JP4858418B2 - 時計 - Google Patents
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Description
一方、日や曜、時分などの目盛が文字板上の扇形の表示部に描かれ、指針によって暦や時刻を示すレトロ調(レトログラード)の時計の表示機構も知られている。このレトロ調タイプの時計において、曜表示を例にとると、指針は、Sun、Mon、Tue・・・と順次進み、Satの次は再び、Sunの位置に戻る。このような指針の往復運動を実現するために、特許文献1に示された時計は、筒車の回転が伝達される曜回し車と、この曜回し車により送られる曜車と、この曜車に固定されるカムと、このカムに当接されて回動するレバーと、このレバーに形成されたラックにより送られる小曜車と、小曜車の回動に伴って力が蓄えられる小曜車ばねとを備えて構成されている。すなわち、カムに当接されたレバーの回動により、小曜車が回転して指針が往復運動するものとなっている。
また、特許文献1のように、地板に配置された曜車、小曜車の間をカム、レバーが介在するような構成は、カム、レバーが小さく、細かい形状になりがちであることから、構造が複雑になりやすい。よって、設計や組み立てが難しい。
本発明における作用としては、作動カムが時刻、暦の表示の目的に応じた送り量で回転することにより、作動カムに当接される復針レバーが回動する。そして、復針レバーの回動により、復針レバーに連動する小歯車に取り付けられた第2の表示部材が当該小歯車の回動位置の始端から終端に向かって動き、この第2の表示部材によって暦、あるいは時刻が順番に指し示されていくことになる。さらに、第2の表示部材が回動位置の終端まで到達した際は、作動カムの周期終了に伴う復針レバーの移動により小歯車が逆回転することによって、第2の表示部材が回動位置の始端に復帰する。このような第2の表示部材の往復運動により、日、月、曜などの暦、あるいは時刻が繰り返し表示される。
ここで、小歯車を組み込むにあたって、地板や受け、押さえ板などに小歯車の回転軸となる孔や突起が小歯車の配置位置の数に応じて形成される。このような地板や受けの回転
軸によって小歯車の配置位置(小歯車組み込み部)を設けておけば、モデルの変更にあたって構成を変更する必要はなく、各モデルの時計においてムーブメントを共通で使用することができるので、モデル変更が至って容易となる。さらに、モデル変更に要するコストを大幅に引き下げることが可能となる。
なお、小歯車が複数の異なる位置に配置された場合の各小歯車に復針レバーが噛合う態様としては、複数の位置にそれぞれ配置された小歯車とそれぞれ噛合う復針レバーの歯車部が複数設けられていたり、復針レバーの歯車部が各小歯車を所定の角度で回転させるのに足りる長さで形成されたことなどが挙げられる。また、復針レバーの歯車部において、歯列が複数の部分にそれぞれ形成されており、このような歯車部の各部分における部分歯車が各位置に配置された小歯車とそれぞれ対応し、噛合う態様でもよい。
ここで、第1の表示部材の回転中心と作動カムの回転中心とが同じ位置とされて復針レバーの配置スペースを大きく採ることができる分、小歯車の配置位置(小歯車組み込み部)を数多く設けて多くのモデルを提供することができる。すなわち、第1の表示部材の回転中心は、通常、地板の略中央に設けられているため、地板の略中央から地板の周縁に向かって復針レバーの配置スペースを容易に確保できる。これにより、復針レバーを大きく、また、多様な形状とでき、小歯車を任意の位置に配置することができる。
前記小歯車の配置位置が3つ以上設けられるなど、小歯車の配置位置の数が多いほど、モデルのバリエーションが豊富となるので、1モデルあたりのコストが引き下げられ、製品展開を促進することができる。
また、作動カム、復針レバー等の組み合わせ次第で第2の表示部材を設ける位置や向きも自在にできる。
そして、送り部材により、作動カムを1日に一歯ずつ瞬間的に送ることができる。
これにより、作動カムの回転軸の周りで、地板と向き合う位置、例えばムーブメントに設けられる文字板の裏側に沿って、薄板状の復針レバーを任意の形状に延伸させることが可能であって、復針レバーにおける小歯車との噛合部の位置が制約されない。つまり、設計の自由度を格段に向上させることができる。
また、地板に配置された輪列等に被せるように復針レバーを配設できるため、組み込み性に非常に優れる。すなわち、ムーブメントに既に組み込まれている輪列などの部品の構成を変更することなく、本発明の構成をそのムーブメントに組み込むことが可能となるから、レトロ調の表示機構を備える時計を容易に提供できる。
