JP2006169816A - 排水管路の構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 戸建て住宅等の建築物の各排水排出設備のトラップ封水が引き込まれて起こるトラップ破封を防止することができる排水管路の構造を提供する。
【解決手段】 排水立て管と下方の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、該エルボ継手の、立て管接続口奥部の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面に突起が突設され、該突起が立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度で止め壁内周面から突設された傾斜面を少なくとも一面以上有し、排水立て管を流下した排水の流れが該突起の傾斜面に沿った方向に変えられて排水横管に流入する
【選択図】 図2
【解決手段】 排水立て管と下方の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、該エルボ継手の、立て管接続口奥部の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面に突起が突設され、該突起が立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度で止め壁内周面から突設された傾斜面を少なくとも一面以上有し、排水立て管を流下した排水の流れが該突起の傾斜面に沿った方向に変えられて排水横管に流入する
【選択図】 図2
Description
本発明は、排水立て管と下方の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路、又は上方の排水横引き主管と排水立て管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造に関する。更に具体的には、建物排水が集合して流れる排水横引き主管と、該排水横引き主管の管底高さより低い位置にある排水桝の流入管接続口とを連絡する、クランク形排水管経路であって、該排水立て管と下方の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路、又は上方の排水横引き主管と排水立て管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造に関し、国小言に設けられている各種排水設備におけるトラップ封水の破封防止を行える住宅用排水管路の構成に関する。
従来、例えば戸建て住宅等建築物においては、各戸の台所やトイレ、洗面所などの水回り設備即ち排水器具から排水された排水は、それぞれの排水器具等に設けられているトラップを経て建物下層まで流下され、その後、建築物の床下に設けられた排水横引き主管を経由して排水横引き主管より低い位置にある排水桝に排水され、公共下水道等に排出されるようになっている。
しかしながら、近年では、宅地の狭小化に伴って、排水桝および排水横引き主管を埋設するスペースが狭められ、排水桝および排水横引き主管は建物の外周基礎と敷地境界との間に埋設されており、排水桝や排水本管の配管工事が困難になる傾向にある。
排水ヘッダーを用いれば、建物の外周基礎の外側に埋設される排水桝は一つですみ、狭小な敷地においても排水桝などを配設するスペースを確保でき、また、外周基礎に形成する排水横引き主管の貫通孔も一つですむため、基礎強度を確保することもできる。
ところで、一般に、建物内の排水設備から勢いよく排水されたり、大量に排水されたりすると、排水は、排水管内の空気をともに排水桝へ排出してしまうので、排水管路内が負圧になり、各排水設備に設けられているトラップ封水を引き込むといった封水障害が発生する。
かかる封水障害は、排水管や排水桝等の排水管路を、十分な容積を有するように大型とし、大量の排水が流れ込んでも圧力変動を吸収するように構成することで解消することができる。しかしながら、排水桝を大型化するといった解決手段は、排水の設置工事に手間がかかるため適当ではなく、前記のように近年の宅地事情によって狭小化した敷地内においては、排水管や排水桝を大型化することが物理的に困難であるので、排水管や排水桝を大型化することなく、かかる封水障害を解消することが求められる。
通常、戸建て住宅等の排水管路においては、排水管路の内部は大気に連通され、排水が流れる場合に空気供給又は空気排出が可能な状態とされている。特に、排水水量が少ない場合は、排水が流れる場合の排水管路内への空気供給又は空気排出が可能な状態が維持されている。
