JP4424233B2 - 時計の表示装置、および時計 - Google Patents
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Description
一方、日や曜、時分などの目盛が文字板上の扇形の表示部に描かれ、指針によって暦や時刻を示すレトロ調(レトログラード)の時計の表示機構も知られている。このレトロ調タイプの時計において、曜表示を例にとると、指針は、Sun、Mon、Tue・・・と順次進み、Satの次は再び、Sunの位置に戻る。このような指針の往復運動を実現するために、特許文献1では、日表示に関して、地板の裏側に設けられた従来のリング状の日車(ただし日の印字はない)の外周形状を螺旋状とし、これをカムとして利用することが提案されている。具体的に、特許文献1の時計では、指針が取り付けられたピニオンと、このピニオンに互いに反対方向から噛合う一対のラックとが地板に回動可能に取り付けられている。そして、一方のラックを介したばね押圧によって他方のラックがカムとしての回転板の外周に当接しており、日車の回転に応じて指針が往復運動するようになっている。
また、特許文献1の構成では、日表示の指針を日車の外周側から内側を指し示す向きでしか設けることができないなどの設計上の制約があった。
さらに、本発明では、レバーの軸部に指示部材が設けられ、レバーの回動を指示部材に直接伝達して指示部材の往復動作を実現しているため、レバーの回動を指示部材に伝達するラックなどの送り機構を不要にできる。このように、レバーの回動・復帰動作に指示部材が連動し、レバーの回動を伝達する機構が不要となるから、構造を一層簡素なものとすることができ、省スペース化および低コスト化も図られる。すなわち、本発明は、所定の送り量で回転されるカムおよびレバーのみによってレトロ調の運針(指示部材の往復運動)を実現したものであり、極めてシンプルで、コンパクトな構成とすることができる。
このように、構造が簡素であることから、設計が容易であり、例えば、日表示および曜表示等の複数系統のレトロ調表示を採用する、あるいは、クロノグラフ等のインダイアル表示とレトロ調表示とを併せて採用するなど、設計の自由度を格段に向上させることができる。
また、駆動車、従動車、カム、レバー等の組み合わせ次第で指示部材を設ける位置や向きも自在にできる。
さらに、カムと従動車とが重なり、そして、レバーの一部がカムと重なるので、平面方向(時計の視認方向と交差する方向)でのスペースを小さくでき、表示装置の組み込み性を向上させることができる。なお、レバーが駆動車や従動車、中間車とも重なる方が好ましい。
また、カムと従動車とが同軸とされているから、従動車の回転をカムに確実に伝えることが可能となる。
さらに、レバーの回動軸となる軸部と本体とが別体とされ、レバーの本体が時計の厚さ方向において駆動車や従動車、カムが配置された位置とは異なる位置に配設されるので、軸部を駆動車、従動車などと近付けてまとまりよく配置することで、組み込み性およびスペース効率を向上させることができる。組み込みの順序としては、軸部に板部材を設け、そして板部材から突出する軸部に本体を取り付け、最後に軸部に指示部材を取り付けるのが適当である。
また、レバーを板状に形成し、一部を曲げることでカムと当接する部分を確保したので、ムーブメントを薄型にできる。
この発明によれば、付勢手段によりレバーがカムから離れることなく確実に当接されるので、レバーや指示部材などのがたつきを防止でき、指示部材を正確に移動させることができる。
なお、時計の表示装置における作用としては、レバーがカムの回転中心から離れる方向に回動するのに伴ってレバーに対する付勢手段の付勢力が蓄積され、カムの周期終了時にレバーが逆方向に戻り、付勢手段の付勢力が解放されることによって、指示部材を瞬間的に復帰させることができる。
この発明によれば、時計が通常備え、時刻表示の機構を構成する筒車を駆動車として活用するので、この筒車からの駆動力が中間車、従動車に確実に伝達され、設計効率も良好にできる。
また、中間車を設けたことにより、筒車と中間車との間で1/2減速され、筒車、中間車、従動車へと段階的に減速する減速輪列が構成されるので、歯車が大型化することなく、装置全体を小型化することができる。さらに、中間車の送り爪により、従動車を1日に一歯ずつ瞬間的に送ることができる。
この発明によれば、表示装置が前述したような作用及び効果を具備するため、同様の作用および効果を享受できる。
