JP2006172913A - 固体電解質電池 - Google Patents

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英明 堀江
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Abstract

【課題】 固体電解質電池において、初回充放電時に発生したガスを外部に抜けやすくしてガス発生に起因する種々の問題の発生を防止し、電池の耐久性を向上させうる手段を提供する。
【解決手段】 正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質層15がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有する固体電解質電池において、前記固体電解質層にガスチャネル100を設ける。固体電解質層の形成にはインクジェット方式を用いることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体電解質電池に関する。特に本発明は、固体電解質電池の耐久性を向上させるための改良に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している(例えば、特許文献1を参照)。
このリチウムイオン二次電池の初回充放電時には、電池要素を構成する電解質層や電極からガスが発生することが知られている。このガスは、電極の細孔内に吸着していた空気や、電極表面に被膜が形成される際の電解液の分解などが原因と考えられている。このガスをそのままにしておくと、電極の活物質の剥離等が起こり、充放電性能や電池寿命等の電池特性が低下する原因となる。このため、初回充放電後に一旦電池ケースの封を開け、発生したガスを電池ケースの外部へ逃がす必要がある(例えば、特許文献2を参照)。
特開2003−7345号公報 特開2003−157810号公報
従来のリチウムイオン二次電池では、それほど電極の面積も大きくないため、一旦電池ケースの封を開けて一度真空に引くことで、発生したガスを電池ケースの外部に逃がすことは容易である。しかしながら、近年、電池性能を向上させる観点から、リチウムイオン電池は大型化する傾向にある。このため、電池ケースの封を開けて一度真空に引くのみでは、初回充放電時に発生したガスを充分に電池ケースの外部に逃がすことができない場合がある。つまり、電池の大型化に伴い、発生したガスが電池要素の中心部に残留し、外部に逃げない場合がある。その結果、そのガスの存在により電池要素における電極活物質や電解質の剥離が発生し、電池性能が低下するという問題があった。特に、電池の出力密度を向上させる観点から開発が進められており、電池面積の大型化の傾向が著しいバイポーラ電池において、このような問題は顕著である。
そこで、本発明の目的は、固体電解質電池において、初回充放電時に発生したガスを外部に抜けやすくしてガス発生に起因する種々の問題の発生を防止し、電池の耐久性を向上させうる手段を提供することである。
本発明は、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有する固体電解質電池であって、前記固体電解質層がガスチャネルを有することを特徴とする、固体電解質電池である。
本発明の固体電解質電池においては、固体電解質層がガスチャネルを有する。このため、電池要素内で発生したガスが電池要素の外部に抜けやすくなり、充放電特性および電池寿命等の特性が向上しうる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
(構成)
本発明は、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有する固体電解質電池であって、前記固体電解質層がガスチャネルを有することを特徴とする、固体電解質電池である。なお、本明細書においては、バイポーラ型のリチウムイオン二次電池(以下、「バイポーラ電池」とも称する)を例に挙げて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はかような形態のみに制限されない。また、以下の説明では、集電体、電極活物質層、および固体電解質層の平面形状がいずれも同一の矩形である形態を例に挙げて説明するが、本発明の技術的範囲がこの形態のみに制限されるわけではない。
まず、バイポーラ電池の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係るバイポーラ型の固体電解質電池(バイポーラ電池)の概略断面図である。
図1に示す本実施形態のバイポーラ電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の電池要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。
図1に示すように、本実施形態のバイポーラ電池10の電池要素21は、集電体11の一方の面に正極活物質層13が形成され他方の面に負極活物質層15が形成された複数のバイポーラ電極を有する。各バイポーラ電極は、固体電解質層17を介して積層されて電池要素21を形成する。この際、一のバイポーラ電極の正極活物質層13と前記一のバイポーラ電極に隣接する他のバイポーラ電極の負極活物質層15とが固体電解質層17を介して向き合うように、各バイポーラ電極および固体電解質層17が積層されている。
そして、隣接する正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。図2は、本実施形態のバイポーラ電池10の有する1つの単電池層19および前記単電池層19を挟持する2枚の集電体11からなる積層体の拡大断面模式図である。図2に示す形態では、集電体11、正極活物質層13、固体電解質層17、負極活物質層15、および集電体11が、この順に積層されている。従って、バイポーラ電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層19の外周には、隣接する集電体11間を絶縁するための絶縁層31が設けられている。なお、電池要素21の最外層に位置する集電体(最外層集電体)(11a、11b)には、片面のみに、正極活物質層13(正極側最外層集電体11a)または負極活物質層15(負極側最外層集電体11b)のいずれか一方が形成されている。
