JP2006173093A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アノード電極からの沿面放電を防止するガード電極を、スペーサとの間での異常放電を発生させることなく配置する。
【解決手段】アノード電極であるメタルバック19から一定の距離(x)をおいて配置されるガード電極22とスペーサ20との距離(Lg)を、上記xとスペーサ20の高さ(hs)との比(x/hs)に応じて、放電の発生しない所定の距離に設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子放出素子を用いた平面型の画像形成装置に関する。
従来、CRTを始めとする画像表示装置は、より一層の大画面化が求められ、大画面化に伴う装置の薄型化・軽量化が重要な課題となっている。このような薄型化・軽量化が可能な画像表示装置として、本出願人は表面伝導型電子放出素子を用いた平面型の画像表示装置を提案している。このような電子放出素子を用いた画像表示装置は、複数の電子放出素子を備えたリアプレートと、電子の照射によって発光する発光部材とアノード電極とを備えたフェースプレートとを、周縁部に枠材を介して封止することにより、真空容器を形成してなる。
上記電子放出素子を用いてなる画像形成装置においては、表示輝度が加速電位に依存するため、高輝度を得るためには加速電位を高くする必要がある。また、装置の薄型化のためには、リアプレートとフェースプレートとの基板間距離を小さくしなければならない。そのため、基板間にはかなり高い電界が生じることになり、高電圧を印加されたアノード電極と他の部材との間で放電を生じる場合があった。
特許文献1は、フェースプレート表面のアノード電極の外側にガード電極を配置し、該ガード電極をアノード電極よりも低電位に設定して、アノード電極と他の部材との間で生じる沿面放電を防止した構成が記載されている。
特開2002−237268号公報(EP1220273A)
特許文献1に記載されたガード電極はスペーサと接触させて配置することにより、耐圧向上を図っているが、ガード電極をスペーサに確実に接触させることは容易ではなく、生産性の点から好ましくない。また、接触が不十分で電極とスペーサとの間に微小な間隙が生じた場合には、スペーサとガード電極との間で放電を生じてしまう。
本発明の目的は、上記問題を解決し、生産性がよく、且つスペーサとの間で放電の生じないガード電極を配置して、アノード電極と他の部材との間での沿面放電を良好に防止した画像形成装置を提供することにある。
本発明の画像形成装置は、
複数の電子放出素子とカソード電極とを備えたカソード基板と、該カソード基板に対向配置され、該電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する発光部材とアノード電極とガード電極とを備えたアノード基板と、前記カソード電極とアノード電極との間及び前記カソード電極と前記ガード電極との間に位置し、前記カソード電極及びアノード電極とに接する板状のスペーサと、前記カソード基板とアノード基板の周縁部に介在して前記カソード基板とアノード基板と共に真空容器を形成する枠とを有する画像形成装置であって、
前記ガード電極は、前記アノード電極と前記枠との間に位置し、
上記アノード電極からガード電極までの距離をx[m]、
上記スペーサの高さをhs[m]、
上記アノード電位をVa[V]
とし、前記ガード電極とスペーサとの間隔Lg[m]が、下記の条件を満たすことを特徴とする。
Figure 2006173093
本発明においては、ガード電極とスペーサとを積極的に非接触状態で配置し、その間隔の下限が規定される。そのため、該規定を満たす範囲で設計すれば良く、ガード電極とスペーサとを接触させる構成に比較して製造が容易で生産性が大幅に向上する。よって、本発明によれば、アノード電極と他の部材との間での放電が良好に防止され、耐久性が高く、信頼性の高い画像表示装置が提供される。
本発明の画像形成装置は、電子放出素子を用いてなる平面型の表示装置であり、特に、電界放出型電子放出素子や表面伝導型電子放出素子を用いて構成した場合に、アノード電極に高電圧を印加する必要があるという点から本発明が好ましく適用される。
図1に、本発明の画像形成装置の一実施形態の表示パネルの構成を模式的に示す。図1は内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。図中、12は電子放出素子、13は行方向配線(カソード電極)、14は列方向配線、15はリアプレート(カソード基板)である。また、16は枠、17はフェースプレート(アノード基板)、18は蛍光膜、19はメタルバック(アノード電極)、20はスペーサ、22はガード電極、25はスペーサの固定部材である。
