JP2006169719A - 水平免震装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 戸建住宅等の軽量建物における水平方向の振動に対して建物の固有周期を長くすることができるとともに座屈にも強く、かつ製造コストが安価な免震装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 免震対象物と支持構造物との間に配置された積層ゴムと、前記免震対象物が受ける振動を慣性質量に変換し、免震対象物の運動に対して慣性質量を付加する質量付加機構とを有し、前記質量付加機構は、前記免震対象物が受ける振動に連動し水平方向に移動可能な水平移動部と、水平方向に延在する棒状部材とを有し、前記水平移動部は前記棒状部材に係合され、前記水平移動部の水平移動に伴って前記棒状部材が自転することによって慣性質量が発生することを特徴とする。また、前記積層ゴムの剛性は、前記免震対象物が水平方向の振動を受けた場合に前記積層ゴムが座屈しないために必要となる座屈限界剛性値以上であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、構造物、特には、戸建住宅等の軽量な建物を地震等の横揺れから保護する水平免震装置に関する。
構造物を免震するにあたって、構造物の振動の固有周期を長くすることが有効である。これは、構造物の固有周期を長くすることによって、地震の揺れに対し構造物の振動が追従しなくなるためである。
ここで、構造物の固有周期Tは、構造物の質量をM、構造物の剛性をKとすると下記式(1)によって表される。
Figure 2006169719
したがって、(1)式からわかるように、構造物の固有周期を長くするには、構造物の質量Mを大きくするか、又は構造物の剛性Kを小さくすることが必要である。
特許文献1には、免震対象構造物の地震の縦揺れによる上下振動を長周期化させることを目的とし、免震対象構造物の上下動に連動することで上下振動に関与する慣性質量を増加させる質量付加機構を設け、上下振動に関与する見かけ上の質量を増加させる上下免震装置に関する発明が開示されている。このように、特許文献1に記載の発明は、構造物の上下振動のみを対象とする免震装置である。
構造物が水平方向の振動を受けた場合には、免震装置が左右に振られるため座屈という大きな問題があるが、特許文献1においては、座屈については言及していない。
水平方向の振動に対する免震装置としては、一般的に、平板状のゴム板と金属板とを交互に積層し一体化させた積層ゴムが使用されている。この積層ゴムはビル等の大型重量建物を免震するために使用されるのが一般的である。これは、免震対象物が大型重量建物の場合には、(1)式からわかるように建物の固有周期を十分長く設定しても、建物の重量が重いため、積層ゴムの剛性は高いものとなり、積層ゴムの形状を、横方向の寸法が長い、すなわち座屈し難い扁平な形状とすることが可能となるためである。
これに対して、戸建住宅のような軽量建物に積層ゴムを使用する場合において、建物の固有周囲を長くするためには、建物重量が軽いために剛性を低くする必要があり、積層ゴムの形状は、横方向の寸法が短い、すなわち縦に長い形状となる。したがって、このような剛性の低い細長い積層ゴムを使用する場合、免震対象物が水平方向の強い振動を受けたときには、積層ゴムが座屈するおそれがある。
そこで、軽量建物に積層ゴムを使用する場合の対策として、免震対象物の荷重を支持する部分には滑り支承を使用し、積層ゴムは周期調整のため、すなわち復元ゴムとして使用するシステム等が開発されてきた(例えば、特許文献2,3)。しかし、このような免震装置は複雑であり、戸建住宅のような軽量建物を対象とする免震装置としては、製造コストは高価なものとなっている。
特開2004−44748 特開2003−301625 特開平11−210823
このように、積層ゴムは大型重量建物の免震に使用する場合には効果があるのに対して、軽量建物の免震に使用する場合には、免震対象物を長周期にさせるために積層ゴムの剛性を低くする必要があり、その場合、積層ゴムの座屈や装置全体の製造コストの問題がある。
本発明は、以上の従来技術における問題点に鑑み、戸建住宅等の軽量建物における水平方向の振動に対して建物の固有周期を長くすることができるとともに座屈にも強く、かつ製造コストが安価な免震装置を提供することを目的とする。
本発明に係る水平免震装置は、免震対象物と支持構造物との間に配置された積層ゴムと、前記免震対象物が受ける振動を慣性質量に変換し、免震対象物の運動に対して慣性質量を付加する質量付加機構とを有し、前記質量付加機構は、前記免震対象物が受ける振動に連動し水平方向に移動可能な水平移動部と、水平方向に延在する棒状部材とを有し、前記水平移動部は前記棒状部材に係合され、前記水平移動部の水平移動に伴って前記棒状部材が自転することによって慣性質量が発生することを特徴とする。
このように、水平移動部は免震対象物に連動して水平方向に移動し、かつ棒状部材は水平方向に延在しているため、水平移動部は、棒状部材の軸方向に沿って移動することなる。これにより、棒状部材が自転し、その自転による回転加速度によって慣性質量が発生する。
つまり、本発明に係る水平免震装置は、免震対象物が水平方向の振動を受けた場合に、その振動を慣性質量に変換し、その慣性質量は、免震装置の鉛直方向の運動に対してではなく、免震対象物の水平方向の運動に対してのみ付加される機能を有するものである。
