JP2006169458A - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面状態が良好な電着塗膜を得ることができるカチオン電着塗料組成物を提供すること。
【解決手段】 カチオン性エポキシ樹脂および硬化剤を含むバインダー樹脂エマルション(A)を含むカチオン電着塗料組成物であって、バインダー樹脂エマルション(A)の平均粒径が30〜120nmであり、カチオン電着塗料組成物の粒径分布の累積相対度数F(x)を求めた場合、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)が160nm以下である、カチオン電着塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができるカチオン電着塗料組成物に関する。
電着塗装は、電着塗料組成物中に被塗物を浸漬させ、電圧を印加することにより行なわれる塗装方法である。この方法は、複雑な形状を有する被塗物であっても細部にまで塗装を施すことができ、自動的かつ連続的に塗装することができるので、特に自動車車体等の大型で複雑な形状を有する被塗物の下塗り塗装方法として広く実用化されている。
一般に自動車車体などの基材の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜を設けて複層塗膜を形成し、基材を保護すると同時に美しい外観を付与している。しかし近年、コストダウンの要請から、中塗り塗装を省いたり、中塗り塗膜の膜厚を薄くするなどの手段が取られることがある。このような場合は、硬化電着塗膜の表面状態が、複層塗膜の外観に大きく影響することが考えられる。このため、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができる電着塗料が求められている。
硬化電着塗膜の表面状態を改善する方法として、電着塗膜の加熱硬化時の溶融粘度を下げることによって、溶融時のフロー性を高め、電着塗膜の外観を向上させるという公知の技術がある。しかし、溶融粘度を下げることによって付きまわり性も低下してしまい、塗膜物性が悪くなる恐れがある。また、電着塗膜の溶融粘度を下げる手段として、ブチルセロソルブやエチルセロソルブ等のセロソルブ系の溶剤を電着塗料中に加えることが多い。しかしこれらの溶剤を用いることによって、電着塗装時にこれらの溶剤が大気中に揮散して、大気汚染物質の原因となる恐れがあることは、特開2001−220540号公報(特許文献1)などからも当業者に知られていることである。
特開2001−252613号公報(特許文献2)には、複層塗膜を形成する方法において、電着塗料として、(a)ビスフェノ−ル型エポキシ樹脂の水酸基に環状エステル化合物を反応させてなる樹脂、(b)溶解性パラメ−タ値が9.6未満のビニル樹脂、(c)溶解性パラメ−タ値が9.6未満のポリアルキレングリコ−ル及び(d)平均粒径が0.5μm以下に調整してなる顔料成分を含有するカチオン電着塗料を使用することを特徴とする複層塗膜の形成方法が記載されている。このようなカチオン電着塗料を使用することにより、複層塗膜の平滑性などの仕上がり外観及び耐チッピング性などを改良することができると記載されている。しかし、電着塗料組成物には、顔料以外にも、固形分を構成する種々の成分が含まれている。塗膜の平滑性に関しては、それらの成分の形態も考慮する必要があると考えられる。
特開2001−220540号公報 特開2001−252613号公報
本発明は上記従来技術の問題点解決することを課題とする。より特定すれば、本発明は、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができるカチオン電着塗料組成物を提供することを課題とする。
本発明は、カチオン性エポキシ樹脂および硬化剤を含むバインダー樹脂エマルション(A)を含むカチオン電着塗料組成物であって、
該バインダー樹脂エマルション(A)の平均粒径が30〜120nmであり、
カチオン電着塗料組成物の粒径分布の累積相対度数F(x)を求めた場合、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)が160nm以下である、
カチオン電着塗料組成物、を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
本発明は、さらに顔料を含む顔料分散エマルション(B)を含むカチオン電着塗料組成物であって、この顔料分散エマルション(B)の平均粒径が100〜600nmである、カチオン電着塗料組成物も提供する。この記顔料分散エマルション(B)が含まれる場合は、バインダー樹脂エマルション(A)100固形分重量部に対して1〜30固形分重量部含まれるのが好ましい。
本発明において、カチオン電着塗料組成物に含まれるバインダー樹脂エマルション(A)および顔料分散エマルション(B)の粒径を調整することによって、得られる電着塗膜の表面状態を向上させることができることを見出した。本発明の電着塗料組成物は、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができる。そのため、電着塗料組成物に、ブチルセロソルブやヘキシルグリコールなどの有機溶媒をさらに加えることによって、塗膜の平滑性を向上させる必要はない。このため、電着塗料組成物に含まれる有機溶媒の含有量を低減させることができ、さらには大気汚染の可能性も低減させることができる。本発明の電着塗料組成物はまた、加熱硬化時の溶融粘度を下げるための手段もとる必要がないため、付きまわり性などの他の性能も損なわれないという利点がある。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、カチオン性エポキシ樹脂及び硬化剤を含むバインダー樹脂エマルション(A)を含む。本発明のカチオン電着塗料組成物はさらに、顔料を含む顔料分散エマルション(B)を含んでもよい。
バインダー樹脂エマルション(A)
本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれるバインダー樹脂エマルション(A)は、カチオン性エポキシ樹脂及び硬化剤を含む。
カチオン性エポキシ樹脂
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポキシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