図1は、本実施形態の時計1の外観図である。
時計1は、駆動装置であるムーブメント(時計体)2と、このムーブメント2を収容するケース3とを備えた腕時計(ウォッチ)である。時計の種類は、クォーツ時計、機械式時計、電子制御式機械時計のいずれでもよいが、本実施形態の時計1は、アナログクォーツ時計として構成され、ムーブメント2には、文字板11およびりゅうず13が取り付けられている。文字板11上には、時刻(時分秒)、曜、日、時(24時間制)がそれぞれ表示されている。すなわち、文字板11の略中央には、時刻表示の構成として、秒針121、分針122、時針123が設けられている。また、文字板11の中央よりも9時側には扇形の表示部51が設けられ、この表示部51の表示は、曜針52が往復運動するレトロ調のものとなっている。さらに、3時方向および6時方向には、円形状の表示部65,75がそれぞれ設けられ、これらの表示部65,75では日針66、24時間針76の回転により日、時(24時間制)がそれぞれ表示されている。
ここで、秒針121、分針122、時針123を駆動する構成は、通常のアナログクォーツと同様のものであって、水晶振動子が組み込まれた回路基板と、コイル、ステータ、ロータを有するステッピングモータと、図3に示す四番車114、二番車112、筒車31等による駆動輪列(図示しない日の裏車、三番車、および五番車なども含まれる)と、動力源である電池とを備えて構成されている。この構成では、水晶振動子で発振され回路ブロックを経て分周されたパルス信号により、ステッピングモータが駆動する。そして、ステッピングモータの駆動力がロータを介して駆動輪列に伝達されることにより、四番車114に設けられた秒針121と、二番車112に設けられた分針122と、筒車31に設けられた時針123とがそれぞれ駆動されている。なお、ステッピングモータの数は問わず、例えば、秒針121の駆動用に1つ、分針122および時針123の駆動用に1つ、計2つのステッピングモータが設けられていてもよい。
ムーブメント2には、図2に示すように、日表示に係る日表示装置60と、24時間制表示に関する24時間制表示装置70と、後述するレトロ調の曜表示に係る曜表示装置20とが組み込まれている。
筒車31は、12時間で1回転するスリーブ状の歯車であり、この筒車31には、時針123(図1)が取り付けられている。筒車31は、歯数8の送り車311を有し、この送り車311が日回し車62と噛合っている。
なお、この日星車63の歯は、地板23に基端側が取り付けられた図示しないジャンパの先端部で付勢されている。このジャンパの付勢力により、日針66が間欠的に駆動されている。
筒車31および日回し車62は、24時間制表示装置70と日表示装置60とで共通の構成である。
図4は、図2の要部拡大図である。ここで、図4で示した押さえ24は、地板23(図2)に2箇所でねじ止めされ、曜表示装置20の構成部品を地板23との間に押さえている。
図3、図4において、曜表示装置20は、駆動力を伝達する歯車列30と、この歯車列30から駆動力を受け取り、指示部材としての曜針52を往復運動させる制御部40と、表示部51および曜針52により構成される指示部50とを備えて構成されている。
筒車31は、24時間制表示装置70と、日表示装置60と、曜表示装置20とで共通の構成であり、ここでは説明を省略する。筒車31の送り車311(歯数8)は、曜回し車32と噛合っている。
軸部431は、曜回し車32の軸部322と曜中間車41の軸部412との近傍で、地板23に設けられた受け25(図3)に軸支され、軸部431の先端部431Aは板部材としての押さえ24および文字板11から突出している。この先端部431Aに、本体432および曜針52が取り付けられている。組み込みの手順としては、地板23に軸支された筒車31、曜回し車32、曜中間車41、および受け25に軸支された軸部431などの上に押さえ24を配設し、押さえ24の軸孔243(図3)から突出する軸部431の先端部431Aに本体432を取り付けたのち、先端部431Aに曜針52を取り付ける。
なお、軸部431の先端部431Aは、断面形状の一部に直線部431Bが形成され、この直線部431Bによって先端部431Aの軸周りに本体432が固定されている。
本体432の形状は、図示したものに限られないが、本実施形態では、軸部431を長軸の一端側とする略長円形状であり、長軸と交差する方向に突出する凸部432Aが形成されている。