したがって、本発明によれば、座屈のおそれがない剛性の高い積層ゴムを使用した場合でも、免震対象物の固有周期を十分長くすることが可能となる。
また、本発明に係る水平免震装置は、前記積層ゴムはゴム板と金属板とを交互に積層し一体化させてなり、ゴム板の直径をD、ゴム板の総厚さをtとした場合にD/t≧5に設定されてなることを特徴とする。ここで、ゴム板の総厚さtとは、内部金属板を除いたゴム板のみの総厚さである。
積層ゴムの形状は、D/tの値が大きければ扁平な形状となり、D/tの値が小さければ細長い形状となる。一般的に、D/tの値が5以上の場合には、積層ゴムの座屈の問題はなく、積層ゴムの座屈の検討を要しない。
したがって、本発明に使用される積層ゴムは、座屈のおそれのないものである。
また、本発明に係る水平免震装置は、前記積層ゴムの剛性は前記免震対象物が水平方向の振動を受けた場合に前記積層ゴムが座屈しないために必要となる座屈限界剛性値以上であることを特徴とする。座屈限界剛性値とは、積層ゴムが水平方向の振動を受けた場合に座屈しないための最低の剛性値であり以下のように求めることができる。
免震対象物の目標固有周期をT、積層ゴムのせん断弾性係数をG、積層ゴムの面圧をσd、二次形状係数をS、重力加速度をgとした場合に、積層ゴムの支持重量Wは以下の(イ)式によって算出され、積層ゴムの前記座屈限界剛性値Kminは(イ)式にてS=5として算出された積層ゴムの前記支持重量Wを用いて、以下の(ロ)式によって設定される。
なお、積層ゴムのせん断弾性係数G、及び積層ゴムの面圧σdは、使用するゴムの材料によって決まる値である。
Figure 2006169719
Figure 2006169719
このように本発明は、座屈のおそれのない剛性の高い積層ゴムを用いることを特徴とする。そして、免震対象物の固有周期は、免震対象物が受ける水平方向の振動を慣性質量に変換し、免震対象物の水平方向の運動に対して慣性質量を付加させる機能を有する質量付加機構を用いることによって調整するものである。
したがって、本発明は、免震対象物が水平方向の振動を受けた場合に、座屈に強く、かつ免震対象物の固有周期が長いという優れた効果を奏する。
また、本発明に係る水平免震装置は、前記免震対象物が戸建住宅であることを特徴とし、さらには、前記戸建住宅が鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造、又は木造であることを特徴とする。
ここで、本発明における戸建住宅とは、集合住宅ではなく、1戸ごとに独立して建てられた住宅と定義され、具体的には、投影床面積が200m程度以下であり、3階建て以下の住宅をいう。
このように、本発明は、免震対象物が鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造、又は木造の戸建住宅、つまり軽量建物であり、その軽量建物に対して座屈を防止する剛性の高い積層ゴムを使用するものである。つまり本発明は、軽量建物の免震において、従来は固有周期を長くすることができないという理由から使用できなかった剛性の高い積層ゴムを敢えて使用することによって座屈を防止することを特徴とするものである。そして、軽量建物の固有周期は、免震対象物が受ける水平方向の振動を慣性質量に変換する質量付加機構を用いることによって調整する。
免震対象物が戸建住宅でない場合、つまり投影床面積が200mを越える建物や、3階建てを越える建物の場合を考えてみると、建物の重量が重いため、剛性の高い積層ゴムを使用した場合でも、質量付加機構を用いなくとも建物の固有周囲は十分長いものとなる。かつ剛性の高い積層ゴムを使用しているため座屈のおそれもない。以上のように、本発明は、免震対象物が軽量建物の場合に特に優れた効果を奏するものである。
また、本発明に係る水平免震装置は、前記棒状部材に所定の質量を有する質量体が設けられ、前記質量体の回転加速度によって免震対象物の運動に対して慣性質量が付加されることを特徴とする。
本発明によれば、棒状部材の自転による回転加速度だけではなく、質量体の回転加速度によっても慣性質量を発生させることができるため、質量体の質量を任意に設定することにより免震対象物の固有周期を調整することが可能となる。
また、本発明に係る水平免震装置は、前記棒状部材はボールねじであり、前記水平移動部がボールねじナットを介して前記ボールねじに係合されてなることを特徴とする。
また、本発明に係る水平免震装置は、前記質量付加機構を二以上有し、前記質量付加機構におけるそれぞれの前記ボールねじはそれぞれの軸が平行となるように配置され、前記質量付加機構におけるそれぞれの前記水平移動部は接続部材を介して連結され、前記接続部材には鉛直方向に貫通孔が設けられ、前記免震対象物に連結された固定部が前記貫通孔を挿通して配置されることを特徴とする。
本発明によれば、免震装置が水平方向の振動を受けた場合は、水平移動部は免震対象物に固定された固定部に伴って水平運動し、その水平運動がボールねじナットを介してボールねじの回転運動に変換され慣性質量が発生する。