しかしながら、排水ヘッダーを用いた場合には、複数の器具から排水される状態であり、各戸毎の排水排出時間帯が重なって一度に大量の排水が流れると、排水は排水管路内面全面を水膜を張ったような状態で流れるようになる。この結果、排水管路に開口する各戸毎の横枝管の開口部が、この水膜によって塞がれた状態となって、横枝管と排水立て管との連通が遮断されてしまう。すると、排水管路内への空気の供給が不十分となって排水管内が負圧になり、各戸の排水器具に設けられたトラップが破封するという事態が発生する。
このようなトラップの破封を防止するためには、排水水量が増加しても排水管路内に空気が供給又は排出されるようにすれば良い。例えば、略L字形の屈曲形状を有し、上流側受け口に、管軸に沿って大気に連通した空気芯が形成される排水立て管が接続され、下流側受け口に排水横主管が接続される排水管継手であって、屈曲部の上流側であって、管軸回りについて屈曲内側となる部位に、流下する水膜を流下方向左右に分岐して前記横主管内を前記空気芯に連通した状態に維持するための突起を設けた構成とした排水管継手が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
上記特許文献1の排水管継手は立て管を流下してきた排水を横主管に導く排水管継手であり、排水立て管から流下した立て管排水の水膜は、突起によって流下方向左右に分岐されて、該突起の下流側に水膜が形成されない範囲が形成され、該範囲を経て排水立て管の空気芯と排水横主管内の空間部との連通状態が維持され、これにより該排水横主管内を大気圧に維持することができるという効果がある。
特開2001−355260号公報 請求項1、図1〜図8
しかしながら、上記特許文献1の排水管継手においては、突起は屈曲部内面の屈曲内側に設けられている。従って、この排水管継手は、屈曲部の長さが長いいわゆるロングエルボであり、この排水管継手を用いるためには、長い屈曲部が配置できるだけの高さと長さが必要となる。
一方、戸建て住宅では、排水桝は排水横引き主管より低い位置にあるので、排水横引き主管から排水桝に到る排水管経路は、通常はクランク形状に曲げられた経路とされる。また、排水の水量は、特に排水ヘッダーを用いると、排水排出設備の同時使用により一時的に大水量となることがある。大量の排水が流れると、クランク形状の立て管下部から排水桝への下方横管に流れる排水は、下方横管の断面全体に拡がって流れるため横管断面を封鎖する結果となり、排水が滞留してスムースな排水流れが阻害されてしまう。
又、一般的に屋内外の配管高低差が小さい場合が多く、敷地も狭小地であると排水配管設置のために必要な高さや基礎と排水桝との間隔が十分に取れない場合も多く、屈曲部が短いいわゆるショートエルボが用いられる場合がある。しかしながら、ショートエルボにおいては、排水横管の天端位置と排水立て管の下端面位置とは近接しているので、排水管継手の屈曲内側には上記突起を設けることができないという問題点がある。従って、ショートエルボを用いなければならないような場合では、上記特許文献1記載の排水管継手を適用することができず、トラップ破封を防止することができないという問題点がある。
排水は、排水横引き主管が下方向へクランク形状に曲げられることによって流れが乱れる上に立て管内を落下の加速度が加わり、さらに水平方向へ管路が戻された時に急激な減速と流れの乱れによりる滞留が発生する。その上、立て管の管壁に沿って流下してくる排水がカーテン状に下方のエルボ継手の流出口に被さってくるために、滞留した排水がエルボ継手から排出されることを妨げ、エルボ継手内が排水で満たされることで自己サイホン現象によるトラップ封水の破封が発生するという問題点がある。
本発明は、戸建て住宅等の建築物の排水横引き主管と排水立て管と排水横管をショートエルボを用いてクランク形状の排水管路として構成し、排水を排水横管に接続されてる排水桝に導く場合でも、排水横主管から排水立て管への排水の流れ、または排水立て管から排水横管への流れをスムーズにすることにより、各排水排出設備のトラップ封水が引き込まれて起こるトラップ破封を防止することができる排水管路の構造を提供する目的で成されたものである。
請求項1記載の排水管路の構造(発明1)は、排水立て管と下方の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、該エルボ継手の、立て管接続口の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面に突起が突設され、該突起が立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度の傾斜面を少なくとも一面以上有し、排水立て管を流下した排水の流れが該突起の傾斜面に沿った方向に変えられて排水横管に流入することを特徴とする。
