JP2006170764A - 戻しばねを含む扇形運針機構を有する多機能時計および扇形運針輪列装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 多機能時計のムーブメントは、暦情報表示機構を備える。暦情報表示機構は、伝えカム部462cを有する伝え車462と、伝え車462の回転に基づいて回転するように構成され、かつ、暦情報を表示するための表示車464と、伝えカム部462cと接触して回転可能に設けられた第1復針レバー491と、表示車464と連動して回転可能に設けられた第2復針レバー492とを備える。第1復針レバー491は、カム接触部491cと、作動歯車部491fとを含む。第2復針レバー492は、常に、一定方向に回転するような力を受けるように構成される。
【選択図】 図1
Description
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうちで、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうちで、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称する。ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。一般に、「12時側」とは、アナログ式時計において、文字板の12時に対応する目盛が配置されている方の側を示す。「12時方向」とは、アナログ式時計において、地板の中心或いは時針などの指針の回転中心(以下、「地板中心」という)から「12時側」に向かう方向を示す。また、「2時側」とは、アナログ式時計において、文字板の2時に対応する目盛が配置されている方の側を示す。「2時方向」とは、アナログ式時計において、地板中心から「2時側」に向かう方向を示す。
(2・1)第1タイプの多機能時計:
従来の第1タイプの小針を備えた多機能時計では、日星車と小曜車を時計中心に対して概略対称な位置に配置している。小針の一種である小日針が日星車に取り付けられる。また、小針の一種である小曜針が小曜車に取り付けられる。(例えば、特許文献1参照)。
従来の第2タイプの小針を備えた多機能時計では、日星車と小曜車を時計中心に対して概略対称な位置に配置し、日回し車、曜回し車が、それぞれ日送り爪、曜日送り爪の両方を有している(例えば、特許文献2参照)。
従来の第3タイプの多機能時計では、地板は、「センタークロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心と、「サイドクロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心とを備えており、受部材は、「センタークロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心と、「サイドクロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列の輪列回転中心とを備えており、小針の一種であるクロノグラフ針を備えた「サイドクロノグラフ時計」を製造するときに用いられるロータおよび輪列は、前記地板の前記輪列回転中心と、前記受部材の前記輪列回転中心とに対して回転可能なように組み込まれる(例えば、特許文献3参照)。
従来の第4タイプの小針を備えた多機能時計では、「12時側」に360度回転する小針が配置され、「3時側」と「9時側」に扇形運針する小針がそれぞれ配置され、「6時側」に月齢を表示する円盤が配置されている。扇形運針する小針は、ひげぜんまいを設けた表示車に取り付けられている(例えば、特許文献4参照)。
また、本発明の他の目的は、小型でスペースをとらず、しかも確実に作動する扇形運針機構を備えたアナログ多機能時計を実現することにある。
さらに、本発明の他の目的は、扇形運動する小針により情報を見やすく表示することができ、しかも、小型で部品の製造と組立作業に多くの時間を必要としないように構成した扇形運針輪列装置を実現することにある。
(1)第1の実施形態:
最初に、本発明の多機能時計に関連する第1の実施形態を説明する。
(1・1)ムーブメントの全体の構造:
図1〜図6を参照すると、第1の実施形態は、ムーブメントがアナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、本発明の多機能時計の第1の実施の形態は、「3時方向」、「6時方向」、「12時方向」のうちの少なくとも1箇所に回転運針することができる小針を備え、さらに、「9時方向」に扇形運針することができる小針を備えアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。すなわち、本発明の多機能時計の第1の実施の形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「12時方向」に配置された24時針によって、24時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「3時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「9時方向」に配置され、扇形運針することができる曜針によって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
