Cr−Mn系黒色無機顔料とB23−SiO2系ガラス粉末からなるフリットに、樹脂及び有機溶剤を添加して遮光層用ペーストを作製した。なお無機顔料粉末とガラス粉末の混合割合は、質量比で7:3とした。次に、このペーストを日本電気硝子株式会社製の透明結晶化ガラス板N−0(30〜750℃の平均線熱膨張係数−4×10-7/℃)の加熱装置側(裏側)にスクリーン印刷した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行い、図1に示すように結晶化ガラス板1に遮光層2を形成した。このようにして形成される遮光層は、隣接する無機顔料同士がガラスにより接着一体化されるとともに、無機顔料間に独立又は連通した気孔が形成される。遮光層を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。
調理面となるもう一方の面(表側)の装飾層形成は、以下のように準備した。TiO2白色無機顔料とB23−SiO2系ガラス粉末からなるフリットに、樹脂および有機溶剤を添加して装飾層用ペーストを作製した。なお無機顔料粉末とガラス粉末の混合割合は、質量比で3:7とした。次に、遮光層が形成された面とは反対の面(表側)にこのペーストをスクリーン印刷した。続いてペーストを100〜150℃で10〜20分間乾燥させた後、850℃で30分間焼成を行ない、結晶化ガラス板1に装飾層3を形成した。このようにして形成される装飾層は、ガラス中に無機顔料が分散しており、気孔を殆ど含まないものである。装飾層を膜厚計で測定したところ、厚みは5μmであった。
得られたトッププレートについて、トッププレート裏側に形成された遮光層を観察したところ、クラックは見られなかった。また表側は光沢のある平滑な表面を呈していた。
本発明の調理器用トッププレートを示す説明図である。
符号の説明
1 低膨張透明結晶化ガラス板
2 遮光層
3 装飾層

Claims (1)

  1. 低膨張透明結晶化ガラス板の一方の面に、遮光層用のペーストを印刷し、焼成して多孔質な無機顔料層を形成した後、低膨張透明結晶化ガラス板のもう一方の面に、装飾層用のペーストを印刷し、焼成して緻密な無機顔料層を形成することを特徴とする調理器用トッププレートの製造方法。
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