なお、時計における作用としては、復針レバーが作動カムの回転中心から離れる方向に回動するのに伴い、復針レバーに対する復針戻しばねの付勢力が蓄積され、この蓄積された付勢力が作動カムの周期終了時に解放されることによって、復針レバーを瞬間的に復帰させることができる。
また、日車の内周側に前記復針レバーの回転軸および小歯車の回転軸が納まることから、日車の内周にほぼ納まるように本発明の構成を配置可能となり、スペース上良好にできる。なお、前述したように、本発明は、構造が簡素であるため、日車の内周に本発明の前記構成を配置しても、ムーブメントの構造が複雑化することもなく、時計のモデルに豊富なバリエーションを持たせることが可能である。
特に、第1の表示部材の回転中心および作動カムの回転中心とが同じ位置とされてレバーの配置スペースを大きく採ることができる分、小歯車の配置位置(小歯車組み込み部)を数多く設けて多くのモデルを提供することができる。これらの各モデルにおいて、ムーブメントは共通で使用されるため、低コスト化も図ることができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降の説明において、以下に説明する第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
時計1Aは、ケース3内に収容される駆動装置としてのムーブメント2を備えた腕時計(ウォッチ)である。時計の種類は、クォーツ時計、機械式時計、電子制御式機械時計のいずれでもよいが、本実施形態の時計1Aは、アナログクォーツ時計として構成され、ムーブメント2には、ケース3の円形状の開口39に臨んで設けられる文字板11と、巻き真13を操作するためのりゅうず131とが取り付けられている。文字板11は、金属板打ち抜きや電鋳、合成樹脂による射出成形などにより形成されたもので、文字板11上には、時刻(時分秒)、日、曜がそれぞれ表示されている。すなわち、文字板11の略中央には、時刻表示の構成として、それぞれ第1の表示部材としての秒針121、分針122、時針123が設けられている。また、文字板11の12時方向には、略矩形状の窓部61が設けられ、この窓部61からは、文字板11の背面側に設けられた日車63の回転により、日車63に印字された日が順次表示されている。さらに、文字板11の略5時半方向には扇形の表示部51が設けられ、この表示部51の表示は、曜針52が往復運動するレトロ調のものとなっている。
ここで、秒針121、分針122、時針123を駆動する構成は、通常のアナログクォーツと同様のものであって、水晶振動子が組み込まれた回路基板(制御部分)と、コイル、ステータ、ロータを有するステッピングモータと、図3に示す四番車114、二番車112、筒車31等による駆動輪列(図示しない日の裏車、三番車、および五番車なども含まれる)と、動力源である電池とを備えて構成されている。ここで、図示しない三番車、および五番車を含んで駆動部分が構成されている。この構成では、水晶振動子で発振され回路ブロックを経て分周されたパルス信号により、ステッピングモータが駆動する。そして、ステッピングモータの駆動力が駆動部分に伝達されることにより、四番車114に設けられた秒針121と、二番車112に設けられた分針122と、筒車31に設けられた時針123とがそれぞれ駆動される。ここで、四番車114、二番車112、および筒車31を含んで輪列部分が構成されている。ステッピングモータの数は問わず、例えば、秒針121の駆動用に1つ、分針122および時針123の駆動用に1つ、計2つのステッピングモータが設けられていてもよい。
日表示装置60は、図2に示すように、地板23(図3も参照)の中央に配置された筒車31と、筒車31と噛合う日回し車32と、日回し車32により送られるリング状の日車63とを備えて構成されている。
筒車31は、12時間で1回転するスリーブ状の歯車であり、この筒車31には、時針123(図1)が取り付けられている。また、筒車31は歯数8の送り車311を有し、この送り車311が歯数16の日回し車32と噛合っている。
なお、この日車63の歯631は、地板23に基端側が取り付けられた図示しないジャンパの先端部で付勢されている。このジャンパの付勢力により、日車63が間欠的に駆動され、窓部61における日表示が1日ごとに切り替わっている。
曜表示装置20は、日車63の内周にほぼ納まるように配置されており、駆動力を伝達する歯車列30と、この歯車列30から駆動力を受け取り、第2の表示部材としての曜針52を往復運動させる制御部40と、表示部51(図1)および曜針52が含まれる指示部50とを備えて構成されている。