図3を参照すると、多機能時計の動力源を構成する電池220が、地板202の裏蓋側に配置される。時計の源振を構成する水晶ユニット222が地板202の裏蓋側に配置される。例えば、32,768ヘルツで発振する水晶振動子が、水晶ユニット222に収容されている。水晶ユニット222のリード部は、回路基板224に固定される。電池プラス端子226が、電池220の陽極と、回路基板224のプラスパターンとを導通させるように配置される。電池マイナス端子228が、電池220の陽極と、回路基板224のマイナスパターンとを導通させるように配置される。本発明の多機能時計は、水晶ユニット以外の基準信号発生源(源振)を有する時計で構成することもできる。
図3および図4を参照すると、磁心に巻いたコイルワイヤを含むコイルブロック232と、コイルブロック232の磁心の両端部分と接触するように配置されたステータ234と、ステータ234のロータ穴に配置されたロータ磁石を含むロータ236とが、地板202の裏蓋側に配置される。コイルブロック232と、ステータ234と、ロータ236とが、ステップモータを構成する。
ロータ236の回転に基づいて回転する五番車238が、地板202の裏蓋側に配置される。五番車238は、五番歯車238bと、五番上かな238cと、五番下かな238dとを含む。ロータかなは五番歯車238bと噛み合うように構成される。五番車238の回転に基づいて回転する四番車240が、地板202の裏蓋側に配置される。五番かなは四番歯車と噛み合うように構成される。四番車240の回転に基づいて回転する三番車242が、地板202の裏蓋側に配置される。四番かなは三番歯車と噛み合うように構成される。三番車242の回転に基づいて回転する二番車244が、地板202の裏蓋側に配置される。二番車244は二番歯車244bと、二番かな244cとを含む。三番かなは二番歯車244bと噛み合うように構成される。スリップ機構が、二番歯車244bと、二番かな244cとの間に設けられる。スリップ機構を設けることより、針合わせをするときに、表輪列の回転を停止させた状態で、巻真210を回転させて、分針及び時針を回転させることができる。分針244hが二番車244に取り付けられている。
次に、切換機構の構造について説明する。第1の実施形態では、切換機構は、地板202の裏蓋側に配置される。切換機構は、「3−6時領域」に配置される。変形例として、切換機構は、地板202の文字板側に配置することもできる。切換機構、時刻合わせ機構、カレンダ修正機構は、巻真210を引き出した状態で巻真210を回転させることによって、時計の時刻を合わせ、カレンダ表示を修正するために設けられる。図3、図4および図6を参照すると、切換機構は、おしどり270、かんぬき272を含むように構成される。おしどり270、かんぬき272は、地板202に対して作動可能なように支持される。この構成では、かんぬき272は、一方の尾部に、かんぬきばね部を含むように構成される。おしどり270と、かんぬき272の接触によって、おしどりの回転方向の位置を決めることができる。
次に、日表示機構の構造について説明する。図1、図2、図4および図6を参照すると、筒車262の回転に基づいて日車送り機構が作動するように構成される。日表示機構は、日回し車310と、日星車312とを含む。筒車262の回転により、日回し車310が回転するように構成される。日回し車310は、地板202に設けられた日回し車ピンに対して回転可能に支持される。日回し車310の回転中心は、「5時方向」と「6時方向」との間の領域(すなわち、「5−6時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図1、図5および図19を参照すると、筒車262の回転に基づいて曜車送り機構が作動するように構成される。曜表示機構は、曜回し車320と、曜伝え車462と、小曜車464と、曜ジャンパ468と、第1復針レバー491と、第2復針レバー492と、第2復針レバー戻しばね494とを含む。筒車262の回転により、曜回し車320が回転するように構成される。曜回し車320は、地板202に設けられた曜回し車ピン320pに対して回転可能に支持される。曜回し車320の回転中心は、「10時方向」と「11時方向」との間の領域(すなわち、「10−11時領域」)に配置されるのが好ましい。小曜車464の回転中心は、「9時方向」に配置される。
次に、24時表示機構の構造について説明する。図1を参照すると、曜回し車320の回転に基づいて24時表示機構が作動するように構成される。24時表示機構は、時車330を含む。筒車262の回転により、曜回し車320の回転を介して、時車330が回転するように構成される。時車330に設けられた下軸部は、地板202に設けられた時車案内穴に対して回転可能に支持される。時車330の回転中心は、「12時方向」に配置されるのが好ましい。曜回し車320に設けられた曜回し歯320bは、時車330の歯部330bと噛み合うように構成される。時車330は24時間で1回転するように構成される。
