JP2008190846A - 加熱調理器用ガラストッププレート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱調理器用のガラストッププレート1である。低膨張結晶化ガラスよりなる基板ガラス2の調理面21に、調理面21よりも反射率が高い高反射膜3を積層し、高反射膜3の一部を覆うように、更に絵付けガラス装飾層4を積層してなる。基板ガラス2の調理面21は、表面粗さRaが0.7μm未満である。高反射膜3は、TiO2、CeO2、ZrO2のうち1種以上を主成分とすると共に厚みが20〜300nmである。絵付けガラス装飾層4は、ガラス組成物からなると共に厚みが1〜15μmである。
【選択図】図1
Description
低膨張結晶化ガラスよりなる基板ガラスの調理面に、該調理面よりも反射率が高い高反射膜を積層し、
該高反射膜の一部を覆うように、更に絵付けガラス装飾層を積層してなり、
上記基板ガラスの調理面は、表面粗さRaが0.7μm未満であり、
上記高反射膜は、TiO2、CeO2、ZrO2のうち1種以上を主成分とすると共に厚みが20〜300nmであり、
上記絵付けガラス装飾層は、ガラス組成物からなると共に厚みが1〜15μmであることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートにある(請求項1)。
上記TiO2、CeO2、及びZrO2は屈折率が高いため、上記高反射膜は上記調理面よりも反射率が高くなる。また、表面粗さRaが0.7μm未満の平坦な調理面を有する基板ガラスに、TiO2、CeO2、ZrO2のうち1種以上を主成分とする高反射膜を形成することにより、調理面に鏡のような光沢(ミラー効果)を付与することができる。
絵付けガラス装飾層は、高反射膜の一部を覆うように積層する。
これにより、この絵付けガラス装飾層が、調理面上では高反射膜よりも高い位置に存在することとなり、高反射膜が鍋等の被加熱物と直接接触することを抑制することができる。そのため、基板ガラス本来の強度を低下させることなく、上記高反射膜の摩耗を抑制することができる。
ガラス組成物と有機樹脂とからなるペーストを上記高反射膜の一部を覆うように塗布し、750〜1200℃で焼成することにより絵付けガラス装飾層を形成する絵付けガラス装飾層形成工程とを有することを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートの製造方法にある(請求項7)。
このように、本発明によれば、ミラー効果を発揮して意匠性に優れ、摩耗強度が高い加熱調理器用ガラストッププレートを製造することができる。
すなわち、上記加熱調理器用ガラストッププレートは、少なくとも、上記基板ガラスの調理面に上記高反射膜が積層されて、これが露出している部分と、該高反射膜上に更に絵付けガラス装飾層が積層された部分が存在することとなる。また、基板ガラスが露出した部分があってもよいし、基板ガラスの上に絵付けガラス装飾層が形成された部分があってもよい。
従来、欠点が目立ちにくいという理由から、調理面の表面粗さが高い基板ガラスが用いられてきた。しかしながら、調理面の表面粗さRaが0.7μm以上の場合には、反射率の高い膜を形成しても、調理面が平坦でなく光が乱反射するため十分なミラー効果を得ることができない。
より好ましくは、上記基板ガラスの調理面は、表面粗さRaが0.2μm未満である。
なお、ここでいう表面粗さRaは、JIS B0601−2001に準拠するものである。
上記高反射膜において、TiO2、CeO2、ZrO2のうち1種以上の含有量は、焼成後の高反射膜全体の重量を100%とすると(以下同様)、50〜100%の範囲であることが好ましい。
上記含有量が50%未満の場合には、反射効果が低下し、十分なミラー効果を得ることができないおそれがある。上記TiO2、CeO2、ZrO2のうち1種以上の含有量は、より好ましくは、80〜100%である。
上記高反射膜の厚みが20nm未満の場合には、ミラー効果が十分に得られないという問題があり、一方、上記厚みが300nmを超える場合には、基板ガラスと反射膜の熱膨張差によりクラックが発生し、光の乱反射によりミラー効果が不十分となったり、剥離が発生するという問題がある。
また、上記高反射膜の厚みは、更に好ましくは、40〜110nmである。
上記絵付けガラス装飾層の膜厚が1μm未満の場合には、鍋等の被加熱物と高反射膜の位置が近くなり、直接接触により、上記高反射膜が剥がれ易くなり、耐摩耗性が低下するという問題がある。一方、上記膜厚が15μmを超える場合には、上記絵付けガラス装飾層が剥離するという問題がある。
また、上記絵付けガラス装飾層の厚みは、更に好ましくは4〜12μmである。
また、上記ガラス組成物は、軟化点が650℃以下であることが好ましい。また、上記ガラス組成物は、SiO2、Al2O3、B2O3、Li2O、Na2O、K2O、及びZrO2を必須成分として含有し、必要に応じてCaO、SrO、BaO、ZnO、TiO2のうち1種以上を添加成分として含有し、750〜1200℃で熱処理することにより熔着する無鉛ガラス組成物を用いることがより好ましい。