特開平5−306327号公報に記載される、下記式
Figure 2006169458
[式中、Rはジグリシジルエポキシ化合物のグリシジルオキシ基を除いた残基、R’はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、nは正の整数を意味する。]で示されるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよい。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックイソシアネート硬化剤とポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからである。
二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば、特開2000−128959号公報第0012〜0047段落に記載されており、公知である。
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数の種類を併用して用いてもよい。
硬化剤
本発明の硬化剤としてブロックイソシアネート硬化剤が好ましく用いられる。ブロックイソシアネート硬化剤の調製に使用されるポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトンイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーもブロックイソシアネート硬化剤に使用してよい。
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
上記カチオン性エポキシ樹脂および硬化剤を、水性溶媒中に分散させることによって、バインダー樹脂エマルション(A)が調製される。この水性溶媒には中和酸が含まれ、この中和酸はカチオン性エポキシ樹脂を中和して、分散性を向上させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。
使用される中和酸の量は、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂エマルション(A)の固形分100gに対して、下限10mg当量、上限35mg当量の範囲であるのが好ましい。上記下限は15mg当量であるのがより好ましく、上記上限は30mg当量であるのがより好ましい。中和酸の量が10mg当量未満であると水への親和性が十分でなく水への分散ができないか、著しく安定性に欠ける状態となり、35mg当量を越えると析出に要する電気量が増加し、塗料固形分の析出性が低下し、つきまわり性が劣る状態となる。
なお、本明細書中において「中和酸の量」とは、上記の通りカチオン性エポキシ樹脂を中和するのに用いた酸の量であって、バインダー樹脂エマルション(A)の固形分100gに対するmg当量数で表わされる。中和酸の量を「MEQ(a)」と表示することもある。
本発明においては、バインダー樹脂エマルション(A)の平均粒径を、下限30nm上限120nmに調整する。上記上限は100nmであるのが好ましい。バインダー樹脂エマルション(A)の平均粒径を上記範囲に調整することにより、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができる。バインダー樹脂エマルション(A)の平均粒径は、中和酸の量(MEQ(a))を上記範囲量で用いることによって、上記範囲に調整することができる。
ここで「平均粒径」とは、一般に粒子の粒度(粒径が粗いか細かいか)を表わすために用いられるものであり、重量50%に相当するメジアン径や算術平均径、表面積平均径、体積面積平均径などが使用される。本明細書に示す平均粒径は、粒状粒子透過測定によって測定された値で示している。エマルションを含む溶液に、光を照射して、得られた透過光および散乱光を捕捉、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。溶媒(水)の屈折率1.33、樹脂分の屈折率1.59として、演算を行っている。
バインダー樹脂エマルション(A)に含まれる硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級アミノ基、水酸基、等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分な量が必要とされる。好ましい硬化剤の量は、バインダー樹脂エマルション(A)において、カチオン性エポキシ樹脂とブロックイソシアネート硬化剤との固形分重量比(カチオン性エポキシ樹脂/硬化剤)で表して90/10〜50/50、より好ましくは80/20〜60/40の範囲である。カチオン性エポキシ樹脂とブロックイソシアネート硬化剤との固形分量比の調整により、造膜時の塗膜(析出膜)の流動性および硬化速度を調節することができる。
顔料分散エマルション(B)
本発明のカチオン電着塗料組成物に含めてもよい顔料分散エマルション(B)は、顔料を含むエマルションである。以下、顔料分散エマルション(B)に含まれる成分などについて記載する。なお、顔料分散エマルションは、顔料、樹脂、溶剤、添加剤、分散助剤からなる、または含んでなる顔料を含む水分散体を意味する。
顔料
本発明の方法に用いられるカチオン電着塗料組成物は、通常用いられる顔料を含んでもよい。使用できる顔料の例としては、通常使用される無機顔料、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等、が挙げられる。
顔料分散エマルション(B)の調製
本発明において上記顔料を用いる場合は、顔料を予め高濃度で水性溶媒に分散させてペースト状にする。本発明において、この顔料を含むペースト状物を顔料分散エマルション(B)という。顔料は粉体状であるため、顔料をそのまま電着塗料組成物中に加える場合、均一状態に分散させるのは困難が伴うことが多い。顔料を顔料分散エマルション(B)に調製して加えることにより、電着塗料組成物中に均一に分散させることが容易となる。
顔料分散エマルション(B)は、顔料を顔料分散樹脂ワニスと共に水性溶媒中に分散させて調製する。顔料分散樹脂としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性溶媒としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂は、顔料100重量部に対して固形分比20〜100重量部の量で用いる。顔料分散樹脂ワニスと顔料とを混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて、顔料分散エマルションを得ることができる。