さらに、図1に示すバイポーラ電池10では、正極側最外層集電体11aが延長されて正極タブ25とされており、この正極タブ25は、外装であるラミネートシート29から導出している。一方、負極側最外層集電体11bが延長されて負極タブ27とされており、この負極タブ27も同様に、ラミネートシート29から導出している。
以下、本実施形態の特徴である固体電解質層17の好ましい構成について詳細に説明するが、下記の形態のみには制限されない。
図3は、本実施形態のバイポーラ電池10における固体電解質層17の好ましい形態を示す平面図である。図1〜図3に示すように、本実施形態のバイポーラ電池10は、固体電解質層17がガスチャネル100を有する点に特徴を有する。
「ガスチャネル」とは、固体電解質層17に形成された、外部へと通じる通路である。かようなガスチャネル100が存在することで、初回充放電時に電池要素内で発生したガスが電池要素外部へと抜け易くなる。なお、図3における点線は、固体電解質層17の矩形状を示すための仮想線である。このことは、以下の各図面についても同様である。
本発明において、固体電解質層17に形成されるガスチャネル100の形状については、特に制限はない。ガスチャネル100の形状としては、例えば、図3〜図15に示す形状が例示される。図4〜図15は、本実施形態のバイポーラ電池10における固体電解質層17の好ましい形態を示す平面図である。ただし、添付の各図面に示した形状は、単なる例示に過ぎず、他の形状が採用されてもよい。また、場合によっては、固体電解質層17は、第1の形状のガスチャネル100を有する第1固体電解質層と、第2の形状のガスチャネル100を有する第2固体電解質層との2層からなっていてもよい。さらに、3層以上からなっていてもよい。
本発明のバイポーラ電池10が複数の単電池層19を有する場合には、少なくとも1層の単電池層19がガスチャネル100を有していればよい。ただし、より一層の効果を得るためには、全ての単電池層19がガスチャネル100を有することが好ましい。
以下、ガスチャネル100の好ましい形態につき、図面を参照して詳細に説明する。
図2および図3に示す形態においては、固体電解質層17の矩形の幅方向に平行な2本のガスチャネル100が形成されている。
図4に示す形態においては、固体電解質層17の矩形の長手方向に平行な2本のガスチャネル100が形成されている。
図5に示す形態においては、図3に示すガスチャネル100および図4に示すガスチャネル100の双方のガスチャネル100が形成されている。つまり、固体電解質層17の矩形の幅方向に平行な2本のガスチャネル100、および固体電解質層17の矩形の長手方向に平行な2本のガスチャネル100の、計4本のガスチャネル100が形成されている。
図6に示す形態においては、十字型のガスチャネル100が形成されている。つまり、ガスチャネル100は、固体電解質層17の矩形の対向する2組の辺の中点どうしを結んだ、重心Gで交わる2本の直線に沿って形成されている。
図7および図8に示す形態においては、固体電解質層17の矩形の辺(矩形の幅方向の辺(図7)または矩形の長手方向の辺(図8))に平行な、前記矩形の重心Gを通る1本のガスチャネル100が形成されている。言い換えれば、ガスチャネル100は、固体電解質層17の矩形の対向する辺(矩形の長手方向の辺(図7)または矩形の幅方向の辺(図8))の中点どうしを結んだ、1本の直線に沿って形成されている。
図9および図10に示す形態においては、固体電解質層17の矩形に平行な3本のガスチャネル100が形成されている。つまり、ガスチャネル100は、固体電解質層17の矩形の対向する辺(矩形の長手方向の辺(図9)または矩形の幅方向の辺(図10))の4等分点どうしをそれぞれ結んだ、3本の直線に沿って形成されている。
図11に示す形態においては、固体電解質層17の矩形の対角線に沿ったガスチャネル100が形成されている。
図12に示す形態においては、図6に示すガスチャネル100および図11に示すガスチャネル100の双方のガスチャネル100が形成されている。つまり、ガスチャネル100は、固体電解質層17の矩形の対向する2組の辺の中点どうしを結んだ、重心で交わる2本の直線、および固体電解質層17の矩形の対角線のそれぞれに沿って、計4本形成されている。
図13に示す形態においては、図11に示すガスチャネル100に加えて、固体電解質層17の矩形の隣接する中点どうしを結んだ直線に沿ったガスチャネル100も形成されている。
本実施形態においては、図6〜図13に示すように、ガスチャネル100が固体電解質層17の重心Gを通るように形成されていることが好ましい。一般に、電池要素内で発生したガスが最も外部に抜けにくいのは、電池要素の中心部周辺と考えられる。このため、外部に通じるガスチャネル100を固体電解質層17の重心Gを通るように形成することで、最も抜けにくかった電池要素の中心部周辺において発生したガスが、容易に電池要素の外部へ抜けうる。
また、電池要素の中心部周辺は、一般に、最も電池反応が進行する部位でもあり、反応に伴う発熱による温度上昇が著しい。その結果、電池要素の中心部周辺において、電池要素の劣化や剥離等の問題が生じる場合もあった。これに対し、固体電解質層17の重心Gを通るようにガスチャネル100を形成すると、電池要素の中心部周辺の温度上昇が抑制され、上記のような問題の発生が防止されうる。
本実施形態のバイポーラ電池10が、例えば車両等に搭載された場合、車両の走行等に伴う振動状態にさらされると、この電池は歪む場合がある。その結果、電池要素の各層が剥離し、電池の容量が低下する等の問題が生じる。また、この問題は、電極の大型化が進んでいる現状ではより深刻な問題となりつつある。