次に、秒表示機構の構造について説明する。図1および図4を参照すると、五番車238の回転に基づいて秒表示機構が作動するように構成される。秒表示機構は、秒車340を含む。秒車340の歯車部は、五番下かな238dと噛み合うように構成される。ロータ236の回転により、五番車238の回転を介して、秒車340が回転するように構成される。秒車340の下軸部は、地板202に対して回転可能に支持される。秒車340の上軸部は、秒車受342に対して回転可能に支持される。秒車受342は、日回し車310と重ならないように配置されるのが好ましい。秒車340の回転中心は、「6時方向」に配置されるのが好ましい。秒車340は1分間で1回転するように構成される。
次に、日修正機構の構造について説明する。図1、図2、図4および図6を参照すると、ムーブメント201Cの裏側には、日星車312による日の表示を修正するための日修正機構が設けられる。日修正機構は、第1修正伝え車351と、第2修正伝え車352と、第3修正伝え車353と、第4修正伝え車354と、日修正車355とにより構成される。巻真210を1段目にした状態で、第1修正伝え車351は、巻真210の第1修正伝え車案内部に対して回転可能に支持される。すなわち、第1修正伝え車351と巻真210は、互いに同軸になるように配置される。第2修正伝え車352は、地板202に対して回転可能に支持される。第2修正伝え車352の歯車部は、地板202と、日修正伝え車押さえ314との間に配置される。第2修正伝え車352の回転中心は、「3時方向」に配置される。したがって、第2修正伝え車352の回転中心は、巻真210の中心軸線上に配置される。第2修正伝え車352の回転中心は、日星車312の回転中心と同じ位置に配置されるのが好ましい。
次に、地板202の構造について説明する。図7を参照すると、第1の実施形態では、地板202の外形形状は、地板中心202cを中心として、ほぼ円形に形成される。なお、地板202の外形形状は四角形、多角形、長円形等の他の形状であってもよい。地板202は、ポリカーボネート、ポリサルホン等のエンジニアリングプラスチックで形成してもよいし、或いは、黄銅などの金属で形成してもよい。二番車244の回転中心と、筒車262の回転中心は、地板中心202cに配置される。中心パイプ202bの中心軸線は地板中心202cに配置される。
次に、日修正伝え車押さえ314の構造について説明する。図8を参照すると、日修正伝え車押さえ314は、「12−3時領域」および「3−6時領域」に配置される。日修正伝え車押さえ314は、ステンレス鋼、りん青銅などの弾性材料で形成された板状部材である。第4修正伝え車354を地板202に向かって加圧するための修正ばね部314bが日修正伝え車押さえ314に設けられる。修正ばね部314bは、「12時方向」と「3時方向」との間の領域(すなわち、「12−3時領域」)に配置されるのが好ましい。修正ばね部314bが第4修正伝え車354と接触する先端部分は、「12時方向」と「1時方向」との間の領域(すなわち、「12−1時領域」)に配置されるのが好ましい。さらに、日星車312の下方に位置する日修正伝え車押さえ314の一部は、地板202の裏面に向かって円形に絞られ、この円形絞り部の中心に設けられた穴が、日星車案内穴の周囲に設けられた日修正伝え車押さえ案内軸部に嵌め込まれるように構成されるのが好ましい。日修正伝え車押さえ314は、さらに、他の形態で用いる更なる修正ばね部314b2を備えている。
次に、裏物押さえ480の構造について説明する。図9を参照すると、裏物押さえ316は、ステンレス鋼、りん青銅などの弾性材料で形成された板状部材である。裏物押さえ480は、第1の実施形態において日星車312の回転方向の位置を規正するための第1日ジャンパ480aと、第2の実施形態において日星車312の回転方向の位置を規正するための第2日ジャンパ480bと、曜ジャンパ468の先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付けるための曜ジャンパ加圧ばね部480cとを含む。
以下に、第1の実施形態の作用について説明する。図1、図3および図6を参照すると、ムーブメント201Cにおいて、水晶ユニット222に収容された水晶振動子が、例えば、32,768ヘルツで発振する。この水晶振動子の振動に基づいて、集積回路230に内蔵されている発振部が基準信号を出力し、分周部が発振部の出力信号を分周する。駆動部が分周部の出力信号に基づいて、ステップモータを駆動するモータ駆動信号を出力する。コイルブロック232がモータ駆動信号を入力すると、ステータ234が磁化して、ロータ236を回転させる。ロータ236は、例えば、1秒ごとに180度回転する。ロータ236の回転に基づいて、五番車238の回転を介して四番車240が回転する。また、ロータ236の回転に基づいて、五番車238の回転を介して秒車340が1分間に1回転する。三番車242が四番車240の回転に基づいて回転する。