歯車列30は、筒車31と、日回し車32とを備えている。
これらの筒車31および日回し車32は、日表示装置60と曜表示装置20とで共通の構成である。ここで、日回し車32には、送り部材としての2つの曜送り爪322が形成され、これらの曜送り爪322によって曜中間車41が1日に2歯ずつ送られる。
曜中間車41は、歯数が14であり、日回し車32の曜送り爪322で送られて7日(1週間)で1回転する。この曜中間車41は、筒車31と同軸上で回転するように設けられている。
また、この曜中間車41の近傍には、曜中間車41の歯を付勢するために作動カムジャンパとしてのジャンパ411が設けられている。このジャンパ411の付勢力により、曜中間車41は間欠的に駆動されている。
カム42には、1つのピーク部421が設けられており、カム外周部分としての開始端部422からピーク部421までがアルキメデス渦巻線状に形成されている。このようなカム42の従動節はレバー43である。
ここで、レバー43およびカム42の時計1A〜1Cの厚さ方向D(図3)に沿った側面430,420は互いに対向している。
そして、レバー43の外周形状は、図4に示すように回転軸230を中心とする略扇形状であり、レバー43の円弧状部分には、当該円弧状部分の一端から他端へと順に、3つの歯車部としての第1歯車部451、第2歯車部452、第3歯車部453が並んでいる。
すなわち、レバー43の回転軸230と第1〜第3歯車部451〜453とは、筒車31の回転中心に対して、互いに略反対方向に配置されている。
また、第1〜第3歯車部451〜453は、レバー43の回転軸230を中心としてカム42の回転軸425を通る円弧Rを仮定すると、この円弧Rの中心側とは反対側(円弧Rの外側)に配置され、かつ、カム42の回転軸425は、レバー43の回転軸230および第1〜第3歯車部451〜453の間に配置されている。
これらの第1歯車部451〜第3歯車部453は、小曜車53が図4中、実線で示した位置A(5時半位置)、1点鎖線で示した位置B(8時位置)、および2点鎖線で示した位置C(10時位置)のいずれに配置された場合でも小曜車53と噛合して当該小曜車53を所定の角度だけ回転可能となっている。これらの第1歯車部451〜第3歯車部453の歯形、歯数、および歯列の長さは、小曜車53の歯形、歯数、および回転角度に応じて決められている。本実施形態では、第1歯車部451〜第3歯車部453の歯形は互いに同じであり、ほぼ同じ長さの歯列を有している。
表示部51は、図1に示すように、扇形の円中心が文字板11の周縁側に、扇形の円弧部分が文字板11の中心側となる向きで設けられている。この表示部51の扇形の円弧に沿って、「SUN」〜「SAT」の文字が所定間隔で印字または刻字されており、これは曜を示す目盛511となっている。
つまり、小曜車53は、図4中、実線で示した位置A(5時半位置)だけでなく、位置B(8時位置)にも、位置C(10時位置)にも組み込むことが可能であって、これらの位置A〜Cから一つが、小曜車53の組み込み位置(小歯車組み込み部)として選択されるようになっている。これは、次に述べる時計1A(図1)のモデル変更に関係している。
このような小曜車53は、表示部51の扇形中心O(図1)に相当する位置で、図5に示すように地板23および押さえ板24との間に軸支されている。地板23および押さえ板24には、小曜車53の回転軸531に対応する軸孔231,241がそれぞれ形成され、これらの軸孔231,241は、位置A〜位置C(図4)に応じた位置にそれぞれ形成されている。なお、文字板11には、回転軸531が挿入される孔111が形成されている。
ここで、時計1A〜1Cにおける表示部51の向き、言い換えると曜針52が回動する範囲は互いに異なっている。具体的に、時計1A(図1)、時計1B(図6)における表示部51は、当該表示部51の扇形中心Oから分針121〜時針123が取り付けられた文字板11略中央に向かって拡がっているのに対して、時計1C(図7)における表示部51は、当該表示部51の扇形中心Oから文字板11の略中央を通らずに略2時位置を中心とする方向に向かって拡がっている。この表示部51の向きないし曜針52の回動範囲は、小曜車53を位置A〜位置C(図2)に組み込む際の当該曜針52に取り付けられた曜針52の向きによって変わる。よって、小曜車53およびカム42を組み込む際は、曜針52の指示方向が時計1A〜1Cにおける表示部51の向きと合うように、小曜車53の位置がカム42の位相位置と併せて調整されている。