ここで、上記で説明した図3〜図13に示すように、固体電解質層17が有するガスチャネル100が線対称および/または点対称な形状を有すると、発生したガスが抜けやすくなることによる効果に加え、固体電解質層17の耐振動性、ひいてはこの固体電解質層17が採用される電池の耐振動性が向上しうる。この理由は明確ではないが、電極の揺れに対する寄与率の高い振動モードが効率よく抑制されうるためであると考えられる。
また、固体電解質層17の揺れに対する寄与率の高い振動モードは、主に固体電解質層17の重心を通るように存在していると考えられる。よって、本実施形態のバイポーラ電池17において、固体電解質層17が有するガスチャネル100が図6〜図13に示すように当該固体電解質層17の重心Gに形成されていると、固体電解質層17の揺れに対する寄与率の高い振動モードが効率よく抑制されうるため、好ましい。
以上、図3〜図13に示す形状を例に挙げて、ガスチャネル100の好ましい形状について説明したが、これらの形状以外の形状が採用されてもよいことは勿論である。
なお、図示したそれぞれのガスチャネル100はいずれも等しい幅を有する直線状であるが、他の形状を有していてもよい。例えば、図14に示すように、ガスチャネル100の幅が徐々に変化していてもよい。また、図15に示すように、ガスチャネル100の一部が膨らんだ瘤が存在していてもよい。
ガスチャネル100の幅は、特に制限されない。ガスチャネル100の幅(ガスチャネル100の幅が変化する場合は、1本のガスチャネル100の幅の平均値)は、好ましくは1〜10mmであり、より好ましくは1〜5mmである。ガスチャネル100の幅が1mm未満では、ガスチャネル100が存在することによるメリットが充分に得られない虞がある。一方、ガスチャネル100の幅が10mmを超えると、相対的に活物質量が減少する結果、電池の容量等の性能が低下する虞がある。
固体電解質層17に形成されるガスチャネル100の面積の、固体電解質層17の全体の面積に対する割合は、好ましくは2〜25%、より好ましくは5〜20%である。ガスチャネル100の面積の割合が2%未満では、ガスチャネル100が存在することによるメリットが充分に得られない場合がある。一方、ガスチャネル100の面積の割合が25%を超えると、相対的に固体電解質量が減少する結果、電池性能が低下する虞がある。
以下、本実施形態のバイポーラ電池10を構成する部材について簡単に説明するが、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態が同様に採用されうる。
[集電体(最外層集電体を含む)]
集電体11および最外層集電体(11a、11b)は、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス(SUS)箔など、導電性の材料から構成される。最外層集電体以外の集電体の一般的な厚さは、1〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体を用いてもよい。
集電体の大きさは、バイポーラ電池10の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体が用いられる。
[活物質層]
正極活物質層13は、正極活物質を含む。正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物やLiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
負極活物質層15は、負極活物質を含む。負極活物質としては、上記のリチウム遷移金属−複合酸化物や、カーボンが好ましい。カーボンとしては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛系炭素材料、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。
正極活物質層13および負極活物質層15には、必要であれば、その他の物質が含まれてもよい。例えば、バインダ、導電助剤、リチウム塩(支持電解質)、イオン伝導性ポリマー、剥離防止剤等が含まれうる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、合成ゴム系バインダ等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層13または負極活物質層15の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、グラファイトなどのカーボン粉末が挙げられる。
リチウム塩(支持塩)としては、Li(CSON)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。ここで、前記イオン伝導性ポリマーは、バイポーラ電池10の固体電解質層17において電解質として用いられるイオン伝導性ポリマーと同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好まし
い。
剥離防止剤とは、電極活物質層が形成された集電体からの活物質層の剥離を防止するために配合される添加物である。剥離防止剤としては、気相成長炭素繊維のような炭素繊維や、ニッケル繊維などの金属系繊維等が挙げられる。
重合開始剤は、イオン伝導性ポリマーの架橋性基に作用して、架橋反応を進行させるために配合される。開始剤として作用させるための外的要因に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤などに分類される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)等が挙げられる。
正極活物質層13および負極活物質層15中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
[固体電解質層]