本発明においては、カソード基板であるリアプレート15とアノード基板であるフェースプレート17とが、周縁部において枠16を介して封止され、気密容器を形成している。当該気密容器内は、10-4Pa程度の真空に保持されるため、大気圧や不意の衝撃などによる損傷を防止するために、耐大気圧構造体として矩形薄板状のスペーサ20を備えている。スペーサ20は画像表示領域外において端部を固定部材25により固定されている。
カソード基板であるリアプレート15には、表面伝導型の電子放出素子12がN×M個形成されており、カソード電極であるM本の行方向配線13とN本の列方向配線14により単純マトリクス配置されている(M、Nは正の整数)。行方向配線13と列方向配線14との交差部は不図示の層間絶縁層にて絶縁されている。尚、本実施形態においては表面伝導型の電子放出素子を単純マトリクス配置した構成を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、電界放出型(FE型)やMIM型などの電子放出素子においても好ましく適用され、また、単純マトリクス配置に限定されるものではない。
図4に、本発明で用いられる表面伝導型電子放出素子の基本構成を模式的に示す。図中、41は絶縁性の基板で、図1のリアプレート15に相当する。42,43は素子電極、44は導電性膜で、45は電子放出部であり、導電性膜44にフォーミング電圧を印加して形成される。図4の(a)は平面図、(b)は(a)のA−A’断面図である。電子放出部45には、通常、通電活性化処理によりカーボン膜が堆積されている。
図2に図1の画像形成装置のX方向端部近傍におけるX方向断面模式図を示す。また、図3にY方向の部分断面模式図を示す。図中、23は抵抗膜、26は固定部材、31は絶縁性基体、32は高抵抗膜、34は黒色導電材、35は蛍光体(発光部材)である。また、33は、列方向配線14と行方向配線13との間の電気的絶縁を図る層間絶縁層である。尚、図2においては、行方向配線13とリアプレート15との間に介在する列方向配線14及び列方向配線14と行方向配線13との間の電気的絶縁を図る層間絶縁層については便宜上省略した。尚、行方向配線13、列方向配線14は、カソード電極とも言う。図2、3の構成において、スペーサ20に接続するカソード電極は、行方向配線13である。
図1の構成において、フェースプレート17には、蛍光膜18と、アノード電極としてCRTの分野では公知のメタルバック19が設けられている。蛍光膜18は図3に示すように例えばストライプ状に赤、緑、青、の3原色の蛍光体35に塗り分けられ、各色の蛍光体35の間には黒色導電体34が設けてある。但し、蛍光体35の配列はストライプの配列に限られるものではなく、電子源の配列に応じて、例えばデルタ状配列など、それ以外の配列であってもよい。
スペーサ20は通常、図3に示すように、絶縁牲基体31の表面に帯電防止を目的とした高抵抗膜32を成膜した部材からなるもので、表示パネルの耐大気圧構造体として必要な間隔をおいて必要な数だけ配置される。スペーサ20の絶縁性基体31としては、例えば石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、ソーダライムガラス、アルミナ等のセラミックス部材等が挙げられ、熱膨張率が気密容器を成す部材と近いものが好ましい。また、高抵抗膜32としては、WGeN(タングステンとゲルマニウムとの窒化物)が好ましく用いられる。
本発明で用いられるスペーサ20は矩形薄板状であり、カソード電極である行方向配線13に平行に配置され、行方向配線13及びアノード電極であるメタルバック19とに電気的に接続されている。
ここで、図2を用いて本発明の特徴要件であるガード電極22周辺の構成を詳細に説明する。
図2に示すように、本発明においては、アノード電極であるメタルバック19と枠材16との間に、メタルバック19より一定の距離(x)をおいてガード電極22が配置されている。図2の構成では、ガード電極22は抵抗膜23を介してメタルバック19と電気的に接続されている。ガード電極22は、アノード電位をより高くした場合や、表示パネルの周辺部をより狭くした場合に、周辺部の電位の持ち上がりを防ぐために有効である。また、抵抗膜23は沿面放電を防ぐために有効である。ガード電極22へはGND電位もしくはアノード電位よりも十分に低い電位が与えられ、メタルバック19へはアノード電位(Va)が印加される。
フェースプレート17はカソード基板であるリアプレート15と枠16を介して封止されており、枠16はフェースプレート17及びリアプレート15のそれぞれと固定部材26により固定されている。