なお、二の本水平免震装置を備えるように構成し、それぞれの水平免震装置をそれぞれの接続部材が垂直に交差するように配置し、かつ固定部を双方の接続部材の貫通孔を挿通するように配置すれば、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動の全てを水平二方向(xy方向)に分解することができ、水平全方向の振動をボールねじの回転運動に変換することが可能となる。
また、本発明に係る免震装置は、前記ボールねじを支持する軸受と、水平方向に延在して配置されたレールとを有し、前記軸受が前記レールにガイドされることを特徴とする。
係る構成を備えることによって、水平移動部はボールねじに沿って移動するとともに、ボールねじを支持する軸受はレール上を移動することが可能となる。
したがって、本発明によれば、免震対象物が不規則な方向の水平振動を受けた場合に、その水平振動のうちボールねじの軸と平行な方向の成分は、ボールねじの回転運動に変換することができ、ボールねじの軸と垂直な方向の成分は、軸受がレール上を移動することによって吸収される。
なお、二の本水平免震装置を備えるように構成し、それぞれのボールねじをそれぞれの軸が垂直に交差するように配置し、かつそれぞれの水平移動部を相互に接続して配置すれば、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動の全てを水平二方向(xy方向)に分解することができ、水平全方向の振動をボールねじの回転運動に変換することが可能となる。
本発明は、免震対象物が軽量建物である場合において、従来は軽量建物には固有周期を長くすることができないという理由から使用できなかった剛性の高い積層ゴムを敢えて使用することを特徴とする。そして、軽量建物の固有周期は、質量付加機構の作用によって免震対象物が受ける水平方向の振動を慣性質量に変換し、免震対象物の水平方向の運動に対して慣性質量を付加させることによって調整するものである。
したがって、本発明によれば、免震対象物が戸建住宅のような軽量建物の場合でも、座屈を防止することができ、かつ建物の固有周期を長くすることができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して本発明に係る実施の形態1である水平免震装置100について説明する。
図1(a)は、免震対象物1及び水平免震装置100の全体の模式図であり、図1(b)は、免震対象物1と支持構造物2との間の拡大図であり、本発明に係る実施の形態1である水平免震装置100の概念図である。
水平免震装置100は、免震対象物が受ける水平方向の振動を免震する装置であり、戸建住宅のような軽量建物である免震対象物1と設置基礎である支持構造物2との間に配置された積層ゴム3と、質量付加機構4とを有する。
積層ゴム3は、平板状のゴム板と金属板とを交互に積層し一体化させたものであり、通常は大型重量建物に使用される剛性の高いものであり、免震対象物1と支持構造物2との間に配置され免震対象物1が受ける水平方向の振動を免震するものである。
質量付加機構4は、免震対象物1が受ける水平方向の振動を慣性質量に変換し、免震対象物1の運動に対して慣性質量を付加する機能を有するものである。
質量付加機構4は、免震対象物が受ける振動に連動し水平方向に移動可能な水平移動部6と、水平方向に延在する棒状部材としてのボールねじ7と、ボールねじ7と螺合するボールねじナット(図示せず)とを有する。
水平移動部6は、一端は免震対象物1に連結されるとともに、他端はボールねじナットを介してボールねじ7に係合されている。水平移動部6は、免震対象物の重心部に取付けるのが望ましい。
なお、ボールねじ7は、軸受8(ボールベアリング)によって支持されている。
質量付加機構4が上記の構成を有することによって、免震対象物1が水平方向の振動を受けた場合には、それに連動して水平移動部6が水平運動し、その水平運動がボールねじナットを介してボールねじ7の自転運動に変換される。このボールねじ7の自転による回転加速度によって慣性質量が発生し、免震対象物1の運動に対して慣性質量が付加される。
このように水平免震装置100は、免震対象物1が水平方向の振動を受けた場合に、免震装置1の鉛直方向の運動に対してではなく、免震対象物1の水平方向の運動に対してのみ慣性質量を付加する機能を有するものである。
免震対象物1が鉛直方向の振動を受けた場合には、水平移動部6は、鉛直方向は免震対象物1とボールねじ7によって拘束されているため運動することはない。したがって、ボールねじ7も自転することがなく慣性質量が発生することはない。
従来、積層ゴムの剛性設計は、積層ゴムの上下方向及び水平方向の双方のひずみを考慮することによって行っていた。しかし、本発明は、免震対象物が軽量建物であり、かつ本発明における質量付加機構は、鉛直方向には慣性質量が付加されない構造を有する水平免震装置であるため、本発明における積層ゴムは、上下方向のひずみ量は少ない。したがって、本発明では、上下方向のひずみ量が少ない分、水平方向のひずみ量を多くとることができ、本発明における積層ゴムは破断に対しても有利である。
ボールねじ7の材料は、より大きな慣性質量を得るために、比重の大きな材料を用いるのが効果的である。
また、さらに大きな慣性質量を得るためには、ボールねじ7に所定の質量を有する円盤等の質量体5を設けるのが効果的である。質量体5を円盤にする場合には、円盤の直径や厚さを任意に設定することによって、自由に慣性質量を調整することができ、それによって免震対象物1の固有周期を目標の周期に調整することが可能となる。