固体電解質層17は、イオン伝導性を有する高分子電解質(マトリックスポリマー)から構成され、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。優れた機械的強度を発現させることが可能である点で、高分子電解質原料である重合性ポリマーを熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合により架橋構造を形成することにより作製されるものが好適に用いられる。かかる高分子電解質により形成される固体電解質層では、液漏れが起こらないため、電池の信頼性が向上し、かつ簡易な構成で出力特性に優れたバイポーラ電池10が形成される。
固体電解質としては、固体高分子電解質およびゲル電解質が挙げられる。
固体高分子電解質としては、特に限定されないが、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。また、これらの高分子は、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。
一方、ゲル電解質とは、一般的に、上述のイオン伝導性を有する高分子電解質に、電解液を保持させたものをいう。なお、本願では、リチウムイオン伝導性を有しない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも、高分子ゲル電解質に含まれるものとする。
用いられる電解液(電解質塩および可塑剤)の種類等は特に制限されない。電解質塩としては、例えば、LiBF、LiPF、Li(SOCFN、Li(SO等のリチウム塩が例示される。また、可塑剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート類などが例示される。
本発明においては、電極特性をより向上させるために、固体高分子電解質が正極活物質層13および負極活物質層15の双方にも含まれることが好ましい。
[絶縁層]
バイポーラ電池10においては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁層31が設けられる。この絶縁層31は、電池内で隣り合う集電体11どうしが接触したり、電池要素21における単電池層19の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かような絶縁層31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質のバイポーラ電池10が提供されうる。
絶縁層31としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
[タブ]
バイポーラ電池10においては、電池外部に電流を取出す目的で、タブ(正極タブ25および負極タブ27)が最外層集電体(11a、11b)に接続される。具体的には、正極タブ25が正極用最外層集電体11aに接続され、負極タブ27が負極用最外層集電体11bに接続される。
タブ(正極タブ25および負極タブ27)の材質は、特に制限されず、バイポーラ電池用のタブとして従来用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極端子25と負極端子27とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、場合によっては、最外層集電体(11a、11b)を延長することによりタブ(25、27)としてもよいし、別途準備したタブを最外層集電体に接続してもよい。
[外装]
バイポーラ電池10においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池要素21は、好ましくはラミネートシート29などの外装内に収容される。外装の形態は特に制限されず、従来公知の形態が採用されうる。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、好ましくは、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートシート等が用いられうる。
(製造方法)
続いて、本実施形態のバイポーラ電池10の製造方法の好ましい形態について説明するが、下記の形態のみには制限されない。
本実施形態のバイポーラ電池10を製造する際には、まず、集電体11の一方の面に正極活物質層13を形成し、他方の面に負極活物質層15を形成して、バイポーラ電極を作製する。最外層集電体については、正極側最外層集電体11aの一方の面に正極活物質層13のみを形成し、負極側最外層集電体11bの一方の面に負極活物質層15のみを形成する。集電体11の面上に活物質層を形成する手法は特に制限されず、電池の製造分野において従来公知の手法が適宜採用されうる。
一方、固体電解質層17を作製する。固体電解質層17を作製する手法は特に制限されない。一例を挙げると、パターン印刷やスクリーン印刷といった従来公知の手法を用いて、上記で作製したバイポーラ電極の正極活物質層13または負極活物質層15のいずれかに、所望のパターンのガスチャネル100を有する固体電解質層17を積層してもよい。
本発明のバイポーラ電池における固体電解質層17の作製には、インクジェット方式が好ましく採用されうる。インクジェット方式を採用することで、所望のパターンのガスチャネル100を有する固体電解質層17の形成が簡便となる。また、厚さの均一性に優れる固体電解質層17が形成されうる。以下、インクジェット方式を用いて固体電解質層17を作製する手法について、詳細に説明する。
「インクジェット方式」とは、液体のインクをノズルから噴出させて、インクを対象物に付着させる印刷方式を意味する。インクジェット方式は、インクを噴出させる方式によって、ピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式に分類される。