請求項2記載の排水管路の構造(発明2)は、上方の排水横引き主管と排水立て管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、該立て管内周面の、エルボ継手の屈曲外側方向でかつ排水横引き主管の管底高さより20mm以上低い位置に排水案内リブが突設され、該排水案内リブが立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度の傾斜面とされ、排水立て管に流入する排水の流れが該排水案内リブに沿った方向に変えられて排水立て管に流下することを特徴とする。
請求項3記載の排水管路の構造(発明3)は、排水立て管の下端部で、該立て管と立て管より小径の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、上記エルボ継手の排水横管接続口に挿入された排水横管の挿入側先端面が、排水横管接続口が開口されているエルボ継手の内壁面から、立て管内面の延長面よりも1.5mm以上エルボ継手内部側に突出され、排水立て管を流下した排水の流れが排水横管の上側外周面に沿った方向に変えられて排水横管に流入することを特徴とする。
発明1から発明3においては、排水ヘッダーの排出側から出た排水横引き主管、上方エルボ継手、立て管、下方エルボ継手、排水横管がこの順に接続され、排水横管は排水桝の流入孔に接続されている。排水横引き主管、上方エルボ継手、立て管、下方エルボ継手またはエルボ継手、排水横管は、その材質はいずれも限定されないが、耐食性、耐震性、汚水流下性能等から、一般的には合成樹脂、例えば一例として、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂類;ステンレススチール、内面に上記合成樹脂類をライニング若しくは防食塗料を塗布した鉄等の防食金属管類;繊維補強熱硬化性及び/又は繊維強化熱可塑性樹脂類やこれらに充填材を併用した複合樹脂管等が挙げられる。
発明1の排水管路に用いられているエルボ継手は、上記排水立て管と下方の排水横管とを接続する下方エルボ継手が、排水横引き主管接続口の直下に立て管接続口が設けられている、いわゆるショートエルボ継手である。ショートエルボでは、屈曲部の背側曲がり面の中心位置が両管接続口の継手腹側の交点近傍にあり、立て管接続口奥部の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面に突起が突設されている。
該突起は、立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度で止め壁内周面から突設された傾斜面を少なくとも一面以上有している。従って、管接続口に接続された排水立て管を流下した排水の流れは、該突起の傾斜面に衝突して、その流れを傾斜面に沿った方向に変えられて排水横管に流入する。従って突起の下方には排水が流れない個所ができる。
突起は、立て管を流下する排水流れを分水させることができる高さに突設されれば良く、エルボ継手のサイズにより適宜選択して決められれば良い。通常、その突出高さは、5mm〜20mm程度とされることが多い。5mmより低ければ充分な分水が行われず、また分水後直ぐに分水した排水流が合流してしまう可能性があり、エルボ継手の排出口に排水が滞留してしまう恐れがある。また20mmより高ければ、排水中に混入する異物等が掛かり、排水流が阻害される恐れがある。
突起には、排水を分水させなおスムースな流れを確保するために傾斜面が設けられ、その傾斜面に沿って水が流れるようにされている。傾斜面の角度は立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度とされる。20度より小さければ排水が充分に分水されず、70度より大きければ排水の流下抵抗が大きくなってスムースな排水流れが阻害される。
傾斜面の数は、一面ないし二面とされる。一面であれば排水は1方向にのみ分水され、二面であれば2方向に分水される。三面以上あっても良いが、突起が有する分水の効果はそれほど大きくならない。二面である場合、その二面で構成される稜線の角は、鋭いエッジとされていても曲面で丸められていても良く、更に部分的な平面とされて突起の断面形状が台形形状とされていても良い。