本発明においては、顔料分散エマルション(B)の平均粒径を、下限100nm上限600nmに調整する。上記上限は400nmであるのが好ましい。顔料分散エマルション(B)の平均粒径を上記範囲に調整することにより、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができる。顔料分散エマルション(B)の平均粒径は、使用する顔料分散樹脂の種類によって調整することができる。顔料分散樹脂として、4級アンモニウム基を有する変性エポキシ樹脂(カチオン性重合体)を用いたり、このようなカチオン性重合体を1N中和塩基で中和したものを用いるのが好ましい。これらを用いることによって顔料分散エマルション(B)の平均粒径を上記範囲に効果的に調整することができる。
カチオン電着塗料組成物の調製
カチオン電着塗料組成物は、バインダー樹脂エマルション(A)を水性溶媒に分散させることによって調製される。顔料分散エマルション(B)を用いる場合は、バインダー樹脂エマルション(A)および顔料分散エマルション(B)を水性溶媒に分散させることによって調製される。
顔料分散エマルション(B)を用いる場合、顔料分散エマルション(B)の含有量は、バインダー樹脂エマルション(A)100固形分重量部に対して1〜30固形分重量部であるのが好ましく、1〜25固形分重量部であるのがより好ましい。顔料分散エマルション(B)の量が30固形分重量部を超えると、沈降安定性が低下したり、造膜時(析出時)の降り積もり現象により水平外観が著しく低下する恐れがある。
水性溶媒として、イオン交換水、蒸留水などが好ましく用いられる。また、電着塗料組成物は一般に有機溶媒を含む。有機溶媒は、カチオン性エポキシ樹脂、硬化剤、顔料分散樹脂等の樹脂成分を合成する際に溶媒として必要であり、完全に除去するには煩雑な操作を必要とされるからである。
カチオン電着塗料組成物に通常含まれる有機溶媒としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
ところで、当分野においては、上記のように一般に含まれる有機溶媒とは別に、さらなる有機溶媒を電着塗料組成物に加えることがある。さらに有機溶媒を加えることによって、造膜時の塗膜の流動性を改良し、塗膜の平滑性を向上させることができるからである。しかしながら、本発明の電着塗料組成物においては、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができるため、このような有機溶媒をさらに加える必要はない。これにより、電着塗料組成物に含まれる有機溶媒の含有量を低減させることができ、さらには大気汚染の可能性も低減させることができる。
上記カチオン電着塗料組成物は、上記成分の他に、上記ブロックイソシアネート硬化剤のブロック剤解離のために解離触媒を含む場合は、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドなどの有機錫化合物や、N−メチルモルホリンなどのアミン類、酢酸鉛や、ストロンチウム、コバルト、銅などの金属塩が使用できる。解離触媒の濃度は、カチオン電着塗料組成物中のカチオン性エポキシ樹脂とブロックイソシアネート硬化剤合計の100固形分重量部に対し0.1〜6重量部である。
カチオン電着塗料組成物は、上記のほかに、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。アミノ基含有アクリル樹脂、アミノ基含有ポリエステル樹脂等を含んでもよい。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、カチオン電着塗料組成物の粒径分布の累積相対度数F(x)を求めた場合、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値が160nm以下である。ここで累積相対度数F(x)とは、電着塗料組成物中に含まれるエマルション粒子(即ち、バインダー樹脂エマルション(A)および顔料分散エマルション(B))の粒径分布に関するものである。累積相対度数F(x)は、特定の粒径(x)以下の粒径を有するエマルションの体積/全エマルションの体積、を示すものである。図1に累積相対度数F(x)の概略説明図を示す。本発明においては、このようなグラフにおいて、x軸がエマルション粒子の粒径を、そしてy軸がエマルション粒子の体積に対する累積相対度数F(x)を示すこととなる。
本発明においては、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)が、160nm以下であることを特徴とする。これは、電着塗料組成物中に含まれるエマルション粒子の体積のうち1割が、160nm以下の粒径を有するということになる。そして残りの9割の体積のエマルション粒子は、160nmを超える粒径を有することとなる。累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)が160nm以下である電着塗料組成物は、比較的小さい粒径を有するエマルションが全エマルションの体積に対して10%含まれることとなる。このような電着塗料組成物を用いることによって、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができる。理論に拘束されるものではないが、このような効果が得られる理由として、電着塗膜形成時において、エマルション粒子数のうち1割を占める比較的小さな粒径(160nm以下)を有するエマルションが、比較的大きな粒径(160nmを超える粒径)を有するエマルション間に充填されて行くということが考えられる。
カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂エマルションの平均粒径を調整する手法として、例えば、中和酸量を10〜35mg当量の範囲で調整し、中和酸量を多くする事で粒径を小さくする事、カチオン性エポキシ樹脂とブロックイソシアネート硬化剤との比率を90/10〜50/50の範囲で調整し、カチオン性エポキシ樹脂の割合を大きくする事で粒径を小さくする方法が挙げられる。顔料分散エマルションの平均粒径を調整する方法として、例えば、顔料/顔料分散樹脂の比率を調整し、顔料分散樹脂の割合を大きくする事で粒径を小さくする方法が挙げられる。