ピエゾ方式は、インクを溜めるインク室の底に配置された、電流が流れることによって変形するピエゾ素子の変形によって、インクをノズルから噴出させる方式である。サーマルインクジェット方式は、発熱ヒーターによって、インクを加熱し、インクが気化する際の水蒸気爆発のエネルギーでインクを噴出させる方式である。バブルジェット(登録商標)方式も、サーマルインクジェット方式と同様、インクが気化する際の水蒸気爆発のエネルギーでインクを噴出させる方式である。サーマルインクジェット方式とバブルジェット(登録商標)方式とは、加熱する部位が異なるが、基本的な原理は同じである。なお、インクジェット方式については、特に限定されない。また、使用するインクに応じて必要な改良を施してもよい。インクジェット方式は、現在において、非常に広く知られた技術であるため、インクジェット方式についての詳細な説明は省略する。
インクジェット方式を用いて固体電解質層17を作製するには、まず、固体電解質層17を形成するための電解質インクを準備する。例えば、電解質インクには、高分子電解質原料が少なくとも含まれる。電解質インクには、他にも、電解質塩、重合開始剤、および溶媒などが含まれうる。ゲル電解質からなる固体電解質層17の形成を希望する場合には、さらに可塑剤が添加されうる。
高分子電解質原料としては、インクジェット後の重合により、高分子電解質を形成しうる化合物であれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。これらの成分は、溶媒中に加えられ十分に撹拌される。溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ジメチルカーボネートなどが挙げられる。
電解質インク中に含有される成分の配合比は、特に限定されない。ただし、電解質インクの粘度は、インクジェット方式が適用できる程度に低くあるべきである。粘度を低く保つ方法としては、溶媒の配合量を増加させる方法、および、電解質インクの温度を上昇させる方法が挙げられる。ただし、溶媒の配合量を増加させすぎると、固体電解質層17における単位体積辺りの固体電解質量が減少するので、溶媒の配合量は最低限に抑えるとよい。電解質インクにおいては、高分子電解質原料が比較的多く含まれるが、高分子電解質原料はインクの粘度を向上させやすいので、留意すべきである。また、高分子電解質原料やその他の化合物を、粘度が低くなるように改良してもよい。なお、用いられる電解質インクの粘度は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜50cP程度である。
次に、固体電解質層17を形成する基材を準備する。基材は、電池において固体電解質層17に隣接する部材、例えば、上記で作製したバイポーラ電極の正極活物質層13や負極活物質層15が用いられる。
続いて、電解質インクを印刷可能なインクジェット装置に基材を供給する。そして、基材に対して、インクジェット方式により電解質インクを噴出させ、基材に付着させる。インクジェット装置のノズルから噴出されるインクの量は、非常に微量であり、しかも、略等体積の量を噴出させることが可能である。したがって、電解質インクの付着によって形成される固体電解質層17は、非常に薄く、かつ、均一である。また、インクジェット方式を用いれば、固体電解質層17の厚さや形状が、精密に制御されうる。さらに、インクジェット方式を用いれば、コンピュータ上で所定のパターンをデザインし、それを単に印刷するだけで、所望の形状の固体電解質層17が形成される。1回の印刷では固体電解質層17の厚さが不足する場合には、同一面に対して、2回以上印刷を繰り返せばよい。つまり、同じインクを、同一の基材に重ねて印刷すればよい。これにより、所望の厚さを有する固体電解質層17が形成される。また、インクジェット方式を採用すると、薄膜であっても均一に塗布でき、ピンホール等による短絡の心配もほとんどないことから、固体電解質層17においてセパレータを用いる必要がない。セパレータを用いない形態においては、固体電解質層17における電気抵抗がより一層低減されうる。ただし、セパレータを用いる形態が本発明の技術的範囲から除外されるわけではない。
上述したようなガスチャネルを有する固体電解質層を形成するには、例えば、電解質インクを噴出させるパターンをデザインする際に、電解質インクを付着させない部位(未塗布部位)を設け、さらにこの未塗布部位が基材(例えば、正極活物質層や負極活物質層)の外周にまで通じるようにすればよい。かようなパターンとしては、例えば、上記の構成の欄において参照した図3〜図15の形態が同様に採用されうる。
電解質インクを基材に付着させた後は、乾燥により溶媒が除去される。また、重合処理を施すことにより、高分子電解質原料が重合して高分子電解質が形成されうる。光重合開始剤を加えた場合には、例えば、紫外線を照射して、重合を開始させる。上記の操作を所定回数繰り返すことにより、固体電解質層17が完成する。
さらに、上記で固体電解質層17が形成されたバイポーラ電極を複数積層して、電池要素21を形成する。この際、正極活物質層13が固体電解質層17を介して他のバイポーラ電極に形成された負極活物質層15と向き合う向きに、各バイポーラ電極を積層する。また、電池要素21の最上面および最下面には、活物質層が形成されていない面が露出するように最外層集電体(11a、11b)を積層する。なお、最外層集電体(11a、11b)の1辺は延長されており、後述する封入時にタブ(25、27)としてラミネートシート29から導出される。場合によっては、別途準備したタブ(25、27)を最外層集電体(11a、11b)に接合してもよい。最外層集電体とタブとを接合する手法は特に制限されず従来公知の溶接方法などが用いられうる。溶接方法としては、例えば、超音波溶接、スポット溶接などが例示される。なかでも、低温での接合が可能であることから、超音波溶接が好ましく用いられる。
電池要素21の積層中には、正極活物質層13、電解質層17および負極活物質層15からなる単電池層19を包囲するように、隣接する集電体11の間に絶縁層31を挟み込む。積層後、積層体の縁部をホットプレスして絶縁層31を集電体11と熱融着させることにより、積層された状態のバイポーラ電池の電池要素21が完成する。