水平免震装置100において、免震対象物1は戸建住宅のような軽量建物であり、かつ積層ゴム3は、水平方向の振動による座屈防止対策として高い剛性を有するものであり、通常では軽量建物には固有周期を長くすることができないという理由から使用できないものである。
このように、免震対象物1の質量と積層ゴムの剛性にのみ着目すれば、免震対象物1の固有周期は、(1)式からも明らかなように短くなってしまう。しかし、免震装置100は、質量付加機構4を有しており、質量付加機構4の作用によって、免震対象物1の運動に対して慣性質量を付加することができ、軽量建物の固有周期を長くすることが可能となる。
つまり、水平免震装置100によれば、免震対象物が戸建住宅のような軽量建物の場合でも、座屈を防止することができ、かつ建物の固有周期を長くすることができる。
また、従来は、軽量建物には、固有周期を長くするため剛性の低い積層ゴムを用いていたため、軽量建物が強風を受けた場合には、建物が揺れることもあった。しかし、水平免震装置100によれば、積層ゴムは剛性が高いため、強風に対しても強いという利点がある。さらに、水平免震装置100に使用する積層ゴム3は、従来大型重量建物の免震に使用されてきたものをそのまま適用することができ、特に本発明の免震装置のために特注する必要がなく、免震装置全体を安価に製造することが可能となる。
次に、本発明における座屈限界剛性値について説明する。
積層ゴムの面圧をσd、積層ゴムのゴム板の直径をDとした場合の積層ゴムの支持重量Wは以下の(2)式で表される。
Figure 2006169719
積層ゴムのゴム板の総厚さ(内部金属板を除いた厚さ)をHrとすると、積層ゴムのゴム板の直径Dは、後述する二次形状係数Sを用いてD=SHrと表されるので、(2)式は以下の(3)式で表される。
Figure 2006169719
また、免震対象物の目標固有周期をT、積層ゴムのせん断弾性係数をG、重力加速度をgとすると、Hrは以下の式で表される。
Figure 2006169719
したがって、(3)式は以下の(4)式にて表すことができる。
Figure 2006169719
(4)式からわかるように、積層ゴムのゴム材料を決定することによって、積層ゴムの面圧σd及び積層ゴムのせん断弾性係数Gが決定され、かつ目標固有周期Tと二次形状係数Sとを任意に決定することによって、積層ゴムの支持重量Wが算出される。
そして、積層ゴムの剛性Kは、(1)式を変形することによって得られる以下の(5)式によって算出される。
Figure 2006169719
上述した二次形状係数Sとは、積層ゴムの形状を決定する上で重要な因子であり、S=D/Hrとして表される。したがって、この式からわかるように、積層ゴムの形状は、二次形状係数Sが大きければ扁平な形状となり、二次形状係数Sが小さければ細長い形状となる。一般的に、この二次形状係数Sが5以上の場合には、積層ゴムの座屈の問題はなく、積層ゴムの座屈の検討を要しないとされている。
したがって、(4)式においてS=5として算出された積層ゴムの支持荷重Wを用いて、(5)式によって算出される剛性Kは、座屈限界剛性値と定義することができる。
以下に具体的な数値とグラフを用いて、座屈限界剛性値について説明する。
図2のグラフは、(1)式に基づくものであり、免震対象物の目標固有周期を2秒とした場合の積層ゴムの支持重量と剛性との関係を表したものである。なお、本グラフは、積層ゴム1個当たりの値を表すものである。
積層ゴムのせん断弾性係数Gが0.29N/mm2、積層ゴムの面圧σdが10 N/mm2である積層ゴムを使用した場合について考える。このとき、二次形状係数Sを5、免震対象物の目標固有周期Tを2秒とすると、積層ゴムの支持重量Wは、(4)式から165kNと算出される。また、積層ゴムの剛性Kは、(5)式から163kN/mと算出される。
ここで、免震対象物の重量が165kN以上である免震対象物を免震する場合を考えると、免震対象物の固有周期を2秒に調整するためには、積層ゴムの剛性を163kN/mよりも高くする必要がある。つまり積層ゴムの形状は、二次形状係数S≧5である横に長い扁平な形状となり、座屈のおそれがない。したがって、剛性値が163kN/m以上の積層ゴムを使用する場合には、積層ゴムのみで免震対象物の重量支持及び固有周期の調整の双方の機能を果たすことが可能となる。
これに対して、免震対象物の重量が165kN未満である免震対象物を免震する場合を考えると、免震対象物の固有周期を2秒に調整するためには、積層ゴムの剛性を163kN/mよりも低くする必要がある。つまり積層ゴムの形状は二次形状係数S<5の細長い形状となり、座屈を生じるおそれがある。したがって、剛性値が163kN/m未満の積層ゴムを使用する場合には、従来は、積層ゴムの座屈防止としてすべり支承を使用することによって免震対象物の重量を支持し、積層ゴムは復元ゴムとして免震対象物の固有周期の調整のために使用されていた。
以上のことから、二次形状係数Sを5として算出された積層ゴムの剛性値163kN/mは、免震対象物の固有周期が2秒の場合における積層ゴムの座屈限界剛性値といえる。