また、窓部61から見える日車63上の文字が常に12時方向を上、6時方向を下として表示されるように、時計1A〜1Cでは、日車63に印字される1〜31の文字の向きが相違している。
ステッピングモータの駆動力が図示しない輪列を介して筒車31に伝えられ、筒車31は、12時間で1回転、すなわち1日に2回転する。この筒車31の回転は、筒車31から日回し車32に伝えられる際に1/2に減速され、日回し車32は、1日に1回転する。そして、日回し車32の曜送り爪322によって、曜中間車41が1日に2歯ずつ送られる。この曜中間車41に伝えられる駆動力は、日回し車32の回転速度を基準とすると、1/7に減速されて伝えられる。
そして、曜中間車41の回転は、曜中間車41を介してカム42にも伝えられ、カム42および曜中間車41全体が、7日(1週間)で1回転する。
(1)時計1A〜1Cの曜表示装置20では、レバー43に第1〜第3歯車部451〜453が形成され、小曜車53を位置A〜位置Cのいずれにも組み込めるように構成されているので、小曜車53を組み込む位置を変更するだけで、モデル違いの時計1A〜1Cを至って容易に製造できる。時計1A〜1Cでは文字板11上の曜針52の回転中心ないし回動範囲、表示部51の位置および向きが互いに異なるので、外観デザインのバリエーションを容易に得ることができる。
ここで、小曜車53の組み込み位置A〜位置Cには予め軸孔231,241がそれぞれ形成され、ムーブメント2は時計1A〜1Cにおいて共通で使用されるから、モデルの変更に際して曜表示装置20を含んだムーブメント2の構成を変更する必要がないという利点がある。これにより、大幅に低コスト化することができる。
さらに、リング状の日車63の内周側に曜表示装置20を配置するのも容易であって、これによってムーブメント2全体の構造が複雑となることがない。これにより、設計の自由度を大きく向上させることができる。
なお、小曜車53の組み込み位置は位置A〜Cの3箇所に限らず、2箇所や、4箇所以上の小曜車53の組み込み位置を設けることも可能である。
また、地板23に配置された日回し車32や他の輪列などに被せるようにレバー43を配設できるため、組み込み性に優れる。すなわち、ムーブメント2に既に組み込まれている部品の構成を変更することなく、曜表示装置20をムーブメント2に容易に組み込むことができる。
したがって、日表示装置60における表示デザインと、曜表示装置20におけるデザインとの組み合わせにより、豊富なバリエーションの時計のモデルを安価に提供することができる。
また、小曜車53の組み込み位置に応じて、回転軸230から小曜車53までの距離が変わり、これに応じて文字板11における曜針52の回転中心の位置も変わるので、異なる時計デザインを得ることができる。すなわち、曜表示装置20の構成の一部であるレバー43の円周部分に段差455を設けただけで、曜針52の回転中心位置の変更に加えて、小曜車53の回動角度を変更することが可能であり、多くのデザイン・バリエーションを創り出すことができる。
また、レバー43とカム42との間に働く付勢力により、カム42の回転によるレバー43の復帰動作を実現できるとともに、レバー43を介して回転する第1〜第3歯車部451〜453と小曜車53とが確実に噛合うから、曜針52のがたつきなどを防止できる。
なお、寸法T2および寸法T1の比は、一般的な大きさの時計のムーブメント2への納まりや、部品の加工性などの点で略2倍としているが、この寸法比は、1.5倍〜2.5倍の範囲で適宜決められる。このT1とT2との寸比が1.5倍よりも小さくなると、小曜車53の十分な送り量が得られない場合があり、2.5倍を超えると、曜表示装置200をムーブメント20に組み込むことが難しくなる。
ここで、曜表示装置20を含んだムーブメント2は、時計1A〜1Cにおいて共通で使用されるから、モデルの変更に際して曜表示装置20の構成を変更する必要はないという利点がある。これにより、大幅にコストダウンすることができる。
このような構成としても、第1実施形態におけるムーブメント2を図1、図6、図7に示した時計1A〜1Cと共通で使用できる。すなわち、図2に示した位置A〜位置Cへの小曜車53の組み込み位置、およびカム42の組み込み位置を調整することにより、曜針52の指示方向および文字板11に設ける表示部51の向きを自在にできる。このように、各時計1A〜1Cにおいて曜針52の指示方向および表示部51の扇形の向きを変更することができるから、1つのムーブメント2から多くの時計モデルを容易に創り出すことが出来る。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、第1実施形態において、ムーブメント2内の位置A(図2)に組み込まれる小曜車53の径を変更したものである。