以下に、本発明の多機能時計の第1の実施形態において、曜送り機構の作用について説明する。図1、図5および図19を参照すると、曜針464hと、文字板454の文字、数字、略字などによって「日曜日」をあらわす「Sun」を指示している状態で、筒車262の回転により、曜回し車320が回転する。曜回し車320に設けられた曜送りつめ320fが曜伝え車462の曜伝え歯車部462bを回転させることにより、曜伝え車462は1日に1度、(1/7)回転する。曜伝え車462の回転方向の位置は、地板202に対して回転可能に設けられた曜ジャンパ468により規正される。裏物押さえ480に設けられた曜ジャンパ加圧ばね部480cが、曜ジャンパ460の先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付ける。
以下に、日修正機構の作動について説明する。図1、図2、図4および図6を参照すると、巻真210を0段目から1段目に引き出した状態で、巻真210を1つの方向に回転させると、第1修正伝え車351、第2修正伝え車352、第3修正伝え車353の回転を介して、第4修正伝え車354が日修正車355に近づく方向に移動すると、第4修正伝え車354の歯車部は、日修正車355の歯車部と噛み合うことができる。したがって、巻真210を1段目に引き出した状態で、巻真210を1つの方向に回転させて、日星車312を回転させて、日修正を行うことができる。
以下に、針合わせの作動について説明する。図4を参照すると、巻真210を2段目に引き出した状態で、つづみ車274の甲歯274aは小鉄車278と噛合う。巻真210を2段目に引き出すと、規正レバー250のばね部が回転して、リセットレバー252に接触する。これにより、規正レバー250のばね部は、リセットレバー252を介して回路基板224のリセットパターンと導通して、集積回路230の動作をリセットし、同時に、規正レバー250が四番車240を規正する。巻真210を2段目に引き出した状態で、巻真210を回転させることによって、つづみ車274の回転を介して、小鉄車278は回転する。小鉄車278が回転することによって、日の裏車260の回転を介して、二番車244の二番かなと、筒車262が回転する。巻真210を2段目に引き出した状態で針合わせを行うとき、二番車244の二番かなは、二番車244の二番歯車に対してスリップすることができる。巻真210を回転させることによって、二番かなが回転することによって、分針244hが回転し、筒車262が回転することによって、時針262hが回転するので、時刻表示(「時」および「分」の表示)を修正することができる。
図10および図11を参照すると、多機能時計の実施形態の第1種において、回転中心が地板中心202cである筒車262に取り付けた時針262hによって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板中心202cである二番車244に取り付けた分針244hによって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された秒車340に取り付けた小秒針340hによって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「3時方向」に配置された日星車312に取り付けた日針312hによって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「9時方向」に配置された小曜車464に取り付けた扇形運針することができる曜針464hによって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって、「曜」に関する暦情報を表示することができる。例えば、曜針464hは、90度〜160度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示することができる。構成部品の設計の余裕と、曜表示のデザイン性からみると、曜針464hは、100度〜120度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示するのが好ましい。
以上で、多機能時計の第1の実施形態をアナログ電子時計のムーブメントに関して説明したけれども、本発明は、いずれの実施形態に関しても、ムーブメントを機械式時計で構成することもできる。変形例として、図13〜図15を参照すると、機械式時計の実施形態において、ムーブメント20は、ムーブメント20の基板を構成する地板22を備える。機械式時計の実施形態では、香箱車、二番車、三番車、四番車等の表輪列、回転錘、つめレバー等の自動巻機構、おしどり、かんぬき等の切換機構は、それぞれムーブメント20の表側に組み込まれる。機械式時計の実施形態において、ムーブメントの裏側の構造は、図1および図2に示すアナログ電子時計のムーブメントの裏側の構造と同様に構成することができる。