上記無機顔料をとしては、例えば、白色無機顔料、黒色無機顔料、灰色無機顔料、黄色無機顔料、茶色無機顔料、緑色無機顔料、青色無機顔料、桃色無機顔料、赤色無機顔料等がある。
具体的には、上記白色無機顔料としては、例えば、TiO2、ZrO2、ZrSiO4、Al2O3、3Al2O3−2SiO2、Li2O−Al2O3−8SiO2、Al2TiO5等が挙げられる。
また、上記灰色無機顔料としては、例えば、Sn−Sb系酸化物、Sn−Sb−V系酸化物等が挙げられる。
また、上記茶色無機顔料としては、例えば、Zn−Al−Cr−Fe系酸化物、Znmn−Al−Cr−Fe系酸化物等が挙げられる。
また、上記青色粉末としては、例えば、Co−Al−Zn系酸化物、Co−Al系酸化物、Zr−Si系酸化物等が挙げられる。
また、上記桃色無機顔料としては、例えば、Mn−Al系酸化物、Ca−Sn−Si−
Cr系酸化物、Sn−Cr系酸化物、Zr−Si−Fe系酸化物等が挙げられる。
また、上記赤色無機顔料としては、例えば、Fe2O3等が挙げられる。
上記基板ガラスの線熱膨張係数が−10〜80×10-7/K(at30〜500℃)の範囲から外れる場合には、加熱調理器用ガラストッププレートに用いる基板ガラスとして適していないというおそれがある。
また、上記基板ガラスは、β−石英及びβ−スポジューメンの少なくとも一方を主結晶とすることが好ましい。
この場合には、上記高反射膜の上にこの絵付けガラス層が形成されている部分は、光沢がなく、素地(基板ガラス)の色を呈するよう構成することができる。
この場合には、白さを強調したミラー効果を有することができる。
ここで、上記白色とは、測色色差計で測定された白色度Wが70以上である場合を言う。
上記白色度Wとは、酸化マグネシウム標準白板の光の反射量を100、真黒を0とし、光の反射量の割合により示される数値である。具体的には、測色色差計(例えば、日本電色工業株式会社製ZE2000)により、C2光源でL,a,b値を測定し、次式W(白色度)=100−[(100−L)2+a2+b2]1/2より求められた値である。
ここで、半透明とは、測色色差計で測定された白色度Wが30以上70未満である場合をいう。
この場合には、白色や半透明である基板ガラスを用いる場合に比べて、高反射膜がより高い反射効果を発揮することができ、ミラー効果を高めることができる。
ここで、黒色とは、測色色差計で測定された白色度Wが30未満であり、かつ、JIS
R 3106に準拠して算出された日本工業規格「板ガラスの透過率・反射率・日射取得率試験方法」の透過率・反射率より算出した可視光吸収率が80%より大きい場合をいう。
日本分光株式会社製の、紫外可視近赤外分光光度計V−570及び積分球装置ISN−470を使用することにより透過・反射スペクトルの測定を行う。この場合の透過・反射スペクトルは積分球を使用することで、試料に入射し、あらゆる方向に透過・反射した殆どの光を取り込んで求める値である。得られた透過・反射スペクトルから日本工業規格「板ガラスの透過率・反射率・日射取得率試験方法」JIS R 3106に準拠し、可視光透過率・可視光反射率を求め、次式、可視光吸収率=100−可視光透過率−可視光反射率より求められる値である。
この場合には、上記黒薄膜を形成することによって、反射光が黒色を呈するガラスとなる。そのため、上述の基板ガラスが黒色である場合と同様に、白色や半透明である基板ガラスを用いる場合に比べて、高反射膜がより高い反射効果を発揮することができ、ミラー効果を高めることができる。
ここで、裏側面とは、加熱調理器を利用する際に、鍋等を置く面である調理面とは反対の加熱装置側の面である。
R 3106に準拠して算出された日本工業規格「板ガラスの透過率・反射率・日射取得率試験方法」の透過率・反射率より算出した可視光吸収率が50%以下の場合をいう。
上記ラスター彩は、有機金属化合物の希釈溶液であり、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Ba、Sr、Mg、Ag、Zr、In、Mn等の有機金属化合物の希釈溶液が挙げられる。これらの有機金属化合物の希釈溶液は、単体で用いても良いし、任意の割合で複数混合することもできる。
上記ラスター彩の塗布は、スクリーン印刷により行うことが好ましい。
この場合には、スクリーン印刷法等により塗布する場合に、容易に対応することが可能である。
この場合には、意匠性を損なうことなく、摩耗強度を維持することができる。
上記絵付けガラス装飾層の上記調理面に占める割合は、より好ましくは、20〜80%である。
上記ペーストを塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ディッピング法、スクリーン印刷法、及びバーコート印刷法等が挙げられる。
また、上記有機樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