被塗物
本発明の電着塗料組成物を塗装する被塗物として、電着塗装が可能な任意の基材が含まれる。このような基材として、例えば、鉄、鋼、アルミニウム、錫、亜鉛など、およびこれらの金属を含む合金、並びにこれらの金属のめっきもしくは蒸着製品等が挙げられる。具体的には、これら金属部材を用いて製造された乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車の車体および部品等が挙げられる。また、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等に導電処理を施したプラスチック材料を基材として使用することもできる。
本発明においては、上記基材をそのまま使用してもよく、あるいは電着塗装前に脱脂や化成処理等の前処理を行なってもよい。
電着塗装
電着塗装は、被塗物を陰極として陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が不充分となり、また450Vを超えると塗膜が破壊され異常外観となる恐れがある。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は、通常10〜45℃に調節される。
電着過程は、カチオン電着塗料組成物に被塗物を浸漬する過程、及び、上記被塗物を陰極として陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過程、から構成される。また、電圧を印加する時間は、電着条件によって異なるが、一般には、2〜4分とすることができる。
電着塗膜の膜厚は、好ましくは5〜25μm、より好ましくは15〜20μmとする。膜厚が5μm未満であると、防錆性が不充分であり、25μmを超えると、塗料の浪費につながる。
上述のようにして得られる電着塗膜を、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜260℃、好ましくは140〜220℃で、10〜30分間焼付けることによって硬化電着塗膜が形成される。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断らない限り、「部」は重量部を表わす。
製造例1 アミン変性エポキシ樹脂の製造
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)95部およびジブチル錫ジラウレート0.5部を仕込んだ。反応混合物を攪拌下、メタノール21部を滴下した。反応は、室温から始め、発熱により60℃まで昇温した。その後、30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル50部を滴下漏斗より滴下した。更に、反応混合物に、ビスフェノールA−プロピレンオキシド5モル付加体53部を添加した。反応は主に、60〜65℃の範囲で行い、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。
次に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃まで昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部を添加し、エポキシ当量410になるまで130℃で反応させた。
続いて、ビスフェノールA61部およびオクチル酸33部を加えて120℃で反応させたところ、エポキシ当量は1190となった。その後、反応混合物を冷却し、ジエタノールアミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およびアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79重量%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるまで希釈し、アミン変性エポキシ樹脂(樹脂固形分80%)を得た。
製造例2 ブロックイソシアネート硬化剤の製造
ジフェニルメタンジイソシアナート1250部およびMIBK266.4部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱した後、ジブチル錫ジラウレート2.5部を加えた。ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK336.1部を加えてブロックイソシアネート硬化剤を得た。
製造例3 顔料分散樹脂の製造
まず、攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)222.0部を入れ、MIBK39.1部で希釈した後、ここヘジブチル錫ジラウレート0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却することにより、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(樹脂固形分90.0%)が得られた。
次いで、適当な反応容器に、ジメチルエタノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6部およびエチレングリコールモノブチルエーテル39.2部を順に加え、65℃で約半時間攪拌して、4級化剤を調製した。
次に、エポン(EPON)829(シェル・ケミカル・カンパニー社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部とビスフェノールA289.6部とを適当な反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱したところ、初期発熱反応が生じた。反応混合物を150〜160℃で約1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した後、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。
反応混合物を110〜120℃に約1時間保ち、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル463.4部を加え、混合物を85〜95℃に冷却し、均一化した後、先に調製した4級化剤196.7部を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜95℃に保持した後、脱イオン水964部を加えて、エポキシ−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了させ、4級アンモニウム塩部分を有する顔料分散用樹脂を得た(樹脂固形分50%)。