本発明において、ガード電極22とスペーサ20とは、所定の間隔(Lg)を介して非接触で配置される。本来、ガード電極22とスペーサ20は、非接触の場合には、Vaを高くしすぎると放電に至る可能性があるため、放電を防止する上では確実に接触させるのが好ましい。しかしながら、確実に接触させるためには、各部材の高さを高精度で制御しなければならず生産性が悪い。そこで、本発明では、ガード電極22とスペーサ20の間での放電の可能性が低くなるよう、当該間隙の電界が一定以下になるように、Lgなる間隔を設ける構成としている。尚、ガード電極22とスペーサ20の間での放電の可能性を抑えるために必要な電界強度の上限は、経験的に4×108V/mと見積もられる。
また、スペーサ20のガード電極22に対向する個所の電位は、図5に示すように、スペーサの高さ(hs[m])と、メタルバック19とガード電極22との距離(x[m])の比(x/hs)で大まかに定義できる。図5ではスペーサ20の高さ(hs[m])と、スペーサ20のメタルバック19との接続部からスペーサ端部までの距離(ls[m])の比(ls/hs)別に電位の様子を詳細に示す。しかし、概算であれば、(ls/hs)に依存せず、点線のように表すことが出来る。点線が示すように、スペーサ20のガード電極22に対向する部位の電位は、Va=1[V]として、おおよそ以下の様に定義できる。
Figure 2006173093
以上より、スペーサ20とガード電極22とは以下の式(1)〜(3)で示される関係を満たす間隔(Lg[m])を空けていることが好ましい。これにより、スペーサ20とガード電極22との間での放電を招くことなく、メタルバック19と他部材との沿面放電を防止することが出来る。
Figure 2006173093
さらに上記間隔(Lg)を達成するためには、下記(4)式を満たすように各構成部材のサイズが選択されていることが望ましい。尚、ここで、フェースプレート17の厚みをt[m]、スペーサ20の高さをhs[m]、フェースプレート17からメタルバック19表面までの高さをha[m]、とした。またそれぞれ、リアプレート15から行方向配線13表面までの高さをhc[m]、フェースプレート17からガード電極22表面までの高さをhg[m]、枠16の内側近傍におけるフェースプレート17とリアプレート15との距離(基板間距離)をhw[m]とした。また、枠16からメタルバック19までの距離をS[m]、フェースプレート17のヤング率をE[Pa]、アノード電位をVa[V]とした。
Figure 2006173093
上記(4)式において、右辺第一項はメタルバック19とガード電極22のフェースプレート17からの高さの差を表す。また、右辺第二項は枠16の高さ(パネル内部の厚さ、尚、実質的に固定部材26の厚さを0とする)と、メタルバック部のパネル内部の厚さで静的に決まるガード電極部の相対的な位置を表す。また、右辺第三項は真空容器に大気圧がかかる場合のたわみ量である。
さらに、フェースプレート17がガラス基板の場合、また、前記メタルバック19と前記枠16との距離が狭くなった場合には、前記フェースプレート17のたわみ分は考慮しなくてよい。この場合、(4)式は(5)式のように簡略化され、必要な構成要件が減って好ましい。具体的に最もたわみの大きいx=S/2で示すと,ガラスのヤング率がE≒7×1010Pa故、t=1mm、S=12mmの場合、たわみ量は1μm以下となる。また、t=2mm、S=20mmの場合も、たわみ量が1μm以下となる。たわみ量は、tを厚くしたり、また、x<S/2としても減らすことができる。一般に、S4/t3が20(m)以下の場合、以下の式(5)でLgを算出することが可能である。
Figure 2006173093
さらに、スペーサ20の高さ(hs)と、フェースプレート17からメタルバック19表面までの高さ(ha)と、リアプレートから行方向配線13までの高さ(hc)を足した高さ(hs+ha+hc)が、枠16近傍における基板間距離(hw)と略等しい場合を考える。このような構成は、アノード電極の端部と枠との距離が更に小さい場合や、フェースプレートの厚みが更に大きい場合などが該当する。この条件に加え、S4/t3が2(m)より小さい場合、以下の式(6)でLgを算出することが可能である。このような構成の場合、主に、フェースプレート17からメタルバック19表面までの高さ(ha)と、フェースプレート17からガード電極22表面までの高さ(hg)だけで、ガード電極22とスペーサ20の間隔(Lg)を規定することができ好ましい。
Lg=ha−hg (6)