傾斜面の幅は、最初に排水は当たる上方が狭く、下方即ち継手中央方向に掛けて広い末広がりの形状とされていても良い。末広がり形状の場合は、分水された排水が、突起から横方向に広がりながら流れるので、再び集合してしまう可能性が少なくなる
傾斜面の、排水流れ方向に沿った長さは10mm以上が必要である。10mmより短かければ、分水した排水が再び集合してしまう可能性が大きくなる。しかしながら長すぎると排水のスムースな流れを阻害し、また排水中の異物が掛かる恐れがあるので、エルボ継手のサイズによって適宜選ばれれば良く、通常は25mm以下程度とされることが多い。
長さが長い場合、突起の上端部は管接続口側に伸びて設けられることになる。この場合では、突起と管接続口の内面との間には隙間ができ、その隙間に立て管の管壁が挿通されることになる。
突起の取り付け位置は、エルボ継手の立て管接続口奥部の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面とされている。従って、立て管を流れてきた排水の流れはこの突起に当たる。しかしながらエルボ継手は2つの管接続口を備えており、いずれの管接続口に立て管又は横管が接続されても良い。それ故、エルボ継手が同径管同士を接続するものであれば、いずれの管接続口奥部の管過挿入止め壁の腹側に取り付けられていても良く、両方に取り付けられていても良い。
突起は、エルボ継手と同じ材質であっても異なる材質であっても良い。例えば、エルボ継手が塩化ビニル樹脂等であれば、エルボ本体の製造時に同時成型して一体として製造されても良く、又は接着や溶接等で取り付けられても良い。突起がステンレススチール等エルボ継手と異なる材質であれば、接着取り付け又はボルト取り付け等でも良い。
発明2においては、立て管の、エルボ継手の屈曲外側方向の内周面の排水横引き主管の管底高さより20mm以上低い位置に、高さ5mm〜20mmの排水案内リブが突設されている。
該排水案内リブの取り付け位置は、リブ上端部が排水横引き主管の管底高さより20mm以上低い位置とされる。排水横引き主管を流れてきた排水は上部エルボ継手の立て管接続口部で多少下方に落下しながら立て管内に流入していく。この時、排水の落下距離は、エルボ継手のサイズや排水の水量によって異なるが、下方エルボ継手部で排水の滞留が発生する程度の排水量の場合では、上方エルボ継手の背側位置において、排水横引き主管の管底高さから約10〜20mm程度となる。従ってこの位置より低い位置にリブを設けると、排水の流れは確実にリブに衝突する。
リブは、立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度で、管内周面から突設された傾斜面とされている。従って、排水立て管に流入し立て管管壁に沿って流下する排水は、該リブに衝突してその流れをリブに沿った方向に変えられて螺旋を描くように立て管内を流下する。従ってリブの下方は排水が流れない個所ができ、整流された排水が下方の排水横管に流れ込む時に、空気の流通が確保されるのでスムースな排水流れとなり、排水横管の開口部口付近で排水が滞留しない。
排水案内リブは、立て管に流入し立て管内を流下する排水流れを変えることができる高さに突設されれば良く、立て管のサイズにより適宜選択して決められれば良い。通常、その突出高さは、5mm〜20mm程度とされることが多い。5mmより低ければ充分な整流が行われず、また整流後直ぐに整流した排水流が乱れてしまう可能性があり、排水横管の開口部付近に排水が滞留してしまう恐れがある。また20mmより高ければ、排水中に混入する異物等が掛かり、排水流が阻害される恐れがある。
リブは一面の傾斜面で構成される。一面であれば排水は1方向にのみ変えられて螺旋状流れとなるので、排水は立て管中をスムースに流下する。但し、場合によっては、傾斜面は二面以上であっても良い。しかしながら、二面であれば、排水の水量が多い場合では、2方向に分水される管内を流下する時に分水した排水が再び集合してしまうことが起こる可能性が大きい。三面以上あっても良いが、突起が有する分水の効果はそれほど大きくならない。二面である場合、その二面で構成される稜線の角は、鋭いエッジとされていても曲面で丸められていても良く、更に部分的な平面とされて突起の断面形状が台形形状とされていても良い。
傾斜面の幅は、最初に排水は当たる上方が狭く、下方即ち継手中央方向に掛けて広い末広がりの形状とされていても良い。末広がり形状の場合は、整流された排水が突起から横方向に広がりながら流れるので、整流された状態が乱れたり分流した排水が再び集合してしまう可能性が少なくなる