その後、正極タブ25および負極タブ27が導出するように電池要素21をラミネートシート29により封止する。ラミネートシート29は、例えば、ヒートシール、インパルスシール、超音波融着、高周波融着などによって、封止されうる。
以上の工程により、少なくとも1つの単電池層19を有する本実施形態のバイポーラ電池10が完成する。
(作用)
次に、本実施形態のバイポーラ電池10の作用について説明する。
本実施形態のバイポーラ電池10の電池としての作用については、一般的なバイポーラ電池の作用と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下では、固体電解質層17がガスチャネル100を有することに基づく作用について、主に説明する。
本実施形態のバイポーラ電池10においては、固体電解質層17がガスチャネル100を有している。これにより、当該電池の充放電時、特に初回の充放電時に固体電解質層17から発生するガスが前記ガスチャネル100を介して移動し、電池要素21の外部へと排出されうる。これにより、ガスの滞留に伴う固体電解質層17の厚さの変化や固体電解質層17のイオン伝導性の低下といった問題の発生が防止される。その結果、耐久性に優れるバイポーラ電池が提供されうる。
(第2実施形態)
第2実施形態のバイポーラ電池10は、上記の第1実施形態と比較して、固体電解質層17に加えて正極活物質層13および負極活物質層15もガスチャネル100を有する点が異なるのみであり、その他の構成は上記の第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同一の部材には同一の参照番号を付し、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。このことは、後述する他の形態についても同様である。
図16は、本実施形態のバイポーラ電池10の有する1つの単電池層19および前記単電池層19を挟持する2枚の集電体11からなる積層体の拡大断面模式図である。図16に示す形態においても、集電体11、正極活物質層13、固体電解質層17、負極活物質層15、および集電体11が、この順に積層されている。そして、固体電解質層17に加えて、正極活物質層13および負極活物質層15もガスチャネル100を有している。
本実施形態において、固体電解質層17、正極活物質層13および負極活物質層15が有するガスチャネル100のそれぞれの形態は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。ただし、図16に示すように、固体電解質層17の有するガスチャネル100と、前記正極活物質層13または前記負極活物質層15の少なくとも一方、好ましくは双方、が有するガスチャネル100とが、同一のパターンを有することが好ましい。かような形態によれば、ガスチャネル100が、第1実施形態において形成されるガスチャネル100と比較してより大きくなり、ガス抜き性能が向上しうる。
本実施形態のバイポーラ電池10を製造するにあたっては、電極を製造する際に、電極活物質層(13、15)にガスチャネル100を形成し、かような電極を用いて電池要素21を作製すればよい。電極活物質層にガスチャネルを形成する手法は特に制限されず、上記の第1実施形態の製造方法の欄において説明した、ガスチャネルを有する固体電解質層の作製方法と同様の手法が採用されうる。
具体的には、まず、例えば、活物質と、高分子電解質原料と、重合開始剤とを含む電極インクを準備し、これをインクジェット方式を用いて所定の基材(例えば、集電体11)に噴出させて、当該基材上に付着させる。
続いて、電極インク中に含まれる重合開始剤の種類に応じて、基材に付着した電極インクに対して適切な重合処理を施し、高分子電解質原料から高分子電解質を生成させて、電極を形成すればよい。
インクジェット方式についての具体的な形態などについては、上記の第1実施形態の製造方法の欄において説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
上記のような構成を有することにより、本実施形態のバイポーラ電池10は、上記の第1実施形態のバイポーラ電池と同様の作用および効果を示す。すなわち、充放電時に正極活物質層13および負極活物質層15において発生したガスは、ガスチャネル100を介して移動し、電池要素21の外部へと排出される。これにより、ガスの滞留に伴う電池性能の低下が防止される。その結果、耐久性に優れるバイポーラ電池が提供されうる。
(第3実施形態)
第3実施形態のバイポーラ電池10は、上記の第2実施形態と比較して、固体電解質層17、正極活物質層13および負極活物質層15のすべてがガスチャネル100を有する点では共通するが、前記固体電解質層17、前記正極活物質層13、および前記負極活物質層15において、ガスチャネル100に沿った部位に無機フィラー層が存在する点で異なる。
図17は、本実施形態のバイポーラ電池10の有する1つの単電池層19および前記単電池層19を挟持する2枚の集電体11からなる積層体の拡大断面模式図である。図17に示す形態においても、集電体11、正極活物質層13、固体電解質層17、負極活物質層15、および集電体11が、この順に積層されている。そして、固体電解質層17、正極活物質層13および負極活物質層15のすべてがガスチャネル100を有している。なお、上記の第2実施形態と同様に、固体電解質層17、正極活物質層13および負極活物質層15が有するガスチャネル100のそれぞれの形態は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態のバイポーラ電池10においては、上述したように、固体電解質層17、正極活物質層13、および負極活物質層15において、ガスチャネル100に沿った部位に無機フィラー層110が存在する点に特徴を有する。