上記高反射膜形成工程の焼成温度は、より好ましくは700〜900℃である。
上記ペーストを塗布する方法としては、スクリーン印刷法を行うことが好ましい。
また、上記有機樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
また、上記ペーストは、必要に応じて有機溶剤を含有してもよい。
絵付けガラス装飾層形成工程の焼成温度は、より好ましくは790〜890℃である。
この場合には、特にミラー効果の高い加熱調理器用ガラストッププレートを得ることができる。
この場合には、特にミラー効果の高い加熱調理器用ガラストッププレートを得ることができる。
本例では、本発明の加熱調理器用ガラストッププレートの実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E1)を作製した。
図1に示すように、本例の加熱調理器用ガラストッププレート1は、低膨張結晶化ガラスよりなる基板ガラス2の調理面21に、該調理面21よりも反射率が高い高反射膜3を積層し、該高反射膜3の一部を覆うように、更に絵付けガラス装飾層4を積層している。
以下、これを詳説する。
また、絵付けガラス装飾層4用のペーストとしては、SiO2:55重量%、Al2O3:10重量%、B2O3:20重量%、Li2O:3重量%、Na2O:3重量%、K2O:3重量%、ZrO2:5重量%、CaO:1重量%からなるガラス組成物97%と白色顔料Al2O3からなる添加剤3%を含有し、外掛けでアクリル樹脂100%を加えたペーストを用意した。
まず、高反射膜形成工程として、上記基板ガラス2の調理面21全面に、ステンレス250メッシュのスクリーンを使用して上記高反射膜用のペーストを塗布し、850℃で焼成を行った。これにより、膜厚100nmの高反射膜3を形成した。
また、本例において、上記高反射層3は基板ガラス2の調理面21全面に形成したが、一部分でもよい。
本例では、本発明の実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E2)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が11×10-7/K、表面粗さRaが0.20μmの白色低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストとしては、SiO2:60重量%、Al2O3:8重量%、B2O3:20重量%、Li2O:3重量%、Na2O:2重量%、K2O:2重量%、ZrO2:5重量%からなるガラス組成物100%を含有し、外掛けでアクリル樹脂100%を加えたペーストを用意した。
本例では、本発明の実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E3)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が15×10-7/K、表面粗さRaが0.05μmの半透明低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストとしては、SiO2:55重量%、Al2O3:7重量%、B2O3:20重量%、Li2O:3重量%、Na2O:4重量%、K2O:2重量%、ZrO2:5重量%、BaO:2重量%、CaO:2重量%からなるガラス組成物97%と白色顔料TiO2からなる添加剤3%を含有し、外掛けで、アクリル樹脂100%を加えたペーストを用意した。
本例では、本発明の実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E4)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が11×10-7/K、表面粗さRaが0.68μmの白色低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストとしては、実施例1と同一のガラス組成物97%と、白色顔料Al2O3からなる添加剤3%を含有し、外掛けでアクリル樹脂200%を加えたペーストを用意した。
本例では、本発明の実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E5)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が14×10-7/K、表面粗さRaが0.50μmの半透明低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストは、実施例2と同一のものを用意した。
本例では、本発明の実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E6)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が15×10-7/K、表面粗さRaが0.15μmの半透明低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストとしては、実施例3と同一のペーストを用意した。