傾斜面の、排水流れ方向に沿った長さは10mm以上が必要である。10mmより短かければ、整流された状態が乱れたり分流した排水が再び集合してしまう可能性が大きくなる。しかしながら、長すぎると排水のスムースな流れを阻害し、また排水中の異物が掛かる恐れがあるので、エルボ継手のサイズによって適宜選ばれれば良く、通常は25mm以下程度とされることが多い。
傾斜面が一面の場合は、立て管を管内周面に螺旋凸条が設けられた内面螺旋管としても良い。この場合は、螺旋凸条の螺旋の方向と傾斜面の傾斜方向とが一致するようにする。又、螺旋の角度も傾斜面の角度と一致するようにされていると良い。
リブは、立て管と同じ材質であっても異なる材質であっても良い。例えば、立て管が塩化ビニル樹脂等であれば、立て管の製造時に同時成型して一体として製造されても良く、又は接着や溶接等で取り付けられても良い。突起がステンレススチール等立て管と異なる材質であれば、接着取り付け又はボルト取り付け等でも良い。
発明3は、排水横管が立て管より小径である場合、例えば、排水横引き主管より太い立て管を経由して排水横引き主管と同径の排水横管が接続される場合等に適用される排水管路である。立て管のみを太くするのは、立て管内を流下する排水によって排水管路内の空気が封鎖され排水上流側が陰圧になることを防止するためである。
この排水管路においては、排水立て管の下端部で該立て管と立て管より小径の排水横管とがエルボ継手で接続され、排水横管の管底がエルボ継手の底面と一致するようにされる。エルボ継手は、エルボ継手の上方が排水立て管接続口とされ、下方が該排水立て管より小径の排水横管接続口が設けられている。排水横管接続口は排水横管が挿入接続される管受け口構造とされ、しかも挿入時に過挿入止め壁が設けられていない構造とされる。従って排水横管は、その挿入先端が任意の長さでエルボ継手内部に挿入可能とされている。
エルボ継手としては、異径管接続エルボ継手や、通常の同型管接続エルボ継手に小径管接続用偏芯ブッシングが装着されて用いられても良い。偏芯ブッシングは、エルボ継手に接続される管が継手の接続口の口径よりも小径である場合に、エルボ継手の管接続口に装着されて用いられるアダプターである。即ち、外周面がエルボ継手の管接続口に挿入され、小口径の排水横引管を接続する管接続口がアダプター外周面に接する位置に開口されている、円板形状のアダプターである。排水横管を接続する管接続口がアダプター外周面に接する位置に開口されているので、エルボ継手の管接続口と排水横管の管接続口とが互いの軸芯同士がずれて配置され、かつ排水横管の管底はが管接続口の底面と一致するようにされる。
上記排水横管接続口に挿入接続された、立て管より小径の排水横管の挿入側先端面は、排水横管接続口が開口されているエルボ継手の内壁面から、立て管内面の延長面よりも1.5mm以上エルボ継手内部側に突出されている。
それ故、立て管内を管壁に沿って流下してきた排水は、エルボ継手内側に突出している排水横管の天端外側面に衝突し、排水横管の端部外周面に沿って分水される。従って、突出長さは1.5mm以上が必要であり、これ以上であれば横排水管の開口部には、立て管を流下してきた排水が水膜状態として被さらないので、排水横管と立て管との空気通路が確保され、従ってトラップ封水の破れが起こらない。
しかしながら、長すぎても排水流れを阻害するのみならず、エルボ継手内部に突出した排水横管の外周下面とエルボ継手底面の内周面との間にできる隙間が排水の滞留個所になったり、異物が溜まってしてしまう恐れがあるので、エルボ継手のサイズによって適宜選択して決められれば良い。通常は10mm以内とされる場合が多い。
本発明においては、エルボ継手の立て管接続口の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面に突起が突設され、該突起が立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度の傾斜面を少なくとも一面以上有し、排水立て管を流下した排水の流れが該突起の傾斜面に沿った方向に変えられて排水横管の外周面に当たり、更に該外周面に沿った方向に変えられて排水横管に流入するようにされていても良い。
上記エルボ継手の立て管接続口の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面に突設される突起は、稜線が曲面又は直線状の断面略三角形状であり、その稜線が立て管の管軸側で且つ管軸と略平行とされ、かつエルボ継手の立て管接続口に立て管が接続可能となるように固定されている。