次に、多機能時計の第2の実施形態を説明する。以下の説明は、多機能時計の第2の実施形態が多機能時計の第1の実施形態と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した多機能時計の第1の実施形態についての説明をここに準用する。
図22および図23を参照すると、第2の実施形態は、アナログ電子時計で構成される。さらに詳細には、本発明の多機能時計の第2の実施形態は、「2時方向」、「6時方向」のうちの少なくとも1箇所に回転運針することができる小針を備え、さらに、「10時方向」に扇形運針することができる小針を備えアナログ式時計(電気時計、電子時計、機械式時計)で構成される。すなわち、本発明の多機能時計の第2の実施形態においては、回転中心が地板の中心である時針によって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板の中心である分針によって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「2時方向」に配置された日針によって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された小秒針によって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「10時方向」に配置され、扇形運針することができる曜針によって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって「曜」に関する暦情報を表示するように構成することができる。
次に、日表示機構の構造について説明する。図22および図23を参照すると、ムーブメント201Dにおいて、筒車262の回転に基づいて日車送り機構が作動するように構成される。日表示機構は、日回し車310と、日星車312とを含む。筒車262の回転により、日回し車310が回転するように構成される。日回し車310は、地板202に設けられた第2日回し車ピンに対して回転可能に支持される。日回し車310の回転中心は、「4時方向」と「5時方向」との間の領域(すなわち、「4−5時領域」)に配置されるのが好ましい。
次に、曜表示機構の構造について説明する。図23および図24を参照すると、ムーブメント201Dにおいて、筒車262の回転に基づいて曜車送り機構が作動するように構成される。曜表示機構は、曜回し車320と、曜伝え車462と、小曜車464と、曜ジャンパ468と、第1復針レバー491と、第2復針レバー492と、第2復針レバー戻しばね494とを含む。筒車262の回転により、曜回し車320が回転するように構成される。曜回し車320は、地板202に設けられた曜回し車ピン320pに対して回転可能に支持される。曜回し車320の回転中心は、「10時方向」と「11時方向」との間の領域(すなわち、「10−11時領域」)に配置されるのが好ましい。小曜車464の回転中心は、「9時方向」に配置される。
次に、日修正機構の構造について説明する。図22および図23を参照すると、ムーブメント201Dの裏側には、日星車312による日の表示を修正するための日修正機構が設けられる。日修正機構は、第1修正伝え車351と、第2修正伝え車352と、第3修正伝え車353と、第4修正伝え車354と、日修正車355とにより構成される。第2修正伝え車352の回転中心は、「3時方向」に配置される。本発明の多機能時計の第2の実施形態における第2修正伝え車352の回転中心は、本発明の多機能時計の第1の実施形態における第2修正伝え車352の回転中心と同じ配置である。
次に、地板202の構造について、第1の実施形態において前述した説明に追加する説明を行う。図7を参照すると、地板202は、さらに、第2の実施形態における日回し車310の回転中心202DW2、第2の実施形態における日星車312の回転中心202DS2、第2の実施形態における小曜車322の回転中心202SW2、第2の実施形態における日修正車355の回転中心202SB2の回転部材の回転中心を備える。
次に、日修正伝え車押さえ314の構造について、第1の実施形態において前述した説明に追加する説明を行う。図8を参照すると、第2の実施形態における第4修正伝え車354を地板202に向かって加圧するための第2修正ばね部314b2が日修正伝え車押さえ314に設けられる。修正ばね部314b2は、「1時方向」と「2時方向」との間の領域(すなわち、「1−2時領域」)に配置されるのが好ましい。第2修正ばね部314b2が第4修正伝え車354と接触する先端部分は、「1時方向」と「2時方向」との間の領域(すなわち、「1−2時領域」)に配置されるのが好ましい。さらに、日星車312の下方に位置する日修正伝え車押さえ314の一部は、地板202の裏面に向かって円形に絞られ、この円形絞り部の中心に設けられた穴が、日星車案内穴の周囲に設けられた日修正伝え車押さえ案内軸部に嵌め込まれるように構成されるのが好ましい。以上説明したように、第1の実施形態、第2の実施形態では、日修正伝え車押さえ314は、ムーブメント201Cに使用することができるし、また、ムーブメント201Dに使用することもできる。