本例では、本発明の加熱調理器用ガラストッププレートの実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E7)を作製した。
上記基板ガラスとしては、熱膨張係数が−7×10-7/Kで、表面粗さRaが0.23μmの黒色低膨張結晶化ガラスを用いた。
高反射膜用のペーストとしては、チタンレジネートと有機樹脂(セルロース系樹脂)とから構成されるTi濃度0.5%のペーストを用意した。
次に、絵付けガラス装飾層形成工程として、上記高反射膜上に、ステンレス400メッシュのスクリーンを使用して、上記絵付けガラス装飾層用のペーストを塗布し、850℃で焼成を行った。これにより、膜厚が4μmであり、調理面の30%を占める絵付けガラス装飾層を形成した。
絵付けガラス装飾層が存在しない部分は、上記高反射膜によるミラー効果が発揮され、絵付けガラス装飾層が存在する部分は、マット調白色の表現となっている。
本例では、本発明の加熱調理器用ガラストッププレートの実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E8)を作製した。
上記基板ガラスとしては、熱膨張係数が−2×10-7/Kで、表面粗さRaが0.17μmの黒色低膨張結晶化ガラスを用いた。
また、絵付けガラス装飾層用のペーストは、実施例7と同一のものを用意した。
次に、絵付けガラス装飾層形成工程として、上記高反射膜上にテトロン255メッシュのスクリーンを使用して上記絵付けガラス装飾層用のペーストを塗布し820℃で焼成を行った。これにより、膜厚が8μmであり、調理面の50%を占める絵付けガラス装飾層を形成した。絵付けガラス装飾層が存在しない部分は、上記高反射膜によるミラー効果が発揮され、絵付けガラス装飾層が存在する部分は、マット調白色の表現となっている。
本例では、本発明の加熱調理器用ガラストッププレートの実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料E9)を作製した。
基板ガラスとしては、熱膨張係数が−7×10-7/Kで、表面粗さRaが0.06μmの透明低膨張結晶化ガラスを用いた。
黒薄膜用のラスター彩としては、黒色ラスター絵付け材料を用意した。
また、絵付けガラス装飾層用のペーストは、実施例7と同一のものを用意した。
次に、高反射膜形成工程として、上記基板ガラスの調理面全面に、ステンレス250メッシュのスクリーンを使用して上記高反射膜用のペーストを塗布し、850℃で焼成を行った。これにより膜厚100nmの高反射膜を形成した。
本例では、本発明の加熱調理器用ガラストッププレートの実施例として、加熱調理器用ガラストッププレート(実施例10)を作製した。
基板ガラスとしては、熱膨張係数が−7×10-7/Kで、表面粗さRaが0.55μmの透明低膨張結晶化ガラスを用いた。
高反射膜用のペーストとしては、チタンレジネートと有機樹脂(セルロース系樹脂)とから構成されるTi濃度1.5%のペーストを用意した。
また、絵付けガラス装飾層用のペーストは、実施例7と同一のものを用意した。
次に、高反射膜形成工程として、上記基板ガラスの調理面全面に、テトロン300メッシュのスクリーンを使用して上記高反射膜用のペーストを塗布し、750℃で焼成を行った。これにより膜厚60nmの高反射膜を形成した。
絵付けガラス装飾層が存在しない部分は、上記高反射膜によるミラー効果が発揮され、絵付けガラス装飾層が存在する部分は、マット調白色の表現となっている。
本例では、本発明の比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C1)を用意した。
基板ガラスとしては、熱膨張係数が10×10-7/K、表面粗さRaが0.07μmの白色低膨張結晶化ガラスを用意した。これをそのまま加熱調理器用ガラストッププレートとした。すなわち、基板ガラスの調理面には、高反射膜及び絵付けガラス装飾層は形成しなかった。
本例では、本発明の比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C2)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が11×10-7/K、表面粗さRaが0.7μmの白色低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストとしては、SiO2:50重量%、Al2O3:8重量%、B2O3:23重量%、Li2O:3重量%、Na2O:2重量%、K2O:3重量%、ZrO2:7重量%、ZnO:2重量%、BaO:2重量%からなるガラス組成物97%と白色顔料TiO2からなる添加剤3%を含有し、外掛けで、アクリル樹脂100%を加えたペーストを用意した。