従って、立て管内を管壁に沿って流れてきた排水は、突起に当たって流れを分水され、分水された後更に下方の排水横管の外周面に当たって排水横管内に流入していく。即ち、この突起は発明1の突起と同様の機能を有するものであり、同様の構造であって良い。突起を用いる場合は、排水横管のエルボ継手内側への突出長さは、1.5mm未満とされていても良い。
突起の取り付け位置は、エルボ継手の立て管接続口奥部の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面とされている。突起取り付け位置では、突起と立て管接続口内周面との間には隙間が設けられて、その隙間に立て管の管壁が挿通され、立て管が管接続口に接続される。排水横管はエルボ継手の下方管接続口に接続される。
突起は、エルボ継手と同じ材質であっても異なる材質であっても良い。例えば、エルボ継手が塩化ビニル樹脂等であれば、エルボ継手の製造時に同時成型して一体として製造されても良く、又は接着や溶接等で取り付けられても良い。突起がステンレススチール等エルボ継手と異なる材質であれば、接着取り付け又はボルト取り付け等でも良い。
突起の稜線の高さは、エルボ継手のサイズにより適宜選択して決められれば良い。通常、その突出高さは、1.5mm以上とされている。1.5mm以上であれば、立て管を流下してきた排水の流れが確実に分水される。しかしながら、高すぎても排水中の異物が掛かったりして排水の流れを阻害するので、通常は20mm以内とされることが多い。
突起には、排水を分水させなおスムースな流れを確保するために傾斜面が設けられ、その傾斜面に沿って水が流れるようにされている。傾斜面の角度は立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度とされる。20度より小さければ排水が充分に分水されず、70度より大きければ排水の流下抵抗が大きくなってスムースな排水流れが阻害される。
傾斜面の数は、一面ないし二面とされる。一面であれば排水は1方向にのみ分水され、二面であれば2方向に分水される。三面以上あっても良いが、突起が有する分水の効果はそれほど大きくならない。二面である場合、その二面で構成される稜線の角は、鋭いエッジとされていても曲面で丸められていても良く、更に部分的な平面とされて突起の断面形状が台形形状とされていても良い。
傾斜面の幅は、最初に排水は当たる上方が狭く、下方即ちエルボ継手中央方向に掛けて広い末広がりの形状とされていても良い。末広がり形状の場合は、分水された排水が、突起から横方向に広がりながら流れるので、再び集合してしまう可能性が少なくなる
傾斜面の、排水流れ方向に沿った長さは10mm以上が必要である。10mmより短かければ、分水した排水が再び集合してしまう可能性が大きくなる。しかしながら長すぎると排水のスムースな流れを阻害し、また排水中の異物が掛かる恐れがあるので、エルボ継手のサイズによって適宜選ばれれば良く、通常は25mm以下程度とされることが多い。
長さが長い場合、突起の上端部は管接続口側に伸びて設けられることになる。従って、この場合では突起と管接続口の内面との間には隙間ができ、その隙間に立て管の管壁が挿通されることになる。
この場合では、排水横管の上方に突起が設けられているので、立て管を流れてきた排水は突起で分水され、更に排水横管の外周面に沿って流れが変えられて排水横管に流入するので、排水横管の継手内側への突出長さが少なくても、より排水横管の開口部に水膜ができずトラップ破封が防止できるのである。
発明1においては、突起は、下方エルボ継手の継手腹側内壁面を流れる排水の流れ方向を変えるガイドとして機能する。下方エルボ継手の腹側を流れる排水の流れ方向を変えることによって、下方エルボ継手の排水流出口における部分的な排水の滞留を解消して通気路を確保すると同時に、立て管の管壁を流下してくる排水を分散させることによって、下方エルボ継手からの流出をスムーズにすることにより、トラップ封水が引き込まれて起こるトラップ破封を防止することができる。
更に、突起が継手軸方向から20度〜70度の傾斜面を少なくとも一面以上有しているので、傾斜面によって水の流れ方向が効果的に変えられるので、確実にトラップ破封が防止できる。
発明2では、立て管のエルボ継手の屈曲外側方向の内周面に、横引き主管の管底高さより20mm以上低い位置にリブが突設され、リブが継手軸方向から20度〜70度の傾斜面とされているので、排水横引き主管から立て管に流入した排水は、そのリブで流れ方向を変えられ、リブの下方に螺旋状態となって流れていく。従って、下方の排水横管の開口部に排水の滞留が起こり難くく、トラップ破封が防止できる。