凸部432Aは、押さえ24に形成された開口241を貫通するように、地板23側に略垂直に折り曲げられている。この折り曲げ部432Bは、カム42に当接され、折り曲げ部432B近傍の本体432の平面的な部分は、カム42と重なる重なり部432Dとなっている。
ばね46は、ねじりコイルばねであり、押さえ24に形成された突出部242とレバー43の本体432との間で軸部244を中心に係止されている。このばね46により、レバー43が軸部431と離れた位置からカム42に向かって付勢されている。
表示部51は、図1に示すように、扇形の円中心Oが文字板11中心の9時側に位置するように設けられ、円中心Oから略12時方向に向かって拡開する向きで設けられている。この表示部51の扇形の円弧に沿って、「SUN」〜「SAT」の文字が所定間隔で印字されており、これは曜を示す目盛511となっている。
ステッピングモータの駆動力が図示しない駆動輪列を介して筒車31に伝えられ、筒車31は、12時間で1回転、すなわち1日に2回転する。この筒車31の回転は、筒車31から曜回し車32に伝えられる際に1/2に減速され、曜回し車32は、1日に1回転する。そして、曜回し車32の送り爪321によって、曜中間車41が1日に一歯ずつ送られる。この曜中間車41に伝えられる駆動力は、曜回し車32の回転速度を基準とすると、1/7に減速されて伝えられる。
そして、曜中間車41の回転は、曜中間車41を介してカム42にも伝えられ、カム42および曜中間車41全体が、7日(1週間)で1回転する。
(1)時計1の曜表示装置20では、レバー43の軸部431に曜針52が設けられ、レバー43の回動を曜針52に直接伝達して曜針52の往復動作を実現しているため、レバー43の回動を曜針52に伝達するラックなどの送り機構を不要にできる。このように、レバー43の回動・復帰動作に曜針52が連動し、レバー43の回動を伝達する機構が不要となるから、構造を簡素なものにでき、省スペース化および低コスト化も図られる。すなわち、曜表示装置20は、レトロ調の運針を所定の送り量で回転されるカム42およびレバー43のみによって実現したものであり、その構成はシンプルかつコンパクトである。
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、以上述べた実施の形態に対し、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
表示部の形状は、扇形の円弧部分のみが示されたものであってもよい。
また、本発明の表示装置を複数設け、例えば月と曜、曜と日などの複数系統のレトロ調表示を実現することもできる。
Claims (4)
- 動力源によって回転される駆動車と、
この駆動車によって駆動される従動車と、
この従動車を介して回転するカムと、
このカムに当接される回動可能なレバーと、
このレバーの回動軸と同軸上に設けられて回動する指示部材と、
この指示部材の回動により示される扇形の表示部とを備え、
前記カムの回転軸と前記従動車の回転軸とが同軸上に配置され、
前記レバーの一部は、前記カムと重なっており、
前記駆動車、前記従動車、および前記カムは、地板とこの地板と対向する板部材との間で軸支され、
前記レバーは、前記レバーの回動軸となる軸部と、この軸部に設けられる板状の本体とを別体で有し、
前記軸部は、前記地板に軸支されて前記板部材に形成された軸孔から先端部が突出し、
前記本体は、前記板部材の前記地板とは反対側から前記軸部に取り付けられ、その一部が前記地板側に曲げられて前記板部材に形成された開口を貫通して前記カムに当接される
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1に記載の時計の表示装置において、
前記レバーを前記カムに当接された状態に付勢する付勢手段を備えている
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1または請求項2に記載の時計の表示装置において、
前記駆動車は、時針が取り付けられた筒車であり、
この筒車と前記従動車との間には、前記従動車を送る送り爪を有する中間車が設けられている
ことを特徴とする時計の表示装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の表示装置を備えた
ことを特徴とする時計。
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