本発明に係る水平免震装置は、積層ゴム1個当たりの支持重量が165kN未満の場合において、免震対象物の目標固有周期2秒が達成できない座屈限界剛性値以上(剛性値:163kN/m以上)の積層ゴム、つまり二次形状係数S≧5の積層ゴムを敢えて使用することによって、座屈に対して安定とするものである。本発明が対象とする積層ゴムの領域をグラフ中の領域で表すと、x<165かつy>163の領域である。このように、本発明で使用される積層ゴムは、本来であれば、目標固有周期2秒を達成できないものであるが、質量付加機構を有することによって固有周期を調整することが可能となる。
したがって、本発明に係る水平免震装置によれば、従来のようにすべり支承を用いなくとも、座屈を防止できると共に、目標固有周期を達成することが可能となる。
本発明に係る水平免震装置は、質量付加機構を有しており、免震対象物が水平方向の振動を受けた場合には、その振動を質量付加機構の作用によって、円盤等の回転運動に変換することができる。そして、円盤等の回転加速度によって慣性質量が発生し、免震対象物の運動に対して慣性質量が付加され、免震対象物の固有周期を長くすることが可能となる。
この本発明の原理を以下に数式を用いて説明する。
免震対象物の水平方向の変位:x
免震対象物の質量:M
積層ゴムのばね定数:K
円盤の質量:Ma
円盤の半径:R
ボールねじのリード:L
とすると、
円盤の回転慣性 Jd=1/2×Ma×R
免震対象物がx変位したときの円盤の回転角 α=2π×x/L
であり、減衰が無いとした場合の運動エネルギーは、
Figure 2006169719
であり、歪エネルギーは、
Figure 2006169719
と表すことができる。
したがって、V=Uとして固有円振動数を求めると
Figure 2006169719
となる。
式(6)及び周期と角速度の関係式であるT=2π/ωより
Figure 2006169719
となる。
(7)式からわかるように、質量付加機構による付加質量は、2Ma(πR/L)であり、すなわち、付加質量は、円盤の質量の2(πR/L)倍だけ重い質量であることがわかる。
例えば、円盤が半径20cm、厚さ1cmの鋼製とすると、円盤の質量は約10kgであり、また、ボールねじのリードを2cmとすると円盤の回転による付加質量Meは、
Me=2Ma(πR/L)=2×10.0×(π×20/2)2=19739kgとなり、
10kgの円盤の回転慣性によって約20tの慣性質量を得ることができる。
このように、円盤の質量とボールねじのリードを任意に決定することによって、必要な慣性質量を得ることができる。
したがって、軽量建物における水平方向の振動を免震する場合において、座屈に強い剛性の高い積層ゴムを使用した場合でも、付加する慣性質量を任意に決定することができるため、軽量建物の固有周期を長くすることが可能となる。
このように、質量付加機構を用いることによって、軽量建物に対しても、座屈に強い剛性の高い積層ゴムを使用することが可能となる。
以下に免震対象物が受ける水平方向の振動を慣性質量に変換する具体的な機構について説明する。
(実施の形態2)
図3を参照して本発明に係る実施の形態2である水平免震装置200、201について説明する。図3(a)は水平免震装置200の平面図であり、図3(b)は水平免震装置201の平面図である。
まず、水平免震装置200について説明する。
水平免震装置200は、免震対象物が受ける水平方向の振動を免震する装置であり、二の質量付加機構である一対の質量付加機構21a,21bと、質量付加機構21a,21bにおける水平移動部6a,6bを連結する接続部材22と、積層ゴム(図示せず)とを有する。
質量付加機構21a,21bは、免震対象物(図示せず)が受ける水平振動を慣性質量に変換し、免震対象物の運動に対して慣性質量を付加する機能を有するものであり、実施の形態1における質量付加機構4と同様の構成を有するものである。なお、実施の形態1と同一のものには、実施の形態1と同一の符号を付してある。
積層ゴムは、実施の形態1の水平免震装置100における積層ゴム3と同様のものであり、また、配置する個数や場所には特に制限はなく、どのように配置してもよい。
水平免震装置200は、それぞれのボールねじ7のそれぞれの軸が平行となるように配置され、かつ、それぞれの水平移動部6は、接続部材22を介して連結されている。接続部材22には鉛直方向に貫通孔23が設けられている。
また、免震対象物には、免震対象物とともに振動する固定部24が連結され、固定部24は貫通孔23を挿通するように配置されている。なお、固定部24は、免震対象物の重心部に取付けるのが望ましい。
以下に、免震対象物が水平方向の振動を受けた場合の水平免震装置200の動作について説明する。
免震対象物が例えば図3(a)の座標軸において、水平x軸方向の振動を受けた場合、免震対象物に連結された固定部24は、接続部材22を伴って水平x軸方向に振動する。つまり、接続部材22は、水平移動部6a,6bとともに免震対象物が受ける振動に連動して水平x軸方向に水平運動を行う。
この水平移動部6a,6bの水平運動がボールねじナットを介してボールねじ7の回転運動に変換され、ボールねじ7の両端に設けられた円盤5が回転する。
したがって、水平免震装置200によれば、円盤5の回転加速度によって免震対象物の運動に対して慣性質量を付加することが可能となる。
なお、水平免震装置200は、例として一対の質量付加機構を21a,21bを有するものを示したが、質量付加機構を三以上有し、それぞれのボールねじを軸が平行となるように配置し、かつそれぞれの水平移動部を連結して配置することも可能である。この場合、質量付加機構は、接続部を介して対象に同数ずつ設けるのが望ましい。