製造例4 顔料分散エマルション(B−1)の製造
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂を120部、カーボンブラック2.0部、カオリン100.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸アルミニウム18.0部およびイオン交換水221.7部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散エマルション(B−1)を得た(固形分48%)。
製造例5 顔料分散エマルション(B−2)の製造
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散樹脂を90部、カーボンブラック2.0部、カオリン100.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸アルミニウム18.0部及びイオン交換水220.4部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散エマルション(B−2)を得た(固形分48%)。
実施例1
製造例1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固形分比で80/20で均一になるように混合した。これにバインダー樹脂エマルション(A)の固形分100gに対する酸のミリグラム当量(MEQ(a))が35になるように氷酢酸を添加し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のバインダー樹脂エマルション(A−1)を得た。
このバインダー樹脂エマルション(A−1)1500部と、イオン交換水1220部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
平均粒径および粒径値(x)の測定
バインダー樹脂エマルション(A−1)の平均粒径を、日機装(株)社製、MICROTRAC9340UAPを用いて、粒状粒子透過測定法にて測定した。また、この機械を用いて、得られた電着塗料組成物の粒径分布を測定し、その測定値から累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)を算出した。これらの測定および算出においては、溶媒(水)の屈折率:1.33、樹脂分の屈折率:1.59を用いた。得られた平均粒径値および累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)を、表1に示す。
電着塗膜の表面状態の測定
電着塗装浴の温度30℃で、表面粗度Ra=0.90μm(カットオフ値が2.5mm)の表面処理鋼鈑に、乾燥膜厚が15μmとなるように電着塗装し、水洗後、20℃で3時間放置し、未硬化の電着塗膜(WET塗膜)を得た。未硬化の電着塗膜(WET塗膜)のRaを、JIS−B0601に準拠し、評価型表面粗さ測定機(Mitsutoyo社製、SURFTEST SJ−201P)を用いて測定した。2.5mm幅カットオフ(区画数5)を入れたサンプルを用いて7回測定し、上下消去平均によりRa値を得た。結果を表1に示す。
また未硬化の電着塗膜を、170℃で20分間焼付けて硬化電着塗膜(DRY塗膜)を形成した。硬化電着塗膜(DRY塗膜)のRaについても、上記と同様にして測定した。結果を表1に示す。
なお、上記のRaとは、粗さ曲線の中心線平均粗さであり、JIS B 0601において規定されるパラメーターである。この値が小さい程、表面の凹凸が少なく表面状態が良好であることを示す。
実施例2
実施例1のバインダー樹脂エマルション(A−1)1200部と、製造例4で得られた顔料分散エマルション(B−1)225部と、イオン交換水1295部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られた電着塗料組成物の粒径分布の測定、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)の算出、バインダー樹脂エマルション(A−1)の平均粒径の測定を、実施例1と同様に行なった。併せて、顔料分散エマルション(B−1)の平均粒径の測定も行った。次いで、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例3
製造例1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固形分比で70/30で均一になるように混合した。これにバインダー樹脂エマルション(A)の固形分100gに対する酸のミリグラム当量(MEQ(a))が30になるように氷酢酸を添加し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のバインダー樹脂エマルション(A−2)を得た。
このバインダー樹脂エマルション(A−2)1200部と、製造例4で得られた顔料分散エマルション(B−1)225部と、イオン交換水1295部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られた電着塗料組成物の粒径分布の測定、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)の算出、バインダー樹脂エマルション(A−2)の平均粒径の測定を、実施例1と同様に行なった。併せて、顔料分散エマルション(B−1)の平均粒径の測定も行った。次いで、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例4
実施例3のバインダー樹脂エマルション(A−2)1050部と、製造例4で得られた顔料分散エマルション(B−1)338部と、イオン交換水1332部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られた電着塗料組成物の粒径分布の測定、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)の算出、バインダー樹脂エマルション(A−2)の平均粒径の測定を、実施例1と同様に行なった。併せて、顔料分散エマルション(B−1)の平均粒径の測定も行った。次いで、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例5