次に、裏物押さえ480の構造について、第1の実施形態において前述した説明に追加する説明を行う。図9を参照すると、第2の実施形態における日星車312の回転方向の位置を規正するための第2日ジャンパ480bが、裏物押さえ480に設けられる。第2日ジャンパ480bのばね部は、「1時方向」と「5時方向」との間の領域(すなわち、「1−5時領域」)に配置されるのが好ましい。第2日ジャンパ480bのばね部の先端に設けられた規正部は、「12時方向」と「1時方向」との間の領域(すなわち、「12−1時領域」)に配置されるのが好ましい。第2の実施形態では、前述した本発明の多機能時計の第1の実施形態において使用する裏物押さえ480と同じものを用いることができる。すなわち、第2の実施形態における曜ジャンパ加圧ばね部480cの寸法形状は、第1の実施形態における曜ジャンパ加圧ばね部480cの寸法形状と同じように構成することができる。以上説明したように、第1の実施形態、第2の実施形態では、裏物押さえ480は、ムーブメント201Cに使用することができるし、また、ムーブメント201Dに使用することもできる。
本発明の多機能時計の第2の実施形態において、曜送り機構の作用は、第1の実施形態について説明したものと同様である。図22および図24を参照すると、曜針464hと、文字板454の文字、数字、略字などによって「日曜日」をあらわす「Sun」を指示している状態で、筒車262の回転により、曜回し車320が回転する。曜回し車320に設けられた曜送りつめ320fが曜伝え車462の曜伝え歯車部462bを回転させることにより、曜伝え車462は1日に1度、(1/7)回転する。曜伝え車462の回転方向の位置は、地板202に対して回転可能に設けられた曜ジャンパ468により規正される。裏物押さえ480に設けられた曜ジャンパ加圧ばね部480cが、曜ジャンパ460の先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付ける。
図10および図27を参照すると、多機能時計の実施形態の第3種において、回転中心が地板中心202cである筒車262に取り付けた時針262hによって、12時間制の「時」に関する時刻情報を表示し、回転中心が地板中心202cである二番車244に取り付けた分針244hによって「分」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「6時方向」に配置された秒車340に取り付けた小秒針340hによって、「秒」に関する時刻情報を表示し、回転中心が「2時方向」に配置された日星車312に取り付けた日針312hによって、「日」に関する暦情報を表示し、回転中心が「10時方向」に配置された小曜車464に取り付けた扇形運針することができる曜針464hによって、いわゆる「レトログラードタイプ」によって、「曜」に関する暦情報を表示することができる。例えば、曜針464hは、90度〜160度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示することができる。構成部品の設計の余裕と、曜表示のデザイン性からみると、曜針464hは、100度〜120度の範囲で「曜」に関する暦情報を表示するのが好ましい。
さらに、上述した本発明の曜送り機構に用いられる扇形運針輪列を用いて、扇形運動する小針により情報を表示することができるように構成された扇形運針輪列装置を実現することができる。この扇形運針輪列装置は、曜回し車320と、曜伝え車462と、小曜車464と、曜ジャンパ468と、第1復針レバー491と、第2復針レバー492と、第2復針レバー戻しばね494とを含むように構成することができる。曜回し車320は、曜回し歯320bと、曜送りつめ320fとを含む。曜伝え車462は、曜伝え歯車部と、伝えカム部462cとを備える。伝えカム外周部分は、いわゆる「揺動カム」のカム面に近い形状をとる。曜針464hが小曜車464の針取付部464gに取り付けられる。曜ジャンパ加圧ばね部480cが、曜ジャンパ468の先端に設けられた規正部を曜伝え車462の曜伝え歯車部462bに向けて押し付けるように構成される。第1復針レバー491は、伝えカム部462cと接触するように構成されたカム接触部491cと、曜歯車部464bと噛み合うように構成された第1作動歯車部491fと、第2作動歯車部491gとを備える。第2復針レバー492は、レバー本体部492bと、レバー歯車部492cとを含む。レバー歯車部492cは、曜歯車部464bと噛み合うように構成される。
201D ムーブメント
202 地板
204 文字板
210 巻真
236 ロータ
238 五番車
240 四番車
242 三番車
244 二番車
244h 分針
260 日の裏車
262 筒車
262h 時針
310 日回し車
312 日星車
312h 日針
320 曜回し車
322 小曜車
322h 曜針
330 時車
330h 24時針
340 秒車
340h 小秒針
351 第1修正伝え車
352 第2修正伝え車
353 第3修正伝え車
354 第4修正伝え車
355 日修正車
462 曜伝え車
462b 曜伝え歯車部
462c 伝えカム部
464 小曜車
464a 下軸部
464b 曜歯車部