図9は、本実施形態の曜表示装置28を構成する復針レバーとしてのレバー73および小歯車としての小曜車53,55を模式的に示した平面図である。なお、図9には、説明の便宜上、小曜車53、小曜車55を位置A〜Cにそれぞれ図示したが、実際には、位置A〜Cのいずれかに小曜車53,55の1つが組み込まれる。
本実施形態では、位置Aに配置される小曜車55の径を位置Bに配置される小曜車53の径よりも大径にしてある。また、小曜車55の歯ピッチは小曜車53の歯ピッチよりも大きい。これに対応して、レバー73における第1歯車部751の歯ピッチも第2歯車部452の歯ピッチよりも大きいものとなっている。すなわち、第1歯車部751と第2歯車部452とでは歯形が異なっている。
一方、図9において位置Aに配置された小曜車55は、第2歯車部452と噛合う小曜車53よりも大径であることにより、小曜車53よりも小さい送り量で第1歯車部751によって送られ、この小曜車55に取り付けられた曜針52の回動角度は約60°とされている。また、表示部51の扇形の角度も、曜針52の回動角度約60°に対応した角度となっている。
このような曜表示装置28が組み込まれた時計7A(7B,7C)の外観を図10に示す。ここで、図10に実線、1点鎖線、2点鎖線でそれぞれ示された表示部51は、小曜車55,53を図9に示した位置A(実線)、位置B(1点鎖線)、位置C(2点鎖線)に組み込んだ場合にそれぞれ対応している。位置A、位置B、および位置Cは、それぞれ小歯車組み込み部である。このように、小曜車53,55の組み込み位置に応じて、3つの時計モデル、すなわち時計7A〜7Cを製造することができ、各モデルにおいて、曜表示装置28を含むムーブメント2は共通で使用されている。
また、時計7A〜7Cの各モデル間で、曜針52の回動中心および表示部51の位置が異なることに加えて、曜針52の回動角度および表示部51の扇形角度の点でも異なることとなり、文字板11上の外観デザインに一層変化を持たせることができる。このモデル変更に際して、小曜車53,55の径を変更するだけでよく、曜表示装置28におけるその他の構成を変更する必要がないという利点がある。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第1、第2実施形態におけるレバー43,73は、いずれも開口431を有し、環状に形成されていたが、本実施形態におけるレバーの形状はこれとは相違する。
図11は、本実施形態のムーブメント2に組み込まれた曜表示装置80を示す。
曜表示装置80が備える復針レバーとしてのレバー83は、カム42の周りを取り囲むように、略L字状に形成され、一端側が回転軸230に軸支されるとともに、他端側には、小曜車53と噛合う第1歯車部451、第2歯車部452の2つの部分歯車部が形成されている。また、レバー83のL字内側には、カム42に当接される突起433が形成されている。
なお、第1、第2歯車部451,452の間には、歯列が形成されていないが、これに限らず、第1、第2歯車部451,452が互いに連続して一つの歯列をなしていてもよい。
次に、本発明の第4実施形態では、第1実施形態のレトロ調の曜表示装置20に代えて、他の表示装置をムーブメント2に組み込んだことについて説明する。
図12は、本実施形態における時計1Dの外観を示し、図13は、時計1Dのムーブメント2を示す。また、図14は、ムーブメント2の要部断面図である。
ムーブメント2には、曜表示装置20(図2)の代わりに、円板の回転により曜を表示する曜表示装置90が組み込まれている。
なお、曜表示装置20におけるレバー43の回転軸230、ばね46が係止される軸部253、および突出部252は、曜表示装置20を取り外しても、地板23や日車押さえ25(図3)などにそのまま残っている。
曜車91は、筒車31と同軸上に設けられる曜星車911と、この曜星車911に取り付けられる円板である曜表示板912とを有して構成されている。なお、曜星車911には、ジャンパ411が接触しており、このジャンパ411の付勢力により、曜星車911は間欠的に回転する。
図13では、曜表示装置20のレバー43、ばね46、小曜車53、曜針52、押さえ板24だけがムーブメント2から取り外されている。