製造例1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固形分比で70/30で均一になるように混合した。これにバインダー樹脂エマルション(A)の固形分100gに対する酸のミリグラム当量(MEQ(a))が28になるように氷酢酸を添加し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のバインダー樹脂エマルション(A−3)を得た。
このバインダー樹脂エマルション(A−3)1200部と、製造例4で得られた顔料分散エマルション(B−1)225部と、イオン交換水1295部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られた電着塗料組成物の粒径分布の測定、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)の算出、バインダー樹脂エマルション(A−3)の平均粒径の測定を、実施例1と同様に行なった。併せて、顔料分散エマルション(B−1)の平均粒径の測定も行った。次いで、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例1
製造例1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固形分比で80/20で均一になるように混合した。これにバインダー樹脂エマルション(A)の固形分100gに対する酸のミリグラム当量(MEQ(a))が20になるように氷酢酸を添加し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のバインダー樹脂エマルション(A−4)を得た。
このバインダー樹脂エマルション(A−4)1200部と、製造例4で得られた顔料分散エマルション(B−1)225部と、イオン交換水1295部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られた電着塗料組成物の粒径分布の測定、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)の算出、バインダー樹脂エマルション(A−4)の平均粒径の測定を、実施例1と同様に行なった。併せて、顔料分散エマルション(B−1)の平均粒径の測定も行った。次いで、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1のバインダー樹脂エマルション(A−1)975部と、製造例4で得られた顔料分散エマルション(B−1)395部と、イオン交換水1350部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られた電着塗料組成物の粒径分布の測定、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)の算出、バインダー樹脂エマルション(A−1)の平均粒径の測定を、実施例1と同様に行なった。併せて、顔料分散エマルション(B−1)の平均粒径の測定も行った。次いで、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例3
実施例3のバインダー樹脂エマルション(A−2)1050部と、製造例5で得られた顔料分散エマルション(B−2)338部と、イオン交換水1332部と10%酢酸セリウム水溶液40部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られた電着塗料組成物の粒径分布の測定、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)の算出、バインダー樹脂エマルション(A−2)の平均粒径の測定を、実施例1と同様に行なった。併せて、顔料分散エマルション(B−2)の平均粒径の測定も行った。次いで、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2006169458
電着塗膜の表面状態を目視評価したところ、WET塗膜のRa(μm)が4.0μm以下である場合は外観良好と評価でき、そしてDRY塗膜のRa(μm)が0.25μm以下である場合は外観良好と評価できる範囲であった。そして表1の結果から、本実施例1〜5により得られたWET塗膜およびDRY塗膜の表面状態は良好であった。一方、比較例1〜3は、WET塗膜およびDRY塗膜の両方において、表面状態に凹凸があり、外観不良であった。
本発明のカチオン電着塗料組成物によって、表面状態が良好な電着塗膜を得ることができる。本発明の電着塗料組成物を用いることによって、焼付け工程が少ないスリーコート・ワンベークによる塗装などにおいても、良好な外観する塗膜を得ることができる。そのため、塗装工程における焼付け乾燥に要するエネルギーを節約することができ、省エネルギー化およびコストダウンが可能となる。本発明の電着塗料組成物は、自動車、二輪車等の乗物外板、容器外面、コイルコーティング、家電業界などの、塗装時のエネルギー節減と良好な塗膜外観とが要求される分野において、好ましく使用することができる。
累積相対度数F(x)の概略説明図である。

Claims (3)

  1. カチオン性エポキシ樹脂および硬化剤を含むバインダー樹脂エマルション(A)を含むカチオン電着塗料組成物であって、
    該バインダー樹脂エマルション(A)の平均粒径が30〜120nmであり、
    カチオン電着塗料組成物の粒径分布の累積相対度数F(x)を求めた場合、累積相対度数F(x)=0.1における粒径値(x)が160nm以下である、
    カチオン電着塗料組成物。
  2. さらに、顔料を含む顔料分散エマルション(B)、を含むカチオン電着塗料組成物であって、
    該顔料分散エマルション(B)の平均粒径が100〜600nmである、
    請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
  3. 前記顔料分散エマルション(B)が、バインダー樹脂エマルション(A)100固形分重量部に対して1〜30固形分重量部含まれる、請求項2記載のカチオン電着塗料組成物。
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