再び、図1に戻って、他の構成部材を説明する。図1中、Dx1〜Dxm及びDy1〜Dyn及びHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子である。Dx1〜Dxmは電子源の行方向配線13と、Dy1〜Dynは電子源の列方向配線14と、Hvはフェースプレート17に電気的に接続されている。
以上説明した表示パネルは、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じて各電子放出素子12に電圧を印加すると、各電子放出素子12から電子が放出される。それと同時にメタルバック19に容器外端子Hvを通じて数キロボルトの高圧を印加して、上記放出された電子を加速し、フェースプレート17の内面に衝突させる。これにより、蛍光膜18をなす各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。
通常、表面伝導型電子放出素子への印加電圧Vfは12〜16V程度、メタルバック19と電子放出素子12との距離は0.1mm〜8mm程度、メタルバック19と電子放出素子12間の電圧Vaは1kV〜15kV程度である。
(実施例1)
図1〜図3に示す構成の画像形成装置を構成した。
フェースプレート17には、基板として厚さ3mmの高歪み点ガラス(PD200)を使用した。このガラス基板に、まず、ガード電極22として銀ペーストを印刷によって形成し、次に黒色導電体34を印刷によって形成した。また、黒色導電体34の開口部に蛍光体35をスクリーン印刷法によって形成した。さらにその上にメタルバック19としてAlを真空蒸着した。尚、ガード電極、黒色導電体、メタルバックの厚みは、以下のように各部材のサイズを考慮して決定した。スペーサ20としては、ガラス基体に高抵抗膜32としてWGeNを、スパッタ成膜法によって約100nm成膜して用いた。枠16にもガラスを用い、サイズは高さを3.6mmとした。また、枠16とリアプレート15との間には、厚さ220μmのフリットガラス26が介在している。また枠16とフェースプレート17との間には、厚さ210μmのフリットガラス26が介在している。フリットガラス26の厚みは、フェースプレートと枠とリアプレートとを封着する際に、不図示の間隔規定治具を用いることで制御した。具体的には、フェースプレートとリアプレート間に4.03mmの間隔規定治具を介在させて封着することにより、フリットの厚みを制御した。リアプレート15にもフェースプレート同様、基板として厚さ3mmの高歪み点ガラス(PD200)を使用した。このガラス基板上に、列方向配線14、層間絶縁層33、行方向配線13を形成した。列方向配線14と行方向配線13は銀ペーストを印刷することによって形成した。尚、ガラス基板表面から行方向配線13の表面までの距離が10μmとなるようにした。
本例の各構成部材のサイズは、枠周辺での不慮の放電の発生防止を考慮して、t=3mm、hs=4mm、ls=8mm、S=30mm、x=5mmとした。また、上記のとおり、枠16、フリットガラス26のサイズより、hwは4.03mmであった。本例ではhs<xであるから、Va=10kVとするためには、式(3)よりLg≧2.5μmとする必要がある。本例においては、確実な耐圧性を確保する目的で、Lgを9μm程度とすべく、ガード電極22の厚み(hg)を10μm、黒色導電部材34の厚みを20μm、メタルバック19の厚みを0.1μmとした。
このような画像形成装置にVa=10kVを印加したが、ガード電極22とスペーサ20の間で放電するようなことは無かった。
さらにパネルを分解して、スペーサ20と接触した痕が付いている部分において、フェースプレート17からのメタルバック19表面までの高さ(ha)、及びリアプレート15から行方向配線13表面までの高さ(hc)を測定した。ha=20μmであり、黒色導電部材34は殆ど変形していなかった。また、hc=9μmであり、スペーサ20と接触した痕の部分が他の部分より1μm程度へこんでいることが確認された。この時、ガード電極22表面には接触痕は無く、フェースプレート17からガード電極22表面までの高さ(hg)は10μmであった。よって、前述の式(4)よりLg=8μmであり、上記Lg≧2.5μmの条件を満たしている。
スペーサ20のガード電極22に対向する部位の電位はおよそ1kVになり、ガード電極22とスペーサ20の間の電界強度は1.3×108V/mとなり、ガード電極22とスペーサ20との間での放電は防止される。