本例では、本発明の比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C3)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が11×10-7/K、表面粗さRaが0.06μmの白色低膨張ガラスを用意した。
高反射膜用のペーストとしては、チタンレジネートと有機樹脂(セルロース系樹脂)とから構成されるTi濃度0.75%のペーストを用意した。
絵付けガラス装飾層は形成しなかった。
本例では、本発明の比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C4)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が14×10-7/K、表面粗さRaが0.55μmの半透明低膨張ガラスを用意した。
また、絵付けガラス装飾層用のペーストとしては、実施例4と同一のペーストを用意した。
本例では、本発明の比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C5)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が15×10-7/K、表面粗さRaが0.07μmの半透明低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストは、実施例3と同一のペーストを用意した。
本例では、本発明の比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C6)を作製した。
ガラス基板としては、熱膨張係数が10×10-7/K、表面粗さRaが0.75μmの白色低膨張ガラスを用意した。
絵付けガラス装飾層用のペーストとしては、比較例2と同様のものを用意した。
本例では、本発明の加熱調理器用ガラストッププレートの比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C7)を作製した。
上記基板ガラスとして、熱膨張係数が−7×10-7/Kで、表面粗さRaが0.23μmの黒色低膨張結晶化ガラスを用いた。
また、絵付けガラス装飾層用のペーストは、実施例7と同一のものを用意した。
次に、絵付けガラス装飾層形成工程として、上記高反射膜上にテトロン200メッシュのスクリーンを使用して上記絵付けガラス装飾層用のペーストを塗布し830℃で焼成を行った。これにより、膜厚が10μmであり、調理面の30%を占める絵付けガラス装飾層を形成した。
本例では、本発明の加熱調理器用ガラストッププレートの比較例として、加熱調理器用ガラストッププレート(試料C8)を作製した。
基板ガラスとしては、熱膨張係数が−7×10-7/Kで、表面粗さRaが0.06μmの透明低膨張結晶化ガラスを用いた。
高反射膜用のペーストとしては、ジルコニアレジネートと有機樹脂(セルロース系樹脂)とから構成されるZr濃度4.0%のペーストを用意した。
また、絵付けガラス装飾層用のペーストは、実施例7と同一のものを用意した。
次に、高反射膜形成工程として、上記基板ガラスの調理面全面に、ステンレス180メッシュのスクリーンを使用して上記高反射膜用のペーストを塗布し、900℃で焼成を行った。これにより膜厚320nmの高反射膜を形成した。
株式会社東京精密製SURFCOM130を用いて、基板ガラスの表面の表面粗さRaを測定した。
日本分光株式会社製の、紫外可視近赤外分光光度計V−570、及び一回反射測定装置SLM−468を使用することにより反射スペクトルの測定を行った。この場合の反射スペクトルは鏡面反射するアルミ蒸着鏡に対する相対反射スペクトルである。可視光反射率は、得られた相対反射スペクトルから日本工業規格「板ガラスの透過率・反射率・日射取得率試験方法」JISR3106に準拠し、可視光反射率として求められた値である。
本例では、上記実施例1〜10、及び比較例1〜8の加熱調理器用ガラストッププレート(試料E1〜試料E10、及び試料C1〜試料C8)について、以下の項目を評価した。結果を表4に示す。
高反射膜部に蛍光灯の光を反射させ、目視により、蛍光灯の形状が明確に見えるかどうかを観察し、ミラー効果を評価した。評価が○の場合を合格、評価が×の場合を不合格とする。
○:蛍光灯の形状が明確に見える場合。
×:蛍光灯の形状が明確に見えない場合。
高反射膜の摩耗強度は、実際に調理する場合を想定して、フライパンで調理面を所定回数擦った時の削れ具合を観察することにより評価した。
まず、鍋擦れ試験機に試料を置き、その上に、26cmフライパンを設置し、更に調理物を想定した1kg荷重のおもりをのせ、12cmのストロークで40回/分の速度で、7時間(16800往復)往復運動を行い、試験終了後、表面の汚れを水で軽く洗浄し、目視により、調理面表面を観察し、高反射膜の摩耗強度を評価した。評価が○の場合を合格、評価が×の場合を不合格とする。
○:高反射膜が剥がれた痕跡が全く認められない場合。
×:高反射膜が剥がれた痕跡が認められた場合。