曜表示板912には、図13では図示を省略したが、曜を示す「SUN」〜「SAT」までの文字が周方向に沿って印字(または刻字)されている。曜表示板912と地板23ないし日車押さえとの間には、回転軸230、軸部253、および突出部252が配置されている。
すなわち、ムーブメント2には、図2などで示した曜表示装置20に代えて、曜表示装置90を組み込むことが可能であり、これにより、前述した時計1A〜1Cに加えて、曜表示形式の異なる時計1Dを提供できる。
なお、第2、第3実施形態で示したように、ムーブメント2には、曜表示装置28,90もそれぞれ組み込み可能であるから、ムーブメント2は、曜表示装置20,28,80,90のいずれかを選択して組み込むことが可能である。
を組み込む際にも、支障がない。つまり、ムーブメント2に組み込む曜表示装置20,28,80,90を相互に交換でき、各モデルの時計において表示装置ないしムーブメントを共通で使用することができる。
なお、本実施形態では、曜表示板912の回転により曜窓部92を介して曜を表示する態様の曜表示装置90を示したが、ムーブメント2に組み込まれる表示装置としては、例えば、文字板に設けられた目盛りを指針の回転により順次指し示す態様など、様々な態様が考えられる。
本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、以上述べた実施の形態に対し、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
すなわち、前記各実施形態で説明したように、第2の表示部材の回動中心および回動角度は、小歯車と復針レバーの歯車部との径や歯形、歯数との関係で決められ、第2の表示部材の指示方向は、小歯車を組み込む際の小歯車、復針レバー、作動カムなどの位置合わせにおいて決められる。
表示部の形状は、扇形の円弧部分のみが示されたものであってもよい。
また、本発明における復針レバーは、前記各実施形態のように環状や略L字状でもよく、また、S字、C字などの形状であって、その湾曲の内側部分に作動カムへの当接部を有するものであってもよい。
Claims (2)
- 扇形に揺動して表示する機構を備えた時計において、
時計のムーブメントは、
時計を駆動するための駆動部分と、
前記駆動部分の作動を制御するための制御部分と、
前記駆動部分の作動に基づいて回転する輪列部分と、
回転中心から外周面に向かう半径が、最小値から最大値の間の値をとって、円周方向において連続して変化するように形成されているカム外周部分を有し、前記輪列部分の回転に基づいて回転する作動カムと、
前記作動カムを回転させるための送り部材とを備え、
前記作動カムの外周面に接触して揺動する復針レバーを組み込むことができる復針レバー組み込み部が1箇所、前記ムーブメントに設けられており、
前記復針レバーの揺動運動に基づいて回転する小歯車を組み込むことができる小歯車組み込み部が2箇所、前記ムーブメントに設けられており、
復針レバーが、前記復針レバー組み込み部に組み込まれ、
小歯車が、前記2箇所の小歯車組み込み部のうちの1方に組み込まれ、
前記作動カムは、該作動カムの回転中心と前記復針レバーとの接触点との間の距離が増加してゆくような方向に、前記輪列部分の回転に基づいて回転するように構成されており、さらに、前記輪列部分の回転に基づいて時刻、暦の情報を表示する第1の表示部材と、
前記小歯車の回転に基づいて回転する第2の表示部材とを備え、
前記作動カムの回転中心は、前記第1の表示部材の回転中心と同じ位置に配置される、
ことを特徴とする時計。 - 更に、前記輪列部分の回転に基づいて回転する日回し車と、前記日回し車の回転に基づいて回転して「日」に関する情報を表示する日車とを備え、
前記作動カムは、前記送り部材によって回転される作動カム歯車を備え、
前記送り部材は、前記日回し車の回転に基づいて回転するように構成され、前記小歯車の回転中心は、前記作動カム歯車の外周部と、前記日車の歯先円との間に配置され、かつ、前記復針レバーの回転中心は、前記作動カム歯車の外周部と、前記日車の歯先円との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の時計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007299307A JP4858418B2 (ja) | 2005-01-24 | 2007-11-19 | 時計 |
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