無機フィラー層110は、無機フィラーを含む。本実施形態において無機フィラー層110に含まれうる無機フィラーとしては、特に制限されないが、例えば、無機酸化物が例示される。好ましくは、シリカ、アルミナ、リチウムアルミネート、ゼオライトが無機フィラー層110中に含まれうる。ただし、無機フィラーの種類がこれらに制限されることはない。
無機フィラー層110に含まれる無機フィラーの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜1μm程度である。
無機フィラー層110の組成は、無機フィラーを含むこと以外は、上記の第1または第2実施形態の固体電解質層17または活物質層(13、15)と同様である。
無機フィラー層110の厚さ(図17に示すL)は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmである。無機フィラー層110が薄すぎると、ガスチャネルの形状を維持するのが困難となる虞がある。一方、無機フィラー層110が厚すぎると、無機フィラー層110以外の活物質層や電解質層の面積が減少し、電池性能が低下する虞がある。なお、図17に示すように無機フィラー層110の厚さが一定である形態のみに制限されることはなく、一の部位と他の部位とで厚さが変動する無機フィラー層110が採用されてもよい。
以上、単電池層19を構成する正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質層15のすべてにおいて、ガスチャネル100に沿った部位に無機フィラー層110が存在する形態を例に挙げて説明したが、かような形態のみには制限されない。例えば、正極活物質層13および負極活物質層15がガスチャネル100を有しないバイポーラ電池(例えば、上記の第1実施形態のバイポーラ電池10)において、固体電解質層17の有するガスチャネル100に沿った部位に無機フィラー層110が形成される形態もまた、本発明の技術的範囲に包含されうる。
本実施形態のバイポーラ電池10を製造するには、上記の第2実施形態と同様の手法が採用されうる。ただし、無機フィラー層110を形成するため、固体電解質層17および電極の活物質層(13、15)を作製する際には、無機フィラーを含まないインクと、無機フィラーを含むインクとを併用するとよい。例えば固体電解質層17の作製を例に挙げて説明すると、まず、上記の第1実施形態の製造方法の欄で説明した電解質インク(第1インク)と、前記第1インクの組成にさらに所定量の無機フィラーが添加された電解質インク(第2インク)とを準備する。そして、各インクをインクジェット方式により噴出させて、固体電解質層17を形成する。この際、前記第1インクは、無機フィラー層110の形成を希望しない部位に噴出され、前記第2インクは、無機フィラー層110の形成を希望する部位に噴出される。概念としては、インクジェットプリンタを用いて、2色のインクでカラーイメージを形成する形態に類似する。
以上、固体電解質層17の作製を例に挙げて説明したが、活物質層(13、15)の作製も同様にしてなされうる。
上記のような構成を有することにより、本実施形態のバイポーラ電池10は、上記の第1および第2実施形態のバイポーラ電池と同様の作用および効果を示す。すなわち、充放電時に固体電解質層17、正極活物質層13または負極活物質層15において発生したガスがガスチャネル100を介して移動し、電池要素21の外部へと排出される。これにより、ガスの滞留に伴う種々の問題の発生が防止される。その結果、耐久性に優れるバイポーラ電池が提供されうる。
さらに、ガスチャネル100に沿って無機フィラー層110が存在することにより、ガスチャネル100を形成することによる強度の低下が補填され、固体電解質層17、または正極活物質層13もしくは負極活物質層15の強度が向上しうる。その結果、強度低下に伴うガスチャネル100の変形や容積の減少が防止され、これらに起因するガス抜き性能の低下が抑制されうる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、上記の第1〜第3実施形態のバイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続して、組電池を構成する。
図18は、本実施形態の組電池を示す斜視図である。
図18に示すように、組電池40は、上記の第1〜第3実施形態のいずれかに記載のバイポーラ電池が複数個接続されることにより構成される。各バイポーラ電池10の正極タブ25および負極タブ27がバスバーを用いて接続されることにより、各バイポーラ電池10が接続されている。組電池40の一の側面には、組電池40全体の電極として、電極ターミナル(42、43)が設けられている。
組電池40を構成する複数個のバイポーラ電池10を接続する際の接続方法は特に制限されず、従来公知の手法が適宜採用されうる。例えば、超音波溶接、スポット溶接などの溶接を用いる手法や、リベット、カシメなどを用いて固定する手法が採用されうる。かような接続方法によれば、組電池40の長期信頼性が向上しうる。
本実施形態の組電池40によれば、上記の第1〜第4実施形態のバイポーラ電池10を用いて組電池化することにより、高容量および/または高出力の電池が提供されうる。しかも、組電池40を構成する個々のバイポーラ電池10が耐久性に優れることから、本実施形態の組電池40によれば、耐久性に優れる組電池もまた、提供されうる。
なお、組電池40を構成するバイポーラ電池10の接続は、複数個全て並列に接続してもよく、また、複数個全て直列に接続してもよく、さらに、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態では、上記の第1〜第3実施形態のバイポーラ電池10、または第4実施形態の組電池40をモータ駆動用電源として搭載して、車両を構成する。バイポーラ電池10または組電池40をモータ用電源として用いる車両としては、例えば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの、車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。