市販のセロハン粘着テープを絵付けガラス装飾層表面に貼り付け、爪等で強くこすりつけた後、斜め45°方向に勢いよくはがし、絵付けガラス装飾層の剥離強度を評価した。評価が○の場合を合格、評価が×の場合を不合格とする。
○:絵付けガラス装飾層の剥離が認められない場合。
×:絵付けガラス装飾層の剥離が認められた場合。
これにより、本発明によれば、ミラー効果を発揮して意匠性に優れ、摩耗強度が高い加熱調理器用ガラストッププレートを得ることができる。
また、本発明の比較例としての試料C2は、基板ガラスの調理面の表面粗さが本発明の上限を上回り、また、絵付けガラス装飾層の厚みが本発明の上限を上回るため、ミラー効果及び絵付けガラス装飾層の剥離強度が不合格であった。
また、本発明の比較例としての試料C4は、絵付けガラス装飾層の膜厚が本発明の下限を下回るため、フライパンと高反射膜との位置が近く、直接接触することにより、高反射膜が剥がれ、高反射膜の摩耗強度が不合格であった。
また、本発明の比較例としての試料C6は、基板ガラスの表面粗さが本発明の上限を上回るため、ミラー効果が不合格であった。
また、比較例としての試料C8は、高反射膜の膜厚が本発明の上限を上回るため、基板ガラスと高反射膜との熱膨張差でクラックが発生したため、ミラー効果が不合格であった。また、絵付けガラス装飾層の膜厚が本発明の上限を上回るため、絵付けガラス装飾層の剥離強度が不合格であった。
2 基板ガラス
21 調理面
3 高反射膜
4 絵付けガラス装飾層
Claims (11)
- 加熱調理器用のガラストッププレートであって、
低膨張結晶化ガラスよりなる基板ガラスの調理面に、該調理面よりも反射率が高い高反射膜を積層し、
該高反射膜の一部を覆うように、更に絵付けガラス装飾層を積層してなり、
上記基板ガラスの調理面は、表面粗さRaが0.7μm未満であり、
上記高反射膜は、TiO2、CeO2、ZrO2のうち1種以上を主成分とすると共に厚みが20〜300nmであり、
上記絵付けガラス装飾層は、ガラス組成物からなると共に厚みが1〜15μmであることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。 - 請求項1において、上記基板ガラスは白色であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
- 請求項1において、上記基板ガラスは半透明であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
- 請求項1において、上記基板ガラスは黒色であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
- 請求項1において、上記基板ガラスは透明であり、上記基板ガラスの調理面と反対の面である裏側面に黒薄膜を形成していることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記高反射膜は、上記調理面の全面又は一部に形成されていることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記絵付けガラス装飾層の上記調理面に占める割合は、10〜90%であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
- 請求項1〜7のいずれか一項において、上記絵付けガラス装飾層は、透明であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレート。
- Ti、Ce、Zrのうち1種以上の金属レジネートと有機樹脂とからなるペーストを低膨張結晶化ガラスよりなる基板ガラスの調理面に塗布し、600〜1200℃で焼成することにより高反射膜を形成する高反射膜形成工程と、
ガラス組成物と有機樹脂とからなるペーストを上記高反射膜の一部を覆うように塗布し、750〜1200℃で焼成することにより絵付けガラス装飾層を形成する絵付けガラス装飾層形成工程とを有することを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートの製造方法。 - 請求項9において、上記基板ガラスが黒色であり、上記高反射膜形成工程の焼成温度は600〜900℃であり、上記ガラス装飾層形成工程の焼成温度は750〜900℃であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートの製造方法。
- 請求項9において、上記高反射膜形成工程の前に、透明である上記基板ガラスの調理面と反対の面である裏側面に有機金属化合物の希釈溶液からなるラスター彩を塗布し、600〜900℃で焼成することにより黒薄膜を形成する黒薄膜形成工程を有し、上記高反射膜形成工程の焼成温度は600〜900℃であり、上記ガラス装飾層形成工程の焼成温度は750〜900℃であることを特徴とする加熱調理器用ガラストッププレートの製造方法。
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