発明3においては、立て管が太く、下方に接続される排水横管が小口径である場合において、排水横管が下方のエルボ継手に接続され、かつ排水横管の管端面を継手内側に1.5mm以上突出させるので、立て管を流れてきた排水流れは、排水横管の外周面に当たって分水され、排水横管の開口部に水膜を作らないので、トラップ破封が防止できる。
次に、図面を参照して本発明を説明する。
図1に示されるように、建築物からの排水は排水ヘッダーで纏められて排水横引き主管1から建物外の排水桝6に導かれて、公共下水道等に排水されている。建築物から排水桝までの排水管路Rは、建物基礎Bの外部土中で、上方エルボ継手2、立て管3、下方エルボ継手4、排水横管5から構成され、排水横管5が排水桝6に接続されている。
発明1においては、図2〜図4に示されるように、突起7が、下方エルボ継手4の奥部に設けられる管過挿入止め壁側面41の、下方エルボ継手4の腹側に固定されている。突起7は、立て管3を流れてきた排水を分流して下方に流すための傾斜面71が設けられている。傾斜面71は1面または2面以上とされる。従って、立て管3を流れてきた排水は、傾斜面71によって1方向に整流または2方向に分流される。整流または分流された排水は水膜を構成しないので、下方の排水横管5の開口部で水膜ができず、従って排水は滞留することなくスムースに排水横管5内に流れる。
なお、突起7が長くて立て管接続口部にまで伸びていても、突起7の固定面72が管過挿入止め壁41の継手内側面であるので、管接続口の内周面と突起7との間には隙間が残り、その隙間に立て管7が挿入されるので、立て管3と下方エルボ継手4との接続に支障は起きない。
図5に、突起7の形状の一例を示す。いずれも固定面72で下方エルボ継手4との固定され、傾斜面71が立て管の管軸と20度〜70度の角度になるようにされ、突出高さ(固定面72から継手4内側向きの高さ)の最大高さが、所定の高さの範囲となるようにされている。傾斜面は図5(a)、同(b)、同(e)のように1面だけであっても、それ以外の図のように2面であっても良い。また傾斜面が2面の場合は、その面同士がなす稜線が同(c)、同(g)、同(j)、同(i)のように直線状であっても、同(b)、同(d)のように曲腺状であっても良い。最初に排水が接触する上面は、同(f)、同(g)、同(h)のように平面であっても、同(b)、同(d)、同(j)のように曲面であっても良い。更に、同(i)、同(j)のように上方の断面積が小さく、下方の断面が上方の断面と相似形で、かつ断面積が大きい錐形状とされていても良い。いずれの形状であっても、排水流れは、整流または分流されて下方の排水横管に流れ込む。
発明2の排水管路Rの一例を図6〜図7に示す。図6〜図7は、リブ8を設けられた立て管3部の一例である。立て管3の、上方エルボ継手2の屈曲外側方向の内周面に、横引き主管1の管底高さより20mm以上低い位置(h)に、高さ5mm〜20mmのリブ8が突設されている。リブは立て管の管軸と20度〜70度の傾斜面71を持つものとされる。
排水横引き主管1から上方エルボ継手2を経由して立て管3に流れ込んだ排水は、落下距離がh未満だけ落下しながら立て管3の管壁に当たり、管壁に沿って流下する。流下する排水はリブ7の傾斜面71によって流れの方向が変えられ、螺旋を描くように整流されて立て管3内を流下する。従って、下方の排水横管の開口部で水膜ができず、排水はスムースに排水横管内に流れ込む。
リブの傾斜面は1面とされ、例えば図5(a)、同(b)、同(e)等が挙げられ、本例で提示したものは、同(e)に示される板形状のものである。傾斜面数を複数とする場合は、図5中のその他の形状とすれば良い。
発明3の排水管路の一例を図8以降に示す。本例においては、エルボ継手として同径管接続用のエルボ継手の下方の排水横管接続口内に偏芯ブッシングを装着して用いる場合で説明する。その他の継手の方法であっても、本説明と同様に排水横管の先端面を、エルボ継手またはエルボ継手内に突出するように接続すれば同様の効果が得られるので、特に例示して説明はしない。
図8において、立て管3は排水横引き主管1及び排水横管5より太い管とされている。下方エルボ継手4は両方の管接続口が同径の下方エルボ継手4である。それゆえ、排水横管5は、偏芯ブッシング9を介して下方エルボ継手4と接続される。偏芯ブッシング9の外周面は下方エルボ継手4の管接続口に装着固定され、偏芯位置にある小口径管接続口91は、下方エルボ継手4の底面位置になるようにされ、小口径管接続口の端面が立て管の管壁面の延長線と略一致するようにされている。