次に、水平免震装置201について説明する。
水平免震装置201は、図3(b)に示すように水平免震装置200を垂直な位置関係で二組有し、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動をx軸方向とy軸方向に分解して全て慣性質量に変換する機能を持つものであり、水平振動をx軸方向に分解する水平免震装置200xと、水平振動をy軸方向に分解する水平免震装置200yとを有する。
水平免震装置201は、それぞれの水平免震装置200x,200yのそれぞれの接続部材22x,22yが垂直に交差するように配置され、かつ固定部24が双方の接続部材22x,22yの貫通孔23x,23yを挿通して配置される。また、それぞれの貫通孔23x,23yは、接続部材22x,22yの延在方向に沿って形成されている。
つまり、固定部24は、水平x軸方向では、接続部材22yの貫通孔23y内にて水平移動可能であり、また、水平y軸方向では、接続部材22xの貫通孔23x内にて水平移動可能となっている。
以下に、免震対象物が水平方向の振動を受けた場合の水平免震装置201の動作について説明する。
免震対象物が不規則な方向の水平振動を受けた場合、その水平振動は、水平免震装置200xと水平免震装置200yとによってx軸方向とy軸方向の成分に分解される。
まず、x軸方向の成分は、固定部24が水平免震装置200xにおける接続部材22xを伴って接続部材22yの貫通孔23y内を水平移動することによって分解される。
この接続部材22xのx軸方向の水平移動に伴って水平移動部6xもx軸方向に水平運動し、この水平運動がボールねじナットを介して一対のボールねじ7xの回転運動に変換され、ボールねじ7xの回転によってボールねじ7xの両端に設けられた円盤5xが回転する。
また、y軸方向の成分は、固定部24が水平免震装置200yにおける接続部材22yを伴って接続部材22xの貫通孔23x内を水平移動することによって分解される。
このように、水平免震装置201によれば、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動の全てを水平二方向(xy方向)に分解することができ、水平全方向の振動をボールねじの回転運動に変換することが可能となる。
以上のように、免震対象物が水平のどの方向から振動を受けても、免震対象物の振動に連動して水平移動部6x,6yは、それぞれボールねじナットを介してボールねじ7x,7yに沿って自由自在に移動し、それによってボールねじ7x,7yが回転し、さらには円盤5x,5yが回転する。
したがって、水平免震装置201によれば、水平全方向の振動を水平免震装置200xと水平免震装置200yとによって円盤の回転運動に変換することができ、そして、その円盤の回転加速度によって免震対象物の運動に対して慣性質量を付加することが可能となる。
なお、水平免震装置201は、二組の水平免震装置をそれぞれの接続部材が垂直に交差するように重ねた位置に配置したが、独立した二の固定部24を免震対象物の任意の位置に設け、それぞれの接続部材が交差しない態様で重ならないように別々に配置することも可能である。
(実施の形態3)
図4を参照して本発明に係る実施の形態3である水平免震装置300、301について説明する。図4(a)は水平免震装置300の平面図であり、図4(b)は水平免震装置301の平面図である。
まず、水平免震装置300について説明する。
水平免震装置300は、免震対象物が受ける水平方向の振動を免震する装置であり、質量付加機構4と、積層ゴム(図示せず)とを有する。
質量付加機構4は、免震対象物(図示せず)が受ける水平振動を慣性質量に変換し、免震対象物の運動に対して慣性質量を付加する機能を有するものであり、実施の形態1における質量付加機構4と同様の構成を有するものである。なお、実施の形態1と同一のものには、実施の形態1と同一の符号を付してある。
積層ゴムは、実施の形態1の水平免震装置100における積層ゴム3と同様のものであり、また、配置する個数や場所には特に制限はなく、どのように配置してもよい。
水平免震装置300と水平免震装置100との相違点は、水平免震装置300はボールねじ7の軸と水平垂直方向に延在するレール31を備える点である。
レール31は、ボールねじ7を支持する軸受32(ボールベアリング)をガイドするものである。つまり、軸受32は、レール31上を移動可能なスライダーとして構成されている。
以下に、免震対象物が水平方向の振動を受けた場合の水平免震装置300の動作について説明する。
免震対象物が不規則な方向の水平振動を受けた場合、免震対象物に連結された水平移動部6はボールねじ7に沿ってx軸方向に移動するとともに、ボールねじ7を支持する軸受32はレール31上をy軸方向に移動する。つまり、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動は、図4(a)の座標軸を例にとると、x軸方向では水平移動部6の水平運動によってボールねじ7の回転運動に変換され、y軸方向では軸受32がレール31上を移動することによって吸収される。
つまり、水平免震装置300においては、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動のうちx軸方向に分解された振動のみが、ボールねじ7の回転及びそれに伴う円盤5の回転加速度によって慣性質量に変換され、免震対象物の運動に対して慣性質量を付加することが可能となる。