尚、フェースプレート17とリアプレート15の外表面(大気側に露出する面)間の距離を、各エリアで測定した。この測定値から、フェースプレート及びリアプレートの厚みを差し引くことで、フェースプレートとリアプレートの内側表面間の距離を算出した。その結果、(hs+hc+ha)に相当するメタルバック19近傍における基板間距離が4.029mm、ガード電極22近傍における基板間距離=4.020mmであった。これらの値及び上記hg、ha、hs、hc等より、Lgを算出すると、Lg=9μmであった。これは上記式(4)から算出したLgの値にほぼ一致している。
(実施例2)
本実施例が実施例1と異なるのは、画像表示装置を小型化するため、枠とアノード電極の距離を20mmとしたことである。この変更により、ガード電極22とスペーサ20の間隔(Lg)は式(5)より10μmと算出された。本実施例においては、スペーサ20のガード電極22に対向する部位の電位はおよそ1kVになり、また、実施例1同様に行方向配線が1μm程度へこんでいることをかんがみて、ガード電極22とスペーサ20の間の電界強度は1.1×108V/mである。
本実施例の画像形成装置においても、ガード電極22とスペーサ20の間で放電するようなことは無かった。
(実施例3)
本実施例が実施例1と異なるのは、画像表示装置を更に小型化するために、メタルバック19と枠材16の距離(S)を10mm、メタルバック19とガード電極22との距離(x)を2mmとしたこと、さらに黒色導電体34を2層印刷したことである。従ってx≦0.5hsとなるので、Va=10kVを印加するためには、式(1)よりLg≧7.5μmが必要である。
本例においては、行方向配線13が1μm程度へこむことを考慮して、間隔規定治具の高さを1μm小さくしたものを用いて、封着を行った。具体的には、間隔規定治具の高さを4.029mmとした。この結果、枠近傍のリアプレート−フェースプレート間高さと、メタルバック端部におけるリアプレート−フェースプレート間高さを等しくすることが出来た。本例においては、Lgを10μmとするべく、黒色導電体34を20μm、メタルバック19を0.1μmとした。また、上述のとおり、4.029mmの間隔規定治具を用いてフリット26の厚みを制御することで、枠16近傍における基板間距離(hw)を4.029mmとした。さらにパネルを分解して、スペーサ20と接触した痕の付いている部分において、メタルバック19のフェースプレート17からの高さ(ha)、及び行方向配線13のリアプレート15からの高さ(hc)を測定した。この結果、ha=20μmであり、黒色導電性部材34は殆ど変形していなかった。また、hc=9μmであり、行方向配線のスペーサ20と接触した痕の部分が他の部分より1μmへこんでいることが確認された。この時、ガード電極22には接触痕は無く、フェースプレート17からの高さ(hg)は10μmであった。よって、前述の式(6)よりLg=10μmであり、上記Lg≧7.5μmの条件を満たしている。
本例では、スペーサ20のガード電極22に対向する部位の電位はおよそ3kVになり、ガード電極22とスペーサ20の間の電界強度は3.3×108V/mとなる。
本実施例の画像形成装置においても、ガード電極とスペーサの間で放電するようなことは無かった。
(実施例4)
本実施例が実施例3と異なるのは、パネル厚を薄くするために、フェースプレート17の厚み(t)を2mm、スペーサ20の高さ(hs)を2mmとしたことである。従って、0.5hs<x≦hsとなるので、Va=10kV印加するためには、式(2)よりLg≧2.5μmが必要である。
本例では、Lgを10μmとするべく、2.03μmの間隔規定治具を用いてフリット26の厚みを制御することで、枠16近傍における基板間距離(hw)を2.03mmとした。さらに分解して、スペーサ20と接触した痕のついている部分における、メタルバック19のフェースプレート17からの高さ(ha)、及び行方向配線13のリアプレート15からの高さ(hc)を測定した。その結果、ha=20μmであり、黒色導電性部材34とメタルバック19の厚みの合計値と一致した。また、hc=9μmで、行方向配線のスペーサ20と接触した痕の部分が他の部分より1μm程度へこんでいることが確認された。この時、ガード電極22には接触痕は無く、フェースプレート17からの高さ(hg)は10μmであった。よって、前述の式(5)よりLg=10μmであり、上記Lg≧2.5μmの条件を満たしている。
スペーサ20のガード電極22に対向する部位の電位はおよそ1kVになり、ガード電極22とスペーサ20の間の電界強度は1.0×108V/mとなる。
本実施例の画像形成装置においても、ガード電極22とスペーサ20の間で放電するようなことは無かった。
(比較例)