小口径管接続口91には排水横管5が挿入され、排水横管5の先端面51が小口径管接続口91の面から下方エルボ継手4の奥側に、約1.5mm以上突設されている。従って、立て管3の管壁を伝って流下してきた排水流れは、排水横管5の天端部外周面に当たって分水され、排水横管5の開口部に水膜を作らないので、トラップ破封が防止できる。
図9、図10は、発明3の別の一例を示す。偏芯ブッシング9の小口径管接続口91に挿入された排水横管5の上方の、
下方エルボ継手4の立て管接続口4の立て管過挿入止め壁41の屈曲側内周面に、突起10が突設されている。該突起10は立て管3の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度の傾斜面を少なくとも一面以上有している。この突起は、発明1の突起と同じ作用を奏するものである。
下方エルボ継手4の立て管接続口4の立て管過挿入止め壁41の屈曲側内周面に、突起10が突設されている。該突起10は立て管3の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度の傾斜面を少なくとも一面以上有している。この突起は、発明1の突起と同じ作用を奏するものである。
なお、突起10の下方エルボ継手4への取り付け位置や取り付け方法等は、発明1における突起7の取り付け位置や取り付け方法と同様であるから、改めて説明はしない。
1 排水横引き主管
2 上方エルボ継手
3 立て管
4 下方エルボ継手
41 管過挿入止め壁
5 排水横管
51 排水横管の先端面
6 排水桝
7 突起
71 傾斜面
72 突起の固定面
8 リブ
9 偏芯ブッシング
91 小口径管接続口
10 突起
R 排水管路
B 建築物基礎
2 上方エルボ継手
3 立て管
4 下方エルボ継手
41 管過挿入止め壁
5 排水横管
51 排水横管の先端面
6 排水桝
7 突起
71 傾斜面
72 突起の固定面
8 リブ
9 偏芯ブッシング
91 小口径管接続口
10 突起
R 排水管路
B 建築物基礎
Claims (3)
- 排水立て管と下方の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、該エルボ継手の、立て管接続口の立て管過挿入止め壁の屈曲側内周面に突起が突設され、該突起が立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度の傾斜面を少なくとも一面以上有し、排水立て管を流下した排水の流れが該突起の傾斜面に沿った方向に変えられて排水横管に流入することを特徴とする排水管路の構造。
- 上方の排水横引き主管と排水立て管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、該立て管内周面の、エルボ継手の屈曲外側方向でかつ排水横引き主管の管底高さより20mm以上低い位置に排水案内リブが突設され、該排水案内リブが立て管の管軸方向から20度〜70度の傾斜角度の傾斜面とされ、排水立て管に流入する排水の流れが該排水案内リブに沿った方向に変えられて排水立て管に流下することを特徴とする排水管路の構造。
- 排水立て管の下端部で、該立て管と立て管より小径の排水横管とがエルボ継手で接続されている排水管路の構造であって、上記エルボ継手の排水横管接続口に挿入された排水横管の挿入側先端面が、排水横管接続口が開口されているエルボ継手の内壁面から、立て管内面の延長面よりも1.5mm以上エルボ継手内部側に突出され、排水立て管を流下した排水の流れが排水横管の上側外周面に沿った方向に変えられて排水横管に流入することを特徴とする排水管路の構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004363511A JP2006169816A (ja) | 2004-12-15 | 2004-12-15 | 排水管路の構造 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009144480A (ja) * | 2007-12-18 | 2009-07-02 | Sekisui Chem Co Ltd | 脚部継手及びこの脚部継手を用いた排水システム |
WO2024071124A1 (ja) * | 2022-09-27 | 2024-04-04 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 配管システム |
-
2004
- 2004-12-15 JP JP2004363511A patent/JP2006169816A/ja active Pending
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