参考までに、図19に、組電池40を搭載する自動車50の概略図を示す。自動車50に搭載される組電池40は、上記で説明したような特性を有する。このため、組電池40を搭載する自動車50は耐久性に優れ、長期間に渡って使用した後であっても充分な出力を提供しうる。
以上のように、本発明の幾つかの好適な実施形態について示したが、本発明は、以上の実施形態に限られるものではなく、当業者によって種々の変更、省略、および追加が可能である。例えば、以上の説明ではバイポーラ型のリチウムイオン二次電池(バイポーラ電池)を例に挙げて説明したが、本発明の固体電解質電池の技術的範囲がバイポーラ電池のみに制限されることはなく、例えば、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池であってもよい。参考までに、図20に、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池60の概要を示す断面図を示す。
第1実施形態の固体電解質電池の概要を示す断面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池の有する1つの単電池層および前記単電池層を挟持する2枚の集電体からなる積層体の拡大断面模式図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池における固体電解質層の好ましい形態を示す平面図である。 第2実施形態のバイポーラ電池の有する1つの単電池層および前記単電池層を挟持する2枚の集電体からなる積層体の拡大断面模式図である。 第3実施形態のバイポーラ電池の有する1つの単電池層および前記単電池層を挟持する2枚の集電体からなる積層体の拡大断面模式図である。 第4実施形態の組電池を示す斜視図である。 第4実施形態の組電池を搭載する第5実施形態の自動車の概略図である。 バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池である固体電解質電池の概要を示す断面図である。
符号の説明
10 バイポーラ電池、
11 集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 固体電解質層、
19 単電池層、
21 電池要素、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 ラミネートシート、
31 絶縁層、
33 正極集電体、
35 負極集電体、
40 組電池、
50 自動車、
60 バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池、
100 ガスチャネル、
110 無機フィラー層。

Claims (13)

  1. 正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有する固体電解質電池であって、
    前記固体電解質層がガスチャネルを有することを特徴とする、固体電解質電池。
  2. 前記固体電解質層の前記ガスチャネルに沿った部位に無機フィラーを含む無機フィラー層が存在する、請求項1に記載の固体電解質電池。
  3. 前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方がガスチャネルを有する、請求項1または2に記載の固体電解質電池。
  4. 前記固体電解質層が有する前記ガスチャネルと、前記正極活物質層または前記負極活物質層の少なくとも一方が有するガスチャネルとが、同一のパターンを有する、請求項3に記載の固体電解質電池。
  5. 前記ガスチャネルを有する、前記固体電解質層、前記正極活物質層、および前記負極活物質層の少なくとも1つにおいて、前記ガスチャネルに沿った部位に無機フィラーを含む無機フィラー層が存在する、請求項3または4に記載の固体電解質電池。
  6. 前記固体電解質層がセパレータを有しない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質電池。
  7. 前記固体電解質層を構成する電解質がゲル電解質または全固体電解質である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解質電池。
  8. バイポーラ型リチウムイオン二次電池である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体電解質電池。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解質電池を用いた組電池。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解質電池、または請求項9に記載の組電池を搭載する車両。
  11. 高分子電解質原料と、電解質塩と、重合開始剤とを含む電解質インクを、インクジェット方式を用いて所定の基材に所定のパターンで噴出させる段階と、
    前記基材に付着した前記電解質インク中に含まれる前記高分子電解質原料を架橋させることにより高分子電解質を生成させて、固体電解質層を形成する段階と、
    を有する、固体電解質電池の製造方法。
  12. 活物質と、高分子電解質原料と、重合開始剤とを含む電極インクを、インクジェット方式を用いて所定の基材に噴出させる段階と、
    前記基材に付着した前記電極インク中に含まれる前記高分子電解質原料を架橋させることにより高分子電解質を生成させて、正極または負極の少なくとも一方を形成する段階と、
    をさらに有する、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記所定のパターンが、前記電解質インクを付着させない部位を有し、前記電解質インクを付着させない部位が前記基材の外周に通じている、請求項11または12に記載の製造方法。
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