本比較例が実施例1と異なるのは、ガード電極22とメタルバック19の距離(x)が2.5mmであったこと、及びガード電極の高さが15μmであったことである。従って、本例では0.5hs<x≦hsであるから、Va=10kV印加するためには、式(2)よりLg≧6.25μmが必要である。
しかしながら、本例のガード電極22とスペーサ20の間隔(Lg)は式(4)より、4μmであった。
本画像形成装置にVaを徐々に昇圧していったところ、Va=8kVにてガード電極22に放電発光が観察された。この時、スペーサ20のガード電極22と対向する部位の電位はおよそ2kVであり、ガード電極22とスペーサ20の間の電界強度は5.0×108V/mであった。即ち、本例においては、ガード電極22とスペーサ20の間隔(Lg)が本発明で規定した下限を下回っていたため、ガード電極22とスペーサ20との間に高い電界が発生し、その結果放電が生じたものと考えられる。
本発明の画像表示装置の一実施形態の表示パネルの構成を模式的に示す斜視図である。 図1の表示パネルのX方向端部近傍のX方向断面模式図である。 図1の表示パネルのY方向部分断面模式図である。 本発明に用いられる表面伝導型電子放出素子の基本構成を示す模式図である。 本発明にかかる、スペーサのガード電極に対向する場所の電位を示すグラフである。
符号の説明
12 電子放出素子
13 行方向配線
14 列方向配線
15 リアプレート
16 枠材
17 フェースプレート
18 蛍光膜
19 メタルバック
20 スペーサ
22 ガード電極
23 抵抗膜
25 固定部材
26 固定部材
31 絶縁性基体
32 高抵抗膜
34 黒色導電材
35 蛍光体
41 基板
42,43 素子電極
44 導電性膜
45 電子放出素子

Claims (4)

  1. 複数の電子放出素子とカソード電極とを備えたカソード基板と、該カソード基板に対向配置され、該電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する発光部材とアノード電極とガード電極とを備えたアノード基板と、前記カソード電極とアノード電極との間及び前記カソード電極と前記ガード電極との間に位置し、前記カソード電極及びアノード電極とに接する板状のスペーサと、前記カソード基板とアノード基板の周縁部に介在して前記カソード基板とアノード基板と共に真空容器を形成する枠とを有する画像形成装置であって、
    前記ガード電極は、前記アノード電極と前記枠との間に位置し、
    前記アノード電極からガード電極までの距離をx[m]、
    前記スペーサの高さをhs[m]、
    前記アノード電位をVa[V]
    とし、前記ガード電極とスペーサとの間隔Lg[m]が、下記の条件を満たすことを特徴とする画像形成装置。
    Figure 2006173093
  2. 前記アノード基板の厚さをt[m]、
    前記枠近傍における前記カソード基板とアノード基板との距離をhw[m]、
    前記アノード基板からアノード電極表面までの高さをha[m]、
    前記アノード基板からガード電極表面までの高さをhg[m]、
    前記カソード基板からカソード電極表面までの高さをhc[m]、
    前記枠からアノード電極までの距離をS[m]、
    前記アノード基板のヤング率をE[Pa]
    とし、前記Lgが下記条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    Figure 2006173093
  3. 前記アノード基板がガラス基板であり、
    前記カソード基板からカソード電極表面までの高さをhc[m]、
    前記枠近傍における前記カソード基板とアノード基板との距離をhw[m]、
    前記アノード基板からアノード電極表面までの高さをha[m]、
    前記アノード基板からガード電極表面までの高さをhg[m]、
    前記カソード基板からカソード電極表面までの高さをhc[m]、
    前記枠からアノード電極までの距離をS[m]、
    とし、前記Lgが下記の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    Figure 2006173093
  4. 前記アノード基板がガラス基板であり、
    前記アノード基板からアノード電極表面までの高さをha[m]、
    前記アノード基板からガード電極表面までの高さをhg[m]、
    とし、前記Lgが下記の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    Lg=ha−hg (6)
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