464c 戻りカム部
464d 上軸部
464g 針取付部
468 曜ジャンパ
480 裏物押さえ
480c 曜ジャンパ加圧ばね部
491 第1復針レバー
492 第2復針レバー
494 第2復針レバー戻しばね
Claims (10)
- ムーブメントの基板を構成する地板(202)と、表示を修正するための巻真(210)と、前記巻真(210)の位置を切り換えるための切換機構と、時刻情報を表示するための文字板と、時刻情報又は暦情報を表示するための小針とを備えた多機能時計であって、
扇形運動する小針により暦情報を表示することができるように構成された暦情報表示機構を備え、
前記暦情報表示機構は、
筒車(262)の回転に基づいて回転するように構成され、かつ、伝えカム部(462c)を有する伝え車(462)と、
前記伝え車(462)の回転に基づいて回転するように構成され、かつ、暦情報を表示するための表示車(464)と、
前記伝えカム部(462c)と接触して回転可能に設けられた第1復針レバー(491)と、
前記表示車(464)と連動して回転可能に設けられた第2復針レバー(492)とを備え、
前記第1復針レバー(491)は、カム接触部(491c)と、作動歯車部(491f)とを含み、
前記第2復針レバー(492)は、常に、一定方向に回転するような力を受けるように構成される、
ことを特徴とする多機能時計。 - 請求項1に記載の多機能時計において、
前記第1復針レバー(491)は、カム接触部(491c)と、作動歯車部(491f)とを含み、
前記第1復針レバー(491)のカム接触部(491c)は、前記伝えカム部(462c)の伝えカム外周部分と接触するように構成され、
前記第1復針レバー(491)の作動歯車部(491f)は、前記表示車(464)の歯車部(464b)と噛み合うように構成され、
前記第2復針レバー(492)のレバー歯車部(492c)は、前記表示車(464)の歯車部(464b)と噛み合うように構成される、
ことを特徴とする多機能時計。 - 請求項1に記載の多機能時計において、前記第2復針レバー(492)を、常に、一定方向に回転するような力は、前記第2復針レバー(492)に対して固定された第2復針レバー戻しばね(494)のばね力によって与えられることを特徴とする多機能時計。
- 請求項1に記載の多機能時計において、前記第1復針レバー(491)の作動歯車部(491f)は、前記第1復針レバー(491)の回転中心を基準として、開角が30度から80度の欠け歯歯車として構成されることを特徴とする多機能時計。
- 請求項1に記載の多機能時計において、前記第2復針レバー(492)のレバー歯車部(492c)は、前記第2復針レバー(492)の回転中心を基準として、開角が30度から80度の欠け歯歯車として構成されることを特徴とする多機能時計。
- 扇形運動する小針により情報を表示することができるように構成された扇形運針輪列装置であって、
伝えカム部(462c)を有する伝え車(462)と、
前記伝え車(462)の回転に基づいて回転するように構成され、かつ、情報を表示するための表示車(464)と、
前記伝えカム部(462c)と接触して回転可能に設けられた第1復針レバー(491)と、
前記表示車(464)と連動して回転可能に設けられた第2復針レバー(492)とを備え、
前記第1復針レバー(491)は、カム接触部(491c)と、作動歯車部(491f)とを含み、
前記第2復針レバー(492)は、常に、一定方向に回転するような力を受けるように構成される、
ことを特徴とする扇形運針輪列装置。 - 請求項6に記載の扇形運針輪列装置において、
前記第1復針レバー(491)は、カム接触部(491c)と、作動歯車部(491f)とを含み、
前記第1復針レバー(491)のカム接触部(491c)は、前記伝えカム部(462c)の伝えカム外周部分と接触するように構成され、
前記第1復針レバー(491)の作動歯車部(491f)は、前記表示車(464)の歯車部(464b)と噛み合うように構成され
前記第2復針レバー(492)のレバー歯車部(492c)は、前記表示車(464)の歯車部(464b)と噛み合うように構成される、
ことを特徴とする扇形運針輪列装置。 - 請求項6に記載の扇形運針輪列装置において、前記第2復針レバー(492)を、常に、一定方向に回転するような力は、前記第2復針レバー(492)に対して固定された第2復針レバー戻しばね(494)のばね力によって与えられることを特徴とする扇形運針輪列装置。
- 請求項6に記載の扇形運針輪列装置において、前記第1復針レバー(491)の作動歯車部(491f)は、前記第1復針レバー(491)の回転中心を基準として、開角が30度から80度の欠け歯歯車として構成されることを特徴とする扇形運針輪列装置。
- 請求項6に記載の扇形運針輪列装置において、前記第2復針レバー(492)のレバー歯車部(492c)は、前記第2復針レバー(492)の回転中心を基準として、開角が30度から80度の欠け歯歯車として構成されることを特徴とする扇形運針輪列装置。
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