次に、水平免震装置301について説明する。
水平免震装置301は、図4(b)に示すように水平免震装置300を垂直な位置関係で二組有し、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動をx軸方向とy軸方向に分解して全て慣性質量に変換する機能を持つものであり、水平振動をx軸方向に分解する水平免震装置300xと、水平振動をy軸方向に分解する水平免震装置300yとを有する。
水平免震装置301は、それぞれのボールねじ7x,7yのそれぞれの軸が垂直に交差するように配置される。また、水平免震装置300xにおける水平移動部6xは、免震対象物に連結され、水平免震装置300yにおける水平移動部6yは、水平移動部6xの下部に接続される。
以下に、免震対象物が水平方向の振動を受けた場合の水平免震装置301の動作について説明する。
免震対象物が不規則な方向の水平振動を受けた場合、その水平振動は、水平免震装置300xと水平免震装置300yとによってx軸方向とy軸方向の成分に分解される。
まず、x軸方向の成分は、水平免震装置300xにおける水平移動部6xがボールねじ7xに沿って水平運動することによって分解される。このとき、水平免震装置300yにおける水平移動部6yは、ボールねじ7yを支持する軸受32yがレール31y上を移動することによって、水平移動部6xとともに移動する。このように、水平移動部6xがx軸方向に水平運動し、この水平運動がボールねじナットを介してボールねじ7xの回転運動に変換され、ボールねじ7xの回転によってボールねじ7xの両端に設けられた円盤5xが回転する。
また、y軸方向の成分は、水平免震装置300yにおける水平移動部6yがボールねじ7yに沿って水平運動することによって分解される。このとき、水平免震装置300xにおける水平移動部6xは、ボールねじ7xを支持する軸受32xがレール31x上を移動することによって、水平移動部6yとともに移動する。
このように、水平免震装置301によれば、免震対象物が受ける不規則な方向の水平振動の全てを水平二方向(xy方向)に分解することができ、水平全方向の振動をボールねじの回転運動に変換することが可能となる。
以上のように、免震対象物が水平のどの方向から振動を受けても、免震対象物の振動に連動して水平移動部6x,6yは、それぞれボールねじナットを介してボールねじ7x,7yに沿って自由自在に移動し、それによってボールねじ7x,7yが回転し、さらには円盤5x,5yが回転する。
したがって、水平免震装置301によれば、水平全方向の振動を水平免震装置300xと水平免震装置300yとによって円盤の回転運動に変換することができ、そして、その円盤の回転加速度によって免震対象物の運動に対して慣性質量を付加することが可能となる。
なお、水平免震装置301は、二組の水平免震装置をそれぞれのボールねじの軸が垂直に交差するように重ねた位置に配置し、かつそれぞれの水平移動部を相互に接続したが、それぞれのボールねじの軸が交差しない態様、つまりそれぞれの水平移動部を接続せずそれぞれの水平免震装置が重ならないように別々に配置することも可能である。
以下に本発明に係る水平免震装置の実施例を示す。
図5は、固有周期2秒の場合における積層ゴム1個当たりの支持重量と剛性との関係を表したグラフに、本実施例のデータをプロットしたものである。
免震対象物を鉄骨地上2階建ての戸建住宅とし、その戸建住宅が水平方向の振動を受けた場合の実験を行った。モデル1は、実施の形態1における水平免震装置100と同様の装置であり、積層ゴムと質量付加機構とを有する水平免震装置である。また、モデル2は、従来の免震装置であるすべり支承と積層ゴム(復元ゴム)とからなる免震装置である。
本実験の条件、及びその結果を表1に示す。
Figure 2006169719
表1に示すように、モデル1及びモデル2の免震対象物である戸建住宅の重量を同一とし、それぞれの戸建住宅に同一の地震波を入力し、両モデルとも戸建住宅の固有周期が2秒となるように調整した。なお、積層ゴムの個数は4個とした。
また、座屈限界剛性値は、二次形状係数Sが5、建物の目標固有周期を2秒として、実施の形態1にて示した同様の方法によって算出した値である。
まず、モデル2においては、免震対象物が戸建住宅の軽量建物であるため、建物の固有周期を2秒とするには、1個当たりの積層ゴムの剛性値を64.5 kN/mと低く設定する必要があり、そのため、積層ゴムの形状は縦に細長いものとなる。この剛性値は、座屈限界剛性値163kN/mよりも小さい値であるため、モデル2においては、水平方向の強い振動を受けた場合には、積層ゴムが座屈するおそれがある。したがって、モデル2では、すべり支承で建物の重量を支持し、積層ゴムは周期調整のため、つまり復元力を得るためのものとなっている。
これに対して、モデル1においては、1個当たりの積層ゴムの剛性値を座屈限界剛性値以上の590 kN/mに設定したため、積層ゴムの形状は扁平なものとなり、水平方向の強い振動を受けた場合でも積層ゴムは座屈することはない。
さらに、モデル1においては、戸建住宅が受けた水平方向の振動を、質量30 kgの円盤とリード2mmのボールねじとを有する質量付加機構を用いて580 kNの慣性重量に変換し、戸建住宅の重量255 kNにその慣性重量を付加し、戸建住宅の振動に関与する全体の重量を835 kNに増加させた。このように、モデル1では、質量付加機構を用いて実際の質量を増やすことなく水平方向にのみ慣性重量を発生させることによって、戸建住宅の固有周期を2秒に調整した。
以上のように、モデル1の水平免震装置は、戸建住宅のような軽量建物が水平方向の振動を受けた場合でも、積層ゴムの座屈を防止することでき、かつ軽量建物の固有周期を長くすることが可能な優れた水平免震装置であるといえる。
本発明は、住宅等の構造物が水平方向の振動を受けた場合の免震装置として利用することができる。
(a)免震対象物及び水平免震装置100全体の模式図である。(b)本発明に係る実施の形態1である水平免震装置100の概念図である。 積層ゴムの支持重量と剛性との関係を表したグラフである。 (a)本発明の実施の形態2の水平免震装置200の平面図である。(b)本発明の実施の形態2の水平免震装置201の平面図である。 (a)本発明の実施の形態3の水平免震装置300の平面図である。(b)本発明の実施の形態3の水平免震装置301の平面図である。 本発明の実施例におけるデータを表したグラフである。
符号の説明
100,200,201,300,301・・・水平免震装置、1・・・免震対象物、2・・・支持構造物,3・・・積層ゴム、4,21a,21b・・・質量付加機構、5,5x,5y・・・円盤、6,6x,6y・・・水平移動部、7,7x,7y・・・ボールねじ、8,32,32x,32y・・・軸受、22・・・接続部材,23,23x,23y・・・貫通孔、24・・・固定部、31,31x,31y・・・レール

Claims (11)

  1. 免震対象物と支持構造物との間に配置された積層ゴムと、
    前記免震対象物が受ける振動を慣性質量に変換し、免震対象物の運動に対して慣性質量を付加する質量付加機構とを有し、
    前記質量付加機構は、前記免震対象物が受ける振動に連動し水平方向に移動可能な水平移動部と、水平方向に延在する棒状部材とを有し、
    前記水平移動部は前記棒状部材に係合され、前記水平移動部の水平移動に伴って前記棒状部材が自転することによって慣性質量が発生することを特徴とする水平免震装置。
  2. 前記免震対象物の水平方向の運動に対してのみ慣性質量を付加する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の水平免震装置。
  3. 前記積層ゴムはゴム板と金属板とを交互に積層し一体化させてなり、
    ゴム板の直径をD、ゴム板の総厚さをtとした場合にD/t≧5に設定されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水平免震装置。
  4. 前記積層ゴムの剛性は、前記免震対象物が水平方向の振動を受けた場合に前記積層ゴムが座屈しないために必要となる座屈限界剛性値以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の水平免震装置。
  5. 免震対象物の目標固有周期をT、積層ゴムのせん断弾性係数をG、積層ゴムの面圧をσd、二次形状係数をS、重力加速度をgとした場合に、積層ゴムの支持重量Wは以下の(イ)式によって算出され、
    積層ゴムの前記座屈限界剛性値Kminは(イ)式にてS=5として算出された積層ゴムの前記支持重量Wを用いて、以下の(ロ)式によって設定されることを特徴とする請求項4に記載の水平免震装置。
    Figure 2006169719
    Figure 2006169719
  6. 前記免震対象物が戸建住宅であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の水平免震装置。
  7. 前記戸建住宅が鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造、又は木造であることを特徴とする請求項6に記載の水平免震装置。
  8. 前記棒状部材に所定の質量を有する質量体が設けられ、
    前記質量体の回転加速度によって免震対象物の運動に対して慣性質量が付加されることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の水平免震装置。
  9. 前記棒状部材はボールねじであり、前記水平移動部がボールねじナットを介して前記ボールねじに係合されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の水平免震装置。
  10. 前記質量付加機構を二以上有し、前記質量付加機構におけるそれぞれの前記ボールねじはそれぞれの軸が平行となるように配置され、前記質量付加機構におけるそれぞれの前記水平移動部は接続部材を介して連結され、前記接続部材には鉛直方向に貫通孔が設けられ、前記免震対象物に連結された固定部が前記貫通孔を挿通して配置されることを特徴とする請求項9に記載の水平免震装置。
  11. 前記ボールねじを支持する軸受と、水平方向に延在して配置されたレールとを有し、前記軸受が前記レールにガイドされることを特徴とする請求項9に記載の水平免震装置。
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